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imageX0048.Png公開年:1955年
公開国:日本
時 間:108分
監 督:溝口健二
出 演:市川雷蔵、久我美子、林成年、木暮実千代、大矢市次郎、進藤英太郎、菅井一郎、千田是也、柳永二郎、羅門光三郎、夏目俊二、河野秋武、石黒達也、中村玉緒、十朱久雄、沢村国太郎、香川良介、杉山昌三九、南條新太郎、荒木忍、東良之助、西田智、上田寛、小柳圭子 他



平安末期。藤原氏による貴族社会が長く続いていたが、その勢いは台頭してきた武士によって脅かされつつあった。武士勢力の筆頭であった平忠盛は、朝廷の命により西方の海賊討伐を行い、成果を挙げて凱旋したものの、貴族たちの讒言により朝廷からの恩賞どころか上皇からのねぎらいの言葉すら貰えない始末。忠盛は、自分の馬を売らねば部下をねぎらう祝宴を開くこともままならぬほど窮乏しており、武士たちの怒りは爆発寸前となっていた。そんな中、藤原時信が、忠盛に恩賞を与えるべきと進言し謹慎させられたという噂を聞き、忠盛は息子・清盛に礼状持たせ時信の屋敷に向かわせる。その帰り、酒屋へ立ち寄ると、自分が白川上皇の息子であると噂されていることを知った清盛は衝撃を受け…というストーリー。

オープンセットの豪華さ…というか、本当に町を一つ造ってしまったんじゃないかと思うほど。カメラがワンショットでどこまで追っていっても、平安の京都がそこにある。なんと隙が無いセットなのか。おそらく実際の建造物も使用しているとは思うのだが、境目がよくわからない。1955年に、カラー作品でこの制作費の掛けっぷり、目眩がするほどだ。

原作は吉川英治。主人公清盛は、武士、上皇、僧侶と、自分はいったい誰の子かという、出自に悩みぬく。もちろんそんな設定はフィクションだろうが、同じ吉川作品である三国志の劉備玄徳が景帝の落胤であるという設定に近く(まあ、玄徳の設定は三国志演義のものだが)、実に吉川英治らしい冴えた娯楽要素だと思う。
#ちょっと韓国ドラマ臭い幼稚さではあるが、これはこれで“様式”だ。

僧兵とのぶつかりあいは、清盛というよりも信長のそれを彷彿とさせるが、まあそれもご愛嬌。別に歴史映画を目指しているわけではない。

出自の問題もさることならがら、存命の母親のビッチっぷりがハンパない。そんなクソみたいな母親のおかげなのかどうかわからないが、自分が誰の子かなんてどうってことないよ、自分がどうするか!それが大事!と吹っ切れるところでおしまい。ここで終わったのは非常に残念だが、まあ、平清盛がのし上がっていく姿を描ききれるものではないし、ヤング清盛に焦点を当てるコンセプトだと納得するしかない。

市川雷蔵なんて、林家木久翁の似てるんだか似てないんだかわかんないモノマネでしかしらない。今回、初めて観た。勢いもあるし顔力こそ感じるが、セリフも聞きにくいし、感情表現が一辺倒だし、力不足な感は否めない。まゆげが無ければ、始めの20分などはたして誰が主人公なのか…と、思う人もいるに違いない。

すごい!とは思うが、愉しめますよ…と薦めるのはちょっとはばかられる作品。もっと悪くいうと、吉川英治の表面上の娯楽+豪華なセット+見映えだけつくろった市川雷蔵=表面だけが華美なハリボテ映画。そんな風に思えてしまうのは私だけか。ストーリーに何か芯が足りない、そう思えて仕方が無い。
#溝口健二をディスるのは勇気いるけど。

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