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imageX0051.Png公開年:1955年
公開国:日本
時 間:124分
監 督:成瀬巳喜男
出 演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、岡田茉莉子、山形勲、加東大介、木匠マユリ、千石規子、村上冬樹、大川平八郎、金子信雄、ロイ・H・ジェームス、出雲八枝子、瀬良明、木村貞子、谷晃、森啓子、日吉としやす 他




戦時中、農林省のタイピストとしてインドシナに赴任したゆき子は、日本に妻を残して赴任している富岡という男と出会う。はじめは皮肉家の富岡に悪印象をいだいていたゆき子だったが、やがて愛し合うようになる。終戦を迎え、富岡は「妻と別れて君と一緒になる」を残し先に帰国。その言葉を信じて、富岡の家を訪れるゆき子だったが、富岡は一向に妻を別れる気配を見せない。途方にくれたゆき子は富岡と別れることを決め、生きるために米兵の情婦となる。しかし、富岡と再開するとゆき子の心は揺れ、結局よりを戻すことに。二人はしばらく伊香保温泉に隠遁するが、なんと富岡は飲み屋の若妻おせいに手を出してしまい…というストーリー。

そりゃぁカテゴリは文芸作品なんでしょうけど、高尚な文芸作品と捉えるのは、どうかと思う。終戦直後の“だめんずうお~か~”、正にそんなレベル。
ここまで、昔も今も男女で繰り広げられていることに違いがないことを見せられると、人間はそういう生態の生物なんだ…と断言せざるを得ない。的を得ているという意味では慧眼だが、文学的という意味じゃなく生物学的って意味でね(笑)。

男女の情欲の刹那さと捉えられなくもないが、ちょっとそういう次元ではないな。高峰秀子演じるゆき子は、堕ちるところまで堕ちているもの。義兄に手篭めにされて、逃げた外地でも妻アリの男にはまる。さらにいずれ妻とは別れて…という言葉を間に受けて、それがままならぬとなったら、生きるために売春婦まがいに身をやつす。それでもなぜだか義兄にはつきまとわれる(こりゃ地獄)。
それでも富岡との関係はずるずる続き、妊娠までするが、別の女に寝取られる。そんで、泣きついた先が、自分の人生を狂わせた発端でもある義兄って、もう、なんだかね。
#その義兄が宗教法人を啓いて金持ちになってる展開とか、斜め上。下衆の極み。

男のほうは、間違いなくクズ人間だが、割れ鍋に閉じ蓋とは正にこのこと。富岡がモテモテのように見えるかもしれない。しかし、ゆき子もおせいも、彼と同じ臭いの種族。お互いに依存しているだけだ。終戦間際ということもあり、街という街のいたるところがとにかく小汚くて、油断すると「社会のせいなのかなぁ…」とか「戦争のせいなのかなぁ…」とか、同情してしまいそうな気持ちがもたげてくるけど、「いやいや、こいつらがクズなだけだから!」と正気に戻ること度々(笑)。

『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき』有名なこの一文は、この作品なのだな。花っつっても色々あるなぁ。世の中が貴方たちにつらくあたってるんじゃなくて、貴方たちがつらい生き方に寄っているようにしか見えないのよ(まあ、うまくいかない人生ってのは、往々にしてそういうもんなんだけどね)。

こんなダメ人間たちの所業を眺めていることなんかさぞや苦痛だろう…と思うだろうが、そうでもなかったりする。定期的にスペシャル番組が作られる“警察24時”で、ダメ人間を眺めるのは面白い。ラジオの生活相談みたいなので「アホか…」っていたくなるような内容だって、聞いてる分には面白い。
#本作と同様の経験をしたことがある人は、痛々しくて観ていられないかもしれないけど。
手放しに良作と評価するのはいかがなものかと思うが、レディコミ感覚で観る分には愉しめる作品。
#岡田茉莉子がデヴォン青木に見える。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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