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公開年:1977年
公開国:日本
時 間:151分
監 督:野村芳太郎
出 演:渥美清、萩原健一、小川真由美、花沢徳衛、山崎努、山本陽子、市原悦子、山口仁奈子、中野良子、加藤嘉、井川比佐志、綿引洪、下絛アトム、夏木勲、田中邦衛、稲葉義男、橋本功、大滝秀治、夏純子、藤岡琢也、下絛正巳、山谷初男、浜田寅彦、浜村純、吉岡秀隆 他
関東の空港で航空機誘導員をしている寺田辰弥。ある日、自分の名前が新聞の尋ね人欄に載っており、大阪の弁護士事務所で面談をすることに。生い立ちや背中の火傷痕から尋ね人本人と認められ、そこで母方の祖父であるという井川丑松と面会。しかし、丑松は、その場で突然、苦しみもがき絶命してしまう。辰弥は、父方の親戚筋にあたる森美也子の案内で生れ故郷の八つ墓村に向かうこと。辰弥は美也子に、腹違いの兄・多治見久弥が病床にあり余命幾ばくもなく跡継ぎもいないため、辰弥が多治見家の後継者であることを告げる。しかし、辰弥が帰郷すると殺人事件が発生。村人は、八つ墓村でおこった過去の事件の祟りであるとして騒ぎはじめ…というストーリー。
市川崑ではない金田一作品を。監督は野村芳太郎、『砂の器』の人。また、『男はつらいよ』の渥美清が金田一耕助を演じているってので有名。横溝正史ブームのまっただなか、東宝に対抗して松竹が製作した作品。
#東宝にも松竹にも両方に出演している大滝秀治は、なかなかの強者だ(笑)。
萩原健一の演技がポンコツすぎで、長ゼリフが聞くに堪えない。こりゃダメだ…と諦めかけたところで、無口になってセリフが少なくなるのがおもしろい。
市川崑版と如実に差があって、非常に興味深い。原作が好きな人には結構評判がよかったりするのだが、個人的にはイマイチ好きではない。なかなかの興収だったらしいが、その後、シリーズ化されなかったのは、すごく理解できる。
まず、『砂の器』でもそうだったのだが、野村芳太郎の演出はまわりくどくていけない。なんで、このシーンを長々と廻すのか…と、思う所が多い。例えば、本作でそれが一番顕著なのは、終盤に洞窟の中を歩き回るシーン。だらだらと時間をかけて濡れ場に突入すれば、うまいことミスリードできる思っているのだろうか。ちょっと浅はか。
また、戦後まもなくという金田一シリーズ特有の時代背景を放棄して、舞台を現代(当時)にしている。これがいったいどういう効果を狙ったものなのか。今でも地方に残る因習という部分をクローズアップして、“今、おこっているオカルト話”という方向性を出したかったのかな。そう、本作はオカルト臭を意図的に強めている模様。伝説を利用した殺人という域を越えて、本当に怨念のなせる業という色合いを濃くしている。
なぜか、犯人を変更した『獄門島』よりも原作レイプな感じがするのが、不思議である。
最後、金田一耕助が村人たちに対して、事件の謎解きをするのだが、そこがなんともいけない。延々と渥美清が言葉で説明し続けるのである。市川崑版に馴れているせいもあってか、あまりのビジュアル表現不足に朗読なんじゃねえかと思えるほど。せっかく映画なんだから、がんばれよ…といいたくなる。
なるほど、市川崑版金田一と一番異なるのは“クール”さだな。同年公開の『悪魔の手毬唄』『獄門島』と比較すると、とにかく野暮ったい。こういう諸々の要素が重なって上映時間もとにかく長い。
ちなみに、『八つ墓村』は横溝正史の金田一シリーズで一番多く映像化されている作品。なんといっても、実際の事件“津山三十人殺し(1938年)”がモデルになっている点は大きいかと。この事件は、1982年に韓国人に塗り替えられるまで、個人による大量殺人者数でぶっちぎりのトップ(誇れる話ではない)だったわけだが、この事件を知らなくても、念入りな事件考証が下敷きになっているせいか、むちゃくちゃな大量殺人なのに、どことなくリアリティが漂う。本作の一番の魅力といえるだろう。
ということで、1996年の市川崑版の『八つ墓村』と比較してみようじゃないかと思ったが、近所のレンタル屋には置いていなかった。宅配レンタルで入手してみるか…。
#市川崑ならじいちゃんが死んだところでタイトルかなあ(笑)。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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