忍者ブログ
[1691]  [1690]  [1689]  [1688]  [1687]  [1686]  [1685]  [1684]  [1683]  [1682]  [1681
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

公開年:2013年
公開国:日本
時 間:135分
監 督:李相日
出 演:渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、近藤芳正、國村隼、滝藤賢一、小澤征悦、三浦貴大、佐藤浩市 他
受 賞:【2013年/第37回日本アカデミー賞】撮影賞(笠松則通)、(照明賞)渡邊孝一、新人俳優賞(忽那汐里「つやのよる」に対しても)
コピー:人は、どこまで許されるのか。



明治13年の北海道。かつて幕府軍で、勤皇の志士を多数殺害し“人斬り十兵衛”と呼ばれ恐れられた釜田十兵衛という男がいた。その後、愛する女性と出会い所帯を持った重兵衛は、心を改め過去を捨てた。その妻は3年前に他界し、今は残された2人の子供と慎ましやかに平穏に暮らしていた。しかし、北海道での暮らしは厳しく、日々の食料にも事欠くようになってしまった。そんな中、かつて幕府軍で一緒に戦った馬場金吾が突然現れる。鷲路村の女郎がならず者の開拓民に切りつけられ瀕死となり、その犯人に懸賞金がかけられているという。一緒にその犯人を殺して懸賞金を山分けしようと誘うのだが、もう人は殺めないという妻との約束を守り、申し出を断るのだった。しかし、とてもこの冬を越せるだけの食料がないことを悟った十兵衛は、子供たちを守るために、再び刀を手にするという決断をする…というストーリー。

明治の北海道ほど、わくわくする舞台はないと私は思うのだが、意外と映画作品は多くない。資料が多くなくて逆に自由なお話がかけておもしろいと思うのだが、やはりアイヌ関係でヘタな描写をすると面倒くさいことになるから敬遠されているのかな。

懸賞金をかけた女郎がいる鷲路村は架空の地名だが、冒頭で鷲路村が札幌から80里と語られているので、札幌から320km以上。東京-名古屋間ぐらいの距離なので、かなり道東か道北の方だろうか。十兵衛が住んでいる場所がよくわからないが、「大雪山を回って」という表現があるし、足寄という似たような地名もあるから道東なのかな。
十兵衛が住んでいるのが海に近い場所。そこから大雪山をまわって道東?網走?私、地理は得意じゃないんだけど、大雪山を“廻って北へ上がる”っていう位置関係の表現が、ちょっとピンと来ていない(ロケは阿寒湖周辺だけど、現地にいってもあまりそれはアピールされていない)。案外、十兵衛の家と鷲路村は100km以内なのかもしれない。北海道をドライブすれば想像でいると思うのだが、馬や徒歩で整備されていない道を進むなんて、絶望的だからね。
そんな女郎屋があって政府の役人が独裁してるような村が実在の場所であることが好まれるとは思わないんから、架空の村なのは仕方ないと思うけど、大体この辺だよな…ってくらいのディテールがわかるようにしたほうがよかったと思う。

正直、『許されざる者』のリメイクとはいいところに目をつけたな…と思うし、よく翻案できていると思う。仙台藩が話の中に出てきて妙にリアルな部分があったり、アイヌの風習とかもしっかり取材している模様。日本人とアイヌの婚姻も実際はよくあったことだと思う。それらを踏まえて、犯罪者という設定を政治犯にしており、日本に舞台を変更するならば、シリアスでウエットな方向性に持っていったのは、正解かもしれない。

小池栄子はうまいんだけど、キャラとミスマッチなのが残念。忽那汐里もちょっと小奇麗すぎ。
個人的に、一番気に食わなかったのが、馬場金吾に妻がいないこと。元のネッド・ローガンには妻がいて、その妻の所に戻ること(戻すことが)できずに死んでしまうという切なさがよかったのだが、本作ではただのヘタレで終わっている。
スコフィールド・キッドに相当するのが、アイヌと和人の混血児に代わっているから、十兵衛を誘うのが金吾という設定になっており、それに引っ張られての設定変更だとは思うけど、そのせいで、金吾が離脱する流れも変な感じになっている。非常に残念。

リメイク時に加えられた表現で釈然としないのは、妻の首飾りを持ち歩いている件。道中、金にこまったら使うつもりだったのだろうか。もう、妻との約束は反故にして人殺しに出ているのだから、何かの戒めのためと思えないし。どうせ、子供に戻すのなら、家のどっかに隠しておけばいいのに。私には理解できない行動。

ネタバレだが、ラストのなつめと沢田五郎が結ばれて、十兵衛の子供たちを養うというオチ。これはアリか?私は、汚れながらも行き続ける男の美学みたいなものを元作品で強く感じていたので、死んでチャラみたいな今回のオチは好きじゃない。
適当にハッピーエンド的なパズルをやってるようで、おもしろくなかった。

壮大で畏怖に値するほどの北海道の大自然が満載の良い画なのだが、なにか裏に潜ませようとしているメッセージみたいなものに違和感を覚える作品。
元作品を知らなければ素直に楽しめるのかもしれない。私には元作品の良いところが削がれているようにしか思えなくて…。決して悪い出来映えではないのだが、うじうじ考えないで素直に“西部劇”をやって欲しかったかな。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
リンク
カウンター
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[06/03 離脱ラバ]
[04/28 ETCマンツーマン英会話]
[10/07 絶太]
最新トラックバック
Copyright © 2009-2014 クボタカユキ All rights reserved.
忍者ブログ [PR]