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公開年:2009年
公開国:インド
時 間:170分
監 督:ラージクマール・ヒラニ
出 演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョシ、オミ・ヴァイディア、ボーマン・イラニ 他
ノミネート :【2013年/第37回日本アカデミー賞】外国作品賞






写真家のファルハーンと会社員のラージューは、大学時代親友同士。ある日、同じく同窓だったチャトルから「ランチョーの消息がつかめた」ことを聞き、待ち合わせ場所の母校へ向かう。彼らは、10年前、インド屈指の難関工科大学ICEに入学し、そこで自由奔放な天才青年ランチョーと出会い、ファルハーンとラージューとランチョーの3人はルームメイトだった。いつも一緒にバカ騒ぎしていた3人は、学長から目をつけられていた。しかし、卒業後、なぜかランチョーは消息を絶っていたのだ。落ち合った3人は、ランチョーが暮らしているという町へ向かうのだったが…というストーリー。

インド映画なんで突然踊り出しちゃうのばっかりでしょ?という認識の人が多いだろう(実際、そうだけど)。でも、日本映画は、本作をもってインド映画に完全敗北したと言い切ってよいと私は思う。

2008年に製作された『スラムドッグ$ミリオネア』は、世界の各賞を採り、主演のデヴ・パテルも評価された。インドが舞台でもインド人が主演でも世界では評価されると、ボリウッドは確信しただろう。“異文化のめずらしい作品”ではなく、平等な作品として。そして、『スラムドッグ$ミリオネア』は、こういう画を撮ればよいのだという、リアルなお手本だったと思う。
#まあ、これらは私の勝手な予測でしかないのだが…。

ライティングと編集技術が素晴らしい。過去と現在を交互に綴っているのだが(これは『スラムドッグ$ミリオネア』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』にも通じる)、この編集もうまい。というか、すっかりハリウッドクオリティ。かといってすべてがハリウッド映画に迎合しちゃってるかというとそうではない。コントチックな擬音とか、インド映画のお約束である突然ダンスとかも健在。でも、擬音も最小限で邪魔しない範囲だし、ダンスも登場人物の内証の表現方法として不自然さはない。うまく、インドと欧米の客の求めるものに折り合いをつけたな…という印象。もう昇華といってよいレベル。

インド映画として譲れなかったのは長さか。途中で一旦インターミッションが入る。ただ、このインターミッションの直前に、衝撃の大展開!!って感じ。インドでは映画はTVドラマの代替的な意味もあるから、こういうCMまたぎで客を引き付けるみたいな演出も得意、というか多い。

謎めいた自由人ランチョーの行動によって、周囲は影響を受けて変わっていく基本プロットが親しみやすいし、そのランチョーに秘密があるという設定なのだが、日本人がいかにも書きそうなシナリオに思えるだけに、くやしいというかニクイというか。
あまり説明しないでおくけど、久々に素直に心が揺れ動かされた作品。長い作品だけど、短いスパンでほっこりと感動がやってくる。かといって全編ユルユルなわけでもなく、シビアでちょっとそれはどうなの?と思えるような、身もふたもないエグい場面もある。その虚飾のない素っ裸な演出に好感が持てる。

今年観た作品の中で、間違いなく3本の指に入る作品。超オススメ。
直訳すれば“3バカ”になるが、それを“きっと、うまくいく”として邦題センスも良し。

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公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ルーク・グリーンフィールド
出 演:エリシャ・カスバート、エミール・ハーシュ、ティモシー・オリファント、ジェームズ・レマー、クリス・マークエット、ポール・ダノ、ティモシー・ボトムズ、オリヴィア・ワイルド 他
ノミネート:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(エミール・ハーシュ、エリシャ・カスバート)、ブレイクスルー演技賞[女優](エリシャ・カスバート)


ガり勉男子高校生マシューは勉強以外はまったくパっとしないが、彼の夢はアメリカ大統領。生徒会長の彼は、カンボジアにいるサムヤンという男子をアメリカ留学させるために、費用2万5千ドルの寄付を募るなど、奉仕活動にも熱心。すでにジョージタウン大学に合格しており、今は、奨学生選考のスピーチ作りに注力していた。しかし、こんな地味な学生生活のまま卒業してしまっていいのか悩んでいた。そんなある日、隣家に美しい女の子ダニエルが引っ越してきて、マシューは一目惚れ。彼女は屈託の無い明るさと奔放さでダニエルに接してくるので、マシューへの思いはどんどんヒートアップしていく。しばらくして、マシューの親友が入手したアダルトビデオを観せられ、それにダニエルが出演しているのを発見。彼女は人気ポルノ女優“アテナ”であることを知る。悶々とするマシューは、親友の後押しでダニエルをモーテルに誘うことを決意。しかし、普通の友人として自分を見てくれていたマシューが豹変したことに傷ついたダニエルは、彼を拒絶しそのまま距離を置くことになってしまう。心を入れ替えて、もう一度友達としてやり直そうと彼女の家を訪れたマシューだったが、そこにAVプロデューサーでかつてダニエルと恋人関係にあったケリーという男が現れ…というストーリー。

パッケージ画像を見ると、直球のエロ話のように思えるだろうが、これがそうではない。若いころ楽しんでおけばよかったなぁ…と、おっさんが鬱になること必至の作品なのだが、“楽しむ”とはエロの方向だとは限らない。
確かに前半は、好きになった女性がポルノ女優ですったもんだ…という青春コメディちっくな展開。後半もそのままだったら、かなりつまらなかっただろうが、エロ青春モノのテイストは完全に崩れる。立派なグローイングアップムービーであり、一発逆転のスリル溢れる“してやったり”作品に変貌する。

たいして長い話じゃないのに、エピソードの盛りだくさんな感じがハンパない。特に、終盤のケリーとマシューの攻防と、それに絡んで“ポルノ王”ヒューゴをどうやって使うのかという展開が秀逸だと思う。ケリーとヒューゴの因縁設定もうまく活用できているし、奨学金の選考会の失敗や、サムヤンの留学基金の詐取、プロムの舞台をどう活用するかという要素をすべてうまく絡めている。
終盤、肝心のダニエルのことを忘れちゃったような流れになるが、撮影でほかの女優と関係を持っちゃうの??というハラハラ展開を差し込んで、流れを呼び戻すなど、本当にこのシナリオは巧みだと思う。プロットだけ眺めると、“一発逆転”の内容はかなり強引なんだけど、それを感じさせない。

本作は、日本未公開なのだが、決しておもしろくないからではないと思う。単純なエロコメディだったら宣伝しやすかっただろうけど、逆にそうじゃないから売りにくくなってしまったのだろう。本当に、イメージだけで侮ってはいけない作品。是非ともお薦めしたい作品だ。

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公開年:1995年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:エイミー・ヘッカリング
出 演:アリシア・シルヴァーストーン、ステイシー・ダッシュ、ブリタニー・マーフィ、ポール・ラッド、ダン・ヘダヤ、ジェレミー・シスト、ウォーレス・ショーン、トゥインク・カプラン、ジュリー・ブラウン、カール・ゴットリーブ 他
受 賞:【1995年/第30回全米批評家協会賞】脚本賞(エイミー・ヘッカリング)
【1996年/第5回MTVムービー・アワード】女優賞(アリシア・シルヴァーストーン)、魅惑的な女優賞(アリシア・シルヴァーストーン)


弁護士の父と二人暮らしのシェールは、ファッション、エステ、デート、パーティとリッチな生活を満喫。パパに買ってもらったジープを無免許運転するなど、ズレた感覚の持ち主だけど、音楽も車も食事も付き合う相手も、本当に自分にふさわしいかを吟味することか大事だと考える彼女は、根は意外と真面目だ。そんな彼女の趣味は、身の回りにいるパッとしない人を変身させること。中年独身のホール先生とガイスト先生をくっつけたり、ダサい転校生タイにおしゃれに仕立てて、クラスのリーダー格エルトンとくっつけようとしたり(でも、エルトンがシェールが好きなことが判明し失敗)。一方、そんなシェールを密かに愛しているのが、元義兄のジョシュ。父と再婚した女性の連れ子で、弁護士を目指している彼は、離婚後も度々遊びに来ている。彼の思いにまったく気付かないシェールは、転校生のクリスチャンに一目ぼれしてしまう。ジョシュは気が気ではないが…というストーリー。

はっきりいって、あまり内容はない。

金持ちで世間知らずで浮世離れした主人公。おまけに人の話を聞かないし、思い込みは強いし、施しのつもりでダサい人たちに手を差し伸べるが、見下し感が満載で、はっきりいって感じが悪い。欲求には忠実で、成績を上げるために教師と取引したり、無免許運転したり、違法・脱法行為も散見される。そんな彼女に共感できるわけもなく、むしろ痛い目にあえばいいのに…という感情が沸いてくるほど。
アリシア・シルヴァーストーンという女優さんのことがかわいいと感じられれば、もっと面白く観ることができたのかもしれないが、個人的にピンとこなかった。

ところが、中盤を過ぎると、なぜか応援する感情がチョロっと沸きはじめるから不思議。何となく、“もう、しょうがねぇバカ女だなぁ…"って感じで。
ズレてはいるけれど、実はクソまじめ。一般人があたりまえに備えている頭のネジのどこかがハズレているだけで、物事の本質を見極めようとする姿勢で行動は貫かれている。だから、そんな生活をしているからさぞや性に奔放かと思いきや、まったくクリーン。単なる“無能な”お嬢様ではなかった。
そんな彼女が、良かれとと思ってやったこと、手をさしのべたことが、すべて裏目の結果となってしまう。何もかもうまくいかなくて、自分が存在する世界というものを見つめなおすのだが、果たして何を見つけるのか…

まとめあげるのは意外に難しい構成だと思うが、しっかりまとまっている脚本。その点は評価したい。苦悩の果てに見つけたのが、実は身近な人こそ自分に最適な相手だと気付く…というのが、ちょっとくだらない気がするけれど、まあ大目に見たい(もうちょっと高尚な別の視点が欲しかったところだ)。

公開から20年近く経過しているが、一周回って、逆に新しく感じた作品。
#CLUELESSの意味がピンとくる日本人は多くないので、今からでもうまい邦題をつけたほうがいいのかもしれない。

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公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:ジョン・ヒューズ
出 演:エミリオ・エステヴェス、モリー・リングウォルド、アリー・シーディ、ジャド・ネルソン、アンソニー・マイケル・ホール、ポール・グリーソン、ジョン・カペロス 他






休日である土曜日に登校されられた5人の高校生。問題行動ばかりで学校中の嫌われ者ジョン、レスリングの選手アンドリュー、美人で人気者のクレア、ガリ勉のブライアン、ネクラでおかしな行動をするアリソン。ヴァーノン先生は彼らを図書室に集め、“自分は何者か?”というテーマで、夕方の4時までに作文を書けと命じる。彼らはそれぞれ問題を起こして懲罰を受けているのだ。5人はそんな作文は無意味だと抵抗する。特にジョンは、いたずらをしたり他の生徒にちょっかいを出してばかり。そんなジョンをアンドリューとクレアは嫌悪するのだった。そのまま昼食の時間になり、各自持ってきた弁当を食べる中、ジョンは自分のロッカーに隠してあるマリファナをみんなで吸わないかと誘う。4人は誘いにのってロッカーまでいくのだったが、教室に戻る途中で先に見つかりそうになり…というストーリー。

休日の学校という閉じた空間でのお話なのだが、“自分探しの旅”になってるのが評価できる。普段は絶対に関わることのない、まったくタイプの違う5人。はじめは反目か無視か…という距離感。互いに興味もないし、上っ面だけでこの時間を切り抜ければ、それでいいと考えている。

しかし、そんな距離感をジョンが壊していく。もちろん、いつもように嫌われていくジョン。教師からも明確にターゲットにされ、一人だけ浮きまくる。しかし、マリファナを取りにいった後から、変化がおこる。教室に戻るために、ジョンが囮になって他の4人を助けたのだ。

それに恩を感じて仲良くなりました…なんてことはないが、それからは、お互いを探り始める。しかし、若さ故、その探り合いは、剥き身の短刀で、グサグサと相手の心に切りつけていく感じ。怒り、涙して、全然無関係だともっていたあいつが、こんな悩みを抱えていたんだな…と。
#マリファナを吸って、皆の心が開放されました…っていうのは、ちょっと問題があるかもしれないけど。

一方、先生も、子供時代を忘れてしまった今の状態を、用務員さんに指摘されて省みることに。もうちょっとこっちのやりとりを膨らませてほしかったなと思うくらい、身につまされる。

甘くて、ほろ苦い、胸がキュントなるような本当に良質な青春映画。若いときに出会っていたら、良い影響を受けただろうな…と思う。こういう、一場面を切り取ったような内容を、作品にまとめあげるのって、すごい能力だと思う。その後、『フェリスはある朝突然に』『大災難P.T.A.』を脚本・監督し、『ホーム・アローン』『34丁目の奇跡』を脚本・製作するジョン・ヒューズ。さすが。
#っていうほど、会心の作品ってわけじゃないけどね。

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公開年:1983年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:フランシス・フォード・コッポラ
出 演:マット・ディロン、ミッキー・ローク、ダイアン・レイン、デニス・ホッパー、ダイアナ・スカーウィッド、ヴィンセント・スパーノ、ニコラス・ケイジ、クリストファー・ペン、ラリー・フィッシュバーン、トム・ウェイツ、ソフィア・コッポラ、デブラ・フューアー、ヘザー・ランゲンカンプ 他
ノミネート:【1983年/第41回ゴールデン・グローブ】音楽賞(スチュワート・コープランド)



高校生のラスティ・ジェームズは、学校をさぼり、ビリヤード場にたむろする不良学生。彼の兄は“モーターサイクルボーイ”と呼ばれる不良グループの伝説的なリーダで、2ヶ月前にふらりと街を去ったままだった。そんな彼に憧れを抱いていたラスティは、兄の消息が気がかりでならなかった。そんな中、敵対するギャング組織のリーダから決闘の申し入れがあり、まよわず受諾。当日、ガールフレンドのパティの家でイチャイチャしていたら、集合時間が過ぎてしまうという失態を犯すものの、なんとか駆けつけ、仲間のスティーヴやスモーキー、BJらとと合流。激しい果し合いが繰り広げられる。ラスティたちの圧倒的な攻勢で、決着が付こうかというその時、大型バイクに乗った兄が登場。兄に目がいった瞬間、ビフはラスティの腹部をガラス片で深く切りつけ、大量に出血してしまう。兄は、逃げ出すビスめがけてバイクを突っ込ませ、彼を吹っ飛ばす。大出血しながらも兄の帰還を喜ぶラスティだったのだが…というストーリー。

言われないと、コッポラの作品だとわからない作品だと思う。ほぼ全編に渡って白黒だが、タイトルのランブルフィッシュ(=ベタ、闘魚)がパートカラーになっている。ちょっとネタバレだけどラスト間際に、ガラスに映ったラスティもカラーになっている。

しばし失踪していたミッキー・ローク演じる“モーターサイクルボーイ”が色覚異常であることが語られる。だから本作は白黒なのか?ということは本作は兄の目線なのだろうか?でも、兄が観ていなかったり存在しないシーンも白黒。兄が死んでも白黒のままだったから、兄弟共に色覚異常か?とか考えちゃう。
帰ってきた兄は、ペットショップのランブルフィッシュにご執心。そんな兄の様子が変わってしまったことに弟ラスティは不安を覚える。さらに、死んだと思っていたと母に、カルフォルニアで会ったといいはじめる。兄に変化はそのせいか?大体にして自分が母親の面影をほとんど知らないので、疎外感は増す一方。

地獄の黙示録の青春版だとコッポラは言ったらしいが、意味不明。かつて兄が組織のリーダーとして君臨したことや、ラスティがそれを目指していることなどが、地獄の黙示録のカーツ大佐のそれと重なるということだろうか。ん~、正直ピンとこない。
やはりカラーで表現されている魚には意味があるんだろう。こんな狭いところに入れられているから、闘争心がむき出しになるんじゃないか、川に放せばそんな性質は消えるんじゃないか(実際、そんなことはないのだが)、と兄は言う。事実はどうであれ、あの魚は“開放”の象徴。では、何から開放できていないかというと、この街の人々の記憶や先入観、家族とのしがらみ。特にもう捨ててしまいたいのが、自分に憧れている人間がいて、道を踏み外そうと
しているという事実。そして結局自分もこの街に戻ってきてしまうという弱さ。

一瞬、ガラスに映ったラスティがカラーになったのは、兄の行動を見て、その思いに気付き、開放しかけたからだと思う。つまり、“モーターサイクルボーイ”が捨てたい、捨てるべきと考えるものすべてが、白黒なのではないかな…と。ということは、色覚異常の設定はミスリードなのかな…。あまり成功していないね。
ただ、色がない分、音で伝えている感じ。音楽はなかなかよろしい。

正直、コッポラの作品だから、こうやって深読みしようという気になるだけで、そうでなければ、なんか、ウジウジして割り切れねぇ作品だ!って、バッサリ捨てていると思う。ちなみに興収は大赤字だった模様。さもありなん。

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image0033.png公開年:2000年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:キャメロン・クロウ
出 演: ビリー・クラダップ、フランシス・マクドーマンド、ケイト・ハドソン、パトリック・フュジット、アンナ・パキン、ノア・テイラー、フィリップ・シーモア・ホフマン、ズーイー・デシャネル、ジェイソン・リー他
受 賞:【2000年/第73回アカデミー賞】脚本賞(キャメロン・クロウ)
 【2000年/第26回LA批評家協会賞】助演女優賞(フランシス・マクドーマンド)
 【2000年/第58回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、助演女優賞(ケイト・ハドソン、フランシス・マクドーマンド)
 【2000年/第54回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(キャメロン・クロウ)、音響賞
 【2000年/第6回放送映画批評家協会賞】助演女優賞(フランシス・マクドーマンド※「ワンダー・ボーイズ」の演技に対しても)、オリジナル脚本賞(キャメロン・クロウ)、ブレイクスルー賞(ケイト・ハドソン)
コピー:君がいるから、すべてがキラキラまぶしい15歳。

1973年。大学教授の母と暮らす15歳のウィリアムは、姉アニタが家を出て行くときに置いていったレコードでロック音楽の魅力に取り憑かれてしまう。学校新聞にロック記事を書くほど熱中し、弁護士にしようという母の思いとは裏腹に、ロック・ライターになりたいと考え始める。ある日、クリーム誌の編集長レスター・バングスに接触し自分の思いを伝え、記事を書かせてもらえることに。さらに、その記事を見た“ローリング・ストーン”誌からオファーが。ウィリアムが愛する人気急上昇中のバンド・スティルウォーターのツアーの密着記事を依頼される。反対する母をなんとか口説き落とし、学校を休んでツアーに同行したウィリアムは、グルーピー少女のペニー・レインと出会い恋心を抱く。しかし、彼女はバンドのギタリスト・ラッセル付き合っており…というストーリー。

キャメロン・クロウ監督が自身の体験を基に作ったとのことだが、どこが現実でどこが虚構なのかはよくわからない。

ジャケット画像を見ると、ケイト・ハドソンのアイドル映画みたいなのとか、性的な何かなのかと想像してしまうけど、実際は少年が夢に向かって一歩踏み出すグローイングアップムービーであり、ロードムービー。そして、バンドの悲喜こもごもを楽しむ映画だ。邦題は“あの頃ペニー・レインと”になっているけれど、ペニー・レインを前面に出すようなお話とは思えない。日本の配給会社が女性客を増やしたかったんだと思う。
#ちなみに、原題の“ALMOST FAMOUS”はバンドのツアー名ね。

ウィリアムと周囲の間には様々なギャップがある。飛び級させられていることで、学校生活では他の生徒と。母親の期待と自分の望み。周囲にはいなかったような女性との付き合い方。取材対象の大人たちの子汚い世界。これらギャップは、常にギシギシと音を立てている感じ。
音楽の世界、特に1970年代のロック界なんて、そんな綺麗なもんじゃない。少年の目を通してみれば、それはそれはうす汚れている。酒・女・クスリ。でも、ギャップと対峙することに慣れっこになっているのか、大人の世界に飛び込んでも臆すことが無い少年というのが彼の特徴。
でも、思い切りがいいといっても、所詮は15歳。その無理をしている彼に、共感できれば楽しめると思う。

そして、ケイト・ハドソン演じるペニー・レインを美しいと思うか否かが、ポイントになると思う。他のグルーピーとは違うと語っているけれど、何がグルーピーと違うのか、私にはさっぱりわからなかったので、美しいと思えなかった。

ウィリアムが愛を傾けるものはペニー・レインとバンドの二つである。バンドと帯同することで、愛は深まるが裏の真の姿は書きにくくなっていく。ペニー・レインを愛する一方、ラッセルを愛するペニー・レインの思いも見守ろう(というか見守るしかない)と思う。このアンビバレントな感情を彼は乗り越えることができるのか否か(ほら、全然ペニー・レインのお話じゃないでしょ)。とにかく、ウィリアムはあらゆる事柄の間で揺れに揺れ続けるのだ。

私は、ラッセル役のビリー・クラダップの演技が、なかなかおもしろかったと思う。ウィリアムの母親の電話に出てガツンとやられちゃった時の表情とか、飛行機内の暴露合戦の後の表情とかね。

実は、男性向けの良作だと思う。

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image1965.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:バー・スティアーズ
出 演:ザック・エフロン、レスリー・マン、トーマス・レノン、ミシェル・トラクテンバーグ、スターリング・ナイト、メロラ・ハーディン、マシュー・ペリー、タイラー・スティールマン、アリソン・ミラー、ハンター・パリッシュ、ブライアン・ドイル=マーレイ、ジム・ガフィガン、ローナ・スコット、ニコール・サリヴァン、マーガレット・チョー、ラリー・ポインデクスター、カテリーナ・グレアム、メリッサ・オードウェイ、アダム・グレゴリー、ジョジー・ローレン、トミー・デューイ、ティヤ・シルカー 他
ノミネート:【2010年/第19回MTVムービー・アワード】男優賞(ザック・エフロン)
コピー:37歳から、ある日突然17歳に!
 人生2度目のハイスクール・ライフが、彼にくれたものとは──?

1989年、17歳の高校生マイク・オドネルは、将来を嘱望されあバスケットボールのスター選手。この試合でスカウトの御眼鏡に適えば奨学金で大学進学が決定する。そんな運命の試合開始前、恋人のスカーレットが現れ、マイクに妊娠していることを告げる。マイクの将来を考えて、去ろうとしているスカーレットを見て、彼は試合を放棄して彼女の元へ。彼女と人生を歩むことを選択する。それから20年、妻とは不仲になり家から追い出され、子供からも相手にされない日々。しばらく親友ネッドの家に居候していたが、とうとう離婚訴訟までおこされてしまう。おまけに、期待していた昇進も見送りになったことで上司に反抗しクビになってしまう。失意の中、車を走らせていると、老人が老人が橋の欄干から飛び込むところを目撃。助けようと橋の下を覗くと、不思議な渦の中に引き込まれてしまう。命からがらネッドの家に戻ると、マイクは自分が17歳の体に戻っていることに気づき…というストーリー。

所詮、アイドル映画だろうとタカをくくっていたらどうしてどうして。侮るなかれ、なかなか見ごたえのある作品だった。

在学中に妊娠が発覚して“愛に生きる”ことを選択したマイクだったが、今では散々な生活。別に散々な目にあったとそういうことではなく、やっぱりあの妊娠がなければ、自分はスター選手だった“はず”なのに…という思いをずっと引きずったまま20年を生きてきて、うまくいかなければ全部そのせい…といわんばかりの態度を家族に取り続けていたというのだがら、うまくいくはずがない。そうこうしているうちに離婚訴訟までおこされる。自分は妻も子供愛しているはずなのに…、そう確信しているのだが、いざ向き合うとうまくいかない。なんとか挽回しようとしても、どんどんドツボにはまっていく。
いやぁ、人間、初老の声を聞こうかという頃になると、多かれ少なかれ同じような経験はあるだろう。ああ、あのときこうしていれば、あれを選択していれば…、でも実際はそんなタラレバに何一つ意味はない。だって時間は戻らないんだもん。なかなか身につまされる展開だな…とストーリーに魅入りはじめたところで、スポ~んと“漫画”かよ!ってノリで若返ってしまう。いや、そのまま人生の悲哀を感じさせてくれるストーリーのままでもおもしろそうだったのに…ってくらい、冒頭の入り方はいい感じだった。

次は若い姿で転校生として学校に潜りこむ。これで、娘と息子の置かれたヒドい状況が判明、そして妻の本音を聞くことができてしまう。どちらかというと、娘と息子のヘルプにまわるシーンがすごく面白くて、この展開でもまた魅入ってしまう。これ以上は説明しない。是非観てほしい。

サイドストーリーの愉しさも秀逸。エルフ語って~~~(笑)。
#こういう映画LOVEな演出は大好きだ。

(ネタバレ)
ザック・エフロンが主演ということで、ターゲット層がティーンだったせだと思うが、元サヤに収まるオチになる。高校在学中に妊娠して結婚した夫婦が、結局うまくいきませんでした…というのを、若い世代に見せたくなかったのかもしれない。でも、それは作品の足枷になったと思う。私は、夫婦がそれぞれの道を歩むことを“スッキリ”納得して選択し、子供たちも自分で歩くことができるようになる…という内容のほうがよかったと思う。もしその展開だったら、人生を考えさせる傑作になったと思う。難点はそれだけ。

 

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image2023.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:ニコラス・ストーラー
出 演:ジョナ・ヒル、ラッセル・ブランド、エリザベス・モス、ローズ・バーン、コルム・ミーニイ、ショーン・コムズ、アジズ・アンサリ、カリ・ホーク、ニック・クロール、エリー・ケンパー、カール・テオバルド、カーラ・ギャロ、T・J・ミラー、クリステン・シャール、クリステン・ベル 他
ノミネート:【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
 【2011年/第20回MTVムービー・アワード】コメディ演技賞(ラッセル・ブランド)


レコード会社のアシスタントとして勤務するアーロンは、今はすっかり落ちぶれているが、かつては“ロックの神様"と呼ばれた伝説的スター、アルダス・スノーの復活ライブ企画を思いつく。近年の業績悪化を懸念する社長は、その企画にGOサインを出したものの、イギリスにいるアルダスを72時間以内にロサンゼルスに呼び寄せて、かつて彼が伝説のライブを行ったグリークシアターで、復活ライブをさせるようアルーロンに命じる。アーロンは即ロンドンに向かったが、肝心のアルダスは、最新シングルをけなされた上に、恋人ジャッキーと別れることになってしまい、酒とドラッグに溺れパーティー三昧。おまけに別れた後のジャッキーはソロ活動で大ヒットを連発し、アルダスは嫉妬で自暴自棄になっていた。そんな彼の破天荒な行動に振り回されながらも、なんとか、ロス行きの飛行に乗せようとするアーロンなのだが…というストーリー。

先に『寝取られ男のラブ♂バカンス』とかいう、いかにもお気楽なタイトルの作品があって、それのスピンオフ作品らしい。そっちの脇役で本作のアルダス・スノーが出ている模様。残念ながらそっちは観ていない(というかスピンオフであることを知らずに借りた)。もしかすると、そっちを先に観ておけばより楽しめたのかもしれない。

昨日の『ベルベット・ゴールドマイン』とは、音楽業界繋がりというだけでなく、一時代を築いたイギリスのミュージシャンが落ちぶれた後にアメリカに行くという内容や、主役ミュージシャンの性的倒錯とか、転換ポイントで“20th Century Boy”が使われたりとか、最後に歌われる“毛皮”の歌とか、微妙に意識している気がする(知っててこの2本を借りたわけではなく偶然なのだが…)。

しかし、振り返ってみると、内容は何も無い(笑い)。コメディなんてそんなもんでいいのだが、それにしても何も残らない。アルダス・スノーというキャラクターのインパクトと気持ち悪さだけが残る。いっそ、この役者はアルダス・スノーって名前で活動すればいいのに…と思うくらい、マッチしていると思う。
そんなクレイジーなミュージシャンに振り回される、まじめな太っちょ兄ちゃんのお話で、これもありがち。まあ、クレイジーていったって、ドラッグにセックスとありきたりで、太っちょ兄ちゃんアーロンも、何だかんだで、ドラッグにもセックスにも巻き込まれちゃう。おわかりのように下品ではちゃめちゃなノリをひたすら続けているだけである。

まあ、それでも、ただただ下品で頭を一切使うことのないコメディ作品というのは、世の中には必要である。し、か、し、だ。終盤の3Pのくだりは必要だったろうか。そこまで、それなりに微笑ましく観ていたのだが、これで途端に気持ち悪くなってしまった。日本未公開なのはこのせいなのでは?と思うほど。
そのせいで、アルダスが愛する息子とのくだりも、いまいち生きてこなかったと思うし、最後のライブに至るまでの流れも、盛り上がりを欠いたと思う。

ちょっと、“蛇足”が鼻に付く、及第点に一歩及ばないコメディ。
#マルフォイ…………

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image2011.png公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:テリー・ツワイゴフ
出 演:ゾーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン、スティーヴ・ブシェミ、ブラッド・レンフロー、イリアナ・ダグラス、ボブ・バラバン、テリー・ガー、ステイシー・トラヴィス、チャールズ・C・スティーヴンソン・Jr、トム・マッゴーワン、デイヴ・シェリダン、T・J・サイン、パット・ヒーリー 他
受 賞:【2001年/第36回全米批評家協会賞】助演男優賞(スティーヴ・ブシェミ)
【2001年/第68回NY批評家協会賞】助演男優賞(スティーヴ・ブシェミ)
【2001年/第17回インディペンデント・スピリット賞】助演男優賞(スティーヴ・ブシェミ)、新人脚本賞(ダニエル・クロウズ、テリー・ツワイゴフ)
コピー:ダメに生きる

ファッションと絵を描くことが好きなイーニドと幼馴染のレベッカは、うんざりな高校生活から卒業したものの特に進路も決めず、周囲への不満をぶつけながらフラフラと思いつきで暮らす毎日。そんなある日、新聞の出会い系広告欄に載っていた中年男シーモアをからかおうと、電話でダイナーに呼び出し、相手とひたすら待つ惨めな様子を眺める。諦めて店を出るシーモアを尾行して、家を突き止めるのだが、イーニドはなぜかそんな中年男は気になってしまう。後日、家の近くでブルース・レコードのガレージセールを出すシーモアと接触し、それをきっかけに二人は親しくなるのだったが…というストーリー。

イーニドとレベッカは、結構どこにでもいそうな生徒。明確な進路を決定せずにモラトリアムな存在でいることに価値があると感じている。でもそんな時は長く続きはしない。そのまま最後までイーニドとレベッカの物語で展開するのかと思いきや、途中からスカーレット・ヨハンソン演じるレベッカはすっかり脇役になり、イーニドのカウンタバランスとしての存在になっていく。
レベッカはお先に自立しはじめるが、イーニドは何かに寄り添っていかなければ生きていけない存在のまま。そして、ストーリーはイーニドの内面に焦点が当たっていく。

原作はアメリカのコミックらしい。なんで“ゴースト”ワールドなのか。彼女らに目に映る周囲の人たちがゴーストに見えているのか、彼女らの周囲を見下した態度や立ち位置がゴーストだといっているのかはよくわからないが、こういうサブカル的な文化があるんだね。大きな盛り上がりはないけど、愉しい作品だった。中二病、中二病。

途中で父親に「何で泣いてる?」と聞かれ「ホルモンバランスが崩れただけ」という台詞。実はこの台詞がすべて。彼女は、自分の思うままに振舞っていると思っているのだが、実は精神と肉体がホルモンの影響を受けて暴れているだけなのに、それを自分の個性や選択の結果だと追認しているだけにすぎない。若気の至りとはそういうものだし、その本能の暴れ馬こそ青春の原動力。ちょっと普通に子とは違う方向に流れているだけでね。
最期のシーンは、とうとう行き詰まってしまい自分を変える為に去った…と捉えられなくもないが、世の中には抗うばかりでなく社会や自然に流れる波に乗ったほうがいい時がある…ということを悟ったという場面なんだと、私は思う。

いつも、不気味な変人役ばかりのスティーヴ・ブシェミが、けっこう常人の役で、めずらしいかも。そして、スカーレット・ヨハンソンは、『ロスト・イン・トランスレーション』に出演する二年前。すごくスタイルも顔立ちもいいんだけど、なぜか普通っぽさを纏っているのが魅力的。この人、あんまり変わらないね。

 

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image1571.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:109分
監 督:古厩智之
出 演:成海璃子、北乃きい、石黒英雄、荒井萌、山下リオ、高木古都、賀来賢人、波瑠、古村比呂、堀部圭亮、小木茂光、板尾創路 他
コピー:まっすぐって、ぶつかる。




父の道場で、幼少から剣道修行を積んできた磯山香織。ずっと勝つことにこだわり続け負け知らずだった彼女だったが、中学のとある大会で無名選手に敗戦を喫してしまう。どうしてもそのことが忘れられず、自分を負かした相手を追って東松学園女子高等部に入学する。その因縁の相手・早苗を発見したが、彼女は勝ち負けに執着せず単に剣道が好きなだけの女の子だった。彼女を打倒することだけを考え続けていた香織にとって、その気概の無さは許せるものではなく、また、そんな相手に見込まれしまった早苗もただただ困惑するばかりで…というストーリー。

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『うた魂♪』等々、高校の部活動を舞台にした日本作品は数あれど、良いか悪いかは別として、コメディチックで浮ついた作品ばかり。本作は、こんなアイドル二枚看板のキャスティングながら、そんな浮つきは一切皆無。気持ちがいいほど直球の青春ストーリー。なぜか全然評価されてないけど、ものすごくよくデキた作品だと思う。根本的に原作のデキがいいんだろう(読んだこと無いけど)。香織と早苗のそれぞれのキャラのバックボーンや人格形成過程に無理がなく、すっと腑に落ちるので、どちらにも共感できるのが良い。

さすがに『山形スクリーム』の頃ほど健康優良児ではないが、とてもスレンダーとは言い難い成海璃子。しかし、それがバリバリの剣道少女として的確な体格で、ナイスキャスト。元々おばさんくさい顔立ちな上に、さすがに16歳は無理がある北乃きいだが、あっけらかんとした演技で違和感を払拭。本作に限っては演技力の賜物と評価していいだろう。二人とも、相当、剣道の稽古をした様子が見えるし、面ごしでもしっかり表情が判別できるのも良し。

戦い続けることの意味は?勝ちにこだわり続ける意味は?というテーマは、まるでサイヤ人と地球人の問答みたいだけど、しっかり哲学していると思う。「世界に一つだけの花」の歌詞に感動しているような、ポンコツ日本人への立派なアンチテーゼだ。ナンバーワンなんか目指さなくていいって、始めっから平均狙いしていいわけがなかろう。それこそ一流をめざしてゴツゴツぶつかった先に“納得”があれば、それこそが答えだ。オンリーワンですらない答えだって山ほどあるだろう。だけど、何もしなくても“元々特別なオンリーワン”なんてことは絶対に有り得ない。個人的には、あのクソみたいな歌詞を、ズバっと袈裟懸けで切ってくれたようで、非常に気持ちが良かった。

正直、女の子のスポ根モノで鳥肌を感じるシーンがあるとは予想外。こんなに「あ゛~~青春だぁ~~(涙)」って感じた作品、最近なかったよ。不覚にも、途中でウルっときてしまったもの。

これはアイドル映画じゃないから。騙されたと思って観て欲しい。強くお薦め。
#でも、男目線での女の子スポ根だからこんな清々しい仕上がりなのかも。もしかして意外とおっさん向け作品か?




負けるな日本

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image1629.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:112分
監 督:ドリュー・バリモア
出 演:エレン・ペイジ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、クリステン・ウィグ、ドリュー・バリモア、ジュリエット・ルイス、ジミー・ファロン、ダニエル・スターン、アンドリュー・ウィルソン、イヴ ローザ・スパークス、アリア・ショウカット、ゾーイ・ベル、ランドン・ピッグ、アリ・グレイノール、ユーレイラ・シール、カルロ・アルバン 他
コピー:転んだ分だけ、強くなる。
彼女はドレスを脱いで、傷だらけのスケート靴に履き替えた。

テキサスの小さな田舎町。17歳の女子高生ブリスは、娘を美人コンテストで優勝させようと必至な母親にうんざりしつつも、小さな抵抗こそすれ言うことを聞いている。そんなある日、比較的都会のオースティンに出かけた彼女は、そこでローラーゲームリーグの存在を知り、そのワイルドさにすっかり魅了されてしまう。そして、家族には嘘をつき、さらに年齢を偽ってチームのトライアウトを受験。意外にも、初心者とは思えないポテンシャルを発揮して合格してしまう。年上の個性的な仲間にもまれながら練習を重ね、チームに無くてはならない存在になっていくのだが…というストーリー。

ドリュー・バリモアは、『チャーリーズ・エンジェル』『ドニー・ダーコ』等々、これまでも製作や製作総指揮として参加した作品は数多くあり、元々作り手側えの意欲は高かった人。この度、やっと初監督ということだけれど、結果から言えば、満を持しての登板は大成功。スポーツムービー、グローイングアップムービー、ファミリードラマ、これらの要素すべてがうまく噛みあった青春ドラマに仕上がっている。

しかし、もう一声!という部分はある。ローラーゲームは日本でも大昔に流行ったらしいが、そのスポーツとしての面白さはイマイチわからない。つまりルールがよくわからないのだが、本編の中でも説明はあったものの、それでもルールがピンとこなかった。アメリカではそれこそ、ケーブルテレビなんかで細々とやってたりするので、この程度の説明をしておけば充分なのかもしれないが、私には不足である。
#先日の『しあわせの隠れ場所』よりも決定的に劣るポイントである。

新人監督の気概なのかもしれないが、クライマックスの展開が、お約束のスポーツ物ならばこうするだろうな…というところをあえてはずしてきている。そのせいか、決勝戦シーンの盛り上りが欠けてしまったように見える。ここはもっとベタベタでもよかったかも…と思うが、そうすると、まあまあの作品として埋没した可能性も否めなくて、判断はしかねる。

エレン・ペイジのそんなにかわいくないところが、本作の内容にぴったりだし、ジュリエット・ルイスの悪役は笑けてくるほどハマリ役。どのだれよりも、ドリュー・バリモア本人が一番かわいく撮れているというのも、女のエゴってなぁ…って感じでおもしろい。これまで、アメリカ人がドリュー・バリモアがかわいいっていっているのを聞いて、常々何だそりゃ?と思っていたのだが、ちょっとだけ理解できた。

女子学生からおっさんまで、広い層がおもしろいと感じられる作品だろう。肌がピリピリくるような盛り上がりが随所にあって、娯楽ムービーとしては一級品。受賞歴なんか無くたって、手放しで強くお薦めできる作品。愉しかった。まさか、ドリュー・バリモア監督の次回作を期待することになるとは、思いもよらなかった。

#アメリカのコンテスト馬鹿っぷりは、海外ニュース等で聞き及んでいるが、あまりにアホらしくて正直ピンとこないほど。
 

 

負けるな日本

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image1553.png公開年:1973年 
公開国:アメリカ
時 間:112分
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、ポール・ル・マット、チャーリー・マーティン・スミス、キャンディ・クラーク、シンディ・ウィリアムズ、ウルフマン・ジャック、ボー・ホプキンス、ハリソン・フォード、ケイ・レンツ、マッケンジー・フィリップス、キャスリーン・クインラン、スザンヌ・ソマーズ 他
受 賞:【1973年/第8回全米批評家協会賞】脚本賞(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)
【1973年/第39回NY批評家協会賞】脚本賞(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)
【1973年/第31回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、有望若手男優賞(ポール・ル・マット)
【1995年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー:俺たちの青春がここにある!

1962年のカリフォルニアの田舎町。ハイスクールを卒業したスティーヴとカートは、東部の大学に入学するため明日にも町を旅立たねばならない。最後の一夜を愉しく過ごすために、地元に残る友人のテリーとビッグ・ジョンを誘って町に繰り出すのだったが…というストーリー。

古きよきアメリカを60'sにのせて…ってことで評価されているのかもしれないが、私はそういうノスタルジーには興味がない。その時代に生きていなかったのはもちろん、さほど魅力的な時代だとも思えないもので。
むしろ、そういう時代設定は度外視した根本のストーリー、つまり、新しいステップに進まなくてはいけない人生の分水嶺みたいな“一晩の出来事”を淡々と綴っていくというあたりが、まるで明治文学のような感じで、非常に高尚な香りを感じる。そういう意味で非常に素敵な作品だと思うのである。

本作に登場する若者は、社会に流されているように見えて、案外しっかりと自分で考えようとしていて、その折り合いをどうつけようかと苦悩している。でも、昨今の学生は、自分ですべてを決めているつもりになって、実は流されているという、周りの見えていなさ加減というか、抗うべき部分を感知するアンテナが低いというか、両時代の若者の差は大きいかな…と感じてしまう。今の学生たちに、ウルフマンが主人公に送った言葉は響くのだろうか。

私が学生の時に、本作を観ていたら、ウルフマンの言葉はどう響いただろうか。もしかすると、今とは違う人生だったかもしれない。そんな気がする一本なので、未見の人にはお薦めしたい。これがジョージ・ルーカスの原点だ…とか、そういう観点は特に不要である。

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image0647.png公開年:1986年 
公開国:アメリカ
時 間:88分  
監 督:ロブ・ライナー
出 演:ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランド、ジョン・キューザック、リチャード・ドレイファス、フランシス・リー・マッケイン 他
受 賞:【1986年/第61回アカデミー賞】脚色賞(レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エヴァンス)
【1986年/第44回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、監督賞(ロブ・ライナー)
【1986年/第2回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ロブ・ライナー)、脚本賞(ブルース・A・エヴァンス、ロブ・ライナー)

ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人は秘密小屋の中に集まっては、喫煙したりカードをしたり、いつも一緒に遊んでいた。ある日、行方不明になっている少年が、30キロ先の森の奥で列車にはねられ、死体が野ざらしになっているという場所があるという事を兄から盗み聞きしたバーンは、ゴーディたちにそれを話す。死体を見つけて有名になろうとした4人は、死体探しの旅に出かけるのだが…というストーリー。

またもや、“いまさらながら、この名作観てませんけど、何か問題でも?”シリーズ(笑)。

スティーブン・キング原作といえば、精神を病んだ犯罪者か、超能力者か、宇宙人か、って感じなのだけど、本作にはどれもないですな(キングらしくないとはいえ、唯一、パイ大食い大会の惨劇の悪趣味さだけは、それらしかったけど)。

ものすごくここが面白いとか、ここが独特とか、そういう所は無いんだけど、何とも目が離せなかった作品。どこか自分の経験の記憶とダブったり、環境や立場にシンパシーを感じたりしてるからかもしれない。程度の差はあれ、面白いと感じている人は、そういう感覚なんじゃなかろうか。でも、全然面白くないという人がいるのも事実なんだよね。私なんかは、面白さについて理屈を考える前に、脳内の中に何かに直結してしまう感じなんだけど、本作の4人みたいな経験をしたことない人なんかは、この感覚は無いんだろうな。

#もしかして、男にしかわからなかったりする?どうなんだろ。

ストーリー展開的には、かなり薄いと思うんだけど、かえってそれが郷愁を誘う。ラストに進むにつれて、何ともいえない匂いが漂う、稀有な作品だと思う。正直いって、今の今まで、きちんと観なかったことをちょっと悔やんでいる。男性ので本作を観ていない方。観よう。

#これを観ての感想って、どういう子供時代を過ごしたかの、一つの判断材料かもしれないね。

それにしても、リヴァー・フェニックスはもったいないですな。ドラッグ撲滅!

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image0899.png公開年:2002年 
公開国:イギリス、アメリカ、ドイツ
時 間:112分  
監 督:グリンダ・チャーダ
出 演:パーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ、ジョナサン・リス=マイヤーズ、アヌパム・カー、アーチー・パンジャビ、シャズネ・ルイス、フランク・ハーパー、ジュリエット・スティーヴンソン、シャヒーン・カーン、アミート・チャーナ、プージャ・シャー、デヴィッド・ベッカム 他
受 賞:【2003年/第61回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]
【2002年/第56回英国アカデミー賞】英国作品賞[アレキサンダー・コルダ賞]
【2002年/第15回ヨーロッパ映画賞】作品賞
コピー:負けるもんか!

インド系イギリス人のジェスはサッカーとベッカムが大好き。しかし、彼女の家は伝統と習慣を重んじており、家族に秘密でサッカーを楽しまなければいけないほど。そんな彼女はある日、男子に混じってサッカーを楽しんでいるところを、地元の女子サッカーチームに所属するジュールズに勧誘される。ジェスは戸惑いながらも内緒でチームに参加し、才能を発揮するが、ある時、練習帰りのユニフォーム姿を母に見られてしまい…というストーリー。

ベッカムがアキレス腱断裂というニュースを聞いて、そういえば、本作を観ていなかったなぁと思い、手にとった次第だ。

カルチャーギャップに焦点を当てた話なのか、女の子のがんばりムービーなのか、どっちつかず、、、と言ってしまうと、それって別に共存可能なのでは?という指摘を受けそうなのだが、片や『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』的な要素だし、片や『クールランニング』的な要素だし、面白さのポイントというか切り口には差がある。原題の『BEND IT LIKE BECKHAM』の“BEND”は曲げるって意味だから、ベッカムみたいにカーブをかけたシュートを打ちたいって意味と、インドの伝統的な風習を“曲げたい”っていうダブル・ミーニングだから、この観かたは間違ってないと思うけど、その二つがうまいこと混ざっていればいいのだが、あくまで並存しているだけのように見える。

もしかすると、女性は前者の目線で、男性は後者の目線で見てしまうのかもしれない。

イギリスとインドの関係、さらにインド内の宗教対立や階級の違いなど、私には掴みきれない要素が多々あるのだろうが、本作での主人公一家を含むインド人コミュニティには、違和感を感じてしまった。ユーロ圏では移民との軋轢が問題になることが多いが、このように自文化の様式を崩すことなく、他国で生活すれば、それはウマくやっていくことに困難が付きまとうだろう。いろいろ事情があるのだろうから、軽々しく「じゃあなんでイギリスにいるの?」とは言えないけれど、他国に永住していながら、自分の子供がその国の人と結婚するなんてもってのほか!みたいな姿勢で、コミュニティ内で閉じているなんてのは、いくら宗教的な違いとはいえ問題があるように見える。どこかで折り合いをつけないと。

中国人や韓国人が自国で犬を食べることについて私は文句は言わないが、日本でそれをやられるのはご勘弁ねがいたいし、日本人が他国の領海内で捕鯨したら、それはやめたほうがいいと私も思う。本作のインド人一家(シーク教徒だけど)は、イギリス人にも他宗教の人(イスラム系)にも敵意に近い感情しかない。製作者側にそういう意図はないのかもしれないが、結局、シーク教徒の偏狭さが浮きだってしまっているのはどうなのかしら(実際、そんな感じなのか?)

内容的には、女の子のがんばりムービーとしては良質だと思う。クラブチームスポーツが活発なのも、うらやましい。しかし、カルチャーギャップムービーとしては、アメリカ留学できてよかったね、ちゃんちゃんでごまかされて終わったような気がして、その点は好感が持てない。まあ、気楽に軽い気持ちで楽しむ分にはいい作品なので、観ていない人はどうぞ。

キャッチーな既存の曲をBGMに使っているのは、『トレイン・スポッティング』と同じ、っていうかパクりくさい感じ。まあ、本作の雰囲気にはマッチしているし、なかなか効果的。

#パイレーツ・オブ・カリビアンの前年だけど、キーラ・ナイトレイのイメージが結構違って初々しい感じ。
 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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