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image1495.png公開年:2008年
公開国:アメリカ、ドイツ
時 間:124分
監 督:スティーヴン・ダルドリー
出 演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロス、レナ・オリン、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ 他
受 賞:【2008年/第81回アカデミー賞】主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)
【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】助演女優賞(ケイト・ウィンスレット)
【2008年/第62回英国アカデミー賞】主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)
【2009年/第22回ヨーロッパ映画賞】女優賞(ケイト・ウィンスレット)
【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】助演女優賞(ケイト・ウィンスレット)
コピー: 愛は本に託された

1958年のドイツ。15歳のミヒャエルは気分が悪かった自分を助けてくれた偶然出会った21歳も年上の女性ハンナと知り合う。病気から快復した後、毎日のように彼女のアパートに通い、いつしか男女の関係に。やがて、ハンナはミヒャエルが読書好きであることを知り、本の朗読を頼むようになる。だがある日、ハンナは勤務していた市鉄で事務職に昇進することになり、それを境にミヒャエルの前から姿を消してしまう。8年後、ハイデルベルク大学の法科習生となったミヒャエルは、ナチスの戦犯の裁判を傍聴する。そしてその被告席に座るハンナの姿を見つけるのだった…というストーリー。

実は、中断につぐ中断で観終わるまでに数ヶ月掛かっている。なんでかというと、電車で観ていたので、あからさまなヌードシーンで周りの目が気になったから。これを、不必要なヌードシーンという人もいるようだが、私は必然性のあるヌードだと思う。変に隠したりすると、不必要に隠微な感じが増幅されたり、二人の間の感情が“愛”のように見えてしまう。それは絶対に避けるべきだと思うので、赤裸々な描写で正解だろう。

(以下、ネタバレ)

重罰になる可能性すら甘受するほど、文盲であることを恥じるバックボーンというか精神構造が見えないのだが、そこは慮るしかない。まあ、保釈直前のミヒャエルとハンナの会話を聞く限り、ハンナが普通の思考ロジックとか感情とは逸脱している様子は見てとれる。自分が情を交わした相手だからというよりも、人間として欠けた何かを見つけてしまったミヒャエルの悲しみは、私は良くわかる。愛を傾けている人なのに、決定的に分かり合えないことが判ったことの苦痛。それでも、なんとか庇護してあげられないものか…と、手を差し伸べられないかと考えている自分。諸々が織り交ざって涙が出てくるのだ。

親子ほど年の離れた女性との初恋なんだけど、彼にとってはおねえさんと坊やの火遊びじゃないんだよね。彼の愛はまもってあげたいという父性の発露。離婚をしてからテープを送り始める彼の律儀さというかマジメさというか、彼女に対する純真さもよく表現されていると思う。その反面、ハンナは最後まで“ぼうや”と言い続けるという、このギャップがまた痛々しい。
傍聴しているあたりの、学生達の行動も実によくて、ミヒャエルの心を揺さぶるのに充分寄与している。

一方のハンナは、牢獄のなかで文字を覚えるわけだが、それを獲得して何を失ったのだろう。実は、この点が私にとって一番よくわからなかった所なのだったりする。そのコンプレックスから開放されて、次のステップ(人間らしい感情?)に進んだのか?それも何かピンとこない。
でも、死んでよかったんじゃないかな…って思えてしまうほど、彼女の痛々しさだけは伝わってくるけど。

いつものことだが、この『愛を読むひと』という邦題が嫌い。別に“愛”を読んでなんかいないと思うのだ。原作邦題の『朗読者』のほうがマッチしていると思うが、劇場公開作としては弱いのでどうしてもというならば『朗読者~愛を読むひと』とでもすればよかっただろう。

ラストはあまり気持ちの良いものではない。
ユダヤ系の団体が、本作はナチスに好意的だといって非難をしたらしい。別にホロコーストを正当化する気などさらさらないが、完全な悪魔のように描かなければクレームを付けるという姿勢が本当に気に喰わない。こういうマイノリティの暴走を私は許さない。迫害の被害者だからといって、数千年前に聖書で約束された土地だからと言って、住んでいた人間を追い払うクレイジーな行為が正当化されるわけがない。私にはイスラエルを支持するユダヤ人を一生理解できるとは思えない。
缶を受け取ったことで、“小さな赦し”を表現したつもりかもしれないが、それすらピンとこない。

彼女が文盲だったといわれて、彼女が罪をかぶって、他の人間が軽い罪だけでのうのうと生きている!という所に目が行かなくなってるだけで、もう、生き残った娘にとって善悪とか法と罰とか、そういうことはどうでもよくなっているのだな…と思って、なんか不快になってしまった(なんか、似たような精神構造のお国が他にもあるような気がするが…)。

ケイト・ウィンスレットは、覆い隠したい過去と、望んでも得られるはずのない未来の間に生きる、ある意味“虚無の女”をしっかりと演じきっていると思う。はじめ、ニコール・キッドマンはハンナ役だったらしいが、彼女だったらクソみたいな作品になっていて気がする。

年上女性との甘くて危険な初恋が、ナチス裁判と絡むなんて実に新鮮だし、反面、ちょっと間違えればトンデモ話になりそうなところをしっかり成立させているのが秀逸だと思う。お薦めしたい。




負けるな日本

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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