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公開年:1983年
公開国:日本
時 間:106分
監 督:森田芳光
出 演:松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、松金よね子、岡本かおり、鶴田忍、戸川純、白川和子、佐々木志郎、伊藤克信、加藤善博、土井浩一郎、植村拓也、前川麻子、渡辺知美、松野真由美、中森いづみ、佐藤真弓、小川隆宏、清水健太郎、阿木燿子 他
受 賞:【1983年/第7回日本アカデミー賞】新人俳優賞(宮川一郎太)
【1983年/第26回ブルーリボン賞】監督賞(森田芳光)
次男・茂之の高校受験を控えた沼田家は家中がピリピリしている。デキの良い兄と比べて茂之の成績は悪く、これまで何人もの家庭教師がきても、誰もがすぐに辞めてしまうほどのクセ者でもあった。そこへ、三流大学7年生の吉本という男が家庭教師としてやってくる。父・孝助は茂之の成績が上がればボーナスを払うことを約束すると、吉本のなりふりかまわない“教育”がスタートする…というストーリー。
げ、もう29年も前の作品だってさ。
残念ながら、森田芳光作品で心から「良いな…」と思ったのは本作だけ。基本的にセンスが合わないのかもしれないが、本作だけは別格だ。
当時としては非情に革新的な作品だったと思うが、30年近くたって今観ると、意図がぼんやりして、深く考えずになんとなく差し込んでみたような部分も。カメラアングルなども含めて“奇を衒った”印象が強く思える。
横長のテーブルにで並んで食事をする家族。駐車場に移動して、会話する父親。片手に図鑑を持っている家庭教師。etc…、極めてCM的というか、ノウハウ本的というか。こんなのおもしろいんじゃない?と企画会議でブレーンストーミングでホワイトボードに書き出してみて、生き残ったアイデアを散りばめてみました…そんな印象。
そういう手法が悪いと言っているわけではない。実際は練られた末なのかもしれないが、とりあえず撮っておいて、使うかどうかは編集の時に考えましょ…みたいな印象を勝手に持ってしまった私がいけないんだろう(『タンポポ』と比較するとどうしてもね)。
そんなに文句をいうクセに良いと評価するのは何故なのか。それは、本作が一見客観性持って、それもシュールな表現で貫いているように見せて、実は極めて主観的な怒りを孕んで進行するからだろう。そのシュールさだって、表面的には沼田家や吉本の行動がシュールに見えているけど、実は社会全体がシュールなんだぜ…と。その社会・周囲に対する怒りを無意識に共有してるから、ストーリーに入り込めるんだと思う。
こんな狭い空間で生活していながら、家族の精神的な距離は遠い。つまり、物理的なパーソナルスペースは狭いのに、精神的なパーソナルスペースはものすごく広いという、チグハグな構図。そこに、いずれのパーソナルスペースにもズケズケと進入してくる家庭教師がやってくる。
吉本の攻撃範囲のイメージは“ドス”みたいな感じかな。いや、これは吉本という架空のキャラクターの持つ攻撃能力じゃなく、松田優作の力なんだろう。
でも、破天荒なキャラに見えて実は単にビジネスライクなだけ。その証拠に、最後の最後で目的が達成できたところで、自分の感情を素直に表出。その結果がアレ。“ボーナス”は貰えたのか?最後の食事の前に貰ったということでいいのか?と、その点はちょっと気になったが、貰ったからこそアレなんだよね(貰う前だけど、キレちゃいました…みたいな演出でもよかった気がするけど)。
贅沢を言えば、湾岸沿いとか川辺付近の風景をもっともっと美しく差し込んでほしかった。淡々とシュールな演出が繰り返されるので、もっと別な方向に脳を持っていく瞬間があっても良かったかと。
その後の日本映画というよりも、テレビドラマに良くも悪くも多大な影響を与えた作品かと。個人的には『タンポポ』には劣ると思うけれど、見事な快作だと思う。30年近くたって、この色褪せなさは見事。
公開国:日本
時 間:106分
監 督:森田芳光
出 演:松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、松金よね子、岡本かおり、鶴田忍、戸川純、白川和子、佐々木志郎、伊藤克信、加藤善博、土井浩一郎、植村拓也、前川麻子、渡辺知美、松野真由美、中森いづみ、佐藤真弓、小川隆宏、清水健太郎、阿木燿子 他
受 賞:【1983年/第7回日本アカデミー賞】新人俳優賞(宮川一郎太)
【1983年/第26回ブルーリボン賞】監督賞(森田芳光)
次男・茂之の高校受験を控えた沼田家は家中がピリピリしている。デキの良い兄と比べて茂之の成績は悪く、これまで何人もの家庭教師がきても、誰もがすぐに辞めてしまうほどのクセ者でもあった。そこへ、三流大学7年生の吉本という男が家庭教師としてやってくる。父・孝助は茂之の成績が上がればボーナスを払うことを約束すると、吉本のなりふりかまわない“教育”がスタートする…というストーリー。
げ、もう29年も前の作品だってさ。
残念ながら、森田芳光作品で心から「良いな…」と思ったのは本作だけ。基本的にセンスが合わないのかもしれないが、本作だけは別格だ。
当時としては非情に革新的な作品だったと思うが、30年近くたって今観ると、意図がぼんやりして、深く考えずになんとなく差し込んでみたような部分も。カメラアングルなども含めて“奇を衒った”印象が強く思える。
横長のテーブルにで並んで食事をする家族。駐車場に移動して、会話する父親。片手に図鑑を持っている家庭教師。etc…、極めてCM的というか、ノウハウ本的というか。こんなのおもしろいんじゃない?と企画会議でブレーンストーミングでホワイトボードに書き出してみて、生き残ったアイデアを散りばめてみました…そんな印象。
そういう手法が悪いと言っているわけではない。実際は練られた末なのかもしれないが、とりあえず撮っておいて、使うかどうかは編集の時に考えましょ…みたいな印象を勝手に持ってしまった私がいけないんだろう(『タンポポ』と比較するとどうしてもね)。
そんなに文句をいうクセに良いと評価するのは何故なのか。それは、本作が一見客観性持って、それもシュールな表現で貫いているように見せて、実は極めて主観的な怒りを孕んで進行するからだろう。そのシュールさだって、表面的には沼田家や吉本の行動がシュールに見えているけど、実は社会全体がシュールなんだぜ…と。その社会・周囲に対する怒りを無意識に共有してるから、ストーリーに入り込めるんだと思う。
こんな狭い空間で生活していながら、家族の精神的な距離は遠い。つまり、物理的なパーソナルスペースは狭いのに、精神的なパーソナルスペースはものすごく広いという、チグハグな構図。そこに、いずれのパーソナルスペースにもズケズケと進入してくる家庭教師がやってくる。
吉本の攻撃範囲のイメージは“ドス”みたいな感じかな。いや、これは吉本という架空のキャラクターの持つ攻撃能力じゃなく、松田優作の力なんだろう。
でも、破天荒なキャラに見えて実は単にビジネスライクなだけ。その証拠に、最後の最後で目的が達成できたところで、自分の感情を素直に表出。その結果がアレ。“ボーナス”は貰えたのか?最後の食事の前に貰ったということでいいのか?と、その点はちょっと気になったが、貰ったからこそアレなんだよね(貰う前だけど、キレちゃいました…みたいな演出でもよかった気がするけど)。
贅沢を言えば、湾岸沿いとか川辺付近の風景をもっともっと美しく差し込んでほしかった。淡々とシュールな演出が繰り返されるので、もっと別な方向に脳を持っていく瞬間があっても良かったかと。
その後の日本映画というよりも、テレビドラマに良くも悪くも多大な影響を与えた作品かと。個人的には『タンポポ』には劣ると思うけれど、見事な快作だと思う。30年近くたって、この色褪せなさは見事。
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クボタカユキ
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男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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