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image1939.png公開年:2009年
公開国:日本
時 間:112分
監 督:石井裕也
出 演:満島ひかり、遠藤雅、相原綺羅、志賀廣太郎、岩松了、並樹史朗、稲川実代子、鈴木なつみ、菅間勇、猪股俊明、牧野エミ、工藤時子、安室満樹子、しのへけい子、よしのよしこ、目黒真希、森岡龍、廣瀬友美、山内ナヲ、丸山明恵、潮見諭、とんとろとん 他
受 賞:【2010年/第53回ブルーリボン賞】監督賞(石井裕也)
【2010年/第20回日本映画プロフェッショナル大賞】作品賞、ベスト10(第1位)
コピー:あの日父を失くした少年の、喪失と再生のものがたり

派遣OLの木村佐和子は上京して5年になるが、既に職場は5つ目で、特に仕事に対して情熱があるわけではなく、淡々とこなすだけ。今は職場の上司でバツイチ連れ子ありの新井と交際しているが、ただ手近な相手で妥協しているだけ。そんなある日、田舎の父親が入院したとの報せが入り、家業のしじみ工場を継ぐようにいわれる。はじめは拒否して佐和子だったが、会社で失敗して田舎に逃げたい新井に押し切られ、結局連れ子と3人で実家に戻ることになり…というストーリー。

モントリオール・ファンタジア映画祭ってので、最優秀作品賞と最優秀女優賞を撮ったと、ジャケットにも書いてるんだけど、そんな映画祭知らねー。

ダメ女のお話ってことで『百万円と苦虫女』みたいなテイスト。あんなに小洒落てはいないけど。あっちも、蒼井優の演技があればこそだったけど、本作も満島ひかりのユニークな演技がなければまるで成立しなかったと明言できる。
こういう挙動の人が廻りいて参考にできたのか、彼女の想像の産物なのか、もしくはプライベートの自分なのか、はたまた監督がそういう演技を付けたのか。いずれにせよ、この演技の根源がどこにあるのか非常に興味がある。

“中の下”と自称するくせに、心が一切ない「すいません」「しょうがない」を連発する、胸糞悪いキャラクター。周囲に、もっとムカつくキャラを配置しているせいで、佐和子がまともに見える演出ははたして成功だったのか。佐和子の変化を映画の主軸に据えたいなら、佐和子のダメところをもっと前面に出したほうがよかったのではないか。
また、○○な状態から→“やるしかない”って状態への変化を面白く観せるべきなのだが、○○の状態がぼんやりしちゃったから、対比がうまく生きていない。とにかく“やるしかない!”っと切り替わった瞬間が突飛に感じられる。

なんでしじみが売れるようになったのかが演出上よくわからない。パッケージ?のぼり?あの歌が売り場に流れてた表現はなかったよね?なにが決め手で売れたのかしら。
冒頭の“5”縛りにセンスをセンスを感じない。スイカのくだりや、東京からきた女子大生との浮気のくだりなんかも、あまり生きていないかな。
結局、あの突飛な歌でごまかしたよね。その歌も、ホンの一歩ずれたら、馬鹿左翼臭で聞くに堪えなかったギリギリの線だし。
残念ながら、石井監督の演出でキラりと光る部分を私は見つけることができなかった。結婚した満島ひかりには悪いんだけど、この監督さん、このままだだとあまり期待できまへん。案外TVドラマ向きかもしれない…とは思う。
本作のMVPは満島ひかりとあの歌を仕上げた人。そのおかげで、ただののり弁にから揚げが2個付いた感じに。そういう作品。基本的に悪くはないんだ。キャリア不足からくるモタつきとか、シナリオの削ぎ落としが足りないとか、そういうウィークポイントが散見されるだけ。
 

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