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公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:マーク・H・ヤング
出 演:マイケル・マドセン、アンバー・ベンソン、ハロルド・ペリノー、ジェイク・ビューシイ、ケヴィン・ゲイジ、リュー・テンプル、ダニー・トレホ、エミリー・ヤング、タラン・トリエーロ、リンジー・アクセルソン 他
田舎町シルバーレイクにあるダイナー。ウェイトレスのノーリーンは、保安官代理のロニーや常連のハンクと世間話をしながら深夜の仕事をこなしていた。他の客は、駆け落ち中らしいカップル。キッチンでは、だらだら客と話をしているノーリーンを嗜めながら、店主がせっせと働いていた。そこに、NYからやってきた黒人セールスマンのジョンがやってくる。店内のラジオから、隣町のアバディーンでカーター一家が黒いトラックに乗った人物に惨殺され、犯人は捕まっていないというニュースが流れる。そのタイミングで、またもや一人の男が来店。見るからに乱暴そうな風貌。ノーリーンは、この男がニュースで流れた事件の犯人なのでは?と思い、ロニーに職務質問をするように促す。すったもんだの末、男の車の色がニュースで報じられた物とは違い、犯人ではないことが証明されたのだが、店内は険悪な雰囲気に。そして、男は金を置いて立ち去ったと思いきや、車から銃をもって再び店に戻ってきて…というストーリー。
(ネタバレ含む)
パッケージ画像にダニー・トレホがいたのでレンタルした。それ以上の理由はない。しかし、ダニー・トレホ詐欺だった。すぐ死ぬ。撃たれてカウンターの向こうに倒れて死体は見えないから、きっとその後も展開があるのかも…とか一縷の望みを抱いたが、その望み叶わず。
この男が例の事件の犯人なのか?違うのか?何者? ってな感じで本当にわからないシナリオ。大体にして、ニュースの犯人がここにいるのかいないのかすらわからない。本作の感想で、犯人が誰だかはじめからバレバレっていう人がいるけど、それはいくらなんでもウソだろ。結末を観た上なら、まあそいつだよなぁって思えるかもしれないが、はじめから判ることはないわ。
大体にして、“犯人”なるものがいるのか、単なるモメごとなのかすらわからないから。
本作の評価が低い(っていうか日本未公開作品)。ちょっと設定の練りが甘いからかな。マイケル・マドセン演じる荒くれ者ドゥが、ブチ切れたのは良しとするが、なんでダイナーに立て籠ろうとしたのか。話が展開している最中はそれでもいいのだが、あとから考えるとかなり不自然。引くに引けなくなっちゃったなら、全員とっとと殺して、立ち去るのが最良なのに、それをしない。弾の数の問題?途中で誰か入ってきたから?それだけじゃ、すっきりできない。もし彼の行動の目的が納得できるようなものだったったら、高い評価を得られたと思う。
そしてラスト。一応、ノーリーンが旦那への不満を漏らしていたのは軽い伏線にはなっている。だが、大量に銃殺死体が横たわる現場から、唯一ウェートレスがいなくなるという状況になるわけで、いくら速攻で高跳びしても、警察からも組織からも簡単にターゲットにされる。逃げ切れるわけはない。“勝った”“やった”みたいな顔されても、素直に同調できない。
彼女が金をまんまとせしめられる“仕掛け”が欲しかった。
観ている最中はなかなかの雰囲気と緊迫感で悪くない⇒観終った途端、「あれ、変じゃね?」ってなる作品。
公開年:1973年
公開国:アメリカ
時 間:114分
監 督:スチュアート・ローゼンバーグ
出 演:ウォルター・マッソー、ブルース・ダーン、ルイス・ゴセット・Jr、アルバート・ポールセン、アンソニー・ザーブ、キャシー・リー・クロスビー、ジョアンナ・キャシディ、フランシス・リー・マッケイン、ヴァル・アヴェリー、マリオ・ガロ、シャーリー・バラード、ポール・コスロ、ウィリアム・ハンセン、マット・クラーク、ルイス・ガス、クリフトン・ジェームズ、グレゴリー・シエラ、ウォーレン・フィナーティ 他
コピー:原作「笑う警官」その日-- 定期バス大横転……乗客及び乗務員を含む9名 マシンガンで乱射され全員即死!狙ったホシは必ず挙げる執念の刑事の燃える追跡が始まった--
サンフランシスコ。非番のエバンス刑事が、ある男を尾行している。その男がエバンスをまこうとバスに飛び乗り、エバンスも付いていく。すると、さらに後で乗ってきた乗客が小型マシン・ガンを発砲。運転手と乗客を皆殺しにして、犯人は立ち去ってしまう。警察はスタイナー警視をトップとする捜査本部を設け、エバンス刑事をコンビを組んでいたマーティン刑事は、新たにラーセン刑事を組んで捜査にあたることに。エバンスの恋人ケイ・バトラーの証言から、マーティンが解決できずにお蔵入りとなっていた2年前のテレサ殺人事件を、エバンス1人で捜査していたことが判る。カメレロという男の情婦だったテレサが、絞殺体として遺棄されていたという事件だ。おそらくテレサ殺人事件とバス虐殺事件に関わりがあると考えたマーティンは、スタイナー警視らの反対を押し切って、カレメロの正体を探り始めるのだったが…というストーリー。
(いきなりネタバレ含む)
推理系のサスペンス映画だが、確かに全然犯人の検討がつかない。全然ヒントがない。おまけに、話が進んでも全然進む気配がない。でも、笑う警官っていう邦題がついているんだがら、きっと警官が黒幕だったりするに違いない…、と思うわけだが、そうじゃない。
この邦題、ミスリードのつもりか?
全然犯人が見えないなのは、シナリオが巧みとか、そういうことではない。単に何のヒントも散りばめていないだけ。観終ってから考えても、どこかで「ああ、あれがヒントか!」という箇所はなく、わかるはずがないの。
科学捜査とは真逆の世界で、主人公のマーティンおじさんの捜査は、勘アンド勘。2年間前の事件といわれても何かの伏線になっているわけではなく、ただそういう事件がありました…と差し込まれるだけ。まあ、一応証拠を探そうとする場面はあるんだけど、死体を発見したりドラスティックな展開ばかり。真犯人を追い詰めるにはかなり理詰めで攻めないといけない状況なのに、そうはならない。
もしかして、新相棒のラーセンが“笑う警官”なのか?もしかして犯人寄りの人物で攪乱してたりすんのか?なんて勘ぐるが、それも違うという。そうじゃないとすると、あまりにもバディ物の相手をして魅力がなさすぎる。結局、ただのやる気のない短絡的な大口男なだけである。
ただ、マーティンおじさんの愚直に古いタイプの捜査を継続する姿、家庭を顧みない男の姿、その一本槍な姿勢。それと、古ぼけて小汚い街の画が合算されて、実に渋い雰囲気の作品となっている。
だからこそ、きっと“笑う警官”っていうタイトルを意味する陰謀があるに違いないと思いこんじゃう。でも、結局そんな陰謀はない。新犯人を追いつめると、もうダメだと暴走して、爆死というオチ。
簡単にいってしまうと、“事件”自体に面白さがない。何か衝撃があるわけでもないし、社会的なメッセージや当時の時事問題などが含まれているわけでもなさそう。殺されているのも、愛人と独身警官(それも主人公とそれほど長い付き合いじゃないという)。申し訳ないが、それほど憤りを感じるような事件じゃない。
#犯人に似てるエルダって何さ。
公開年:1980年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:マイク・ホッジス
出 演:サム・ジョーンズ、マックス・フォン・シドー、メロディ・アンダーソン、オルネラ・ムーティ、ティモシー・ダルトン、スーザン・ダニエル、マリアンジェラ・メラート、トポル、ブライアン・ブレッスド、ロビー・コルトレーン 他
ノミネート:【1980年/第34回英国アカデミー賞】特別賞(ウォルト・ディズニー)
【1980年/第1回ラジー賞】ワースト主演男優賞(サム・ジョーンズ)
【1981年/第9回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】参加作品
コピー:「フラッシュ」GO!地球の危機だ!!数千のホークマン《鷹人間》が飛び交うスーパー・スペース・アドベンチャー
ある日、突然暗闇に支配されてしまった地球。科学者たちが集められ、この異常気象の原因を調査すると、未知のエネルギーが放射されて月の軌道がずれ、皆既日食が発生していることが判明する。さらに月の軌道はずれ続けており、このままいくと10日後には地球に衝突してしまう。元NASAの科学者ザーコフ博士は、この原因となっており未知のエネルギーが、惑星モンゴから発信されていることを突き止める。これを惑星モンゴによる侵略と考えたザーコフ博士は、和平交渉をするために自作のロケットでモンゴへ旅立とうとする。たまたま乗っていた飛行機が不時着してしまった、アメフトのスター選手であるフラッシュ・ゴードンと旅行中の女性デイル・アーデンも、ザーコフ博士のロケットに同乗することに。しかし、惑星モンゴに到着したものの、皇帝ミンは極悪非道な男で交渉の余地はなく、3人は捉えられてしまい…というストーリー。
アメコミヒーロー映画 華やかりし昨今だが、このフラッシュ・ゴードンが話題になることは少ない。まあマーヴェルでもDCでもないから仕方ないけど。っていうか、生身だし。もうすでにスーパーヒーローとして有名な設定かとおもったら、ただの有名スポーツ選手なんだな。それを理解するのにちょっと時間を要する。
話が全然わからない。観ていると頭に???が浮かぶシーンがありすぎて…。ゴードンが乗っていた飛行機が墜落するのだが、その皇帝ミンとやらがギューンと飛んできてパイロットを襲っていたような。何でそんなことするの?
惑星モンゴにいくロケットなどの陳腐さを見て、ああ、こういう“ハリボテ大作”で、一周まわってアリ!!みたいなラインの作品なんだと割り切れるか否かが、すべてだ。
くだらない内容のくせに、雑多な星の種族が出てきて、それぞれの立場とか力関係、対立軸を把握しないといけない。皇帝ミン側のキャラも一枚岩じゃない、娘や息子の立場や背景も無駄に複雑。その上で、友情がどうしたとか、わけのわからん要素も入ってくるので、軽いノリで観ようとしてると、途端に頭に入ってこなくなる。
おまけに、だんだんと皇帝ミンの目的やゴードンの当面何がしたいのかわからなくなってくる。最終的に地球を滅ぼしたいのと救いたいという対立なのは判るけど、今やってることが、それに繋がっているのか意味不明になる。
同様にたくさんの女性キャラが出てくるが、彼女たちの目的も同様にわからなく、且つ顔の区別がいまいちつきにくい。衣装を変えられるとどっちがどっちのキャラか、または新キャラなのか、混乱する。
何だろう、すごく交通事故にあったような気分。目には映っているが、頭に入ってこないくらい つまらない。良いところを見つけようにも見つからない。元のマンガも知らないのでノスタルジーを感じることもできない。
“THE END?”が最高にくだらない。というかむなしい。
公開年:1978年
公開国:香港
時 間:98分
監 督:ジャッキー・チェン
出 演:ジャッキー・チェン、イエン・シー・クアン、ジェームズ・ティエン、チェン・ウィ、ディーン・セキ 他
コピー:史上ボウ然!?世界一の珍V拳!笑い殺されぬようご用心!!
清朝末期の広東。清朝は武術道場をことごとく弾圧し、各流派は風前の灯となっていた。名門・形意道場も清朝が差し向けた“鉄の爪”によって壊滅。かろうじて逃げ延びた名手・陣鵬飛を鉄の爪は追い続けるのだった。一方、興隆という青年は、哲学と修身とカンフーを学びたいと考え、祖父のあばら家に引っ越して修行を申し出る。しかし、元々飽きっぽい性格で、祖父の目を盗んでは、市場に出かけて遊び歩く始末。ある日、市場でサイコロ博奕に興じて、インチキを見抜いて儲けると、帰り道に3人のチンピラにからまれてしまう。しかし、あっさり撃退。その後はチンピラたちから兄貴と慕われるように。一方、祖父の体調が思わしくなく、なんとか薬代を稼がねばと考えた興隆は、チンピラあっちから紹介された王門道場の用心棒の職に就くのだが…というストーリー。
清朝末期という舞台は、時代劇でもあるし、日本でいえば敗戦直後みたいな混乱した世界で(実際はこうじゃないと思うけど)、なんでもありな空気。いかにも初期ジャッキー作品っていう感じにマッチしている。
ちなみに、ジャッキー初監督作品。ただ、この時期の作品はどれも似たりよったりだし、製作手法に大きな違いがあるわけじゃないから、ジャッキーが監督したからといって、特別何かあるわけではない。
ただ、アクションについては、自分の思い通りにいろいろやっているな、特にコミカルムーブについては、現場で思いつくことをなんでもやってるんだろうなぁって、愉しさが伝わってくる感じ。本作の一番の良さは、そこかもしれない。
師匠でもあるお爺さんが殺されてしまい、その復讐がストーリーの幹になるわけだが、師匠が死んでしまったらその後はどうやって修行するのか?⇒別の人に師事する…とうパターンが、ジャッキー映画では多いような(そんなことないか)。本作はお爺さんの仲間というか同志というか部下が新師匠。でも、ちょっとキャラが弱いんだよねぇ。
王門道場で用心棒しているあたりまでは、とっても面白いのだけど、別の爺さんとの修行に入った後は、それほどストーリー面での見どころはない。他作と差はないし、話のネタになるほどのユニークな修行もあまりない。そこは残念。
ただ、ラストは語り草になるトンデモシーンの連発で、金的で決着とか、セルフ鉄の爪とか、子連れ狼とか(版権無視)。まあ、粗削りであるがゆえの愉しさは、認めざるを得ない。
公開年:1976年
公開国:日本
時 間:82分
監 督:大洲斉
出 演:松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、丹波哲郎、岸田森、桑山正一 他
越前福井藩には、藩主自らその腕を見込んで武芸の指南役として採用した仁藤昂軒という武芸者がいた。剣と槍の腕前は超一流だったが、その荒い性格ゆえ藩内での評判はすこぶる悪い。とはいえ藩主には気に入られているものだから、どんどん出世してしてしまうのではと危惧されるように。中でも御側小姓加納平兵衛の一派は、加納の出世が阻まれると焦り、昂軒を闇討ちしようと画策する。当の加納はそんな闇討ちには反対で、一派が闇討ちを決行すると、それを止めようと間に入る。しかし霧の濃い夜だったため、昂軒は一派を返り討ちにするのと一緒に加納まで斬ってしまう。これはまずいことになったと昂軒は出奔。加納を斬った上に黙って藩を出た昂軒に藩主は激昂。上意討ちを命じる。しかし、あの昂軒を討てるものなど藩内にいるはずもない。そんな中、越前福井藩きっての臆病者と評判の若侍双子六兵衛が、名乗りを上げる。自分の悪評のせいで妹が嫁にいけないことを苦にしてのことだったが…というストーリー。
ものすごくテレビドラマ臭がする。画の構図とか編集の感じとか。まあ、ようするに安っぽい。せっかくの映画なのにもったいないなぁと。
松田優作の演技も、わざとなのかな?って思うくらい、馬をよける所や、上意討ちの相手を見つけたときにビビって水を口から漏らす所とか、ダイコン極まりない。意図的な演出だとしても過剰かな…と。
そういう演出面でひかっかるところは多々あるのだが、内容は実にユニーク。
「ひとごろし~」と言うことで、周りが丹波哲郎演じる仁藤昂軒にビビってくれるから、この執拗な嫌がらせが成立するわけだが、実際はどうか。江戸時代だって侍が好き勝手人を斬って良かったわけじゃないから、こうなるのも説得力がある。小市民の知恵。それも生きる術であり、対等な"技術”である。 どんなに弱者でも強者の隙をつけば倒せるという、社会の固定概念を超えた、生物の本能の発露ともいえる。
とはいえ、いつまで「ひとごろし~」ってやり続けるんじゃ?と感じはじめる。そんなあたりで、わけ隔てなく客を泊める、モラリストな宿屋の女主人登場。あらここでおしまい、別展開かな?と思ったら、なぜか翌日になると六兵衛に賛同して、「ひとごろし~」って言う仲間になっちゃうという、クレイジー展開。おもしろい。
だけど、これ、岡本喜八とかに撮ってほしかったなぁ…。もうしわけないけど、この大洲斉っていう監督さんでは、ハジケきれていないなぁ。
世間にはからかわれる人が必要…なんて、悲しいけど含蓄のあるお言葉。からかわれている本人が言ってるし、それが言えるようになったことで、彼の中に自信が沸いているってこと。
ラストは残念ながら中途半端。いや、たぶん短編小説なら、この終わり方で正解だけど、ビジュアルが伴うとなにか物足りなく感じる。もとどりを持って帰って、はたして上意討ち成功とみなされるのか?という疑問。それなら、寝込みを襲うとか、女郎に金を握らせるとかして、ちょんまで切りゃあいいんじゃね?とか。
まあ、精神的な勝利を欲していたってことなんだろうけど、何か納得できない違和感が漂う。はじめは、臆病者をいう汚名を灌ぐのが目的で、そのためには手段を択ばないと決めたはず。もう、仁藤昂軒は気が狂いそうで自害するとまで言っている。やった、作戦成功!ってはずなのに、そうはならない。
はじめは、精神的な勝利なんていうものは求めていなかったのに、最後になると、死ぬことは求めない。どのタイミングで、精神的な勝利を欲するようになったんだろう。その境目は主人公の転換点のはずだし、人間の成長を表現する重要な個所だと思うのだ。そこをうやむやにしたのが、本作の失敗なのではないかと感じる。
映画って、主人公の変化・成長を観せるもので、事柄をつなげればいいというものじゃないから。
公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:87分
監 督:ポール・ハフ
出 演:ポール・マッカーシー=ボーイントン、エディ・マッギー、トリスタ・ロビンソン、T・アーサー・コッタム、ドミツィアーノ・アルカンジェリ 他
街にいたはずなのに、突然見たこともない場所に立っている80人の人々。老人、子供、妊婦、障碍者、様々な人種の人々で、同じ街にいたであろうということ以外に共通点はない。呆然としていると、突然声が響く。それは耳から聞こえているのではなく、直接頭に届いている模様。声は淡々と何かのルールを読み上げる。「勝者はただ一人」「学校、家、刑務所は安全地帯」「矢印から外れたら命はない」「2周遅れたら命はない」「草に触れたら命はない」「レースを拒めば命はない」そして、スタートの号令。何のことかわからずにいる中、一人が草むらに足を踏み入れると頭部が爆発。指示に従わなければ同じ目にあうことを察した人々は、矢印の方向に一斉に走り出す。このレースの意味がわからないまま、ルールから逸脱した人はどんどん死んでいき…というストーリー。
明らかに『CUBE』や『ソウ』などのライン(というか注目のされ方)を狙った作品。低予算、アイデア勝負で映画界に爪痕を残すぜ!っていう貪欲さが見て取れる(悪いことじゃない)。
ある意味、一発ネタで押し切った作品なので、細かいストーリーは言わないでおこう。
確かに目的も誰の仕業かもわからない中、人間の醜さが次々に表出する地獄絵図が展開される。子供は殺さないというハリウッドの不文律も破棄。何の落ち度もない老人も妊婦もどんどん殺す。聾唖者であることをいまいち生かし切れていない部分はあったが、障碍者だって健常者と同じ人間で、健常者の中にクソ人間がいるように、障碍者の中にもクソ人間はいるし、障碍者の性欲だって健常者と同じという、よく考えればあたりまえのことだけど、障碍者を聖人扱いしがちな世間に一石を投じている部分は、個人的に評価したい。
あれ、この聾唖者2人って、いつのまに2周追い抜いた?とか、肝心の2周追い抜きルールがわからなくなってしまうところがある。もうちょっと工夫できなかったかな…と、そこは残念。
最後の大風呂敷の広げ方は、もうマトモなオチが思いつかずにやっちゃったでしょ!って感じ。次はSFにならざるを得ない。続編も視野に入れているなら、なかなか難しい方向性を選択しちゃったと思う。
宇宙人さんには宇宙人なりの苦痛を与えているみたいだけど、別ルールで勝ち上がってきた両者をどういう今日つルールで戦わせようとしているのか…までは、考えてないだろうな(笑)。
悪くなかった。軽くお薦めしたい。
デジタルビデオ画質というか、CG処理の稚拙さのせいなのか、画質の安っぽさはどうにかしたほうがよかったと思う。ポストプロダクションでデジタル映像をマットな感じに加工してるのだろうけど、人間の目は意外と違和感を察知する。なんなら編集後に、いったんフィルムに焼き直すとか、したほうが楽に雰囲気をつくれたかも。
評価が低いのは、案外これあ原因かも。
公開年:2011年
公開国:スペイン
時 間:89分
監 督:イグナシオ・フェレーラス
出 演:タチョ・ゴンサレス、マベル・リベラ 他
ノミネート:【2012年/第25回ヨーロッパ映画賞】長編アニメ賞(イグナシオ・フェレラス)
コピー:俺たちはきっと大丈夫だよ。
元銀行の支店長だったエミリオ。退職後は妻を亡くしてアパートで独り暮らしをしていたが、認知症の症状が出始めたため息子夫婦の介護を受けていた。しかし、症状が悪化しとても手が付けられなくなったため、養護老人施設に入所することになった。同室になったミゲルは、他の入所者から巧みに金銭をせしめコツコツため込んでいる人物で、どうにも信用ならない。一緒に食事をする女性アントニアは、面会に来る孫のためにバターや紅茶などを集めている。ドローレスという女性は健常だが、アルツハイマーの夫モデストの世話をするために一緒に入所していた。しばらくすると、自分が大事にしていた腕時計や財布が紛失してしまう。ミゲルの仕業と考えたエミリオは、ミゲルの荷物の中を探すが見つからない。そんな中、ミデストに処方されている薬と自分に処方されている薬がまったく同じであることに気付く。ほとんど無反応状態のモデストと同じ薬でいいはずがないと、医師に確認するのだが…というストーリー。
老人讃歌的な部分は一切ない。おそらく何割かの人が(いや、ほとんどの人かな)直面する事柄であることを考えると、ただただ痛い。延々と痛い。
老いは平等におとずれる…なんてことないという残酷な事実。各自におとずれる“老いの症状”は内容も進度も異なる。モデストを介護するドローレスとの、馴れ初めの思い出が素敵であればあるこそ、“二階”行きとなってしまった彼女が不憫でならない。じゃあ、どうすればいい…という代案がないという心苦しさ。頭から最後までその心苦しさを味わうことになる作品。
完全ではないのだが、主人公のエミリオ目線でストーリーは展開する。エミリオは、大事な腕時計や財布を同室のミゲルに盗まれたを思う。実際ミゲルは、ボケた婆さんからお金を巻き上げてため込んでいたりして、ものすごく胡散臭い人間に見える。その理由は終盤に明らかになるのだが、なぜそれをしたかったのかは、イマイチ不明。
(ちょっとネタバレ)
ミゲルは免許持ってなかったみたいだし。逃げたいだけなら、タクシーやら交通機関を複数乗り継いでいけばいいだけのこと。スピードを味わいたかった?それもなんか変。よくわからないや。
話を戻す。エミリオの症状を察したミゲルは、まだまだ健常であることを偽装するために手伝ってくれる。胡散臭さは何処へやらで、すごくいい人。でも、残念ながら二階行きになってしまったエミリオのベッドの下をみたミゲル。これが胃がぎゅーっとなるくらい悲しい。
腕時計や財布のくだりは、よくある“実は自分が犯人だった”系のお話になっていて、サスペンス・ホラー的な流れ。老いること=恐ろしさという意味では、身も蓋もない究極のホラーだよ。
“覚悟”。その一言だけが、焼印のように残った作品。
公開年:2014年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー、(アニメーション共同監督)クリス・マッケイ
出 演:クリス・プラット エメット、ウィル・フェレル、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット、ニック・オファーマン、アリソン・ブリー、チャーリー・デイ、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン 他
コピー:フツーのボクが、世界を救う!?
レゴブロックだけで作らているブロックシティで工員として働いているエメット。決められたルールを愚直に守り、仕事場での真面目に作業をこなすふつうの青年。平凡な毎日だが彼はその生活に満足していた。ある日、工事現場で不審な人物を発見。追いかけてみると、ものずごい美女でひと目で恋に落ちてしまう。ところが、“ワイルドガール”と名乗るその彼女は、エメットのことを伝説のヒーローだと何故か勘違いしてしまう。エメットこそ、レゴワールドを支配する邪悪なおしごと大王から世界を守ることができる“選ばれし者”だと。そして、彼女の手引きでヒーロー集団の元に連れられていく。平凡極まりないエメットは、まったくヒーローたちから相手にされないが、結局、バットマンや老人ウィトルウィルスたちとともに、冒険の旅にでることになってしまい…というストーリー。
細かい。構造物や自然物もすべてLEGO。『LEGO(R):ザ・アドベンチャー』と大違い。こうじゃなくちゃ。それどころか、手垢とか指紋とか遊びたおしてついて細かい傷とか汚れとかも付いている。本作のスタッフは良くわかっているなぁ(というか、オチがアレだからなんだけど)。
とにかく映像だけで楽しめる。あとはオフザケのオンパレード。パーツの付け替えや、ワイルドガールの美人設定に、バットマン(出していいんか?)とか。これまでラインナップしていた製品が惜しみなく登場する。
成型時のズレとかバリとかもそのまま。たしかに除光液で塗装を消したことはある。思い出がどんどん湧いてくる。本作は優秀というよりもレゴ自体が優秀。
さて、どういうオチにするのかな…と思っていたら、“究極のメタ視点”。あああ、実に大人が考えそうなオチ。救いは。本当にレゴさんたちが生きている感じになってる点だけ。ふつうにあのお話のまま終わるバージョンもつくってほしかった。
レゴは飾るものじゃなく遊ぶもの。大人も子供も一緒に遊んでね。子供の情操教育にはそれが大事だよ!という企業メッセージはわかるけど。それはそれじゃん。正直、興醒めしてしまい、痛々しくて最後は見ていられなかった。
#デュプロが出てきた時は笑ったけどね。
ウィル・フィレル演じるお父さんが、レゴを接着剤でくっつけていたのが衝撃。海外のレゴマニアはそんなことするのか?たとえ完成形があろうとも、レゴは着脱可能だからこそレゴなのであって、アレをやった瞬間レゴじゃなくなる。私にとっては最大の禁忌なのだが…。
公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:クリス・バック、ジェニファー・リー
出 演:クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、ジョシュ・ギャッド、サンティノ・フォンタナ、アラン・テュディック、キアラン・ハインズ、クリス・ウィリアムズ 他
受 賞:【2013年/第86回アカデミー賞】歌曲賞(ロバート・ロペス、クリステン・アンダーソン=ロペス“Let It Go”)、長編アニメ賞
【2013年/第71回ゴールデン・グローブ】アニメーション作品賞
【2013年/第67回英国アカデミー賞】長編アニメ賞
コピー:凍った世界を救うのは――真実の愛。
アレンデール王国の王女エルサとアナの姉妹。幼い頃は大の仲良しだったが、触れたものを凍らせる禁断の力を持つ姉エルサが、その力によって妹アナを命を危うくしてしまい、それ以後、エルサは力を封印するために部屋に閉じこもってしまう。二人は顔を合わせることなく成長したが、国王夫妻が不慮の事故で亡くなってしまい、エルサが王位を継承することに。滞りなく戴冠式が終了すると思われたその時、突然結婚をするといい始めたアナに激昂したエルサは、力を制御することができなくなり、式の参加者の目の前でその能力を晒してしまう。失意のエルサはそのまま城から逃亡し、山奥に氷の城を築き再び閉じこもってしまうが、王国は氷の世界になってしまう。アナは王国を元に戻すために、エルサが住む雪山を目指すのだが…というストーリー。
Sisterhood的な内容の作品が昨今ウケているという分析をする人もいるが、身も蓋もない言い方をしてしまうと、男女の恋愛が脇役で、純粋に歌が楽しい作品だったからウケたんだと思う。
♪レリゴ~のキャッチーさはもちろんだけど、♪雪だるま作ろ~とか、♪僕と同じじゃないか!とか、日常生活でコント的に使えるシーンがたくさんある。一回見ただけじゃ覚えられないから、何度も観た人はいると思うし、2人じゃないと遊べないシーンもあるから、複数人で観に行くケースも多かったあろう。どちらかというと『ロッキーホラーショー』に近い部類、ニーズの作品だと思う。
よく、英語歌詞と内容が異なるとか文句タレてる人がいるけど、意訳して(時には意訳の範疇を超えて)歌いやすく且つ頭に残る語彙をチョイスしたからこその成果であり、それを批判する無粋な人間は、もっと元セリフにピッタリな歌詞を発表してみればよい。ただそれだけ。作品て楽しむために作っていることを忘れない方がいいと思う。
楽曲の愉快さは認める。でも、なんじゃ?と思うシーンも散見される。成長するまで、エルサが閉じこもっているという設定だが、戴冠式まで一瞬たりとも顔を合わせていない(もしかする会話すらしていない?)ということなのだろうか。なんでアナに事情を説明しなかったのか?してはいけない理由があるのか?という疑問。戴冠式で超久々にあったのに、3年くらい離れ離れで暮らしていた程度の反応にしか見えない違和感。
アナは、初対面の男に簡単に惚れて結婚まで決めてしまう浅はかさで、さらに相手の男は実はクソ人間という、主人公らしからぬ汚れっぷり。そして、とっても楽しい♪僕と同じじゃないか!のシーンの相手がそのクソ人間ハンスというね。
映画は敵役が大事と常々言っているが、貿易を強要してくるウェーゼルトン公爵のワルっぷりがいまいち不足。もっと周到に王国乗っ取りを進めるくらいの非道っぷりが欲しかった。ハンスの正体が発覚して、ウェーゼルトン公爵との合わせ技で一本程度の敵役具合か。ハンスも実は単独行動じゃなく、裏にはそれなりの支援勢力がいて、ハンス軍とウェーゼルトン公爵一派が、目的の競合によってぶつかり合って大乱闘。そのゴタゴタのおかげで間に合うとか、そういうギミックが必要だったかな。
前半は楽しい歌にあふれていたけど、後半はネタにできるようなお歌のシーンがないのも残念。最後、“愛”で片付けられちゃたのも残念。これ、子供は観たい観たいってねだるけど、後半になると寝ちゃうっていう『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のパターンや。
今回DVDで観てしまったんだけど、これはブルーレイで買わないとだめだね。緻密さが削がれるとちょっと興醒めするシーン(というか、本当はもっときれいなんだろうな…と気がそっちに行ってしまうシーン)が、ちょこちょこある。
余興ネタとしては最高。純粋な作品評価としてはまあまあって感じ。
公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ロベルト・シュヴェンケ
出 演:ジェフ・ブリッジス、ライアン・レイノルズ、ケヴィン・ベーコン、メアリー=ルイーズ・パーカー、ステファニー・ショスタク、マリサ・ミラー、ジェームズ・ホン、ロバート・ネッパー、マイク・オマリー、デヴィン・ラトレイ 他
コピー:成仏しやがれ!
ボストン警察のニック・ウォーカーは、同僚のボビー・ヘイズと、押収品の麻薬の横流しで小遣い稼ぎをしていたが、罪悪感からもう止めるとヘイズに伝える。すると、任務遂行中にヘイズに銃撃され死亡してしまう。犯罪者の銃で殺害されたため、任務上の殉職をして処理される。ふと目が覚めると、“R.I.P.D.”という天上組織の面接を受けている。その組織は、死後も現世に留まり、人間の姿で悪事を働くゴーストたちを取りしまるという、あの世の警察組織だった。ニックは警察官というキャリアを買われてスカウトされたのだ。この仕事に就くか魂が消滅するかの二者選択を迫られたニックは、R.I.P.D.で働くことを受け入れる。彼の相棒は、ベテラン・エージェント、ロイ・シーファス・パルシファー。地上に戻り妻のジュリアと再会できると思い、自分の葬儀に出席し彼女に声をかけるのだが、不審者扱いされてしまう。なんと、ニックの現世での姿は、おいぼれ中国人爺さんだったのだ。一方、ロイはブロンドの美女姿。釈然としないながらも、ゴーストの取り締まりをはじめるが、ロイは元19世紀のガンマンで、その破天荒ぶりにニックは目を丸くする…というストーリー。
またケビンベーコンがクソ悪役やってらぁ…と思いつつ、一番わかりやすい便利な役者さんだなぁと。
設定のポイントは、現世の人には別の姿に見えてるっていうところ。思いつきとしては非常におもしろいんだけど、じゃあ現世にいるときの姿を、金髪美女と中国ジジイにすりゃいいのかっていうと、そうはできない。ニックとロイの間では、普通に見えてるっていう設定だから。
私は、現世にいる間はニックとロイの間も金髪美女と中国ジジイに見えるっていう設定にしたほうが、演出上は正しかったと確信している。でも、そうすると、ジェフ・ブリッジスが怒るわなぁ。でも、作品を成立させるためには、それが正解。おもしろいのに設定が生きていないのが、非常に残念。
まあ、その難点は、企画・製作の問題であって、監督の責任ではないだろう。
R.I.P.D.でニックを面接した女性プロクターのスカート丈の長さにセンスを感じる。その他、ロイは19世紀のガンマンとか、おもしろいギミックが散りばめられてるんだけど、それも生かし切れていない感じ。プロクターがロイに気がありそうって部分も、話の主筋に絡ませることができていないし。
『MIB』『コンスタンティン』『ゴーストバスターズ』『ゴースト』のミックスかな。観客の誰もがそう思ったに違いない。そこは逆手にとってもっとパロディ色を出すとか、やれそうなことはあったよね。
色々弱い。もうちょっとブっとんだ演出ができたら、シリーズ化もあったよね(まさか、予定ないよな?)。
公開年:1958年
公開国:アメリカ
時 間:82分
監 督:アーヴィン・ショーテス・イヤワース・Jr
出 演:スティーヴ・マックィーン、アール・ロウ、オーリン・ハウリン、アニタ・コルシオ 他
アメリカの田舎町。郊外の森に隕石が落下。様子を見に行った老人がそれにふれると、ゲル状の物体が付着する。宇宙生物らしいそれは、腕を侵食し簡単に剥がすことができない。老人が苦痛に叫ぶ声を上げて道路まで這い出たところに、スティーヴとガールフレンドがのった車が通りかかる。スティーヴは老人を車に乗せ、病院まで連れて行く。ハレン先生は、ちょうど学会に向かうために外出するところだったが、老人の腕の様子をみて治療を開始する。スティーヴはハレン先生から、老人を救出した場所あたりの様子を調べてほしいを言われ、現地へ向かう。しかし、ゲル状の物体は老人の体をすっかり捕食して大きくなり、ハレン先生や看護婦まで犠牲となってしまい…というストーリー。
『マックイーンの人喰いアメーバの恐怖』という名前の場合もあり。こちらのほうが内容にマッチしてる。古典SF映画の典型例みたいな作品だが、ゲル状の宇宙生物ということで、ローテクながらもそれなりの特撮になっている。企画力の勝利か。
宇宙から飛んできた隕石が、そんな形状のままで、地面にほぼダメージがないとかありえねーわ(笑)とか、そういうのはご愛嬌。昔の知識なんてそんなもの。時代も差し引いて“味”だとおもって観るべし。
初感染にいたる展開の速さは、悪くない。あまり観客に粗隠しさせる暇を与えないというのも、この手の映画の重要テクニック。すごく狭い範囲内だけでストーリー展開したり、それが深夜であることも、同様の演出効果。
マックィーンが、いまいち若者にみえないからアレなんだけど、SF要素と並行して、やんちゃな若者の冒険譚にもなっている。敵対する若者同士や、彼らを目の敵にする警察官との高圧的な大度とか、若者を抑圧するだけの大人たちとか、そういう街にあるギスギスした関係が、この宇宙生物に抗うことで解消されていくという流れも。
冷蔵庫の伏線とか、子供にも分かりやすいレベル。娯楽作品を作ろうという姿勢が見えて好感がもてる。
でも、科学知識的にはやっぱりヘンテコ。CO2じゃなくても冷たきゃいんじゃね?氷とかさって思う。「CO2」とか言わないで「冷たいのが苦手だよー」って言ったほうが話通じるだろ…とかね。
そして、最後は思わず「いやいやいやいやいやいやいやいや、、、、、」って口に出ちゃう。冷蔵庫に入れておこうよ。栄養が追加されなきゃ大きくならなそうだし、密閉容器に入れておこうよ。深海でいいじゃん…とかね(笑)。
『ブロブ』というリメイク作品がある模様。ちょっと探してみようかな。
公開年:2012年
公開国:イギリス
時 間:110分
監 督:マーティン・マクドナー
出 演:コリン・ファレル、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、クリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツ、アビー・コーニッシュ、オルガ・キュリレンコ、マイケル・ピット、マイケル・スタールバーグ、ヘレナ・マットソン、ハリー・ディーン・スタントン、ジェームズ・ヘバート、クリスチャン・バリジャス、ジョセフ・ライル・テイラー、ケヴィン・コリガン、ガボレイ・シディベ、ジェリコ・イヴァネク、ブレンダン・セクストン三世 他
ノミネート:【2012年/第66回英国アカデミー賞】英国作品賞
【2012年/第28回インディペンデント・スピリット賞】助演男優賞(サム・ロックウェル)、脚本賞(マーティン・マクドナー)
コピー:イカれた奴(サイコパス)、募集!
脚本家のマーティは、“セブン・サイコパス”というタイトルとコンセプトだけが決まってる作品の執筆を請け負ったが、まったく筆が進まず悩んでいた。親友で売れない役者をやっているビリーは、脚本のネタ集めを手助けしようと考える。そして、“サイコパス募集”という新聞広告を、マーティに無断で出してしまう。一方、ビリーは、役者稼業の他に愛犬誘拐詐欺に手を染めていた。それは、裕福な家のペット犬を散歩中に誘拐し、迷い犬の張り紙がだされてしばらく経過したあたりで、印象のよさそうな男をつかって返却し、お礼の金をせしめるというもの。犬を返却する役割としてハンスという老人が雇われていた。そのハンスには、癌で入院中の妻がおり、ハンスは日々甲斐甲斐しく見舞いのために病院を訪れていた。しかし、ビリーは、危険なマフィアのボス、チャーリーが偏執的に愛するシーズー犬に手を出してしまい、追いつめられることに。そんな中、ビリーが出した広告の応募者、ウサギを抱えた正義の殺人鬼サガリアが現れ…というストーリー。
誤解を恐れず言うが、冒頭の殺しのシーンからして、素敵。脚本家の話だってことで、もしかして冒頭のシーンも、シナリオの中の話?なんて思ったけど、リアルな殺し。
正直、全然期待していなくて、流し観状態だったのだが、愛犬詐欺の話と、殺人鬼が自分から手を挙げて集まってくるというユニークな展開に。思ったよりもデキがよくて、途中でもう一回頭からしっかり観直してしまった。
(以下ネタバレ)
ビリーはちょっとやばそうだと思ってたけどやっぱり…。それどころかシーズー犬の件は、過失じゃなく意図的かよ…とか。
気のいいハンスも実は…。それが発覚するのは、シーズー犬のすったもんだがあったから。そして、、広告を出したおかげで知りえたとある殺人鬼のエピソードとも絡んでいた。
昨日の『サイトシアーズ』もそうだけど、サイコパスの価値観は理解不能。社会性の欠如だけじゃなく、善悪の価値観が狂っている。友達だと思っていたビリーはサイコパスだと気づき、恐怖を覚えるマーティだが、ビリーの日記をふと読んでしまう。その内容が、サイコパスらしからぬ(というかサイコパスなりのと言った方がいいのか)、親友の才能を信じて応援しようという“友情”で溢れてやんのね。
さあいよいよ話が佳境に!となるんだけど、舞台が砂漠に移行してからは、ちょっとグダグダしてキレが無くなってしまった。まあ、サイコパスの考えていることはよくわからん。わからんけど、サイコパスと心を通わせることができるんだな…っていうエピソードをとにかく盛り込んでくる。妻を殺されただから発狂してもよさそうなのに、結構冷静なハンス。なぜか一生懸命マーティの小説に協力しようとしてくれる。よくわからんけど、ボイスレコーダーに入れたアドバイスを聴くと、なんかほっこりしてしまうという不思議。
最後の最後で、サガリアとの約束を忘れて脅迫されるマーティだけど、サガリアは何かを感じ取って許すことにしてしまったりね。
砂漠以降の疾走感不足。難点はこれ一つだけだなぁ(若干、編集にも難は感じるけど)。もう一歩で快作。無条件でお薦めできるほどではない。
#途中で、何が“セブン”かはどうでもよくなっているのはご愛嬌。あくまで企画中の題名だからね。
公開年:2012年
公開国:イギリス
時 間:88分
監 督:ベン・ウィートリー
出 演:アリス・ロウ、スティーヴ・オーラム、アイリーン・デイヴィーズ、リチャード・グローヴァー、ジョナサン・アリス、モニカ・ドラン 他
コピー:人生変えちゃう旅かもね。
自分の生活を束縛する母親と2人暮らしのティナ。最近付き合い始めたクリスとの関係は良好。ライター志望のクリスが、取材を兼ねて1週間ほどキャンピングカーでヨークシャー州を巡る旅の計画を立て、それにティナを誘う。恋人との旅行に憧れていたティナはもちろん了解するが、その旨を母親につたえると猛反対。ティナの母親は彼を毛嫌いしており、心臓の悪い自分を放置して旅行にいくのかと旅立つその時まで、悪態を付き続けるのだった。そんな母親を振り切って旅をスタートさせる2人。まず、最初の予定地であるトラム博物館につくが、そこでゴミをポイ捨てするマナーの悪い観光客に遭遇。クリスが注意しても悪びれる様子も無く、彼が不機嫌になる一方。気を取り直して次の予定地に向かおうとキャンピングカーをバックさせると、なんと、先ほどのマナーの悪い客をひき殺してしまう。警察はこれを事故として処理し、お咎めはなし。ティナの動揺と罪悪感は収まらなかったが、初日の宿泊地であるオートキャンプ場で、理想的な夫婦イアンとジャニスと出会う。夫婦の鼻につく態度のせいで、昼間の事件のことは薄れていくが、その夜、あの事故は本当に事故だったのか?という疑念が、ティナの頭をよぎる。すると次の日…というストーリー。
はじめはどう考えてもクレイジーな母親の行動のせいで、見た目がいまいちなカップルが善良に見える。はじめの事故も本当に事故に見える。しかし、だんだんとこのクリス、ヤバい奴なのかな?とも思えてくる。でも、単純にそう結論付けられない。結構、このティナっていうのも優柔不断で、あまりしっかりした精神の人じゃないんだもん。きっとティナの老婆心で、むしろその勘違いから騒動に発展するのかな?と思わせてくれる。本当に、前半は、次に何がおこるんだ?っつー不安感が、うまく醸成できている。
クリスがヒッピーたちを殺しちゃうん夢とか見ちゃうんだけど、朝起きてみると、そいつらが放火で逮捕されちゃったりと、ああ、やっぱり勘違いなのかな…みたいなね。
中盤から、クリスがイアンを殺したことが発覚して、物語の質が変わっていくんだけど、それでも、ストーンヘンジでのクリスの凶行を直接見るまでは、きっと事情があって殺害したのかも…って思えなくもないんだな、これが。
(以下、ネタバレ)
結果的にはクリスはシリアルキラー。実は母親の見立てが正しかったわけで、ショックを受けるティナが母親に電話してみたら、むしろ一人をエンジョイしていて居留守をつかってたりして、笑える。
ここで彼女の苦悩が始まる!と誰もが予想するでしょ。そう単純じゃなくて、斜め上を突っ走るのが本作のいいところ。彼を理解できるように自分のシリアル・キラーになろうとするの。ひえー。
たしかにクリスはサイコキラーなんだけど、それなりに目立たないように、ペースも考えるし、隠蔽工作が可能な手口を使う。だからいままでバレずに生きてこれている。ところがティナは、頭でっかちな状態でそっちの世界に入ってきたもんだから、もう、直情的で歯止めが聞かない。一線を越えたら、気に食わないことは、みんな殺人でケリをつけちゃうくらいに暴走。いよいよクリスもあきれてしまう。
その後、すったもんだの末、あきれながらもティナみたいなクレイジーな女性と出会えたこと、そしてシリアルキラーの自分がこれ以上社会で生きていていいわけがないという思いがクリスの心の奥底にあって、二人で一緒に死のうということになる。ティナもそれが永延に結ばれる唯一の方法だと考えるようになる。
まるで曽根崎心中か!と思わせておいて。さてさてオチは?!
このオチでニヤリとしてる自分もちょっと異常かもしれないな…とは思うけど、なかなか苦労したシナリオで、何度も何度も練り直したな…というのが伺える好感が持てるシナリオ。趣味は悪いけど良作だと思う。
公開年:2013年
公開国:日本
時 間:143分
監 督:岡本喜八
出 演:菅原文太、宮下順子、北大路欣也、嵐寛寿郎、金子信雄、岸田森、中谷一郎、フランキー堺、小島秀哉、石橋正次、丹古母鬼馬二、福崎和宏、下馬二五七、島巣哲夫、兼松隆、志賀勝、吉中正一、田中邦衛、赤穂善計、尼子狂児、妹尾琢磨、鴨てんし、二瓶正也、伊吹新太郎、大木正司、藤岡琢也、大前均、草野大悟、長谷川弘、伊佐山ひろ子、桜井浩子、小林真美、立枝歩、岡本麗、ケーシー高峰、ジャック・デービス、岡部耕大 他
受 賞:【1978年/第21回ブルーリボン賞】助演女優賞(宮下順子 「雲霧仁左衛門」に対しても)
昭和25年。北九州ではヤクザ組織同士の抗争が激化し、一触即発の状態となった。特に小倉では、昔気質の岡源組と新興勢力の橋伝組が、激しく火花を散らしていた。そんあ事態を憂慮した警察署長は、これら構想を民主的に解決するために、九州一円のやくざ組織を集めて、トーナメント方式の野球大会で決着をつけることを提案する。このまま抗争が激化すれば共倒れになるという危惧を抱いていた両親方は、その提案を受け入れる。しかし、そんな“タマ遊び”で雌雄を決することが馬鹿馬鹿しいと考えている岡源組の加助は、一方的におかみに惚れ込んでいる割烹“川太郎”で飲んだくれるばかりだった。橋伝組は、このチャンスに一気に勝負をつけてしまおうと、金に糸目をつけず、全国から野球経験のあるヤクザ者をスカウトまくるのだった。対する、岡源組はドシロウトばかり。元プロ野球選手の帰還負傷兵の五味を監督に迎えたものの、焼石に水。いよいよジョーカーズとの一回戦となったが敗色濃厚。そこにしびれを切らした加助が乱入し…というストーリー。
DVDのジャケットは、キャッチャー姿で手を大きく広げた菅原文太の写真。そしてタイトルが『ダイナマイトどんどん』。まあ、物好きな人しか観ないわなぁ(笑)。DVDのメニューには、岡源ダイナマイツ・オーダー表とか載っている。ムダ情報(笑)。オーダーなんか、ストーリー上、知っておく必要性皆無なのに。
元プロ野球の五味っていうキャラクターが、いまいち生かし切れていないかったり、もうちょっと練ってくれないかな~っていう部分は散見されるんだけど、半ギャグ半スポ根劇画みたいなノリで最後まで押し切っている。
菅原文太演じる加助のライバル銀次。これを演じる北大路欣也は、見た目はものすごく格好いい。無駄にフォームも綺麗。あら、このまま二枚目の扱いなのかと思いきや、やることなすこと行動がクソ格好悪いの。そんな銀次の嫁(籍が入ってんのかは知らん)がお仙で、昔、やくざの親分の情婦だったお仙と一緒になるために、けじめで人差し指を詰めたノンプロ選手っていう設定。
そんで、もう野球なんかできんだろうと思いきや、詰めた指のせいで“魔球”が投げられるとか、むちゃくちゃな設定。
で、加助はそのお仙人に惚れているという構図なんだけど、お仙が2人の男の間を揺れるのかと思いきや全然揺れない(笑)。
お仙を演じる宮下順子はロマンポルノ出身の人。なんと本作の演技でブルーリボンを受賞している。同じ年に梶芽衣子もブルーリボン賞を獲っている。主演男優賞は『鬼畜』の緒方拳だし、なんか、この年のブルーリボンは攻めてる感じ。宮下順子演じるお仙は特段エロいシーンは無いんだけど、無駄に艶っぽく、その色気がストーリーの裏廻しの役割をしている。
ヤクザものっぽく、終盤は殴りこみシーンになるのだが、岡源組組長の失態の話と、銀次の裏切り話が一緒くたになってしまい、収拾がつかなくなってしまった感じ。カオス状態というか話の芯がボケてしまったというか、かなりグダグダになる。いや、それが岡本喜八らしさでしょといわれればそれまでなのだが、オチがあるような無いような状態となり、とっ散らかって終了するのが実に残念。
#沖縄強制労働の場所に北大路欣也がいないように見えるのだが、理由は不明(見落としか?)。
最後のグダグダさえなければ、シリーズ化すらあっただろうな…と感じた作品。惜しい。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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