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image1806.png公開年:1976年
公開国:アメリカ
時 間:125分
監 督:ジョン・シュレシンジャー
出 演:ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディヴェイン、マルト・ケラー、フリッツ・ウィーヴァー、リチャード・ブライト、マーク・ローレンス、アレン・ジョセフ、ティート・ゴヤ、ルー・ギルバート、ジャック・マラン 他
受 賞:【1976年/第34回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)


マラソンが趣味のベイブは、父の母校であるコロンビア大学でマッカーシズムを研究している大学院生。ある日、公演を恋人エルサと散歩中に、何者かに襲撃されてしまう。その夜、しばらく疎遠だった石油関連会社に勤務している兄ドクが、突如ベイブの部屋を訪れる。明日、エルサを含めて3人で食事をすることになったが、歓談の中、エルサの出身地の話になると、ドクは突然エルサの話は嘘だと言い始め…というストーリー。

さわりを要約するのが非常に難しい作品。複数のストーリーが並行して流れるているのに加え、思わせぶりな演出が過多すぎて、何が何を指しているのか、謎解きの上の重要度がよくわからないまま展開する。要するに、懲りすぎてよくわからない。

タイトルの通り、マラソンが好きな主人公。その“マラソン”にどんな意味があるのか。また、父がレッドパーシの犠牲になって自殺したこと、そして彼自身がそれについて論文を書こうとしていることが、ストーリー上どう絡んでいるか…、見ものだなぁと思っていたのだが、正直なところ、それほど効果的でもなかったし、重要でもなかった。確かにベイブはマラソンのように孤独な闘いを続けるし、差別主義者とも対峙する。でも、それでベイブは何か新たな境地に達したか?なにか目的を達成したか?赤狩りをしていた奴らと、ナチの連中は、同じような不当な弾圧者ではあるかもしれないし、家族を奪った者という共通点はあるかもしれないが、ナチ野郎を始末したからって父についての引っかかりが解消されるわけではない。それはそれ。

原作者自らが脚本を書いているらしいのだが、残念ながら小説と映画の脚本は別モノ。小説は自由なペースで読めるし、自由なところで中断できるが、映画は2時間程度で一気に見せる必要がある。そのためには、緩急もメリハリも飽きさせない工夫も必要。注力すべきポイントが異なる。原作で伝えたかった点は余すことなく伝えたられたのかもしれないが、その分ゴチャゴチャになった模様。

ただ、煩雑なシナリオの割には、飽きさせない映像テクニックは満載。カメラワーク、鏡の使い方、小道具にチラ見せ具合等々、緊迫感の煽り方が議場にウマい。とっ散らかりぎみのシナリオも、ドクがエルサの嘘を見抜くあたりから、がぜん不穏な空気が蔓延してきて盛り上がってくる(まあ、そこに至るまで50分以上経過してるんだけどね)。

その後、ドクの行動や、白髪ナチのオッサンの行動の意味が説明されるんだけど、正直に告白すると、判ったような判らんような。ナチのオッサンがアメリカの銀行の貸し金庫にあるダイヤを出そうとしているのはわかった。で、ドクは何?もう一本の鍵を持ってる?在りかを知ってる?なんで追われてるわけ?
ダイヤをとっとと出せばいいのに、なんでユダヤ人街をうろちょろするわけ?ダイヤの相場なんて、あとからどうにでも確認できるだろうに。
肝心の謎がよくわからん。でも、巻き戻してもう一回確認する気もおきない。そのくらい、終盤になっておもしろくなくなるのである。ラストでは、螺旋階段を綺麗に廻って転げ落ちるという、有り得ない不自然なアクション失笑。

残念ながら、マラソンマンは35㎞あたりで失速した。シナリオの書きようによっては、いい作品になったような気もするが、残念ながら凡作である。お薦めはしない。

#ダスティン・ホフマンが大学院生って、何歳設定やねん。当時40歳くらいでしょ。まあ、だんだん気にならなくなるから、さすが名優ってことなんだろうけどさ。



負けるな日本

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image1817.png公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ウディ・アレン
出 演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、ポール・サイモン、キャロル・ケイン、シェリー・デュヴァル、クリストファー・ウォーケン、コリーン・デューハースト、ジャネット・マーゴリン、ビヴァリー・ダンジェロ、シェリー・ハック、シガーニー・ウィーヴァー、ジェフ・ゴールドブラム、クリスティーン・ジョーンズ 他
受 賞:【1977年/第50回アカデミー賞】作品賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、監督賞(ウディ・アレン)、脚本賞(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)
【1977年/第12回全米批評家協会賞】作品賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)
【1977年/第43回NY批評家協会賞】作品賞、女優賞(ダイアン・キートン)、監督賞(ウディ・アレン)、脚本賞(マーシャル・ブリックマン、ウディ・アレン)
【1977年/第3回LA批評家協会賞】脚本賞(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)
【1977年/第35回ゴールデン・グローブ】女優賞[コメディ/ミュージカル](ダイアン・キートン)
【1977年/第31回英国アカデミー賞】作品賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、監督賞(ウディ・アレン)、脚本賞(マーシャル・ブリックマン、ウディ・アレン)、編集賞
【1992年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品

スタンダップ・コメディアンのアルビーは、ニューヨークを拠点に活動しているが、たまにテレビに出る程度でそれほど売れていない。ブルックリン育ちの彼は、コメディアンのくせに“死”に取りつかれていて、自らの生い立ちに幾ばくかの原因があると考えている。近頃、彼女と別れて沈んでいた彼は、美人のアニーと出会いすぐにアプローチ。お互いに魅力を感じてほどなく同棲生活を開始するが、途端に相手のイヤなところが気になり始め、二人の間の溝は広がっていくばかりで…というストーリー。

はずかしながら、ウディ・アレン初体験。

どんな話だと聞かれれば、偏屈男が女に惚れ、愛し合い、次第に心が離れ、離別を迎える。そんだけ。それだけなのに、目が離せない。先が読めない。コラージュのように差し込まれるアルビーの脳内映像や、気の乗らないセックスを合成で表現したりと、思いつくままのキレッキレの演出の連続。かといって難解ではないところが実に秀逸。

なんだこいつは?と興味と嫌悪が入り混じったユニークなキャラのアルビーだが、同時になんとも身につまされる。
周りはアホなやつばっかりだと思い、なにかと政治や哲学を絡めてマシンガンのように喋る。かといって自分のことを賢いといわれれば、そんなことはないと言うだろう。酒や薬物の影響は受けたくないというポリシーは、良心ゆえの信念なのか、アニーのいうとおりアルビーが新しいことに挑戦しない性格だからか。
アニーを大学にいかせて賢くさせていることを良いと思っていながら、いざ知見が深まって自分で行動しはじめると批判する。この、二律背反が一人の男に共存している。簡単にいえば天邪鬼なんだけど、そんな単純でもない。おそらく本人も苦しんでいるし、苦しみの原因もおおよそ判っているだろう。でも変えることはできない。
#なんとも例えがたいシンパシーを感じてしまう。私、こんなにヤバいのか?

日本人にはいまいちピンとこないユダヤネタが満載。“笑わせよう”としている部分は逆に笑えない感じだが、不快ギリギリのアルビーの魅力(?)で、興味は尽きない。最後の、これまでの二人を舞台にしちゃうくだりを見るに、アルビーというキャラクターはウディ・アレン自身の投影なんだろう。
#その舞台のオチが違うところや、その後、再度出会って付き合いが始まる余談の部分は、願望なんだか、妄想なんだか。

時代といえばそれまでなんだろうけど、ダイアン・キートンの本作でのファッションが流行ったなんて、とても思えない。ぜんぜん魅力的に見えないんだよなぁ。これで、観ている私もアニー・ホールに惚れちゃうくらいだと、また観方が変わったのかもしれないけど。

これは観ておくべき名作かと。と言うか、観てよかった。



負けるな日本

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image1813.png公開年:2011年
公開国:アメリカ、ドイツ
時 間:113分
監 督:ジャウマ・コレット=セラ
出 演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラ、セバスチャン・コッホ、オリヴィエ・シュニーデル、スタイプ・エルツェッグ、ライナー・ボック、ミド・ハマダ、クリント・ディアー、カール・マルコヴィクス 他
コピー:目覚めると、妻さえも“自分”を知らなかった──
人生を奪還する闘いが、今始まる。

学会に出席するため、妻とベルリンを訪れたマーティン・ハリス博士。ホテルに到着したが、パスポートなどが入ったカバンを積み忘れたことに気付き、慌てててタクシーで空港へ戻る。しかし、その途中で事故に巻き込まれ車ごと河に転落。病院に運ばれるものの昏睡状態に陥ってしまう。4日後、目を醒ました彼は、記憶があいまいな状態だったが、自分が学会でベルリンを訪れていることなどを徐々に思い出す。慌てて会場に向かったマーティンは、事情を話し入場し、妻を見つけるが、彼女はマーティンを知らないと言う。さらにマーティン・ハリス博士を名乗る、見たこともない男がそこにいて…というストーリー。

冒頭のカバンを置き忘れるというありきたりな演出にウンザリ。ポンコツ演出で完全に掴みを失敗。さらに、事故→記憶喪失→なぜか自分の存在が否定され言葉の通じないドイツで流浪の異邦人に…という流れが、あまりに状況が厳しすぎて、プレッシャーが強すぎ。観続けるのがツラくなるほど。まあ、オチまで観れば、こういう演出になるのは必然だな…と納得できるのだけれど、実は私は一回観るのを中断している。
主人公の妄想か?それとも彼を貶めようとする陰謀なのか?事故は偶然か作為か?タクシー運転手も何か知ってる?もしかしてSFチックな展開だってありうるぞ。そんな、“状況把握”自体が謎解きになっている、実に新鮮な作品。

あからさまに敵が登場してくると、アクション要素が増して、さらにおもしろくなってくる。敵に襲われるってことは陰謀ってことだよな…、選択しが減ったな…なんて思ったのだが、その先にもう一枚、予想を超えて裏があった。観終わって考えると、よく注意すれば、このオチは予想がつきそうだと思うのだが、本当に「ああ、そういうことか…」とめずらしく先回りすることができなかった。巧みなシナリオだ。

(以下、ネタバレ注意)
そんなに巧みなシナリオなくせに、実はけっこう変なところは多い。
車の中にいるのに外の声が聞こえちゃうのは変…とか、記憶が戻ったからといって、元々暗殺者なんだからいい人にはならんだろ!とか、爆破までの時間が短いのも簡単に止められないのもわかっているのにわざわざ止めにいくとか。中途半端にストーリー上都合のよい部分だけ記憶喪失ってのも、どうかと思う。
もうちょっとディテールに気を使って欲しいと思う部分は多々あれど、これだけ、穴があるくせに、時間が経過するごとに惹きつけられる一方だったし、謎の真相も、腑に落ちる内容だった。

東ドイツの秘密警察っていうキャラクターが、実にいい味付けになっている。もう死を目の前にして怖いものはないし、最後のあだ花を咲かせたい思いもある。多少刃こぼれはしてるけど妖刀は妖刀って感じで、ギラギラ、テラテラと真相に迫っていく。謎解きのための重要人物でもあるし、同時にミスリードにも一役買っているという秀逸キャラだ。それをブルーノ・ガンツがいまいこと演じている。

ラストも実に小気味良く、久々に満足感と共に観終えた。ホテルの警備員もグルなのかどうかなんて、最後のほうにならないとわからんものなぁ。よくできている。お勧めしたい快作だ。
#リアム・ニーソンはいい役に当たったと思う。ポスト ハリソン・フォードになっているのかもしれないね。





負けるな日本

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image1825.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:トム・ホランド
出 演:クリス・サランドン、ウィリアム・ラグズデール、ロディ・マクドウォール、アマンダ・ビアース、スティーヴン・ジェフリーズ、ジョナサン・スターク、ドロシー・フィールディング 他
ノミネート:【1986年/第14回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】ダリオ・アルジェント賞
コピー:闇夜 それは人間のものではない

高校生チャーリーの隣家に二人の男が引っ越してきた。チャーリーは、男達が何故か家に棺桶を運び込んでいるのを目撃し、不審に思うのだった。そして、彼らが引っ越してきた直後、近隣では殺人事件や行方不明事件が頻発する。ある晩、チャーリーが自室から隣家の窓を見ると、男が女を殺害しようとしている。見間違いかと思ったが、翌朝、遺体を目撃。チャーリーは警察に「隣家の男達が犯人で、彼らはヴァンパイアだ」と主張するが、相手にされない。その夜、隣家の男の一人が、チャーリーの家を訪れ、チャーリーにある取引を持ちかける…というストーリー。

青春モノとヴァンパイアモノがミックスした、ある意味、古典的なホラー映画。
若者というだけでなく主人公の相当なアホっぽさで、いきなり「この人はヴァンパイアだ」なんて言ったら、逆に信じてもらえなくなることくらい判りそうなものなのに、一人興奮して、信じてもらえずムッキー!ってなっちゃって、ありがちなんだけど微笑ましさすら覚えるレベル。DVDパッケージの画像のイメージとは異なり、けっこうライトな内容。

なんとなく勢いで展開するのだが、実のところ、このヴァンパイアが何でこんなことをしているのか、目体はイマイチはっきりしない。
女性は殺害されているようなのだが、男性はヴァンパイア化したり。でも最後、ジェリーはヴァンパイア化しちゃう。ヴァンパイアさんのさじ加減でどうにでもなるみたいだけど、境目がよくわからんし(笑)。ヴァンパイアさんは、なぜかエミリーを気に入ったご様子で、お仲間にしたかったってことなんだろうけど、
で、そのエイミーがヒロインらしく抵抗を見せるのかと思いきや、ヴァンパイアさんの男に魅力にあっさりと屈するビッチっぷりを発揮してくれる。

エイミーのヴァンパイア化が進む中、ヴァンパイア男二人はなぜか棺桶の中に土を挿入。何やってんだかわからん(笑)。
最後、日光が勝利に鍵になるんだけど、これまで、そんなに日光を嫌っていなかったのに、なんで最後だけあんなに過剰に反応するのやら(笑)。

ホラーのお約束展開を外さず、正統派ホラーといってよいほど。じゃあ、おおよそ展開なんか想像がつくよね?確かにそうなんだけど、何故か飽きない不思議。じゃあきっと、魅力のあるキャラクターが満載なんじゃないの?いやいや、全員けっこう薄っぺら。深夜のB級ホラー番組のホストを務める役者が、ユニークなキャラっていえばそうなんだどさ、知識を発揮するとかそういうわけでもないし、武器は自前の小道具だしね。

十字架の効果は、十字架を信じているかいないかだ!(キリッ!)って、一回、効果があるのを見てるんだから信じてるよね(笑)。信仰のことを言ってるの?違うよね。もう、ディテールの整合性とかふわっふわしまくり(笑)。

ファンが余興感覚でつくったんだけど、意外といいクオリティになっちゃった…みたいな感じ。これ、エド・ウッドの正統進化系かもしれないな。山のようなジャンクフードと、コーラとビールをガブ飲みしながら観る作品。(笑)マークだらけの文章で、なんとなくわかるでしょ。



負けるな日本

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image0438.png公開年:2006年
公開国:韓国
時 間:94分
監 督:ポン・ジュノ
出 演:ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、コ・アソン、イ・ジェウン、イ・ドンホ、ユン・ジェムン、キム・レハ、パク・ノシク、イム・ピルソン 他
コピー:お父さん、助けて!



ソウルを流れる河・漢江の河川敷で売店を営むパク一家は、父親ヒボンと3人兄妹、そして長男カンドゥの娘ヒョンソの5人家族。ある日、いつものように人々が河川敷で商売をしていると、突然、謎の巨大生物が出現。逃げ惑う人々を襲撃し、ヒョンソも喰われてしまう。政府は怪物が、人を死に至らしめるウイルスを宿主であると発表し、怪物と接触のあったパク一家も強制的に隔離されてしまう。ヒョンソを亡くした悲しみに暮れるパク一家だったが、カンドゥの携帯に死んだはずのヒョンソから助けを求める電話が入る。いくら警察や医者に説明してもヒョンソの生存を信じてもらえないため、一家4人はヒョンソ救出のため病院を脱走するのだったが…というストーリー。

昨日の『モンスターズ/地球外生命体』を踏まえて、モンスター繋がりで。過去に鑑賞したことアリ。

公開当時、お台場で主要キャストが集まって生放送でプロモーションをしていたのを思い出す。めざましテレビだったか。今考えると、当時からフジテレビの韓国押しの傾向はあったのかな。その時のキャスト陣の挑発的なドヤ顔が不快に映ったのを覚えている(緊張していただけかもしれんけど)。

劇場には行かなかったのだが、レンタル開始時にはすぐ借りて観た。その時はなかなかよくできているなと思ったが、あの時は「韓国もやるもんだな」という物珍しさ7割だったなと思う。今改めてみると、なんかピンとこないんだ。

冒頭の薬品瓶についたほこりがどうのこうのって、演出上必要か?おもしろいか?から始まり、その後もシュールの笑いのつもりなのかもしれないが、おとぼけらしいものを差し込んでくるのがうざったくてしょうがない。一ミリも面白くないことを「ほらおもしろいだろ」とドヤ顔でやられることくらい、イライラすることはない。笑いのセンスが合わないことくらい不快なことはないからね。
#まあ、私、三谷幸喜の笑いもダメなんで、世の中には本作の小ネタを面白く感じる人はいるんでしょ。
でも、韓国映画に見られる笑いって、微笑ましさのかけらも無くて、全部こういうノリなんだよなあ。多分、あの国の人たちの私、決定的に価値観が合わないんだと思う。

本作は、怪物がどうのこうのよりも、ダメ兄弟が娘(姪)を救うことで成長するお話。そのプロット自体は高く評価したい。ただ、最後の最後で、なぜかぽっと出の登場人物に、ガソリンをかけるという重要な作業を手伝わせてしまうというのはダメ。そこは3人で処理しなきゃ。
#本当に、ペ・ドゥナ一人、光ってるわ。

(以下、ネタバレ)
そして一番の疑問。結局、娘(姪)を救わないということに、どういう演出上の意味があるのか?という点。娘の代わりに救うことができた男の子を育てるというオチになるわけだが、それがカンドゥの成長を表現しているということか?いや、娘も男の子も救って両方育てたって、それは同じこと。なぜ、わざわざ悲劇にしなくてはいけないのか。
いや、別にハッピーエンドにしなければいけない道理はなのだけど、あまりにも韓国映画にカタルシスがなさすぎるのにちょっとうんざりしているのだ。小さな破滅と崩壊、その先に希望があるのか無いのか…というオチの作品が多すぎる。満足したり幸せを感じることができない国民性なのか。あまりにも奇妙(そう思わない?)。悲劇とか耽美とかがかっこいいとかインテリジェンスが溢れるとでも思っているのかな。

まあ、色々書いたけど、決して駄作ではない。凡作以上良作未満。お薦めはしない。だってスッキリするわけじゃないし、感動するわけでもないし、考えさせられるわけでもないし、それって余暇を過ごす道具として観る意味あるの?ってことになるじゃん。

#スプーンで米を喰って、おかずを箸でつまむ…、別に他国の様式をどうのこうのいうつもりはないけど、やっぱりわけわかんねーな。



負けるな日本

 

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image1823.png公開年:2010年
公開国:イギリス
時 間:94分
監 督:ギャレス・エドワーズ
出 演:スクート・マクネイリー、ホイットニー・エイブル 他
ノミネート:【2010年/第64回英国アカデミー賞】新人賞(ギャレス・エドワーズ)
コピー:国境まであと125km――




2009年、地球外生命体のサンプルを持ち帰ったNASAの探査機がメキシコ上空で爆発。地球外生命体がメキシコの北半分で大繁殖してしまい隔離される事態に。それから6年後、アメリカ軍とメキシコ軍による封じ込め作成が展開るも事態が悪化の一途を辿る中、現地で取材を続けるカメラマンのコールダーに、契約している新聞社から命令が下る。社長令嬢のサマンサが、現在メキシコに滞在中で、メキシコ国内に足止めされているため、彼女を無事アメリカ行きのフェリーに乗せろという。何とかフェリー乗り場に到達するものの…というストーリー。

地球外生命体が落ちてきて居付いちゃった…という“if”もののSF。原因はNASAだし、メキシコ封鎖をしてるのもアメリカだし、何かアメリカのオレ様ぶり、独善っぷりに不満でもあるのか?。何の隠喩なんだか私には伝わってこなかった。

モンスターが話の中心だと思ったのだが、あんまり出てこない。出てきても、タコと虫の中間みたいなデザインで、ノロくてユルい『スターシップ・トゥルーパーズ』みたいな感じ。確かに人は襲われるのだが、それほど迫力もなくて恐怖も感じない。

どうせ船には乗れないんでしょ?で陸路を行くんでしょ?と見え見えの展開はつらいなぁ…と。そこを裏切ってユニークな展開を期待したのだが、予想通りの展開。且つそこ至るまでけっこう長い。ため息が出る。
その前に、こんなムチャクチャな事態なのに、社長令嬢がなんでメキシコに入国したのか、できたのか。なんで、北上しか帰国の方法がないのか、南米に行ってから空路という選択肢がないのか。何なら、ブラジルまで南下して、ヨーロッパ経由じゃなぜいけないのか。何らかの理由でそれができないとしても、危険地帯を抜けるくらいなら、南米に退避していたほうが安全だろうに。不思議な話である。
その後も、金品を渡して旅を続けたり、人がいなくなった施設や町をスルスルと通過したりすだけ。さほど困難でもなくて、ダラダラした緊張感のない90分。最後の10分になって主人公たちはやっと直接攻撃を受ける(遅っせー)。

仮にモンスターは単なるシチュエーションで、彼らの恋愛的な心情に焦点を当てたかった…と捉えても、決められたレールにしっくりきていない逃亡女と、子供に会えない男との間に、なにか我々が目を見張るべき成長や変化があったとは思えない。
ネット上での評判がそれほど悪くないのが、逆に不思議。私は飛び抜けて駄作だと思う。監督や脚本家、映画会社に、一体何を観せたかったのか、説明してほしいレベル。『クローバーフィールド/HAKAISHA』の12分の1くらいの満足度しかなかった。




負けるな日本

 

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image1827.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:116分
監 督:新海誠
出 演:金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、日高里菜、竹内順子、折笠富美子 他
コピー:それは、”さよなら”を言うための旅




幼い頃に父を亡くし、看護士の母と二人暮しの明日菜。忙しい母の代わりに家事をする傍ら、秘密基地で過ごしたり、父が遺した鉱石ラジオを聞いたりする日々。ある時、そのラジオから不思議な歌のような声が聞こえ、それが忘れられない明日菜。そんなある日、謎の巨大生物が彼女の前に出現し、襲われそうになるが、“アガルタ”という場所からきたというシュンと名乗る少年が彼女を救う。二人は再開を約束するが、彼は現れず、数日後シュンは遺体で発見される。シュンが死んだ現実を受け止められない明日菜は、新任教員のモリサキから地下世界にまつわる神話を聞き、強く興味を惹かれるが…というストーリー。

あらすじをちょっと読んだだけでも、まとまりがないのがわかるでしょ。絵柄の方もまとまりが無くて、風景写真をトレースしたような背景なんだけど、人物は味の無いいかにもアニメチックな作画。
鉱石ラジオの石はありえないキラキラ具合で、ネコともリスとも付かない謎の生物。あきらかにSFチックなノリでスタートするのだが、町や家の様子は昭和50代の感じで、よく掴めない。どうやら現実の世界とは違う架空の世界の出来事らしいのだが…。

それにしても、変なシーンの連打が続く。
死体に縛ってあったスカーフが何で明日菜のものとわかるのか(購買で買えるようなものなんだから名前は刺繍されてはいなかろうに)。
帰ってきた娘を抱きしめる母親。心配していたなら捜せばいいじゃないか。濡れてもいないから、家にいたんだろうね。
芋を毒抜きするために水に晒さなければ…といいつつ、次のカットでは丸ごと食べている。
etc…

アガルタの住人達の言い草がまた、くだらない。平穏に暮らしていたアガルタは地上世界から蹂躙され、文明を奪われたために、今は貧しいのだそうだ。地上世界と隔離できているんだから、それなら地下の文明は復活できるだろうに、我々は地上の人たちからいいようにされ力つきちゃって、できないんだって。バカ左翼思想と一緒。これがファンタジーと結びついたら、バカバカしくて目も当てられない。
#まあ、唯一の救いは、シンが、アガルタの衰退の原因が「どうせ…」と諦めたからから、ニヒリズムのせいだ(私の意訳ね)と指摘する部分か。

劣化ナウシカみたいな世界観、劣化もののけ姫みたいな動物、劣化ゲド戦記みたいなキャラ。ケツァルトなんか劣化巨神兵みたいだし、水の中を進む男の子と女の子の描写なんて千と千尋の神隠し、シャクナビマーラとやらはラピュタみたい。
本作はタダの劣化宮崎。新海誠に宮崎駿的なものを期待している人はいないわけで、いろんな意味で裏切っており、実にみっともない作品。今後もこんな作品をつくるようなら、筆を折ったほうがいい。
至る所、全方位的に、気色悪い部分が散見される作品。まったくお薦めしない。駄作(ゲド戦記未満)。

#で、タイトルの星を追っているのは誰?っていうか“星”って何よ?わけわかんね。




負けるな日本

 

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image1841.png公開年:2009年
公開国:タイ
時 間:114分
監 督:ラーチェン・リムタラクーン
出 演:“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン、カズ・パトリック・タン、パトリック・タン、マーク・ホアン 他





ロックバンドのドラマーのドゥは、彼氏の浮気現場を目撃し自暴自棄になり、街を彷徨っていたところ、ギャングに誘拐されそうになる。その時、サニムとその仲間たちが現れ彼女を救出する。彼らは泥酔拳という武術の達人たちで、興味をもったドゥは、その拳法を学びはじめるのだった。しかし、サニム達は、ギャングたちに、恋人や妻・妹を誘拐されてしまった過去を持つ男達で…というストーリー。

『チョコレート・ファイター』の主役の人が、本作でも主役。『チョコレート・ファイター』の原題は『Chocolate』だったけど、本作はChocolateとは無関係。もちろん続編でもなんでもなく、監督も違う。本作は大阪アジアン映画祭で公開された程度で商業的には未公開。『チョコレート・ファイター』は阿部寛が出演していて話題になったけど、本作では拉致された被害者の中に日本人がちょろっと紛れているだけ。一応、日本公開を意識した営業的演出の一環だと思うけど、効果は無かったようだ。
まあ、普通に考えれば、つまらないんだろうな…と思うよね。

もともとタダのバンドマンの女性なわけで、そんなちょろっとの特訓でなんで達人レベルになるのか。いや、なんで達人になろうと思ったのか。訓練内容とか、何の意味があるんだかわかんない部分が満載で、それを逆手に取って笑いにできそうなものなんだけど、マジメ路線なのかバカっぽさを追求しているのか。笑いのセンスの違いがちょっとイタいところかもしれない。
で、結局、なんで酔拳なのか…っていうストーリー上の理由も見えないし、泥酔拳とやらを教える男たちのバックボーンが、強引すぎてピンとこない。この映画の演出上酔拳でなくてはならない必然性や効果もいまいちわからない。
挙句の果てに、敵のアジトに突入しての最後の戦闘では、彼らはまったく酔ってないという…これって欠陥シナリオのレベルでしょ(苦笑)。

そういう悪の組織が存在するっていう前提で話は進むが、その敵のディテールが一向に見えてこない。敵がぼんやりしているストーリーがおもしろくなるわけはない。とある悪の集団に対する復讐というプロットは悪くないのだから、もう少しストーリーテリングを考えたほうがいいだろう。展開のタメみたいなものが無くて、スルスルと進めすぎているので、単調に感じられる。緩急の付け方や、人物描写メリハリを工夫すればいい。
#四年も囚われの身っていうのもリアリティないよな。

確かに彼女のアクションはスゴイだけど、カットが多いというか編集点が多いので、スゴさが半減。ワンカメの引き回しで連続アクションを見せないとダメなんじゃないかな。タイがどういう映画の撮り方をしてるのかよくわからないが、香港映画のようにシナリオを現場でほいほう書き直すのでなければ、一度外国人が書いたシナリオをタイのスタッフで撮るってのはどうだろう。

頭のネジがはずれた演出ばかりの韓国映画にもそろそろ飽きてきたし、経済は開放されてきているのに何故か映画のほうは閉塞感が溢れている今の中国映画にも食指は動かないし、かといってインドまでいっちゃうと娯楽の基本線から違うような気もするし。
お薦めするのははばかられるところだが、異国の若い衆が一生懸命つくったのであろう“好感”だけは感じられる。今後の、タイ映画の未来に期待したくなる作品。




負けるな日本

 

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image1839.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:81分
監 督:竹本昇
出 演:小澤亮太、山田裕貴、市道真央、清水一希、小池唯、千葉雄大、さとう里香、浜尾京介、にわみきほ、小野健斗、大葉健二、和田圭市、菊地美香、坪倉由幸、杉山裕之、谷田部俊、鈴木勝吾、相馬圭祐、逢沢りな、高橋光臣、佐藤健太、坂元亮介、萩原佐代子、春田純一、宮内洋、誠直也、関智一、田村ゆかり、小西克幸、野島裕史、石井康嗣、井上喜久子、進藤学、飛田展男、梁田清之、大塚明夫、神谷明、磯部勉、稲田徹、小川輝晃、大塚芳忠 他
コピー:スクリーンでド派手に行くぜ!

 

「レジェンド大戦」にて、34のスーパー戦隊が撃退した宇宙帝国ザンギャックが再び地球に来襲。“宇宙最大のお宝”を探すために地球を訪れている海賊戦隊ゴーカイジャーたちと、死闘を繰り広げていた。そこに、前回の大戦で、力を失ったゴセイジャーが現れ、自分たちもザンギャックと戦おうと、ゴーカイジャーからレンジャーキーを奪い取り変身する。さらにゴセイナイトキーを渡すようにゴセイジャーが迫り、両戦隊は争うことに。そのころ、かつてゴレンジャーに倒された黒十字王が復活。ザンギャックと手を組み、巧みな策略によって全レンジャーキーを奪取し、さらにゴーカイジャーとゴセイジャーの分断に成功する…というストーリー。

春の番組スタートとリンクして公開する予定だったのに、震災で撮影に支障が生じ公開が遅れてしまった。だから、TV放映と時系列が合わなくなっちゃったという作品(しょうがないよね)。

仮面ライダーの方は一足先に歴代仮面ライダー登場で、グッズバカ売れの大商いになったもんだから、戦隊モノでもってこと。自分が子供のころに観たヤツと、自分の子供と一緒に観たヤツで、必ずどこかに引っかかるのがある…という戦略(さらに今公開中の映画では、ギャバン登場で40前後のお父さんはシビれるわけだ)。

仮面ライダーの方は、ディケイドからはじまったガンバライド対応に対応して、カード→メモリ→メダル→スイッチと、子供よりも大人が真剣に収集するグッズとして大成功しているわけだが、戦隊の方は“レンジャーキー”。ヒーローの形をしていて鍵に変形するという、はっきりいってわけのわからないシロモノ。ところがこのわけの判らなさが、なぜかハマる要素を持っている。統一された規格だけど、ちょっとだけ微妙に違っており、且つさほど実用人間がないもの…これは、人間(特に男性)が収集したくなる条件だと思う(自論だけど)。これにぴったりハマっているのがレンジャーキー。
おそらくこれ、戦隊モノにとどまらず仮面ライダーとかいろんな作品に派生して、BE@R BRICKの市場を食いつぶしていくと予測する。比較的加工しやすいので、工作ゴコロもくすぐるのが良い。
#私はハマるといやなので、あまり買わないように注意しているけど。

映画の内容としては、通常放送の途中に挟み込むエピソードとして作られているので、観ていない人にはさっぱりの内容。日曜の朝に子供と一緒に観ていないとポカーンだと思う。
前作のゴセイジャーさんたちはまだいいとして、他の先輩レンジャーさんたちがパラパラ出てきても、よほどのマニアじゃなとわからんし、最後のバトルの歴代ロボットの総登場に至っては、何の芸も無く順番に技を繰り出すだけで、さすがにあそこまでやられると、懐かしいとかの感動も吹っ飛ぶ。
おもちゃの売り上げに繋がればいいので、とにかく全部出しときゃいいというスポンサーの意向は仕方が無いとは思うが、それはそれとしてプロの脚本家として、純粋に話をおもしろくする気がないところには、イラっとくる。そういう子供騙しとも捉えられかねない姿勢に、案外子供は敏感だよ。自分が子供の時は、そういうのが見えてくるから、観なくなっちゃったハズなんだけど、大人になると忘れちゃうんだね。

ただ、一つ勉強になったのは、こういうヒーローモノってのは、主役が優等生じゃ飽きられるってことだね。ゴセイジャーのアラタの優等生っぷりでは、1年も興味を持続できなかった。やっぱり若気の至り的な部分が多くて、それを周囲がフォローするっていう流れじゃないと、共感は得られないんだな。

まあ、お薦めしようがしまいが、興味のない人は観ないし、興味のある人は観るでしょ。そういう作品。




負けるな日本

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image1824.png公開年:2010年
公開国:アメリカ、イギリス、カナダ
時 間:112分
監 督:エドガー・ライト
出 演:マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、クリス・エヴァンス、アナ・ケンドリック、アリソン・ピル、オーブリー・プラザ、ジョニー・シモンズ、マーク・ウェバー、エレン・ウォン、サティヤ・バーバー、ブランドン・ラウス、ブリー・ラーソン、メイ・ホイットマン、斉藤慶太、斉藤祥太、ジェイソン・シュワルツマン 他
コピー:最も切なくて、最も怖ろしい、イノセントスリラーゲーム、ロック、イケてる彼女、それがぼくの人生の必勝アイテム!

アマチュアバンド“セックス・ボブオム”のベーシスト、スコット・ピルグリム。23歳の彼は、17歳の高校生ナイブスと付き合っていたが、とあるパーティで見かけたラモーナという不思議な魅力の女の子に一目惚れしてしまう。すっかり夢中になってしまったスコットが彼女に告白すると、突然謎の男が登場し、闘いを挑んでくる。その男はラモーナの最初の彼氏マシュー。何故かラモーナと付き合うためには、彼女が過去に付き合った7人の元カレを倒さなければいけないらしい…というストーリー。

日本のサブカルチャーに影響を受けてるってことなんだけど、日本人としては、馴れていて刺激が薄いというか、楽しそうって感じはするんだけど何故か眠くなる(実は、3回寝た)。日本のサブカル通を標榜する海外の人は高評価しただろう。でも、実際に観た人はその評価が正当とは思わなかった。一般の外国人は日本のサブカルに興味がないから?多分違う。

7人の敵と戦うことになる展開は、往年の少年ジャンプ漫画的なテンプレートだし。ファイトシーンは格闘ゲームを模したり、モンスターを映像化する部分なんかは少年向けの日本アニメによく見られるし。BGMはファミコン音声で溢れかえっている。でも、カフェインを続けて飲むと効かなくなってくるのと同じで、2,3戦目で刺激を感じなくなってくるんだわ。

ただ、日本でこういう作品をつくった場合、主人公は大抵奥手ぎみ。対して本作の主人公はある意味“リア充”。“青春”の概念の違いという、根本的なギャップ。アメリカのB級コメディにありがちな、小ネタの連発とギリギリのエロネタは、本作にも溢れているが、これが、日本サブカルとの相性が極めて悪いんだな。これが。

斉藤慶太/祥太兄弟は、海外映画デビューってことで、いいキャリアになったはずなんだけど、逆にちょっと怪我した感じになっちゃった。かわいそう。さらに、世界的に大コケしたせいで、日本のサブカルが怪我したみたいな感じで、ちょっとイヤかも。
監督に悪意があるわけじゃないのはわかってるんだけど、結果が伴っていないのは如何ともしがたい。レンタル料金100円なら損したとは思わないけど、それを超える金額だと微妙。そんなレベル。




負けるな日本

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image0482.png公開年:2002年
公開国:アメリカ
時 間:139分
監 督:F・ゲイリー・グレイ
出 演:サミュエル・L・ジャクソン、ケヴィン・スペイシー、デヴィッド・モース、ロン・リフキン、ジョン・スペンサー、J・T・ウォルシュ、シオバン・ファロン、レジーナ・テイラー、ポール・ジアマッティ、ダグ・スピヌッザ、マイケル・カドリッツ、ティム・ケルハー、ディーン・ノリス、ネストール・セラノ、メアリー・ペイジ・ケラー、ロバート・デヴィッド・ホール 他
コピー:IQ180の駆け引き。

ダニー・ローマンは、シカゴ警察東分署の腕利き交渉人。ある日、同僚のネイサンから、何者かが警察官の年金基金を横領していると聞く。その横領に関して新たな情報を得たというネイサンに呼び出され、彼のが指定した場所にダニーが向かうと、ネイサンは何者かに殺害された後だった。しかし、ダニーは現場にいたことから殺害の容疑をかけられ、さらに自宅に強制捜査が入り身に覚えの無い警察年金基金の資料が見つかったため、横領の嫌疑までかけられてしまう。このままでは、無実の罪を着せられると考えたダニーは、内務捜査局のオフィスに乗り込み、捜査局員たちを人質に篭城してしまう。何とか事件の真相を明かしたいダニーは、西分署の交渉人セイビアンを交渉人に指定する…というストーリー。

おすぎがCMで観なさい!っていってたね。劇場には行かなかったけど、DVD発売と同時に買っちゃったわ。その時に一回観て、それっきり観ていない。もう10年近く前なんだね。

罪を着せられこのまま屈すれば刑務所行き。究極的に追い詰められた男は、流れにまかせて立て篭もる。そして、一流の交渉人どうしの丁々発止の駆け引き。捕まっちゃうのか?犯人は誰なのか?先の読めない展開で、なかなかハラハラさせられる。サミュエル・L・ジャクソンとケヴィン・スペイシーの演技はキレキレで、そこだけ観れば、超一流の名作といってよい。だけど、まるで無冠。なぜか。

評価が低い理由は2つかな。
一つは長いこと。ケヴィン・スペイシー演じるセイビアンが出てくるまでに30分あるのだが、それ自体は良い。その30分の間に、サミュエル・L・ジャクソン演じるダニーが、もしかして本当に横領したのでは?という目を残している部分が無駄。セイビアンが出てくるとそういう方向性はまったく無くなるわけで、それならば、始めから、無実の男がズルズルと罠にはまっていくところだけを描けばよい。そうすれば、もう少しスッキリとした導入部になっただろう。

二つ目(こっちが重大)。内務調査部のおっさんの家に向かった後、つまりオチの部分が実につまらない。結局、無実を証明できるものは見つかららず、ちょっとした場当たり的なトリックで、すべてを片付けてしまう。
ポール・ジアマッティー演じるタレ込み屋や秘書のおばちゃんのキャラが、だんだん立ってくるのだが、結局秘書が裏切るだけで終わる。彼らが、事件解決に絡んで、もう一活躍できる場面があればおもしろかったのに。脚本として芸がない。
私が脚本スクールの講師だったら、「このラストの展開はイマイチです。あなたなりに書きかえてみましょう」っていう課題を出したくなるレベル。最高のサスペンスが、息切れしたオチのせいで、凡作になってしまった悲劇。

そうだね、このDVD買った時の記憶が蘇ったわ。途中まで「いや~いいDVD買ったわ…」と思っていたのに、ラストを観て「おすぎの馬鹿…」って思ったんだっけ。そして、おすぎのお薦めは信用しちゃダメだって、心に刻まれたはずだったのに。

#あと、吹き替えだと“ネイサン”が姉さんに聞こえるし、“ないていにん(内偵人)”が潜入調査員(スパイ)のことを指してるって、しばらくピンとこなかった(いいがかりか)。





負けるな日本

 

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image1733.png公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:フランシス・フォード・コッポラ
出 演:ロビン・ウィリアムズ、ダイアン・レイン、ブライアン・カーウィン、ジェニファー・ロペス、ビル・コスビー、アダム・ゾロティン、フラン・ドレシャー、マイケル・マッキーン、アシュリー・ローレン 他



ブライアンとカレンは待望の子供を授かったが、その子ジャックは、細胞の成長が著しく早く、普通の4倍の速度で成長してしまうという奇病に冒されていた。10歳になったジャックは、すでに0歳の外見になっていたが、友達のいない環境を危惧した家庭教師は、ジャックを学校に行かせることを薦めるのだった。かくして、大人の姿のジャックは、小学校に通うことになるのだが…というストーリー。

これ、コッポラ作品なんだよねぇ。意外。
中身は子供、姿は大人。『ビッグ』等々、こういうテーマの作品は他にもある。近頃だと『 ベンジャミン・バトン 数奇な人生』だってこの亜種だ。だけど、他の作品と圧倒的に違う点がある。本作のように本当に大人の容姿になりはしないけれど、実際にこういう病気があるってこと(プロジェリア症候群とか)。他はファンタジーで済むけど、本作は観ていてどうも愉しめない。引っかかる。

すでに親の見た目年齢は追い越した状態で小学校に通い、やっぱりいじめられる。すったもんだを経て同級生と仲良くはなる。だけど、やっぱり急激に老いていくという現実の壁にぶつかり、どんぞこに落ち込んでいく。まさか、妖精が登場してこの病気を治してくれるわけでもあるまいし、何をどうひっくり返しても、悲劇的なオチになる意外にない。ロビン・ウィリアムズの演技が、達者な演技がかえって空々しさを助長してしまい、観ているこっちの気持ちも落ちる一方だった。

いや、むしろ、そういう悲劇的な最後を迎える彼を目の前にして、人生で何が大事かを周囲の人か感じ、成長していく物語を描こうとしているのだな…と思った。しかし…

(以下ネタバレ)
最終的に、確かに歳を重ね老人の姿になっていくが、友人達と共に高校を卒業。“死”という悲劇を見せることなく本作は終わる。卒業式でのジャックのスピーチも、人生の上で大事なことについて美辞麗句が並び、そこに確実にあるであろう“死の影”を忌避してしまった。これを前向きと捉えるのか、現実から目を背けたと観るのか。私は、後者と捉えたからしっくりこなかったんだと思う。命の大事さってのを感じて欲しいって言いたいんだろうなってのは判る。だけどピンとこない。腑に落ちない。
最後のスピーチが、希望と悲壮感の半々であれば、印象は違ったかもしれない。でも、そうしたら感動できたかといえば、そうともいえない。やっぱり、おもしろくするのが根本的に難しい設定なんだと思う。

まあ、オチを言っちゃうと、コッポラが二十歳の息子を亡くしてしまったという事情があっての本作らしいんだよね。だから、ジャックの人生に救いがないのはあたりまえ。最後、ジャックが自分の人生に満足していると主張するのも、コッポラが自分の息子が満足していた、そう思っていて欲しいという願望。受け入れがたい息子の死をジャックという役柄に投射したんだと思う。

素直に、いじめらるジャックの姿に感情を昂ぶらせたり、ジャックを次々迎えに来る子供たちのようすに感動したりできればよかったんだろうけど、作品の裏にある流れみたいなものに薄々感づいてしまったため、ノリきれなかった。ちょっとお薦めしにくい。

#この先生役ってジェニファー・ロペスなんだねえ。気付かなかった。




負けるな日本

 

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image1374.png公開年:2008年
公開国:日本
時 間:103分
監 督:矢口史靖
出 演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、田中哲司、平岩紙、中村靖日、肘井美佳、森岡龍、正名僕蔵、藤本静、佐藤めぐみ、入山法子、長谷川朝晴、いとうあいこ、江口のりこ、宮田早苗、明星真由美、森下能幸、笹野高史、田山涼成、菅原大吉、竹中直人、木野花、ベンガル、小日向文世、柄本明、岸部一徳 他
コピー:ヒコーキ、飛ばします。

機長昇格の最終訓練に挑む副操縦士の鈴木和博。そのフライトはホノルル行き1980便。前日のシミュレータで失敗し、ただでさえ緊張しているのに、当日になって試験教官が厳しい原田教官急遽変更され、さらに緊張。一方、その便には、初国際線となる新人CA斎藤悦子も搭乗。空港カウンターでは、スタッフの木村菜採が乗客や同僚が引き起こす問題の対応に追われ、整備場では若手整備士が上司に怒鳴られながら整備を行い、各々が定刻運行に向けて必死にがんばっていたのだが…というストーリー。

綾瀬はるかに田辺誠一、田畑智子と、矢口監督作品らしいいかにもなキャストなので、まあ、いつもの感じなんだろうなと、期待せずにいたら、まさかの愉しさ。ストーリーの主筋は、機長昇格訓練のフライトだったんだけど、色々なことが次々おこって、結局、羽田に戻ることになった…という以外には何もない。何もないのに、おもしろい。何がすごいんだろう。

ANA関連の仕事人たちへのインタビューの結果の中から、部外者が興味を持つこと、知ってるようで知らないことを、積み上げて一本の映画にした感じ。どれだけがっちりインタビューできたか、ロケハンできたか、その成果がすべてだったように思える。発生するトラブルが、田辺誠一演じる副機長や、綾瀬はるか演じる初海外便CAなどを、大きく成長させる話に焦点が当たっているわけではない。それらは、一つのサブストーリーのすぎず、主役は“航空業界に携わる仕事人魂”ってことなんだろう。航空関係の業務の奥深さと、職業意識の塊っぷり。脚本としては、それらをうまくまとめたにすぎない。

ある意味、一つのフライトという時空のなかで繰り広げられる、グランドホテル形式の映画だと思う。今までの矢口監督作品とは、フレームのはめかたの次元が違う作品。

まったく架空の部分がないのかといえば、そんなこともなさそう。いくらデザートを溶かしてしまったからって機内で調理することはないだろうし、停電で機器が復旧しないからといって窓口の所にある飛行場の模型を運ぶなんてしないだろうし。
だけど、テンポよく綺麗にまとまっているので、そのくらいのことをしたって、リアル感が台無しになることもない。これってすごいこと。
#ただ、TV放映をした場合、CMで切られると、このテンポが崩れて、おもしろくなくなっちゃうかもしれないね(あれ?TV放映ってしたのかな、これ)。

事故の話ではあるけれど、飛行機に乗り馴れた人は、機内の音や雰囲気で記憶が読みがえり、また飛行機de
旅をしたいと思うんじゃないかな。私はそうだったよん。お上品な笑い(というか微笑ましさ)が鼻につくこともなく、気楽に楽しめた快作。お薦め。




負けるな日本
 

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image1673.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:116分
監 督:金子文紀
出 演:二宮和也、柴咲コウ、堀北真希、大倉忠義、中村蒼、玉木宏、倍賞美津子、竹脇無我、和久井映見、阿部サダヲ、佐々木蔵之介、細田よしひこ、竹財輝之助、松島庄汰、ムロツヨシ、崎本大海、三上真史、金子ノブアキ、白羽ゆり、田上晃吉、宍戸美和公、浅野和之、板谷由夏、菊川怜 他
ノミネート:【2010年/第34回日本アカデミー賞】美術賞(花谷秀文)
コピー:男より強く、女より美しく
将軍は女、仕えるは美しき男たち三千人

男性だけが罹り、その8割を死に至らしめる疱瘡が流行り、男性の数は激減。これにより、社会における男女の役割は逆転し、今や将軍も女子によって引き継がれている江戸時代。将軍の世継ぎのために、3000人の男性を囲う大奥では、将軍の寵愛を勝ち取るべく、熾烈な争いが日々繰り広げられていた。貧しい旗本の家に育った水野祐之進は、男が子胤を残す貴重な手段として扱われるこの世にあって、武士道を追い求める男らしい存在だったが、貧しい家を救うために、大奥への奉公を志願することを決める。水野が大奥にあがってまもなく、幼い将軍家継が死去し、八代将軍吉宗が誕生する。しかし、財政難の世を憂う吉宗は、絢爛豪華な大奥などには興味を示さずに質素倹約を推し進め…というストーリー。

マンガ原作だし、アイドル俳優を並べたチャラい陣容だし、どうせふわっとしたおちゃらけ映画なんでしょ?なんて思ってたら、いい意味で裏切られたよ。

流行り病により男性が激減するという強引な“if”から始まり、女性が社会を支える世界を見せていく。確かに強引かもしれないが、臆面なく強引さを貫く勢いは逆に心地よく、また、ディテールの積み重ねもしっかりしていて、案外説得力がある。原作マンガは読んでいないが、この面白さは、脚本云々ではなく、おそらく原作が持っているものなんだろう。。

ディテールの積み重ねの部分は、決して架空の積み上げではなく、純粋に男女が入れ替わっているだけで、正しい江戸の風俗・風習である点が、作品に厚みを持たせていると思う。英語の江戸文化解説なんかをDVDのコメンタリー音声として入れてみたら、ものすごく外国人にウケると思う。「ここでは男性ばかりだけど、実際の大奥ってのは、これが女性ってだけで、実際こういう制度があったんだよ」とか、「こういう裾の長い着物は、ギャグじゃなくって本当に当時の男性は殿中ではいていたんだよ」とかね。
#観光庁もタダで外国人を日本旅行に招待するとか、そういうくだらないことやってんじゃなくて、こういうメディア戦略に金かけりゃいいんだよ。よっぽど興味もってもらえるわ。

設定が設定だけに、水野は単なる堅物ではなく、女も抱くし男色にも一歩踏み込むし、まあいかにも女性マンガ的なキャラクターなんだけど、その行動が情深き故…という感じに映って、映画においてもい味になっていると思う。“大奥”と聞けばもっとドロドロしたいかにもっていう展開を予測するだろうけど、一歩手前で踏みとどまっており、男性の興味を惹く要素もある(『ブラック・スワン』よりも男性は愉しめるかも)。

無駄にイラっとすることもなく、途中で一回も飽きることなく最後まで観ることができた。軽妙さとしっかりした作りが共存する拾い物。まったくチャラくないから、男性も堂々と借りて問題なし。お薦めしておこう。

#本作の堀北真希のセリフは、レイトンのルークにしか聞こえん。最後は何で水野がそこにいるのか、謎解きしてくれるのかと思ったわ。



負けるな日本
 

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プロフィール
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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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