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image1876.png公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:リー・デビッド・ズロートフ
出 演:アリソン・エリオット、エレン・バースティン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィル・パットン、キーラン・マローニー、ゲイラード・サーテイン、ジョン・M・ジャクソン、ルイーズ・デ・コーミア 他
コピー:誰にも言えない過去を抱えて、彼女はここにやってきた-。
凍てついた心を癒せるのは 傷ついた心だけ…。


刑期を終えて出所した若い女性パーシーは、メイン州の小さな町へバスでやってくる。彼女はこの小さな田舎町で再出発しようとしていたのだ。保安官の紹介で、ハナという無愛想な老婆が経営するカフェ“スピットファイアー・グリル”で働くことになる。ハナの甥のネイハムをはじめ、常連客はパーシーの正体を疑っていたが、パーシーは自分が収監されていたことを隠すこともなく堂々としていた。そんなある日、ハナが転倒して寝たきりになってしまったため、パーシーとおっとりとしたネイハムの妻シェルビーがカフェの切り盛りをすることに。その様子をみてハナも徐々に彼女たちを認めるようになり…というストーリー。

突然、閉鎖的な町に部外者がやってきて、それによって町が揺れだすという、よくあるパターンの作品。西部劇なんかだと凄腕の一匹狼だったりするが、本作は刑期を終えた若い女性。ショボいシナリオだと、その過去がバレるかバレないか…みたいな軸で展開させたりするが、そんなくだらないことにはならない。あっさり自分で大声で発表しちゃう。基本的にそこ自体には傷がないことをサラりと表現するが、でも彼女には影があるので、何か別の傷があるに違いない…そういう軸で展開していく。

彼女を受け入れる食堂のばあさんハナも傷を持っているが、それが何かは本人しかしらない。二人を手伝う、ばあさんの甥の嫁さんは、夫からの抑圧にうんざりしているが、おとなしい性格から歯向かうことができない。この傷をもった女性たち、そして閉鎖的な町の人たちでストーリーが流れていく。こう考えると、昨日の『シッピング・ニュース』に似ているな。

こういうパターンの場合、やってきた人は、大抵去っていくが、本作の場合はどうか(以下ネタバレ)。ちょっと救いがない気もするが、私は本作のラストは好きである。

パーシーの人生は決していい人生ではなかった。彼女の過去、何故刑に服すに至ったかを知ると、心が重くなる(これが、ちょっとエグすぎるので、あまりTV放送されないんじゃないかな)。別に周りの人のために身を粉にしようなんて気は微塵も無かったと思う。しかし、結果的に彼女はハナの心を開いただけでなく、息子の心も微かながらに開き、シェルビーも踏み出せなかった一歩を踏み出せるようになる。そして、町の人たちの悲しみは、彼女を失った悲しみだけじゃなく、自分たちの偏狭な心が彼女を殺してしまったことに気付いてしまった故。

正直、不動産屋の甥っ子は村八分になってもいいくらいなんだけど、引っかかりつつも人々は偏狭な心を捨てようとしているわけだ。そういう意味では極めてキリスト教的かもしれない。最後まで邦題がしっくりこないな…なんて思っていたのだが、最後まで観て“天使”と入っていることに至極納得。珍しく邦題が成功している例。

作文コンテストの件、山にいる謎の人物、憎たらしい不動産屋の件、その妻の件、諸々の流れが一気に集約されて潮流となる最後の盛り上がり。シナリオの巧みさに鳥肌が立った。本作の脚本は監督自ら書いているのだが、その後、この人が作品を手掛けたという情報がない(どーしてかな)。

お薦めの一作。連日の秀作。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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