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公開国:イギリス
時 間:93分
監 督:キャロル・リード
出 演:ミア・ファロー、トポル、マイケル・ジェイストン、マーガレット・ローリングス、アネット・クロスビー、ダドリー・フォスター、マイケル・アルドリッジ 他
コピー:ゆらぐ現代の愛を限りない優しさでつつむ 名匠キャロル・リードの心暖まる名作
ロンドン在住の一流会計士のチャールズは、妻ベリンダの最近の行動に不審を抱き、浮気を疑い、私立探偵のクリストホルーに調査を依頼する。クリストホルーは、調査に必要ということで、妻との馴れ初めを話すようにチャールズに求める。クリストホルーはやたらと馴れ馴れしく、チャールズの癇に障る男だったが、調査に必要ということで、レストランで働いていたベリンダとの出会いから、結婚後の彼女の行動までを語るのだった。実は、ベリンダは、チャールズが妻のあるべき姿をあまりにも押し付けるので窮屈に感じ、日々の散歩で気を紛らわせていただけだった。しかし、クリストホルーのバレバレの尾行に気付き、彼に興味を抱くようになり…というストーリー。
吹き替え音声で観たが、昔のTV放送時の音声、それも声優さんのいかにも昔の台詞回しにノスタルジーを感じた。いい味だと思った。しかし、はじめに言ってしまうが、この作品は私の好みではなかった。妻の浮気を疑う夫のお話、そして妻との馴れ初め、正直、何の興味も沸かないシーンが長々と続き、私は飽きてしまった。93分と短めの映画だが、2時間以上に感じた。
今の時代からすると、ヒッピーというのがピンとこないが、まあ、まともな社会規範とか常識を持っていない人間であり、浮き草みたいな存在と考えればいいのだろうか。そんな若い女性、それもアメリカからの流れ者と、ロンドンの堅物会計士が結ばれるという、普通に考えればありえない設定。少女マンガ的だね。自分を変えたいと思っているってこと、その一点だけが共通点といえるわけだが、普通に考えれば、会計士の妻として収まることなんかできるわけがない。
ここで誰かに感情移入できればよかったんだろうが、この段階で、別れようがヨリを戻そうがどうでもいいや…と思ってしまった。おそらく、こういう作品が好きな人は大勢いると思う。でも、私個人は、どうしても入り込めなかったのだ。仕方がない。
夫がヒッピーの娘に固執する理由がよくわからんし、妻がそんな堅物と結婚生活を続けたいと思うモチベーションの基底になっているものもわからない。
夫が妻のほうに寄せていくという結末。そんな息抜きに付き合うのは結構なことかもしれないが、これからの結婚生活でこのような生き抜きに延々と付き合うということか。それで収まるわけがなかろう。妻も少しは夫のほうに歩み寄る姿勢はないものだろうか。だってできないんだもん…って、妻側はそれしか言っていない。
最後のシーンに爽やかさを覚える人もいるようだが、私には、そんな形で続けることが美しいとは思わない。私には破滅しか見えないのだが。別れたほうがいいんじゃね?やさしさをうまく表現できない夫…という解釈もできるかもしれないが、結婚前はうまく表現できていたんだから、悪い方に変わっただけでしょ。
メインの夫婦を食ってしまったというか、強烈なキャラクターのクリストホルー。掻き回し役と修復役を担っているわけだが、色々都合が良すぎてピンとこなかった。
小品良作ってところか。個人的は全然ダメな作品。
公開国:フランス
時 間:101分
監 督:ミシェル・アザナヴィシウス
出 演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、ミッシー・パイル、ベス・グラント、ジョエル・マーレイ、エド・ローター、ビッツィー・トゥロック、ケン・ダヴィティアン、 マルコム・マクダウェル、ベイジル・ホフマン、ビル・ファガーパッケ、ニーナ・シマーシュコ、スティーヴン・メンディロ 他
受 賞:【2011年/第84回アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、作曲賞(ルドヴィック・ブールス)、衣装デザイン賞(マーク・ブリッジス)
【2011年/第64回カンヌ国際映画祭】男優賞(ジャン・デュジャルダン)
【2011年/第78回NY批評家協会賞】作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)
【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ジャン・デュジャルダン)、音楽賞(ルドヴィック・ブールス)
【2011年/第65回英国アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、オリジナル脚本賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、作曲賞(ルドヴィック・ブールス)、撮影賞(ギョーム・シフマン)、衣装デザイン賞(マーク・ブリッジス)
【2011年/第24回ヨーロッパ映画賞】音楽賞(ルドヴィック・ブールス)
【2011年/第27回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)、撮影賞(ギョーム・シフマン)
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、衣装デザイン賞(マーク・ブリッジス)、音楽賞(ルドヴィック・ブールス)
【2011年/第37回セザール賞】作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演女優賞(ベレニス・ベジョ)、音楽賞(ルドヴィック・ブールス)、撮影賞(ギョーム・シフマン)、美術賞(ローレンス・ベネット)
コピー:温かい涙、溢れ出す愛。この感動に世界が喝采――
1927年のハリウッド。映画界はサイレント全盛期。銀幕のスター、ジョージ・ヴァレンティンは、愛犬と競演した新作の舞台挨拶で大喝采を浴びていた。熱狂する観客は映画館の周囲にまで溢れるほどで、ジョージは会場を出るだけでも一苦労。そんな混雑の中、ジョージは若い女性ファンに突き飛ばされてしまう。それでもご機嫌のジョージは怒ることなく微笑んでいると、突き飛ばした女性は興奮して、大スターの頬にキスしてしまう。そこを写真に撮られ、翌日の新聞の一面に。おかげでジョージは妻の機嫌を損ねてしまう。ジョージを突き飛ばした女性は、女優を目指すペピー・ミラー。映画会社のオーディションを受けた彼女は、キュートなダンスと笑顔で見事合格し、ジョージ主演作のエキストラ役を獲得する。撮影後、楽屋を訪ねてきたペピーに、ジョージは唇の上にほくろを描くことをアドバイス。その後、彼女は続々と役を獲得していく。一方、映画界にはトーキー映画が登場。しかし、ジョージはサイレント映画にこだわり続け、時代から取り残されてしまい…とうストーリー。
サイレント時代のお話なので、本編もサイレントで進む。白黒なだけでなく4:3。観る前、何だよ吹き替え音声ついてないのかよ…なんて思ってたんだけど、そりゃあるわけないわなぁ。
「昔の写真が白黒なのは、実際に世界が白黒だからだと思ってた…」なんていうかわいい子供の勘違いを聞くことがあるが、本作も、トーキーが世に出てきたとき(もしくは世に受け入れられた瞬間)に、本編に音が入ってくるのかと思ったら違った。
主人公は、映画の主流がトーキーになっても、頑なにサイレントこそ真の映画だと思っている人間。だからずっと本作もサイレントなわけだ。そしてサイレント映画こそ芸術だと思っている。だからアーティストっていうタイトル。一応、筋は通っている。
ラストは、『ジャズシンガー』(『ジャズシンガー』はサイレンとからトーキーへの移行を体現した映画。ずっとサイレントで話が進んでラストシーンで声が入る)。『ヒューゴの不思議な発明』が子供向けのファンタジーと思わせておいて、実はジョルジュ・メリエスへのリスペクト且つ映画賛歌だったりしたわけだが、こういう映画自体へ愛が溢れる映画は嫌いじゃない。
#なので、途中で夢の音声が乗るのがちょっと邪魔だったかも。
3D全盛の中、これが米アカデミー作品賞を獲ってしまうということにも意味がある。が、本作は技術の進歩に付いていけない業界人の凋落が表現されていることを考えるとと、3Dの波に乗ることに躊躇するな! 観客は立体映像を観たがっている!というメッセージと取れなくも無い。
他の映画製作者は「その手があったか」「やられた」と思ったことだろう。もうこの手法は使うことはできないものね。企画の勝利。
まあ正直、ストーリーは凡庸な気がするが、ラブストーリーになんか基本的に興味のない私には、適度な恋愛模様。その恋愛だって単なるオッサンへの愛情ってだけじゃなく、“映画”へのリスペクトが混ざってるんだもの。私はグっと惹きつけられたまま、観終えることができたけど、良いと思う人、それほどでも…という人、ぱっくり半々に分かれる作品だろうね。
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:101分
監 督:マーク・パランスキー
出 演:クリスティナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、キャサリン・オハラ、ピーター・ディンクレイジ、リチャード・E・グラント、サイモン・ウッズ、ロニ・アンコーナ、レニー・ヘンリー、リース・ウィザースプーン、ニック・フロスト 他
コピー:好きになりたい。
豚の鼻を持って生まれてきた私は夢見ていた──恋することを。
名家ウィルハーン家には言い伝えられてきた呪いがあった。それは、5代前のラルフが使用人クララを妊娠させたものの、彼女を捨てて名家の娘と結婚したことに端を発する。失意のクララが崖から身を投げ自殺すると、彼女の母親が屋敷を訪れ、次に生まれる娘は豚の耳と鼻になると呪いをかけたのだ。その呪いを解く方法は、名家の者が娘に永遠の愛を誓うこと。しかし、その後ウィルハーン家に生まれたのは男児ばかりで、初めて生まれた娘がペネロピだった。彼女の鼻と耳は呪いのとおり豚のそれで、ショックを受けた母ジェシカは、大衆の目から守るため、彼女を死んだことにして屋敷に幽閉してしまう。そして、ペネロピが18歳になると、真実の愛が呪いを解くと信じているジェシカは、多額の持参金を餌にして次々と見合いをさせるのだった。しかし、見合いの相手は、ペネロピの顔を見た途端に驚いて逃げ出す始末で…というストーリー。
お話の発端は『ダーク・シャドウ』とまったく同じで、領主様の慰み者になった使用人の娘側が一族に呪いをかけるというお話。実際に欧米ではよくあった出来事なんだろうさ。
それほど評価されていないようだが、なかなかウマくできた、現代の御伽ばなしだと思う。
目先の金に釣られて、彼女の顔を撮影することを依頼されたイケメン男ジョージと、ちょっとした行き違いが重なって、心を通わせることになる豚鼻の娘。顔を見ないままの会話が、なかなか微笑ましい。屋敷に閉じ込められているとはいえ、娘を飽きさせないため、お姫様のような服装や部屋の様子。極めて女の子向けな内容でスタートし、行き違いありーの、ドタバタありーのという展開。
そのまま終わってしまったなら、男性はおもしろくないのだが、中盤からは、一人立ちのストーリーになっていく。悪役であるエドワードらの策略だけでなく、母親との軋轢によって、彼女は家出。顔を隠したまま街にまぎれていく。こういうプロットポイントのメリハリが効いていて、興味は失せない。
その後、カミングアウトして、さらにエドワードの悪意に翻弄されていくわけだが、まあ、その辺は中だるみ。こりゃこのままつまらなくなるのかな…と思っていたら、なんとちょっと意外な呪いの解け方だった。この呪いのとき方は秀逸だったと思う。おもしろかったよ。
#でも、父親は十分に娘のことを愛していたようにみえるんだけどなぁ…。
ただ、普通の鼻になったら、さほどかわいくないという…(笑)。観てる側が豚の鼻に慣れちゃったのかもしんないけど。『バッファロー'66』の時はトランジスタグラマーな魅力満載だったのに、『耳に残るは君の歌声』のときは、役柄のせいなのか、むちむちだって言われるのがイヤだったのか、細くなって気持ち悪さ満載になってしまった。そこから6年経って、すこしは昔のムチムチ感が戻ってきたんだけどやっぱり、中途半端だね。
そして、母親を最終的な悪役にしちゃうというオチがいかがなものか…と。さらに、声が奪われる新たな呪いとか、冷静に考えるとものすごく救いがない。反面、エドワードが地獄に落ちるような流れにならないという。ある意味シュール。
また、家を出てからどれだけ時間がたったのかよくわからんが、学校にもいってない人が、そんなに簡単に教師になれるものなのか。そして、恋愛的にはハッピーエンドっぽく終わるけど、ギャンブルに溺れるやつは、どんな理由があれど、絶対に繰り返すからな(笑)。ペネロペは絶対に苦労することになるよ。
まあ、トータル的には、悪くない出来映え。ラブロマンスとファンタジーと童話特有のエグさがうまくミックスされた作品。軽くお薦め。
#最後のちっちゃい船はやりすぎ。興醒め。
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:ノーラ・エフロン
出 演:トム・ハンクス、メグ・ライアン、ビル・プルマン、ロス・マリンジャー、ロージー・オドネル、ギャビー・ホフマン、ヴィクター・ガーバー、リタ・ウィルソン、バーバラ・ギャリック、キャリー・ローウェル、ロブ・ライナー、キャロライン・アーロン、ハンナ・コックス 他
ノミネート:【1993年/第66回アカデミー賞】脚本賞(ノーラ・エフロン、デヴィッド・S・ウォード)、主題歌賞(作詞/作曲:マーク・シェイマン“A Wink and a Smile")
【1993年/第51回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](トム・ハンクス)、女優賞[コメディ/ミュージカル](メグ・ライアン)
【1993年/第47回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ノーラ・エフロン、デヴィッド・S・ウォード、ジェフ・アーチ)、作曲賞(マーク・シェイマン)
【1994年/第3回MTVムービー・アワード】歌曲賞(クライヴ・グリフィン、セリーヌ・ディオン“When I Fall In Love”)、女優賞(メグ・ライアン)、ブレイクスルー演技賞(ロス・マリンジャー)、コンビ賞(メグ・ライアン、トム・ハンクス)
シカゴに住む建築家のサムは、最愛の妻を癌で亡くしてからというもの、落ち込む心を仕事に打ち込むことで誤魔化す日々。そんな父親を心配した息子のサムは、パパには新しい奥さんが必要だと、リスナー参加のラジオの番組に相談の電話を入れる。仕方なく電話口に出たサムは、妻を亡くしてからは孤独で眠れぬ夜もあると告白するが、そんな声がアメリカ中の女性の心を惹き、彼と付き合いたいという手紙が山のように届くようになる。そして、カーラジオで偶然その番組を聞いていたボルチモアの新聞記者アニー・リードも、そんな心惹かれた一人。彼女はサムの声を聞いてから何かが変わってしまい。婚約者ウォルターと過ごす時間がまったく楽しくなくなってしまい、婚約者がいるにも関わらず、サムに手紙を書くのだった…というストーリー。
メグ・ライアンだもの、お約束の恋愛モノでしょ…と高を括っていたら、恋愛の当事者の二人が一瞬擦れ違うだけで、ラストまで一度も会わないというスゴい切り口。極めてユニークというか、実に戦略的なプロットで、正直驚愕した。企画の勝利である。
見栄えのいい女性で、たまたまお互い好意的に思ったからいいようなものの、そうじゃなきゃ、思い込みの激しすぎるストーカーだ。年喰った男女のロマンスだけど、あまりに突飛でファンタジーの域。子供が単独で飛行機のチケット取って、ニューヨークいけちゃうんだもの。
トム・ハンクスとメグ・ライアンだから成立したとは言えるね。彼らじゃないと、こんなほのぼのとした雰囲気にはならなかったと思う。
男性目線からすると、サムがハイエナみたいな笑い声の女と付き合うあたりで、なんか打算的に感じられてちょっと興醒めしてしまう。案外、男は男なりに恋愛の理想像みたいのを持っているから、あれはちょっと引いちゃう。また、ませた息子も、父親目線でみるとかわいくない。父親が妻を亡くしてあれだけ落ち込んでるのに、息子があっけらかんとしているのも、違和感があるしね(男の子がそうはいかんだろう…って思うもの)。あれが娘だったら、すんなり受け入れられたのかもしれないけど、そうすると逆に女性目線では違和感が生まれるか。やっぱり、いずれにせよ、母親の死からあっさり立ち直ってる子供っていうのが、この映画の難点だよな。
女性同士のやりとりなんか、女性からすればピンとくるんだろうね。こちとらオッサンなもんで、ウザい…って思っちゃったけど。やっぱり女性向けですな。まあ、とにかくロマンス映画史に残るユニークな作品。
#元の『めぐり逢い』を知らないし、BGMに使われている楽曲を知らないことで、かなり損をしているかもしれない…
公開国:ドイツ
時 間:105分
監 督:フィリップ・シュテルツェル
出 演:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライブトロイ、ヘンリー・ヒュプヒェン、ブルクハルト・クラウスナー、フォルカー・ブルッフ、ハンス・マイケル・レバーグ 他
コピー:きみに見つめられるだけで、幾千の詩が生まれる。
1772年ドイツ。父親の命令で法律を学ばされているヨハン・ゲーテ。しかし、ゲーテの夢は作家になることで、法律の勉強には興味を示さない。父親に作家で生計と立てると豪語してみたものの、出版社に送った原稿が認められることはなく、意気消沈する。業を煮やした父親は、ゲーテを田舎町ヴェッツラーにある裁判所で実習生として働くように命ずる。渋々着任したゲーテだったが、町の舞踏会で出会ったシャルロッテという女性に強く惹かれてしまう。一方、裁判所の上司であるケストナーも、シャルロッテに好意を抱いており、彼女の父親に縁談を申し込んでいて…というストーリー。
ゲーテといえば『若きウェルテルの悩み』。『若きウェルテルの悩み』といえばゲーテ。有名な小説といえばあとは『ファウスト』くらいか。
その青年ゲーテが『若きウェルテルの悩み』を出版するまでのお話。田舎町ヴェッツラーでシャルロッテという少女と恋に落ちたこと。そしてシャルロッテがケストナーという友人と婚約していたこと。友人が人妻との不倫の末、自殺したこと。そして、シャルロッテとの恋愛の顛末と、その友人の自殺をくっつけて『若きウェルテルの悩み』が誕生したというのは、定説である。
その恋の行方、というか、上司と部下による一人の女性を巡るすったもんだは、女性マンガか韓国ドラマか…というくらいの内容。シチュエーションはかなりドロドロなはずなんだけど、これが結構さっぱりと描かれて、男性でも楽しめるかも。
ただの二股じゃねーかって思うかもしれないが、当時の状況を考えれば、家族の窮状を救えるチャンスを放棄できるような状況ではないだろうし、それでもシャルロッテは自分の意思を表出したほうだと思う。
では、このまま史実を描いて、この作品は終わるのか…。
(以下ネタバレ)
ゲーテが拘禁されたあたりからはすっかり創作である(上司をひっぱたいたくらいで拘禁されるのも変な話なんだけど)。拘禁中に『若きウェルテルの悩み』の原稿を書き、それをシャルロッテに送ったのも創作だし、それをシャルロッテが出版社に送ったのも創作。
#実際は、普通にヴェッツラーを離れ、友人の自殺も町を離れてから知ったはず。
でも、この創作があることで、『恋におちたシェイクスピア』ほどではないが、楽しい作品として締めくくることができていると思う。
『若きウェルテルの悩み』が大ヒットした当時は、真似をして自殺する若者が増え、社会問題になったとか。まあ、一昔前にはやった『失楽園』とか、そういうジャンルですな。
意外と、軽妙なラブロマンスに仕上がっており、男性でも楽しめる作品かと。軽くお薦め。
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:ゲイリー・マーシャル
出 演:ハル・ベリー、ジェシカ・ビール、ジョン・ボン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ロバート・デ・ニーロ、ジョシュ・デュアメル、ザック・エフロン、ヘクター・エリゾンド、キャサリン・ハイグル、アシュトン・カッチャー、セス・マイヤーズ、リア・ミシェル、サラ・ジェシカ・パーカー、ミシェル・ファイファー、ティル・シュヴァイガー、ヒラリー・スワンク、ソフィア・べルガラ、ケイリー・エルウィズ、アリッサ・ミラノ、コモン、サラ・ポールソン、カーラ・グギーノ、ラッセル・ピーターズ、ジェームズ・ベルーシ、ジェイク・T・オースティン、ジョーイ・マッキンタイア、ショーン・オブライアン、ラリー・ミラー、ジャック・マクギー、イヤードリー・スミス、ドレナ・デ・ニーロ、ペニー・マーシャル、クリスティーン・レイキン、アール・ローズ、チェリー・ジョーンズ、キャスリーン・マーシャル、デヴィッド・ヴァルシン、パトリック・コリンズ 他
ノミネート:【2011年/第32回ラジー賞】 ワースト作品賞、ワースト主演女優賞(サラ・ジェシカ・パーカー『I DON'T KNOW HOW SHE DOES IT』に対しても)、ワースト監督賞(ゲイリー・マーシャル)、ワースト・アンサンブル演技賞
ニューヨークの大晦日、8組の人々の物語。タイムズスクエアでのカウントダウン・イベントの責任者を任されたクレアは、その責任の重大さから神経質になっていたが、そんな彼女をニューヨーク市警のブレンダンが手助けする。セレブが集まるパーティの仕事が入り大忙しのケータリング会社社長ローラは、タイムズスクエアでのカウントダウン・ライブに出演する元カレのロックスター・ジェンセンと再開してしまう。死期の迫った孤独で頑固な老人スタンは、かつて娘とすごした大晦日を思い出していた。そんな彼を看護士のエイミーは優しく見守る。長い間会社に尽くしてきた40過ぎのイングリットは、そんな自分がイヤになり辞職し、仕事のせいで叶うことのなかった“目標リスト”を開始する。ビジネスマンのサムは、去年の大晦日に出会った女性と交わした約束が気になって仕方が無い。大晦日が嫌いな男ランディは、女性とエレベーターに閉じ込められてしまう。友だちとカウントダウンを見に行く約束をした15歳ヘイリーだったが、心配性の母親が許してくれるはずもない。大晦日に出産を予定している妊婦は、新年で一番初めに生まれた子供に賞金が出ること知り何とかタイミングを合わせようとするが…というストーリー。
大晦日のニューヨークを舞台にして、基本的に男女間の出来事が多数並行して描かれる。日本人にはピンとこないが、タイムズスクエアの“ボール・ドロップ”というやつの現場周辺で、展開する。各々のエピソードは小ネタなんだけど、それらの雰囲気が合わさって何となくニューヨークの雰囲気が感じ取れる。そんなお話。
#新年のカウントダウンに合わせて玉がゆっくり落ちていくらしいんだけど、なにがおもしろいんだかさっぱりわからんけど。
どうしても『ラブ・アクチュアリー』と比較してしまう。『ラブ・アクチュアリー』のように恋愛しばりではなく、父娘、母娘のエピソードも含まれるのだが、ほとんどが男女間の恋愛・結婚に関するお話。ロバート・デ・ニーロの病人の話と、ヒラリー・スワンクのボール・ドロップの話は恋愛とは無関係で、浮いた感じ。サラ・ジェシカ・パーカーの母娘の話も異質かも。はっきりいって統一感がない。恋愛でなくてもいいが男女の話でくくるか、むしろ、老人と子供とか恋愛と無関係のエピソードを挟めば、トータルバランスは取れたと思う。
また、ロバート・デ・ニーロとヒラリー・スワンクの件が最後には繋がったりするし、歌手ジェンセンとそのバックコーラスの女性のエピソードも繋がる。こういう融合があると、普通は鳥肌が立ったりするものだが、そういうゾワっという感じや、ワクワクが一切感じられない。ワクワクしないロマンス系の話なんかに観る価値があるだろうか。
イングリットの目標リストのあたりは、すごく面白くなりそうなのに、ただこなしていく感がすごい。バリ風のスパとか舞台装置とか、アイデアはわかるけど、それをやった後に何もないのが痛すぎる。ジェンセンとクレアにいたってはヨリを戻しただけで、それ以上でも以下でもない。
舞台は新年に向けて刻々とカウントダウンするけれど、そこにいるすべてのキャラクターが、一切変化も成長もしない。何がつまらないかって、それが一番つまらない。人間ドラマ自体がつまらない。『ラブ・アクチュアリー』の8分の1くらいしか面白みがない。ゲイリー・マーシャルってこんな系統の作品ばっかり作ってるのにね。駄作。
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ロブ・ライナー
出 演:ビリー・クリスタル、メグ・ライアン、キャリー・フィッシャー、ブルーノ・カービイ、スティーヴン・フォード、リサ・ジェーン・パースキー、ミシェル・ニカストロ、エステル・ライナー、ハーレイ・ジェーン・コザック、カイル・ヘフナー、トレイシー・ライナー 他
受 賞:【1989年/第43回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ノーラ・エフロン)
1977年のシカゴ。大学を卒業したサリーはニューヨークに出ることを決めたが、サリーの親友の恋人ハリーもニューヨークに出るということで、お金を節約するために同じ車で向かうことになった。道中、二人はまったく意見が合わず、言い争いを続け、ニューヨークに到着するすみやかに別れそれっきりとなった。それから5年後。恋人ジョンと抱擁中のサリーとハリーは、JFK空港で遭遇。懐かしさもあって隣の席に替わってもらい飛行機内でも話をしていたが、ほどなく口論に。しかし、もうすぐ結婚予定のハリーは見下したような態度で彼女をあしらい、再び疎遠となる。さらに5年後。離婚の危機に直面するハリーと、ジョンとの別れから立ち直れないサリーが再開。お互いの恋の悩みをぶつけ合い、いつしか友達同士になって頻繁に会うようになるのだが…というストーリー。
冒頭でインタビューを受けてる老夫婦が、サリーとハリーの将来の姿なのか?うまくいっているって言ってるから、この若い二人がどうやってくっつくのか…、その過程を楽しめばいいのかな?と、思ったら、別の老夫婦が出てきた。違うみたい。二人の数年の関係を追いつつ、長年連れ添った夫婦のなれそめを挟むっていう構成なんだな。これはおもしろい構成かも。
始めはすれ違い程度の接触しかないから、ポンポン時間が進む。とても今のメグ・ライアンからは想像がつかないほど、不思議な魅力に溢れているね(純粋なかわいさとは違う、妙に引っかかる魅力)。
#メグ・ライアンって、時折りダスティンホフマンみたいな表情するね。
男女の間に友情は成立するか?若いうちはそんなことありえねーと思うテーマだ。基本的には“ありえない”が正解なのだが、体力的にも社会的にもそういう関係になるのがめんどくさくなると、結果として友情のような状態になることはありえるな…なんて、年を取ると思えてくるのでは?
途中で挟まれるインタビューの老人たちは、確かに夫婦なのだが、まるで親友のようになっている。彼らはお互いの間にある感情を愛情だと思っているが、自然に友情に変わっているのではないか?それなら、男女の間の友情だってありえなくないのではないか?
観ているとそういう哲学的な主張が頭に浮かんでくる。ちょっとウディ・アレンぽい匂いも漂うし、面白いプロットなのかもしれないな。
ただ、結論的にはそのテーゼは追究されることなく終わるのが、非常に不満。結局くっつくというオチ。私なら意地でもくっつけないオチを模索するところだが…。いい視点だと思ったので非常に残念。せめて、このオチでも、反証みたいなものを提示してから締めてほしかった。
最終的には純粋なロマンス映画に着地しておしまい。決定的に男の子向けではないね。
公開国:アメリカ
時 間:155分
監 督:アンソニー・ミンゲラ
出 演:ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー、ドナルド・サザーランド、ナタリー・ポートマン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジョヴァンニ・リビシ、レイ・ウィンストン、ブレンダン・グリーソン、キャシー・ベイカー、ジェームズ・ギャモン、アイリーン・アトキンス、チャーリー・ハナム、ジェナ・マローン、イーサン・サプリー、ジャック・ホワイト、ルーカス・ブラック、メローラ・ウォルターズ、タリン・マニング、エミリー・デシャネル、ジェームズ・レブホーン、ウィリアム・ロバーツ 他
受 賞:【2003年/第76回アカデミー賞】助演女優賞(レニー・ゼルウィガー)
【2003年/第61回ゴールデン・グローブ】助演女優賞(レニー・ゼルウィガー)
【2003年/第57回英国アカデミー賞】助演女優賞(レニー・ゼルウィガー)、作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](ガブリエル・ヤーレ)
【2003年/第9回放送映画批評家協会賞】助演女優賞(レニー・ゼルウィガー)
コピー:それは、千億の山と谷を越えて、あなたへと続く帰り道。
南北戦争末期。ノースカロライナ出身の南軍の兵士インマンは、ヴァージニアでの戦闘で、友人をなくし、自らも重傷を負ってしまう。激しい戦闘が続く中、負傷兵として従軍を余儀なくされるが、そんな彼の心を支えるのは、彼の帰還を待ち続けるエイダだった。病床でエイダからの手紙をうけとったインマンは、故郷コールドマウンテンの土を踏む為、そして出征前のほんの一時心を交し合っただけの愛するエイダに再び合うため、捕まれば処刑されることを覚悟の上で脱走するのだった。一方、インマンの帰りを待ち続けるエイダは、頼りの父が急逝し、お嬢様育ちで自活能力がなかったために、日々の生活に窮するようになってしまい…というストーリー。
またもや、再観賞モノ。
南北戦争に対する教材的な価値という意味では『レボリューション めぐり逢い』に及ばないが、その迫力や伝わってくる雰囲気、特に白兵戦シーンは実に圧巻で圧倒される。兵舎全体に漂うじゅくじゅくした傷口のような陰鬱さが、戦争なんかうんざりというインマンの気持ちへの共感の一助となる。
このシナリオは、大儀の感じられない戦争への嫌気と彼女の元へ戻るというインマンの強い意志、そして彼が帰ってくまでは必死に農場とその身を守りぬくというエイダの強い意志の2本で成り立っている。
直情的で純粋な彼らの方向性が明確になっているので、スッと入り込みやすいシナリオになっているが、如何せん純情すぎるきらいがあって(実際、インマンとエイダそれぞれは、さほど魅力的なキャラクターではないので)、それが逆につまらなく感じさせるのは否めない。そこを補うのが、実に人間くさく魅力的な脇役たち。オスカー助演女優賞のレニー・ゼルウィガー演じるルビーはもちろん、その父やバンド仲間、生臭牧師のモンロー、インマンを(意図せずに)誘惑する役という今では贅沢な使い方のナタリー・ポートマン演じる母親などなど。
出兵していない男達による義勇軍の虎の威を借る悪逆非道っぷりも際立っているし、シナリオ上の役割としても巧み。エイダを狙う狼でありインマンを狩ろうとする狼でもあるのだから(このキャラ設定だけとっても優秀なシナリオだと思うな)。
そんな脇役たちを通して、望まないながらも汚れていき、その汚れによって成長していく二人。それに並行するように、後半のおもしろさも増幅していく。
賛同していただけないとは思うが、個人的には『風と共に去りぬ』より好きである。気に喰わない点をあえて挙げろというならば、やっとこさ出会った後に結ばれるシーンが無駄に長いこと。このせいで、井戸で見たもののくだりに比重が置かれすぎるることになった(もっとさらっとやるべきだった)。そして、百発百中であること(笑)。
まあ、百発百中なのは彼女が神父の娘であるということで神の思し召しだと解釈しよう。
恋愛モノでしょ?と忌避する人もいると思うが、一味違うので、是非お薦めしたい。参考にすべき優秀なシナリオ。
公開年:2006年
公開国:フランス、ドイツ、リヒテンシュタイン、スイス
時 間:120分
監 督:ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン、ウォルター・サレス/ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン/ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン
出 演:ブリュノ・ポダリデス/フロランス・ミューレル、レイラ・ベクティ/シリル・デクール、マリアンヌ・フェイスフル/イライアス・マッコネル/ギャスパー・ウリエル、スティーヴ・ブシェミ/ジュリー・バタイユ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、バーベット・シュローダー、セルジオ・カステリット/ミランダ・リチャードソン/レオノール・ワトリング、ジュリエット・ビノシュ/ウィレム・デフォー/イポリット・ジラルド、ヨランド・モロー/ポール・パトナー、ニック・ノルティ/リュディヴィーヌ・サニエ、マギー・ギレンホール/リオネル・ドレー/ジョアンナ・プレイス、セイドゥ・ボロ/アイサ・マイガ、ファニー・アルダン/ボブ・ホスキンス、イライジャ・ウッド/オルガ・キュリレンコ/ウェス・クレイヴン、エミリー・モーティマー/ルーファス・シーウェル/アレクサンダー・ペイン、ナタリー・ポートマン/メルキオール・ベスロン、ジーナ・ローランズ/ベン・ギャザラ/ジェラール・ドパルデュー、マーゴ・マーティンデイル 他
コピー: 街角の小さな恋物語
パリを舞台に作られた18本のオムニバス作品。各々、有名監督が手がけている。2006年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング上映作品。
東京だったら23区を舞台にしてオムニバスをつくった感じだね。各作品は、ストーリー上のつながりは皆無。本当に監督がそれぞれ自由に作っている。
18本もあってそれぞれ5分程度しかないのだが、全てにきっちりとストーリーがあって、男女をテーマにするという縛りもある。そうなってくると、一瞬にして観客の心を掴む能力が非常に重要になってくる。必ずしも5分で観客の心を掴む能力が無ければ映画監督ができないわけではないが、冒頭10分で飽きられたらその映画はおしまい…というのが業界の常識。如実に力の差が明確になる。参加するだけでも勇気がいるわ。
お目当ては、実はコーエン兄弟とシルヴァン・ショメだった。この二人は、早々にグっと興味を惹かせるだけなく、緩急のあるストーリで、納まりのよい締め。期待通り。
コーエン兄弟はたった5分なのに、誰がどう観ても間違いなくコーエン作品。自分の色っていうのが確立されている。他の監督とは、格が二段くらい違う感じがする。
シルヴァン・ショメは『ベルヴィル・ランデブー』なんかを作っているフランスアニメ界の旗手。もしかしてアニメ?とおもっていたのだが、パントマイマーを主役にしたユニークな作品。でも、こちらも間違いなくショメのアニメから飛び出したような出来映え。
#初期のレイトン博士シリーズは、完全に彼の絵柄をパクってたね。
日本人からは諏訪敦彦監督が参加しているが(なんてチョイスされたかは不明だが)、残念ながら主題もストーリー運びもパっとしない。まあ、肩肘張っていつもと違うことをやるのもどうかと思うけど、だからといって爪痕を残さないのももったいない。
『CUBE』『カンパニーマン』のヴィンチェンゾ・ナタリも、らしいといえばらしいかもしれないけど、凡庸な上に味気ない内容でがっかり。
このように監督によってかなりの差が生じているので、お薦めはしにくい。私のようにお気に入り監督の作品があればどうぞ…って感じかな。
みんなが自由に作りすぎたせいなのか、それほどパリという街に行きたい!って気持ちになれないことも、残念な点のひとつかな。だれかが音頭をとって東京版でもつくればおもしろいんじゃないかな。日本の観光庁も、外国人を日本に無料招待するとかわけのわからん企画なんかやるくらいなら(もちろんそんなアホな予算は通らなかったけど)、こういう日本PRの映画に出資するくらいのセンスをみせてほしいわ。
負けるな日本
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:145分
監 督:ロブ・マーシャル
出 演:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、役所広司、桃井かおり、工藤夕貴、大後寿々花、ケネス・ツァン、コン・リー、ツァイ・チン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ランダル・ダク・キム、テッド・レヴィン、ポール・アデルスタイン、ユージニア・ユアン、カール・ユーン、シズコ・ホシ、伊川東吾、マコ 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】撮影賞(ディオン・ビーブ)、美術賞(ジョン・マイヤー、Gretchen Rau)、衣裳デザイン賞(コリーン・アトウッド)
【2005年/第63回ゴールデン・グローブ】音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
【2005年/第59回英国アカデミー賞】作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](ジョン・ウィリアムズ)、撮影賞(ディオン・ビーブ)、衣装デザイン賞(コリーン・アトウッド)
【2005年/第11回放送映画批評家協会賞】音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
コピー: 絢爛 無垢 毅然
貧しい漁村から置屋に売られた9歳の千代。はじめは芸者見習いだったが、花街一の売れっ子芸者・初桃のいやがらせにより、下働き扱いとして酷使されることに。生きる希望を失って橋の上で泣いていたある日、身なりの良い紳士が千代に声をかけ、やさしく接するのだった。千代はその“会長”と呼ばれる男性に一瞬で惹かれ、芸者となって彼と再び出会いたいと思うようになる。そして、千代が15歳になったとき、有名芸者・豆葉が突然置屋に現れ、千代を芸者として育てたいと申し出るのだった…というストーリー。
本作の原作である『MEMOIRS OF A GEISHA』にしても『菊と刀』にしても、外国人による日本人像に対して「まあ、そういう見方や解釈の仕方もあるかな…」的な感想こそあっても、実のところピンとこないことが多い。客観的な視点で書けているこそかもしれないけれど、分析の部分においては外国人が“そうであってほしい”というバイアスが効いているとしか思えないことが多い。悪い言い方をすれば、人間は見たいものしか見ない…ということだね。客観性の維持っていうのは難しいね。
本作は、3パート構成。
大後寿々花パートは、世界恐慌直後の日本。望まず売られてきた少女の目線とその不幸な環境、異世界の得体の知れない恐怖がよく描けていている。芸者の世界自体、よくわからないから、嘘があるのかどうか日本人にもよくわからないんだけど、とにかくセットはよく作ったなぁ…と思う(もちろんロケもあるけど)。邦画ではちょっと無理なコストのかけ方。受賞が技術系に偏るのも理解できる。
#“水の相”とか、日本でそんな表現するかなぁ…、ピンとこない。異訳かなぁ…。
チャン・ツィイーパートでは女の園戦争の話に移行。面白さの種類がガラっと変わる。和製『マイ・フェア・レディ』みたいな話が、エグいエピソードを織り交ぜながら展開される。“GEISHA”は娼婦じゃないと必死で説明しながら、それよりもエグい内容なんだわ。
彼女がのし上がっていく様子は愉しめるの。しかし、外国人は日本文化の匂いで圧倒されちゃうのかもしれないが、日本人にはノリが物足りないかも。もうちょっと、和製オペラみたいな感じで仕上げてくれれば良かったと思う。
外斜視ぎみのチャン・ツィイーはエキゾチックに映るけど、演技の若々しさとか真摯さが伝わってこない…、というか大後寿々花と違いがありすぎる。大後寿々花がチャン・ツィイーに成長するとはとても思えない…(というのは、脇において観るしかない)。
3パート目は敗戦直後。またまた趣が変わって、昔とった杵柄で一発逆転を狙うストーリーに。ちょっと泥沼ぎみだし、破綻ぎみなんだけど、全体に漂う“小汚さ”がいい感じ。
まあ、3パートのどれかが好みに合うので愉しめるところが必ずあるでしょう。ただ、やっぱりちょっと長いな。各パート5分くらいづつ短くすべきだったかと。でも、お薦めできるクオリティ。
負けるな日本
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:アン・フレッチャー
出 演:キャサリン・ハイグル、ジェームズ・マーズデン、エドワード・バーンズ、ジュディ・グリア、マリン・アッカーマン 他
コピー:「プラダを着た悪魔」のスタッフが贈るあなたの物語。
結婚式の人々の幸せな様子に魅せられているジェーンは、いまや花嫁付添い人のスペシャリスト。クローゼットには付添い人として着たドレスが27着も眠っている。しかし、彼女自身の恋愛については臆病で、上司のジョージに長く片思いしているが想いを告げられずにいる。そんなある日、わがままな妹テスが実家のNYに帰ってくる。テスとであったジョージは彼女に一目惚れしてしまい、あっというまに結婚することに。ジェーンはショックを隠して2人の結婚準備に奔走する。一方、地元新聞社で結婚式欄を担当しているライターのケビンは、花嫁付添い人を繰り返すジェーンに興味を持ち、取材を申し込むのだったが…というストーリー。
ブライドメイドとか兄弟プログラムとか、アメリカにある制度はよくわかんねーなぁ…と思う。じゃあ、全然共感できないのか?というとそんなことはない。他者が喜んでくれることが自分の喜びっていうジェーンの感覚は、日本人の職業観に近いと思う。それに頼まれたら、“NO”なんてはっきりは言えないでしょ。シンパシーを感じる日本人は多いと思うし、男性でもこのジェーンに共感できると思う。
人の結婚式の手伝いばかりしていて自分の人生は?っていう、ありきたりなプロットなんだけど、他人が喜んでくれるのがうれしいと思う気持ちと、自分が奥手なのは、別にトレード・オフじゃないだろう(リア充だけどブライドメイドをするのも大好きてのもありえるでしょ)。だから、途中でケビンが指摘したような、他人の喜びを自分の喜びの代償にしている…みたいな指摘はたぶん的外れなのだよ。
じゃあ、そんな的外れなのになぜおもしろいのか?内に秘めるタイプの女性が、アバズレな妹に好きな人をとられちゃって、これてどうなっちゃうのよって部分。そこだけで、充分おもしろい。
だから、意外とジェーンとケビンとの恋愛模様は、オマケかな。捻った展開もあって工夫がみられたので、ここはジェーンとケビンがあえて簡単にくっつかないという流れもありかな…なんて思ったくらい(さすがにそれはなかったけど)。
でも、最後、テスとジョージの展開にも救いがあったし、たいして重要じゃないと思ってた“27”にもしっかり意味を持たせてくれたところは、ベタだったけど正直ゾワっときたよ。おさまり具合のいいラストだった。サラッとスッキリ見せてくれる、心地のよいラブコメとして仕上がっている。昨日に続き、男性もOKなラブコメ。良作だね。軽くお薦め。
負けるな日本
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:マイケル・レーマン
出 演:ダイアン・キートン、マンディ・ムーア、ガブリエル・マクト、パイパー・ペラーボ、トム・エヴェレット・スコット、ローレン・グレアム、スティーヴン・コリンズ、タイ・パニッツ、マット・シャンパーニュ、コリン・ファーガソン、トニー・ヘイル、メアリー・パット・グリーソン 他
ノミネート:【2007年/第28回ラジー賞】ワースト主演女優賞(ダイアン・キートン)
コピー:恋愛、結婚、子育て-フルコースを終えた私に、極上のデザートが待っていた。
夫と死別してから、残された3人の娘を育て上げたパティシエのダフネ。娘たちの幸せをとことん願っているのだが、末娘のミリーがダメ男にひっかかって失恋ばかりしていることが、気が気でならない。そこでダフネは、こっそりとWebサイトで結婚を前提に付き合ってくれる男性を募集。応募してきた男性を自ら面接し、気に入った人とミリーをくっつけようと画策するのだったが…というストーリー。
モテない末娘と干渉しすぎる母親↓、その母親のおせっかいで彼氏ができる(それも二人も)↑、二股がバレて両方失う↓、本当に好きな人とそれに向き合う自分を見つける↑…セオリーどおりの上げ下げが展開されるシナリオ。実に教科書どおり。好感が持てる出来映えだと思う。恋愛&ドタバタドラマとしては、かなり秀逸な部類だと思う。
しかし、セックスの話題も気楽に話せる女家族がウケル…なんていう、マーケティング分析が、エージェントの間でなされたのではなかろうか。この浅はかな分析によってもたらされた、随所に散りばめられた下品な演出がいいシナリオを台無しにしている。
『SEX and the CITY』みたいなのが流行っているんだから、こういうコメディチックな映画も同じノリでウケますよ!やるなら中途半端じゃなく、グッとエグい表現にしないと、響きませんよ!今の娘たちはそのくらいじゃなきゃ!…とかなんとか、もっともらしくプレゼンされたんだろう。そんなのにノセられちゃってねえ…。
母と姉妹の間で赤裸々に語られる性的な表現が下品すぎ。ダイアン・キートンの下っ腹なんそ見たくもない。死んだ夫(父親)との性生活が満足行くものではなかったと娘とするなんて、仲の良い親子の域を大きく逸脱している。
欧米人女性の65歳でそのスタイルを維持しているのは大したものだとは思う。だけど、だからといって、そんなおばあちゃんの補正下着姿の下っ腹を見せられて、気分のいいのはマニアだけ。
娘のミリーが、親の干渉によって振り回されるのはいいとしても、二股に甘んじて並行に肉体関係を結んでしまうのも、いかがなものか。自由な性に大して世の中がどれだけ寛容になろうとも、共感できるキャラを逸脱してしまっている。
これ以上、ごちゃごちゃ言わないでおくが、性関係の味付けのおかげで台無しの作品。刺身にウスターソースをかけられたみたい。こんなに「もったいない…」と思わされた作品もめずらしい。残念ながらお薦めできない。
負けるな日本
公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:ロジャー・ミッシェル
出 演:ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、リス・エヴァンズ、ジーナ・マッキー、ミーシャ・バートン、リス・アイファンズ、ティム・マキナニー 他
受 賞:【1999年/第53回英国アカデミー賞】観客賞
コピー:世界一の映画スターが、街角で本屋さんとぶつかった…
ウェストロンドンの街ノッティングヒル。離婚暦のある冴えない男ウィリアムは、旅行本専門の書店を営んでいるが、経営は非常に厳しい状態。そんなある日、見覚えのある女性が来店するが、それはハリウッドの大スター女優アナ・スコット。本を購入したアナは店を出て行くが、その後、飲み物を買いに出たウィリアムと街角で衝突し、彼女の服がオレンジジュースで汚れてしまう。彼は近くの自宅で着替えることを勧め、渋々ながらも彼女もしれに同意し…というストーリー。
こんなことを言われたらうれしいとかカッコいいとか、そういうのを並べている感じ。その場面場面での小ネタを重ねているだけで、全体としては、それ以上のダイナミズムとか緩急とはは存在しない。小ネタの連発については、恋愛だけでなく、貧乏ネタ・格差ネタでも多くて、まあ、この作品を貫く軽いノリってことなんだろう。
でも、それはそれでありなのかもしれない。悪役チックな恋敵が出てくるような作為もないし、ウィリアムの友達の反応も面白いし、パパラッチの行動もさほど極端ではないし(普通、書店に押しかけられたりすると思うけど、そういう煩わしい展開もない)、余計なものが排除されていて、全体がほのぼのとしている。イライラせずに観れたのは事実で、恋愛映画のくせに、心休まるいい作品だったと思う。
ありえない展開だ!なんで二人が恋に落ちたのか理由がわからん!とか文句をいう人が結構いるんだけど、そう思われることを判った上で逆手に取ってるわけで、そこに突っ込むのは野暮の極みかと。大体にして、恋に落ちるのに理由なんかない!っつーことを究極的に表現したらこうなると思うんだけど(世の中のみんなは、理由がないと人が好きになれないのだろうか。不思議に思う)。
で、肝心の恋愛モノとしての評価はどうかというと…。これはウィリアムが白馬の王子様ならぬ王女様に見初められる話なので、男はワクワクする話なんでしょ?と思うだろうが、実際のところ男性は萎える恋愛映画だと思う。男を上から見ている女性側目線の映画だな…と。
記者会見のシーンでわかるように、『ローマの休日』を匂わせている作品なんだろうけど、どうもピリっとしない。愛が結実するシーンにも関わらず、男の私には、カレー味のうんこかうんこ味のカレーか究極の選択を迫られている気になるのが、なぜだか不思議。「しょうがねえなぁ…」って感じで、恋愛といういうよりも父性が発揮されてるのが否めない。これを大人の恋愛といってよいのかどうかは微妙だが、案外、長く続くカップルって、こういう感情からスタートしているのかもしれない。
私にはジュリア・ロバーツがかわいくも綺麗にも見えなくて、なにか痛々しさを感じてしまった。個人的な好みの問題じゃなくて、これ自体も、父性の顕れな気もする。そういう意味では、まんまと製作側の意図にハマってしまっているのかもしれない。
エグい映画とか重い映画が続いたときは、本作はかなりアリだと思う。ふわふわしていて掴みどころが無いけれど、別に掴む必要にも迫られないという、この感じ。恋愛映画なのに性的感情が抑制されまくるという、ちょっと特殊な映画なのかもしれない。まあまあ、お薦め。
負けるな日本
公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:マーク・ウォーターズ
出 演:ケイティ・ホームズ、マイケル・キートン、エイメリー、マーク・ブルーカス、マーガレット・コリン 他
コピー:ホワイトハウスのレディには、許されないロマンスの休日。
アメリカ大統領の一人娘サマンサは西海岸にある大学への進学を機にホワイトハウスを出ることに。これまで、彼女の周囲はシークレットサービスが厳重な警護にあたっていたが、普通の女の子として学園生活をエンジョイしたいと強く主張する。仕方なくその要求を受け入れた大統領は、サマンサに内緒で、学生になりすました若いシークレットサービスを大学に送り込み…というストーリー。
本気でこれを観たいを思って借りたわけではない。家族が軽いモノを観たかった模様。確かに軽いことは軽かったが、つまらないにもほどがある。
ストーリーは上記に書いたあらすじ以上に、大したものはない。ネタバレ覚悟で書くが、送り込まれた若いシークレットサービスと大統領の娘が恋に落ちるだけ。
TVムービーかと思うほどの稚拙な編集など、文句の付け所は山のようなのだが、決定的につまらないポイントは、大統領の娘という設定が全然生きていない点。まあ、百歩譲って恋愛話なのはよしとするけれど、大統領の娘としての自覚とか大統領の娘ならではの特殊事情とかが、実のところあまりない。いやいや、大統領の娘ならではの苦労してるよね?とツッコミたい人はいるだろうけど、よく考えて欲しい。大富豪の箱入り娘でも、大物マフィアの娘でも、この話は成立すると思わないか?断言しよう。成立するのだよ。
その中でわざわざ大統領をいう設定を選んだのなら、大統領の娘ならではの悲恋やトラブルがおこり、普通の恋をあきらめざるを得ない状況が発生し、それを克服することにおもしろさがあるわけだ。本作は、ただ、品行方正に大学生活を送ることになりました…というそれだけ。なにがおもしろいのか。
はっきりいって、大物マフィアの娘という設定で、手下の若造を警護役に送り込むとかのほうがおもしろい。若造が大学に入るためにいろいろ策を弄したり、勉強に四苦八苦したり、最終的に勉強にめざめちゃったりとか、いろいろなエピソードが浮かぶじゃないか。そして、紆余曲折ありながらも、若造と娘が恋に落ちちゃって、娘は若造がカタギだと思い込んでるから、普通の暮らしをする夢を抱いちゃったちするんだけど、実はチンピラだってことがわかって落胆するとか。ブチ切れた親父が若造を追い回すんだけど、大学でできた若造の友達たちが助けるために大騒ぎとか。
↑
なにこれ。さらっと考えただけなのに、ものすごくおもしろいじゃん。シナリオ書いてみようかな。
それに、ホワイトハウスに住んでいるからホワイト・プリンセスっていう邦題はあんまりだと思う。ホワイトは何をひっくり返してもただ白いという意味しかないだろうし、民主主義国家の大統領の娘をプリンセスというのは、ある意味失礼なのでは?
まあ、とにかく本作は駄作。注意報発令。
負けるな日本
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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