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image1893.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:ショーン・レヴィ
出 演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー、ケヴィン・デュランド、カール・ユーン、オルガ・フォンダ、ホープ・デイヴィス、ジェームズ・レブホーン、ジョン・ゲイティンズ、グレゴリー・シムズ 他
ノミネート:【2011年/第84回アカデミー賞】視覚効果賞(Daniel Barrett、R. Christopher White、Dan Lemmon、ジョー・レッテリ)
コピー:「リアル・スティール」――。それは、親子の絆が生み出す、“本当の強さ”。

ロボットによるボクシングが娯楽として発達し、人間の牧神が衰退した2020年。プロボクサーとして将来を有望視されていたチャーリーだったが、その道を断たれ、今はロボットボクシングのプロモーターとして細々と生計を立てている。しかし、決してその手腕は優秀ではなく、ロボット調達や賭けボクシングの負け金で借金まみれとなり、このまま続けることも難しい状態に。そんなある日、昔捨てた妻が急死したとの連絡が入る。残された11最の息子のマックスの養育権について、妻の姉であるデブラとその夫マーヴィンと協議することになったが、夫妻が金持ちであることに目をつけたチャーリーは、借金返済のためにマーヴィンに10万ドルで息子を渡すと持ちかける。マーヴィンは旅行に行く3ヶ月の間、マックスを預かるという条件で承諾。金で預けられたことに気づいたマックスはチャーリーに心を開くことはなかったが、ロボットが大好きなマックスは、無理やり試合についていくことに。しかし、マーヴィンから得た金で購入したロボットはほどなくスクラップになったため、ゴミ置き場でロボットを探しにいくと、マックスがクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”を発見する…というストーリー。

『オーバー・ザ・トップ』と『チャンプ』と『ロッキー』を混ぜて、ロボットをぶち込んだ感じ。それに『ベスト・キッド』も混ざってるかな。いろんな映画のつぎはぎでおもしろいんかいな?と思われるかもしれないが、結論から言うととても面白かった。

親子共々、別に“親子”をしたいわけじゃないドライなところがいい。チャーリーは実際に息子を見てもまったく愛情なんか湧いていないようだし、マックスも親となんて微塵も思っていない様子。あくまでロボットボクシングをやりたい男同士が行動を共にしている感じ。無駄にウェットな親子ドラマじゃないのが非常に良い。
だから、終盤に息子が「僕のために闘ってほしかった!」と言うのはちょっと余計だと思うし、賭け仲間から襲われたときに「お父さん」とか言うのもちょっと邪魔だったかな。最後まで“男同士”であることを貫いてほしかったな。

マックス役の子はなかなかいい表情をする。ダンスも達者でなかなか見ごたえがある。リングインのパフォーマンスはちょっと鳥肌が立ったわ。スピルバーグが関わる映画はいい子役が出ることが多いね。
#ちなみに監督さんは『ナイト ミュージアム』とか『ベガスの恋に勝つルール』の人。

舞台は2020年。たった数年でロボットボクシングが発展して、普通のボクシングが廃れるっていう、なかなか大胆な設定だと思う。妙に日本語が氾濫するところをみると、日本の“変態的な”ロボット技術ならこのくらいのものはつくれてもおかしくないんじゃね?ってノリか。英語音声にも日本語の単語が溢れている。製作総指揮にスピルバーグが名を連ねているんだけど、彼は日本が好きなんだか嫌いなんだかよくわからんな。いろいろ通り越して愛憎のレベルまで達しているのかもしれん。
実際のロボット技術だけじゃなく、日本のロボットアニメも相当意識している。ATOMって名前もそこからきてるのかも。

ロボットの正体は何か?秘密があるのか?ロボットが鏡に映った自分を見ているシーンがあったから、自我でも目覚めるのかと思ったが、本当に普通のロボットだった。ロボットのデザインがダサいなあっておもったけど、普通に徹して“カワイイ”“カッコイイ”デザインにしなかったことに意味があったな。

で、“模倣モード”っていう設定が、最後に物凄く効いてくるんだ。高度な伏線だと思う。アクション+ファミリー+娯楽+SFと全要素で極めて優秀な作品に仕上がっている。お薦めの秀作。後々、何度も地上派放送されるレベルの作品だと思う。
 
#天海祐希の吹き替えだけはダメだな。

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image1890.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:132分
監 督:ブラッド・バード
出 演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ウラジミール・マシコフ、ジョシュ・ホロウェイ、アニル・カプール、レア・セドゥー、ミラジ・グルビッチ、サムリ・エーデルマン、トム・ウィルキンソン、ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン 他
ノミネート:【2012年/第21回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ミカエル・ニクヴィスト、トム・クルーズ)、ハラハラ演技賞(トム・クルーズ)
コピー:不可能を超えろ。

とある事情でモスクワの刑務所に収監されていたイーサン・ハントは、アメリカ極秘諜報機関の手引きによって脱獄に成功。核爆弾によるテロを画策する“コバルト”という人物の情報を探る、新たなミッションがイーサンに下る。クレムリンへ侵入し情報を捜索するイーサンたちだったが、突然大爆発が発生。巻き込まれたイーサンは爆破の容疑者となってしまう。外交問題に発展したため、アメリカ政府は一切の関与を否定。ミッションは“ゴースト・プロトコル”となり、イーサンたちはアメリカ極秘諜報機関から登録を抹消されてしまう。それでもイーサンたちは、核によるテロを防ぐために“コバルト”を追い続け、ドバイの超高層ビル“ブルジュ・ハリファ”で黒幕たちの取引が行われることを突き止め、現地へ向かうのだったが…というストーリー。

まあ、前作と時間が空きすぎてるからかもしれないけど、繋がりを密接にしなかったことが非常に効果的だったと思う。個人的には2と3は、陰謀やら謎解きやらでシナリオを小難しくしたり、哀愁やハードボイルド感を出そうという意図を無駄に出しすぎて失敗していたと思うから。

敵も早々に明確になるし、ただただ、追いつ追われつを繰り返すだけの単純明快ストーリー。ドバイのビルをクライミングするシーンが山場なんだろうね。クレヨンしんちゃんが言うところの「お尻がひゅん」となるシーンね。“高さ”という根源的に人間が恐怖を覚えるシーンを多用するという、ベタベタだけどうまい作戦。核の起爆装置強奪とか、人工衛星からウイルスとか、わざとか?ってくらいギミックも古臭いんだけど、娯楽作品なんてこんなので充分なんだよ。
ドバイの取引を両方とやっちゃうとか、思いついたアイデアをそのままやってる感じ。そんなやり方じゃなくても別にいいじゃんって、普通は思うよね。まあ、こういうレベルのコミカルチックな演出が多いのも本作の特徴かな。

途中で、あれこの人だれだっけ?とか、何を防ごうとしてるんだっけ?となっても、別に巻き戻して確認しようとなんて思わないし、必要もないんだもの。ドンパチの繰り返し。もっとやれ!って意見もあるだろうが、これ以上やったら、スパイ物作品から逸脱しちゃうと思うので、いい線で抑えたと思うよ。彼らと一緒に世界旅行している感覚で眺めてりゃ、充分すぎるほど愉しめる。

“NEWチーム始動!”って観点では、なかなかバランスよくストーリー展開するので好感はもてるが、仮に次回作があったとして、このメンバーで作成されるか?は、微妙に思える程度の魅力かと。女の暗殺者なんかおもしろいキャラだと思ったんだけど、あっさりビルから落とされちゃったしなぁ。もっとサブキャラを大事にしたほうが良かったんじゃないかな。

大して内容のない話だな…と気付かれて飽きられる直前に、逃げ切ったって印象。見た目がそろそろおじいちゃんなトム・クルーズ。なんとか一生懸命走りきったね。
目が飽きない、素直な娯楽作品だった。

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image1876.png公開年:2010年
公開国:スペイン、メキシコ
時 間:148分
監 督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出 演:ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス、ディアリァトゥ・ダフ、チェン・ツァイシェン、アナー・ボウチャイブ、ギレルモ・エストレヤ、ルオ・チン 他
受 賞:【2010年/第63回カンヌ国際映画祭】男優賞(ハビエル・バルデム)
コピー:“絶望”の中にも必ず“光”は存在する。



スペイン・バルセロナ。ウスバルは躁鬱病で麻薬に溺れた妻と別居し、2人の幼い子供を男手ひとつで育てていた。そんな彼の仕事は、移民や不法滞在者に仕事を斡旋するなど、違法なことにも手を染めており、日々の生活の糧を得るのが精一杯の状態だった。そんな中、彼は末期ガンで余命はわずか2ヵ月と宣告される。だれにも打ち明けつことができず、死への恐怖だけでなく、遺される子どもたちの将来を考えると苦しみで気が狂いそうになるウスバルだったが…というストーリー。

『ノーカントリー』のアントン・シガーで究極的な気持ち悪さを爆発させたハビエル・バルデムだったが、本作では、どっちかというとそれなりにいい男っていう役。同じ顔なんだけどねぇ(笑)。まあ、あくまでそれなりだけど。とにかく、本作でのハビエル・バルデムの演技自体は、極上である。

ストーリーは男版の『死ぬまでにしたい10のこと』って感じ。不法滞在者や移民相手に、手助けなんだかピン撥ねなんだかわからないような掠りをやってる男なんだけど、妻がとても母親をやれる状態じゃないから、そんな仕事をしながらも子供二人を育てている。怒ったってどうしようもないから、淡々と抑えて生きている感じ。
掠り商売っていっても、移民の人たちにも奥底では慈愛に満ちた態度でのぞんでいる。父性と夫性と男気を兼ね備えた、いい人だと思う。
でも、その愛は常に一方通行でイマイチ伝わらない。そんな中、自分は癌で余命幾ばくも無いと宣告されるという、とにかくこれでもかこれでもかってくらい色々可愛そうな人。もう、ヘロヘロになったときに一縷の望みを託した移民女性にも、子供のために残した金を持ち逃げされる始末。彼の信頼は何一つとして報われることがない。
まるで神に見放されたようなのに、“生きよう”とする男の悲哀を綴ったお話…と言いたいところなんだけど、圧倒的にユニークな設定が…。それは、このウスバルという男が、成仏できない霊を見る能力を持っているということ。

じゃあ、その能力を軸にストーリーが進むのかというと、決してそうじゃない。所々出てくるんだけど、それほど重要なキーとは思えない。そして臨終の時を迎えようというときに、両親の遺品である指輪を娘に託す。そして、彼はこれまで見てきた霊のように自分の子供を見つめている。心配で成仏できないわけだ。でもその後、森で若者と出会うシーンになる。あれは、ほとんど記憶のない父親だろう。父親は子供の将来を今でも心配しているってこと。でも、心配されてる自分もなんだかんだで父親をやっている。そうか、なんだかんだ心配したってなるようにしかならない。これまで色々つらかったけど、すべて受け止めてきたじゃないか。もう、すべてをそのまま受け止めて、子供たちがきちんと生きていってくれることを“祈る”しかない…と。
うん、本作は“祈り”の作品ってところだな。

まあ、流れはわかるのだが、やっぱり、“霊が見える”っていう設定が必要だったかは微妙なんだよな。私なら、このスピリチュアルな能力を盛り込み続けることに、心が折れてオミットしてしまうと思う。別に、モルヒネの幻覚とかでもいいんだもの。
#必要か?って設定は他にもある。中国人のホモとかね。

でも、見ごたえのある作品だった。『死ぬまでにしたい10のこと』みたいなエグい欲望を爆発させることもなく、好感が持てる。掃き溜めの中に輝く、高尚な魂の光を見た(まあ、コピーのとおりか)。そんな印象。お薦めしたい。

それにしても、南欧の映画を作ったら移民を出さないわけにはいかないくらいの状況。EU終わってるな。ウスバルっていうのは、フランコ独裁時代に迫害された人物の息子だと。その子供の世代になっても、決して安心して暮らせる世界にはなっていないという、病根の深さよ。理想論だけの他民族国家なんて、うまくいかなって証明だわ(タダ乗りしようとするくせに、その土地の文化に溶け込もうとしないんだもの、うまくいくわけがない)。

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imageX0052.Png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジョシュ・ルーカス、ジュディ・デンチ、エド・ウェストウィック、デイモン・ヘリマン、スティーヴン・ルート、ジェフリー・ドノヴァン、ケン・ハワード、ジョシュ・ハミルトン、ジェフリー・ピアソン、ジェシカ・ヘクト、ジョーダン・ブリッジス、ジャック・アクセルロッド、ジョシュ・スタンバーグ、クリスチャン・クレメンソン、ビリー・スミス、マイケル・レイディ、ジェフ・スタルツ、ライアン・マクパートリン、ダーモット・マローニー、ザック・グルニエ、リー・ココ、スティーヴ・モンロー、アーネスト・ハーデン・Jr、ショーン・マーフィ、ゲイリー・ワーンツ、デヴィッド・クレノン、マイケル・オニール、エリック・ラーキン、マヌ・インティライミ、エミリー・アリン・リンド、ジェイミー・ラバーバー、リー・トンプソン、アマンダ・シュル、クリストファー・シャイアー 他
ノミネート:【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)、メイクアップ賞
コピー:だれよりも恐れられ、だれよりも崇められた男。

1919年。ソビエト連邦の建国による世界的な共産主義の高まりの中、アメリカ国内でも共産主義運動や労働争議が活発化。過激な行動に出る者も現れ始め、ついには司法長官宅が爆破される事件まで発生する。それを受けて、司法省は過激派対策の特別捜査チームを編成。司法省に勤務していたフーバーは、24歳にして責任者に抜擢され、後にFBIの前身である司法省捜査局の長官代行となる。かねてより、全国民の個人データを集約して犯罪捜査に役立たせようという構想をもっていた彼は、同時に科学を捜査に応用するなど、これまでになかった手法を活用することで、数人のチームにもかかわらず、過激派のアジトを急襲、大勢の過激派を逮捕することに成功するのだったが…というストーリー。

フーバーという人間は、孤独で偏執的なキャラクターだが、その志は理解できなくもなく、興味深い人物だ。しかし、その手法には、首を傾げざるを得ない。敵が過激派だろうとなんだろうと、結局は、民主主義の基本中の基本であるデュー・プロセスを逸脱したことには代わりが無い。

共産主義が安全を脅かす!という名目だが、結局はもっともらしい顔をしつつも、臆病さを隠すために過剰な反応をしただけのことである。それに、“敵”とみなした“共産主義”自体が何なのか、実のところ彼らは良く判っていない。正しい姿がわからないものとどう戦うというのか。妄想を爆発させるだけ。エドガーたちの行動はまさにそれ。

こう考えると、アメリカが強行に武力を行使するのは、その内なる臆病さに端を発していることがよくわかる。そう、それは世界の警察として、あらゆるトラブルに首を突っ込むかれらの根底には、臆病があるということなのだ。よく軍需産業による経済効果云々という話が出るが、実は関係ない。アメリカが銃社会から脱却することも、同じ理由で今後もありえない。アメリカ人は、究極的に臆病なのだ。

そしてエドガーも同様の臆病者ながら、他の臆病者に付け込んで、権力を簒奪することに非常に長けている。いや、だれよりも臆病者だから臆病者の心の中がわかると言ったほうが正しいだろう。
加えて、マザコンで外国人差別主義者でゲイで出歯亀でギャンブル好きで服装に異常にうるさいんだぜ。おまけにゲイの相手は副長官なんだぜ。まさに怪人。こういう欠陥人間じゃないと、事は成せないといういい例かもしれない。

大統領以上の期間、それ以上の権力を持つ地位が存在すること自体が、アメリカ民主主義の欠陥である。この欠陥は、大日本帝国憲法の軍部大臣現役武官制と元老院制度とどうレベルの欠陥である。
FBIの設立、リンドバーグ法。伝記映画としては非常に優秀…というか、アメリカ人なら知っておかねばいけない事が満載だ。中央に情報を集中するのは結構だか、中央が間違えばすべて間違う。その諸刃の剣こそ、イラク戦争を産んだ。

娯楽作ではないし、受賞歴も芳しくないが、ものすごく意義のある作品だと思う。現在のアメリカの4分の1は、この映画に描かれている事柄が形成しているとすら感じるほど。伝記映画として優秀で、観るべき良作だと思う。ただし娯楽作品だと思って観始めると眠りに堕ちるのは必至。

ディカプリオの演技は、悪くないと思う。クリント・イーストウッドとのコンビにもかかわらず、ここまで評価されないというのは、実に不思議だな。同文化圏の人間には不快に感じられる何かがあるとでもいうのだろうか。

#最後のヘレンの行動が、かろうじてフーバーの志の高さを証明している…そんなところか。

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imageX0052.Png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:サイモン・ウェスト
出 演:ジェイソン・ステイサム、ベン・フォスター、ドナルド・サザーランド、トニー・ゴールドウィン、ジェームズ・ローガン、ミニ・アンデン、ジェフ・チェイス、クリスタ・キャンベル 他
コピー:この男、完璧




殺し屋アーサーは、殺人の痕跡を決して残さない完璧さ故に通称“メカニック”と呼ばれる。ある日、雇い主から指示されたターゲットは、親友ハリー。アーサーが殺さなくても別の殺し屋が来ると悟ったハリーは、アーサーに殺されることを望み、アーサーもプロに徹して任務を遂行する。後日、ハリーの葬儀に参加したアーサーは、彼が唯一の心残りだった息子スティーブと出会う。父とは疎遠で荒んだ生活を送っていたスティーブは、父を殺した人間に復讐心を燃やしていた。アーサーが殺し屋であることを知ったスティーブは弟子入りを志願。始めは難色を示したものの、彼を放っておけないアーサーは、結局受け入れ、殺し屋として仕込んでいく。そして、父の死の真相は告げぬまま、ミッションに参加させていくのだったが…というストーリー。

リメイク作品らしいが、そっちは観たことはない。

ジェイソン・ステイサム作品にはありがちな、孤高でタフなテクニシャンっていうキャラクター。でもお似合いなので問題ない。『ロシアン・ルーレット』みたいな役は似合ってなかったよ。他の作品だと、タフだけじゃなく、無闇にエロ描写が多い作品もあるけど、そういうのよりも、本作くらいのがぴったりだと思う。

シナリオ上、もうちょっとすっきりできなかったのかな?って部分は、弟子のスティーブとの関係。
父ハリーを殺したことを隠しながらも、その息子を弟子入りさせるわけだが、確かに道を踏み外しそうになったのを見かねて…というのは理解できなくもないし、父ハリーが息子を心配していたというのもわかる。しかし、どうしても救ってあげたくなるようなキャラクターでもないし、訓練の結果、そこそこ使える人間になったとは思うが、トラブルの原因はすべて彼で、このまま相棒としてやっていくのが最適とも思えない。
要所要所でのスティーブの発言や行動で、スティーブが味方なのか敵なのかわからないあやふやな立場を意図的に演出しているのだとは思うのだが、父の死の理由がわかるまでの間は、純粋な師弟物語に徹したほうが良かったような気がする。

それよりも、スティーブがすべての事実を知った上で、アーサーの近づいたってことにしたほうが面白くなった気がするんだが。まあ贅沢を言えば霧がない。考えすぎてもいないし、奇を衒ってもいないし、普通におもしろい交換が持てる作品なので、お薦めする。

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imageX0052.Png公開年:2011年
公開国:フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ
時 間:111分
監 督:ポール・W・S・アンダーソン
出 演:ローガン・ラーマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、オーランド・ブルーム、クリストフ・ヴァルツ、マシュー・マクファディン、レイ・スティーヴンソン、ルーク・エヴァンス、マッツ・ミケルセン、ガブリエラ・ワイルド、ジェームズ・コーデン、ジュノー・テンプル、フレディ・フォックス 他
コピー:伝説よりも、ハデにいこうぜ。



17世紀のフランス。若くして王位を継いだルイ13世は、王妃アンヌに夢中で政治に関心を示さない。それにつけこんだリシュリュー枢機卿は、実権を我が物にしようと着々を工作を重ねる。そんな中、銃士にあこがれるダルタニアン青年が田舎からパリにやってくる。偶然にも街でトラブルになった三銃士の面々と決闘をすることになったが、お互いにリシュリューに反感を抱くものとして意気投合。三銃士たちと行動を共にすることに。その頃、女盗賊のミレディは、アンヌがイギリスのバッキンガム公爵と密通していると見えるように、王妃の首飾りを盗み出しイギリスへと渡る。ダルタニアンは秘かに想いを寄せる王妃の侍女コンスタンスから奪還を依頼され、三銃士と共にロンドンへ向かうのだが…というストーリー。

ポール・W・S・アンダーソンは好きな監督だけど、嫁のミラ・ジョヴォの扱い方にミスしたかも。
ストーリー全体からみれば、ただの女泥棒でしかないのだが、不二子ちゃんばりの大活躍。細いピアノ線をすり抜ける様子は、『バイオハザード』そのもの。そのものすぎるのだが、パロディなんだかマジでやってるのか微妙。
三銃士の面々はロートル扱いで、完全に脇役。でもフィーチャーしているミラ・ジョヴォ演じるミレディと愛憎の因縁を持っているのは、そのロートルの一人。サブエピソードのわりには比重を置きすぎ。もっと脇役に徹した扱いにすべきだったと思う。

本当は、主役のダルタニアンを目立たせないといけないと思う。でも、ずっとただの若造扱いで、作戦遂行時にもメインの活躍をさせてもらえない。結局、いきがってる田舎者以上に成長しない。

気球船というギミックが荒唐無稽というか遊びすぎ。フランスとパリの間をそこそこのスピードで移動しなければならないのはわかるのだが、そんなものを引っ張り出さないと成立しないような話なら、やめてしまえばよかったと思う。
王が妻の愛を確信するために首飾りが必要ってのが、わからんでもないがそこまで大事か?って思う。荒唐無稽なのに弾けていない、このチグハグさ。あらすじを書いただけで、プロットがごっちゃごちゃなのがわかる。

せめてアクションシーンでたのしませてくれればよかったのだが、それほどでもない。すばらしい剣術アクションを見せてくれる部分もあるのだが、短めのちょっとしたシーンと言い切ってよい。もしかすると3Dでみると見ごたえがあったのかもしれないが、私はDVDを観てるのでなんとも評価しようがない。

日本の忠臣蔵とおなじくらい、何度も映画になっている“三銃士”なので、新たな色を出したいという意気込みはわかるのだが、そのために打ったと思われる演出が、ことごとくスベっていると思う。きわめて退屈な凡作だと思う。アクション映画で眠くなるってどうかと思う。

 

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imageX0052.Png公開年:1989年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ロブ・ライナー
出 演:ビリー・クリスタル、メグ・ライアン、キャリー・フィッシャー、ブルーノ・カービイ、スティーヴン・フォード、リサ・ジェーン・パースキー、ミシェル・ニカストロ、エステル・ライナー、ハーレイ・ジェーン・コザック、カイル・ヘフナー、トレイシー・ライナー 他
受 賞:【1989年/第43回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ノーラ・エフロン)



1977年のシカゴ。大学を卒業したサリーはニューヨークに出ることを決めたが、サリーの親友の恋人ハリーもニューヨークに出るということで、お金を節約するために同じ車で向かうことになった。道中、二人はまったく意見が合わず、言い争いを続け、ニューヨークに到着するすみやかに別れそれっきりとなった。それから5年後。恋人ジョンと抱擁中のサリーとハリーは、JFK空港で遭遇。懐かしさもあって隣の席に替わってもらい飛行機内でも話をしていたが、ほどなく口論に。しかし、もうすぐ結婚予定のハリーは見下したような態度で彼女をあしらい、再び疎遠となる。さらに5年後。離婚の危機に直面するハリーと、ジョンとの別れから立ち直れないサリーが再開。お互いの恋の悩みをぶつけ合い、いつしか友達同士になって頻繁に会うようになるのだが…というストーリー。

冒頭でインタビューを受けてる老夫婦が、サリーとハリーの将来の姿なのか?うまくいっているって言ってるから、この若い二人がどうやってくっつくのか…、その過程を楽しめばいいのかな?と、思ったら、別の老夫婦が出てきた。違うみたい。二人の数年の関係を追いつつ、長年連れ添った夫婦のなれそめを挟むっていう構成なんだな。これはおもしろい構成かも。

始めはすれ違い程度の接触しかないから、ポンポン時間が進む。とても今のメグ・ライアンからは想像がつかないほど、不思議な魅力に溢れているね(純粋なかわいさとは違う、妙に引っかかる魅力)。
#メグ・ライアンって、時折りダスティンホフマンみたいな表情するね。

男女の間に友情は成立するか?若いうちはそんなことありえねーと思うテーマだ。基本的には“ありえない”が正解なのだが、体力的にも社会的にもそういう関係になるのがめんどくさくなると、結果として友情のような状態になることはありえるな…なんて、年を取ると思えてくるのでは?
途中で挟まれるインタビューの老人たちは、確かに夫婦なのだが、まるで親友のようになっている。彼らはお互いの間にある感情を愛情だと思っているが、自然に友情に変わっているのではないか?それなら、男女の間の友情だってありえなくないのではないか?
観ているとそういう哲学的な主張が頭に浮かんでくる。ちょっとウディ・アレンぽい匂いも漂うし、面白いプロットなのかもしれないな。

ただ、結論的にはそのテーゼは追究されることなく終わるのが、非常に不満。結局くっつくというオチ。私なら意地でもくっつけないオチを模索するところだが…。いい視点だと思ったので非常に残念。せめて、このオチでも、反証みたいなものを提示してから締めてほしかった。
最終的には純粋なロマンス映画に着地しておしまい。決定的に男の子向けではないね。 

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image1868.png公開年:2010年
公開国:ロシア
時 間:124分
監 督:アレクセイ・ポポグレブスキー
出 演:グレゴリー・ドブリギン、セルゲイ・プスケパリス
受 賞:【2010年/第60回ベルリン国際映画祭】銀熊賞[男優賞](セルゲイ・プスケパリス、グレゴリー・ドブリギン)、銀熊賞[芸術貢献賞](パヴェル・コストマロフ 撮影に対して)




北極圏の孤島の観測所。セルゲイとパベルは、島に設置された計測器のデータを本部に定期的に報告する任務に就いている。報告は無線で行われ、それだけが世界とコンタクトを取る手段である。年上のセルゲイは長年この仕事に就いており、重要な任務であるとプライドをもって業務にあたっていたが、若く経験の浅いパベルは、夏の間を観測所で過ごしてみよう…程度の軽い気持ちで志願してきた新人。セルゲイはパベルの気の入っていない仕事っぷりに不快感を抱いていた。ある日、セルゲイは観測をパベルにまかせて、食料の鱒の調達のために数日釣りに出かけることに。パベルは観測時間を寝過ごした上に、データを捏造して報告してしまう。そんな時、本部からセルゲイの家族が事故に遭い渋滞だという知らせが入り…というストーリー。

DVDのジャケットの姿をみると、今にも悪人相手にバトルをはじめそうな感じだけど、まったくそんな映画ではない。

とにかく頭から最後までわからない。二人しかいない世界は、時間がぬる~っと流れる。ぬる~っとまとわり付くような時間がいくら経過しても、何一つ事情がわからなかった。
まず、彼らがなんでこんな北極圏とおぼしき場所にいるのか。何かを観測しているが何のためなのか。冒頭で若い男が見つけた放射線が出ているものは何なのか。エンジンぽいがそんなものから放射線が出るとはどういことか?プルトニウムエンジンを積んだ人工衛星の残骸か?(後半で飛行物体かなにかの残骸もみつかるしな)
携帯音楽プレーヤーも出てくるし、パソコンでゲームもしていることから、昔ではないことは明らかなのだが、現代の話なのか近未来の話なのか、判断がつかない。今の世の中で、プルトニウム電池なんか積んだ人工衛星を飛ばすことは、少ないだろう。

なんといっても一番解せないのが、なんでパベルが、家族の事故のことをセルゲイに伝えないのか…である。彼が落胆するのを見るのがつらいと思ったからか?でも、毎日通信するんだから早々にバレるだろう。一度言いそびれたまでは納得できるけど、延々と隠し続ける意味がわからない。大体にしてセルゲイに対してかわいそう…とか、そんな感情を抱けるようないい関係には見えないし。

さらに、とうとう言わざるを得なくなって告白したあとの二人の態度がわからん。何で撃つのか。それもお互いに。セルゲイはどのくらい隠されていたか、あの時点では知らないんだぜ?それに、仮に知ったからって、迎えを待つ以外に手段はないんだぜ?

その後、よくわからない嫌がらせが始まる。別にプルトニウムが噴き出しているわけでもあるまいに。放射線を浴びたからって、体が放射線を帯びるなんてことはないだろう(放射線を磁力か何かと勘違いしてるんじゃないのか?)。自分が被爆したとわかったときに、そこらの土くれで体を拭う意味もわからん。
鱒に放射線を浴びせたからって、確かに被爆はしたことになるだろうけど、その鱒が放射線を出すようにはならんだろうが。

で、結局セルゲイが帰らない意味も、さっぱりわからない。どうせ帰っても仕方が無いと悟ったのかもしれないが、それなら、あんなにブチ切れる必要はなかろう。
それに、迎えに来た本部の連中が、放射線を出し続けているエンジンらしきものを回収していく。来たついでってことか?回収の必要なくらいヤバいんなら、もっと早く回収にこいよ。

たしかに、ベルリン国際映画祭が彼らに賞を与えるのも、カメラマンを評価するのも判る。いい演技だったし映像も良かったよ。でも、とにかく何もかもわからないんだ。わからないものをウマく演じられても、ウマく撮られても、わからないものはわからないんだ。

拍手[0回]

image1884.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:アダム・マッケイ
出 演:ウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグ、エヴァ・メンデス、マイケル・キートン、スティーヴ・クーガン、レイ・スティーヴンソン、サミュエル・L・ジャクソン、ドウェイン・ジョンソン、リンゼイ・スローン、ナタリー・ジー、ロブ・リグル、デイモン・ウェイアンズ・Jr、ボビー・カナヴェイル、デレク・ジーター 他
ノミネート:【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】コメディ映画賞
コピー:誰もがみんな愛に迷っていたあの頃――輝きをくれたのはあなたでした。

ニューヨーク市警では、ド派手な逮捕劇で有名なヒーロー刑事ダンソンとハイスミスが大活躍中。そんな彼らの書類処理を好んでやっているアレン刑事は、捜査するよりも事務仕事が好きで、そんな生活に満足していた。しかし、アレンの相棒テリーは、自分もハイスミスとダンソンのように活躍したと常に焦っていて、自分がそうなれないのはアレンが現場に出ようとしないからだと思っている。とはいえ、そんなテリーも、ワールドシリーズの警護にあたっているときに、誤ってデレク・ジーターの足を撃つという大失態をやらかした過去があり、同僚たちからは、二人まとめて馬鹿にされていた。そんなある日、ダンソンとハイスミスが捜査中の事故で殉職してしまう。
テリーは、彼らの後釜は俺だ!と意気込みアレンを強引に外に連れ出す。しかし、アレンが捜査に向かったのは、ビル建設の足場設置の無申請という地味な事案で…というストーリー。

日本の配給会社は、無理やり“俺たち”はつけないと気がすまないようだ。「ウィル・フェレルには“俺たち~”っしょ!」なんて、別に重要視している日本国民いないし、「“俺たち”?これりゃ観なくちゃ!」なんてワクワクする人もいないから。

これまで散々ウィル・フェレルのコメディ作品を貶してきた私。毎回毎回、ブリーフ一丁で踊ってるようなギャグばっかりだし、面白いでしょ?といわんばかりのドヤ顔されても、日本ではウケないよって。でも、今回は違った。変わり者ではあるけれど下品な行動をほとんど取らない“真顔”キャラクター。むしろ、周囲の人間の行動のほうが異常っていうシチュエーション。本人は自分のことを至極まともな人間だと振舞っている、こういうのが逆に面白い。笑いの鉄則にやっと気付いたかウィル・フェレル(って、彼がシナリオを書いているわけじゃないと思うけど)。
小ネタは他の作品同様に多いんだけど、みんなが真顔でシチュエーションで笑わせようという姿勢がよい。

マーク・ウォールバーグのコメディ自体が珍しいと思うけど、ウィル・フェレルとのコンビだとやたらとハマる。ヘタレ野郎だとおもっていたら、実はリア充だってことが、徐々にわかり始める流れが、ものすご~~~~く面白い。私、にやけっぱなし。冒頭はバディものとしてチグハグなんだけど、その辺りからガッチリ噛み合っていく。
マーク・ウォールバーグが交通課に廻されたあと、そこで充実感を得ちゃうシーンの、脱力感はハンパない(笑)。なんやねん!

ザ・ロックとサミュエル・L・ジャクソンの消えっぷりが気持ちいい。彼らを画面から消して、残るのがウィル・フェレルってなぁ(笑)。マイケル・キートンのショボい上司っぷりも、本当にあんなに衰えてるんだか演技なんだかわからんけど良かった。彼を見たのはすごく久々(はじめ彼だと気付かなかったわ)。

ウィル・フェレルは、この“真顔”路線で、次回作もやってほしい。初めて彼を評価する。お薦めする。

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image1881.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ゴア・ヴァービンスキー
出 演:ジョニー・デップ、アイラ・フィッシャー、アビゲイル・ブレスリン、アルフレッド・モリナ、ビル・ナイ、ハリー・ディーン・スタントン、レイ・ウィンストン、ティモシー・オリファント、イアン・アバークロンビー、ギル・バーミンガム、クローディア・ブラック、スティーヴン・ルート、ネッド・ビーティ、ブレイク・クラーク、リュー・テンプル、ジョー・ヌネズ、ジョン・コスラン・Jr 他
受 賞:【2011年/第84回アカデミー賞】長編アニメ賞
【2011年/第37回LA批評家協会賞】アニメーション賞
【2011年/第65回英国アカデミー賞】アニメーション賞(ゴア・ヴァービンスキー)
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:砂漠のワンダーランドへようこそ
きっと見つかる自分だけの色

人間にペットとしていて飼われていたカメレオンは、事故で飼い主の車から水槽ごと放り出されてしまう。その場所は、カラカラに干上がったモハーヴェ砂漠。命の危険に晒されながらも、途中で出合った牧場を切り盛りする女性マメータに連れられて、なんとか寂れた荒野の町“ダートタウン”にたどり着く。酒場に立ち寄ったカメレオンは、町の住人を前に自らをランゴと名乗り、嘘の武勇伝を語り始めると、そこに無法者のバッド・ビルが現れ決闘をするハメになる。しかし、そこにタカが急襲しビルは逃走。ランゴも逃げ廻るが、運よく給水塔を倒壊させてタカを殺すことに成功する。その活躍を認められ、ランゴは町長から保安官に任命されるのだが…というストーリー。

批判することに腰が引けるくらい、海外の評判がよい。まず、西部劇の面白さを知っているか否かで、印象は大きく別れるだろう。私はマカロニウエスタンを含め、西部劇に対する含蓄も思い入れもないので、前半のノリきれなさはハンパなかった。
水が枯渇している街という点では『チャイナタウン』の舞台設定も近いかも。

なぜカメレオンなのか。カメレオンの特徴といえば、周囲の色に溶け込むこと。本作のランゴがその能力を発揮することはないのだが、その能力がないことが、ストーリーにツボなのだろうか。それが生きているシーンはあったか?私には無かったように思える。そうなると、カメレオンという、かわいげがないどころか一般的には気持ちの悪い部類に入る動物を主人公に据えるメリットはなんだったのか。
その他のキャラクターも、ほとんどがかわいげがなくとっつきにくい。一応ヒロインであるマメータでさえも、“グレイ”ばりにかわいげが無い。別にアニメチックにしろといっているわけではないのだが、気持ち悪いのが一周廻って味になって…というとこまで到達していない。ティム・バートンもキャラも同様の気持ち悪さを持っているが、どことなしに可愛さを包含している。この差は大きい。この微妙な気持ち悪さはどうにかできなかったのか…と思う。

冒頭でアルマジロの腹がつぶれており、カメレオンと会話し続けるシーン。CGキャラクターがリアルなので、スラップスティック的なギャグとは受け止められず、純粋にスプラッタホラーである。そういうエグいノリの作品なのかと思ったのだが、そういうシーンはそれ以降出てこない。ノリを統一しろよ…と。
爬虫類と齧歯目が共存していて、猛禽類が圧倒的な天敵なのは需要できるが、狐やクモが同サイズで並存するのもいかがなものか。

そんなこんなで、カメレオンが保安官になるまで40分。
単なるペットだったカメレオンが、突然、無頼を気取る。元々、彼はそういう姿に憧れていたのか、それともせざるを得なくなったのか。酒場で突然ウソの武勇伝を語り始めるところの心境の変化とか、イマイチピンとこなくて共感しにくい。

とはいえ、美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れるというが、かわいげのないキャラクターにも徐々に慣れはじめる。そして、街の仲間と一緒に水泥棒を捜索に行くあたりがら、ストーリーが転がりはじめ、脇のキャラも勝手に動きはじめる。ここからは普通に愉しめた。
まあ、上質な大人向けのアニメ。そして純粋な西部劇。
#水を求めて動くサボテンはまあいいだろう。でも、なんで合図で動き始めるんだ?そんなに聞き分けがいいのか?

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image1888.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:アレクサンドル・アジャ
出 演:エリザベス・シュー、アダム・スコット、ジェリー・オコンネル、ヴィング・レイムス、ジェシカ・ゾー、スティーヴン・R・マックイーン、ケリー・ブルック、リカルド・アントニオ・チャビラ、ディナ・メイヤー、ポール・シェアー、ブルックリン・プルー、ブライアン・クーバッハ、グレゴリー・ニコテロ、イーライ・ロス、クリストファー・ロイド、リチャード・ドレイファス、セイジ・ライアン、ライリー・スティール、コーディー・ロンゴ、デブラ・コーウィン 他
ノミネート:【2011年/第20回MTVムービー・アワード】恐怖演技賞(ジェシカ・ゾー)

アメリカ南部にあるヴィクトリア湖。真夏のイベントに若者たちが押し寄せ大賑わい。そんな中、地震が発生し、地割れによって太古に密閉された洞穴が露出。その中に潜んでいたピラニアのような魚が大量に湖に流入する。地割れが生んだ渦に、一人の老人マシューが乗ったボートが巻き込まれ転覆すると、そのまま魚に襲われてしまう。女性保安官のジュリーは、毎年恒例の若者たちの乱痴気騒ぎにうんざりしつつ、行方不明になったマシューの捜索を開始。夜の浜辺でかみ殺されたようなマシューの遺体を発見したジュリーは、海洋学者の調査団に協力を依頼する。一方、ジュリーの息子ジェイクは、湖へ繰り出したいが、弟妹の子守を命じられうんざり。そんな時に、陽気なポルノ映画監督にロケ地のガイドを依頼されたジェイクは、弟妹に口止めをして帯同してしまい…というストーリー。

エログロ要素はもちろん、くだらね~って部分が多すぎて乗り物酔いみたいな感覚になる。めまいがするほどくだらないって、もう、褒め言葉だよね。これが3Dっていうんだから、劇場で観た人は、いっそう酔ったに違いない。飛び出してくる色んなものが、すべてエロいんだろ?もう馬鹿企画の極み。

いけすかないヤツに、死亡フラグ。実に、わかりやすい。ほんと、“人がゴミのようだ”状態。絶対子供は死なないのは判ってるんだけど、力が入っちゃって、すんげー首と肩こった。主人公のジェイクが、ポルノ女優の方に傾いたら、同級生が死んでたのかな?(笑)。DVDはマルチエンディングにするってのも、おもしろかったのでは?

ボートのエンジンスクリューで魚を切り刻もうとする黒人保安官。なんで、そこまで頑張るのか、いやその位置で頑張る意味がまったく意味不明。無駄死にするなよ(笑)。 そう、いけすかないヤツだけじゃなく、馬鹿も死ぬんだよね。この映画。
#あれ、こいつの声、出川か?

地味に魚に喰われる以外の死に方をしてる人が多くて、ますますカオス状態。ワイヤーがピュン!で真っ二つとか、『ゴーストシップ』かよ。ヌードとかはセーフ、血しぶきもセーフ、でもアレが漂って喰われて吐かれては、下品のラインを越えてるかな。

まあ、モラリストの私としては(笑)認めたくないけど…、怪作であり快作だわな。
#なんで、ドクが魚の解説してるの~~!?。

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image1894.png公開年:2011年
公開国:日本
時 間:95分
監 督:坂本浩一
出 演:福士蒼汰、渡部秀、高橋龍輝、清水富美加、真野恵里菜、三浦涼介、高田里穂、桐山漣、菅田将暉、坂田梨香子、冨森ジャスティン、志保、土屋シオン、田中卓志、鶴見辰吾、荒井敦史、君嶋麻耶、岩永洋昭、有末麻祐子、甲斐まり恵、宇梶剛士、ダンテ・カーヴァー、人見早苗、渡辺梓、益岡徹 他



宇宙から隕石群が世界中に落下。死の商人『財団X』は栄光の7人ライダーの攻撃を跳ねのけ、隕石に付着していた未知の宇宙物質“SOLU”の入手に成功。隕石は時空を歪ませ、未来と通じるワームホールをつくってしまう。そこから登場した“仮面ライダーポセイドン”は、里中や比奈を襲撃。救援にかけつけたバースとプロタイプバースも倒されてしまうが、そこに火野映司が駆けつけるが、何故か消滅したアンクの姿がそこにあった…というストーリー。

所詮子供向けのヒーローアクション物と思うなかれ。自身もスタントマン出身で、アクション監督をした作品は数しれない坂本浩一監督(本作でもアクション監督兼務)。とにかく、ワイヤーアクションとカメラアングルと移動が、ズバ抜けてすばらしい。ああ、紐で引っ張られてるなーという興醒めは一切なし。本当にズザーッ、ビャーッと跳んでいる感じ。さらに、そのアクション画像とCGの合成が実にシームレス。とうとうこのレベルまで来たか…という印象。昨今のハリウッドアクションのように、妙な軽さはなく、人間が飛んでいるしっかりした“重さ”が伝わってくる。子供のためにレンタルしたお父さんお母さんも、思わず画面に吸い込まれるに違いない。画面がちゃらちゃら動くパチンコに中毒になるくらいだから、同じ感覚で目がうばわれるでしょう。動いているのが、どういうライダーなんだかどうでもいいくらい、面白いようによく動いている。

脚本家は2名で、オーズのパートが小林靖子の模様。相変わらずのウェットでこねくり回したような話が、テンポを阻害しているが、まあ、3パートのうちの一つなので、いい緩急になって結果オーライ。でも、仮面ライダーアクアがどういう経緯でライダーになったのかもよくわからん(鴻上とは無関係?)。きちんと説明できればおもしろくなると思うのだが。男の子がこだわる部分を見事にスルーするね、この人。オーズ本編ではアンクは消滅し火野映司も変身不能になって終了、どうやって映画に登場させるのかは、脚本家の腕の見せ所と思われていたのだが、未来のメダル、アンクも…って、もう夢オチレベルだもんなぁ。

栄光の7人ライダーは玩具のために借り出されただけで、出演自体が無意味(ライダー部の名前の由来の説明だとしても、大きな子供しか気付かないし)。お父さん世代の懐かしハートをくすぐるという意図があったかもしれないが、その点は逆効果。何で敵がわざわざ、仮面ライダーをメダル3個とイッチ4個にしなくてはいけないのか意味がわからないからね。レム・カンナギは馬鹿丸出しじゃん。まさに子供騙し。さらに出てきたところで、大した活躍もしないという、超ダメ演出。きちんとアクションで魅せることに注力させるべき。東映とBANDAIの要求が悪すぎなんだろう。こういう勢ぞろいシーンみたいなのが、軒並みおもしろくないのって、現場の静かな反抗だったりして。

新ライダーも新フォームもたくさん登場で、よく盛り込んだなぁとは思うけど、シナリオ自体は大したレベルではない。それを、アクションだけでここまで盛り上げた坂本浩一監督、恐るべし。仮面ライダー映画としては、近年随一の出来映え。

 

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image1882.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:ガイ・モシェ
出 演:ジョシュ・ハートネット、ウディ・ハレルソン、GACKT、ケヴィン・マクキッド、ロン・パールマン、デミ・ムーア、ジョルディ・モリャ、菅田俊、海保エミリ 他
コピー:最強の二人が世界を変える。すべてを射抜け!




戦争後の荒廃した世界。人々は争いを再び繰り返さないために、お互いに銃をもつことを禁じたが、決して暴力の連鎖が止まることはなかった。”木こりのニコラ”が牛耳るとある街に、ドリフターと名乗る男と侍のヨシが姿を現す。ヨシは曾祖父の代に奪われた家宝の竜の紋章を取り戻すためにやって来たのだ。二人はとあるバーで出会い、ちょっとした行き違いで戦うことに。二人の強さを見たバーテンダーは、ニコラ打倒のために手を組むことを持ちかける。バーテンダーも二コラと因縁があり、ひそかに機会をうかがっていたのだった。そんな中、日本料理店を営むヨシの叔父がニコラの手下に殺され、その娘も拉致されてしまい…というストーリー。

味のある折り紙アニメーションからスタート。なかなかの美術センスに期待値が上がりまくりだったのだが、良かったのはそこまで。人間が登場すると、いかにも“セット”という舞台でストーリーが展開される。アメコミ調の背景イメージを立体化したのだろうが、これがあまりにもショボい。冒頭だけかと思ったら、延々そういう美術。さすがに飽きる。なんとなく“ガン=カタ”でおなじみ『リべりオン』が頭に浮かんだのだが、本作の“銃のない世界”には、そこまでの設定の練りこみが見えない。あの冒頭のアニメで説明された世界と同一世界と思えないくらいイメージの乖離がある。

ニコラの部下の9人のナンバーズたち。№2やカポエラ使いなど、面白いキャラもいるのだが、全員は描ききれていない。それなら、もうすこし人数減らせばいいのに。というか、根本的に親玉ニコラの強さがピンとこない。衰えたという設定なのはわかるが、せめて過去にどんな所業をしてきたのかは、厚く描くべきだったろう。なんだか、屋敷のなかにいる毛むくじゃらのオッサンを、みんなが必要以上に怖がっているようにしか見えないわけで…。敵が手強く、凶悪に見えなければ、盛り上がるものも盛り上がらない。敵に対する怒りの感情が湧かないというのは、こういうアクション作品では致命傷だわな。

主人公とおぼしきジョシュ・ハートネット演じる流れ者が、何がしたいのかよくわからんので、ぼやーんとしている。最後に彼の行動目的が明かされるが、そこまで勿体つける意味がない。むしろ、サブキャラのGACKT演じるヨシのほうが、行動の目的がはっきりしていて、よっぽど主役らしい(さすが欧米人デケー、GACKTがちっちゃく見える)。でも、家宝もニコラが持っているっていうのは、彼にすべてを集約しすぎで、かえって面白くなかったな。

ロン・パールマン、ウディ・ハレルソン、デミ・ムーアと何気に豪華キャストなんだけど、結果的には無駄使いだったな。残念ながら凡作レベルからも崖落ちかと。途中で何度も気を失いかけたよ。

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imageX0051.Png公開年:1955年
公開国:日本
時 間:124分
監 督:成瀬巳喜男
出 演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、岡田茉莉子、山形勲、加東大介、木匠マユリ、千石規子、村上冬樹、大川平八郎、金子信雄、ロイ・H・ジェームス、出雲八枝子、瀬良明、木村貞子、谷晃、森啓子、日吉としやす 他




戦時中、農林省のタイピストとしてインドシナに赴任したゆき子は、日本に妻を残して赴任している富岡という男と出会う。はじめは皮肉家の富岡に悪印象をいだいていたゆき子だったが、やがて愛し合うようになる。終戦を迎え、富岡は「妻と別れて君と一緒になる」を残し先に帰国。その言葉を信じて、富岡の家を訪れるゆき子だったが、富岡は一向に妻を別れる気配を見せない。途方にくれたゆき子は富岡と別れることを決め、生きるために米兵の情婦となる。しかし、富岡と再開するとゆき子の心は揺れ、結局よりを戻すことに。二人はしばらく伊香保温泉に隠遁するが、なんと富岡は飲み屋の若妻おせいに手を出してしまい…というストーリー。

そりゃぁカテゴリは文芸作品なんでしょうけど、高尚な文芸作品と捉えるのは、どうかと思う。終戦直後の“だめんずうお~か~”、正にそんなレベル。
ここまで、昔も今も男女で繰り広げられていることに違いがないことを見せられると、人間はそういう生態の生物なんだ…と断言せざるを得ない。的を得ているという意味では慧眼だが、文学的という意味じゃなく生物学的って意味でね(笑)。

男女の情欲の刹那さと捉えられなくもないが、ちょっとそういう次元ではないな。高峰秀子演じるゆき子は、堕ちるところまで堕ちているもの。義兄に手篭めにされて、逃げた外地でも妻アリの男にはまる。さらにいずれ妻とは別れて…という言葉を間に受けて、それがままならぬとなったら、生きるために売春婦まがいに身をやつす。それでもなぜだか義兄にはつきまとわれる(こりゃ地獄)。
それでも富岡との関係はずるずる続き、妊娠までするが、別の女に寝取られる。そんで、泣きついた先が、自分の人生を狂わせた発端でもある義兄って、もう、なんだかね。
#その義兄が宗教法人を啓いて金持ちになってる展開とか、斜め上。下衆の極み。

男のほうは、間違いなくクズ人間だが、割れ鍋に閉じ蓋とは正にこのこと。富岡がモテモテのように見えるかもしれない。しかし、ゆき子もおせいも、彼と同じ臭いの種族。お互いに依存しているだけだ。終戦間際ということもあり、街という街のいたるところがとにかく小汚くて、油断すると「社会のせいなのかなぁ…」とか「戦争のせいなのかなぁ…」とか、同情してしまいそうな気持ちがもたげてくるけど、「いやいや、こいつらがクズなだけだから!」と正気に戻ること度々(笑)。

『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき』有名なこの一文は、この作品なのだな。花っつっても色々あるなぁ。世の中が貴方たちにつらくあたってるんじゃなくて、貴方たちがつらい生き方に寄っているようにしか見えないのよ(まあ、うまくいかない人生ってのは、往々にしてそういうもんなんだけどね)。

こんなダメ人間たちの所業を眺めていることなんかさぞや苦痛だろう…と思うだろうが、そうでもなかったりする。定期的にスペシャル番組が作られる“警察24時”で、ダメ人間を眺めるのは面白い。ラジオの生活相談みたいなので「アホか…」っていたくなるような内容だって、聞いてる分には面白い。
#本作と同様の経験をしたことがある人は、痛々しくて観ていられないかもしれないけど。
手放しに良作と評価するのはいかがなものかと思うが、レディコミ感覚で観る分には愉しめる作品。
#岡田茉莉子がデヴォン青木に見える。

 

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プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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