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公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:ジェイ・チャンドラセカール
出 演:ジェイ・チャンドラセカール、ケヴィン・ヘファーナン、スティーヴ・レミー、エリック・ストルハンスク、ポール・ソーター、 ブライアン・コックス、ジム・ガフィガン 他







アメリカの地方都市ブロークン・リザード。ハイウェイ・パトロールのソーン、ロッド・ファーバ、マック、ラビット、フォスターは、ドライブ中の人々へイタズラを仕掛けてばかりで、まともに働いていない。そのくせ、捜査権争いで地元警察といつも小競り合いしている。そんなある日、市の予算削減を理由に、ハイウェイ・パトロールの廃止が通達される。存続させるためには、一発逆転で大手柄をあげるしかない。すると、たまたま取り調べた車のなかから、大量のマリファナを発見。これは巨大な密売組織に繋がっていると踏んだ彼らは、捜査を開始するのだが、犬猿の仲の市警は捜査協力や情報提供どころか、そんな組織の存在自体を否定し…というストーリー。

まあまあ、とにかくハイウェイ・パトロールたちの行動のくだらなさは、稚拙極まりない。愛嬌があるとか、権力者をギャフンといわせるとか、その手のイタズラではなく、純粋に目先の愉しさのための暇つぶし以上の何者でもない。

隊長はともかう、部下の4人のキャラクターに、あまり特徴を出せていない。一応、リーダー格の中東っぽい顔の人と、市警の女警官といい仲になる人と、本物のクソバカと、3人は区別がつく程度のキャラ付けをされてはいるのだが、『ポリスアカデミー』なんかと比べると弱い(もう一人は思い出せないくらいだし)。

防弾パンツのくだりが、あまりにもあり得ないうえに、長々やったわりには、その後のストーリーには関係ない。ここから判るように、一応、大筋のプロットだけが存在しており、あとはすべて思いつきだということだ。

その思いつきがつまらないか否か。前半はクッソつまらない(というかどこに向かっているのかさっぱりわからない)のだが、後半になって話の方向性が見えてくると、そこそこおもしろくなってくる。女警官との恋のゆくえと和解、クソ馬鹿のでくの坊の使い方とか、それなりにエピソードが多重化してきて、なんとか愉しめるレベルに。

おそらくキャリアの浅い脚本家だとは思うのだが、密売組織の正体に強引なオチをつけてなぎ倒していた(全然、密売組織自体を膨らます気がない)。冒頭に出てきた3人の若者が、やけにしっかり描写されていたのに、全然出てこないと思っていたら、エピローグ要員だった。まあ、がっかり展開から、やっぱり誰でもそう考えるわな…という落としどころだろう。あのエピローグで、なんとかまとまった感じ。レンタル料金100円なら、ギリギリ許せる範囲(返却する日の天気が悪かったら微妙なレベル)。

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公開年:2000年
公開国:アメリカ
時 間:164分
監 督:ローランド・エメリッヒ
出 演:メル・ギブソン、ヒース・レジャー、ジョエリー・リチャードソン、ジェイソン・アイザックス、クリス・クーパー、チェッキー・カリョ、ルネ・オーベルジョノワ、リサ・ブレナー、トム・ウィルキンソン、ドナル・ローグ、レオン・リッピー、メアリー・ジョー・デシャネル、アダム・ボールドウィン、ミカ・ブーレム、スカイ・マッコール・バートシアク、トレヴァー・モーガン、グレゴリー・スミス、ローガン・ラーマン 他
ノミネート:【2000年/第73回アカデミー賞】撮影賞(キャレブ・デシャネル)、作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、音響賞(Lee Orloff、Greg P. Russell、Kevin O'Connell)
【2001年/第10回MTVムービー・アワード】男優賞(メル・ギブソン)

1776年、サウス・キャロライナ州。かつてフレンチ・インディアン戦争で名を轟かせた英雄ベンジャミン・マーティンは、今では18歳の長男ガブリエルを頭に7人の子供の父親となっていた。妻には先立たれ、農夫として平穏な暮らしをしている。アメリカ13州の民はイギリスからの圧政に苦しんでおり、各地で解放を叫ぶ声が上がり、とうとうアメリカ本土を主戦場とする独立戦争に突入する。ガブリエルは愛国心を燃やし、ベンジャミンの反対を押し切って入隊してしまう。その2年後、負傷したガブリエルが我が家に戻ってくる。傷の治療を施すが、そこにイギリス軍のタヴィントン大佐が押しかけてくる。大佐は、ガブリエルにスパイ容疑をかけて連行。さらに、それを防ごうとした次男トマスを射殺した上、家を焼き払ってしまった。怒りが頂点に達したベンジャミンは、3男ネイサンと4男サミュエルを引きつれ、ベンジャミンを連行しているイギリス軍を森で待ち伏せし、奇襲攻撃をかける。一小隊全員を抹殺しガブリエルを奪還する。ベンジャミンは、かつての戦友で、現在は米国軍司令官のバーウェル大佐の下を訪れ、民兵を率いて参戦することを告げる…というストーリー。

南北戦争が舞台の作品は多いが、案外、独立戦争の映画は少ない。色々理由はあると思うが、まず、戦争の形態が絵にならない。観た人はお判りだろうが、一列に並んだ兵隊が、両陣営から進んできて銃を撃ち合うという戦法が、はっきりいってアホらしく見える。おそらくしっかりと時代考証はされている。銃の命中度が低いので、この戦法は事実なんだろう。でも、事実だからといってアホらしいことには変わりがない。

そして、この独立戦争が、フランスからの援軍によって勝利が得られるという、“独立”の名にそぐわない展開であることも大きいと思う。本作はフランスの援軍が到着するまでを描いている。アメリカ人にとって、独立戦争が、あくまでアメリカとフランスの連合軍の勝利であり、アメリカの代名詞たる“自由”がフランスからもたらされたものであること、それを改めて再確認させられるのはおもしろくないことなのかもしれない。

ということで、ストーリーは戦況にはあまり焦点が当たっていない。今はいいおっさんになってしまったが実は最強の英雄というキャラクターを主人公に据え、息子を殺されたとう私怨からスタートして、家族を守る=国を守るという構図を作っている。最後の最後まで、息子の敵討ちだ。子供のおもちゃであるブリキの兵隊で弾丸を作るシーンなど、センチメンタルを煽るシーンは随所にみられる。

とはいえ、あくまで歴史物としての方向性は放棄したくなかった模様。子供を殺してみたり、普通の死亡フラグだったらガブリエルを殺すところを妻を先に殺してみるとか、ハリウッド娯楽映画のお約束からはずす工夫は見られる。でも、そのせいで上映時間が長くなるという弊害もある。

統一した軍服をきて、指揮命令体系きてさえいれば軍隊ではあるので、民兵とはいえ軍隊なのは間違いないのだが、その行動はゲリラ的。相手の装備を自分の物にしていいというのが、戦時ルールに敵っているのかは詳しくないので不明。でも、綿花畑で、両側から撃つとかはありえないな…。

メル・ギブソンは、『ブレイブハート』などと同等にキレのあるアクションを披露。ヒース・レジャーは若手俳優らしからぬ渋い演技力を発揮。また、ロケシーンの壮大さは認めざるを得ない。しかし、結局、私怨の枠を超えることなく、“愛国”という名を冠するほど壮大な愛に昇華することなく終了してしまった。

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公開年:1996年
公開国:イギリス
時 間:107分
監 督:マーク・ハーマン
出 演:ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド、スティーヴン・トンプキンソン、ジム・カーター、メラニー・ヒル、スー・ジョンストン、フィリップ・ジャクソン、メアリー・ヒーリー 他
受 賞:【1997年/第10回東京国際映画祭】審査員特別賞
 【1997年/第23回セザール賞】外国映画賞(マーク・ハーマン)




1992年。イングランド北部の炭坑の町グリムリー。炭鉱閉鎖の閉鎖問題に揺れていたが、石炭需要が小さくなる中、会社と争おうという勢いもイマイチで、町の人々は生きる希望を失いかけていた。町には結成100年を誇る名門ブラスバンド“グリムリー・コリアリー・バンド”があったが、そのメンバーは炭鉱関係者。バンドリーダー兼指揮者のダニーは、全英選手権に出場し、決勝のロイヤル・アルバート・ホールで演奏することを夢見てメンバーを鼓舞するが、それぞれが問題を抱えており、練習に身が入らない状態だった。そんな中、グレムリー出身のグロリアが町に戻ってきた。彼女はダニーの親友の孫娘で、楽器持参で練習場に現れるなり難しい曲を軽々と吹いてみせて、一同を驚かせる。メンバーになった彼女に、男連中は色めきたったが、その中の一人、若いアルト・ホーン奏者のアンディは動揺していた。彼とグロリアは、子供時代のある期間、付き合っていたからだ。その後、グロリアが、会社が炭鉱の埋蔵量などを調査するために送り込んできた人間であることを知ってしまうが、なしくずしで一夜を共にしてしまい…というストーリー。

イギリスお得意の実話ベースのコメディ&ピンチ切り抜け感動物語。日本でも『スウィングガールズ』の矢口史靖監督に代表される一時期流行ったこの手の作品があるけど、結局はこれらイギリス作品の亜流(だと私は思っている)。

自分の生活基盤が無くなろうというその時、組合活動への力の入れ具合も中途半端に、バンドへ注力するバンドのメンバーたち。妻たちから「昔は戦ったのに今は戦っていない」と罵られようが、バンドに力を注ぐ。何で?単に好きだから?つらい現実から目を背けている?
暗く沈んだ町に元気を取り戻すには、バンドが優勝することだ!と、みんながそう考えているようには思いがたい。

みんながガリガリと一丸となって、目標に向かっていなければいけないと言いたいわけじゃない。むしろ、そのダラダラ具合が、非常にリアルに感じたのだ。炭鉱がその使命を終えるのは、時代の大きな潮流。それに闇雲に抵抗することが答えではないし、実際そうしても玉砕するだけである。バンドメンバーは、見えそうで見えない何かを、無意識に追っていたのかもしれない。

愛する人と結ばれるアンディだが、グロリアは会社側の人間だと知ってしまう。おそらくアンディ的にはどうでもいいことなんだろうが、仲間の手前、一線を引かざるを得ない。ある意味、金と面子のために愛も音楽も捨ててしまう。
グロリアも薄々勘付いてはいたが、そうではないと目を背けている。本心とは裏腹にバンドのメンバーから裏切り者呼ばわりされる屈辱。
父の長年の思いを遂げさせたいと思っているダニーの息子。しかしその息子は経済面で家庭を壊してしまう。そんな中、父が倒れてしまい、今までやってきたことが無になってしまう。一体自分は何をやっているのか。

それぞれの問題が、散発的に大きくなっていく中、懐中電灯で病院の外で演奏するところは名シーンだ。それぞれの思いが根底では一つであることを感じる場面。
過剰な盛り上げ演出が少ないので淡白に感じてしまうかもしれないが、この地味さがよいと感じる。最後は、ひょっこりステージの後ろから出てくるくらいでちょうど良いのだ。本番前にやっていて指揮者交代の無理なエピソードなんか差し込んだら興醒めしちゃう。

優勝したからって、炭鉱がどうにかなるわけでもない。でもそれでいいんだ。小気味良い佳作。軽くお薦め。
#見舞いは葡萄とかいうステレオタイプあるのか?

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公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:ジョン・タートルトーブ
出 演:ジョン・トラヴォルタ、キーラ・セジウィック、フォレスト・ウィテカー、ロバート・デュヴァル、デヴィッド・ギャラガー、ジェフリー・デマン、ブレント・スピナー、エリザベス・ナンジアト、ジェームズ・キーン 他
ノミネート:【1997年/第6回MTVムービー・アワード】歌曲賞(エリック・クラプトン“Change the World”)、男優賞(ジョン・トラヴォルタ)、キス・シーン賞(ジョン・トラヴォルタ、キーラ・セジウィック)


カリフォルニア州の田舎町ハーモンで、自動車整備工場を経営するジョージは、その明るい性格から町の人々から愛されている人物。彼の誕生パーティが催された夜。不思議な光に包まれたジョージは、天才的な知力や念動力が身に付いてしまう。それから貪るように本を読み、次々と湧くアイデアを具現化していく。さすがに自分の変化に不安を覚えた彼は、父親代わりの医師ドクに相談するものの、田舎の医師では何もわからない。一方、子持ちの女性レイスに片思いしているジョージは、その能力で子供達を楽しませ、距離を縮めようとする。実はレイスもジョージに好意を抱いていたが、夫を亡くしてから人を愛することに臆病になっており、彼を拒み続けるのだった。その後、レイスの家を訪れた彼は地震を予知したり、わずか20分でポルトガル語を習得し、瀕死の子供の居場所を超能力で突き止めるなど、奇跡を連発する。すると、これまで親しく付き合っていた町の人たちから気味悪く思われるようになり、ジョージの心は傷ついてしまう…というストーリー。

純朴なおっさんが、突然、超能力を身につけてしまう。それも空から降ってきた閃光を浴びてから。普通に考えれば、宇宙人に改造された…的な展開だと思う。いかにもSFチックなお話だが、急に知識が付くことで、周りの反応が変わってしまうという『アルジャーノンに花束を』のような軸や、未亡人との大人なのに純朴な恋愛物語の軸もある。さらにFBIからの追求でピンチに陥り、さらに検体として手術されそうになり逃げ出すというハラハラ要素もある。実に盛りだくさんな要素を、うまく構成していると思う。

これが都会のお話だったら、衆人の目にさらされてしまい、こんな緩い展開にはならない。ド田舎という舞台が、実に生きている。

(以下、ネタバレ)
観客の誰もが、宇宙人がらみの展開になると予測していたと思うが、腫瘍でした…という流れに。あの光も腫瘍のせいだ…と。
でも、普通のセンスなら、『アルジャーノンに花束を』のように元に戻るという展開を考えるはず。また、頭脳を駆使して、こっそり生きてます…みたいな、ニヤリなオチも考えるだろう。

しかし、一切そういう痛快なオチは無く。愛する人へ気持ちを伝えるということに集約されていく。ラストの誕生パーティのシーンは、素直な人なら感動できたに違いない。残念ながら、そのような、ほんわか爽やかなオチを、個人的には望んでいなかったので、かなり拍子抜け。

そういう方向にもっていくのなら、FBIのくだりは不釣合いだし、彼を追い詰める役割としては中途半端だった。町の人々のジョージを見る奇異な目線だけで十分だった気もする。
それに、大体にして、軍暗号を解いちゃってこまるのはFBIじゃなくてNSAじゃねえかと思うんだ。

終盤が、あまりにも私の好みとかけ離れていた。凡作。でも、エンドロールで流れる“Change the World”は格好良い。いや、単にこの曲がかっこいいだけなのだが…。

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公開年:1994年
公開国:フランス、アメリカ
時 間:111分
監 督:リュック・ベッソン
出 演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ダニー・アイエロ、ゲイリー・オールドマン、ピーター・アペル、マイケル・バダルコ、エレン・グリーン、サミー・ナセリ 他
ノミネート:【1995年/第19回日本アカデミー賞】外国作品賞






ニューヨークで孤独に暮らしている、イタリア系移民のレオン。彼は、イタリア系マフィアのボスであるトニーのからの依頼を専門に受ける、プロの殺し屋。ある日、仕事を終えてアパートに戻ると、隣室の住む12歳の少女マチルダが廊下が座っている。彼女の顔に暴力を振るわれた跡があったことから、初めて言葉を交わす。マチルダの住む部屋にはスタンフィールドという男とその部下が訪れていた。スタンフィールドは、マチルダの父ジョセフが密売組織の麻薬の一部をくすねたと疑っており、それを詰問していた。明日の正午までの無くなった麻薬を見つけるように告げて去っていったが、翌日、スタンフィールドと仲間たちはマシンガンを手にアパートを急襲。ジョセフが隠し持っているを確信したスタンフィールドは、4歳の弟を含め、全員を射殺。ちょうど買い物に出ていたマチルダは、平静を装いレオンの部屋に向かう。一瞬躊躇したレオンだったが、彼女を部屋に入れ保護するのだった。レオンが殺し屋であることを知ったマチルダは、愛する弟を殺した奴らに復讐するため、自分を殺し屋に仕立ててほしいを懇願するのだが…というストーリー。

TV放送があると、断片的に観ていたことが何度もあるが、通しでしっかり観たのは、もしかすると初めてかもしれない。レオンが文盲の設定とか、「あれ?そういう設定だっけ?」状態だった。

子供は死なないというハリウッド的な演出から外れて、4歳の子を殺す効果の大きさを感じずにはいられない。あのシチュエーションを考えた場合に、流れ弾で死ぬという展開はごく自然。少女が殺し屋を目指すという、いささか荒唐無稽な展開も、糞オヤジ以外は血縁がない等の状況を考えると、事件直後のマチルダの反応は妥当に見える。
とにかく演出に置きに行った感がない。リュック・ベッソンの、客の顔を伺っていない、しっかりと自分のペースでアクセルを踏んでいる演出の心地よさ。これがあるからこそ、レオンの暗殺者ゆえの残酷さやシビアさと、無骨さや純朴さのミックスが、うまくミックスできている。
#文盲で殺し屋が成立するか…という疑問は感じなくはないが、まあ許容範囲だろう。

一人の暗殺者という主人公に対して、ゲイリー・オールドマン演じる悪徳刑事というキャラクターのバランス感が非常に良い。警察組織の人間ではあるが、はみ出しもののクズ刑事。レオン一人でもなんとか対処できそうなギリギリのレベルなので、気持ちを肩入れしがいがある。

自分で復讐しようとするマチルダ。多数の機動隊に追い詰められる無理めの展開の中、斧つかって脱出ルートをつくるシーン。さらにそこでの二人のやりとりとか最高。印象的なシーンが盛りだくさん。最後も単純に、警官に化けて逃げ切れる…だけじゃないのがよい。

レオンのマチルダに対する感情は、ロリコン的なそれと思われるかもしれないが、それは違う。男性の観客がレオンに共感できるのは、男性の遺伝子に潜んでいる父性、それも“弱い立場の誰かを守って死にたい”という欲求がガンガン刺激されるからだ。生き死にに関わるシチュエーションを見せられると、さらに引っ張り出されやすくなる。

寄宿舎に戻ったシーンでは、最後は、本当のことを言ったのに信じてもらえなかったってこと?それとも同情されたってこと?先生の表情はイマイチ読み取れなかった。いずれにせよ、学費はすでに支払い済みという伏線がしっかり張られていて、まったく違和感なく戻れている点がすごい。

プロットはまちがいなく凡庸。でも、話が素晴らしいかではなく、端々に至る演出があまりにも神懸りすぎる作品。映画賞に無縁だったのがビックリ。
#エンドロールのスティングの曲はとにかくシビれる。

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公開年:1969年
公開国:メキシコ
時 間:123分
監 督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出 演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ブロンティス・ホドロフスキー、デヴィッド・シルヴァ、ポーラ・ロモ、マーラ・ロレンツォ、ロバート・ジョ 他
受 賞:【1974年/第2回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】審査員特別賞





流浪の子連れガンマン、エル・トポ。ある日、住人が虐殺された村に差し掛かる。山賊たちの仕業であることを聞きだしたエル・トポは、彼らが占拠している修道院に奇襲をかけ、見事に退治する。山賊の棟梁“大佐”が囲っていた女マーラィに一目惚れしたエル・トポは、旅に連れて行こうとするが、マーラィが子供を連れて行くことを嫌がったため、修道院に置き去りにする。その後、マーラィは砂漠に住むといわれる4人のガンマンを退治して、最強の男になるように、エル・トポをそそのかす。達人たちを次々を発見し、撃破していくエル・トポだったが、旅の途中で拾った女ガンマンとマーラィが同性愛に走ってしまう。エル・トポは女ガンマンは銃撃され瀕死の状態に。それから20年の歳月が流れ…というストーリー。

間違いなく『不思議惑星キン・ザ・ザ』と並ぶカルトな珍作。コマ抜きか?と思わせるような雑な編集。意図的なのか否か判別できないが、とにかく特徴的。印象的。

素っ裸の息子に、お前はもう大人だから、おもちゃと母親の写真を捨てろ…というシーンから始まる(そういうくせに、ずっと素っ裸のままで連れまわすし)。。子連れ狼的な展開になるのかと思いきや、女の要求であっさり置き去りという斜め上展開に。そこまでは、フェデリコ・フェリーニの『サテリコン』ばりの退廃的作品なのか思っていたが、もしかすると笑わせようとしているのか?とすら思えてくる。
でも、作っているほうは真剣に違いない。

よくわからんが、砂漠に存在する4人のガンマンを倒して、№1になって!と女の懇願されて、言いなりのエル・トポ。砂漠を螺旋を描くように歩けば必ず見つかる…みたいなトンチキな理屈が随所にみられる。そのセリフ必要か?みたいな演出が満載である。

で、4人のガンマンなわけだが、いざ遭遇してみると全然ガンマンじゃない。目の見えない修行者とか、動きが正確すぎちゃう奴とか、一発で心臓を射止める技を持ってる奴とか、終いには極めすぎちゃって戦わないやつとか。で、そいつらに勝つまで苦悩したりして。勝ったら勝ったで、特に何があるわけでもなかったり。
その末、レズビアンのガンマンに倒されちゃう。そこまではいいけど、洞窟に放り込まれて長い月日が経っちゃうとか、何それ。なんか白塗りになってるし。

奇形の人々が住む洞窟から脱出した後、その人たちを救うために芸人になって金を稼ぐという、またまた奇妙な展開。奇妙さの極めつけは、捨てた息子が登場とか。実は、観ているとき、神父の弟子みたいなのが、エル・トポの息子だなんて理解できなかった。それ以前にあの洞窟に20年もいたとか、観ているだけじゃわかんないし。後から、ネットであらすじを調べて、ようやく理解した次第。

最後も、死体がミツバチに覆われるのが何の隠喩なのかは不明。隠喩があるのかも不明。こういう投げっぱなし感は、実はカルト的人気を形成するためには重要。観客に考えさせる、想像させる余地を与えるという意味で、こういう答えのない問いかけは重要。

あまりのわけのわからなさに、気絶寸前だったけど、日常生活の雑事にまみれた脳がリセットされるくらいのインパクトがあった。

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公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出 演:ジェニファー・ティリー、ジーナ・ガーション、ジョー・パントリアーノ、リチャード・サラフィアン、ジョン・P・ライアン、クリストファー・メローニ、バリー・キヴェル、ピーター・スペロス、ケヴィン・リチャードソン、メアリー・マーラ 他
ノミネート:【1996年/第12回インディペンデント・スピリット賞】撮影賞(ビル・ポープ)
【1997年/第6回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ジーナ・ガーション、ジェニファー・ティリー)



盗みのプロ、コーキーは仲間の裏切りで捕まってしまう。5年の刑期を終えて出所すると、マフィアのビアンキーニ一家の下で仕事をすることに。仕事といっても、ビアンキーニが所有するアパートの内装や配管掃除。手掛けた部屋の隣室には、組織のマネーロンダリングを担当しているシーザーが住んでいた。シーザー宅には情婦のヴァイオレットも住んでいたが、元々レズビアンだったヴァイオレットは、中性的なコーキーに一目惚れしてしまい、誘惑を繰り返すようになる。コーキーもレズビアンで、ほどなく二人は結ばれる。そんな中、組織の会計士シェリーが200万ドルを横領したのが発覚。シーザーの部屋で、ボスの息子ジョニーらが金の在り処を吐かせるために拷問を繰り広げる。拷問の末、発見された金は、一旦シーザーが預かることに。そんな組織の凄惨な所業に嫌気がさしたヴァイオレットは、横領された金を奪い一緒に逃げようとコーキーに持ちかける。はじめは躊躇したコーキーだったが、シーザーと中の悪いジョニーが金を盗んだことする作戦に乗ることに。ボスのジーノが金を受け取りにくる日、コーキーが部屋に忍び込んで金を盗んだあと、ヴァイオレットはアパートの前でジョニーが逃げるように車を走らせたと、シーザーに嘘をつく。嫌な予感がしたシーザーは金を確認するがなくなっており、まんまと作戦通りにジョニーが盗んで、自分をハメようとしているのだと思い込む。しかし、シーザーの性格ならばそのまま逃亡すると予測していたのに、シーザーは反撃の手を考え始め…というストーリー。

コーキーはムショ上がり。冤罪だとか仕方なく犯罪に手を染めたとかなら共感できるのだが、根っからの犯罪者で、仲間の裏切りで捕まっただけ。ヴァイオレットと付き合い始めたときに「こういうのも悪くない」的なことを言うが、普通にレズビアンバーの常連で、“こういうの”ってなんやねん状態。とにかく、レズビアンじゃないと共感できないんじゃないか?と思われるような部分があり、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟がこんな作品を?なんて思うのだが、ラリー・ウォシャウスキーが性転換し姉弟となった今では、さもありなん…って作品。

一方のヴァイオレットも、なんとなくシーザーに虐待されているのだろうな…とは思えど、だからといって、同情できるような過去がしっかりと描かれているわけではない。むしろ打算的に見えて、こちらも共感しにくいキャラだ。
必ずしも勧善懲悪的な設定でなくてはいけないわけじゃない。それは、百も承知なのだが、こういうストーリー展開の場合、ちょっとは共感・同情できないと一緒にハラハラしにくい。おまけに、計画が進行している最中、コーキーは隣室で待機しているだけで、すっかりストーリー上お留守になってしまうという…。

ところが、そこで伏兵現る。主役の二人よりも、ヴァイオレットの夫(?)シーザーのシブとさが、ストーリーを動かし始めるのだ。簡単に騙せると、主役二人はもちろん観客だってそう疑わないような、アホっぷりを発揮していたシーザーなのに、ゴキブリ並みのシブとさとしつこさを発揮するのだ。
糸の切れた凧のように暴れ始めたシーザーに、確固たる決意で望んだヴァイオレットもひるみ始める。薄氷を踏むように軌道修正しようとするヴァイオレットだが、さてどうなるか。

好みの分かれるところだとは思うは、私はなかなかの良作だと思う。お薦めしたい。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:バルタザール・コルマウクル
出 演:マーク・ウォールバーグ、ケイト・ベッキンセイル、ジョヴァンニ・リビシ、ベン・フォスター、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、J・K・シモンズ、ルーカス・ハース、ディエゴ・ルナ、デヴィッド・オハラ、ウィリアム・ラッキング、オラフル・ダッリ・オラフソン、ロバート・ウォールバーグ、ジャクリーヌ・フレミング、コナー・ヒル、ブライス・マクダニエル 他
コピー:全員、コイツにだまされる
愛する者を守る為、この男《究極のトリック》を密輸する。



“世界一の運び屋”と呼ばれるほど完璧な仕事で名を馳せたクリス。現在は愛する妻と息子達との生活のため、裏社会とは縁を切り、警報装置の設置業者を営んでいる。ところが、コカインの運びやをこっそりやっていた妻の弟アンディが、税関から逃れるためにコカインを海に投棄してしまい、その責任を負わされて組織から命を狙われることになってしまった。クリスは組織のボス・セバスチャンと話をつけにいくが、取り付く島もない。それどころか家族の命までが危険に冒される事態に。コカインの対価を返済するためには、再び裏の仕事をするしかないと覚悟を決めたクリスは、かつての仲間に声を掛け、パナマからの偽札密輸を計画するのだった…というストーリー。

本作は、監督のバルタザール・コルマウクルがアイスランドで撮った自作のセリフリメイクであるとのこと。確かにヨーロッパ臭は漂っている。
元を知らないので、比べようもないのだが、こなれている感じは確かに感じる。結構なテンポでストーリーが展開していくのだが、判りやすく且つスピード感が衰えることがない。

『テッド』みたいなコメディもやれば、時間を開けずに本作のようなアクションもこなすマーク・ウォールバーグ。もちろん『ブギーナイツ』みたいなドエロ作品も躊躇なくこなすのに、作品を観ている最中は、別ジャンルを演じている彼のことが頭をよぎることはない。このメリハリと演じわけが彼のスゴイところ。
同じようにエロ作品とシリアス作品を行ったり来たりしているジュリアン・ムーアの場合は、どうしても頭をよぎる。「ああ、こっちの作品はエロ要素がない方なんだな…」みたいに。
一方、ケイト・ベッキンセイルは、本当に彼女じゃなきゃこの役ダメか?っていうくらい勿体無い感じ。いいようにチンピラに脅されて、殺されかけるだけの、いいとこなしの役。

さすが超一流の運び屋、数々のピンチをギリギリのところですり抜けていく様子は実に痛快なのだが、それを超えるように次々と難関が押し寄せる。そりゃそうだ、ハメられてるんだもん。特に、パナマ以降はカオス状態になるが、その丁々発止と追い詰められ方が実に愉しい。『インファナル・アフェア』のような青臭さもある、いい雰囲気だ。敵役の小者臭が、逆にリアルさというか臨場感に繋がっているのもウマいと思う。

バッドエンドと、ハッピーエンドの振幅も、最近あまり観られない感じで好感が持てる。あまり評価されていないけれど、観て損はない作品だと思う。

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公開年:1978年
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:コリン・ヒギンズ
出 演:ゴールディ・ホーン、チェヴィー・チェイス、ダドリー・ムーア、バージェス・メレディス、レイチェル・ロバーツ、ブライアン・デネヒー 他
ノミネート:【1978年/第51回アカデミー賞】歌曲賞(作曲:チャールズ・フォックス、作詞: ノーマン・ギンベル『愛に生きる二人』 Ready to Take a Chance Again)
コピー:結末はどんどん人にしゃべって下さい!?
右手にピストル!左手にアンブレラ!奇妙なコンビの全く新しい犯罪(サスペンス)コメディの大傑作!!


世界親善旅行中のローマ法皇がサンフランシスコを訪れることが決まったその日、もてなし役となるサンフランシスコの大司教が何者かに暗殺されてしまう。その頃、離婚したばかりのグローリアが帰宅する途中、車のトラブルで困っている男性がおり、街まで乗せてあげることに。スコットと名乗ったその男性は、タバコを吸いすぎてしまうからとグローリアにタバコの箱を預ける。街に付くと、スコットは用事をたした後、映画館で会わないかと持ちかける。まんざらでもなかったグローリアがはOKし、二人は一旦別れる。先に映画館に入っていたグリーリアのところにやってきたスコットは、彼女に「殺人がある。小人に気をつけろ」という謎の言葉を残し死んでしまう。驚いたグローリアは映画館の支配人を呼びに行くが、戻ってみると遺体が消えている。それ以降、グローリアの近辺に、白皮症の男が出没するようになり…というストーリー。

冒頭部分のあらすじを書き出してみるとなかなかシリアスな内容に見えちゃうけど、実際は、マジなんだかコメディなんだかよくわからない不思議なノリではじまる作品。後半に進むにつれコメディ寄りになっていくんだけど、結局、ノリを掴めずじまいで終わってしまったのかもしれない。決してつまらなかったわけではない。ある意味、高度すぎて私が対応しきれなかっただけかもしれない。

本当にどういうジャンルの映画なのか…すら、最後まで掴ませないってのはスゴいのでは? 結構ガッツリなサスペンス展開なのに、グリーリアを信じてくれるのが、いつ男性に襲われるかとたくさんの防犯グッズを携帯している妄想女友達だけだったりとか、助けを求めた男性がド変態だったりとか。
冒頭に登場するおとぼけ男性は、間違いなくメインキャストのはずなのに、中盤までしばらくお留守だとか。
偉い神父らしき人が殺されるくだりと、タバコの箱との繋がりはなかなか見えないとか、謎解き要素もしっかりしていたし、執拗に追われ、誘拐され、脱出するスリルも満載。かといって、蛇のくだりのスカしっぷりとか、「なんやねん!」って言いたくなるくだらなさ。こんななかなかバラエティに富んだ内容なのに、各要素がバランスよくミックスされていて、侮れない作品。

極めつけは、最後の日本モチーフの謎オペラ。実在するコミックオペラ『ミカド』。これが、トンデモ日本描写に対する不快さを吹き飛ばすくらいのおもしろさ。断片だけなのにおもしろい。その末、最後は何かラブコメみたくなってるし。もう、なにがなんだか…といいながら観客の顔をほころんでしまうという内容。

隠れた良作だな。

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公開年:1984年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:リチャード・ベンジャミン
出 演:クリント・イーストウッド、バート・レイノルズ、ジェーン・アレクサンダー、アイリーン・キャラ、マデリーン・カーン、リップ・トーン、リチャード・ラウンドトゥリー、トニー・ロー・ビアンコ、ウィリアム・サンダーソン、ロバート・ダヴィ、アート・ラフルー、ニコラス・ワース、ジュード・ファレス、ジョン・ハンコック 他




1933年、カンザスシティ。クールで有能なスピア警部と、女に目がない私立探偵マーフィーは、警察時代の同期だった。しかし、今ではことある事にいがみ合う仲。そんなある日、マーフィーの相棒のスウィフトが、暗黒街の大物レオン・コルの隠し帳簿を手に入れる。それを対抗勢力であるプリモ・ピットに売り、同時にレオンからも金をせしめようと計画を立てる。しかし、ほどなくその計画は両陣営が知ることとなる。帳簿が公開されればレオンの失脚は必至、プリモもレオン一派の弱体化を狙っっており、帳簿争奪が勃発。その末、スウィフトが殺されてしまう。しかし、隠し帳簿はスウィフトの元になかったため、スウィフト恋人時ジニーや、マーフィー、秘書のアディ、マーフィーの恋人キャロラインにまでマフィアたちの魔の手が及んでくる。そんな様子を横目で見ながら、スピア警部は暗黒街を壊滅させようと考え…というストーリー。

禁酒法時代近辺ってアメリカ人は好きだよね。日本人が大正時代に感じるノスタルジーみたいなものがあるのかな。

クリント・イーストウッドとバート・レイノルズのよる渋くて軽妙でおしゃれな作品になるのかと思いきや、『ディック・トレイシー』レベルのわちゃわちゃした作品だった。先日観た『目撃』と同様、クリント・イーストウッドにはいまいち不似合いかも。こういう根っからのシリアスキャラは、笑わせるんじゃなくて笑われるくらいの扱いがちょうどいいのだが。まあ、クリント・イーストウッドが悪いんじゃなく、監督が悪いのだが…。

一方のバート・レイノルズ演じるマーフィーがメインで、クリント・イーストウッドは脇に廻っている感じ。女ったらしキャラなのだが、愛すべきキュートなダメ人間って感じに描けていない。本当にただ女にだらしないだけに見えて、いまいち応援したい気持ちにならないのも難点か。

一応、バディ物といえるのだろうが、バディ物になりきれていないのが残念。
かつて同僚だったことはわかるのだが、かれらが仲違いするに至った経緯がフワっとしてるし、表面は仲違いしているけど奥底では友情で結ばれている…っていう感じもない。そういうディテールをうまく表現できていないから、二流作品止まりなんだろう。

抗争の展開もありがちで、追い詰められても危機感が薄いし、解決しても爽快感が薄い。薄味で平凡な作品だった。

#ももクロのovertureみたいな雰囲気のBGMが入る。

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公開年:1986年
公開国:ソ連
時 間:134分
監 督:ゲオルギー・ダネリア
出 演:スタニスラフ・リュブシン、エフゲニー・レオーノフ、ユーリー・ヤコヴレフ、レヴァン・ガブリアゼ 他
コピー:この審判(トライアル)は――プライドの殴り合い。






妻に夕飯の買い物を頼まれて街にでた建築技師マシコフ。そんなマシコフに助けを求める若者が一人。若者はゲデバンという学生で、浮浪者のような風体の男性がおかしなことを口走っているという。二人は浮浪者のような男に問いかけると、自分はほかの惑星から来た者で、空間転移装置の不調で地球に飛ばされてきてしまったのだという。嘘をついていると思ったマシコフは、男が持っていた空間転移装置のボタンを押してしまう。すると、マシコフとゲデバンは、一瞬にして砂漠の真ん中に放り出されてしまう。ゲデバンは、あの男の星に飛ばされたのでは?と恐怖に慄くが、マシコフはソ連内のカラクルム砂漠に違いないと主張する。しかし、そこはキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュク。彼らに向かって謎の飛行物体が近づいてきて…というストーリー。

冒頭から斜め上の展開が連続する上に、地味に合成技術がすごくて、すっかり心を持っていかれてしまう。

地球を上回るテクノロジーは存在するのだが、未来都市のような感じではない。『砂の惑星』のような感じでもない。浮浪者みたいな人しかいないし、テクノロジーの使い方がチープ。いかにもSFチックなメカニックを登場させることなく、異星のテクノロジーを表現。惑星の社会構造も滑稽極まりない。

こんなヘンテコムービーながらも、実は反体制映画なんだ!と聞いていたのだが、一部の集団による支配体制、人種(?)差別など、前近代的な身分制度や、初期資本主義的な構造を表現しているように見え、社会主義や共産主義を揶揄している感じではないのだが(どの辺が反体制なのか?)。むしろ政治を離れて、のびのびと表現しているように見える。
服従のポーズとか、鼻ベルとか。クゥーってなんやねん。これはカルトムービーですわ。脱力感を最後まで維持できているのは、スゴイことだと思う。
マシコフは、この星で出会った二人を見捨てることが忍びなく、地球に戻ることを断念するという“人情”を発揮するのだが、それが全然伝わらない。終盤は異文化交流の刹那さをシュールというかシニカルさで表現している。
時間が逆戻りしたのに記憶は残っているとか、地球に帰ってからの二人の行動とか、真剣に考えたら矛盾満載なんだけど、そんなことどうでもいい…というか、むしろ矛盾してくれてありがとう…って言いたくなるノリがすごい。

冷戦時代のソ連。恐るべし。映画史に立派に爪痕を残している作品。

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公開年:1959年
公開国:アメリカ
時 間:135分
監 督:スタンリー・クレイマー
出 演:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンス、ドナ・アンダーソン、ジョン・テイト、ガイ・ドールマン、リチャード・メイクル、ジョン・メイロン、ローラ・ブルックス 他
受 賞:【1959年/第17回ゴールデン・グローブ】音楽賞(アーネスト・ゴールド)
【1959年/第13回英国アカデミー賞】国連賞
【1960年/第11回ブルーリボン賞】外国作品賞



1964年。第三次世界大戦が勃発し、原水爆による戦闘が繰り広げられ、放射線汚染によって北半球は全滅してしまう。人類は南半球の一部地域に残るのみとなったが、死の灰はそこにも迫りつつあった。タワーズ艦長率いるアメリカの原子力潜水艦ソーフィッシュ号は、戦火を逃れてメルボルンに入港する。アメリカに妻と子供2人を残してきたタワーズの心は張り裂けんばかりであったが、そんな彼を、オーストラリア海軍の若い士官ピーターは自宅でパーティを開き手篤くもてなすのだった。ピーターの妻は、タワーズが赤ん坊を見ると動揺するのではないかと危惧したが、タワーズの態度は至って冷静であった。タワーズはパーティでモイラという女性と出会い、その後交際するようになるが、妻子のことが頭から離れないタワーズにモイラは苛立ちを覚えるのだった。そんな中、タワーズに北極圏の汚染調査の指令が下る…というストーリー。

日本の特撮作品をひっくるめても、なかなか本作には勝てないんじゃないかと思えるくらいの出来映えだと思う。特撮技術という意味ではない。逆に、本作には、いわゆる特撮表現というものは一切でてこない。それなのにしっかりSFとして成立しているスゴさがある。無人のサンフランシスコの街並みとか、どうやって撮影したのかな?地味にすごいシーンだと思う。
ただ、死体が一切ないという状況がいまいち理解しかねるとか、色々と科学的表現の誤謬はあるが、冷戦当時の一般人が感じている漠然とした不安がよく投影されている。警鐘を鳴らすという意味で、バッドエンド的なディストピア作品に仕上がっているのは致し方ないところだろう。

潜望鏡で滅びた街並みを見るシーンは、『復活の日』を思い出さずには入られない。オマージュなのだろうか、丸々同じシチュエーションだったりする。本作に、しぶとく生き残ろうとする人間の姿を加味したのが、『復活の日』って感じだな。
その他にも、謎のモールス信号を送ってくるのは誰か?とか、放射性物質を恐れることなく船外に出た隊員とスピーカーを介して会話するシーンだとか、印象的な味付けが多々ある。

任務を終えてメルボルンに戻ったタワーズが、滅びたサンフランシスコを目の当たりにしたことで吹っ切れて、モイラと付き合うことに躊躇がなくなるところが、いかにも白人らしい割り切りで、ちょっと笑える。まあ、滅びる前に、心残りがないように最後の命の灯火を燃やす様子を描写することで、戦争の愚かさを表現したいということなんだろう(個人的には、ちょっと退屈だったけど)。

最後のセリフによって名作を位置づけられている作品といってよいだろう。でも、人間は争うことが遺伝子レベルで刻み込まれている生き物だから、そんな綺麗ごとからは何も生まれないというのが事実だろう。だって、この作品から50年経過しても変わらないんだから、答えは別にあるってこと。答えが別にあるってことをわからせてくれただけでも名作。

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公開年:2003年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:ゲイリー・フレダー
出 演:ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズ マーリー、ブルース・マッギル、ジェレミー・ピヴェン、ニック・サーシー、スタンリー・アンダーソン、クリフ・カーティス、ジェニファー・ビールス、ネストール・セラノ、リーランド・オーサー、ジョアンナ・ゴーイング、ビル・ナン、ディラン・マクダーモット、マーガリート・モロー、ノーラ・ダン、ラスティ・シュウィマー、セリア・ウェストン、ルイス・ガスマン、コリー・イングリッシュ、ジェイソン・デイヴィス 他
コピー:この審判(トライアル)は――プライドの殴り合い。


ニューオーリンズの証券会社にリストラされた元社員が乱入し、銃を乱射して11人を殺害する事件が発生する。犯人は現場で自殺する。この事件で夫を失った女性セレステは、地元のベテラン弁護士ローアを雇って、犯人が使用した銃の製造会社ヴィックスバーグを相手取って民事訴訟を起こす。2年後、全米が注目する中、公判が開始される。敗訴すれば、被告のヴィックスバーグ社が巨額の賠償金を支払わねばならないのはもちろん、他の銃器メーカーも同様の訴訟を起こされる可能性が高いため共闘。資金を出し合って、有名な陪審コンサルタントであるフィッチを雇い入れる。フィッチはニューオーリンズに乗り込み、陪審員候補を尾行、張り込み、盗聴とあらゆる身辺調査を行い、自分達に有利な陪審員を探し始める。陪審員候補の中にニック・イースターという名のゲームソフト店に勤務する男がいた。シューティングゲームに夢中な彼の様子を見たフィッチのスタッフ達は、銃メーカーに好意的な判決をする人物と判断し、彼を陪審員団に入れようと進言するのだが、フィッチは長年の勘から彼に危険に臭いを感じ取り…というストーリー。

『刑事ジョン・ブック/目撃者』がアメリカにおけるアーミッシュの存在を教えてくれたように、本作は訴訟大国アメリカのおける“陪審員コンサルタント”という存在というか概念を教えてくれる。ただ、本当にここまでやるコンサルタントが存在するか否かは知らない。

何かの目的のために陪審員団に加わろうとするイースター。そして、その彼女と思しきレイチェル・ワイズ演じる謎の女性。レイチェル・ワイズはあまり好きな役者ではないが、本作の役柄はマッチしていたと思う。

手段を選ばない、マフィア並みの陪審員コンサルタントの手口に、個人の力で立ち向かっていく二人の様子は、なかなかスリルがあった。フィッチ側に都合のよさそうな陪審員にターゲットを絞り、巧みに脱落させていく手法はなかなか面白く、フィッチがギリギリと焦る様子は痛快。
そして、二人の真の目的は何なのか?終盤まで読ませなかったのは、なかなかのシナリオだった。

しかし、『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』と同じ年の作品というのは不幸だったかもしれない。
終盤、刑の執行と事実に判明が時間の勝負になるという『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の展開と、法廷の判決(というか送金)と事実の判明が時間の勝負になるという本作の展開が、酷似してしまうのだが、シリアスさにおいても、話の深みにおいても、すべて一段劣ってしまうという悲しいことに。

また、実際のアメリカ社会では、こんな製造物責任を負わせるような判決が出ているわけではもちろんないという点が、この作品を薄っぺらなものにしているように思える。…というか、そういう願望はわかるとしても、作品で溜飲を下げているように見えなくもないので、みじめさが漂うというか、醒めるというか…。

ちょっと貶しぎみになってしまったが、本当に悪くないシナリオなのにね。名作一歩手前の作品。お薦めしたい。

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公開年:1997年
公開国:アメリカ
時 間:121分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス、ローラ・リニー、スコット・グレン、デニス・ヘイスバート、ジュディ・デイヴィス、E・G・マーシャル、メロラ・ハーディン、リチャード・ジェンキンス、ケネス・ウェルシュ、ペニー・ジョンソン、マーク・マーゴリス、エレイン・ケイガン、アリソン・イーストウッド 他




ベテランの泥棒ルーサー・ホイットニーは、リッチモンド大統領の最大の後見人で、政界の大物サリヴァンの邸宅に忍び込む。一家は旅行中で、サリバン夫人の寝室にある金庫の中身に狙いを定めている。ところが、何故かそこに、夫人が大統領を連れて帰宅してくる。慌てて金庫室に隠れるルーサー。やがて二人は口論を始め、夫人がナイフで大統領に怪我を負わせたところで、大統領の大声に反応して入ってきたシークレット・サービスが夫人を射殺してしまう。大統領補佐官のグロリアは、シークレット・サービスに証拠隠滅を指示。しかし、肝心の凶器であるナイフを処分し忘れてしまう。現場から逃走するルーサーはその証拠のナイフを持ち去る。それに気付いたシークレット・サービスを追跡をかわし、なんとか逃げ切ったルーサーだったが、さすがに大統領から追われては逃げきれないと考え、国外逃亡を計画するのだった。一方、サリバン邸強盗殺人事件の担当となったセス・フランク刑事は、泥棒と殺人犯の行動に矛盾を覚え、捜査に行き詰ってしまう。盗みの手口からルーサーの存在が浮かびあがり接触を試みるフランク刑事。この男が何かを知っていると直感はするものの決め手に欠ける。刑事の手が迫ってきたフランクは、逃亡のため空港に向かうが、TVに映ったリッチモンド大統領の白々しい悲しみの会見に、強い怒りを覚え、大統領の犯罪を白日の下に晒してやろうと決心する…というストーリー。

アメリカ大統領が真犯人というのが、リアリティを著しく削いでいる。大統領じゃなく、次期大統領候補も噂される州知事くらいにしておけばよかったのに…と思うのだが、改めてあらすじを書くとわかるのだが、実はかなりマンガな内容。それなのに、クリント・イーストウッド主演なものだから、シリアスに見えてしまっているのではなかろうか。本当はもっとシニカルで軽妙な作品ししたかったのかもしれない。案外これが、本作最大の難点かもしれない。

泥棒ルーサーのキャラクターがかなり特殊。元軍人でやたらとプライドが高く、それに釣り合うだけの泥棒テクニックは持っている(というか超人的)。じゃあ義賊的な何かかと思いきや、それで生計を立てている普通の泥棒家業だったりする。そんな泥棒でもこいつは許せねえ!と思わせるだけの悪役大統領っていう設定なんだろうが、やっぱりコソ泥はコソ泥で、娘への不器用な愛…とか表現されても、いまいち共感はしかねる
一応、殺しはやらないという泥棒貴族を気取っており、そのプライドが傷つけられたという話の流れ。でも、ちょっと説得力が薄い。“こいつ許せん!”だけではなく、どうしても大統領の悪事を晴らさねばならないような、追い詰められる展開が欲しかったところ。フランク刑事が、ルーサーを犯人と決め込んで、娘の弁護士としての将来を台無しにしてしまいそうな勢いだ…とか、そんな流れでもよかったのに。

フランク刑事を中途半端な善人に描写しておきながら、かといってその捜査から真犯人が炙り出されるという展開もなく、結局、道化役で終わったのが勿体ない。
#エド・ハリスが若い刑事だと?聞き間違えかな?
その他にも、途中で出てきたヒットマンの役割が中途半端だったり、大統領の最期がそんな簡単な扱いで済むわけがなかろう…とか、色々しっくりこなかった。

それでも、飽きずに愉しめたのだから、まあまあのデキってこと。

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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