[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
公開年:2007年
公開国:イギリス、カナダ、アメリカ
時 間:100分
監 督:デヴィッド・クローネンバーグ
出 演:ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール、イエジー・スコリモフスキ、シニード・キューザック、ミナ・E・ミナ、サラ=ジャンヌ・ラブロッセ、ドナルド・サンプター、ジョセフ・アルティン、ラザ・ジャフリー、オレガル・フェドロ 他
ノミネート【2007年/第80回アカデミー賞】主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)
【2007年/第65回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、男優賞[ドラマ](ヴィゴ・モーテンセン)、音楽賞(ハワード・ショア)
【2007年/第61回英国アカデミー賞】主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)、英国作品賞
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)
【2007年/第33回セザール賞】外国映画賞(デヴィッド・クローネンバーグ)
コピー:ここでしか、生きられない。
ロンドン。助産婦のアンナが働く病院に、身元不明の幼い妊婦が運び込まれ、出産直後に息を引き取る。少女の所持品の中にロシア語で書かれた日記を見つけ出したアンナは、少女の身元に関する記述があるかもしれないと解読を始める。ロシア語の読めないアンナは、日記に挿まれていたロシア料理店のカードを見つけ、翻訳を頼むために訪ねる。そしてその店の前で、運転手と名乗る男・ニコライと出会うのだったが…というストーリー。
私の海外の知識が乏しいせいなのか、集中力が散漫で見落としたせいなのか。まず、この話がどの国のできごとなのか把握するまでに、ものすごく時間を要してしまった。“イースタン”なんていうから、この街はロシアの東のほうだったりするのかしら?なんて思ってしまったりとか、吹替音声で観たせいで、何語で話してるのかさっぱり判らなかったりとか。所々登場するロシア語も聞きなれていないからピンとこなかったし(別の東欧の言葉かと思ってた)。
#それにしても、イギリスは閉鎖的な移民コロニーが多いですな。
さらに、アンナとニコライの間の恋愛感情みたいな表現が続いたので、子供がらみで“プロミス”が発生して、それを守るために組織との軋轢がどうしたこうしたって展開になるのだろうと、勝手に想像してしまった。“イースタン・プロミス”ってのがロシアからの人身売買に対する隠語だということに、気付くのはかなり後になってからだ。
しかしながら、そういう状況把握のために相当頭を使ったおかげで、ニコライの正体に全然気付かなかったのは幸いだったと思う。おかげでかなり愉しめてしまった。
グロテスクな要素やバイオレンス描写が控えめで、クローネンバーグらしくないといえばないのだが、結果的にはかなり好みなテイストに。彼の他の作品はピンとこない物が多いのだが、本作は他とくらべて無機質なノリが薄いというか、人間味があるというか、すんなり入り込めた気がする。
サウナの格闘シーンは、アクションシーンとしてレベルは高かったと思う(これでR-18指定になってるのかと思うとちょっと馬鹿馬鹿しいけど)。その割りに、本作の評価がさほど高くないのは、そういう激しいシーンがあって、さらに組織を乗っ取ろうとしたニコライが一歩踏み出したにもかかわらず、ラストに全然バイオレンス要素がないからではなかろうか。叔父が戻ってきていて、ニコライが健在ということで、最終的に何が起こったのかは、想像がつくのだが、それを想像しつつ、雰囲気を味わいたいなんて、多くの人は望んでいなかっただろう。別に本作のラスとがNGというわけではないのだが、さらっとしすぎている。
そのせいかどうかはわからないが、受賞歴も無い。だけど、ワタクシ的には充分愉しめた作品。ナオミ・ワッツの演技を批判する人がいないでもないが、他の作品の彼女に比べたら上出来中の上出来だし、『ロード・オブ・ザ・リング』とは一味も二味も違うヴィゴ・モーテンセンがいい味を出していると思う。
#吹替音声のロシア訛りは、おもしろい演出だと思う。
公開年:2008年
公開国:カナダ、ブラジル、日本
時 間:121分
監 督:フェルナンド・メイレレス
出 演:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリシー・ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃、ドン・マッケラー、モーリー・チェイキン、ミッチェル・ナイ、ダニー・グローヴァー、ガエル・ガルシア・ベルナル 他
ノミネート:【2008年/第61回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(フェルナンド・メイレレス)
コピー:全世界、失明。
車を運転中の日本人男性が突然視力を失う。目の前が真っ白になるという奇妙な症状だったが、検査をしても眼球に異常はない。その後、同様の患者が各地で続出。感染症の疑いが深まり、政府は緊急隔離を指令し、発症者を片っ端からかつて精神病院だった隔離病棟へと強制収容していく。最初の患者を診た眼科医も結局失明して隔離病棟送りとなるが、妻は自分も失明したフリをして夫に付き添い…というストーリー。
結果からいうと、かなり納得いかないというか、不快に感じるレベルの作品。
以降、不満の感情にまかせてネタバレ連発になると思うの、ご注意を。
一人だけ目が見える人間がいるというのがポイントなのだが、書籍の場合は意味はあるだろう。その目を通じて文章にするほうが演出上の効果があって都合がいいから。でも、映画の場合は画像で伝わるのだから存在の必要性はものすごく薄い。そこは原作と違えても、設定や演出を変えないとおかしなことになるとは、思わなかったのだろうか。
大体にして、目が見える人間が一人いたとして、何か問題もあるのだろうか?空気感染らしいのだから、「あいつ目が見えているみたいだぞ!」ってばれたからって施設から出されるだろうか。そうはならないだろう。かえって、その人も一緒に隔離して面倒を見させたほうが都合がいいにきまっている。何で、隠さなければいけないのか、ただただ滑稽でならない。
そう考えると、防護服を着た保護者をつける選択肢を早々に政府が放棄している理由がさっぱり理解できず、リアリティが皆無である。本気で封じ込めたいのなら、軍隊に監視させるよりも、介護者をつけた人間に管理させるほうがいいにきまっているのに。盲目の人間だけを放り込む意味があるのとは思えない。そして、なんで施設は、精神病院なのだ?精神病院じゃないといけない理由や、そのメリットがあるとでも?意味不明だ。
また、あの状況で、“見える”ということは銃器なんかよりも強力な武器である。あんな悲惨な状況になる前に、どうとでも対処できる決まっているのに、眼科医の妻は何もしない。そんなこと有り得ないだろう。馬鹿らしい。
それに、病棟での状況は、ラース・フォントリアー作品が思い出されるが、とても足元に及ばない。やっぱり、本当に心が壊れかかっている人(ホメ言葉のつもりですよ)のえぐり方には敵わないよ。陳腐ですらある。
原作はノーベル文学賞受賞者によるものらしく、噂によればけっこう原作に忠実とのこと。現代人は偉そうなことをいっているが、一皮向ければ野獣とかわらん…といいたいのか、それとも、マルクスのモデル化による社会学的な説明をまねているのか、はたまた、サルトルばりのニヒリズムを気取っているのか。とにかく作風が気に喰わない。きっと原作者の性格がにじみ出ているに違いない。前時代のカビがはえた老人の説教にしか聞こえず、腹立たしくなるばかりだし、諸々のディテールが陳腐するぎる。ノーベル文学賞受賞者だろうが、はっきりいってしまうが、ツメが甘すぎる。
#これをノミネートするカンヌ映画祭のエセアーチスト気取りには、苦笑いしか出ない。
キャスティング的にも難点が。ジュリアン・ムーアが出てきて、やっぱりそういうシーンがあって、結局、脱ぎ専門女優扱い。そして、木村佳乃はヌードNGなのは明白。キャスティングで演出が見えてくるというのもどうなんだか。
で、最後は、“次は私だ”で終わるのだが、なんでそう思うのか意味がわからない。バカ映画だな。こりゃ。本当ならジュリアン・ムーアとダニー・グローヴァー、ハリウッド俳優と日本人が競演しているわけだから、もっと押してもいいはずなんだけど、この内容じゃ押せないわ。いろんな部分・段階で、少しずつ間違いを重ねて、いったい何の料理なんだかわからなくなったって感じ。もちろんお薦めしない。
#ここまで、酷評するのって久々かも。
-----------------------------
今日でやっと2000アクセス(長年書いてるのにね)。でもありがとう。
たまには、くだらないことでもいいから、映画の感想とかコメントくれるとうれしいです。
公開年:2007年
公開国:韓国
時 間:125分
監 督:ウォン・シニョン
出 演:キム・ユンジン、キム・ミスク、パク・ヒスン、チャン・ハンソン、チェ・ミョンス、チョン・ドンファン、ヤン・ジヌ、オ・グァンノク、イ・ラヘ、イ・ジョンホン、オク・ジヨン、チョ・ドッキョン 他
無罪を勝ち取り続け、勝率9割以上を誇る有名弁護士のユ・ジヨン。私生活では8歳の娘と2人暮らしのシングルマザー。ある日、娘が何者かに誘拐され、翌週に二審が開かれる殺人事件の裁判の弁護を引き受け、無罪を勝ち取れという指示が。しかし、事件の状況からみて、どう考えても無罪にできる要素はない。しかし、選択の余地もなく、旧友のキム刑事の力を借りて、事件の再検証を開始するのだが…というストーリー。
いきなりネタバレ注意。
観始めるとすぐに、デビッド・フィンチャー?と思わせる演出がグイグイ。ん?だからタイトルも“セブン”が付いてるわけ?最後の殺しのシーンもなんか『ソウ』みたいだぞ。この監督はハリウッド映画が好きなんだね。ウマく真似ているよ。
でも格好悪い。インスパイアとパクりの差が判っていないのかな。観ていて「ああ、この人はデビッド・フィンチャーが好きなんだな」とニヤりとできるのがインスパイヤ、リスペクトであって、何かムカっとくるのがパクり。この映画は後者だね。先日『テコンV』を観たからかもしれないけど、なんか韓国不審になりそうだ。
でも、引っ張るだけ引っ張った末の事件の真相がTVのサスペンスドラマレベルだったりする割には、かなり魅せたと思う。パクりのセンスが悪いだけで、この監督の基本的な能力は非常に高い。緊迫感やスピード感の表現力はピカイチ。
ここまでできたら、最後にもう一段階ブラッシュアップしてほしかったと思う。まず、こういうオチにするなら、子供をあんな危険な形で返却する意味はまったくない。そこでも『セブン』のラストをダブらせたかったのだろうが、固執しすぎなのだ(もうちょっと自分のオリジナル性に自信をもってほしい)。
また、そこまでして自分の手で始末したいというモチベーションがあるなら、火をつけることを選択するのはおかしい。火をつけるという行為は若干距離感があって、自分で手を下そうとする場合に、選択する殺害方法とは思えない。
それに、録音したテープでどんでん返しするなら、証拠主義を振りかざして雄弁に立ち回る意味もあまりない。逆にちょっと滑稽。また、母親が有名弁護士の顔を知らないのも、ちょっと不自然でオチに気付く人はそこで気付く。
それから、“7日”に固執する意味が途中から無くなっている。だって、公判の日程が未決定だったりするんだもん。マザーグースの詩のアイデアを思いついてしまって捨てることができなかったのだろう。
映画というのは、ひととおり出来上がった段階で、苦労したとかはじめに思いついからとか、そういう感情は脇に寄せておいて、全体の流れを阻害する部分は、ズバっときる勇気がなければいけない。いや、むしろそれが映画監督の仕事でしょう。“削ぐ”ことを覚えたら、この監督はきっと無敵状態になるだろう。
もしかすると、この監督は大化けするかもしれない。そこそこ不満はあるんだけど、あえてお薦めしようと思う。たぶん同好の人な気がするので、ちょっと応援したいような…。
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:メナン・ヤポ
出 演:サンドラ・ブロック、ジュリアン・マクマホン、ニア・ロング、ケイト・ネリガン、アンバー・ヴァレッタ、ピーター・ストーメア、シャイアン・マクルーア、コートニー・テイラー・バーネス、マット・ムーア 他
コピー:並び替えられた1週間──その謎を解けば、運命は変わる
夫ジムと2人の娘と幸せな生活を送るリンダ。ある日卒然、出張にいった夫が事故で死んだという報せを受け、悲しみに暮れるリンダだったが、一晩明けると、何故か夫ジムは何事もなかったように元気に生きている。さらに、また一晩明けると、今度はジムの葬儀が行われようとするところ。混乱するリンダだったが、何度か行き来するうちに、一週間の間をバラバラに前後していることに気づき…というストーリー。
以下、ネタバレ。
なんとなく夫婦トラブルを描くファミリードラマ的な感じで始まるんだけど、いきなりSF要素が放り込まれてくる。でも、SF始めますって雰囲気がまったく醸成されないまま展開されるので、違和感は続く。そのSF的な部分についても、アイデアはわかるんだけど、とっちらかっている印象。
旦那の秘密がわかったあたりで、「おお、そう来るか」と盛り返しはじめるものの、それと同時に“大いなる力”みたいなものをテーマにしようとしてくる(取って付けに感じるんだけど)。そうなると、俄然、シャマラン監督作品を思い出してしまうのだが、比較するとあまりにも本作が陳腐に思える。私の好きな『サイン』とテーマは近い気がするのだが、あそこまでの知己に富んだ視点が本作には無い。たいした味付けにもなっていなくて、中途半端な宗教色が、逆に鼻に付くくらい。
まあ、それでもSF面をがっちりしっか作りこんでくれれば、バランスは保てたと思うんだけど、単にシャッフルしただけでは、説明がつかない部分も多々あって、いまいち。第一、目覚めたら、カレンダーくらい見りゃあいいじゃねえかと、思うし、ツッコミどころは満載である。
それも神のお力です…で乗り切れるとおもったのだろうか。まあ、いずれにせよ、ピリっとしない作品。お薦めしない。
公開年:1997年
公開国:アメリカ
時 間:138分
監 督:カーティス・ハンソン
出 演:ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ケヴィン・スペイシー、ジェームズ・クロムウェル、キム・ベイシンガー、ダニー・デヴィート、デヴィッド・ストラザーン、ロン・リフキン、マット・マッコイ、ポール・ギルフォイル、サイモン・ベイカー=デニー、グレアム・ベッケル、パオロ・セガンティ、アンバー・スミス、ブレンダ・バーキ 他
受 賞:【1997年/第70回アカデミー賞】助演女優賞(キム・ベイシンガー)、脚色賞(カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド)
【1997年/第32回全米批評家協会賞】作品賞、監督賞(カーティス・ハンソン)、脚本賞(カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド)
【1997年/第64回NY批評家協会賞】作品賞、監督賞(カーティス・ハンソン)、脚本賞(カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド)
【1997年/第23回LA批評家協会賞】作品賞、監督賞(カーティス・ハンソン)、脚本賞(ブライアン・ヘルゲランド、カーティス・ハンソン)、撮影賞(ダンテ・スピノッティ)
【1997年/第55回ゴールデン・グローブ】助演女優賞(キム・ベイシンガー)
【1997年/第51回英国アカデミー賞】編集賞、音響賞
【1997年/第3回放送映画批評家協会賞】作品賞、脚色賞(カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド)
【1998年/第22回日本アカデミー賞】外国作品賞
【1998年/第41回ブルーリボン賞】外国作品賞
コピー:一人の女、ひとつの真実 --男たち、野獣の輝き。世界を手に入れた男。愛を手に入れた男。美しい女性から、凜々しい女性に変わった女。だれにも“秘密”はある。男でも、女でも、組織さえも…… この事件を話さずにはいられない。
かつてこれほどまでに、全米マスコミを魅了した映画があっただろうか!
1950年代のロス。街のカフェで元刑事を含む6人が惨殺される事件が発生。殺された刑事の相棒だったバドが捜査をすると、映画スター似の女ばかりを集めた高級娼婦組織に所属するリンにたどり着く。やがて二人は立場を超えて惹かれあうようになる。同じ頃、ベテラン刑事のジャックと若手刑事エドも事件を追っていたが、容疑者とおぼしき人物を射殺。それにより事件は解決したかに見えたが、裏にはとある陰謀が潜んでおり…というストーリー。
ガイ・ピアースはまだしも、ラッセル・クロウとケヴィン・スペイシーの競演って、まあ今では考えられない。何気に観始めると、この組み合わせってあり?と面食らっちゃうくらい。正義感の強いエド、無骨さをやさしさを併せ持つ直情男バド、名声のためなら平気で人を裏切るが悪人になりきれない男ジャック。三様のキャラクターのコントラストが織り成す人間模様は、なかなの見ごたえ。お先に死んでしまう役だけど、下品さをさらりと演じきったケヴィン・スペイシーは特に評価したい。
…と褒めるのはここまで。世の評価が高いのは承知しているのだが、正直それほどピンとこなかった。3人とも好きなキャラクターでもないしいまいち共感もできない。複雑なストーリーではあるけれど、裏に流れる事件自体に驚きもなければ、感情がゆれることもないし、凝ったサスペンスでもない。最後の顛末は、カタルシスどころか微塵のすっきり感もない。実話ベースだっていうなら許すけど、フィクションでこの着地点って、しっくりこなさすぎ。
また、別に悪いとは思わないけど、キム・ベイシンガーの演技って米アカデミー助演女優賞ってレベルだろうか…。よくわからん。ベロニカ・レイクとやら自体よく知らないしなぁ。
なんか、評価する人が多いので勇気がいるんだけど、“まあまあ”かな。是非観るべき…とまでは思わない。『ディパーテッド』の75%くらいの満足度だったかと。
こんな見方は変かもしれないけれど、途中からまったく別の視点で観てしまった。本作は50年代が舞台だけど、日本は最近になっても証拠捏造のオンパレード。なんで国民があまり怒らないのか、私は意味がわからない。まともに憲法が機能しているならば、刑事手続きを蔑ろにするような行為があったら、暴動の一つがおこってもおかしくないはず。証拠を捏造した検事など撲殺されても仕方が無いくらい。アメリカならば、不正をした検事が過去に関わった事件の証拠まで疑われて、刑期が短くなるはずである(よくドラマであるでしょ)。日本でそんなことおこる?おこんないでしょ。これ一つで日本はまともな憲政じゃない証拠。ああ、日本の刑事機構はアメリカの50年代のレベルなんだな…と、がっくりしながら本作を観たのだった。
公開年:2009年
公開国:イギリス
時 間:101分
監 督:スチュアート・ヘイゼルダイン
出 演:ルーク・マブリー、ジェンマ・チャン、ジミ・ミストリー、ジョン・ロイド・フィリンガム、チュク・イウジ、ナタリー・コックス、ポリアンナ・マッキントッシュ、アダル・ベック、コリン・サーモン、クリス・ケアリー 他
ノミネート:【2009年/第63回英国アカデミー賞】新人賞(スチュアート・ヘイゼルダイン)
コピー:世界一危険な就職試験 合格者は死ぬまで年俸1億円の報酬
究極のサバイバル・ブレイン・サスペンス
とある企業で行われた採用試験。条件が非常に良かったため志願者が殺到したが、最終試験に残ったのは国籍も年齢も能力も異なる8人。会場は窓一つない密室で、武装した警備員が常時待機。試験監督から①試験監督や警備員に話しかけるのは禁止②自分の試験用紙を破損してはならない③部屋から出てはならないという3つのルールが告げられ、80分の試験がスタートする。ところが、受験者たちが試験用紙を裏返すと、それはまったくの白紙で…というストーリー。
今の映画製作会社は、とてつもない制作費を投入した大作を連発する一方で、それこそ『パラノーマル・アクティビティ』や『SAW』みたいなコストパフォーマンスのよい作品を血眼になって探したり作ったりしている。そうしないととてもじゃないが、経営は成り立っていかない。本作の興収がどうだったかはしらないが、そういう意味ではものすごく優等生な作品だと思う。有名な俳優もいなければ、CGどころか特殊なセットや小道具すらない。割り切りはものすごい。
以下、完全にネタバレ。
非常にハラハラする展開で、飽きずに観ることができたのは認める。奇抜な展開もないし、至極まっとうな話の運び方なのに、ものすごく巧み仕上げたと思う。そういう面では『SAW』や『CUBE』より上かもしれない。間違いなく次作のオファーはあるだろう。しかし最後の一押しが足りないというか、肝心のツメが甘いというか…。
まず、観ている人の8割がCEOの正体に気づいているわけで、そこは何とかもう一ひねり欲しかった。それに世界観のSF具合も中途半端で、世界の混乱ぶりがリアルに見えてこない。なんで新薬の生産量が少ないからって、仕事仲間に人並みはずれた注意力が必要なのかも、わかったようなわからないような。そういう仔細な違和感を押し切っちゃうくらいの勢いやスピード感があるかというと、そうでもない。
でも、初監督作品だと考えると、非常に期待できるわけで、苦言を呈したくなるのも高い才能が覗えるから。及第点以上なのは間違いないので、エグいサスペンスにうんざりな方にはお薦めしたい。
公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ウェイン・ビーチ
出 演:レイ・リオッタ、L.L.クール・J、メキー・ファイファー、ジョリーン・ブラロック、ガイ・トーリー、ジョリーン・ベレイクロック、テイ・ディグス、キウェテル・イジョフォー、ブルース・マッギル 他
コピー:誰も見破れない!
市長選出馬を目論む地方検事のフォード・コール。ある日彼は、恋人で地方検事補のノラが逮捕されたと連絡を受ける。彼女はレイプされそうになりやむを得ず相手を殺してしまったと正当防衛を主張していた。フォードはその主張の裏付けをとるために捜査を始めるが、そこにルーサーと名乗る男が現れ、事件は正当防衛などではなく、ノラにより計画された殺人だと訴えはじめる…というストーリー。
二転三転するストーリーは、レイ・リオッタ版“藪の中”って感じで、7割くらいまではものすごく引き込まれる。こりゃあ掘り出しものだと思ったが、終盤になってガタガタに。ここまで、終盤でダメになる作品はめずらしい。
物語というのは、最後に向かうにつれて、どんどん話を集約させて、謎を一少なくしていって、観客を集中させなければいけない。しかし、いつまでたっても話は集約させず、いつまでたっても謎を減らすどころか増やす始末。サイコパスのたわごとを延々と聞かされているような感じで、気分が悪くなってくる。
以下、ネタバレ。
ノラの正体、目的、なにがおこるのか、一番大事な話の焦点はこの辺にあるのだが、結局ノラの正体はわからない(ナレーションでわからないといっちゃう始末)。何をやりたかったのかもいまいちボヤけている(金儲け?それならもっと方法があるでしょ)。あの爆発も、どの程度効果があるのかさっぱりわからない(だって目的がぼんやりしてるんだから、意味があるのか効果があるのか、わかるはずがない)。
観ている側を混乱させようと策を弄してみたものの、ペラペラと騙すことが気持ちよくなっちゃって止まらなくなった感じ。やっぱり、サイコパスの行動だ、こりゃ。
『ユージュアルサスペクツ』と比較する人がいるけど、『ユージュアルサスペクツ』が好きな私としては、比べられることすら不快。こんな残念なシナリオは、なかなか無いと思う。駄作。お薦めしない。
吹き替え音声にも問題が。メイン級の男性声優の声質が似ていて、誰が喋っているのか判然としない場面が。わけがわからなくなる。もうちょと考えろ。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:トニー・スコット
出 演:デンゼル・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ、ジョン・タートゥーロ、ルイス・ガスマン、マイケル・リスポリ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ベンガ・アキナベ、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー、ヴィクター・ゴイチャイ 他
コピー: 123号車、応答せよ──要求は何だ?
この車両ひとつで、NYはハイジャックできる。
ニューヨーク。一台の地下鉄が緊急停車し、1両目だけを切り離した状態に。運行指令室で勤務中だったガーバーは、無線で応答してきたライダーと名乗る男から、1時間以内に身代金1000万ドルを用意しろとの要求を告げられれる。さらに遅れた場合は1分ごとに人質を一人づつ殺すとも。ほどなく警察が運行指令室に到着し対応に当たろうとするが、何故かライダーは交渉相手にガーバーを指名するのだった…というストーリー。
重低音の音楽にのせて、非常に思わせぶりにスタートするのはいいが、想像させた内容未満のスケールで展開し、あまり上手な監督ではないと感じさせる。いかにもCMディレクターあがりって感じがプンプンする。これがこの監督の一つのウリになっているのはわかるけど、クールさに主眼を置いた演出も次第に鬱陶しくなってくる。
以下、ネタバレ。
もしこの演出が、実は二人はグル?っていう方向のミスリードだというなら理解できる。しかし、実際はそうではなくて、策に溺れた感が丸出し。『マイ・ボディガード』『デジャヴ』から同様のノリで、成長がみられない。目先の演出と全体の流れ上の効果のどちらを優先すべきなのか、この割り切りをしっかりして、映画監督として一皮剥けてもらいたいものである。彼が製作総指揮として携わったモノには良いデキのものが多いので、直接演出しないほうがいいのかも…と思わせる。
シナリオ的にも問題は多い(以下、羅列する)。
中途半端に人が殺され、その死にストーリー的な必然性が薄くてあまり効果的ではない。中途半端に殺すくらいなら、不謹慎とは思いつつも、最後は本当に“激突”させるくらいの不条理感を出さないと。それがいやなら、もっと別の仕掛けを考えるベキである。
金相場の操作で大儲けすることが真の目的なら、当座の逃走資金だけあればいいので、わざわざ身代金を持って歩く必要もない。それこそばら撒いて逃げるくらいでもいいんでしょ?
「帰りにミルクを1ガロン買って来て」とのくだりも、本来ならグっとくるところなんだろうけど、賄賂の件が事実なんだどうかも判然としないのに加え、賄賂疑惑の処分をうけた後、夫婦がどういう葛藤を乗り越えてきたかが見えてこないので、ぼんやりしてしまっている。
あんたは俺のヒーローと言われることで、ガーバーは自分の罪をどう思ったのか。事後に市長とあってどう感じて、彼はどう変わるのか?という点が大事な点だと思うのだが、それも見えてこない。実は、シナリオ的にはしっかりとしたメッセージがあったのに、監督が理解できずに演出に反映できていなかった…そんな気がしてならない。
だから、ライダーの居直りがまったく理解できずに尻すぼみになってしまい、話全体が薄味になってしまった。やはり、物語には“有終の美”ってのが必要で、設定やプロットの思いつきだけで、突っ走るのは罪なんだなと感じざるを得ない。
#その点では、『デジャヴ』よりもグレードダウンしているな。
この中途半端で踏み込みの浅いシナリオを、二人の主役級俳優がそれなりの形に持ち上げたという印象。あまり深く考えないで、物事を何となくスルーできる人にはかなり楽しめると思うが、何か心に引っかかるものを無視できないタチの人は、若干苦痛を覚える作品かも。是非モノとお薦めはできないけれど、100円レンタルなら充分許容範囲。所々はとても楽しんだ。
公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:マーセル・ランゲネッガー
出 演:ヒュー・ジャックマン、ユアン・マクレガー、ミシェル・ウィリアムズ、リサ・ゲイ・ハミルトン、マギー・Q、シャーロット・ランプリング、ナターシャ・ヘンストリッジ、ブルース・アルトマン、アンドリュー・ギンズバーグ、パス・デ・ラ・ウエルタ、レイチェル・テイラー 他
コピー:会員制秘密クラブのルール
I名前や職業を聞いてはいけない
Ⅱ 待ち合わせはホテル
Ⅲ 手荒なことは禁止
Ⅳ 合い言葉「Are You Free Tonight?」
選ばれたエグゼクティブだけが集う秘密クラブ。導くのはエリート弁護士、ハマったのは孤独な男。待っていたのは運命の女と、罠──。
ニューヨークに暮らす実直な会計士ジョナサン。人付き合いも少なく、仕事場と部屋を往復するだけの毎日。ある日、ジョナサンが仕事をしている会社に、会計監査員として派遣された弁護士のワイアットが現れる。何気に交わした会話をきっかけに意気投合する二人。ワイアットは優雅なセレブ生活をしていたが、とあるきっかけで、エグゼクティブ専用の秘密のセックスクラブをジョナサンに紹介する。ジョナサンは美女との一夜限りの関係にのめり込んでいくが、かつて街中で見かけて一目ぼれした女性とクラブで出会ってしまう。彼は名前の頭文字が“S”であるその女性に特別な感情を抱いてしまい…というストーリー。
家を往復するだけの退屈で孤独な人生を送っていた。そんなある日、監査員として派遣された大手法律事務所で弁護士のワイアットと知合い、意気投合する。ジョナサンとは対照的に、セレブを絵に描いたような優雅な生活を送るワイアット。そして、ふとした偶然から、ジョナサンはエグゼクティブのための会員制秘密クラブを紹介され、美女との一夜限りの関係にのめり込んでいく。やがて、かつて地下鉄で見かけて一目惚れした女性とそのクラブで再会する。名前が“S”から始まることしか分からないその女性に溺れるジョナサンだったが…。
冒頭からヒュー・ジャックマンとユアン・マクレガーが絡んで登場。主役級が同じ画面にいて豪華に感じるんだけど、早々に消えるヒュー・ジャックマンで何かあるんだろうな…、このまま善人で終わったら、それはそれでビックリだけど、まあ有り得ないな…。大方の人がそう感じただろうし、実際にそうなる。
仰々しくコピーにまでして引っ張るほど、秘密クラブの件は重要ではない。コピーや邦題の“二度愛したS”みたいなセンスは、官能的要素を醸し出そうという意図のようだが、全然おもしろさに繋がっていない。
だれも指摘しないんだけど、うまくミスリードしているといえるのは、“犯人は私”系の話に見せかけている点である。そう、ワイアットとジョナサンが『ファイト・クラブ』みたいな関係か?と思わせている点。突然、ジョナサンの部屋にワイアットは登場するところなんてまさにそう。でも、残念ながらこの演出も、「いまさら、このギミックぅ?」ってウンザリさせはするけど、ワクワクには繋がっていない。
金融界の仕組みはよく知らないが、口座からお金を下ろすのにそんな特約をつけることが可能なのか?また、一旦開いた口座に後付けで、それも一方的に、手続き上の確証も不要でそんな特約を瞬時に付けられるものか。いくら会計士でもおそらく無理。さらに、自分の写真で相手のパスポートをサクっと作って持参…って、ずいぶん裏社会に通じた会計士さんですこと。ラストの女の行動もありきたりだし。
いや、根本的にその娼婦にそこまで惚れる確率はそんなに高くないだろうが。緻密に見せてるけど、とんでもなく杜撰な計画じゃないか。そう考えたら、瞬く間に陳腐に思えて仕方がなくなってしまった。
色んな策を弄したけれど、すべて躓いてしまった残念なシナリオである。ちゃんとした脚本家がつくったものなのかすら、甚だ怪しいデキ。もしかして脚本家のマーク・ボンバックって“アラン・スミシー”みたいなことだったり?(多分、違うと思うけど)
大体にしてヒュー・ジャックマンはあまり悪役が似合っておらず、スペインに渡ってからの演技が痛々しく見えるほど。彼を単純な悪役にするだけでなく、もう一枚なにか仕掛けがほしかったところだ。
別に観ちゃいけないとまでは言わないけど、私は観るのに費やした時間は無駄だったと思っている。お勧めしない。
公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:デヴィッド・トゥーヒー
出 演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ティモシー・オリファント、キエレ・サンチェス、スティーヴ・ザーン、マーリー・シェルトン、クリス・ヘムズワース 他
コピー:容疑者6人 犯人2人
ハワイに新婚旅行にやってきた映画脚本家のクリフとシドニーは、トレッキングで深い森を越えた先にあるビーチに向かう。途中で出会った旅行客から、カップルを襲う男女2人組の猟奇殺人犯が潜伏しているらしいというニュースを聞いたが、せっかくの新婚旅行と考え旅を継続する。そんな中、ニックとジーナというカップルと出会い同行することになるのだが、彼らの普通とは違う言動に若干不安がよぎる。しかし、それ以上に途中で遭遇した粗暴なヒッチハイカーのカップル、ケイルとクレオの存在が気になるのだった…というストーリー。
わざと、ありきたりな映画だと思わせるミスリードを演出しているのだが、あまりにもひっぱりすぎたため、全体の6割くらいですっかり飽き飽き状態に。勘のいい人は、ミスリードのあまりの露骨さに、そこで気付いてしまったかもしれない。あまりに待たされすぎて、いざ急展開しても、その直後くらいまでは「おお!」っと思ったものの、単発の盛り上がりで終わってしまった。
以下ネタバレ。
私は、ビーチで脚本家が筋骨隆々で、むちゃくちゃ違和感を感じてしまい、そこでオチを確信してしまい、逆にツラかった。
ただ、本作を観て『テイキング・ライブス』という映画を思い出したね。次々と被害者自身に成りすましながら生きていく連続殺人犯の話で、その着眼点が非常におもしろくて期待満々だったのだが、肝心の他人の人生を奪うという描写をほとんど見せることが無いという、とてつもないチョンボやらかした残念作品だった。私だったら、他人に化けていく過程に尺を裂くのに…と思ったもので、本作を観ていると、『テイキング・ライブス』のモヤモヤを晴らすために作られたような気がしてならなかった。
確かに、そのモヤモヤは晴れるかもしれない。しかしながら、観ている側をおどろかす弾が、それ一発だけでは、如何ともし難い。それに、まるで、ミスリードが巧みなように聞こえたかもしれないが、単に、被害者のように撮っただけ、べつに長けた演出ってわけでもないし。最後のミラ・ジョヴォが、まるで他人のせいみたいな発言をするのにも、苦笑するしかないし。よく考えると、犯人さんは何で、イラク帰りの男を殺さなければいけないのか。カップルに出会うたびに、いちいち入れ替わっていたら、忙しいこと極まりない。相手の人生が気に入ったら、犯行に及ぶってことだとすると、このイラク帰りの不死身の男っぷりが気に入ったってことになるけど、そういう感情が生じたようには見えないんだよなぁ。
まあ、最終的には、駄作の部類に入れざるを得ないかなと。お薦めはしない。もっとテンポよく45分くらいにまとめて、さらにオムニバスの1本なら許すが。ほんとに前半6割くらいは、苦痛以外の何者でもなかった。最後まで観て、こうやってレビュを書いているのが奇跡に思える。
公開年:1971年
公開国:アメリカ
時 間:130分
監 督:ロバート・ワイズ
出 演:アーサー・ヒル、デヴィッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・リード、ポーラ・ケリー、ジョージ・ミッチェル、ラモン・ビエリ、リチャード・オブライエン、エリック・クリスマス、ピーター・ホッブス、ケン・スウォフォード、フランシス・リード、リチャード・ブル、カーミット・マードック 他
ノミネート:【1971年/第44回アカデミー賞】美術監督・装置(Boris Leven:美術、Ruby Levitt:装置、William Tuntke:美術)、編集賞(Stuart Gilmore、John W.Holmes)
コピー:全世界に恐怖と戦慄を あたえたベストセラー ついに衝撃の映画化!
とある宇宙計画のひとつとして、砂漠の中の小さな町・ピードモントに人工衛星が着陸した。回収部隊が向かうが、「誰かがいる」という連絡の直後、通信が途絶してしまう。司令部が軍用偵察機を向かわせると、赤ん坊とアル中の老人の二人を除いて、全身の血液が凝固するという謎の症状によって町は全滅していた。密閉された地下研究施設に数人の科学者が秘密裏に集められ、墜落した人工衛星に付着した未知の細菌が原因である事まではつきとめるのだが…というストーリー。
原作者はマイケル・クライトンで、かの『ジュラシック・パーク』の作者である。
『ジュラシック・パーク』では、琥珀に密閉された蚊の体内の血液から恐竜のDNAを採取し、それを元に恐竜を復活させるという科学的アプローチが基盤になっているが、これは単なる空想ではなく、実際に科学者が唱える仮説であり、愛知万博で公開された冷凍マンモスを復活させるために考え得る手段として紹介されたことも記憶に新しいところである。本作も、冒頭にて、“科学的な危機を正確かつ客観的に記録した”ものであると、仰々しくスタートするのだが、原作者が同じ故のテイストの一致であろう。
『ジュラシック・パーク』が、SFとしてスタートするも、いかにもパニックムービー、アクションムービーという展開になっていったのと同様に、本作もいかにもSFを標榜しつつも、実はサスペンス映画であるという体裁も、共通している。
実際におこってもおかしくないと、信じさせるだけのシチュエーションをぶつけてくるのは、原作者の慧眼と白眉な表現力の賜物であるし、それを興ざめさせないように、見事に各シーンを丁寧に描写していく映画スタッフの技術と努力は見事で、それらがうまく結実しているといえる。1971年製とは思えないほど(というか、後年見ても陳腐と思われないような表現を使っていて)、冒頭の全滅した村や、地下研究施設もよくできており、現代においても十分に鑑賞に堪えうる。システマチックな施設と、その中で繰り広げられる迫真の人間ドラマの対比はとても愉しめる。
『ジャガーノート』での“どっちの配線を切る?”ギミックがパイオニアであったように、本作“のコンピュータがカウントダウンし、ぎりぎり対処する”というギミックも、本作がパイオニアかもしれない。
言い忘れたが、本作もTSUTAYAの発掘良品キャンペーンの一つ。これは確かに、埋もれた良作と言って良いかと思う(吹き替え音声もついているしね)ので、軽くお薦めである。
ただ、おおよその方々の鑑賞にはなんら影響を及ぼさないとは思うが、ワタクシ個人が引っかかって興ざめしたポイントが一つある。地下施設に下るたびに滅菌処置を行っていくのだが、その中の一つに、体表を薄く燃焼させて滅菌する(体表が白く焼ける)というシーンがある。それを“キセノン照射より焼却”と説明しているのだが、希ガスのキセノンでどうやって燃焼させるのか。キセノンランプで近赤外線を照射したとしても、大抵は体を通過してしまい、体表を綺麗に燃焼するなんてどうやるのかしら。私の科学知識がポンコツなだけかもしれないので、ご存知の方はお教えいただきたい。
公開年:1974年
公開国:イギリス
時 間:111分
監 督:リチャード・レスター
出 演:リチャード・ハリス、オマー・シャリフ、シャーリー・ナイト、アンソニー・ホプキンス、イアン・ホルム、デヴィッド・ヘミングス、クリフトン・ジェームズ、フレディ・ジョーンズ、ロシャン・セス、シリル・キューザック、マーク・バーンズ、ジョン・ストライド、ケネス・コリー、ロイ・キニア、キャロライン・モーティマー 他
コピー: 脱出不可能な暴風雨の北大西洋にメガトン級の爆弾が時を刻む!千二百人の命と共に揺れる豪華客船ブリタニック号!
処女航海に出た豪華客船ブリタニック号に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が、船主の会社に入る。犯人は自らを“ジャガーノート”と名乗った。船会社の専務は、要求された金額を支払うことを希望するが、警察はテロ犯罪に屈することを認めず、海軍の爆破物処理班のファロン中佐に爆破物処理を依頼するが…というストーリー。
昨日の『カプリコン・1』と同様、TSYTAYAの発掘キャンペーンモノ。こちらは第1弾の返金キャンペーン対象作品だが、『カプリコン・1』があんな感じだったので、さほど期待はしないことに。
まず、“ジャガーノート”という単語だが、「巨大な力、圧倒的破壊力」という意味らしい。猫科のジャガーでもなければ、帳面のノートでもない。調べないとなんだかよくわからないタイトルである。
やはり、こちらも、シナリオ上の矛盾点が多数。やはり“名作”じゃなく“良品”止まりなのは理由があると思う。
以下、ネタバレ注意。
老人の単独犯にしては、7つのドラム缶(それも微妙な振動に反応するようなセンサー付き)をどうやって搬入→固定したのか、非常に疑問。だから、多分、このオッサンが犯人じゃなくって他に協力者がいるに違いないとずーっと観ていたのだが、そのままで、ちょっぴりガックリきてしまった。ジャイロが不調なのだがら、もっと簡単に爆発してもよさそうだし。
海が荒れているので、簡単に救助でいないという設定なのだが、それほど荒れているようには見えない。救助にきた軍人が海に落ちても助けることができないほど…ということなのだが、全然そうは見えず、単に無慈悲なだけに見える。ましてや、あそこまで高い上空からダイブしなきゃいけない理由もわからないし。
爆発する時刻は指定されていたのに、その間に、救助のために別の船を出さないのもわからないし、海上で旋回するくらいなら、救助しやすい領域まで移動もできる。
大体にして、ここまで天候が悪くならなければ、乗客を人質にできなかったわけで、確実に海が大荒れにならなければ成立しない計画である。海が荒れなければ簡単に避難できてしまうわけで、まったくもって確実性が希薄である。そして犯行の動機は、年金が不満…って、お金が無い割には、かなり多額な費用が掛かっているという、この矛盾。
一発目の爆発だけでは沈まなかったのだから、最悪、隔壁を閉じて、一発づつ爆破していけば、なんとかなるとことが判ったのに、なんでそれが選択肢の一つに挙がらないか疑問。助手のチャーリーは、それまで、頑なにファロンの後追いで操作していたのに、誤爆の時だけ単独先行するという都合の良さにも違和感。
緊迫感を煽る部分の演出はものすごく成功しているのだが、諸々の状況設定が、あまりにも杜撰で、プラマイゼロ。細かい点がまったく気にならなければ楽しめるし、気付いてしまうと興醒めするという、そのときの体調次第で面白みが変わる作品といってもいいかも(案外、お子様は楽しめてしまうのかな)。
ん~。いかにもイギリス英語~っていう名優さんたちのステキな演技が、ツメの甘い設定のせいで、疵がついているのが非常に残念。手放しでお薦めはできないが、ビール片手に、ほろ酔いで観れば、細かい部分に目がいかず、たのしめるかもしれない。
ちなみに、コードのどっちを切る?というシチュエーションは、色々な映画や、それこそマンガやコントで扱われるくらいポピュラーな演出だが、これが使われたのは、この映画がはじめてなんだって。
でも、いつもこの演出を見て思うのだが、普通の電化製品ならコードを色分けして用途をわかりやすくするのは理解できるのだが、爆弾の場合、むしろ解除されないようにわかりにくくしたほうがいいのに、親切な犯人さんですね…と興醒めするのは私だけだろうか。
公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:ピーター・ハイアム
出 演:エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、カレン・ブラック、テリー・サヴァラス、サム・ウォーターストン、O・J・シンプソン、ハル・ホルブルック、ブレンダ・ヴァッカロ、デヴィッド・ハドルストン、デニース・ニコラス、アラン・ファッジ、デヴィッド・ドイル 他
コピー:300億ドル…世界最初の有人火星宇宙船が秒読みに入ったとき3人の宇宙飛行士が消えた!翔べ!カプリコン・1!生き抜け!真実を炎に!
世界最初の有人火星宇宙船から3人の宇宙飛行士が消えた…… アメリカ映画が総力をあげた戦慄のサイエンス・エンターテイメント!
初の有人火星探査船カプリコン1が打ち上げられた。表向きには計画は順調に進んでいるように見えてたが、実は、生命維持システムに不備があったため3人の乗組員は乗船しておらず、無人で打ち上げられていた。乗組員のブルーベーカー、ウイリス、ウォーカーは、砂漠の真ん中にある無人となった古い基地へと連れて行かれ、火星に到着したという事実を捏造するために協力するよう命じられる。政治的な問題で計画が中止にすることはできなかったのだ。3人は、家族の安全のために、やむを得ず承諾するのだが…というストーリー。
TSUTAYA発掘良品キャンペーンに乗っかってレンタルしてみた。発掘“良品”であって“名作”とはいっていない。そこがミソかな。
一頃、話題になった“NASAの月着陸は捏造だった”ネタをそのまま映画にしたような内容だが、DVDジャケットやタイトルのイメージと違ってSFではない。さらに、前半と後半でパックリと趣が異なる作品である。前半はバレるかバレないかの心理戦。後半は逃亡アクション。
たしかに、緊迫感のある、なかなか良くできたサスペンス脚本なのかもしれないが、名作になれない理由が多々ある。
まず、いかんせん科学的ギミックが弱い。火星にいけるレベルの科学水準に見えず、まったく未来感はない(単に“月にいく”とすると問題があるので火星にしただけだったなのかな?などと思ってしまう)。
脱出を試みた飛行機の燃料が無くなるというご都合主義的展開も、結構興醒めしてしまう。私が一番しっくりこないのは、初めNASAは自組織の存続のために、政府に対して隠蔽をしようとしていたのに、後半になるといつのまにか政府も一緒に隠蔽しようとしているように見える点。だって、FBIまで動いていているんだから(NASAがFBIを自由に動かせるとは思えないもの)。どのタイミングで、NASAの単独犯行から、政府を含めての隠蔽工作に変わったのか、境目がよくわからず、モヤっとした感じ。
全体を通じて流れるテーマは“メディア(媒体)”を経た情報の危うさについてなんだけど、観客の興味は、バレた後どうなっちゃうのか?に向かうと思う。しかし、結局そこには触れずじまい。この、ツボのズレ具合がどうも気持ち悪い。
致命的ではないけれど、技術的な難点もある。まず、音楽が趣味に合わない。画のアングルに味がなく、編集に締まりがなく、構成も雑。スケジュール的に切羽詰っていたのかもしれないが、もう1サイクル練れば、良くなったんだろうなぁ…とは思わせるものの、常に頭の片隅にある違和感を払拭できずに終わってしまった感じ。まあ、ギリギリ“良作”という線と言えなくもないけど、ワタクシ的には、限りなくガケ落ちに近い。
ちなみに、おもしろくなければ返金しますよっていうキャンペーンなんだけど、アンケートまで書いて提出しなくちゃいけないとか、たかだか旧作1本のレンタル料金のために、面倒くさい。ワザワザ返金してもらおうと思うほど、目くじらたてたくなるような作品でもない。本気で、お薦めしたいんなら、吹替え音声をつけたTSUTAYAレンタル限定のDVDでもつくるくらいの気合をみせてくれりゃいいのに(日曜洋画劇場の吹替え音声があるはずなんだけど)。
特段、お薦めはしないけど、決して駄作ではない。ただ、SFだと思って借りると、肩透かしを喰らうことになるので、注意が必要だろう。
公開年:2005年
公開国:フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア
時 間:119分
監 督:ミヒャエル・ハネケ
出 演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド、ベルナール・ル・コク、ワリッド・アフキ、レスター・マクドンスキ、ダニエル・デュヴァル、ナタリー・リシャール、ドゥニ・ポダリデス、カロリーヌ・バエル 他
受 賞:【2005年/第58回カンヌ国際映画祭】監督賞(ミヒャエル・ハネケ)
【2005年/第31回LA批評家協会賞】外国映画賞
【2005年/第18回ヨーロッパ映画賞】作品賞、監督賞(ミヒャエル・ハネケ)、男優賞(ダニエル・オートゥイユ)、編集賞(ミシェル・ハドゥスー、ナディン・ミュズ)、国際評論家連盟賞(ミヒャエル・ハネケ)
コピー:送られてきた1本のビデオテープ それは記憶の底に隠された無邪気な悪意
人気TV番組に出演しているジョルジュは、妻アンと息子ピエロと幸せな暮らしを送っている。ある日、ジョルジュの家を正面から隠し撮りした送り主不明のビデオテープが届き、その後、同様のテープが何度も送られてくる。内容は、どんどんジョルジュのプライベートな過去に近づいていく。次第に恐怖に支配され追い詰められ、家族の間にも亀裂が生じ始めるが、そんな中、ふと、ジョルジュの少年時代の記憶が蘇り…というストーリー。
BGMを一切排除。カメラは極力動かさないようにして、ビデオ映像なのか否か判然としない編集。それらは、リアリティを増加させ、観ている側を不快にさせようという演出なのだろうが、それほど効果が高かったとは思えず、策に溺れたようにしか見えない。
もしかすると、そういうミエミエの演出に対して不快感を感じるだろうな…というところまで計算しているなら大したものだともいえるが、結果としてその不快感の先にあるものは、必ずしも多くの人が理解できるものではないように思える。本作に対してなんらかの思いが喚起されるのは、移民に関してやましいことや問題をかかえる人間(国民)だろう。それもフランスのように国家レベルで逼迫するような状況の人の場合だ。
ワタシには、予想はできるが実感がないので、ピンとこないというのが正直なところ。
1年のうちにそれこそ何千本作られる映画の一つとして、こういうものがあることを否定はしない。けれど、小説のように一人でアウトプットを構築できるものならいざしらず、多くの大人が関与してはじめて完成する作品において、監督の思いを理解して、嬉々として参加しているスタッフがどれほどいたことか。私にはその空気は伝わってこなくて、あくまで監督のやりたいことに「はいはい…」とビジネスライクに付き合う様子しか想像できなかった(あくまでワタシの妄想だけど)。ようするに画の端々から、つまらなさが伝わってくるのだ。
以下ネタバレ含む。
はっきりいって独りよがりな内容にしかみえない。衝撃のラストという謳い文句もあったが、もしかして自殺のことを刺しているなら別に衝撃だと思わない。私は、最後まで“衝撃のラスト”があるのだろうと期待し続けたが、あのエンドロールに突入。アゴが落ちた。
深層心理サスペンスなんていうもんだから、どれだけ複雑でおどろくような心理描写があるのかと思いきや、単に罪悪感を感じるような過去を忘れたという、あたりまえの脳の機能でしかない。もしかして、それが個人ではなく国家レベルで行われている…とでもいいたいなら、演出として不足極まりないし。だいたいサスペンス要素なんか、無いに近い。
『ファイト・クラブ』レベルの精神・心理モノに慣れてしまっているせいかもしれないが、物足りないこと極まりない。まあ、“実は犯人は自分でした”パターンじゃないのはヨカったとは思うけれど、本当に主役の予想したとおりの人が(その家族かもしれないけど)、本当に「脅迫」してるのなら、単なる恨みのハナシじゃないか。深読みしたところで、心理サスペンスじゃなくって、国家政策批判だよね(母親の反応とかさ)。
コピーにある“無邪気な悪意”というのも、よくわからないし(無邪気でもなんでもない普通の悪意だよね?)。とにかく、少なくとも配給会社は本作の意味を理解していないことはわかった(か、あえて釣りの宣伝をしているのか)。
ますますカンヌ映画祭の価値観というものは判らない…と感じさせてくれる一本。ヨーロッパの移民問題の根深さと社会の空気を感じたいなら、見るべき1本かもしれないが、“映画ってなんなんだろうね(疲)”と感じる人が少なからずいるであろう1本でもある。お薦めはしない。
#どうもアート嗜好の人の評判が高いようなのだが、あえて逆らうよ。おもしろくなったんだもの。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |