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image1401.png公開年:2008年  
公開国:タイ
時 間:93分  
監 督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
出 演:ジージャー、阿部寛、ポンパット・ワチラバンジョン、アマラー・シリポン、イム・スジョン、タポン・ポップワンディー他
コピー:この蹴りに世界がひれ伏す!!!!!!!!




日本の大物ヤクザとタイ人女性ジンを両親に持つ少女ゼンは自閉症だったが、たぐいまれな身体能力の持ち主。ビデオで観たアクションをすぐに自分の技にできるほど。成長したゼンは、最愛の母ジンが白血病に冒されていることを知り、多額の治療費を工面するため、母ジンが金を貸していた人々を訪ねて回収をしようと考えるのだったが…というストーリー。

『マッハ!!!!!!!!』のピンゲーオ監督の作品。正直なところ『マッハ!!!!!!!!』の後の『七人のマッハ!!!!!!!』(製作)も『トム・ヤム・クン!』も、大して変わり映えがなかった(というかむしろグレードダウンしていた)ので、まったく本作も期待していなかった。ただ、主人公が女性という点と、阿部寛が出演しているという点と、本国のタイでは『マッハ!!!!!!!!』の動員記録を塗り替えるほどヒットしたという情報から、一縷の期待を抱き鑑賞に至る(別に阿部寛のファンということではなくて、東南アジアの映画がピンポイントで一人の日本俳優にオファーするということは、あまり無かったように思われたので興味が)。

本作を観終わった後、実に複雑な気持ちにさせられてしまった。まず好意的な面を先に。比較的低予算な映画として評価すれば、負ける日本映画は多いだろう。比較しやすいアクション映画を例に出せば、『少林少女』などは完全に負け。細かいところはともかくとして、観客をストーリーに引き込む力は圧倒的に本作が上である。ストーリー運び、カット割り、無駄を極力排除した編集の力などが長けているのだろう。漠然とした表現になってしまうが、“いい雰囲気”が作れている点においては、今の日本映画ではなかなか勝てるものは無いかも…とまで思わせる。

続いて否定的な面。『マッハ!!!!!!!!』『七人のマッハ!!!!!!!』『トム・ヤム・クン!』を通して、この監督の作品に共通する点なのだが、終盤が(大抵はボスとの最終決戦だが)、すべてグダグダなのだ。本作も同様。正直、またかよ…と思ってがっかりしてしまった。基本設定や最終決戦に至るまでプロセスは明確に頭に描けているのだろうが、オチはぼんやりしたままで製作を進めているのだろう。これでは話にならない。どのくらい話にならないかというと、落語の「まんじゅうこわい」を例にしてみよう。まんじゅうを怖いという変わったヤツがいる。いたずらのつもりでどんどん饅頭を投げ入れる。怖い怖いと聞こえてくるので面白がる。とはいいながらも、様子がおかしいので覗いてみると、実はまんじゅうは大好物でをパクパク食べている。
普通は、この後「本当はいったい何が怖いんだい?」と聞き「おいしいお茶が怖い」というオチになるのだが、この映画では、「こら!だましやがったな!」「わぁー、ばれたー」といって終わるようなレベルなのだ。工夫もヒネリもない(細かいことを言えばキリが無い。日本への手紙をストップできる力をもつタイマフィアのボスが、なんでケリをつける気になったのか、その心変わりのプロセスがよく分からない。阿部寛が死んだんだか死んでないんだか良く分かららない演出で、その意図が中途半端。最後のアクションはメリハリがなくただただ長い)。
そのくらい、オチがグダグダだと思っていただければよい。観終わった後に、カタルシスを得ることを期待してはいけない。

あと、良い面でも悪い面でもないのかもしれないが、主人公が障碍者という設定から、日本でのTV放映はないだろうと思われる。「お嬢さんには脳の障害が…」と言われているが、表面上の症状は自閉症のようだし、実際どういう障碍なのかは良く分からない。障碍に対して無知と思われも仕方が無い面があり、いくら映画とはいえこういう扱いは、ちょっと視聴者には許容されないだろう。

ちなみに、原題はCHOCOLATEなのだが、べつに映画にでてくるマーブルチョコレートがストーリー上重要なわけでもなく、印象的なアイコンというわけでもない。むしろシリカゲルのほうが印象的。ピンとこないタイトルだ。

このように功罪両面を含んだ、色々考えさせられた映画ではあったが、自分のベスト映画300本リストを作れといわれて、本作をいれる人は少ないだろう。そういうレベルの作品だと思う。それが私の評価だ。ただ、頭が疲れていて、あまり考え事をしないで、軽い気持ちで、ぼーっと夕暮れに見る作品としては、なかなかありだとは思う。
最後に、一鑑賞者が偉そうなこといって申し訳ないが、ピンゲーオ監督には、オチを締める能力を早く身につけてもらいたいものである(国内の評価で天狗になってもらってはいい迷惑である)。

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