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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:149分
監 督:ゴア・ヴァービンスキー
出 演:ジョニー・デップ、アーミー・ハマー、トム・ウィルキンソン、ウィリアム・フィクトナー、バリー・ペッパー、ヘレナ・ボナム=カーター、ジェームズ・バッジ・デール、ルース・ウィルソン、ブライアント・プリンス、メイソン・クック、JD・カラム、ハリー・トレッダウェイ、ジェームズ・フレイン、ホアキン・コシオ、デイモン・ヘリマン、マット・オリアリー、W・アール・ブラウン、ティモシー・V・マーフィ、ギル・バーミンガム、ケヴィン・ウィギンズ、ロバート・ベイカー、リュー・テンプル、レオン・リッピー、スティーヴン・ルート、ランディ・オグレスビー、ブラッド・グリーンクイスト、ランス・ハワード、レナード・アール・ハウズ、トラヴィス・ハマー、ジャック・アクセルロッド、フリーダ・フォー・シェン 他
受 賞:【2013年/第34回ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)】ワースト・リメイク・盗作・続編賞
コピー:世界を変えるのは、正義か?復讐か?

西部開拓時代のアメリカ。郡検事のジョン・リードが乗っている蒸気機関車が、強盗団から襲撃される。強盗団の目的は、列車で護送されているボスのブッチ・キャヴェンディッシュを奪還するためだ。ジョン・リードが護送車に向かったものの、一緒に護送されていたネイティブアメリカンのトントと一緒に強盗団に縛り上げられ、まんまとブッチを奪還されてしまう。その後、ジョンは勇敢なテキサス・レンジャーである兄ダンたちと一緒に、キャヴェンディッシュ一味を捕まえるために旅に出るが、仲間の一人の裏切りによって、全員残酷に殺されてしまう。そこに死体から金品を漁るために現れたトントは、不思議な白馬シルバーの導きによって、コマンチ族に伝わる術でジョンを救う。実は、トントは、少年時代にブッチから受けた忌まわしい経験から、復讐に燃える戦士だった。共通の敵を持つことになった二人は、手を組むことにしたのだが、法の僕であるジョンと、何でもありのトントが噛み合うわけもなく…というストーリー。

ディズニーでジェリー・ブラッカイマー製作でジョニー・デップ主演で、何の問題があろうか!?って感じなのに、まあ、ここまで冒頭から難点が鼻につく作品はめずらしい。

列車からジョンとトントが脱出する際のCGがあまりにうそ臭い。シーンに迫力があるのは結構なことだが、無闇に現実離れしてしまっては興醒めさせるだけである。もしかすると、3Dの効果がよく出るようにつくられているのかもしれないけど、ダメなものはダメ。

また、なぜか博物館のいる老トントが、少年に過去を語るという構成なのだが、これがクソ演出。ストーリーの転換ポイントでちょいちょいとこの場面になって、少年と老トントがやりとりしながら経緯を説明するのだが、本当に無用。一応エンドロール中のシーンに繋がりはするのだが、だからといって、正直、何の意味があるのか、どういう面白さを狙っているのかわからない。銀行強盗のくだりを冒頭にもっていったのだって、効果はあっただろうか。これらの演出をカットして130分以内に収めるのが正しかったのではなかろうか。本当にブラッカイマー製作なのか?と思うほど、彼らしくないような…。

大昔のローン・レンジャーのドラマを観ていた世代ではないので、懐かしさはない。おまけに、ジョニー・デップとアーミー・ハマーを見ても、この2人が合わされば、ものすげー強い!おもしろい!っていうワクワク感がイマイチ感じられない。まあ、トントのキャラクターは文句ないほど際立っているが、ジョンは銃もまともに扱えない文官がマスクしてるだけ。力不足。
#馬のかわいさには救われている。本当にかわいい。

それでも、両者の復讐劇と丁々発止の攻防は、よく組み立てられているので、見ごたえはあった。さぁて、ストーリーも佳境に入ってまいりました!というところで、また、交差する下の線路を走っている銀鉱石が乗っかってる貨車にダイブしても、なんともありません…てなCG。リアリティがなさすぎて、また興醒め。

また、兄ダンの妻とジョンの関係とか、ダンの息子との関係も、消化不良というか生かしきれていないと思う。

続編の予定はあるのだろうか。このままだとちょっと難しいのでは? 豪華な凡作の域を出ず。

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公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、マイケル・モリアーティ、キャリー・スノッドグレス、シドニー・ペニー、リチャード・キール、クリストファー・ペン、リチャード・ダイサート、ダグ・マクグラス、ジョン・ラッセル、チャールズ・ハラハン、マーヴィン・J・マッキンタイア、フラン・ライアン、リチャード・ハミルトン、グレアム・ポール、ビリー・ドラゴ、テレンス・エヴァンス、ジョン・デニス・ジョンストン、ランディ・オグレスビー 他
ノミネート:【1985年/第38回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(クリント・イーストウッド)
コピー:…そいつは地獄の香りがした。


ゴールド・ラッシュ時代。カリフォルニアのカーボン峡谷は、他の多くの峡谷と同様にラフッド一家が経営する鉱山会社によって、
買い占められようとしていた。ハル・バレットら砂金堀りたちが、このカーボンの村に暮らしており、この渓谷の所有権を主張していたが、毎日のようにラフッド社のいやがらせに遭っていた。とうとう、家畜の牛や、バレットの婚約者の娘ミーガンが駆っていた犬までもが殺される始末。そんな中、ラフッド一家が逗留する町に一人に男が向かっていた。その町に買出しに出てきたバレットは、またもやラフッド社のいやがらせを受けるが、やってきた男に救われる。感謝したバレットは、その男を自分の家に招く。ならず者を家に入れたくないバレットの婚約者は反感を抱くが、着替えた男が牧師の姿であったことから、信心深い母娘は、彼をプリーチャー呼び歓迎するのだった。翌朝、ラフッドの息子ジョッシュが、大男の用心棒を引き連れて復讐にやってくるが、プリーチャーは軽くあしらう。どうしても早急にカーボン峡谷を採掘してしまいたいラフッドは、思わぬ敵の出現に焦りはじめ、悪徳保安官として名高いストックバーンらを雇うことに決める…というストーリー。

なんでもありのゴールド・ラッシュ時代。力こそ正義を地で行く舞台に、無骨なヒーローは良く映える。ラフッド一家に狙われているカーボン峡谷で砂金堀りをしている人々が、それほど救う価値がある人々に見えないというのもおもしろい。一応、村らしきものを形成してはいるのだが、それぞれが金で一発当てたい奴ら。誰かが見つけたら村で平等に分配するとかそういうコミュニティではなく、見つけたらそいつの物っていうだけ。ラフッド一家に1000ドルで立ち退き交渉された時も、はじめは大半の人がそれに応じる気配だった。
そこでバレットが、小物たちのあるんだか無いんだかわからないようなプライドをくすぐって、立ち上がらせちゃう。プリーチャーは、はじめ100ドルといっていたところを、危険を冒してまで1000ドルに吊り上げ交渉したのに、それを無碍にされた感じに。ここで“勝手にせえや…”と一旦手を差し伸べるのをやめるところが、またまた面白い。

先住民も出てこないし、荒くれ者同士のいざこざでもなく、地上げされるかされないかっていう経済戦争みたいな話で、西部劇としてちょっとユニークな内容かも。

プリーチャーは、悪徳連邦保安官ストックバーンのことを知っているような様子。ああ、過去になにかあったんだな…と臭わせる。牧師とはいえ、その銃の腕前は半端ないし、貸金庫に銃を預けていたところをみると、過去に何かあったんだな…、きっと昔は悪人で、牧師になる過程で壮絶な出来事があったんだろうな…なんて予想させてくれるわけだが、何と見事に彼の過去については明かされることなく終わるのだ。これもある意味、斬新。

ちなみに“ペイルライダー”とはヨハネの黙示録の4番目の騎士で、死をもたらす役割。たしかに悪人に死をもたらし、神父なので黙示録に縁のある人。

バレットの婚約者は、打算的にバレットと暮らしており、プリーチャーが登場すると、彼に色目を使いはじめる。信心深いくせに色目を使うとか、冷静に見るとなかなかのクズである。さらに、その娘も愛の告白を。これもほとんど村から出たいのと、性欲が溢れているだけという状況。もちろんプリーチャーは断るわけだが、受け入れられないとわかったら、“きっとアンタは母さんのことが好きなんだろう”とキレはじめるという…。もう、全方位的に救う必要がない感じ。半ばうんざりしているプリーチャーの顔は、すごくおもしろい。

フッドの息子ジョッシュが、デカいけどアホっぽい部下をつれているのだが、そいつが娘をレイプしようとするジョッシュらを見て激昂する。プリーチャーとその大男が目配せするシーンが印象的。おそらくその大男がそうする過去があるのだろうが、それも語られることはない。
こういう、ある意味不親切な演出が、『シェーン』のパクリみたいな内容を大人のアクション映画に昇華させているのかもしれない。プロットは単純だし、正直だから何だ…っていうようなオチなんだけど、観終わった感じはなかなか爽快。

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公開年:1992年
公開国:アメリカ
時 間:131分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、リチャード・ハリス、ジェームズ・ウールヴェット、ソウル・ルビネック、フランシス・フィッシャー、アンナ・トムソン、デヴィッド・マッチ、ロブ・キャンベル、アンソニー・ジェームズ、タラ・ドーン・フレデリック、ビヴァリー・エリオット、リーサ・レポ=マーテル、ジョジー・スミス、シェーン・メイア、アリン・レヴァシュー、シェリリーン・カーディナル、ロバート・クーンズ、ロン・ホワイト、ミナ・E・ミナ、ジェレミー・ラッチフォード、ジョン・パイパー=ファーガソン、ジェファーソン・マッピン、フィリップ・ヘイズ、ラリー・ジョシュア 他
受 賞:【1992年/第85回アカデミー賞】作品賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、監督賞(クリント・イーストウッド)
【1992年/第27回全米批評家協会賞】作品賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、監督賞(クリント・イーストウッド)、脚本賞(デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ)
【1992年/第58回NY批評家協会賞】助演男優賞(ジーン・ハックマン)
【1992年/第18回LA批評家協会賞】作品賞、男優賞(クリント・イーストウッド)、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、監督賞(クリント・イーストウッド)、脚本賞(デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ)
【1992年/第50回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ジーン・ハックマン)、監督賞(クリント・イーストウッド)
【1992年/第46回英国アカデミー賞】助演男優賞(ジーン・ハックマン)
【2004年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品

1880年のワイオミング。かつて強盗家業で悪名を轟かせていたウィリアム・マニーは、現在、二人の子供と農場を営み静かに暮らしていた。妻と出会ってから足を洗った彼だったが、3年前にその妻に先立たれてしまった。さらに、家畜は病気は伝染し続け、作物も順調に育たない苦しい生活が続いており、このままでは幼い子供達を育てることも困難に。そんな中、農場にキッドっと名のる若いガンマンが訪れてくる。彼は、とある町の娼婦が、二人のカウボーイに傷を負わされて一千ドルの賞金がかけたという噂を聞きつけ、その町へ向かっている途中だという。キッドは、マニーがかつて荒事をやっていたと聞き、助っ人を頼みにきたのだ。困窮していたマニーは、子供達を残してキッドに同行することに。マニーは、かつての相棒であるネッド・ローガンを誘うことを主張。賞金の分配が減ることを嫌ったネッドは反対したが、ネッドを連れて行かねば俺も行かないというマニーの態度に折れるのだった。その頃、保安官のリトル・ビル・ダゲットは、娼婦たちが振りまいた賞金稼ぎの噂に吸い寄せられて町にやってきた殺し屋たちを袋叩きにして追放していた。マニーたちが到着すると、同様にダゲットのターゲットに。酒場にひとりでいたマニーは、ダゲット一味に暴行され重症を負わされてしまう。娼婦たちに介抱されたマニーは、逃げ延びたローガンとキッドと合流し、賞金首の二人の射殺に向かうのだったが…というストーリー。

李相日監督がリメイクしたっていうんで、改めて観直そうと思い借りにいったら、旧作なのに値段上げられてた。TSUTAYAめ、抜け目無い商売したやがる。でも、その時は借りないで、再び旧作料金になったのでレンタルしてみた。

一線を退いたロートルが、生きるために殺し屋家業に再び手を染めるというお話。よき妻との出会いからすっかり変わってしまった男という設定なんだけど、じゃあ、再び殺しをやるって考えたときに、ものすごく苦悩するか?っていうとそうでもなかったりするのがリアルに見える。あくまで、性根から改心したとか、命の大事さに目覚めたとか、そういうわけじゃなく、大切な人を守りたいというか、その人が悲しむ顔をみ見るのがイヤだっただけ。
ローガンの妻が夫が連れて行かれるとおもってイヤな顔をしたことについては、さほど心を痛めることがないというね。この他者への共感の薄さが、さすが元無法者…っていう設定をよく表していると思う。実に巧みだと思う。

娼婦を傷つけたカウボーイも悪者なんだけど、それ以上にジーン・ハックマン演じる保安官が邪悪。表面上、正義の庇護者を装いながらも、実は悪人、それも確信犯という設定自体が秀逸すぎる。中盤までは、むしろ主人公のマニー側が、蚊帳の外みたいな感じで、ストーリーが進行していくのが、ユニークだと思う。

程度の差はあれ、保安官、賞金稼ぎ、娼婦、女衒と誰一人としてまともな堅気は出てこないというね。心情的に正義を振りかざすわけでもないし、格好良く退治するわけでもない。殺し方がベタベタで泥臭いのがすごくよい。“許されざる者”っていうのは、賞金首のカウボーイや保安官だけじゃなく、マニーたちもそうだ…ってことだ。
風邪をひいちゃっててダゲット一味にやられちゃうって、けっこうマヌケだと思うんだけど、そこですら哀愁のようなものを漂わせるのは、マニーが持ってる虚無感というか、人間性のベースにある闇みたいなもののが、クリント・イーストウッドの演技で伝わってくるからだろう。

へっぽこ脚本家だと、顔に傷をつけられた娼婦を、農場につれていっちゃいそうになるところなんだけど、全然そんな展開の気配すら見せないのがいい。単に、今でも死んだ妻を愛している…っていう以上のものがあると感じた。いくら改心したって、俺は“許されざる者”だから…みたいな達観すら漂う。

人生って汚れながら、そして汚れていることを認めながら、諦めながら歩いていくことなんだな…なんて感じさせてくれる作品。きっと、年齢を重ねれば重ねただけ観方が変わってくるんだろうね。名作だと思う。 

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公開年:1966年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:バート・ケネディ
出 演:ユル・ブリンナー、ロバート・フラー、ウォーレン・オーツ、クロード・エイキンス、ジョーダン・クリストファー、エミリオ・フェルナンデス、ジュリアン・マテオス、ヴィルジリオ・テクセイラ、エリザ・モンテス、フェルナンド・レイ、ロドルフォ・アコスタ 他





かつて6人の仲間と村人のため無法者たちと闘ったチコは、その村の娘ペドラと結ばれ、村の復興を目指して農民として平和に暮らしていた。しかし、近隣一帯を牛耳っているロルカ一味が村を襲撃し、チコら村の男たちを拉致。ロルカは農夫を集めて奴隷として、自分の農地で働かせていたのだ。かつてのチコの仲間クリスとビンは、チコが誘拐されたことを聞き、さっそく仲間集めを開始。フランク、ルイ、コルビー、マヌエルら癖のある男を集め、ロルカの本拠“悪魔の背骨”へ向かう。その頃、チコは捕えられていた300人の農民と協力し牢からの脱出に成功。到着した6人を合流し、再び7人となった彼らは、ロルカ一味を対峙すべく教会跡に砦を築くのだったが…というストーリー。

同じ村(近辺)の10年後を描いた作品。有名なわりには、いまいちなバトルにがっかりさせられた前作。さて、前作の難点は克服されているのか。

女性が助けを求めにくる展開がしっくりするし、集められたメンバーは前作より荒くれ者が多い。よりアメリカナイズされていて 無頼な感じが出ていて良い。期待できるな!…と思ったのだが、残念ながら、終盤になると話の軸がぼやけてくる。

敵が弱いのはいただけない…といつも苦言を呈しているが、本作も同じ。農民なんか弱っちい!って吐いておきながら、自分も農民を集めて反撃し始めるという泥仕合っぷり。ロルカの行動のベクトルがぼやけてくると、村に宝が埋まっているという設定が加味されるが、これが具体性が薄く、付け焼刃で差し込んだ感じが半端ない。実はロルカは豊かな村を目指す善良な人間なんだけど、その方法論が間違っていただけさ…みたいな展開にするのかな?なんて思っていたのだが、そういう高度なシナリオは描けなかったみたい。結局ただの欲深な俗物にしか描けていない。いずれにせよ、プロットの軸がドリフトしすぎ。

ドンパチが前作よりも激しくなり、エンタメ性が増しているのは歓迎すべきかもしれないが、貧しい村だし、馬移動で装備も限定されると思うので、応戦のために使用している大量の銃弾はどこから?という単純な疑問が沸く。
バトルの決め手が、偶然そこにあった大量のダイナマイトとか。前作でもいったが知恵を使おうよ。そりゃ、そんなにダイナマイトがあったら無双だろうさ。突然見つかった兵器で勝てました…ってオチでスッキリできるわけがない。せめて、ダイナマイト入手にいたる面白いエピソードくらい入れてくれないとさ。
おまけに、使ったダイナマイトが、見つかった量よりかなり多く見えるというね。

決着も、そんなボスひとりが死んだら、バトルは収束。そのくらいで、やめるような戦争ならはじめからやんなきゃいい…って感じ。大体にして、一番大事なボスが安易に前線に出てきておしまい…って。狡猾なのか無鉄砲なのか、キャラがブレブレ。いろいろ、構図がおかしいお話だった。
#だけど、この後も続編ができるんだよねえ…。西部劇ってのは“なんとなく”のノリを楽しむだけで、深く考えちゃいけないんだろうな。

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公開年:1960年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:ジョン・スタージェス
出 演:ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーン、ホルスト・ブッフホルツ、ブラッド・デクスター、イーライ・ウォラック、ウラジミール・ソコロフ、ロゼンダ・モンテロス、ビング・ラッセル 他
ノミネート:【1960年/第33回アカデミー賞】主題歌賞(スティーヴン・ソンドハイム、作詞・作曲 Sooner or Later“I Always Get My Man”)、美術[監督]賞(Richard Sylbert)、美術[装置]賞(Rick Simpson)、メイクアップ賞(John Caglione,Jr.、Doug
Drexler)
【1990年/第44回英国アカデミー賞】 劇・喜劇映画音楽賞(エルマー・バーンスタイン)
コピー:あの面白さ、あのメロディにのって 本物の七人が帰って来た……

メキシコの寒村イスカトランの住人は、毎年収穫期になると襲撃してくる無法者たちに怯えていた。昨今は自分たちが食べる分を賄うことも困難で、村を去る者も続出する状況となり、我慢の限界を感じた村人たちは、少ない金品をかき集め、無法者を撃退してくれるガンマンを雇うことにした。ヒリイオら3人の村人は国境沿いのアメリカ側の町を訪れる。町では、原住民の遺体を白人の墓地に埋葬するかしないかで揉め事がおこっていた。葬儀屋が反対する白人一味の攻撃を恐れていると、ガンマンのクリスが自分が埋葬してやると申し出て、やりとりを見ていたヴィンも賛同。墓地に入ると、案の定、反対勢力からの攻撃が始まるが、クリスとヴィンは鮮やかに撃退。ヒリイオは彼らの強さを目の当たりにして、村の窮状を話して協力を依頼する。同意したクリスは腕の立つガンマンを集めはじめるのだったが…というストーリー。

黒澤作品を無断でパクったのは『荒野の用心棒』のほうで、こっちではなかったね(本作は『七人の侍』が正式にライセンシーされた作品)。元があれだけ面白いんだから、プロットがそのままならつまらなくなるはずがない。あとは魅力的なキャラを配置すればいいだけ…のはずなんだけど、これがどうも…。

“七人”なんだから、そのキャラのバランスこそ最大の見せ所だと思うんだけど、キャラの描き分けのメリハリが薄いと思う。悪夢にうなされるシーンをさしこんでみたり、色々描き分けようという努力は見えるんだけど、七人の侍でいうところの三船敏郎が演じた菊千代当たる若者以外は似たり寄ったり。みんなただただダンディで差はない。
子供に好かれるキャラとかはまだマシな方で、強欲キャラも取ってつけたような感じだし、悪夢ガンマンも悪夢を見たつーだけで、なんだかよくわからんうちに死ぬだけだし。ナイフ投げに至っては、登場したときと死ぬ間際以外、ナイフ投げの能力は発揮しないし。あまり七人の意味がなくなっている。

名作西部劇という扱いがされることが多い本作だけど、ワタシ的には「そうかぁ?」って印象。
村の窮状を聞いて立ち上がり、仲間を集め始める流れまでは、まあ良しとしよう。でも、村に着くと、呑気な歓迎の踊りを延々見せられる。この村の緊迫感の無さよ。冒頭で敵の悪辣な態度こそ表現されているが、村人の敵への強い怒りの感情がいまいち薄くて、盛り上がらない。だから、この村を助けなければ!がんばれー!っていう思いもイマイチ湧いてこない。

で、肝心の敵も、人数や物量作戦だけで、それ以上の策を弄してこない。だから、ガンマン側が知恵を発揮して切る抜ける場面もないし、特殊能力が生かされる場面も少ない。
さらに、戦いの一番大きな展開が、村人の裏切りと言うのも、盛り上がりに欠ける。そのときも、7人は銃を取り上げられて解放されるだけ。ドンパチには至らず、丸腰で解放という、なんと情け深い無法者さんだこと(笑)。一時的とはいえ、そこでスゴスゴと村を出ていくのはいかがなものか。ここで荒ぶって次の遺恨を作ったりして、次の展開に繋げるのがマトモなシナリオというものではなかろうか。そのくせ、結局村に戻って、正面衝突というありきたりな流れに。芸がない。こういうポヤ~ンとした展開を見せられてしまうと、観客の心には「なんで、ガンマンたちは命を懸けて戦ってるんだ?」という根本的な疑問が生じてしまうだろう。

『七人の侍』と同様に、ユルブリンナーに「勝つのは農民だけ、俺たちはいつも負けだ」というセリフを吐かせるのだが、農民の狡猾さみたいなものが描かれていないのも、いかがなものかと。元ネタのセリフの意味判ってるか?って、問いただしたい気分に。

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image2198.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:165分
監 督:クエンティン・タランティーノ
出 演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ドン・ジョンソン、ジョナ・ヒル、ウォルトン・ゴギンズ、デニス・クリストファー、ローラ・カユーテ、M・C・ゲイニー、クーパー・ハッカビー、ドク・デュハム、ジェームズ・ルッソ、トム・ウォパット、ジェームズ・レマー、マイケル・パークス、フランコ・ネロ、ジョン・ジャラット、ニコール・ガリシア、アトー・エッサンドー、ドン・ストラウド、ラス・タンブリン、アンバー・タンブリン、ブルース・ダーン、クエンティン・タランティーノ、ゾーイ・ベル、マイケル・ボーウェン、ロバート・キャラダイン、テッド・ニーリー、ジェームズ・パークス、トム・サヴィーニ、サミ・ロティビ、レックス・リン、マイケル・バコール、ネッド・ベラミー、オマー・J・ドージー、エヴァン・パーク、リッチー・モンゴメリー、ジャロッド・バンチ、ジャマール・ダフ、トッド・アレン、ルイス・スミス 他
受 賞:【2012年/第85回アカデミー賞】助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)
【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ)、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)
【2012年/第66回英国アカデミー賞】助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)、オリジナル脚本賞(クエンティン・タランティーノ)
【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】オリジナル脚本賞(クエンティン・タランティーノ
【2012年/第22回MTVムービー・アワード】トンデモ・シーン賞(サミュエル・L・ジャクソン、ジェイミー・フォックス:ジャンゴによるスティーブンの処刑シーン)
コピー:これがワイルドだ。

南北戦争勃発前夜のアメリカ南部。賞金稼ぎのドイツ人歯科医キング・シュルツは、お尋ね者三兄弟の顔を知る黒人奴隷ジャンゴを見つけると、彼の鎖を解き放ち、三兄弟の追跡に繰り出す。その後、ジャンゴの腕を見込んだシュルツは、彼を賞金稼ぎの相棒にして2人で旅を続けることに。しかし、そんなジャンゴが真に目指す先は、奴隷市場で生き別れた最愛の妻ブルームヒルダのもと。やがて、彼女が極悪非道な農園領主カルビン・キャンディに売り飛ばされたことを突き止めたジャンゴとシュルツ。2人はキャンディに近づくため、ある周到な作戦を準備するのだが…。

165分となかなかの長作。でも、テンポの良い作品という印象はないのに、観終わった後、何故かその長さを感じない。「ああ、こんなに長かったんだ…」って感じ。タランティーノのシナリオが優秀すぎるんだと思う。ちょっと神が降りてきたレベルかも。
場面転換でダレそうなところなんだけど、音楽のチョイスが絶妙すぎて、別の街へ移動しているだけのシーンでも、いい気分に浸れるほど。
この選曲のセンスは、今の日本映画にはないなぁ。

クリストフ・ヴァルツが助演男優賞を数々受賞ているが、彼の演技もさることながら、Dr.シュルツというキャラクターの設定が非常によかったと思う。かなり割り切った守銭奴として登場するが、反面それ以外の思想面はフラットだといえる。人種差別なんか金の問題に比べれば、どうでもいい…って感じ。でも、ジャンゴという“人間らしい”黒人に出会うことで、自分の中にある何かに気付く(簡単に“自由”とかいいたくない)。別にシュルツが黒人奴隷問題に目覚めたってわけじゃなくて、ジャンゴという人間の魅力を素直に認め、さらに尊敬に似た感情を抱いていく。
最後の「我慢できなかった」という台詞。これが、彼の内面の変化をすべて表しているね。どうしてそこまでジャンゴに手を差し伸べ続けなければならないのか…と、鑑賞中は思ったのだが、たった一言で腑に落ちる。

一見、無駄とも思える会話の応酬に、耳を奪われるのは、あいかわらずのタランティーノ節。白覆面のくだりとか、もうどうでもいいのに、聞いちゃう。居酒屋で隣の席のおもろいおっさんの話に思わず耳を傾けてしまうアレだわ。

地主キャンディと奴隷頭スティーブンのコンビ。おそらく実際の大農園では往々にして存在したであろうこの構造。キャンディの狂気とお坊ちゃま性の共存具合をレオナルド・ディカプリオが見事に演じ(というかキャスティングが良い)、従属と支配というアンビバレントな要素が見事に混在している“悪魔”スティーブンをサミュエル・L・ジャクソンが演じている(こっちは、演じているというよりも、“化身”しているレベル)。「いいから、書斎にこい!」このささやき一つで、真の関係性が見えるってのがすごい。

無駄なおもしろおしゃべりと、こういう一発でキメる台詞の振幅がすごい。やっぱり、このシナリオすごいんだよ。

人種問題もそうだけど、女性の地位向上についてだって、最終的な敵は“味方サイド”にいる。いつまでたっても全然問題が解消されていない…っていう世の中の出来事の半分の原因はこれ。もう半分は、問題の対立構造で得をしているやつがいて、維持している。
復讐というテーマを前面に出して、こういう社会構造の影にも切りつけている。シナリオの多重性という意味でも優秀。『イングロリアス・バスターズ』でも人種差別を扱ったが、やっぱりナチスを出すとふわっとしちゃう。自国の歴史で且つ黒人奴隷問題という
#そう考えると、ある意味、本作も昨今のリンカーン物連発の流れっちゃあ流れではあるな。

主人公ジャンゴの話にならなくて申し訳ないが、闇雲な暴走者でもないし、知恵者ってわけものないが、確実に青白い復讐の炎を絶やすことが無い、冷静なリベンジャーとしてのジェイミー・フォックスの演技は良かった。格好よい。
#なんで、炭鉱送りからキャンディの屋敷に戻るとき、裸馬にしたのか意味不明だが、なんかのパロディだろうか(すまぬ、西部劇は詳しくない)。

『アメイジング・スパイダーマン』がTSUTAYAオンリーだったのは、まああの程度の出来なら許容範囲か…と思ったが、本作がTSUTAYAオンリーなのはいかがなものかう。もっと広く観てもらいたいレベルの作品。
#コピーが、超絶的にダサい。これ考えたヤツは、2年くらい昏睡状態になればいいのに。そう思うくらいダサい。

 

拍手[1回]

imageX0079.Png公開年:1988年  
公開国:アメリカ
時 間:107分  
監 督:クリストファー・ケイン
出 演:エミリオ・エステヴェス、キーファー・サザーランド、ルー・ダイアモンド・フィリップス、チャーリー・シーン、ケイシー・シマーシュコ、ジャック・パランス、テレンス・スタンプ、パトリック・ウェイン、コディ・パランス、ダーモット・マローニー、テリー・オクィン、ジェフリー・ブレイク、アリス・カーター、ブライアン・キース、トーマス・L・キャラウェイ、トム・クルーズ  他



1878年、ニューメキシコ州リンカーン郡。英国移民であるタンストールという男は牧場を経営し、身寄りの無い若者たちを、牧童兼自警団“ヤングガン”として雇ってた。自警団が必要な理由は、町で勢力を伸ばしているマーフィ一味が、タンストールの事業を潰そうと躍起になっているからだ。ある日、タンストールとヤングガンの一人であるドクが町を訪れたとき、数十人の男たちから追われる若者を助け、牧場に匿う。その若者の名はウィリアム・H・ボニー。タンストールはウィリアムを牧場で働かせることにし、ドク、スティーヴ、チャーリー、ブリュワー、チャヴェスたちと共にヤングガンと指導してく。始めは、古参のヤングガンたちと軋轢を生じていたが、徐々に立派なヤングガンへと成長してゆく。そんなある日、マーフィ一味の急襲でタンストールが惨殺されてしまう。タンストールの友人の弁護士マクスウィンが手を尽くし、ヤングガンたちを保安官代行として、復讐に大義名分を与える。しかし、ヤングガンたちは犯人逮捕の途中に、ビリーの勝手な判断でその一人を射殺してしまい、逆に賞金首として追われる立場になってしまい…というストーリー。

20歳そこそこの血気盛んな若者7人が、臨時保安官として敵討ちをするというワクワクのストーリー…のはずだったのだが、これから、ワクワクの悪人退治でスッキリさせてもらえるのかと思ったのに、逮捕しないで撃ち殺してしまって、逆に罪人扱いという展開。さらに、メインキャストと思しきチャーリー・シーンが早々にご退場。さすがにこのあたりから、アレ?と思い始める。
私は、本作がビリー・ザ・キッドの実話ベースのお話だということを知らずに観ていたのだ。実話なら死ぬべき人は死なないわけにはいかないし、おこるべき事件はおこさねばならない。たとえそれがストーリー的に、面白くない展開だとしても。

一番本作にノリきれないのは、エミリオ・エステヴェス演じるビリー・ザ・キッドことウィリアム。この主人公が極めてクソ人間で、まったく感情移入ができない。仲間の輪は乱すし、危険な方に導くし、仲間は罵倒するし、無闇にリーダーぶるし、いうほど銃の腕前がすばらしいわけでもないし、いいところなんか一つもない。
言い伝えられている彼の性格がそういうものなんだろうから仕方が無いが、そうならば彼を主役に据えないで、ストーリーの幹にしておいて、彼に翻弄されるほかのヤングガンのメンバーを主役えとして扱えばよかった。
しかし、ドクもチャベスも、キャクターは目立っているが、脇役の域を出ていない。ドクが愛する中国娘のくだりとか、チャベスのネイティブアメリカン設定が事実かどうか不明だが、こういうアクセントがなかったら、大勢力に少人数で立ち向かっただけのお話になっちゃったろう。

最期は、誰が見ても罠であることがありありの展開だし、玉砕でもないし、一発逆転の大勝利でもない中途半端なオチ。エピローグで生き残った者の顛末が語られるのだが、続編『ヤングガン2』があるとか。でも、案外、完全にアウトローとして振る舞い、追い詰められていく部分に焦点が当てられているのであれば、判りやすくおもしろいのかもしれない。いずれにせよ、本作は中途半端。何を観せたいのか、ぼんやりしている。
本作が愉しめるのは、ビリー・ザ・キッドの伝説を子供の頃になんらかの形で読むか聞くかした人だけ。

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image1881.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ゴア・ヴァービンスキー
出 演:ジョニー・デップ、アイラ・フィッシャー、アビゲイル・ブレスリン、アルフレッド・モリナ、ビル・ナイ、ハリー・ディーン・スタントン、レイ・ウィンストン、ティモシー・オリファント、イアン・アバークロンビー、ギル・バーミンガム、クローディア・ブラック、スティーヴン・ルート、ネッド・ビーティ、ブレイク・クラーク、リュー・テンプル、ジョー・ヌネズ、ジョン・コスラン・Jr 他
受 賞:【2011年/第84回アカデミー賞】長編アニメ賞
【2011年/第37回LA批評家協会賞】アニメーション賞
【2011年/第65回英国アカデミー賞】アニメーション賞(ゴア・ヴァービンスキー)
【2011年/第17回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:砂漠のワンダーランドへようこそ
きっと見つかる自分だけの色

人間にペットとしていて飼われていたカメレオンは、事故で飼い主の車から水槽ごと放り出されてしまう。その場所は、カラカラに干上がったモハーヴェ砂漠。命の危険に晒されながらも、途中で出合った牧場を切り盛りする女性マメータに連れられて、なんとか寂れた荒野の町“ダートタウン”にたどり着く。酒場に立ち寄ったカメレオンは、町の住人を前に自らをランゴと名乗り、嘘の武勇伝を語り始めると、そこに無法者のバッド・ビルが現れ決闘をするハメになる。しかし、そこにタカが急襲しビルは逃走。ランゴも逃げ廻るが、運よく給水塔を倒壊させてタカを殺すことに成功する。その活躍を認められ、ランゴは町長から保安官に任命されるのだが…というストーリー。

批判することに腰が引けるくらい、海外の評判がよい。まず、西部劇の面白さを知っているか否かで、印象は大きく別れるだろう。私はマカロニウエスタンを含め、西部劇に対する含蓄も思い入れもないので、前半のノリきれなさはハンパなかった。
水が枯渇している街という点では『チャイナタウン』の舞台設定も近いかも。

なぜカメレオンなのか。カメレオンの特徴といえば、周囲の色に溶け込むこと。本作のランゴがその能力を発揮することはないのだが、その能力がないことが、ストーリーにツボなのだろうか。それが生きているシーンはあったか?私には無かったように思える。そうなると、カメレオンという、かわいげがないどころか一般的には気持ちの悪い部類に入る動物を主人公に据えるメリットはなんだったのか。
その他のキャラクターも、ほとんどがかわいげがなくとっつきにくい。一応ヒロインであるマメータでさえも、“グレイ”ばりにかわいげが無い。別にアニメチックにしろといっているわけではないのだが、気持ち悪いのが一周廻って味になって…というとこまで到達していない。ティム・バートンもキャラも同様の気持ち悪さを持っているが、どことなしに可愛さを包含している。この差は大きい。この微妙な気持ち悪さはどうにかできなかったのか…と思う。

冒頭でアルマジロの腹がつぶれており、カメレオンと会話し続けるシーン。CGキャラクターがリアルなので、スラップスティック的なギャグとは受け止められず、純粋にスプラッタホラーである。そういうエグいノリの作品なのかと思ったのだが、そういうシーンはそれ以降出てこない。ノリを統一しろよ…と。
爬虫類と齧歯目が共存していて、猛禽類が圧倒的な天敵なのは需要できるが、狐やクモが同サイズで並存するのもいかがなものか。

そんなこんなで、カメレオンが保安官になるまで40分。
単なるペットだったカメレオンが、突然、無頼を気取る。元々、彼はそういう姿に憧れていたのか、それともせざるを得なくなったのか。酒場で突然ウソの武勇伝を語り始めるところの心境の変化とか、イマイチピンとこなくて共感しにくい。

とはいえ、美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れるというが、かわいげのないキャラクターにも徐々に慣れはじめる。そして、街の仲間と一緒に水泥棒を捜索に行くあたりがら、ストーリーが転がりはじめ、脇のキャラも勝手に動きはじめる。ここからは普通に愉しめた。
まあ、上質な大人向けのアニメ。そして純粋な西部劇。
#水を求めて動くサボテンはまあいいだろう。でも、なんで合図で動き始めるんだ?そんなに聞き分けがいいのか?

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image1797.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出 演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド、ブルース・グリーン、デイキン・マシューズ、ジャーラス・コンロイ、ポール・レイ、ドーナル・グリーソン、エリザベス・マーヴェル、レオン・ラッサム 他
受 賞:【2010年/第45回全米批評家協会賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2010年/第64回英国アカデミー賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】若手俳優賞(ヘイリー・スタインフェルド)
コピー:天罰なんか待ってられない

トム・チェイニーという男に父親が殺されたという知らせを受けた娘のマティは、自ら遺体を引き取りに町に行き、父の仇を討つことを誓う。チェイニーが先住民居留地に逃げ込んだことをしったマティは、遺された品を売り払って作った金で、大酒飲みのベテラン保安官コグバーンに犯人追跡を依頼する。はじめは子ども扱いしていたコグバーンだったが、マティの執念に負けて引き受けることに。さらに、別件でチェイニーを追っていたテキサス・レンジャーのビーフも加わり3人の旅が始まる。やがてチェイニーが、お尋ね者ラッキー・ネッド一味と一緒にいることを知り…というストーリー。

コーエン兄弟が、原作あり作品を手掛けるのって『ノーカントリー』以来かな(『オー・ブラザー!』のホメロスは原作ってよりは原案みたいなもんだし、『レディ・キラーズ』はオリジナル脚本はある)。小説原作は『ノーカントリー』と本作くらいだろう。ほとんどがオリジナル脚本で、小説をチョイスした『ノーカントリー』がとてつもない良いデキだったことを考えると、本作も!と期待するのが当然だろう。
その期待が高すぎたのかな。そこまで満足できる結果ではなかった。

生意気でしみったれた小娘が、やたらと法律や弁護士を持ち出し、荒くれ男どもを口八丁手八丁で動かして、父親の復讐を果たしていく…という点が、この話しのおもしろい部分だと思うが、マティがその面白さを発揮するのが半分くらいまで。

中盤以降は、コーエン兄弟のいつもの通りではあるのだが、別のユニークなサブキャラにもスポットがあたっていく。いや、それはコーエン兄弟的には平常運転なのだが、やはりこのストーリーの面白みはマティの行動と心の動きにあるので、そういうつもりで観始めていると、主役の輝きが失せたようにも感じるし、ストーリーの軸がぶれたようにも感じる。

モメる酔っ払い保安官と地元ラブのレンジャーとその仲介役という3人のおもしろさ、それを見せる方向にシフトしなければいけなかったと思うのだが、その移譲がうまくいっていない。動機はちょっと違うけれど、同じ男を追っているという、楽しさと危うさが共存する旅がうまく描ければよかったのに。
最後のほうで再び思い出したようにマティにスポットを当て始めるのだが、時すでに遅しの感が。

西部劇の雰囲気はものすごく良いし、ボロクソに非難されるほどおもしろくないわけではないのだが、なにかコーエン兄弟独特の“毒”がない。もしかして、コーエン兄弟は、子供を主人公にするのは苦手なのかもしれないな。

ちょっと残念でもったいない気がした。上記した受賞以上にたくさんノミネートされている(アカデミー賞なんかは10部門もノミネートされている)。だけど、そんなに打率は高くなかった。同じように感じた人が多かったのかもしれない。

あくまで私の期待値が高すぎただけだから。安心して観てちょうだい。間違いなく及第点は超えてるから。





負けるな日本 

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image0020.png公開年:1969年 
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ジョージ・ロイ・ヒル
出 演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ストローザー・マーティン、ジェフ・コーリー、ジョージ・ファース、クロリス・リーチマン、ドネリー・ローズ、ケネス・マース、ヘンリー・ジョーンズ 他
受 賞:【1969年/第42回アカデミー賞】脚本賞(ウィリアム・ゴールドマン)、撮影賞(コンラッド・L・ホール)、作曲賞(バート・バカラック)、歌曲賞(バート・バカラック:作曲、ハル・デヴィッド:作詞/『雨にぬれても』 Raindrops Keep Fallin'on My Head)
【1969年/第27回ゴールデン・グローブ】音楽賞(バート・バカラック)
【1970年/第24回英国アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン)、主演女優賞(キャサリン・ロス)、監督賞(ジョージ・ロイ・ヒル)、脚本賞(ウィリアム・ゴールドマン)、作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](バート・バカラック)、撮影賞(コンラッド・L・ホール)、編集賞、音響賞
【2003年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー:史上名高い列車銀行強盗ブッチとサンダンス! 鮮烈に生きた無法者の明日を知らない決闘のさすらい!
新しい時代の新しい西部劇! 鮮やかなテクニックで現代によみがえったこの3人の壮烈な青春!

アメリカ西部。ブッチとサンダンス一味は数々の銀行強盗や列車強盗を繰り返し、お尋ね者となる。鉄道会社は全国から最強の刺客を集め、彼らの追撃を開始。命からがら逃げのびたものの、仲間は殺されブッチとサンダンスの二人だけに。追撃の手は緩むことなく、逃げ切ることが困難と考えた彼らは、サンダンスの恋人エッタとともに南米ボリビアへと逃亡するが…というストーリー。

前半は、若さと疾走感がたっぷりで、犯罪者のお話ながら青春映画のようなさわやかさすら漂う。しかしボリビアに行ってからは、中年の悲哀のようなものを感じるように。だって、状況の変化に合わせて自分の生き方を変えることができない、つぶしのきかないおっさんみたいなんだもの。観ていてせつなさを感じるとともに、中年に差し掛かる男性ならだれしも経験するプロセスだと思うので、共感できる人が多いのではなかろうか。

じゃあ、夢もロマンもないのか?というと、そうではなくて、二人は徐々に追い詰められていくのだが、なぜか追い詰められれば追い詰められるほど、輝きが戻ってくる。自分達がまっとうな生き方に方向転換できないことをドシっと実感してしまったからなのか、この方が自分らしいと思ったのか、もうダメなのは薄々わかってるのに腹をくくった感じが実に心地よい。

私は“ニューシネマ”というのが具体的に何を指すのかよくわかっていない。しかし、ニューシネマの代表とされる本作を観る限り、道徳や条理や勧善懲悪などから反するような内容でも、予定調和することなくそのままの流れで表現すること…と理解した。だとすると、それは、俳句や和歌などで空気感を愉しむことに似ていると思う。ニューシネマとはわびさび也。この空気感を感じられた人はおもしろいと思うし、そうでない人は映画の体すら成していないように見えるだろう。そのくらい評価が分かれる作品だと思う。

技術的には、写真などの静止ショットが多用されているのが印象的。特に、ラストシーンは映画史に輝く有名なシーンだけど、本当にオシャレだと思う。傷ついた二人が、覚悟して飛び出していくところで画像停止。停止したところからシームレスに引きの映像に。でも、これははどういうテクニックをつかっているのかな。色々考えたけど私にはわからない。誰か教えてほしい。地味に難しいと思うんだけど。

邦題のセンスが冴え渡っているし、画質もストーリー運びも40年以上も前の作品とは思えない。古さを感じさせないという点では、今まで観たどんな作品よりも、間違いなく長けている。古典を見るつもりで鑑賞しはじめたが、どうしてどうして。今となっては未見の人も多いだろうが、とても愉しめたのでお薦めしたい。

#ブッチはモルモン教だったらしいのだが、本作ではビール飲んでましたな。

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image1602.png公開年:1964年 
公開国:イタリア
時 間:100分
監 督:ポセルジオ・レオーネ(ボブ・ロバートソン)
出 演:クリント・イーストウッド、ジャン・マリア・ヴォロンテ、マリアンネ・コッホ、ヨゼフ・エッガー、マルガリータ・ロサーノ 他





ニューメキシコの小さな町のジョーという男が立ち寄る。その町では、無法者のロホ兄弟と保安官のバクスター家がおり、その対立により無法地帯と化していた。ジョーは、自分の早撃ちの能力を両陣営に売り込み始めるのだが…というストーリー。

この両陣営を巧み煽っていくっていうプロットはイソップ童話に匹敵するほどの、秀逸な寓話だと思うんだけど、その面白い要素は、元祖『用心棒』のほうが生きていると思う。
その一方、乾いた空気が漂う西部劇のほうが雰囲気的にはマッチしている。たしかに『用心棒』のパクりなんだけど、日本の時代劇よりも、本作のほうがしっくりくることは認める。本作は、格好よさと渋さで、話の醍醐味が表現しきれていない部分を補っている感じだ。

どっちの要素を重要視するかで好みは別れるところなんだろうけど、私は黒澤作品のほうが断然いいかな。クリント・イーストウッドのシブさよりも、桑畑三十郎のどこか飄々とした感じが好きなのよね。
それに、私が小さいモニタで観ているから悪いのかもしれないけど、悪役キャラの判別がつかないところが多い。字幕を追いながらだったせいか、混乱してしまって没頭できなかったな(特に夜間は)。4・5回戻して観たし。
世の評価が高いのは知っているが、個人的には良作の域まで届くか届かないかの線。おそらく吹き替えで観たら、かなりグっときたに違いない。山田康雄の吹き替え版で観たいところだが、私がレンタルしたのはスペシャル・エディションDVDじゃなかったのね。残念。

パクリだし、確かに話の筋も同じであることは間違いないんだけど、なんかまったく別モノとしか思えないっていう、不思議な作品である。マカロニウエスタンが流行る発端となった作品らしいけれど、その勢いは確かに感じられる作品。

#なんか、泣くガキのシーンにイラっときてしまったのだが、もしかして私、心が汚れているのかしら…。

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クボタカユキ
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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