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公開年:1990年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、チャーリー・シーン、ラウル・ジュリア、ソニア・ブラガ、ララ・フリン・ボイル、トム・スケリット、ペペ・セルナ、マルコ・ロドリゲス、ピート・ランドール、ドナ・ミッチェル、ザンダー・バークレイ、トニー・プラナ、デヴィッド・シェリル、ハル・ウィリアムズ、ロイド・ネルソン、ジョエル・ポリス、ポール・ベン=ヴィクター、ロバータ・ヴァスケス 他
コピー:とんでもない奴とパートナーになってしまった…。


強引な捜査でおなじみのロス市警のベテラン刑事ニック・パロヴスキーは、高級車ばかりを狙う窃盗団を捜査していた。そんな彼は、新人警官デイヴィッド・アッカーマンはとのコンビを命じられる。デイヴィッドは上流階級生まれだったが、子供の頃に弟をビルの屋上から転落死させてしまい、その罪の意識に苛まされ続け、自分を痛めつけるように自分を厳しい環境に追いやり、父に反発して警官の道に進んだのだ。窃盗団のボスとして浮かび上がったのは、ストロムという男。しかし、捜査をすすめようとしても、経験不足のデイヴィッドは、ことごとくニックの足を引っ張り続ける。そんなデイヴィッドに捜査のイロハを教え込むニック。そんな中、ストロムは資金繰りに困窮し、カジノ強盗をして金を調達し、そのまま国外逃亡をしようと画策していた。その動きを察知した二人だったが…というストーリー。

いまでこそ、チャーリー・シーンといえばトンデモ人間の代名詞だけど、当時はそんなことはなかったはず。そんな彼が『ダーティ・ハリー』のクリント・イーストウッドが監督でダブル主演のバディ物ときたもんだ。そりゃあ期待しちゃう。でも、なんかショボいんだなぁ、これが。

証拠の保全という概念がすらない刑事。そりゃあむちゃくちゃな話になっちゃう。でも無意味に痛快なのは間違いない。映画なんてのはこの程度のノリでいい。おまけに悪役だって、たかだか高級車窃盗団のボスという小物である。期待しすぎてはいけないし、実際、期待させるような導入部でもない。

会話の小ネタや、変態チックな性描写シーンとかがちょくちょくはさまれているのだが、観終わって考えると、クリント・イーストウッドは“半コメディ”みたいな作品を作りたかったんだと思う。だから、ストーリーもちょっとマヌケな臭いが漂う展開になっている。
でも、クリント・イーストウッド演じるロートル刑事ががつかまって人質になって、おまけに敵の女キャラに好き放題になれちゃうのだが、この役がまったくクリント・イーストウッドに似合ってなさすぎて、ちょっと興ざめしてしまう。
クリント・イーストウッドらしい、笑いのはさみ方…って擁護してあげたいんだけど、やっぱりつまらない。

逆にキャラにばっちりマッチしているチャーリー・シーンなのだが、こっちは、キャラの行動がクレイジーすぎて興ざめ。本当に意味不明な無頼っぷりで、ヒいてしまうほど。後は闇雲に突撃するだけ…という展開なのに、わざわざ親に金の無心したりする。これが、実に意味不明。“俺が金を出させたんだ!”って威張ったところで、ニックと友情が目覚めるわけはないだろう。ストーリー上、意味あるのだろうか? 馬鹿げたシナリオだと思うし、キャラ設定の練りもあまいと思う。
最後だって、逮捕するでもなく、ただ殺すだけ。中途半端なハジケっぷり。

凡作と駄作の間を行ったり来たり転んだりしてる作品。
#暗いシーンばかりで観にくいのも難点。

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公開年:1984年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:リチャード・ベンジャミン
出 演:クリント・イーストウッド、バート・レイノルズ、ジェーン・アレクサンダー、アイリーン・キャラ、マデリーン・カーン、リップ・トーン、リチャード・ラウンドトゥリー、トニー・ロー・ビアンコ、ウィリアム・サンダーソン、ロバート・ダヴィ、アート・ラフルー、ニコラス・ワース、ジュード・ファレス、ジョン・ハンコック 他




1933年、カンザスシティ。クールで有能なスピア警部と、女に目がない私立探偵マーフィーは、警察時代の同期だった。しかし、今ではことある事にいがみ合う仲。そんなある日、マーフィーの相棒のスウィフトが、暗黒街の大物レオン・コルの隠し帳簿を手に入れる。それを対抗勢力であるプリモ・ピットに売り、同時にレオンからも金をせしめようと計画を立てる。しかし、ほどなくその計画は両陣営が知ることとなる。帳簿が公開されればレオンの失脚は必至、プリモもレオン一派の弱体化を狙っっており、帳簿争奪が勃発。その末、スウィフトが殺されてしまう。しかし、隠し帳簿はスウィフトの元になかったため、スウィフト恋人時ジニーや、マーフィー、秘書のアディ、マーフィーの恋人キャロラインにまでマフィアたちの魔の手が及んでくる。そんな様子を横目で見ながら、スピア警部は暗黒街を壊滅させようと考え…というストーリー。

禁酒法時代近辺ってアメリカ人は好きだよね。日本人が大正時代に感じるノスタルジーみたいなものがあるのかな。

クリント・イーストウッドとバート・レイノルズのよる渋くて軽妙でおしゃれな作品になるのかと思いきや、『ディック・トレイシー』レベルのわちゃわちゃした作品だった。先日観た『目撃』と同様、クリント・イーストウッドにはいまいち不似合いかも。こういう根っからのシリアスキャラは、笑わせるんじゃなくて笑われるくらいの扱いがちょうどいいのだが。まあ、クリント・イーストウッドが悪いんじゃなく、監督が悪いのだが…。

一方のバート・レイノルズ演じるマーフィーがメインで、クリント・イーストウッドは脇に廻っている感じ。女ったらしキャラなのだが、愛すべきキュートなダメ人間って感じに描けていない。本当にただ女にだらしないだけに見えて、いまいち応援したい気持ちにならないのも難点か。

一応、バディ物といえるのだろうが、バディ物になりきれていないのが残念。
かつて同僚だったことはわかるのだが、かれらが仲違いするに至った経緯がフワっとしてるし、表面は仲違いしているけど奥底では友情で結ばれている…っていう感じもない。そういうディテールをうまく表現できていないから、二流作品止まりなんだろう。

抗争の展開もありがちで、追い詰められても危機感が薄いし、解決しても爽快感が薄い。薄味で平凡な作品だった。

#ももクロのovertureみたいな雰囲気のBGMが入る。

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公開年:1990年
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:ウォーレン・ベイティ
出 演:ウォーレン・ベイティ、マドンナ、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ、グレン・ヘドリー  、ウィリアム・フォーサイス、エド・オロス、エステル・パーソンズ、ミシェル・ジョンソン、メアリー・ウォロノフ、R・G・アームストロング、シーモア・カッセル、ヘンリー・ジョーンズ、ポール・ソルヴィノ、ビング・ラッセル、ジェームズ・キーン 他
受 賞:【1990年/第63回アカデミー賞】主題歌賞(スティーヴン・ソンドハイム、作詞・作曲 Sooner or Later“I Always Get My Man”)、美術[監督]賞(Richard  Sylbert)、美術[装置]賞(Rick Simpson)、メイクアップ賞(John Caglione,Jr.、Doug Drexler)
【1990年/第44回英国アカデミー賞】プロダクションデザイン賞、メイクアップ賞
コピー:これが今世紀最大のムービー・エンターテインメントだ!! 悪がはびこる犯罪都市に 心優しきタフな刑事と みなしごキッドが立ちあがる。

1930年代の大都会。街はギャングの親玉ビッグ・ボーイ・キャプリスに牛耳られていたが、正義を守る男ディック・トレイシー刑事は、呼び出し無線を腕に彼らに立ち向かっていた。そんな中、キャプリスは、クラブ・リッツの歌姫ブレスレス・マホニーを手に入れるため、オーナーのリップスを殺害する。リップス殺害事件の捜査を進めるトレイシーは、リップスの愛人だったブレスレスに証言を求めるが、彼女が証言する代わりに求める条件はトレイシーの愛。テス・トゥルーハートという最愛の女性がいるトレイシーが困惑する中、キャプリス一派の襲撃が彼を襲う。相棒キッドの機転で絶体絶命の危機を逃れたトレイシーは、キャプリスのアジトに盗聴器を仕掛けて、彼らの取引を妨害する作戦に出るのだったが…というストーリー。

コミックの美術表現を映像でやってみようという、80年代から90年代にかけてのアメリカ映画でしばしば見られたアプローチ作品の一つ。俯瞰の街並みの雰囲気とか、ハッとさせられるような、ビビッドな映像が多くて、その点では成功していると思う。

ただ根本的に、主人公は、黄色いトレンチコートを着ている刑事のおっさんで、ヒロイックさに欠ける。特段アメコミに詳しいわけではないが、人並み以上にキャラクターくらいは押さえているつもりの私でも、知らん。このコミックを知っている人なら、脳内で思い出補正が働いて楽しめるのかもしれないけど。そんなレベル。

盗聴で一旦は成功するものの、盗聴器が仕掛けられているのがバレで逆手に取られるパターンは、アメリカのギャングものではお約束なのかな。この前『L.A.ギャング ストーリー』で観たばかり。ちょっとこのパターンは食傷ぎみ。というか、盗聴して裏をかくという手法が切り札っていうのが、根本的にヒーローらしくない。

地味に、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、キャシー・ベイツというとてつもない共演が観られる作品なんだけど、メイクでいまいち伝わってこないという(アル・パチーノは、時間が経過するにつれてメイクしてる意味ないんじゃない?ってくらい素がでちゃうけど)。

大筋のストーリーはオーソドックスなのだが、コミックの複数のエピソードを集約しているのか、展開の移り変わりがけっこうごちゃごちゃしている。
攻防も小ネタの連続だし、大きなストーリーの流れにダイナミズムが感じられないのも難点か。一番の大物のはずのキャプリスが、誘拐罪を着せられる!といって逃げ回る展開が、スケールが小さすぎて…。敵が弱ければそのカウンターバランスとしてヒーロー側も小粒になるという悪例だよね。
 "顔無し”がマドンナなのが、丸わかりすぎるのだけは、どうにかしてほしかった。何とか裏をかいて、彼女だと思った?残念~って感じでスカして欲しかったのだが。見事な凡作。

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image2163.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ジョン・ムーア
出 演:ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー、セバスチャン・コッホ、ラシャ・ブコヴィッチ、コール・ハウザー、ユーリヤ・スニギル 他
コピー:運の悪さは、遺伝する。





ニューヨーク市警のジョン・マクレーン刑事は、長らく疎遠だったひとり息子ジャックが、ロシアで収監されていることを知る。ジャックを救うために、モスクワへ旅立つマクレーン。ジャックが出廷する裁判所へ赴くと、突然爆破。その混乱のなか二人は久々に再会する。しかし、ジャックはマクレーンを突き放し、車で逃走。その車を謎の武装集団が追走。ジャックが何かに巻き込まれていると察知したマクレーンは、現場にあった車を奪い追跡。壮絶なカーチェースの末、武装集団を撃破し、ジャックと合流。その後、ジャックの隠れ家に到着すると、マクレーンは、思いもよらぬ事実を知らされることに…というストーリー。

もう、冒頭のモスクワでのカーチェイスから、油断すると対立構図がよくわからなくなる。そんなことはないだろう!とツッコム人はいるだろうが、目がスベるというかなんというか、観客を集中させるだけの画の力がない。へたくそな文章を読んだときに、内容が頭に入ってこないことがあるでしょ。あれと一緒。
絵コンテレベルですでに魅力がないんだと思う。アップ多用なのは仕方が無いが、進行方向が、画面の左右上下とパタパタ変わるから、スピード感が殺がれているし、誰がどの車に乗ってるのか混乱してしまう、わざと判りにくく作っているとしか思えない。
全般的に妙に青みがかった画質なのもいかがなものかと思う。よく、街灯の色を青くすると冷静になって犯罪が減るっていうハナシがあるでしょ。ダイ・ハードなのに、観客を冷静にさせてどうするのかと…。

(以下、ネタバレあり)

一応、最後は、チェルノブイリ発電所という建物の中で、バトルが繰り広げられるのだが、それまでは、閉鎖空間でも特異な仕掛けもないただの犯罪組織との攻防で、ダイ・ハードらしさは微塵もない。息子に付き合ってるだけで、全然追い詰められていない。ブチギレ!⇒もう、むちゃくちゃヤッタレ!!っていうのがない。息子の手前なのか、親として冷静。追い詰められていないダイ・ハードなんて、ダイ・ハードといえるかな。

敵が二陣営いて(というか二重で)わかりにくいのだが、まず、劣化ウランを横流ししていた件については、チェルノブイリで調達するという危険を冒すよりも、楽に入手できる手段が他にもあるだろう。さらに、現在、石棺状態なのに、そこからウランを取るなんて不可能だと思う。
チェルノブイリの今がこんな感じ?っていう点も、いささか取材不足な気がするのだが、それ以上に、「化合物274 それで放射能を中和できる!(キリッ)」は?バカにしてんのか? さらに、「このウランは安定だから安心よ」って、そうじゃなきゃ、臨界状態になって吹っ飛んでるだろうから、そりゃそうだろうさ。
まあ、保管してるウランがあるってのはフィクションだからいいとしても、「ウラン235、兵器用ウランだ!(ドヤァ)」兵器用と発電用と、どう違うっちゅうねん。
もうちょっと勉強したほうがいい。日本人って原発や放射線の知識ないな…と思ってたけど、アメリカ人ってその比じゃないな。若者たちよ、本当に中学・高校の勉強は大事だよ。

アメリカは今、敵にする相手を失ってしまったんだろうね。ナチスも日本もロシアも敵じゃなくなった、テロ組織も宇宙人もマンネリ。じゃあ、怪獣だ…そんな感じ。で、本作に至っては、いまさらチェルノブイリときたもんだ。

チェルノブイリに行ってからは、戦闘シーンでも、あまりにも説得力に欠けるシーンのオンパレード。
「強行突破だ!」って、高い階の窓を突き破ってダイブするんだけど、足場があるかどうか確認しないで突っ込めるわけがない。
いくらなんでも、チェルノブイリのさぞや頑丈につくられているであろうビルの窓枠(窓じゃないからね)に高速で激突しブチ壊し、生きているだけでなく、すぐに歩き始めるなんてありえないわけで、興醒めする。過去のダイ・ハードにあった、“わぁ…痛そう”ってのが皆無である。

一番、興醒めしたのは、チャガーリンがコマロフの送り込んだマッサージ師に殺されるところ。マッサージ師として、接近させることができるくらいなら、なんでもできるんじゃね?(笑)

あと、“ラスト”を謳うのなら、ホリー(母ちゃん)を出さないとダメ。それだけで作品は失敗。別の役者でもCGでも、バックショットでも影でもいいから、出さないとダメ。

晩節を汚すとはこのことか。まさか、ダイハードでこれを言うことになろうとは夢に思わなかったが、これは失敗作。
#マクレーン親子の声優の声質が一緒で聞き取りにくい。根本的に、ジョンの吹き替えの人がへたくそ。「勘弁してくれー(棒)」。

 

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image2159.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:ロブ・コーエン
出 演:タイラー・ペリー、マシュー・フォックス、エドワード・バーンズ、レイチェル・ニコルズ、シシリー・タイソン、カーメン・イジョゴ、ジャンカルロ・エスポジート、ジョン・C・マッギンレー、ステファニー・ジェイコブセン、ヴェルナー・ダーエン、ジャン・レノ、ボニー・ベントレー 他
ノミネート:【2012年/第33回ラジー賞】ワースト主演男優賞(タイラー・ペリー:女装じゃないほうで『Tyler Perry's Good Deeds』に対しても)



ワシントン警察の刑事アレックス・クロスは、心理学学士のキャリアを生かすために、FBIへの転属を考えている。そんな中、被害女性の指が全て切り落とされるという猟奇殺人事件が発生。特殊な薬物によって意識を残しながら肉体だけを動かなくした上での犯行とみられた。アレックスは、現場に残されたヒントから、フランス人資産家メルシエが次のターゲットになっていることに気づき、彼の警護に向かう。さらに、アレックスは持ち前のプロファイリング能力で、犯人の実像に迫っていくが、そのせいで彼の家族にも危険が迫り…というストーリー。

アレックス・クロス刑事シリーズという小説があって、モーガン・フリーマンの『コレクター』『スパイダー』がそのシリーズらしいが、本作を観ても、微塵の繋がりも感じられない。
はじめに言ってしまうが、パっとしない内容。パっとしない点を挙げればキリがない。人気原作に胡坐をかいてしまったのかもしれないが、それにしても…である。

タイラー・ペリー演じる主人公はもっさりしたイメージでアクションは期待できない。役柄的にも心理学学士のキャリアを生かすためにFBIに移籍しようとしている男なので、もっさりしていてもいいのだが、その割には展開されるプロファイリングとやらが素人レベル。現場写真の件だって所詮パズルであって心理学とは無関係。そして中途半端にフィジカルを使いたがる。

一応、バディ物なんだけど、相棒のトミーのキャラが全然立っていない。幼稚園の頃からの幼馴染ということなので、もうちょっと色のついたキャラでよいと思うのだが、ただの凡庸な捜査官でしかない。心が通じ合っている故の何か…みたいな展開もない。
(以下ネタバレ)
ストーリー展開はかなりエグくて、アレックスの妻も、トミーの恋人(同僚)も犯人に殺されてしまう。普通は近しいものが犯人になってしまうと捜査から外されるのが普通だが、そうはならない。その点はご愛嬌だとしても、愛するものを殺された二人が、荒れ狂ったように強引な捜査をするのかと思いきや、結構冷静で全然“バーニング”してくれない(笑)。

アレックスの心理学士という設定も足枷になっており、その持ち味を出そうとすれば、冷静にならざるを得ない。じゃあ、相棒トミーが暴れるのか?といえば、彼は別に特別な能力や胆力があるわけじゃないので、目だったことはしない。
心理学的なアプローチのつもりだろうが、“電車だ!”とか心理学には全然関係なくて、もうここまでくるとその設定は無用なんじゃじゃないかとすら思えてくる。

で、心理戦では盛り上がらなかったので、サリバンとの直接対決でアクションを!となるわけでが、そっちも中途半端。闇とはいえプロの格闘技イベントに飛び入りして、何階級も上の選手に勝っちゃう犯人が、もっさり警官と五分に渡り合える展開が不自然。せめて、そこそこの格闘技の経験があるとか、知恵をつかった戦闘をさせるとか、色々工夫のしようはあっただろうに。

で、とってつけたようなビッグネームのジャン・レノを黒幕にして、強引にオチをつけるのだが、州警察なのか市警察なのかしらないけど何でおまえらごときがタイ警察と連携できるのかと…。FBIから熱烈に引き抜きがあったが断っていて、協力してくれたら移籍しますわ…と協力させる…とか、いろいろ整合性は取れるでしょ。

そして、最後の相棒。「おれもFBIにチャレンジしてみるよ…」。知らんがな。まあ、素人同然の脚本ですわ。

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image2046.png公開年:2007年
公開国:イギリス、フランス
時 間:120分
監 督:エドガー・ライト
出 演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント、パディ・コンシダイン、ティモシー・ダルトン、ビル・ナイ、ビリー・ホワイトロー、エドワード・ウッドワード、ビル・ベイリー、デヴィッド・ブラッドリー、ケヴィン・エルドン、レイフ・スポール、カール・ジョンソン、オリヴィア・コールマン、ケン・クラナム、ピーター・ワイト、アン・リード、ジュリア・ディーキン、パトリシア・フランクリン、ポール・フリーマン、スチュアート・ウィルソン、アダム・バクストン、ロン・クック、マーティン・フリーマン、ルーシー・パンチ、デヴィッド・スレルフォール、スティーヴン・マーチャント、スティーヴ・クーガン、ケイト・ブランシェット、ピーター・ジャクソン 他
コピー:呼ばれてないけど、参上。

ロンドンの警官・ニコラス・エンジェルは、検挙率№1で9回も表彰されたほどの優秀な巡査。しかし、その優秀すぎる能力のせいで、組織内で疎まれ、地方の村サンドフォードに左遷されてしまう。サンドフォードは、イギリスで一番安全といわれる村で、事件らしい事件はおこらない。エンジェルは、軽微な事件を見つけては、片っ端から逮捕していくが、警察署長や町の自警組織は、強く罰することばかりが社会維持の最良作ではないとして、すべて温情処理してしまう。そして、彼に残された仕事は、地域の集会の警備などの閑職で、まったく馴染めないまま。おまけに、警察署長の息子・若手警官ダニーとコンビを組まされることに。トロくて能天気で警官映画オタクな彼と、エンジェルは噛み合わず、完全に嫌気がさしてしまうのだった。そんなある日、村を訪れた役者と、彼と付き合っていたと思われる村の女性が無残な死に方をする事件が発生。その後も、次々と不審死が続くが、村人たちは事故だといって心配する様子もない。絶対に殺人事件だと確信するエンジェルは、ダニーと共に捜査を始め…というストーリー。

冒頭のチョケっぷりで、イギリス映画でありがちな寒いお笑い作品か?とかなりゲンナリ。着任してからも、低レベルのお笑いネタが重ねられ続け、何も感じていなかったのだが、サンドフォードの住人が、わざとらしい笑いを連発してくるあたりで、「ありゃ、こりゃ何か違うぞ?」と気づき始める。
コメディ映画としておかしな村人を登場させている…という演出ではない。とある理由があって、村人がおかしな人を演じているという“実際の状況”を描いているのだ。
それに気づいた直後、作品全体が得体の知れないサスペンス臭で満ち溢れる。この空気が作れてしまったら、その後、どれだけつまらないギャグや、わざとらしい伏線を配置しようとも、「もしかしてミスリードか?」「何かのひっかけか?」と深読みしてしまう。
同僚の警官たちは、イギリス人=不細工という風評を逆手にとって、実際に不細工なイギリス人の代表みたいなのばかり集めているのだが、これすら、なにかの伏線か?と思うほどだ。

これを計算してやってたとすると、スゴイことだな…と思ってたら、監督・脚本は『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエドガー・ライトとサイモン・ペッグじゃないか。いや、これ、偶然じゃなく明確な演出なんだな。スゴイ。
途中、『クリムゾン・リバー2』や『ミレニアム2』を彷彿とさせるシーンや、「『わらの犬』にエキストラで出ていた」なんていう台詞があり、相変わらずの映画オタクっぷり。

で、終盤は、目が覚めるほどのアクションに転じ、これがまたまた、見事なハジケっぷり。『ショーン・オブ・ザ・デッド』の二番煎じと言えなくもないが、ニック・フロストがまたもや、ほろりとさせるいい役を演じている。
小気味良い作品。お薦め。

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imageX0078.Png公開年:1975年  
公開国:アメリカ
時 間:119分  
監 督:ジョン・フランケンハイマー
出 演:ジーン・ハックマン、フェルナンド・レイ、ベルナール・フレッソン、ジャン=ピエール・カスタルディ、キャスリーン・ネスビット、フィリップ・レオタール、シャルル・ミロ、エド・ローター、アンドレ・ペンヴルン  他
ノミネート:【1975年/第29回英国アカデミー賞】主演男優賞(ジーン・ハックマン)
コピー:前作パート1を巨大な予告篇として(ドラマ)は遂にクライマックスへ突入! 刑事ポパイ、マルセイユへ!

ニューヨークで取り逃がしてしまった麻薬王シャルニエを追って、ドイル刑事はマルセイユに行く。“フレンチ・コネクション”と呼ばれる麻薬ルートを解明するために、マルセイユ警察のバルテルミー警部と協力して捜査にあたるはずだったが、バルテルミーのドイルの扱いは冷たく、捜査協力とはほど遠い状態。さらに、痺れを切らしたドイルが、指示を無視して行動すると、すべてが裏目に出てしまい、ますますマルセイユ警察からの信頼は薄れていくのだった。そんな中、シャルニエが街中でドイルを発見してしまい、自分の側まで捜査が及んできていることを察知してしまう。そこで、ドイルを拉致監禁し、麻薬中毒にして情報を聞き出そうとするのだが…というストーリー。

前作の完全な続編(というか解決編)。前作は、本当にこれアカデミー作品賞なの?って思ったくらいピンとこなかったのだが、やっぱり次作もいまいちだった。私には合わないんだと思う。

地元警察とうまくいかないってくだりからスタートするなら、その後だんだん絆が生まれるバディ物にするってのが、私のセンスなのだが、すごく中途半端。
まず、薬を打たれて回復するまでのくだりが、そんなに長い必要があるだろうか。観終わってから振り返ると、実はこのくだりが一番の見所だったりする。でも、それを通して、これまでこじれ気味だった現地のバルテルミー刑事との関係がよくなるというわけでもなく、話の転換ポイントとして有効に機能していない。
薬で朦朧となっているときに、ドイルの腕時計を奪っていくババァ。普通は、あの時計で足が付くとか、そういう展開になるのが普通だと思うのだが、ただ盗んだだけ。もし、時間を判らなくする必要があるんなら、薬を打つときにチンピラにはずさせればいいだけ。

ドイルの特徴が“しつこい”というのはわかるが、いくら、監禁場所を発見したからといって、放火するのは、ダメだろう。
で、バルテルミー刑事との関係が深まる(?)のは、その放火の後、水の中から救出されたとき。とは言っても、そこで命を救ってやったろ! と恩を着せて便宜をはかってもらうだけで、関係が深まったとは言えない。
そんな中途半端なら、徹頭徹尾、誰一人協力者のいないアウェー状態で、周囲の理不尽さを押しのけて頑張る姿を見せたほうがよっぽど良かったと思う。

事件解決に手の込んだトリックを見抜くとか、そういうこともなく、直球で張り込みするだけという芸のなさ。どうせ、最期はドイルがスタンドプレーでがんばって終わるんだろうな…と思ったらその通り。前作は、すばらしいカーチェイスの場面があったので、ストーリーがいまいち気に喰わなくても、愉しめる部分があったのだが、今回は、ひたすら走るだけ。ジーン・ハックマンがトタドタ走るのを観て、がんばってるなーとか共感できる人がいるのかもしれないが、スピード感のないラストに正直飽きた。

ただ、それでも、前作よりはシンプルに仕上がっているので、まあなんとか最後まで観られた。凡作。

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image1810.png公開年:2010年
公開国:オーストラリア
時 間:95分
監 督:パトリック・ヒューズ
出 演:ライアン・クワンテン、スティーヴ・ビズレー、トム・E・ルイス、クレア・ヴァン・ダー・ブーム、ジョン・ブランプトン 他




妊娠中の妻の健康を気づかい、田舎に転勤願いを出した若い警察官シェーン。出勤初日だったが、引越し荷物から仕事で使用する銃が見つからず、そのまま署に向かう。署員たちは変わり者が多い上に、田舎なりの独自のルールだらけで戸惑うシェーン。特に所長は部外者を嫌っている様子で、シェーンに厳しく接する。そんな中、刑務所から凶悪殺人犯が脱獄したというニュースが飛び込む。所長をはじめ署員はもちろん、町の住人までが、脱獄犯に対して過剰に反応する。署長は脱獄犯人がこの町に必ずやってくると信じて疑っていない様子で…というストーリー。

日本では劇場未公開作品。脱獄犯がアボリジニの血を引いているってことだから、舞台はオーストラリアってことでいいんだよね?

冒頭から、妊婦のお腹の膨らみに違和感があり、イヤな予感が漂う。とはいっても、緊迫感漂う警察サスペンスの雰囲気を醸し出そうとしており、もしかして掘り出しものか?と期待できなくもなかった。しかし、ボロは早々に現れてきて、何かもたついた印象に溢れてくる。これは編集がヘタクソだから。キレがものすごく悪い。

新人警官と他の警官たちのやりとりはもっとスリリングにできたと思うのだが、イヤミな感じを出しただけで、それ以上のものがない。その後、主人公シェーンと署長たちとは、仲間意識が芽生えるのか始め以上に対立するのかは判らないが、いずれにせよ、その後の展開を考えると、もっとストレスをためておくべきだったと思う。

脱獄犯という“嵐”を軸にストーリーは展開していくはずなのだが、なぜか唐突に“豹”の存在が示唆される。「ここはアフリカじゃない」だって。そりゃ、こっちのセリフだっての。まさか、脱獄犯と豹の両方を出す気なのか?と、珍作の予感がプンプンしてきて、ワクテカ状態。

脱獄犯はなかなかの殺しっぷりで、ジェイソン状態。とはいえ所詮はおっさんなので、ここまえ非情に躊躇無く殺せるには理由があるはずなのだが、しばらくは彼のバックボーンは全然語られない。もちろん彼のバックボーンこそが、サスペンスのオチになるのだが、もうちょっと小出しにしたほうが、興味を惹きつけられたと思う。

その他、妙な点が散見される。初動において犯人の行動を完全に読み間違った署長は、しばらく画面に出てこない(なんでじゃ)。いくら田舎の町だからといって、一般人が極端に少ない。なんといっても町中には女性の姿がない。署長一派とバーのじいさんしかいない。こんな状態で町中が皆殺しになる!とかいわれても、あんたたちしかいないなら、大した被害じゃねーや…って感じで、緊迫感が削がれる。
また、主人公は常に部外者のスタンスであり、どちらかと言えば狂言回しに近いのだが、かといって、肝心の謎解きの部分で深く活躍するわけではないというのが、なんとも盛り上がりに欠ける。

最後は、なんとか復讐劇としてピシっと締めることができており、ギリギリセーフって感じ。豹については、脱獄犯の孤独な戦いの象徴でもあるし、主人公のアウトサイダーとしての立場を表してもいる。そして、この二人に生まれたシンパシーみたいなものの象徴でもあるだろう。ただ、やはり“豹”てのは唐突としか言いようがない。
凡作。お薦めもしないが特別非難もしない。まあ、根底には白人どものアボリジニ虐待・虐殺があるのは明白。オーストラリア人の最大のコンプレックスであり、歴史上最大の恥部。日本人とオーストラリア人では、当事者として受け取り方が異なるんだろう。




負けるな日本

 

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image0322.png公開年:1991年
公開国:アメリカ
時 間:78分
監 督:マーク・L・レスター
出 演:ドルフ・ラングレン、ブランドン・リー、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ティア カレル、トシロー・オバタ 他





ロサンゼルスのリトルトウキョーに“鉄の爪”と名乗る日本のヤクザが進出。彼らは飲食店などを脅しみかじめ料などを要求し、街の人たちを恐れさせていた。子供のころ日本で生活した経験を持つロス市警の刑事ケナーは、鉄の爪を壊滅するために、相棒のジョニーと共に強引な捜査を執拗に繰り返すのだった。そして捜査の中で浮かび上がってきた鉄の爪の親分ヨシダの胸に、父を殺した男と同じ刺青があることを発見するケナー。そしてヨシダが、ビール会社を隠れ蓑に麻薬密売に進出しようとしていることを知り…というストーリー。

日本未公開作品で、B級の匂いがプンプンしつつも、ドルフ・ラングレン&ブランドン・リー主演で、製作側がBの線を狙ったわけではないことはわかる(まあ、予算はかけてなさそうだから、そういう意味では間違いなくB級なんだけど)。

日本描写がトンチキで、特に所々出てくる日本語がポンコツなために、トンデモ作品と評されることが多いのだが、個人的にはセーフだと思う。他国の文化を登場させる時なんてこんなもんだろう。ましてや、歴史物語とかシリアスさが要求される作品ならいざしらず、アクション映画なんだし、それも舞台はリトルトーキョーなんだから、二世や三世なら多少日本語がおかしくても変じゃない。
ドルフ・ラングレン演じるケナーの日本語が変なのも、子供の頃に一時期日本にいたっていう設定なら、むしろリアルなんじゃないか?鉄の爪の部下に日本語が変なやつがいたって、現地調達した二世かもしれない。いや、日本のヤクザに英語ペラペラな奴は多くないだろうから、現地調達するほうがかえって自然だろう。ケナー行き着けの飯屋のおばちゃんだって、沖縄出身で幼少のころに移民してきたって設定だったらあんなもんだ。対して、ヒロユキ・タガワやトシロー・オバタの日本語はほとんどネイティブなわけで、こっちは日本からきたヤクザってことだと理解すればいいのだ。

海外で変質した日本コミュニティ。ある意味、海外文化とのシンクレティズムや、外国人の勘違いを逆手にとった日本演出って感じで、逆にありなんだよ。
ヤクザ組織があんな経済ヤクザみたいな行動をとることに、当時は違和感を感じた人もいるかもしれないが、今のヤクザさんたちの行動を見れば、任侠道とヤクザは異なることは理解できるわけで、むしろヤクザ組織の現実に近いといえるよね。

話は変わるが、本作は、映画をつくる上でのベースラインになる作品だと思う。どういう意味かというと、いろんな要素で、このレベルを下回ってはいけない、もし下回っているならばテコいれが必要だ!という目安(ものさし)になる映画だということだ。

お色気描写 → これより、エロくなっちゃダメ。
日本表現 → これより、トンデモジャパンになっちゃダメ。
アクション → これより、レベルが下回っちゃダメ。地味になっちゃダメ。
ストーリー → これより、単純になっちゃダメ。
役者 → これより、キャラの弱いのはダメ。

いい意味でも悪い意味でも、及第点ギリギリの作品。逆にいえばすべての要素をギリギリレベルでクリアしている作品で、軽い気持ちで観るとそれなりに満足しちゃうのが、ちょっと悔しい作品だったりする(こういう仕事ができる監督は、カルト化する可能性が高いよね)。
アホキャラがばれる前の、まだ輝きがあるときのドルフ・ラングレン。体もキレキレである。




負けるな日本

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image0453.png公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:ジョン・グレイ
出 演:スティーヴン・セガール、キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ、ボブ・ガントン、ブライアン・コックス、ジョン・M・ジャクソン、ミシェル・ジョンソン、スティーヴン・トボロウスキー、ロバート・メイルハウス、リチャード・ガント、ウェンディ・ロビー、ニッキー・コックス 他
コピー:セガール・アクションの原点。



ロサンゼルスでは、被害者を十字架にかけられたキリストのように磔にする連続殺人事件が発生しており、市民はその犯人を“ファミリーマン”と呼んでを恐怖に慄いていた。ニューヨークから赴任してきたジャック・コールは、殺人課の刑事ジム・キャンベルと組んでファミリーマン事件に当たることになった。捜査を進めていく中、再びファミリーマン事件が発生するが、被害者はジャックの前妻で、ジャックの指紋が多数発見され、彼は窮地に立たされ…というストーリー。

“沈黙”してないセガール。
本作を観ると、スティーヴン・セガールってて使えない奴なのかも…と思ってしまう。その一番大きな要員は、彼の演じるキャラクターがサスペンスや謎解きモノとマッチしないという点である。
本作で彼の仕事の幅は狭まったと思うし、実際その後は沈黙シリーズという復讐とマーシャルアーツアクションだけの人になってしまった。

コールに殺人の濡れ衣を着せようとしたのはわかるが、結局、元々のファミリーマンの事件とは全く無関係ということなのか?ファミリーマンは野放しなのか?
密輸事件の話になって、コールの過去の話になるのだが、サイコスリラーテイストではじまっておきながら、後半は“ファミリーマン”のことはどこかに吹っ飛ばしてしまう。そんなことって許されるのだろうか。

“グリマーマン”というタイトルのとおり、たしかに光のようなアクションをみせてくれてはいるけれど、そう呼ばれていた過去があるという以上のものはなく、わざわざタイトルにするほどの意味も効果もない。
ミステリアスな過去をちらつかせているが、謎の人物である意味はあっただろうか。普通にニューヨークの腕利き捜査官だった男が罠にハメられる…という展開でも、何の問題もなかっただろう。セガール側のキャラ作りの要望に従っただけなのかもしれないが、無駄に謎の人物を強調しすぎていると思う。

まるで、思いつきでエピソードを並べたようなシナリオ。行き当たりばったりで、ぼんやりと固まっていない状態で製作を続けていたのでは?と思えてくる。

また、常に上から目線のコール刑事の態度が、ミステリアスを通り越して高慢なだけに思え、それがバディ物ととしてのおもしろさを阻害している。それでも、黒人刑事ジムを演じたキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズという役者が、もうちょっとユニークな演技を見せてくれればバランスはとれたかもしれない。残念ながらセガールの個性と対峙できるレベルではなかった。この演技では、次にいい仕事がもらえたとは思えない。

セガールにとってもウェイアンズにとっても、そしてジョン・グレイという監督にとっても、ウィークポイントばかりにスポットが当たってしまって、後のキャリアの幅を狭めてしまった作品といえるのではないだろうか。
#まるで、セガールの出世作みたいなコピーだけど、実際は真逆だと思っている。

中古とはいえDVDを買ってしまったことを後悔してしまった作品。お薦めしない。



負けるな日本

 

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image0316.png公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ、レネ・ルッソ、クリス・ロック、ジェット・リー、ダーレン・ラヴ、トレイシー・ウルフ、デイモン・ハインズ、エボニー・スミス、スティーヴ・カーン 他
ノミネート:【1999年/第8回MTVムービー・アワード】アクション・シーン賞(メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー:カーチェイス・シーン)、ブレイクスルー演技賞[男優](クリス・ロック)、コメディ演技賞(クリス・ロック)、悪役賞(ジェット・リー)
【1998年/第19回ラジー賞】ワースト助演男優賞(ジョー・ペシ)
コピー:最悪の事態発生!奴らが昇進した!!

ロス市警刑事のリッグスとマータフは、ローナとリアンが妊娠していることを、任務中にお互いから知らされる。それから9ヶ月後、2人がレオと釣りに出かけると、不審な大型船に遭遇する。突然銃撃してきたため応戦。乗船して船員との格闘の末に大型線を座礁させるが、残った船員は取り逃がしてします。その船は中国からの密航船である事が判明し、船にいた密入国者が次々と入管に連行されていく中、マータフは避難用ボートの中に隠れていたホン一家を発見する。マータフは違法と知りながら彼らを自分の家に匿ってしまう。そんな時、2人の無謀な捜査が原因でロス市警が保険を打ち切られてしまったため、ロス市警は2人を警部に昇進させ、デスクワークをさせておくことにしたのだが…というストーリー。

中国マフィアの台頭が問題になっていた頃。いまとなっては中国人よりも韓国人が厄介な存在に(古い映画になっちゃったな)。

前作から6年も経過しての、まさかのファイナル復活。この6年の間に、メル・ギブソンは『ブレイブハート』で監督賞に作品賞をゲット。そりゃあ後ろ髪も無くなるわ。
結局4作全部をリチャード・ドナー監督が皆勤賞。シリーズ作品を同じ監督が始めから最後まで全部手掛けるって、あるようで無い。メイン配役だけでなくサブ配役まで皆勤賞なのもすごい。やっぱ奇跡のシリーズなんだよ。
#ちなみに、“3"と本作の間に、メル・ギブソン主演で『陰謀のセオリー』(1997)という作品を撮っている。『リーサル・ウェポン』を越えるクレイジー(というかモノホンのクレイジー)っぷりで、そのブチ切れ具合が好き。また、その前年にはメル・ギブソンとレネ・ルッソが夫婦役の『身代金』なんてのもある。どちらも好きでDVD購入済。そいつらもまた観たくなってきたぞ。

冒頭のトンデモ逮捕劇のさなかに、お互いにローナとリアンの妊娠を知ってしまうリッグスとマータフ。それから、あっという間に臨月の頃までタイムスリップ編集。だらだらしないのが、ドナー流。

前作は降格で、今回は昇進。犬は2匹とも飼っていてホっと安心。脱臼ネタに精神科医のくだりと、お約束のエピソードは全て盛り込まれており、これまで観たファンはニヤリとしないわけがない。128分と、これまでの中では最長で、若干冗長と思われるかもしれないが、それはラストなので許そうじゃないか。

“3”までで同じレベルのハチャメチャ具合になったリッグスとマータフだったが、脱法具合ではとうとうマータフが追い抜いた。肉体の老いを痛感するリッグスが落ち着き気味になっているのと比較して、もっとロートルなマータフのほうがブチギレぎみになることが多かった。ラストの戦いは、人の心を踏みにじった奴らに対する怒りと、ファミリーに対する無限の愛に加えて、自分の中の消えかかった種火みたいなものを最後に輝かせよう…みたいなそんな感情が入り混じった感じだった。

本作ではあまり事件には絡まなかったレオだったが、最後の大団円ではキーマンに。墓地でのカエルのエピソードは何がなんだかよくわからないけど、なんか苦笑いとほっこりが混ざった不思議な気持ちにさせてくれる。いい歳こいた妊婦のくせにじゃじゃ馬っぷりはそのままのコールもいい味。妊婦アクションなんて、『リーサル・ウェポン』シリーズならではだろうな。

とはいえ、ストーリー自体は、さすがに4作目ともなると疲弊しているのだが、ジェット・リーが初悪役のキャラを見事に演じきってくれたおかげでなんとかバランスがとれている印象。毎回、味のあるキャラが新登場して、次回作に繋がるわけだが、今回新登場のクリス・ロック演じるバターズ刑事は、残念ながらジョー・ペシやレネ・ルッソのレベルには未達。本当のラストっていう状況を覆すには力不足だったか(まあ、それは仕方が無い)。

いや、いいのいいの。私は最後の墓地→病院の流れで、100%涙が出そうになる。何度観ても、こんなにすっきりとほっこりが確実に感じられる作品は無いよ。4作まとめて観るべし。超お薦め。



負けるな日本

 

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image0315.png公開年:1992年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ、レネ・ルッソ、スチュアート・ウィルソン 他
 賞:【1993年/第2回MTVムービー・アワード】アクション・シーン賞(メル・ギブソン:メル・ギブソンが乗っていたバイクのクラッシュ・シーン)、コンビ賞(メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー)


ロス市警の刑事リッグスとマータフは、ビルに仕掛けられた爆発物の処理に失敗し、巡査に格下げされてしまう。制服を着て市中をパトロールしていると、現金輸送車を襲撃する強盗に遭遇。大捕物の末、逮捕したものの、犯人は取調室で何者かによって射殺されてしまう。その犯人が持っていたのは、密売された警察の押収武器と特殊弾薬“コップ・キラー”。捜査をしようとするリッグスだったが、内務調査部のコールが介入してきて…というストーリー。

ロス暴動のあった年のお話(古い映画になっちゃったな)。

「何よ。もう一回やれっての?」くらいの軽いノリって感じ。だったら悪ノリしちゃいますよ~ってな調子に見える。禁煙中だから犬用ビスケット食ってろ!⇒その後に狂犬登場…って、こういう安易なレベルの伏線も、臆面も無く波状攻撃されると、逆に心地よい。

前作でトレーラーハウスを破壊されたリッグスはどこで暮らしている?新登場の黒いワン公もなかなか可愛いけれど、そういえば元々飼ってたワン公はどこいった(ちゃんと次作で判明するが)?マータフ家は、そんなにいろんなものを破損されてるのに破産しないのか?などなど、細かいことなんか、まったく気にする様子もなく、ひたすら、能天気に軽口を叩き合い、次から次へと破壊と暴走を繰り返す。前作でぶっ放された弾丸の数も相当だったが、本作はそれ以上。

マータフの子供たちも成長し、元々制御不能ぎみだったけど、本作では完全にお手上げ状態で、マータフ本人も笑っちゃうしかない。

ジャケット映像でわかるとおり、二人の間からのぞくレオ・ゲッツ。彼がいなければ続編はなかったかと。そんなレオはますます暴走して、観ているこっちもイライラするくらい鬱陶しい。だけど、それ以上に、ちょっとやりすぎなんじゃねえ?ってくらい、リッグスとマータフに虐待されまくり。

リッグスにも幸せになって終わっていただきましょうくらいのノリで登場させたと思われる、レネ・ルッソ演じるコール。完全なツンデレキャラで、二人の恋愛模様はまるで漫画。でも、前作のレオがそうであったように、本作でコールが登場したからこそ、“4”ができたといってよいだろう。こういうキャラが続けざまに登場する奇跡のシリーズが、リーサル・ウェポンなのだ。

まあ、実のところ、好き勝手にめちゃくちゃやってる感じで、本作の完成度は高くないと思う。最後はふわっとした終わり方で、リチャード・ドナーの「もう、これでいいよね?」って声が聞こえてきそうな感じ。
まさか、最終作での大団円がレオとコールによって成されようとは…。まあ、“3”まで観て途中でやめる人はいないよね。



負けるな日本

 

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image0314.png公開年:1989年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、パッツィ・ケンジット、ジョー・ペシ、ジョス・アックランド 他
ノミネート:【1989年/第62回アカデミー賞】音響効果編集賞(Robert Henderson、Alan Robert Murray)


ロス市警の刑事リッグスとマータフは麻薬がらみの裁判で証人となる銀行員レオの警護を命じられる。二人が警護しているにも関わらず、レオは命を狙われ続ける。二人はレオが麻薬組織から金をくすねていたために狙われていること聞き出し、そのボスのアジトに踏み込む。しかし、そのボスは、ラッドという駐米南アフリカ領事で、外交官特権で逮捕も拘留もできない。あきらめ切れない二人は、執拗に南ア大使館に嫌がらせを繰り返し、徐々に犯人達を追い詰めていくが…というストーリー。

まだ南アフリカにアパルトヘイトが存在していた時代のお話。そして、アーリア系がナチスドイツのアイコンとしてアメリカ映画の悪役だった時代のお話(古い映画になっちゃったな)。昔、観たときは、マンデラが誰なのかピンときていなかったわ。

リチャード・ドナーは別に続編を作るつもりもなかっただろうし、あわよくば今後も…なんて考えてはいなかっただろう。本作がおもしろくなればそれでいい、ある意味“一作入魂”だから、遠慮のない過激な演出をまさに“サービス”してくれている。過激になりすぎて、次のシーンで歩いてるのがおかしいでしょってレベル(笑)。アホか!ってくらいの銃撃戦は、味方に当たらないのがおかしいとは思いつつも、興醒めしないのは作品の勢いの賜物。

マータフもいつのまにかノリノリで、リッグス寄りになっちゃってー。さらにマータフだけじゃなく、署の仲間ともうまくやっている様子。いい感じでリハビリもできてて、お話もコメディ調が強くなった(お祭り気分だね)。1作目はあまりに寂しい日常で、そんなトレーラーハウスにいたら、気がくるっちゃうわ…なんて思ったけど、今回は何かうらやましく感じられるほど自由でいい感じ。あいかわらず、ワン公もかわいい。

なーんて思っていたら、終盤は一転、仲良くなった署の人たちは、丸々お亡くなりになっちゃうわ、奥さんの件まで判明しちゃうわ(都合のよすぎる展開だけど、リチャード・ドナーがこれでおしまいのつもりで作っていた証拠)。その、「うぉ~~~~」って感情そのままに、スカっと大破壊を敢行してくれる。まあ、秘書のリカちゃんは、関係をもった時点で死亡フラグ立ちまくりだったけど、海の中で発見シーンはインパクトあったわな。
このシーンもそうだけど、諸々の小ネタのエピソードは“3”以降の続編にしっかり出てくるのでニヤっとしちゃう。そういうところはリチャード・ドナー、ものすごくうまい。

ジョー・ペシ演じるレオ・ゲッツは浮きまくりのヘボキャラなんだけど、話が進むにつれて味が沸いてくる。さすがジョー・ペシ、ちょい役のはずなのにタダでは終わらない。レオ・ゲッツがいなかったら“3”が作られることはなかったと確信している。

“2”のDVDは吹替音声がついている。しかし、“3”以降と声優さんがちがう。まあ、違うのは仕方ないんだけど、リッグスとマータフの声優さんの声質が似ていて、聞き分けにくい(ちょっとヘタクソだし)。

邦題の“炎の約束”の意味はよくわらん。

#あ、ちなみに、今日で丸々2年です。よくもまあ2年も毎日。いつも読んでくれている人、ありがとう。



負けるな日本

 

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image0313.png公開年:1987年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ゲイリー・ビューシイ、ミッチェル・ライアン、トム・アトキンス 他
ノミネート:【1987年/第60回アカデミー賞】音響賞(Dick Alexander、Bill Nelson、Vern Poore、Les Fresholtz)


ビルのベランダから若い女性が飛び降りて死亡した事件。LA市警のベテラン刑事のマータフは、死んだ女性がベトナム戦争の戦友の娘だと知り愕然とする。捜査にあたるマータフは、麻薬課から移動してきたリッグス刑事とコンビを組まされる。リッグスは妻が交通事故死したショックを引きずっており、死ぬことを厭わない問題行動をとる刑事だった。はじめは年金狙いかと疑っていたが、自殺用の弾丸を持ち歩くほど病んでいる彼にゾっとするマータフ。そんな2人がハチャメチャな捜査を続け、なんとか事件の背後に麻薬密売組織があることを突き止めるが…というストーリー。

日本がアメリカの不動産を買いまくって日本脅威論が普通に囁かれていた時代の作品(古い映画になっちゃったな)。

ちょっとネジの外れているはみだし刑事のドンパチアクション物。同じノリの作品として『ダイ・ハード』が挙げられるが、そちらは映画史に残る文句なしの名作。でも、本作をそこまで評価する人はいない。確かに1作目の単体で比較すれば、『ダイ・ハード』のほうが上なんだけど、シリーズの完成度を考えるとダイハードよりもリーサル・ウェポンのほうが遥かに遥かに遥かに上。

やはり、『ダイハード』にはない、主人公の変化・成長・癒しがある点が大きい。マクレーン刑事は、結局マクレーン刑事のままだからね。
それにシリーズとしてみれば、“仲間”“ファミリー”という要素が秀逸。『ダイ・ハード』にもパウエル巡査みたいな魅力的なキャラはいるけれど、シリーズ的には単発でしかない。『リーサル・ウェポン』は続編を重ねる度に魅力的なキャラが登場し、彼らとのやり取りをまた見れるのか!とワクワクさせてくれた。4作目の最後でグっとこない奴なんかいるもんか!そんな人は人非人だ!って思うくらい、このシリーズが好き。

1作目の本作では、自殺用に特殊な弾丸を持ち歩くほど崩壊寸前のリッグスと、まじめ刑事のマータフのコントラスト、そして、犬しか心を許す相手がいないリッグスと、温かい家族に囲まれて誕生日を祝ってもらうマータフというコントラストが、次第に同じ色合いになっていくのが心地よい。その、ギスギスした人間関係が徐々に丸く変わっていく安心感と、めちゃくちゃな破壊アクションの波状攻撃が愉しい。
特徴的な、ギターサウンドのBGMも大好き。軽妙なやり取りも、ある意味古臭くてお約束。敵が特殊部隊でリッグスに近い存在だって流れもお約束。でも、そのお約束の強引さが決してイヤじゃない。
その後に刑事のバディ物は何作も作られたけど、ここまでうまく噛みあったものは無いと思う。そう、刑事のバディ物としては最高峰なんだよ。もちろんお薦め。

今回はDVDで鑑賞したわけだが(購入済)、1作目だけ吹き替え音声がない。TV放映時の吹き替えはあるはずなので、なんとかなりそうだけどね。BOX化の暁には…と期待していたがそれもかなわず。ブルーレイ化の暁には…と期待していたがそれもかなわず。それが出ていればブルーレイデッキを買おうと思っていたのに…。もう、何年も待ってるのになぁ(TV放映があったら録画しないとダメかな)。

#おや?『リーサル・ウェポン』祭、開催の予感(笑)。4作目の胸アツまで突っ走る!

負けるな日本

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プロフィール
HN:
クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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