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image1268.png公開年:1994年  
公開国:アメリカ
時 間:127分  
監 督:ティム・バートン
出 演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット、ジェフリー・ジョーンズ、G・D・スプラドリン、ヴィンセント・ドノフリオ、ビル・マーレイ、マックス・カセラ、リサ・マリー、ジョージ・スティール、ビフ・イェーガー、ビル・キューザック、ジュリエット・ランドー他
受 賞:【1994年/第67回アカデミー賞】助演男優賞(マーティン・ランドー)、メイクアップ賞(YOLANDA TOUSSIENG、VE NEILL、リック・ベイカー)
【1994年/第29回全米批評家協会賞】助演男優賞(マーティン・ランドー)、撮影賞(ステファン・チャプスキー)
【1994年/第61回NY批評家協会賞】助演男優賞(マーティン・ランドー)、撮影賞(ステファン・チャプスキー)
【1994年/第20回LA批評家協会賞】助演男優賞(マーティン・ランドー)、撮影賞(ステファン・チャプスキー)、音楽賞(ハワード・ショア)
【1994年/第52回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(マーティン・ランドー)
コピー:世界で最低の映画監督の世界で一番素敵な夢

映画監督になる日を夢見る映画青年エドは、性転換をした男性の物語の映画化話を知り、プロデュサーのもとへ押しかける。本人も服装倒錯者だった彼は、3日間でシナリオを書き上げ、さらにふとしたきっかけで出会った往年のドラキュラ俳優・ベラ・ルゴシを出演させることを条件に、その映画「グレンとグレンダ」で監督デビューを飾るのだが…というストーリー。

ティム・バートン作品は大好きで、長編のほとんどを鑑賞しているが、この『エド・ウッド』だけは未観だった。なぜ見ようとしなかったかというと、他のティム作品とはノリが違うな…と感じていたから(本音を言うと、駄作なのでは?と思ったから)で、食指を伸ばさずに今まできた。しかし、近頃読んだ映画関係の書籍に、“史上最低の映画監督 エド・ウッド”についての記述があり、彼本人に興味が沸いてしまい、是非見てみたいという気に…。とはいえ、なにせ“史上最低”ということなので、いきなり彼の作品を見る勇気は無く(笑)、とりあえず、ティム作品で感触を確かめてみることに相成った。

演者で特筆すべきは、マーティン・ランドー。彼は、ベラ・ルゴシ役。ルゴシは今日のドラキュラ像をつくった役者である(藤子不二夫『怪物くん』のドラキュラなどに見られる典型的なイメージは彼によるもの)。漫画『浦安鉄筋家族』の十三階段ベムのエピソードに出てくるドラキュラのイメージ画はそのままルゴシなのだが、まさに『浦安』から飛び出してきたようで、実に愉快だった(『浦安』を知らない人も多いだろうが…)。エド・ウッド同様に、ルゴシも演じることに執着し続け、そして同時に苦む。その様を見事にランドーは演じきっている。彼はこの演技によって、アカデミー賞助演男優賞をはじめ、アメリカ国内の多くの映画賞を受賞をしているが、納得である。

話は少し脱線する。
「こんなアイデアが浮かんだので小説を書いてみたい」とか思うことがあっても、結局、最後まで書き上げることができない(それどころか、書き始めることすらできない)という人は多いのではないだろうか?小説ではなくても、創作の思いを形にできない人は多いだろう。私はまさにそれである。いつかは…などと思っても、形にしなければそんな思いはゴミ同然。自戒の意味も含むが、私は、どんな駄作であっても(見たり読んだりした後に「時間を返せ!」と怒りたくなるようなモノだとしても)、作品を発表できる形にしたことに対しては、作者に一定のリスペクトをする(だから、私が“この映画は見なくてよい”とか“見ないほうがよい”という場合は、そのリスペクトを超える、マイナス点があるということだ)。

本作にて、デップ演じるエド・ウッドが、細かいことを気にせずにバタバタと映画を作るさまは、じつに滑稽なのだが、私には、とてもとても羨ましく思えたのだ。そして、同時に悲しくなったのだ。彼は生きた証を残したけれど、このままなら私にはそれが残せそうにもないということが。自分は“史上最低”ですらないと感じると同時に、“史上最低”は立派な称号であることに気付いたのであった。

ティム・バートンは「私はエド・ウッドだ」と言ったそうだ。いろいろな制約・トラブルがあっても、嬉々として映画を作り続ける態度にシンパシーを感じたのではなかろうか。デヴィッド・リンチやサム・ライミ、クエンティン・タランティーノも彼のファンのようで、オタク傾向の強いアーティストの琴線に触れるのかもしれない。受賞に至っていないが、本作がカンヌ国際映画祭のパルム・ドールにノミネートされているのも、そういう部分がよく表現できているからなのだろう。
本作は、いつかは私も…と思いながらいつまでも行動をおこせない人が見ると、ちょっぴり力の沸く作品かもしれない。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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