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image1671.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:89分
監 督:藤森雅也
出 演:原田知世、加藤清史郎、山口勝平、別所哲也 他
コピー:最初は、食べるつもりだったのに…





ある日、草食恐竜のお母さんは川から流れてきた卵を見つけて、自分の産んだ卵と一緒に育てることに。しかし、孵化したのは肉食恐竜ティラノサウルスの赤ちゃん。群れの仲間から、その子供を捨てるように強く言われるが、どうしても従うことができずに群れから離脱。ハートと名付けて自分の子供ライトと一緒に育てることに。しかし、成長するにつれて体の違いに違和感を感じ始めるハート。やがて、自分が肉食恐竜であることを悟り、母とライトの元から離れ、一人で生きていくことに。そんなある日、ハートはころがっていた卵がかえる瞬間に出くわし、生まれたばかりのアンキロサウルスの赤ちゃんを見て思わず“おまえうまそうだな”とつぶやく。するとその赤ちゃんはハートをお父さんだと思い込み、“ウマソウ”と名づけてくれたと勘違いする。そして、すっかりウマソウになつかれてしまい、食べるどころか突き放すこともできなくなってしまい…というストーリー。

結論から言えば、非常に秀逸な作品。原作の絵本は読んだことが無いけれど、おそらく、原作を壊していないだけでなく、超えてきてるのではないかとすら思う。

絵柄を見る限りでは、どう考えても大人の鑑賞に堪える作品とは考えにくいし、事前の宣伝でも、ハートとウマソウのエピソードにスポットを当てすぎた。実際は、ハートとウマソウ以外のエピソードのほうが濃いし、意味合い的にも深いと思う。実際は、幼児をつれて観にいっても、子供はポカーンで、大人が満足して劇場から出てきたに違いない。
難しかったと思うが、もっと違う切り口のプロモーションをすべき作品だったのかもしれない。

『あらしのよるに』にプロットは似ているが、同様に、その真意を小さい子供ががっちりと受け止められるとは思い難い。この世の生きとし生けるものすべてが、拭い去ることのできない業を抱えており、それを超えて何ができるのかという、夢と現実のギャップにどう向き合うかという内容である。これを、簡単に愛のお話ですよなんて形容する人は、もっともらしいことを言うだけの偽善者だと思う。
で、結局(というか当然なのだが)、“これが答えだ!”というものは提示されない。提示されるわけがない。答えの無い問題に立ち向かっていくのが大人だからね。読み聞かせなんかが頻繁に行われている童話作品らしいけど、コレを読んだ子供は、なんだかわからないけど、何かおもしろそうな光るものを感じてくれるだけで充分。大人になってから思い返してくれればそれでいい。

子供だましじゃないのは、アクションシーンからも見て取れる。ハートとバクーの戦闘シーンの動画のすばらしいこと、すばらしいこと。久しくここまでしっかりと書き込んだ日本アニメを観ることはなかった気がする。途中でちょこちょこ差し込まれる挿入歌が、いまいちピンとこないことと、コンピュータ着色がドギツイ以外は、技術的には文句なし。

実は、案外「THE日本」的な作品かもしれない。海外で公開しても、この感覚は理解されないかも(特に欧米では)。なので、是非とも積極的に公開していただいて、外国人と日本人の精神構造に違いを浮き彫りにしていただきたい。

単純な感動を1枚も2枚も超えて、清々しさすら感じる作品。絵柄に躊躇することなく、大人が堂々と借りるべき作品。強くお薦め。愉しめた。





負けるな日本

拍手[2回]

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映画「おまえうまそうだな」について
映画はティラノシリーズの絵本の内3冊「「おまえうまそうだな」「あなたをずっとずっとあいしてる」「きみはほんとうにステキだね」を元にしています。

http://www.netdetirasi.co.jp/cinema/interview/059.php
http://mi-te.jp/contents/cafe/1-9-742/
映画は絵本とは違うものをって原作者が頼んだようですがそれでも気になりました。

映画は全体的に子供・親子向けに向いてない、又はそれに詳しくないメインスタッフに無理矢理「子供・親子向けの物」を作らせたら大体あんな感じになるんのでは?って思いました。今の子供・親子向けと数年前~昔の親子向けとは違うと思います。あの平成ライダーだって今の方が明るいですしね。売上もより良いのかもしれないので、「子供・親子向けは明るい方が需要あるのかな?」と思います。それに数年前までなら朝か夕方に放送するようなものでも、今では深夜になってもおかしくないです。

絵柄については「あまり子供向け作品に詳しくない人が考えた」か「子供向けならこんな感じで良いかな?」感が強くて残念たと思いました。子供向けに詳しい人なら、子供向けなりに魅せるデザインにしそうです。アンパンマンとかは上手く魅せてると思います。アンパンマンなんかもアニメは原作絵本と絵柄は違いますがあっちのアニメはシンプル、動かしさ、より幼児受けを重視していながらも魅せるような感じが出てます。

内容についてはギャグとシリアスの気合が違い、シリアスシーンの演出の方が上手く感じました。個人的にシリアス演出の方にグッと来た事から、「作り手は描きたい物と描くべき物で混乱したのでは?」と思ってしまいまいした。

ここで言う”描きたい物”は「中高生~大人向けのバトルや弱肉強食や捕食や死亡?キャラ描写等」で、”描くべき物”は「映画は映画で原作絵本とはまた違う無難な親子向けの有り触れたお涙頂戴部分や楽しい活劇」を指しています。映画の曲でもそれが表れてるのかもしれません。描きたい物は弱肉強食を意識したカッコイイ挿入曲(「heartbeat」)と何だか怖い童謡な挿入曲(「ハートの子守唄」)、描くべき物は優しさを意識した主題歌(「君といる時間の中で」)に表れるという感じに。
因みに「heartbeat」と「ハートの子守唄」の作詞はおまえうまそうだな製作委員会です。アニメ映画版の絵本に載っています(表紙はアニメ映画のDVDBDとパッケージ?と同じ)。

本格的に弱肉強食とか食物連鎖を突き詰めたら(今の)ファミリー向けでは限界があると思います。ちなみに絵本と映画では死亡?キャラが違います。
絵本では主人公の友人のエラスモサウルスが死亡?します(「きみはほんとうにステキだね」参照)。映画ではモブ(冒頭の潰された卵、中盤?の三本ツノとそれに倒された恐竜、タマゴ山が噴火した後に倒れてる恐竜)と「ゴンザ」(主人公の因縁のライバル?噛ませ?)という肉食恐竜が死亡?します。

子供向けとか大人向けにも色々あると思います。なのでまとめて言う事は出来ません。子供向けが得意と言っても「単純、簡単なもの、荒唐無稽が得意」な人と「子供向けだからこその真剣なものが得意」な人がいます。
大人向けが得意といっても「萌え、エロ、腐向けが得意」な人と「高度でマニアックなものが得意」な人がいます。
JH 2012/06/25(Mon)20:29:07 編集
おまえうまそうだなの面白さ
映画「おまえうまそうだな」は去年の年末に見たきりです(TOKYOMXで)。
この映画の本当に感動する所や見せ場はバトルとか食物連鎖とかその事情と絡んだ家族描写だと思います(ジレンマもそうでしょう)。
アニメーションの力を活かしてたのもこういうシーンだと思いました。そして、スーパーアクションアニメに選ばれた事もあります。

ただし、本筋は絵柄通りの単純な親子物語なんですよね。
宣伝とか見ても映画版の企画やメーカー側はバトルとか食物連鎖とかその事情と絡んだ家族愛よりも単純な親子物語を想定してたと思うます。

この映画のネックは「その硬派な部分が絵柄や主軸に全く合ってない」所だと思います。
これじゃ、恐竜世界らしいワイルドさを入れても「ただの心温まる映画、可愛いだけの映画」だと世間に思われるのでは?
本当に感動したり見せ場になる所があってもそれが主軸と合ってない限り、あまり評価されずに埋もれるのではないでしょうか?
本当の見せ場を差し置いてただ「可愛い」とか「心温まる」って言うだけ感想を見ると微妙な気持ちになります。
はっきり言って疾走感、ダイナミック、硬派な要素って、ハートフル親子物語という主軸には相性が合ってないと思います。
「生きる事」「戦う事」「宿命」「親子の不安」が主軸であれば合ってると思うんですけどね。

勇ましい要素を付けても絵柄や紹介されたあらすじに釣られた子供は戸惑うと思います。
大人からしても、あの絵柄とあらすじじゃわざわざ見る層多くないでしょう。
見た所で「勇ましい要素が浮いてる」と思いかねません。

疾走感、ダイナミック、硬派な要素をもっと上手く活かせるようなオリジナル作品や企画をこのスタッフに与えた方が良いのかもしれません。ある程度制約があったり、脇で輝くタイプという可能性もあるのかもしれませんが。
BIBO 2012/07/31(Tue)00:38:14 編集
おまうまを見たんですね。
この映画は最近でもどこかで上映会をやったそうです。先月の9月でもやったそうです。
今更ですがおまえうまそうだなという映画の事でコメントしたいと思います。去年のアニメージュの8月号のこの人に話を聞きたいでおまうまの藤森監督のインタビューが載んでたのを見たのでが実は、「ほのぼの~」っていうのは監督に対しては失礼なことなのかもしれません。
2011年アニメージュ8月号はAMAZONで中古販売しているかもしれません。

上層部の意向は知りませんが、監督としては「捕食する側とされる側のテーマの話だったから、やっぱりそこから逃げて作る事は出来ない」「自然描写も含めて、ちょっとリアルに世界観を作らなくてはいけない」「人の生き死についてはあまり嘘をついちゃいけないと思う」 と寧ろ客観的とも言える発言もしていました。生き死に関しては、忍たまの映画についても「そこのギリギリのところをどこかなどこかなと探りながら作ったという部分はありますよね」と言っていました。
またお母さん恐竜がまた子供を生んだ所についても「お母さんにも普通の女性としての性がある」「生々しい感じが出るといいなとは思っていました。」とも言っていました。
いずれも子供向けという媒体上、表現規制の問題には勝てなかったのでしょうがその枠の中で表現しようとしたのかもしれません。

プロデューサーからは「とにかく女の人が泣ける話を」と言われたようですが、それについても「人が死ぬか別れるかと言う小手先のテクニックで泣かせたくない」って言ってるんであって”可哀想な話”が嫌だと言ったわけではありません。実際、キャラが死ぬシーンで泣かせるより虚しさとか冷徹さを表してる漫画アニメドラマはあります。ゴンザが倒れる所も泣ける演出というより、無常さを感じられる演出だったと思います。(悪い意味ではなく)

個人的にプロデューサーの「とにかく女の人が泣ける話」という要望や企画や宣伝の「心温まる」を強調が無茶だと思いました。大人の事情は知りませんが。仮にも恐竜世界で捕食者と非捕食者の問題も出てくる映画なのに「女の人が泣ける」「心温まる」路線ばかり押し付けられてもねえ・・・と思いました(作品にある要素の1つとしては良いのですが)。子供だって場合によってはシビアだし媚びられるのを嫌になる事はあると思います。子供向けの作品や書籍でも子供にわかるように伝えた、ハードな話のやつもありますし。

「女の人が泣ける」というのは死の描写についても綺麗事のイメージがありましたので。本当にハードなものは死の描写についても「泣ける~」ってよりも冷徹さを表す事が多いと思います。昭和時代にあったやなせたかしさんの「チリンの鈴」も死が出てきますが、泣かせる為のシーンではなく厳しさや虚しさを表したものでした。

そしてインタビューの画像はURL先
の「今更だけどおまえうまそうだな」というタイトルのコメントの部分でも載せています。
絶太 URL 2012/10/07(Sun)13:16:49 編集
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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