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image0870.png公開年:2003年  
公開国:アメリカ
時 間:124分  
監 督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出 演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ、シャルロット・ゲンズブール、メリッサ・レオ、クレア・デュヴァル、ダニー・ヒューストン、ポール・カルデロン、デニス・オヘア、エディ・マーサン、アニー・コーレイ、トム・アーウィン、キャサリン・デント、ケヴィン・H・チャップマン 他
受 賞:【2003年/第60回ヴェネチア国際映画祭】男優賞(ショーン・ペン)
【2003年/第29回LA批評家協会賞】女優賞(ナオミ・ワッツ)
コピー:誰もがいつか失う重さ。

余命一ヶ月と宣告され、心臓移植を待つ大学教授・ポール。それを知った妻は、彼が死ぬ前に子供が欲しいといわれ動揺する。前科者のジャックは、今では改心し信仰に篤く、クジで当たったトラックも神からの授かり物と信じるほどで、貧しくも懸命に家族を養っていた。かつてドラッグに溺れていたクリスティーナは、今では薬物を縁を切り、優しい夫と2人の娘と共に幸せに暮らしている。そんな出会うはずのない3人が、ある事故をきっかけに交わりを持ち…というストーリー。

最近は陳腐化したのか、めっきり減ったが、時間軸をごちゃまぜした作品(というと怒られるかもしれない)が、連発された時期があった。『パルプ・フィクション』の成功が火付け役だろう。『メメント』は設定上、その手法が必然だったが、本当にこの手法は必要なのか?という作品もあれば、パクリといわれるのを嫌ってか、小さく限定的に使った作品もある。本作は、顕著にこの手法を用いている。
『パルプ・フィクション』より9年も後の作品である。その間に、散々この手法の作品を見てきたので、「またかよ…」という気持ちが先にに立ってしまった。正直、飽きている。

『メメント』のDVDには、特典として、時間軸を正しい方向で見るモードが付いている。多分、普通に見ても、結局、真実がなんだったかよくわからなかった人のための、お遊びなのだが、おもしろいことに、正しい時系列で見たからといって、さほど、すっきり明解になるわけでもないのだ(もちろん、おもしろくもない)。それは、『メメント』の場合は、クリストファー・ノーラン監督の頭の中に、編集後の時系列が逆転した状態のイメージができていた上で、製作されていという証拠だろうと思う。では、本作はどうだろう。おそらく、ギジェルモ・アリアガの脚本の段階では、この編集のイメージはなかったと思われる(このような編集をすることを知っていたか否かも疑問。実際どうなのか非常に興味があるが、確かめる術はなし)。

ギジェルモ・アリアガは、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』『バベル』などを手がけているが、一貫して「命の重さ」的なテーマを扱う(それらのレビュは、別途書く)。本作も重いテーマの作品なのだが、このような編集をしていなくても充分おもしろいシナリオだと思う。かといって、正しい時系列の編集だったら、もっと面白くなったとは、いいきれない。むずかしいところだね。
ただ、少なくとも、ここまで細切れにしなくてはいけない理由は見当たらない…。ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ、3人の演技は鬼気迫るものがあった。シナリオの重さを受け止めきった、いい仕事をしたと思う。特にデル・トロの特異ともいえる顔力は(そんな言葉があるかどうかは知らんが)、本作のテーマに非常にマッチしていた。しかし、「ん?ん?どういうこと?」「どっちが先?」と、あまりに短いシーンがフラッシュバックばりに挿入されるので、勝手に脳が流れを理解しようと躍起になってしまい、ストーリーに没頭しようとしても意識が削がれてしまうことが多かった。世の中にはこの編集を絶賛している人もいるのだが、私にとってはやりすぎで逆効果。

また、シナリオでいまいち腑に落ちなかった点もある。ショーン・ペン演じるポールが、なぜ、脱法してまでドナーを知りたがったのかという点が、よくわからなかったので、彼の行動に理解も感情移入もしにくかった。そういう性格の人なのだろうだから、しょうがないでしょといわれてもこまるのだ(説明されていたのかもしれないが、私は気付かなかった)。もしこの点がうまく盛り込まれていたら、より面白くなったかも。

さて、本作はどういう人が楽しめるだろう。気持ちが沈んでいる人はますます沈んでしまうだろう。テーマは重いのだけど、哲学的か?といわれると、そこまででもない(命ってなんなんだろうねって、放り投げられちゃった感じがしなくもない)。泣ける訳でもないし。謎解き的なすっきり感があるわけでもないし。難しい。

重いテーマで且つ極端な編集という特徴に興味が沸いた人はみてくれればいい。典型的なハリウッド作品に飽きた人も、気分転換になるかもしれない。でも、是非観るべきと薦めまではしない。

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