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公開年:2011年
公開国:スペイン
時 間:89分
監 督:イグナシオ・フェレーラス
出 演:タチョ・ゴンサレス、マベル・リベラ 他
ノミネート:【2012年/第25回ヨーロッパ映画賞】長編アニメ賞(イグナシオ・フェレラス)
コピー:俺たちはきっと大丈夫だよ。




元銀行の支店長だったエミリオ。退職後は妻を亡くしてアパートで独り暮らしをしていたが、認知症の症状が出始めたため息子夫婦の介護を受けていた。しかし、症状が悪化しとても手が付けられなくなったため、養護老人施設に入所することになった。同室になったミゲルは、他の入所者から巧みに金銭をせしめコツコツため込んでいる人物で、どうにも信用ならない。一緒に食事をする女性アントニアは、面会に来る孫のためにバターや紅茶などを集めている。ドローレスという女性は健常だが、アルツハイマーの夫モデストの世話をするために一緒に入所していた。しばらくすると、自分が大事にしていた腕時計や財布が紛失してしまう。ミゲルの仕業と考えたエミリオは、ミゲルの荷物の中を探すが見つからない。そんな中、ミデストに処方されている薬と自分に処方されている薬がまったく同じであることに気付く。ほとんど無反応状態のモデストと同じ薬でいいはずがないと、医師に確認するのだが…というストーリー。

老人讃歌的な部分は一切ない。おそらく何割かの人が(いや、ほとんどの人かな)直面する事柄であることを考えると、ただただ痛い。延々と痛い。

老いは平等におとずれる…なんてことないという残酷な事実。各自におとずれる“老いの症状”は内容も進度も異なる。モデストを介護するドローレスとの、馴れ初めの思い出が素敵であればあるこそ、“二階”行きとなってしまった彼女が不憫でならない。じゃあ、どうすればいい…という代案がないという心苦しさ。頭から最後までその心苦しさを味わうことになる作品。

完全ではないのだが、主人公のエミリオ目線でストーリーは展開する。エミリオは、大事な腕時計や財布を同室のミゲルに盗まれたを思う。実際ミゲルは、ボケた婆さんからお金を巻き上げてため込んでいたりして、ものすごく胡散臭い人間に見える。その理由は終盤に明らかになるのだが、なぜそれをしたかったのかは、イマイチ不明。

(ちょっとネタバレ)
ミゲルは免許持ってなかったみたいだし。逃げたいだけなら、タクシーやら交通機関を複数乗り継いでいけばいいだけのこと。スピードを味わいたかった?それもなんか変。よくわからないや。

話を戻す。エミリオの症状を察したミゲルは、まだまだ健常であることを偽装するために手伝ってくれる。胡散臭さは何処へやらで、すごくいい人。でも、残念ながら二階行きになってしまったエミリオのベッドの下をみたミゲル。これが胃がぎゅーっとなるくらい悲しい。
腕時計や財布のくだりは、よくある“実は自分が犯人だった”系のお話になっていて、サスペンス・ホラー的な流れ。老いること=恐ろしさという意味では、身も蓋もない究極のホラーだよ。

“覚悟”。その一言だけが、焼印のように残った作品。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:クリス・バック、ジェニファー・リー
出 演:クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、ジョシュ・ギャッド、サンティノ・フォンタナ、アラン・テュディック、キアラン・ハインズ、クリス・ウィリアムズ 他
受 賞:【2013年/第86回アカデミー賞】歌曲賞(ロバート・ロペス、クリステン・アンダーソン=ロペス“Let It Go”)、長編アニメ賞
 【2013年/第71回ゴールデン・グローブ】アニメーション作品賞
 【2013年/第67回英国アカデミー賞】長編アニメ賞
コピー:凍った世界を救うのは――真実の愛。


アレンデール王国の王女エルサとアナの姉妹。幼い頃は大の仲良しだったが、触れたものを凍らせる禁断の力を持つ姉エルサが、その力によって妹アナを命を危うくしてしまい、それ以後、エルサは力を封印するために部屋に閉じこもってしまう。二人は顔を合わせることなく成長したが、国王夫妻が不慮の事故で亡くなってしまい、エルサが王位を継承することに。滞りなく戴冠式が終了すると思われたその時、突然結婚をするといい始めたアナに激昂したエルサは、力を制御することができなくなり、式の参加者の目の前でその能力を晒してしまう。失意のエルサはそのまま城から逃亡し、山奥に氷の城を築き再び閉じこもってしまうが、王国は氷の世界になってしまう。アナは王国を元に戻すために、エルサが住む雪山を目指すのだが…というストーリー。

Sisterhood的な内容の作品が昨今ウケているという分析をする人もいるが、身も蓋もない言い方をしてしまうと、男女の恋愛が脇役で、純粋に歌が楽しい作品だったからウケたんだと思う。

♪レリゴ~のキャッチーさはもちろんだけど、♪雪だるま作ろ~とか、♪僕と同じじゃないか!とか、日常生活でコント的に使えるシーンがたくさんある。一回見ただけじゃ覚えられないから、何度も観た人はいると思うし、2人じゃないと遊べないシーンもあるから、複数人で観に行くケースも多かったあろう。どちらかというと『ロッキーホラーショー』に近い部類、ニーズの作品だと思う。
よく、英語歌詞と内容が異なるとか文句タレてる人がいるけど、意訳して(時には意訳の範疇を超えて)歌いやすく且つ頭に残る語彙をチョイスしたからこその成果であり、それを批判する無粋な人間は、もっと元セリフにピッタリな歌詞を発表してみればよい。ただそれだけ。作品て楽しむために作っていることを忘れない方がいいと思う。

楽曲の愉快さは認める。でも、なんじゃ?と思うシーンも散見される。成長するまで、エルサが閉じこもっているという設定だが、戴冠式まで一瞬たりとも顔を合わせていない(もしかする会話すらしていない?)ということなのだろうか。なんでアナに事情を説明しなかったのか?してはいけない理由があるのか?という疑問。戴冠式で超久々にあったのに、3年くらい離れ離れで暮らしていた程度の反応にしか見えない違和感。

アナは、初対面の男に簡単に惚れて結婚まで決めてしまう浅はかさで、さらに相手の男は実はクソ人間という、主人公らしからぬ汚れっぷり。そして、とっても楽しい♪僕と同じじゃないか!のシーンの相手がそのクソ人間ハンスというね。

映画は敵役が大事と常々言っているが、貿易を強要してくるウェーゼルトン公爵のワルっぷりがいまいち不足。もっと周到に王国乗っ取りを進めるくらいの非道っぷりが欲しかった。ハンスの正体が発覚して、ウェーゼルトン公爵との合わせ技で一本程度の敵役具合か。ハンスも実は単独行動じゃなく、裏にはそれなりの支援勢力がいて、ハンス軍とウェーゼルトン公爵一派が、目的の競合によってぶつかり合って大乱闘。そのゴタゴタのおかげで間に合うとか、そういうギミックが必要だったかな。

前半は楽しい歌にあふれていたけど、後半はネタにできるようなお歌のシーンがないのも残念。最後、“愛”で片付けられちゃたのも残念。これ、子供は観たい観たいってねだるけど、後半になると寝ちゃうっていう『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のパターンや。

今回DVDで観てしまったんだけど、これはブルーレイで買わないとだめだね。緻密さが削がれるとちょっと興醒めするシーン(というか、本当はもっときれいなんだろうな…と気がそっちに行ってしまうシーン)が、ちょこちょこある。

余興ネタとしては最高。純粋な作品評価としてはまあまあって感じ。

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公開年:1940年
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:(アニメーション監督)ベン・シャープスティーン、(動画監督)ウォード・キンボール
受 賞:【1940年/第6回NY批評家協会賞】特別賞(ウォルト・ディズニー)
【1990年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品






『トッカータとフーガ』『くるみ割り人形』『魔法使いの弟子』『春の祭典』『交響曲/田園』『時の踊り』『はげ山の一夜』『アベ・マリア』をファンタスチックなアニメーションと古典音楽の融合によって表現した作品。

実は100円ショップで売っているのを見かけたので(版権切れでパブリックドメインになっている)、何気なく購入。『魔法使いの弟子』だけは観た記憶があるけど、他はおそらく観ていないはずなので。特に、地球誕生から恐竜の絶滅を描いた『春の祭典』は初見だ。
これまで100円ショップで販売しているこの手のDVDは、どんだけボロいフィルムを元にして作ったんだ?って感じの画質だったので、おそらくこれも同様だろうと思っていたのだが、案外画質がきれいでびっくり。
いいじゃん!と思っていたのだが一つ落とし穴。どうやら韓国で作られている模様で、一応日本語吹き替え音声が入っているのだが、カタコト。明らかに韓国人訛り。とても聞いてられないので原音で。本作はほとんどセリフがないのでいいのだが、もしかして同じく販売されているDVDもこうなのかな(『バンビ』も買ってしまった)。

1940年製とは思えないクオリティではあるが、子供が観るようなアニメとして製作されたのかは疑問。まず、身も蓋もない言い方だが、アニメ自体はあまりおもしろくない。目が飽きて眠くなる。ミッキーさん登場の『魔法使いの弟子』ですら、それほど楽しくはない。また、『くるみ割り人形』での中国人(清描写)はいかがなものか…とか、田園交響曲での裸体表現とか(隠すところ隠さないところの線引きポリシーがいないちわからない)。

やはり、音響技術面での挑戦という側面が強いな…と感じる。ディナーをしながら観てもいいんじゃないかっていうほど。誤解されるといけないのでフォローしておくけど、アニメのクオリティが低いわけじゃなく、単純に目を楽しませるという要素に長けていないというだけど、大人のアニメーションとしては全然アリだと思う。

『春の祭典』の地球誕生から恐竜滅亡までの描写は、地球誕生が6000年前だと主張する聖書ファンダメンタリスト的にはどうなんだろうな…と。ただ、はっきりと“地球”だと言ってないような気もするが。
#一部のDVDで『春の祭典』が削除されているものがあるらしいけど、理由はこれじゃなくて、スラビンスキーの版権問題だろうな。

別の話になるが、手塚治虫の『森の伝説』は、音楽との融合という方向性という意味では、完全に本作の影響を受けているね。
この手の作品は、真剣に観入るっていうよりも、環境音楽的に流しておくっていうニーズにマッチしているかもね。途中、2回くらい寝落ちした。

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公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:81分
監 督:ハワード・E・ベイカー
出 演:ライアン・マクパートリン、イヴォンヌ・ストラホフスキー、ロジャー・ローズ、ジェフ・ベネット、ポール・マイケル・グレイザー 他







レゴの世界。探検家のクラッチ・パワーズは、レゴ社のボスから召集される。武器のスペシャリストのブリック、生物学者のペグ、天才エンジニアのバーニーとチームを組み、宇宙の超特大刑務所“流刑惑星X-4”でおきた囚人の反乱の状況調査するミッションを任された。さっそく宇宙船で現地へ向かったものの、囚人たちの罠にはまり、宇宙船を奪われて囚人Ωの脱走を許してしまう。囚人Ωの正体は黒魔術師マロックで、魔法の世界アシュラー王国を支配するために“黄金の剣”を探していることを知ったクラッチたちは、王国のある惑星へ急行。黄金の剣の正当な継承者であるレヴェット王子を支援して、マロック打倒に立ち上がるが、肝心のレヴェット王子が臆病者で…というストーリー。

すっかり『LEGO(R)ムービー』だと思って借りてしまった(まだレンタルしてないか)。なんかつまんねーな…と思って調べて、別物であることに気づき、さらに観る気が減退してしまった。

ストーリーがあまりに凡庸。夏休みとかにNHK教育テレビでやりそうな感じだけど、放送されてたからってあえて観ようという気にならなそう。

せっかくのレゴの世界なのに、いまいちユニークさを出せていない。『インディ・ジョーンズ』シリーズとか『エイリアン2』など、著名なアドベンチャー作品をオマージュしているのかもしれないが、意図的に探さないと気づかないレベル。こういうのは、観客に気付かせてニヤリとさせないと意味がない。
レゴ自体は“リアル”なツールでしょ。カチャカチャ宇宙船とかを組み立てるシーンとかは非常におもしろいんだけど、魔法っていう“リアルじゃないもの”を対峙させるのが、意外とアンマッチだだった。世界観の醸成を阻害していたと思う。

細かい演出もセンスがない。骨で“LEGO”というメッセージをおくり、それが難局打開の鍵とか(世の中全部レゴなのに)、そういうメタっぽいネタみたいの、ちっともおもしろくない。
全部が全部、実際のレゴパーツで表現できていないこと(まあ、全部は無理なんだけど)が、意外と興醒め感を生んでいる。構造物がレゴで作られているのはよいのだが、その他の世界のほとんどがレゴブロックじゃなかったりする。どこまでがレゴで、どこまでがそうじゃない世界なのか、ポリシーというか定義は必要だと思う。

均質であることに対する、得体の知れない愛着というか興味みたいなもの(うまく表現できないけど)こそ、レゴの魅力だと思うのだが、それが全然湧いてこない。製作側がレゴの世界観をさほど愛していないのが伝わってくるようだし、子供だまし意識すら感じさせるのが敗因だと思う。
大人もかつてはブロックで遊んだ子供。レゴに対する思いではあるので、マジメすぎるほどマジメにつくらないとダメってこと。

ストーリーも気持ち悪い。チーム内の恋愛とか、全然おもしろくない。というか、チームにした点が生きていない。主人公のファザコンっぷりが気色悪い。急に王子に責任感が生まれたスイッチがまったく不明。なんで、クラッチはあっさり剣を抜くことができたのだろう…。etc。

っていうか、この作品、“レゴ キャッスル ガイコツの塔”っていう商品販促ビデオみたいなものだよね。本当に子供騙し作品って、イライラする。『LEGO(R)ムービー』はきちんとしていることを祈る。
#ガイコツさんのレゴはほしいんだけど、実際のボディは本作のとちょっと違うんだよなぁ…

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:コディ・キャメロン、クリス・パーン
出 演:ビル・ヘイダー、アンナ・ファリス、ジェームズ・カーン、ウィル・フォーテ、アンディ・サムバーグ、ベンジャミン・ブラット、ニール・パトリック・ハリス、テリー・クルーズ、クリステン・シャール、アル・ローカー 他
コピー :空から降った食べものが、おかしな動物になっちゃった!?





大西洋の小島にある町、スワロー・フォールズ。偉大な発明家になることを夢見るフリント・ロックウッドは、水を好きな食べ物に変える食べ物マシーン“FLDSMDFR”を発明したが、マシーンが暴走してしまい、巨大な食べ物をどんどん降らせてしまう。町をピンチに陥れたものの、何とかマシーンを破壊して大惨事を免れた。事件の直後、巨大企業“リブコー”の社員らが訪れて、町に降った食べ物の撤去作業を始める。リブコー社は町を元に戻すために、一時的に島民の避難が必要と勧告。リブコー社のあるサンフランノゼに全島民が避難することに。フリントはリブコー社の最高責任者・チェスターVに認められ入社。エリート社員“頭脳飛行士”の座を目指して発明を続けていたが、芳しい成績を残すことができず落ち込んでいた。そんな中、リブコー者の頭脳飛行士たちが、スワロー・フォールズでフード・アニマルに襲われているため、それを救えという指令が、チェスターVからフリントに下される。フリントと仲間たちは、いまだ起動中のFLDSMDFRを止めるべく、島へ戻っていくのだったが…というストーリー。

なぜか“晴れ”ときどきミートボールだと、いつも勘違いしてしまい、レンタルビデオやの「は」の棚を探して置いてないと思ってしまう私。今回もすぐに見つけられなかったという、成長しない私。

アクの強い絵柄と、いかにも子供向けに思えたタイトルやプロットのせいで、全然期待していなかったのに、予想外におもしろかった前作。いや、単におもしろいどころか、シナリオがしっかりしっかりしていて、そりゃあ続編もできるわなぁっていうレベル。

前作では、発明オタクである主人公が、ちょっと周囲からズレていながらも、その純粋さ故に共感と同調を得られたキャラだったのだが、今回では悪役チェスターVにすっかり騙されて、仲間たちが何をいっても騙され続けて、最後の最後になるまで気づかないという設定。おまけに悪役のチェスターVは、元々彼があこがれていたという設定。前半だけ騙されているというならいざしらず、ほぼ全編騙されている主人公が、共感も同調も得られるわけがない。

じゃあ、その分、絵柄で楽しさで補っちゃおうと思ったのだが、デザイン的にもイマイチ。バンズのゴマが全部、目とか気持ち悪いし。クリチャーデザインが、おもしろい線のを狙っているように見えて、地味に気持ち悪い。同じ形を繰り返すデザインが多い。生理的に受け付けない作品。いわゆる蓮コラを見ている感覚。

フード・アニマルは、そういう発明が生み出したという根本設定だからいいんだけど、チェスターVの秘書のオランウータンは何なんだろう。喋る類人猿がいるような世界設定だったけ?

結論をいうと、正式な続編でありながら監督も脚本替わってしまったせいなのか、いまいちおもしろくなかった。もしかすると、他のSF映画のパロディをやっているのかもしれないが、微妙すぎていまいちよくわからなかった。そう、すべてがいまいちな作品。

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公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:バイロン・ハワード、クリス・ウィリアムズ
出 演:ジョン・トラヴォルタ、マイリー・サイラス、スージー・エスマン、マーク・ウォルトン、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・リプトン、グレッグ・ジャーマン 他
ノミネート:【2008年/第81回アカデミー賞】長編アニメ賞
 【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】歌曲賞(Jeffrey Steele、マイリー・サイラス“I Thought I Lost You”[曲/詞])、アニメーション作品賞
 【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】歌曲賞(ジョン・トラヴォルタ、Jeffrey Steele、マイリー・サイラス“I Thought I Lost You”)、長編アニメ賞
コピー:『ずっと家族だって、信じてる』

ボルトはTVドラマでスーパードッグを演じているスター犬。しかし、ボルトはハリウッドのスタジオで育っており、本当に自分が飼い主の少女ペニーを悪の組織から守るために改造された犬だと信じきっている。それは、ボルトがリアルな演技をするように、製作スタッフがそう思い込ませているのだ。人気子役のペニーは、外の世界を知らないボルトのことを不憫に思っていた。そんなある日、ちょっとした間違いでダンボールに閉じ込められてしまい、そのままニューヨークまで搬送されてしまう。初めて外の世界に接触したボルトは、自分のスーパーパワーが発動しないことに困惑しつつ、ペニーがいるハリウッドを目指すことに。街で出会った野良猫ミトンズに道案内を命じるのだったが…というストーリー。

ピクサーがディズニーの完全子会社になった後の一発目の作品で、ジョン・ラセターが一から十まで携わった作品なのに、ピクサーの良さが皆無な作品。

まず、ボルトの設定がしっくりこない。ピクサーの勘違いキャラといえば、『トイ・ストーリー』のバズが思い出されるが、彼のような微笑ましさや愉快さは皆無。だって、貪欲な人間の都合で、スタジオの中で閉じ込められて、且つ騙されている状態なんだもの。『トゥルーマンショー』を思い浮かべる人が多かったと思うが、子供向けの設定としては、あまりにも可哀想で救いのないシチュエーション。
共演者の女の子もボルトのことを可哀想だと言っているが、結局はボルトで稼いでいる側の人間である。ボルトはなんとかペニーを救おうと気の遠くなるようなはるか彼方のハリウッドを目指す。騙されていたのに。搾取されていたのに。なんかせつない…それ以外にどういう感情が湧くというのだろう。ペニーのところにいったからって、意味があるのか?それほど、ペニーとボルトの間に絶対的な絆があったようには見えないから、騙されても虐待されても、ただ飼い主を守ろうとする健気な犬…にしか見えない。

スーパーパワーが発揮されたような偶然が度々おこって、ボルトの勘違いは続くのだが、これも面白くない。だって、不幸な勘違いが継続されるだけなんだもん。楽しいわけがない。
だいたい勘違いキャラが主役で、観ている子供たちは感情移入できるとは思えない。

騙していた女の子を救ってめでたしめでたし、役者も辞められてめでたしめでたしというオチで、ごまかされてしまいそうになるが、ボルトがそれを意図したわけではなく、単にペニーを救おうとして、結果オーライだっただけ。ただただ忠犬っぷりを発揮して、偶然で幸せになっただけ。それ、おもしろいか?

それに、別の犬が同じように騙されることになったわけだが、そういう不幸な犬が新たに生まれることについては、どうでもいいのか?自分がよければそれでいいんだな?色々、変なメッセージを発する結果になっている。何か、色々ひっかかる作品。

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公開年:2012年
公開国:フランス、ベルギー、カナダ
時 間:79分
監 督:パトリス・ルコント
出 演:ベルナール・アラヌ、イザベル・スパッド、ケイシー・モッテ・クライン、イザベル・ジアニ、ロラン・ジャンドロン 他
コピー:ようこそ、自殺用品専門店へ。ステキな“人生”をご提供致します。





絶望が蔓延している大都市。ここに住んでいる人々は、生きる意味を見出せず、次々と自殺していた。そんな中、唯一繁盛している“自殺用品専門店”があった。そこは、トゥヴァシュ一家が営む10代も続く老舗。父のミシマと母のルクレス、長女マリリン、長男ヴァンサンが、クスリとも笑わず、お客に自慢の自殺用具を勧めていた。そんなある日、トゥヴァシュ一家に末っ子アランが誕生する。両親はこれまで通りの教育を施したにも関わらず、アランは健やかで明るく超ポジティブ思考の少年に成長してしまい、両親の悩みのタネとなっていた。そのポジティブっぷりは止まることを知らず、とうとう店の自殺用具を“自殺できない用具”に改造する始末。おかげで、店は経営危機に陥ってしまう。しかし、ヴァンサンとマリリンは、アランの優しさに触れて徐々に気持ちが変わっていき…というストーリー。

とことん悪趣味なテーマだが、どこまで突き抜けた悪趣味を見せられるかが勝負の作品。よって、かわいいキャラは禁忌。このように気持ち悪い絵柄はマッチしていると思う。所々、味の無いデジタル彩色にがっかりする部分はあるが、映像的には悪くなかった。

ミシマ? 相変わらず、日本文化(というか自国文化以外)を勘違いしているフランス。いや、見下しているという表現のほうが正しいな。この優越思想の滲み出し具合は、確信犯以外の何者でもない。バカにしているつもりが微塵もないだけに逆にタチが悪い。カンヌ映画祭で、貧しかったり政情の悪い国の作品を見つけてきて、必要以上に持ち上げて、「意識の高いオレ、スゴイっしょ!」ってやってる自分の醜さにいまいち気付いていないのと同じ。

誰もが、自殺したくなっている街で、唯一流行っているのがこの一家の店という設定。ユニークではあるが、じゃあ、なんで社会は回っているのか?という描写が薄いのが難点。自殺した人の部屋に、救急車や警察が向かうわけだが、その公務員たちも自殺したいんじゃないのか?
ネガティブ思考に陥りながらも、商売や行政サービスをしている人々の様子をおもしろおかしく描くべきと思うのだが…そういう描写はない。

明るいアランが周囲を変えていくという展開は悪くない。でも、家族が急に罪の意識に目覚めるというのは、つまらない展開ではなかろうか(あまりに普通すぎるという意味で)。実は、安楽死の問題の通じるペーソス溢れる題材だと思うのだが、この監督は、それを理解していない…というか意識していないように見える。
いかにも教科書的な“生命万歳”じゃなく、悪趣味をとことん貫いた先に、光が見えるような作品にしてほしかった。

こういう腰砕け作品は好きじゃない。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ダン・スカンロン
出 演:ビリー・クリスタル、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェミ、ヘレン・ミレン、アルフレッド・モリナ、デイヴ・フォーリー、ショーン・P・ヘイズ、ジョエル・マーレイ、ピーター・ソーン、チャーリー・デイ、ネイサン・フィリオン、ボビー・モナハン、ジュリア・スウィーニー、オーブリー・プラザ、タイラー・ラビーン、ジョン・クラシンスキー、ボニー・ハント、ベス・ベアーズ、ジョン・ラッツェンバーガー 、フランク・オズ他
ノミネート:【2013年/第19回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:モンスターよ、大志を抱け。


体が小さくいじめられっこのマイクは、人間の子どもを怖がらせられる“怖がらせ屋”になることを夢見ていた。自分のウィークポイントを補うために誰よりも努力したマイクは、ついに難関校であるモンスターズ・ユニバーシティの“怖がらせ学部”への入学するのだった。しかし、迫力の一切ないという致命的な欠陥は、身に付けた知識と理論では如何ともし難く、彼は悩み続けるのだった。そんな中、自分とは正反対の“怖がらせ屋”の名門一族に生まれたエリート学生サリーと出会う。欠けているものを持っているサリーをライバル視するマイクだったが、結局、怖くなることができない彼は、とうとう学部を追い出されてしまい…というストーリー。

ビギニング物なんておもしろくなるのかな?という若干の疑念はあったのだが、アメリカの青春学園スポーツ物にの王道路線を踏襲したストーリーで、大変面白かった。ただ、友情物語であることに違いはないのだが、友情の質はいささか異なるし、前作のようなファンタジー要素は薄まっているので、同じノリを期待した場合に、がっかりする人もいるかも。なんといっても、主人公の年齢は下がってはいるが、むしろ内容あ、現実社会を強くと灯影していて、大人のほうが愉しめる内容になっている。チームメイトのお母さんとおっさんの同級生が結婚するくだりとか、明らかに子供向けじゃない(『シュレック』的なノリに近い)。

モンスターカードのくだりなんか特にそうだが、とにかくディテールが細かく、世界観に対する愛を感じる。そんな中でも、私が特に秀逸と感じたのは、退学になった二人の顛末である。現実的だが夢を損なわないという、挫折をこんなに綺麗に昇華した展開は、そう無いと思う。個人的には、前作よりも数倍好きかもしれない。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:クリス・バトラー、サム・フェル
出 演:アコディ・スミット=マクフィー、タッカー・アルブリジー、アナ・ケンドリック、ケイシー・アフレック ミッチ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、レスリー・マン、エレイン・ストリッチ、ジョン・グッドマン、ジェフ・ガーリン、バーナード・ヒル、ジョデル・フェルラン 他
ノミネート:【2012年/第85回アカデミー賞】長編アニメ賞
 【2012年/第66回英国アカデミー賞】長編アニメ賞
 【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:死者と話せる少年(パラノーマン)が、迷える<心>を介抱する。


ブライス・ホローという町には、300年前に魔女狩りが行われていたという言い伝えがある。町はその伝説を利用して、魔女のマークのグッズを販売するなど観光資源として利用していた。そんな町に住むノーマン少年には、死者と会話ができるという特殊な能力があった。しかし、そのせいで学校でも家族からも、すっかり変人扱いされてしまっていた。そんなある日、すっかり疎遠だったプレンダーガストおじさんがノーマンの前に現れる。おじさんは、自分にも死者が見えるという。そして、300年前に封印された魔女の魂が悪事をしようとするのを死者と話せる人間が長年防いできたという。自分の死期を感じていたおじさんは、ノーマンのその役目を引き継ごうというのだ。やがておじさんは自宅で発作をおこし死んでしまうのだったが…というストーリー。

『コララインとボタンの魔女』と同じ監督、スタッフによる作品。ストップモーションアニメとCGのミックスという手法も同じ。オールCGにしか見えないし(エンドロールを観るまでは、ストップモーションアニメだと思わなかった)、どっちかに寄せた方がいいんじゃないの?って思うかもしれない。でも、基本的にストップモーションが得意な人たちで、それをCGで補完するという手法が一番(出来映えの面でも費用面でも)効果的なんだろう。出来がよければそれでいいわけで、観客は手法を気にする必要はない。

ストーリーは、王道のホラー。特殊能力をもっている人間が疎外感を感じながら生きている。そこに幽霊やゾンビが登場し、町はパニックに。主人公は良い意味でも悪い意味でもキーマンとなる。そこに友情物語や、家族の絆などを絡めながら、町にかけられた呪いと、呪いの主を救うために四苦八苦する。ある意味、基本中の基本を忠実に描いている。ホモ兄貴とかビッチ姉貴とか、そういう脇キャラ設定も、80年代ホラーの臭いがする。

おそらく、アニメ作品じゃなければ、凡庸すぎて見向きもされない作品だと思うが、さほど可愛げも味わいも薄いキャラクターと、正統派ホラーの振幅がユニークといったところか。
特別面白いわけではないが、マジメに作ったことは伝わってくるし、作っている人たちもきっといい人たちなんだろうな…と感じる作品。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:92分
監 督:ゲンディ・タルタコフスキー
出 演:アダム・サンドラー、アンディ・サムバーグ、セレーナ・ゴメス、ケヴィン・ジェームズ、フラン・ドレシャー、スティーヴ・ブシェミ、モリー・シャノン、デヴィッド・スペード、シーロー・グリーン、ジョン・ロヴィッツ 他
ノミネート:【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】アニメーション作品賞
コピー:伝統と格式を誇るドラキュラのホテル。創業以来の大事件!
人間が紛れ込み、かわいい娘と恋に落ちた!?


人々を恐怖に陥れると考えられているモンスターたちは、実は人間のことを恐れていた。そんなモンスターたちが、怖い人間たちを避けて、安心してくつろげる場所を提供しようと、ドラキュラがトランシルバニアに作ったのが“モンスター・ホテル”だ。ドラキュラには、最愛の一人娘メイヴィスがいるが、明日は彼女の118歳の誕生日。そのお祝いに世界中からモンスターたちが集まってきた。これまで、人間と接触しないようにホテルの中から出してもらえなかったメイヴィスだったが、118歳になったら外の世界を見に行ってもよいという約束をしており、わくわくしていた。とはいえ、やはり人間世界と関わって欲しくないドラキュラは、ホテルから少し離れた場所に、人間の町のセットを作り、ホテルの従業員たちにメイヴィスを脅かすように命じるのだった。そして、すっかり人間のことがいイヤになって彼女は戻ってきてしまう。そんな中、世界旅行中の陽気な人間の若者ジョニーがモンスター・ホテルに迷い込んできてしまい…というストーリー。

いかにもつまらなそうな感じの絵柄で、まったく期待していなかったのだが、これが意外と巧みなシナリオで結構たのしめてしまった。

まず、モンスターが実は人間を恐れているという設定。そして、特にドラキュラが人間を恐れ、娘を完全な箱入りにしてしまった理由。そこに人間の若者が紛れ込んでくるのだが、本当は一番人間がくるのを恐れている存在なのに、他のモンスターにそれがばれてしまうとホテルの存続問題になってしまうため隠す側に廻らねばならないというシチュエーション。加えて、若者ジョニーが、娘メイヴィスを良さげな関係に発展するだけでなく、モンスターたちともうまくやってしまうという、ドラキュラにとってはなんとも複雑な展開に。チャラ男のジョニーとドラキュラが、打ち解けていく過程も、なかなか微笑ましかったりする。
これらの複数要素が絶妙にミックスされた、非常におもしろいシナリオだった。

ところが、最後の大団円に向かうストーリーの流れだけが、あまりにも稚拙。出ていたジョニーを連れ戻すために、怖がっていた人間の町に向かうドラキュラ一行。偶然、モンスターフェスティバルが開かれていたという流れは、まあ許すとする。しかし、そこで自分達がモンスターであることを告白したら、そこにいた人間たちが、何の躊躇もなくあっさり協力して、めでたしめでたしという展開は、いくらなんでもいい加減すぎる。画竜点睛を欠くとは、まさにこのことか。
この部分だけを作り直せばなかなかの名作になったであろう。非常に残念。

ちなみに、ジョニー役の吹き替えは、オリエンタルラジオの藤森がやっているが、意外や意外ウマかった。単におちゃらけキャラってことで安易にキャスティングされただけだとは思うのだが、芸人としてのフレーズを差し込まなけりゃ彼だと気付かない人がいたかも…と思うくらいいい出来。もっと評価されてよいのでは?

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公開年:1986年
公開国:イギリス
時 間:85分
監 督:ジミー・T・ムラカミ
出 演:ペギー・アシュクロフト、ジョン・ミルズ 他







イギリスの片田舎に住んでいる老夫婦のジムとヒルダ。子供は独立し都会暮らしで、年金で余生を静かにおくっていた。ジムは、世界情勢に疎くなってはいけないと、しょっちゅう図書館に出向いては新聞を観たり、TVやラジオのニュースに耳を傾けていた。ある日、戦争が始まりそうなことを知ったジムは、核戦争になることを恐れ、政府発行のパンフレットを入手し、そのとおりに簡易シェルターを作り始める。シェルターといっても、家のドアをはずして壁に立てかけた程度のもの。その他に放射線対策として窓に白ペンキを塗ったりしていた。すると突然、ラジオからあと3分で核ミサイルが到達することを告げる。急いでシェルターに入ったとき、原爆が落下、すさまじい光と熱風が周囲を襲い、家の中は瓦礫と化すが、二人は生きのびていた。窮屈なシェルターに留まるが苦痛になってきた二人は、家の中なら問題はなかろうと、家を片付け始めるのだが…というストーリー。

核というのは恐ろしいものだよ!ということを訴えたい作品なのは間違いないし、しばらく我慢したら、インフラが復旧するだろうとか、配給が始まるだろうとか、郵便やさんがくるだろうとか、純朴な老夫婦が、次第に蝕まれていく中でも、お互いを気遣いならが希望を捨てない姿に涙するところだろう(まあ、田舎なので、悲惨な死体がゴロゴロしている様子を見ていないから、事の重大さを把握できていないのかもしれんけど)。
紙袋をかぶるラストは、そのシュールさ故に、胃のあたりをえぐられるような感覚を覚える。
#アニメと実写を重ねた映像は、ユニークだが効果的かどうかは微妙。

息子や孫の安否を第一に考えて狂ったようにヤキモキしてもよさそうなものだが、電話は通じない、車も持っていない状況では、ある意味冷静な対応といえるのか。私なら、子供の話ばかりしそうなのだが、それをあまりしていないのを観て、もしかして、実はこの二人は状況を把握した上で、達観しているのではなかろうか?などと思ってしまったが、それはないだろうな。

ただ、東北の大地震後のすったもんだを経験してしまうと、正常性バイアスのお話に見えてくる。そのせいもあって、ジムじいさんが、政府のパンフレットに愚直に従ってシェルターを作ることを、なにか愚かな行為であるかのように描いているのか?なんて穿った見方もしてしまったり。もしかすると、大島渚プロデュースによる日本語吹き替えのせいで、そういう印象になったのかも。夫婦の行動に幾ばくか非があるように感じられてしまうと、じゃあこの老夫婦はどうしすりゃよかったのか?もっと政府に楯突くなりして、監視しなくちゃいけなんだ!ということか?と、穿った視点の連鎖がおこってしまう。
#本当は、後世の人の行動指針を示しているわけではなく、考えようよ!って言っているだけなので、そこに引っかかるのは無粋なのは判っているんだけどね。

このお話のままだと、ただ「こわいねー」で終わっちゃう。戦争ハンターイ!と言っているだけで戦争はなくならないし、人間に闘争本能と物欲がある以上、おそらく戦争の火種はなくならない。何で戦争はおこるのか?少なくとも、第二次世界大戦がなぜおこったのか。アホ左翼や中韓がいうような日本人の侵略行動が原因なんていっているうちは、戦争は起こるだろうね。この話を膨らます気はないけど、誤解を恐れずに簡単にいえば、窮すれば鈍する、金持ち喧嘩せず…ってことだ。
アメリカは金持ち資源持ちだけど喧嘩してるんじゃね?って思うかもしれないけど、実は定期的に戦争景気がないと一気に貧しくなる構造なんだと思うよ。
#では、シリア戦争を封殺されたアメリカはどうなるか。別の形の戦争を仕掛けるか、なんらかの形の内戦に向うのが、歴史の常だわな。

こういう名作に対する感想も変わってしまうくらいなので、やはり震災が日本人を大きく変えたのは間違いないだろうなぁ…と、変な方向で感慨深くなってしまった作品。経験とは恐ろしいものである。
#聖書にも詩にも詳しくないので、最後のエンドロールの意味は不明。理解できたら、もっと味わい深かったのかも。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:リッチ・ムーア
出 演:ジョン・C・ライリー、サラ・シルヴァーマン、ジャック・マクブレイヤー、ジェーン・リンチ、アラン・テュディック 他
受 賞:【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】長編アニメ賞
コピー:いま、ゲームの世界の“裏側”で“悪役キャラ”ラルフの冒険が始まる!
 「誰だって、ヒーローになりたいんだ…」



とあるゲームセンター。営業時間中は客を楽しませているゲームキャラクターたちは、閉店後“ゲーム・セントラル・ステーション”に集まって、他のゲームキャラクターと楽しく交流していた。しかし、このゲームセンターで30年も稼動しているアーケードゲーム“フィックス・イット・フェリックス”で悪役を演じる大男ラルフは不満だった。ゲームの世界では与えられたキャラクターに徹するのが掟だったが、本当は心の優しいラルフは、いつも厄介者扱いされることに耐えられず、みんなに愛されるるヒーロー・キャラになりたいと願っていたのだ。そんな中、自分以外のキャラクターが集まって稼働30周年記念パーティを開いているのを目撃。無理矢理押しかけてみたが、やっぱり邪魔者扱い。思い切って自分もヒーローになりたいといってみるが、悪役だからダメだとの一点張り。とうとう、自分もヒーローのメダルを手に入れてヒーローになってやると大見得を切ってしまう。そして、ルールを破ってシューティングゲーム“ヒーローズ・デューティ”に潜入し、何とかヒーローの証明であるメダルを獲得。自分のゲームに凱旋しようとしたが、ちょっとした事故で“シュガー・ラッシュ”というレースゲームに紛れ込んでしまい…というストーリー。

『トイ・ストーリー3』でチラりとトトロが出ていたのが布石だったか。本作では、様々な実在ゲームのキャラクターが登場する。すべて架空のゲームでも問題は別に無かったと思うが、ある意味ノスタルジーを醸しだしているということだろう。スト2にしてもマリオにしても日本発ゲームのキャラは長く愛されているな。それにしても、権利をクリアするために相当な金銭が動いているんだろう。ディズニーの潤沢な資金力による豪腕のおかげだな。
ベガが悪役なのはわかかるが、ザンギエフって悪役か?選択できるだろ。プレーヤーがチョイスする頻度はすくないと思うが…、そう考えると不憫なやつか。ブランカとかダルシムは、悩んでセラピーに来たりはしないんだろうな(笑)。

では、実在のゲームキャラ以外が従来のピクサーらしいかといわれるとそうでもなく、メイン舞台の“シュガー・ラッシュ”というゲームのキャラクターは、アジア人がデザインしたようで、無駄にかわいらしさを強調していていまいちしっくりこない。
カルホーン軍曹とフィックスの恋愛模様も、これまでのピクサーには無かった展開だな。おもしろかったけど、ワーナー系のアニメのノリみたい。

まあ、ピクサーらしさはちょっと薄れたと思うが、複数のゲーム世界を旅するというSFチックな舞台設定や、差別の打破と自己実現、困っている人と手助けして成長するという、子供向けアニメの王道だと思う。ラスボスの伏線も、ヴァネロペの正体も、ヒネリこそないが悪くない。

じゃあ、手放しでおもしろいか…というと、個人的にはあまり作品に入り込めなかった。それは、自分のゲームの中で受ける、生まれ付いての身分は変えることができないという差別。それを変えようと必死でがんばるけれど、そのがんばりの先に待っているのは自分のゲームの世界の崩壊(故障⇒廃棄)を意味する。ヴァネロペを助けることも、結果オーライではあったけど、当初ヴァネロペは“シュガー・ラッシュ”の世界を壊す存在とされていた。ラルフが良かれを思ってやっていることが、世界の破壊だという流れ…というのがどうもねぇ。
さらに、結局、自分を差別していた他のキャラと折り合いを付けて元の世界に戻る。これって、すごく大人の世界の折り合いの付け方。舞台は夢満載だけど、お話は夢が無いように思えるのよねぇ。

子供ウケは実際どうだったんだろうね。

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公開年:1988年
公開国:アメリカ
時 間:73分
監 督:ジョージ・スクリブナー
出 演:ベット・ミドラー、ジョーイ・ローレンス、ドム・デルイーズ、ビリー・ジョエル、リチャード・マリガン、ロスコー・リー・ブラウン、シェリル・リー・ラルフ、ドム・デルイーズ、トーリン・ブラック、カール・ウァイントローブ、ロバート・ロッジア、ナタリー・グレゴリー 他
ノミネート:【1988年/第46回ゴールデン・グローブ】 歌曲賞(“Why Should I Worry?”)




ペット屋で売れ残り、マンハッタンの片隅に捨てられた子猫。通りかかった野良犬のドジャーに、生き抜くコツを教えてやるといわれて付いていくが、ホットドッグ屋からソーセージを盗む片棒を担がされただけ。おまけに分け前も貰えなかったため、ドジャーを追跡。ドジャーと仲間たちが住みかにしている港の隠れ家に辿り着く。その隠れ家は、フェイギンという男の住処で、彼は借金取りのサイクスからの督促に苦しんでいた。犬たちは主人のために、小さな盗みを重ねていたが、集めてくるのはガラクタばかりで返済の足しにはならない。そんな中、2匹のドーベルマンを連れてサイクスがやって来て、「3日以内に金を返さないと命はない」と最後通告するのだった。ドーベルマンの顔を引っかいて抵抗した子猫は、犬たちの仲間になり、彼らの盗みに協力することになった。しかし、盗みを働こうとした車には、金持ちの家の娘ジェニーが乗っており、子猫を見つけると家に連れて行ってしまう。そして“オリバー”と名付け、飼いはじめるのだが…というストーリー。

『オリバー・ツイスト』を原作としているようだが、欧米では、純真な極貧の子供が金持ちの家に拾われ…というストーリーが多いような…。立身出世物語とは違うこの手のプロットに、個人的には魅力を感じない。まあ、金持ちが貧乏になって苦労する…という『小公女セーラ』とかのほうがまだピンとくる(いや、最終的には『オリバー・ツイスト』も実は…ってオチだから同じか)。
とはいえ、それほど直球で、『オリバー・ツイスト』って感じではないので、気にすることはないか…。まあ、子供向けアニメでエグい犯罪行為をやるわけにもいかないか。

ドジャーの吹き替えは、松崎しげる。80年代、積極的に役者としての仕事をしているけど、劇場アニメの吹き替えは先日観た『コブラ SPACE ADVENTURE』と本作くらいではなかろうか。一本調子でさすがにプロの声優のレベルには達しているとはいい難いが、非常に味のある声で、昨今のいっちょ噛みのタレント声優よりは遥かに優秀。もっと声優の仕事をしてもよいのでは?と思うが、ギャラに見合わないんだろうね。
#あ、他にも木の実ナナ、尾崎亜美と本作はなかなか豪華。

絵の線が荒くて、従来のディズニー作品とはイメージが異なる印象。低予算で少しリミテッドな感じかしら…なんて思っていたが、どうしてどうして。CGか?と見まごうほどによく動く。車の周囲をパーンする画など、おそらくフィルムから原画をおこしているのか、模型を角度を変えて見ながら描いたんだろう。今時の、適当にフレームワークで原画を描いてみました的ものとは、質というか他の絵との親和性が違う。こういう執着を感じられる仕事は、観ていて気持ちが良い。技術的には快作である。

ただ、ストーリー的に疑問なのが、フェイギンというダメ人間(というか半分犯罪者)を何であの犬たちは慕って尽くしているのか。ユニークで愛嬌のある5匹なので、悪い犬に描く気はないはず。そんな犬たちが、当たり屋をやっちゃうくらいなんだから、よっぽど恩義があるんだろう。『オリバー・ツイスト』では窃盗団の頭だからわかるんだけど、犬たちにやさしい…以外になにか過去のエピソードの説明場面がないと、ちょっと説得力に欠けるような。逆に、犬もフェイギンが犯罪者だとわかってくっついているっていう方に倒してもよい。
途中で話は、金持ちの女の子の誘拐に展開して、その辺はうやむやになちゃうんだけど、やっぱ、ベースのキャラ設定は明確じゃないとダメだよね。フェイギンの改心の意味が薄まっちゃってる。
まあ、難点はここだけなんだけど、このせいで、私はストーリーに入り込めなかったかも。

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image2180.png公開年:2010年
公開国:フランス
時 間:84分
監 督:ミッシェル・オスロ
出 演:坂本真綾、逢笠恵祐、金尾哲夫、西島秀俊 他






夜の古い映画館で、好奇心旺盛な少年と少女、初老の映写技師が紡ぐ5つお話。
【狼男】中世ヨーロッパ。姉妹が一人の騎士を愛するが、騎士は姉を選び結婚することに。しかし、騎士は満月の下で苦しみだす。そして「自分は狼男だ」と告白する。それを聞いた姉は、夫婦の間に隠し事は無用だと、騎士を狼男に変身させる。すると突然、狼に襲われたと姉が騒ぎだしたため騎士は森へ逃走。さらに、姉は狼の討伐隊を森に送りこむ。狼がかわいそうだと思った妹は、一人で森に入ると、そこの狼が現れ…。
【ティ・ジャンと瓜ふたつ姫】カリブ海の島。ある青年が、たまたま死者の国に迷い込んでしまう。死者の国には美しい“瓜ふたつ姫”がいると聞き、見てみたいと考える。しかし、そのためには、巨大な蜂、マングース、イグアナという怪物たちをやりすごさなければいけないという。死者の国で出会った老人が教えてくれた手段は、いずれも怪物たちを傷つけるもので、かわいそうに思った青年は別の手段を考えて、それらを突破していく…。
【黄金の都と選ばれし者】古代アステカの黄金の都。黄金にあふれた豊かな国を訪れた一人の少年。しかし国中が人々が暗い顔をしていることに気付く。理由を尋ねると、年に4回、美しい娘が都を護る怪物の生贄になるとのこと。そんなことはおかしいと、少年は生贄をささげるとの時、怪物に対峙するのだったが…。
【タムタム少年】アフリカ。太鼓が好きだが、村中の人々から役立たず扱いされ、太鼓を叩くことがゆるされない少年がいた。そこで、村はずれにいる太鼓の達人に師事。技を極めた少年は、叩くと聞いた人々が踊りだす魔法の太鼓をもらい、村に帰還する。すると、村は他の部族の高原を受ける。少年は太鼓を使って、攻めてきた戦士を躍らせて撃退するのだったが…
【嘘をつかなかった若者】チベット。言葉を話す王の愛馬を預かっている若者がいた。その若者は“決して嘘を就つかない”と噂される人柄で、王から絶大な信頼を得ていた。隣国の王がその噂を聞き、とある賭けを申し出る。私は若者に嘘をつかせてみせる。お互いの領地の半分を賭けよう…と。若者を信頼している王は、隣国の王の申し出を受ける。すると、隣国の王の娘は、身分を偽って若者に接近し、自分に恋するようにしむけ…。
【鹿になった娘と建築家の息子】中世ヨーロッパ。とある娘は建築家の息子と恋におちていたが、暴虐な魔術師に目を付けられ、無理やり結婚させられる。諦めきれない建築家の息子は、結婚指揮の途中に、娘を奪い去る。父が建物に施した仕掛けで一旦は逃げるものの、結局魔術師に魔法をかけられて、娘は鹿に変えられてしまう。建築家の息子は、その魔法を解こうと、妖精に助けを求めるが…。

『夜のとばりの物語-醒めない夢-』を誤って先に観てしまったため、すぐにでも本DVDをレンタルしたかったのだが、行き着けのレンタル屋に2枚あるのだが、ず~~~~っと借りられっぱなし。この作品、そんなに人気があるのか…??。

さすがに先にチョイスされてDVD化された6本だけあって、『-醒めない夢-』のお話たちよりキレのある話が多く、正直おもしろかった。毎回、アジアを題材にしたエピソードがあるのだが、今回はチベットのお話がそれ。ただ、全然チベットな雰囲気じゃなかったのが残念。

ただ、シュールな終わり方をするお話が多かったと思う。『狼男』は「狼でも私は愛します!(キリッ)」みたいな台詞で、スパッとおしまい。周りの人は「………」みたいな感じ。姉はとっちめられるわけでもなく。
『瓜ふたつ姫』も、「久々に恋人に会いたくなったなー、じゃねー」で、周りはポカーンみたいな。なんなんでしょね、このノリ。勧善懲悪的な話に簡単にできるのに、今回は避けているような気がする。効果のほどは微妙だけど。

ただ、あまりにもクレイジーなお話が一つあって、これだけは納得がいかないい。それは『嘘をつかなかった若者』。隣国の王の娘が領地を乗っ取るために、純朴な男を色香でだまくらかすの。自分にメロメロになったな…と思ったら、「うう、苦しい…」とか演技しはじめて、「しゃべるウマの心臓を食べれば治る」とか言うわけ。悩んだ若者はウマに相談。ウマは若者のために自殺する。若者は親友の死にショックを受けつつもウマの心臓を料理して娘のところに持っていったら、娘はいないわけ。王から預かっていた馬が死んでしまったけど、若者は王に正直に言えるか?って展開に。結局、若者は正直に顛末を話す。そのせいで、王は隣国の王との賭けに勝って領地の半分を入手。さらに、あの娘が登場しまあ正直ね…と、結ばれる。ふぁっつ?!?!自分をだまくらかして、ウマを死に追いやった娘の顔をみたら、その場で殴りかかるだろ。なに、普通に結ばれとんねん。
おまけに、しゃべるウマは死んだけど、歌う馬との間に子供ができてるのよ…とか抜かしやがる。だからなんだ。関係ねーだろ。死ねや!(これが普通の感覚でしょ)。もう、気違い&気違いですわ。
自殺する直前に、歌う馬と子作りに励んでいるウマを想像すると、それはそれでシュール。

ちょっとドンデモな領域に足を踏み込んでいる気はするけど、文句も含めて面白かったので、軽くお薦め。

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プロフィール
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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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