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image2024.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:トッド・グラフ
出 演:クイーン・ラティファ、ドリー・パートン、キキ・パーマー、ジェレミー・ジョーダン、コートニー・B・ヴァンス、デクスター・ダーデン、ジェシー・L・マーティン、クリス・クリストファーソン、カーク・フランクリン、デキーナ・ムーア 他
コピー:歌えば心はひとつに!



不景気にあえぐ町、ジョージア州パカショー。沈んだ雰囲気の中、町の教会の聖歌隊が全国大会“ジョイフル・ノイズ”で優勝することを応援することが、人々の楽しみとなっていた。しかし、いつも地区予選止まり。今年こそはと意気込んでいたが、これまで聖歌隊を指導してきたバーニーが突然亡くなってしまう。牧師は、新たなリーダーにヴァイ・ローズ・ヒルを選ぶが、自分が後を継ぐと思っていたバーニーの妻G.G.スパロウは、ヴァイと対立。さらに、ヴァイが正統派のゴスペル・スタイルに頑なにこだわったため、メンバーとの間に不協和音が生じる。そんな中、G.G.の反抗的な孫ランディが現れ、ヴァイの娘オリビアにアプローチし始める。次第に二人の距離が縮まっていくの見て、G.G.とヴァイの仲はますます険悪になっていき…というストーリー。

教会でゴスペルをやってるのは見慣れた光景だが、見た目以上に宗教色が強い。とにかく神様を称えることばかりが繰り返し語られて、ちょっとうんざりする。

ゴスペル映画といえば、『天使にラブ・ソングを…』だが、ああいう愉快さはないし、とにかく演出が中途半端。町中のみんなが楽しみにしているっていう設定らしいが、町中がこの聖歌隊のことに注目している感じが全然伝わってこない。バーニーとG.G.スパロウが夫婦なことに、気づかなかった私。はじめにあっさり死んじゃうから記憶に残ってないし、後で回想シーンになるけど、かなり後なので、結びつかなかった。だって、夫が死んだ後なのに、他のメンバーと同じくらいの悲しみ具合だったんだもの。

結局なんでG.G.が整形し続けるのかもよくわからんし。工具屋の男がなんで、あんなに踊りがうまいのかよくわからんし、スポットを当てるほど彼の心情を描けていない。東洋系の人とせっかく結ばれたのに、相手が死んでしまう黒人女性。彼女に東洋人の相手が続けてできる演出意図もわからんし、その面白さもわからん。
全国大会の途中のホテルで、娘に激昂するヴァイの喋っている内容の意味がさっぱりわからん。夫との不和の理由もいまいちわからん。アスペルガー症候群の息子をわざわざ登場させたが、その障害も、感動の一助になってないし、ステージにあまり貢献していないし。出す意味あったかな…。

G.G.が離脱した後に、秘策を思いついて復帰するくだり。そのトンチが全然おもしろくない。車をぶっとばして飛行機に乗ればベガスでの大会に間に合う…という展開だが、飛行機に乗るシーンはなし。ハラハラさせるつもりがないようだ。
大会の舞台で、突然衣装を脱ぎ捨てて私服になるとか、完全に『天使にラブ・ソングを2』の超劣化版。結構、ヒドいシナリオかも。

さらに、DVDでは、歌に字幕がないの歌の内容がわからない。もう、やる気がないならリリースするな…って感じ。稚拙な作品。
#どうでもいいけど、太った黒人女性が多すぎ。クイーン・ラティファは、出る作品のレベルがだんだん落ちていう気がする。

 

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image2019.png公開年:1998年
公開国:イギリス
時 間:124分
監 督:トッド・ヘインズ
出 演:ユアン・マクレガー、ジョナサン・リス=マイヤーズ、クリスチャン・ベイル、トニ・コレット、エディ・イザード、エミリー・ウーフ、マイケル・フィースト、ミッコ・ウェストモアランド、リンゼイ・ケンプ 他
受 賞:【1998年/第51回カンヌ国際映画祭】芸術貢献賞(トッド・ヘインズ)
 【1998年/第52回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞
 【1998年/第14回インディペンデント・スピリット賞】撮影賞(マリス・アルベルチ)
コピー:もっと、グラマラスに もっと、スキャンダラスに70'sロンドン、世界を変えられると思っていた。

1984年、ニューヨーク。ヘラルド紙の記者であるアーサーは、70年代初頭のロンドンでカリスマ的人気を誇ったロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドの追跡調査を編集長から指示される。アーサーはロンドン出身で、ロック少年だあ自分が過ごしたロンドンを思い出すのだった。ブライアンは、宇宙時代の神“マックスウェル・デイモン”をステージで演じ、グラムロックの旗手としてカリスマ的存在だったが、74年のワールド・ツアーの最終日にステージ上で暗殺される。しかし、それはマックスウェル・デイモンという架空の役柄を演じることに疲れたブライアンの狂言だったことが4か月後に発覚。彼の支持者は激しく失望し糾弾する。そのまま、ブライアンは消息を絶ったのだが…というストーリー。

ユアン・マクレガーが主演となっているが、主演はどうみてもジョナサン・リース=マイヤーズだろう。でも、ユアン・マクレガーを主演扱いしたくなるのは、カート・ワイルドの野外ライブを演じる彼の演技を観れば理解できる。大胆でキレキレの演技は、狼に育てられたと噂がたつほどの男を見事に演じ、すっかり観ている側を納得させてしまう。そして、単なるバイセクシャル的な風貌だったブライアン・スレイドに、羨望と困惑と羞恥心の入り混じった表情をさせ、完全な転換点であることを、強烈に印象付けている。

また、クリスチャン・べール演じるアーサー記者が、ロック少年だった自分の過去と、ブライアン・スレイド関係者の証言とが照らし合わせ、そして交錯させながら、ストーリーを展開させていくのが、非常にユニークで秀逸な構成だと思う。

実際のロックの歴史としてグラムロックが正しく表現できているか否かは脇においておくとしよう。音楽シーンに詳しい人には、納得できない描写が盛りだくさんに違いない。でも私は洋楽は詳しくないので。詳しくはないけど、グラムロックは好きなジャンル(“20th Century Boy”もグラムロックの範疇か)。

モダンなイギリスと、いかにもショービジネスなアメリカの音楽シーンの比較が、発信側と受け手側の境界のあるべき姿というものを考えさせてくれる。「世界を変えようとして自分を変えてしまった」 自分がムーブメントの中心になればなるほど、まるで量子物理学でいうところの観察者効果のように、客観と主観が渾然となり混乱の極みに達する。その破綻の結果が、狂言暗殺だったわけだが、果たしてそれは破綻だったのか否か…。この視点は実におもしろい。

シナリオ上、ちょっと理解できないのが、なんでヘラルド紙はこのタイミングでブライアン・スレイドの追跡調査をしようと思い、なんでその調査に突然興味を失ったのか…という点である。特に陰謀だとか作為があったわけでもなさそうで、そこだけなにか釈然としない。

14年前の作品だが、時間が経過して、妙味がじわじわとわいてくる作品だと思う。評価がぱっくり分かれる作品だとは思うが、未見の方にはお薦めしたい。

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imageX0085.Png公開年:1994年
公開国:イタリア、フランス、ベルギー
時 間:106分
監 督:ジェラール・コルビオ
出 演:ステファノ・ディオニジ、エンリコ・ロー・ヴェルソ、エルザ・ジルベルスタイン、カロリーヌ・セリエ、ジェローン・クラッベ、マリアンヌ・バスレール、オメロ・アントヌッティ 他
受 賞:【1994年/第52回ゴールデン・グローブ】外国語映画賞
【1994年/第20回セザール賞】音響賞(Dominique Hennequin、Jean-Paul Mugel)、美術賞(Gianni Quaranta)

 

カルロ・ブロスキは10歳の時に去勢され、カストラート(去勢された男性歌手)となる。彼の8歳上の兄リカルドは弟の歌の才能を愛し、弟のために曲を書き、その歌を弟が唄うという関係を続けていた。二人は芸も私生活も一心同体だった。ある日、イギリス宮廷作曲家ヘンデルがナポリの街頭でカルロの歌声を聴く。その歌声に驚いた彼は、カルロにロンドンにくるように誘うのだったが、リカルドも一緒来るという条件は受け入れられなかったため、ロンドンにいくことはなかった。それから12年。30歳のカルロはファリネッリと名乗り、その歌声で女たちを魅了し続けていた。興行先では、人気者のファリネッリが女性を誘惑し、去勢されているファリネッリに変わり肉体的な喜びを女性に与えるという奇妙な夜を過ごしていた。そんな時、ファリネッリは、アレクサンドラという女性から、ロンドンにある貴族オペラ座の窮状を救って欲しいと依頼され、彼の地に向かうのだったが…というストーリー。

ファリネッリは実在した伝説のカストラート。ただ、史実では、歌手として名声を得て、王室歌手として長年活躍し、裕福な晩年を過ごしたという人物。どちらかといえば順風満帆で紳士だった彼の人生が、どれだけドラマチックに描けるというのか。
案の定、本作は伝記物なのか…といわれると甚だあやしくなる。兄の設定や去勢の方法が、どこまで史実なのかどうかは不明だが、兄との確執話はおそらくフィクションだと思われる。本作を伝記映画とカテゴライスすることはできないだろう。落馬したから去勢されたのか、去勢の言い訳で落馬したことになれたのか。元々裕福な家の子供だったらしく、貧しさ故に一か八かで去勢されたわけではないだろう。

とにかく、兄弟で女性を分け合う描写は、気持ち悪い。弟が去勢されていたからといって、途中で兄と入れ替わる約束?なんのこっちゃ。この去勢というのが、中国歴代王朝における宦官のように、陰茎も睾丸も取るようなものだったのか。いや、おそらくカストラートの場合は、睾丸だけを取っただけだと思われるので、子種を残す目的でないのならば、別にファリネッリ一人だけで、女性と性行為をすることは可能なのだ。じゃあなんでか…、そういう兄弟の約束だから…って、父親のいいつけが発端とはいえ常軌を逸している。なんと趣味の悪い脚本だろう。
ラストに至っては“音楽同様、共作の成果…”という「だから何?」という展開。これで終わられてもねぇ…。ただの、趣味の悪いエグいエロ話の域を出ていないと思う。

ただ、いくらカストラートといっても不具者であることにはかわりなく、ファリネッリは身体障害者である伯爵夫人の子供に深くシンパシーを感じてしまう。そして、その子に父親になってほしいとねだれると、素直に伯爵夫人に結婚を申し込んでしまったりする。自分の才能を愛している反面、引き換えにしたものの大きさに、引き裂かれるような感情は、ファリネッリが随所に見せる潤んだ瞳が物語っているということだろう。

しかし、モチーフの人物や世界観の重厚さがないせいなのか、どうも、私には空々しく感じられた。同じ音楽家の作品である『アマデウス』と比較すると、5分の1のおもしろさもないと思う。

技術的に着目すべきが、ファリネッリの歌声を再現するために、男性と女性の歌をシームレスに合成したところなのだろうが、残念なのは、せっかくの歌声が、口パクに見えるという点。いや、実際口パクなので、当たり前なのだが、その歌声が出ているんだろうな…というアゴやのどの動きをしていないんだもの。そこで興醒めさせちゃダメだと思う。

もう一度いうが、客観的に評価できないほど、気持ち悪かった。感銘を受けたところもなし。もう二度と観ないと思う。

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image1807.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:フローリア・シジスモンディ
出 演:クリステン・スチュワート、ダコタ・ファニング、マイケル・シャノン、ステラ・メイヴ、スカウト・テイラー=コンプトン、アリア・ショウカット、ライリー・キーオ、ジョニー・ルイス、テイタム・オニール、ブレット・カレン、ハンナ・マークス、ジル・アンドレ、レイ・ポーター、アリー・グラント、ブレンダン・セクストン三世 他
ノミネート:【2010年/第19回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(ダコタ・ファニング、クリステン・スチュワート)

1975年、ロサンゼルス。ジョーン・ジェットはロックバンドを仲間を集めていたが、女性ロックバンドなど存在しない時代、誰にも相手にされなかった。そんなある日、プロデューサーのキム・フォーリーと出会い、自分の思いを伝えると、彼は少女だけのバンドに売れる予感を感じ、メンバーを集める。一方、普通の少女でいなければいけないことや、自分の音楽の趣味を共感できる友達がいないことに不満を感じていたシェリー・カーリーは、派手な服とメイクでクラブに出かけると、そこでキムの目にとまり、ジェットのバンドのボーカルに抜擢される。こうして、平均年齢16歳のガールズ・バンド“ランナウェイズ”が結成されるのだったが…というストーリー。

申し訳ない…というか、本当に何の予備知識もなく、レンタル時もパッケージの謳い文句も何もみないで借りたので、舞台が1975年だと、中盤を過ぎても気付かなかった。
だって、ファッションもデザインも一周廻ってアリ状態だし、貧しい様子も今のアメリカじゃ存在する感じなんだもの(あれ? もしかして今のアメリカ市民の貧困具合って、この時代と同じレベルなんじゃねー?)。

日本ツアーになって、また変な“ニッポン”表現満載だのぉ~なんて感じだったのだが、さすがにその古臭いブラウン管TVはないでしょ、オブジェ? なんて思ったところで、ハッと気付いた。「これ現代じゃねえ…」って。そして、最後、「アイ・ラヴ・ロックン・ロール」が掛かる。え?え?もしかして実話かよぉ!!!!! すまん、私、洋
楽詳しくないのよ。洋楽に詳しい人ならジョーン・ジェットって聞いたらピンとくるんだろうね。

なんか、バンドがダメになりかけたあたりから、ストーリーがグズグズになって、普通なら発奮するなり、仲直りするエピソードなりが盛り込まれて最後は大爆発! みたいな展開になるはずなのに、グズグズのままなのは変だなぁ…とは思っていたんだ。実話ならしゃないわ。

バンドの楽しさ、それもガールズバンドの楽しさみたいなものが伝わってくるので、多少下品な表現があっても音楽少女たちにお薦めしたいところなんだけど(ディズニー系の音楽系はお行儀が良すぎるからね)、あまりにも品行方正&遵法という概念が欠けていて、一緒に観るのがはばかられるレベル。

また、クリステン・スチュワート演じるジョーン・ジェットと、ダコタ・ファニング演じるシェリー・カーリーが二枚看板みたいになってるのが、それが面白さの足を引っ張っている。知名度としてはジョーン・ジェットのほうなんだろうけど、人間ドラマとしてはシェリーに焦点を当てるべきで、むしろジョーンは脇役でよい。演出上も、ジョーンは溢れるバンド愛を見せてくれるが、シェリーとの間に特別な感情があったように見えないのが致命的。
シェリー・カーリー自身が原作のお話なので、シェリー目線を貫き通してもよかったと思うのだが…。

さらに、本作の演出が稚拙だな…と思うのは、時間がどのくらい経過したのか、ピンとこないこと。世界ツアーまで、あれよあれよと数ヶ月で上り詰めたよに見えるけど、実際は2、3年は経ってるんでしょ? 最後、喧嘩別れするスタジオのシーンだけど、この時点ではほとんどレコードなんか出していない状態で空中分解したように見える。でも、実際は何枚もLPを出している(ウィキペディア調べ(笑))。ある程度の成功を掴んだ末に…って感じに見えない。

そして、一時的なチャンスは逃したかもしれないけど、むしろ、方向性の違うシェリーと、離れたほうが正解だよねと、誰もが思ってしまうので、別にハラハラしない。また、「人生を取り戻したい」というシェリーだが、彼女が家を離れたことで何かを失ったようにも見えないし、元々取り戻すような家庭でもない。実際に半ば自堕落な生活を送ってるだけだし、こっちとしては「はあ?」状態で、何一つ共感できないから、最後、ラジオを通してジョーンにコンタクトを取ったシーンみ、ぜんぜん感慨深くない。

時代背景なんかを考えると、ものすごく面白くなる題材だと思うのだが、事実&原作に縛られちゃった感じ。バンドの楽しさが伝わってくることだけが唯一の救い。特にお薦めはしない。
ダコちゃん、こんな役やらんでもいいんちゃうの?と思ったわ。

#「韓国にガールズバンドができた…」とかジョーンが言うんだけど、これってなんのこと?唐突じゃね?そんなバンド本当に存在したのか?(また、へんなゴリ押し工作なんじゃねえの?笑)




負けるな日本 

 

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image1816.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:シャナ・フェステ
出 演:グウィネス・パルトロー、ティム・マッグロウ、ギャレット・ヘドランド、レイトン・ミースター、マーシャル・チャップマン、ジェレミー・チャイルズ 他
ノミネート:【2010年/第83回アカデミー賞】歌曲賞(Hillary Lindsey、Troy Verges、Tom Douglas“Coming Home”)
【2010年/第68回ゴールデン・グローブ】歌曲賞(Troy Verges、Hillary Lindsey、Tom Douglas、Bob DiPiero“Coming Home”)

カントリー界のスター歌手ケリーは、ダラスでおこしたライブ中の事故の治療のため、リハビリ施設に入っていた。しかし、治療半ばにして、マネージャーの夫ジェームズが段取りした復活ライブツアーに無理やり出演することに。彼女は、入院中に知り合い、その歌声に惚れたボーと前座に推薦。ジェームズは若い新人歌手チャイルズを帯同させ、その二人とともにツアーを薦めていく。いくつかの失態を重ねながらも、徐々に以前の輝きを取り戻していくケリーだったが、ツアーのラストステージ、因縁のダラスを迎え…というストーリー。

一人の女性カントリー歌手の復帰を通して、変化・成長していく人々の様子を綴ったストーリーである。

カントリーってよく日本の演歌に比定されたりするけど、ちょっと違う。もっとナショナリズムとかパトリオット的な感覚を多分に含むよね。
また、音楽性云々よりも、カトリックとの関係が深いように見える。だから、ケリーは、子供を死に至らしめてしまったことを、“子殺し”だと延々とバッシングされるわけだ。
ただ、ストーリー展開上、何で彼女がバッシングされているのかの詳細は、終盤になるまでぼやかす。ダラスの出来事ってなんだ?って感じで、観客の興味を引っ張る。

ボーが、場末の酒場に戻っていくのが、本作の一つの答えでもある。ツアーの大観衆の前で歌うカントリーは、カトリックの教義とは真逆の許しのない社会の中にあった。そんな世界で歌うカントリーなんか偽者じゃないのか?心を通わせてこそ歌う意味があるんじゃないのか?
もっともらしいんだけど、マルクスがいうところの“疎外”っていう概念だね。流通したりメディアを通して人に伝播するときには、そういう感覚を覚えるのが自然なの。そこの割りきりができないと大商いにはならない。そして、夫はそっちが普通だと思っている人で、ケリーの心境を軽く考えてしまう。彼女の心は癒されるどころか、ますます荒んでいく。
こじれてしまったけど、少なくとも心の拠り所になってくれたボーには幸せになってもらいたい。そのボーと一緒に歩むのか、自分と同じ道を進むのかはわからないけれど、チャイルズには自分と同じ失敗は犯して欲しくない。そう思ったケリーは、チャイルズに歌手として何を大事にすべきなのかを実践して見せる。そして…。

全体的には、さほどドラマチックなストーリーではないんだけど、演技も歌もみんなウマいので、見ごたえばっちりの人間ドラマ。久々に心の機微を読み取ることにおもしろさを覚える作品。軽くお薦めしたい。
未公開作品らしいんだけど不思議。そんなに悪くないでしょ、これ。グウィネス・パルトローは本当に歌ってるのか?そうだとしたら相当ウマいなぁ。

#土地の広さの問題もあるかもしれないけど、大スターでもバスでツアーなんだなぁ。機材だけバスで送って、本人と取り巻きは飛行機の方がいいんじゃないのかね。不思議。



負けるな日本

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image1280.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:カーステン・シェリダン
出 演:フレディ・ハイモア、ケリー・ラッセル、ジョナサン・リス=マイヤーズ、テレンス・ハワード、ロビン・ウィリアムズ、ウィリアム・サドラー、レオン・トマス三世、ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ、ミケルティ・ウィリアムソン、アーロン・ステイトン、ロナルド・ガットマン 他
ノミネート:【2007年/第80回アカデミー賞】歌曲賞(Tevin Thomas、Charles Mack、ジャマル・ジョセフ“Raise It Up”)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】若手男優賞(フレディ・ハイモア)、ファミリー映画賞
コピー:きっと会える。この音の先に、愛が聞こえるから。

ニューヨークの養護施設で育った11歳の少年エヴァンは、類い希な音楽の才能を持っており、音楽こそが自分を両親の元へ導いてくれると信じて疑っていなかった。11年前、新進チェリストのライラとロック・ミュージシャンのルイスが運命的に出会い恋に落ちたものの、ライラの父によって仲を引き裂かる。その後妊娠が発覚した後、ライらはは交通事故に遭ってしまうが、目覚めたとき死産したと父親に告げられたのだった。実は赤ん坊は父親により施設に預けられていたのだったが。以来、ライラは傷心の日々を過ごし、彼女を失ったルイスも音楽への情熱も失い金融業界で働いていた。両親への思いが募るエヴァンは施設を抜け出し、マンハッタンに辿り着き、やがて、ウィザードと呼ばれる元ストリート・ミュージシャンにギターの才能を見出され、路上パフォーマンスで日銭を稼ぐ生活に身をやつすのだったが…というストーリー。

ファンタジーでもなかろうに偶然に偶然を重ねすぎて、戸惑ってしまうほど。主人公の能力が超人的過ぎるのも、ちょっと共感するのを阻害している感じ。ロビン・ウィリアムズが最大の悪役であることからわかるように、エグいシーンも残酷なシーンもまるでこの世には存在しないような世界観。まず、このノリが許容できるか否かが一つ目のハードル。これがダメなら、半分くらいで観るのを止めてしまうはず。
この、偶然すぎる感じを逆手にとって、「そんなアホな!」ってくらいに突き抜けてくれれば、割り切れたかもしれないけど、そこまで昇華されてはいない。

それを乗り越えたとして、するすると都合よく“わらしべ長者”ばりに話が展開する。本当はピンチの連続のはずなのに全然ピンチに思えず。エヴァンは音楽に導かれているのだから…ということとで、行く先々に音楽関係者が現れ、彼に手を差し伸べてくれる。
音感の良さや楽器を我流で弾いてしまうのは良しとするが、観ただけで音符の概念を理解してしまうのは、どうなんだか…(わたしはここで完全に冷めてしまったけど)。

まあ、韓国ドラマのベタベタ展開を観て、「それがいいんじゃない!」と言える人には、間違いなく愉しめる作品ではあると思う(←ああ、これが一番本作を端的に現しているかも)。親の出会いも出来過ぎて引きまくりではあるのだが、臆面も無くとことんベタベタやられると、やっぱりちょっと鳥肌がたってしまう。ただ、鳥肌がたってしまった自分に腹が立つというか、「ま、いいか」とイライラが半分の変な感覚。あまり文句を付ける気もおきなくって、駄作ではないが凡作ってところ。特段お薦めはしない。

#フレディ・ハイモアがハーレイ・ジョエル・オスメントがよくやる媚びたような表情をすることがって、少し気持ち悪く感じた。


負けるな日本
 

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imageX0019.png公開年:1984年 
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:アルバート・マグノーリ
出 演:プリンス、アポロニア・コテロ、モリス・デイ、オルガ・カルラトス、クラレンス・ウィリアムズ三世、ジェローム・ベントン、ビリー・スパーク、ウェンディ・メルヴォワン、リサ・コールマン、ザ・レヴォリューション 他
受 賞:【1984年/第57回アカデミー賞】音楽[編曲・歌曲]賞(プリンス)



ボーカルの“キッド”が率いるミネアポリスで人気のバンド『ザ・レヴォリューション』。最近勢いをつけてきたバンド『ザ・タイム』の影響で、メンバーと不協和音が聞こえ始めていた。加えて、家庭内の問題や恋人との関係など、彼を取り巻く環境はすべて悪化していったが、彼は自分の音楽のスタイルを変えようとはしなかった…というストーリー。

この映画のサントラ(?なのか、映画のほうがPVなのかよくわからんけど)は100回以上聞いてるのにに、本作をきちんと観るのは初めて。観たくなって探した時にはレンタルショップには無かったんだもの。
#ビートに抱かれて“"When Doves Cry”は、英語の歌詞をカタカナでノートに書き出して、唄ってた(懐)。後にも先にも外国人アーティストのコンサートにいったのはプリンスだけだなぁ。

あまり指摘する人はいないのだが、私は本作のカメラワークがものすごく秀逸だと思う。ゆっくりとしたズームアップやパーンがものすごく自然で、ライブ感をまったく邪魔していない。ライブ以外の場面でもすごく滑らかなカメラ移動で、奥行きのある空間が表現できており感心。

まあ、私がプリンス好きなのでバイアスが掛かっちゃってるには否めないんだけど、若者の悩み、家族との不和、仲間との確執を経て、最終的にハッピーエンドに向かうというシンプルなストーリーが、かえって心地好いと思う。プリンスの体格の小ささや華奢さも、主人公の不安定な心模様ににマッチしていて、うまくいっていると思う。
ロックに興味のない人には苦痛かもしれないけど、単なる、アーチストのミュージック映画以上の物があると思うので、軽くお薦め。
#ただ、歌詞の日本語訳はしっくりこない(というかダサい)ので、ピンとこなくても軽く流そうね。

続編の『グラフィティ・ブリッジ』は日本では未公開で観たこと無いし、レンタルショップで観たこともない(サントラはバッチリもってるんだけどなあ)。BSとかで放送してくれないかなあ。
#全員のギターにシールドがささっていないし、ワイヤレスでもない…ってのはご愛嬌なのかな…(いくらステージの動きを邪魔するからってねえ)。

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image1561.png公開年:2009年 
公開国:フランス
時 間:124分
監 督:ラデュ・ミヘイレアニュ
出 演:アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ミュウ=ミュウ、ドミトリー・ナザロフ、ヴァレリー・バリノフ、アンナ・カメンコヴァ、リオネル・アベランスキ、アレクサンドル・コミサロフ、ラムジー・ベディア 他
受 賞:【2009年/第35回セザール賞】音楽賞(アルマン・アマール)、音響賞
コピー:さあ、人生を奏でよう。


ロシアのボリショイ交響楽団で清掃員として働く男アンドレイ。彼は30年前、この楽団で天才マエストロとして活躍していたが、当時の政権がユダヤ系演奏家たちを排斥しようとしたことに抵抗したため、解雇させられた過去を持つ。以来、再起の機会を窺いながら、清掃員に甘んじていた。そんなある日、パリの劇場からの出演依頼のファックスを偶然目にした彼は、かつて彼と一緒に解雇されたかつての仲間を集めてボリショイ交響楽団と偽り、パリ公演を実現させようと考える。現在は様々な職業に就いている仲間を集めて、いざパリへと向かうのだったが…というストーリー。

ロシアからパリへと展開するドタバタ喜劇かと思いきや、良い意味で相当裏切ってくれた。この作品はかなりイイ。

若干、ネタバレ注意。

二つのミスリードですっかりやられてしまった。オーケストラに憧れるポンコツ親父が、自分のポンコツ楽団と繰り広げるレッドビッキーズ的な展開か…と思ってウンザリしかけたが、裏にはしっかりした歴史的事情やドラマがあった。そして、自分の娘か?みたいなありきたりな展開がよぎってウンザリしかけたが、そこにも心がぐっと握られるようなドラマがあった。
#最近、ユダヤ迫害物はナチス系じゃなくソ連系に移行する傾向にあるね。『カティンの森』とか。

最後の演奏の最中に、以後の展開を見せる演出もよい。シビレた。鳥肌が立った。音楽とのマッチ具合が絶妙。ここで泣ける人は多いと思う。演奏が終わって、その後…みたいな編集だったらがっかりしたと思う。

偏狭な思想のために亡くなった多くの人々の魂を追悼する映画まで昇華していると思う。そして、今も偏狭な思想のために苦しむ人々がいることが切なく思えてくる。そんな感情が絡み合うラスト。先日の『プラトーン』とは違う意味で、平和の大事さと努力の必要性を感じる作品。
他人のエゴを糾弾する人間こそ、もっと大きなエゴに支配されていることは、往々にしてあるよね。

“ウマさ”“感動”“音楽”というパラメータ値は、今年観た映画の中でトップクラス。強くお薦め。いい映画に出会った。

#でも、こういう良い映画でも、もう一回観ようって気にはならなくて、昨日の『脳内ニューヨーク』みたいな必ずしも良い作品とは言えないのをもう一度観ようと思っちゃうってのが、映画の不思議なところだね。

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image0401.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:114分  
監 督:スティーヴン・ヘレク
出 演:マーク・ウォールバーグ、ジェニファー・アニストン、ドミニク・ウエスト、ティモシー・スポール、ティモシー・オリファント、ダグマーラ・ドミンスク、ジェイソン・フレミング、レイチェル・ハンター、マシュー・グレイヴ、カーラ・ゼディカー、マイケル・シェイマス・ワイルズ 他
コピー:なりたかった野郎どもに贈ります。
一夜明けたら、カリスマ

メジャーバンド“スティール・ドラゴン”のボーカルのボビーを崇拝しているロック青年クリスは、彼らのコピーバンドでボーカルを担当。両親と共に暮らす彼の仕事はコピー機のメンテナンスだが、ひとたびステージに上がれば多くの観客を熱狂の渦に巻き込む。ある日、そんな彼に、ボビーの後釜として“スティール・ドラゴン”へメンバー入りの誘いが来るという奇跡が訪れた。クリスは夢にまでみたロック・スターへなるのだが…というストーリー。

なんかヘビメタ好きの人たちから妙に評判の悪い映画。どうもモデルになった実在バンドと軋轢があったり、ヘビメタ好きには揶揄されているように見えたりするらしい。そういう人たちの文句のコメントが辛辣。まあ、そういうことが気になってしょうがない人は観なければいいんじゃないかな。私はヘビメタに愛も無けりゃ、まったく不快にも思わないので純粋に楽しめたよ。
大体にしてコピーバンドやってる人が、昼間はコピー機メンテの仕事してるなんてチョケた設定、根本的にそういう次元なんだから、マジ捉えてどうすんだろ…と思うんだけど。

シナリオのクオリティもなにも、大抵の人が予想がつく展開だから、普段の私の評価からすればメタメタに言いそうでしょ。でも言わない。だって、あまりにもありきたりの展開すぎて、はじめっからそこで勝負するつもりがないのが明白なんだもの。文句をいうポイントですらない。

すべての人が、ライブ中に時折やってくるサウンドとノリが混ざり合った恍惚のひと時のために行動しているわけで、観ている側も、ただただノリを楽しめばいいのである。だんだん、普段は聞かないけどヘビメタもいいなぁ…ってさえ思えてくるよ。望んだ舞台だけど、楽しめなくなった時に、エイヤーで自分の気持ちに従うなんて、もう現実世界から見ればファンタジー。青年くずれの大人の童話として割り切ってみれば、とても楽しい。世の中、人事異動や組織改正の季節だが、そういう煩わしさに翻弄されている人に、私はあえてお薦めしよう。

#ジャケットがオチの段階の写真なのって、内容とマッチしてない上に、そうすることが逆に興味が沸くのを阻害してないか?このセンスは解らないね。私なら、ヘビメタ状態の写真をつかうけどね。

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f54cd771.Png公開年:1979年  
公開国:アメリカ
時 間:134分  
監 督:マーク・ライデル
出 演:ベット・ミドラー、アラン・ベイツ、フレデリック・フォレスト、ハリー・ディーン・スタントン、バリー・プリマス、デヴィッド・キース、ドリス・ロバーツ、ルディ・ボンド、ジェームズ・キーン  他
受 賞:【1979年/第37回ゴールデン・グローブ】女優賞[コメディ/ミュージカル](ベット・ミドラー)、歌曲賞(アマンダ・マクブルーム:作詞/作曲 The Rose)、新人女優賞(ベット・ミドラー)

ベット・ミドラーがジャニス・ジョプリンをモデルにした絶叫歌手ローズを演じた作品。ロック・スターになる夢を叶えながらも、愛とビジネスに翻弄され、しだいに麻薬に溺れていく…。

とはいえ、私はジャニス・ジョプリンのことをほとんど知らない。正直に言おう。何を楽しめばいいのか、私には見つけることができなかった。女が生きていくことの難しさとか、廻りに人はいても孤独感に押しつぶされそうな感覚とか、もしかするとそういう部分に共感させたいのかもしれないけど、私には無理だった。

いいとか悪いとかそういう次元ではないのかもしれない。時代だ。60年代後半~70年代にかけての、その時代にいる人にしかわからない何かがあるのだ。今の人にはわからない何かが。

ベッド・ミドラーが演じるローズは、吐き気を感じるくらいかなり気色が悪い。意図して演じているのならすごいことだが、観続けるのが非常につらいくらいだった。ストーリーも冗長で、グダグダと口喧嘩が続く。ただただ退廃的。なんとか終盤あたりで収束に向かってくれたのが救いか。ラストもありがち。ジャニス・ジョプリンが薬物の多量摂取で死んだことを知っていれば、まあ、冒頭のシーンは死んだ後なんだろうな…と容易に気付く。

ただ、とにかくライブシーンは迫力があり、その歌唱は、このジャンルの曲が好きではない人でも、聞き入ることができることだろう。良いと思ったのはここだけかな。

作品の内容以外で、興味深かったのは、古い映画のDVDではよくあることなのだが、日本語吹き替えの音声が、ところどころ英語音声になるのこと。これは、日本語吹き替え音声として、TV放映用に収録したものを使っているからである。ようするに放映でカットされている部分が英語音声になるのだ。何が興味深かったかというと、本作のカット部分がものすごく多いのだ。ヘタすると30%以上カットされているのではなかろうか(ライブ部分は吹き替えじゃないので、余計そう感じてしまう)。さきほど冗長だといったように、主筋には関係ないシーンが長々とあるので、丸々カットされている部分がけっこうある。もしかすると、カット版なら、すっきりして楽しめるのかもしれない。DVD特典として付けてみてはどうだろう。

これで観ていない人も、なんとなく感じがつかめたかと思うが、やはり本作を楽しめる人は少ないと思う。私はお薦めしない。
 

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