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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:138分
監 督:デヴィッド・O・ラッセル
出 演:クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ、アレッサンドロ・ニヴォラ、ジャック・ヒューストン、シェー・ウィガム、エリザベス・ローム、ポール・ハーマン、サイード・タグマウイ、マシュー・ラッセル、トーマス・マシューズ、アドリアン・マルティネス、アンソニー・ザーブ、コリーン・キャンプ、ロバート・デ・ニーロ 他
受 賞:【2013年/第48回全米批評家協会賞】助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)
【2013年/第80回NY批評家協会賞】作品賞、助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、脚本賞(エリック・ウォーレン・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル)
【2013年/第71回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、女優賞[コメディ/ミュージカル](エイミー・アダムス)、助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)
【2013年/第67回英国アカデミー賞】助演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、メイクアップ&ヘアー賞
 【2013年/第19回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、メイクアップ賞、コメディ映画賞、コメディ映画女優賞(エイミー・アダムス)
コピー:奴らは生き抜くためにウソをつく――

1979年。でっぷりと太った腹に、禿を隠すための不自然な髪形のアーヴィング・ローゼンフェルドは、表向きはクリーニング店を経営しているが、主な収入源は融資詐欺で得ている。妻帯者だったが、妻には詐欺のことは明かしていない。そんな容姿の彼だったが、シドニーという美しい愛人がおり、意を決して詐欺で稼いでいることを彼女に明かす。嫌悪感を示すどころかむしろノリノリとなり詐欺の相棒となるシドニー。イギリスの由緒ある家系の出で有力銀行とコネのあるレディーとして振る舞い、融資詐欺や絵画詐欺で稼ぎ続けるのだった。しかし、FBIのおとり捜査にひっかかって捕まってしまう2人。虚栄心と出世欲の強いFBI捜査官リッチーは、2人の能力を使ってもっと大物を捕まえようと司法取引を持ちかける。2人は、無罪放免にする変わりにおとり捜査に協力するハメになってしまう。その後、ニュージャージー州アトランティックシティをカジノタウンとして開発して経済を立て直そうとしている州知事と接触。カジノの利権に絡んだ大物汚職政治家たちを逮捕しようと、偽のアラブの大富豪を仕立て、おとり捜査を開始するのだったが…というストーリー。

冒頭で、実話を元にした話です…ってテロップが入るが、あまりにも現実味がない展開で、そんなことすっかり忘却してしまう。それくらい芸達者な役者ばかりが出演。実際の事件がベースだから、変に脚色すると粗が出てくるので流れは事実に近いんだろう。そのせいが、展開はけっこうごちゃごちゃしている。とにかく州知事を除く全員が全員イライラさせられる人物ばかり。本当にイライラさせられるから、観るのがイヤになる人もいるんじゃないかと思うくらい。でも、イライラするような人を演じているのだから、むしろ術中に落ちているということ。

“アブスキャム事件”というのをベースにしているらしいけど、そんなの知らないので、オチも予想がつかないし、クソ人間しかないなから誰が“勝って”終わるのか、それとも全滅なのか、全然読めない。まあ、とにかく勧善懲悪みたいなのを期待してはダメだな(そんな奴いねーか)。

クリスチャン・ベイルには、まあ見えない。みごとな汚しっぷり。その相方であるエイミー・アダムスの小悪魔的な風貌とその裏の抜かりのなさのバランスが良い味。話がドリフトしはじめるきっかけとなる、アーヴィングの妻ロザリン。そのそこ抜けのクレイジーっぷりを演じきったジェニファー・ローレンスの演技もなかなか(『ハンガー・ゲーム』のカットニス役の人。同じ人に見えないんだなぁ)。
地味に最後にデ・ニーロが出てくるのだが、とってつけたようなキャスティングだと思いつつも、ああもうこの作戦も終わりになんだな…、きっとうまくいかないんだろうな…的な絶望感を感じさせるには十分の重さ。でも、なぜか乗り切ってしまい、FBI捜査官リッチーが万々歳。このFBIのクソ野郎にいい目を見させるのが癪だなぁ…と誰しもが思うわけだが、むしろ、そこからが痛快だったりする。

最後に、事後の顛末の説明が入る。そのあたりで実話ベースであることを思い出して、ぞわっとする。

米アカデミー賞は、たくさんノミネートされたものの無冠。でも、他の映画賞は順調に受賞している。もうちょっと評価されてもいいような気がするが、演技陣に比べて監督さんの力不足は感じざるをえないので、妥当な評価かな(途中、バタバタ、モタモタするのは監督のせいだと思うし)。でも、軽くお薦めする。

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公開年:2013年
公開国:イギリス
時 間:97分
監 督:ジョン・S・ベアード
出 演:ジェームズ・マカヴォイ、ジェイミー・ベル、ジョアンヌ・フロガット、イモージェン・プーツ、エディ・マーサン、ジム・ブロードベント、イーモン・エリオット、シャーリー・ヘンダーソン、ナターシャ・オキーフ、ポリアンナ・マッキントッシュ、マーティン・コムストン、ショーナ・マクドナルド、デヴィッド・ソウル、ケイト・ディッキー、ロン・ドナキー、ゲイリー・ルイス、ジョン・セッションズ、ジョイ・マカヴォイ、ブライアン・マッカーディー 他
コピー :この男をお救いください!
英国発★愛と絶望を笑いにする 最高にイカしたクライム・コメディ!!


スコットランド。クリスマスの夜に日本人留学生が殺害される。あまり素行のよろしくないブルース・ロバートソン刑事は、その事件の担当となり指揮をまかされる。彼は、酒やドラッグ中毒で、おまけに人種差別主義者で、日本人が被害者の事件などまともに捜査するつもりがない。何でそんな事件の担当を引き受けたかというと、目下、署では出世争いの真っ最中で、この事件で手柄をあげて昇進しようと企んでいるからだ。事件の捜査と並行して、同僚を陥れるために、様々な裏工作を行うブルース。ヤク中の新人刑事レイにはどんどんヤクを薦め、ゲイであることを隠しているピーターを動揺させるために、彼がゲイであることを落書きしたり、ドギーは妻の浮気を心配しているが、実は相手はブルースだったりと、ますますエスカレートしていく。そんな中、お人よしの会計士クリフォードと知り合ったブルースは、彼をポルノ旅行に連れ出そうと画策し…というストーリー。

フリーメイソンが、単なる社交クラブとして扱われており、ロッジの中が(本物かどうかは知らんが)描かれている珍しい作品(別にストーリー上、重要ではないけど)。

昇進するために、クレイジーな男がさまざまな画策をするという筋だけでよかったと思うんだけど、会計士を陥れるくだりが昇進と関係なく、ブレてしまっているように感じる。最後のビデオのくだりをやりたっかだけなんだとは思うけれど。日本人留学生殺害事件のほかに、自分で事件を作り上げて昇進の材料にしたのか?だとしても弱いよね。

さらに、ネタバレだけど、たいして面白くないから言ってしまうが、『ファイト・クラブ』みたいな多重人格的設定も浮いているし、だからなんだ!?って感じ。展開が衝撃的なんじゃなくて、なんでこんな設定放り込んできたんだ?という意味の衝撃。
ポルノ旅行をしているあたりまでは、イギリスコメディらしい愉快さがあったんだけど、精神がますます病んでしまった後の展開が、しっくりこない。“謎の女”を重要ポイントにしたければ、もっと必死に探す捜査の様子を描くとか、焦点を当てたストーリー展開にすべきだった。本人が気づいているのか否かとか、そういう演出上の仕掛けも重要だっただろう(それこそ『ファイト・クラブ』みたいに)。大体にして、ネタバラシの映像が出ても、冒頭の日本人留学生殺害現場の女性のことなんて、観客の頭から消えているだろうし、それがどうした?でしかない。だから、彼の生い立ちとかが、全然生きてこない。

上記3件が、未整理、未消化。ブルースの悪漢ぶりこそが、本作のすべてなのだが、悪漢として描ききれていない。その悪漢が、ズブズブと落ちていく様子を観せなきゃね。原作要素を全部盛り込もうとして失敗してるのかもね。クライム・コメディ?ちょっと違うんじゃないかな。

ちょくちょく主人公が、観客を見るというメタ的な演出が散見させるが、これがセンスの無さを確信させる。この監督じゃなかったら、面白くなった気がしてならない残念な作品。

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公開年:2013年
公開国:デンマーク、フランス
時 間:90分
監 督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出 演:ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ヴィタヤ・パンスリンガム、ラータ・ポーガム、ゴードン・ブラウン、トム・バーク 他
ノミネート :【2013年/第66回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ニコラス・ウィンディング・レフン)
コピー :その復讐は 神への挑戦



表ではタイでボクシングクラブを経営、裏では麻薬の密売をしている兄弟、ビリーとジュリアン。兄ビリーは暴力的な性癖の持ち主で、ある日、売春婦を撲殺してしまう。しかし、裏社会を取り仕切っている謎の男に捕まり、売春婦の父親の前に突き出される。父親は激昂し、ビリーを滅多切りにして殺害。一方で、娘に売春させていた父親も、ペナルティとして謎の男に腕を切り落とされるのだった。息子の死を知ったアメリカで巨大な犯罪組織を取り仕切っている母クリスタルは、タイに駆けつけるやいなや、ジュリアンに復讐を命じる。彼女は、ビリーを偏愛する一方で、ジュリアンを蔑視しており、その命令は苛烈を極めるものばかりだったが、ジュリアンは母の愛情を欲しており、その命令に必死で答えようとするのだった。兄を殺した相手を調べていくと、元警官で裏社会を仕切っている男チャンの存在が浮かびあがり…というストーリー。

『ドライブ』で一部から脚光を浴びたレフン監督の次作であり、主演俳優も同じ。パルム・ドールにノミネートということだが、前作のおまけなのかコネなのか知らんが、参加しただけの作品と言い切ってよいだろう。
レフン監督の作品でいえば『ヴァルハラ・ライジング』のノりに近いと思うが、逆に言えば無用に暴力的で、象徴的なアイコンを散りばめるものの、いまいち伝わってこないというソレを現代劇にした感じ。彼の宗教的バックボーンとか、暴力表現の淵源が何なのかわからないから考察にしようもない。原題の“ONLY GOD FORGIVES”も“神のみが赦し給う”みたいな意味らしいが、何を指しているのかさっぱりわからない。


独特の色彩は、監督の目に色覚障碍があるためとのこと。そのビビットさも場面によって効果的だったりそうでなかったりとムラがあるのは、単に障碍があるからで、意図されている物ではないからなのかもしれない。

主人公ジュリアンは強度のマザコンで、理不尽な命令にも従う。それをおかしいと指摘されても逆にキレちゃうレベル。中途半端な狂人具合なのでピリっとしないキャラクターだし、もちろん共感も応援もできない。だから、彼が何をしようと興味がわかない。謎の男チャンと対峙するがボロ負け。一応山場のバトルシーンなのだろうが、まったくおもしろくない。

というか、根本的に、兄を殺したのは売春婦の父親で、復讐ならその親父にすればよい。それで完結。なんで謎の男チャンに矛先が向くのか、その流れがさっぱりわからない。麻薬ビジネス上でトラブルがあったわけでもないし、今後障壁になりうるという設定があるわけでもない。

一方、チャンを『ノーカントリー』のアントン・シガーばりに、狂気の存在として際立たせようと演出しているのが見える。カラオケを歌わせたりとかね。でも、チャンは裏のルールで裏社会の秩序を維持しようと行動してるようにしかみえない。闇が存在している以上、それに秩序を持たせて平穏を保とうとしているのだがら、必要悪的な存在。私腹を肥やしているわけでもなさそうだし、容赦なく人は殺すけど、ポリシーを持った良い人にすらみえてくる。

ネタバレしちゃうけど、最後は自我に目覚めたビリーが、母親の呪縛から解かれるという、陳腐なオチ。映像面の美しさとか編集のうまさとか、そういう雰囲気の部分を愉しむ作品なのかもしれないが、取り立てて褒め倒すレベルではない。おもしろくなかった。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:102分
監 督:ダニー・ボイル
出 演:ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン、ダニー・スパーニ、タペンス・ミドルトン、サイモン・クンツ、マット・クロス 他
コピー:ここは、誰も見たことのない<記憶のその先>――。





ゴヤの傑作“魔女たちの飛翔”がオークションにかけられ、2750万ポンドという高値で落札されたその時、会場に強盗が押し入る。競売人のサイモンは緊急時マニュアルに従って絵を速やかバッグに格納し金庫へに運ぶ。しかし、バックヤードにはギャングのリーダー フランクが待ち伏せしており、絵画を奪われてしまう。サイモンは絵を奪われまいとフランクが持っていたスタンガンで攻撃。怒ったフランクはサイモンを殴り倒し、そのままサイモンは昏倒してしまう。しかし、逃走後にバッグを開けると入っていたのは額縁だけで、フランクが激怒。実は、サイモンの借金の肩代わりとして、強盗の手引きをする約束になっていたのだ。その後、殴られて脳出血したために手術を受けたサイモンは、目覚めると例の絵画に関する記憶を失ってしまっていた。フランクはサイモンを拉致・拷問して、記憶を呼び戻すために催眠療法士のところに通わせるのだったが…というストーリー。

二転三転の巧みなストーリーであることは認める。でも、ごちゃごちゃしすぎ。格好良い画は、さすがダニー・ボイルといったところだが、話のごちゃごちゃに寄与してしまっているのも残念。

トランス状態になりやすい人…という都合の良い設定が、とってもつまらなく感じる。結果的にはそれも伏線ではあるのだが、それを聞いた時点で、そうとう興ざめした。

基本的には、なんでサイモンが共謀していたはずのフランクを裏切ったのか?っていう謎解き話だと思うが、サイモンというキャラクター自体に魅力がないので、興味が薄くなる。じゃあ、ストーリーを握っているは、エリザベスなのかフランクなのか。両俳優はいい演技ではあったが、“なぞ”のためにその辺が判然としないのも、敗因。

本作は、些細な描写が実は重要な伏線でした…ということが多い。でも、伏線が回収されても「ああ!」とか気持ちいいと感じないのが多かった。さてそういう回収されているだけの伏線は伏線といえるのか…という、シナリオテクニックとしてアリなのかナシなのかというの根本問題にぶちあたる。
最終的に明かされた事件のトリックも、実に凡庸。

巧みに配置された仕掛け…とはいうが、フランクによるラム医師のチョイスは偶然なんだよね(もしかして違うの?)。どんだけ巧みな仕掛けがあっても、その偶然の上に立脚しているお話だ…と考えると、ちょっと興ざめしてしまった。
治療の過程で、サイモンがどういう記憶に執着しているか調べるごっつい機械がでてくる。ああいう装置は存在するので別に文句はないが、町の療法士ごときが何でそんなもん使えるか。催眠療法士ごときが、人の記憶を都合よく消すような魔法の能力をもっているのか。

振り返って考えると、超高額な絵画のキャンバスをあんな風にカットした時点で、興ざめしちゃって、あとは惰性で観ていたかもしれないな。

なんか、ごちゃごちゃした小汚い冷蔵庫の中を見せられたような気分になる作品。

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公開年:2013年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:リドリー・スコット
出 演:マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピット、ブルーノ・ガンツ、ディーン・ノリス、ナタリー・ドーマー、ゴラン・ヴィシュニック、トビー・ケベル、エドガー・ラミレス、ロージー・ペレス、リチャード・カブラル、ジョン・レグイザモ 他
ノミネート:【2014年/第23回MTVムービー・アワード】トンデモ・シーン賞(キャメロン・ディアス)
コピー:罪を、選んだ。

若い弁護士“カウンセラー”は、恋人ローラとの結婚を決意。出張という名目でアムステルダムまで行き、宝石商から婚約指輪を購入する。帰国後、カウンセラーは友人の実業家ライナーと彼の愛人マルキナが所有するペントハウスで開かれたパーティに参加する。ライナーは、かねてからカウンセラーに麻薬ビジネスに関わらないかと勧誘を受けていたが、婚約指輪の購入費用のために、一回だけやることにするのだった。指輪の購入費用に目処がついたカウンセラーは、ローラにプロポーズ。彼女はそれを受け入れるのだった。その後、麻薬ブローカーのウェストレーを紹介され、メキシコの麻薬カルテルとの取引に関わることに。しかし、メキシコの麻薬カルテルは、弁護士という職業に悪印象を持っており、何か問題が生じた場合は容赦なく制裁されるとウェストレーは忠告したが、計画通りに事を進めれば問題はないとカウンセラーは気にもとめなかった。一方彼は、本業として、殺人罪により収監中のルースの公選弁護人を担当していた。そこでルースからスピード違反で拘留された息子の保釈を頼まれる。カウンセラーはルースの息子を保釈させるのだが、何者かに殺害されてしまう。実はルースの息子は、麻薬カルテルに雇われた麻薬の運び屋で、別送していた麻薬も奪われてしまう。麻薬カルテルは、ルースの息子の死にカウンセラーが関わっているのではないかと疑うのだった…というストーリー。

…あらすじを書いていてうんざりするほど、難解である。「あの王様、はだかんぼうだよ!」的な感じではっきり言わせてもらう。この話はわからん。なんらかの解説・補足・予備知識を持たずして、スッと腑に落ちた人間が何人いるだろう。掴みどころのないストーリーを狙っているのかもしれないが、一線を超えて、何がおこってるんだか、さっぱりわからない状態。ストーリーの軸すら見えてこない。

豪華なキャストに期待が高まる分だけ、この難解さに打ちひしがれてしまう。役者それぞれに見せどころを均等に割り当てているように感じるが、おかげでストーリーのメリハリがなくなり、本当に観せたい筋がわからなくなっている。

以下ネタバレ…というか、私なりに掴んだ話の筋が以下(これであってる?)

若い弁護士が金に目がくらんでヤバイ商売に手を出すのだが、麻薬カルテルに追われるハメに。実は、麻薬カルテルなんかよりも貪欲で罪悪感のかけらもないサイコパスの罠にハマっていたのでした。そのサイコパスは、目に映る金目のものは全部自分のものにしようとするほどの底抜けの貪欲さで、そのためには全員を容赦なく非道な手段で殺すのでした。さて、サイコパスは誰でしょう。

ローラが惨殺されたことを示す映像が送付されてくるのだが、『セブン』ほどのインパクトはなし。リドリー・スコットってこんなレベルの監督だったっけ?

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:オリヴァー・ストーン
出 演:テイラー・キッチュ、アーロン・ジョンソン、ブレイク・ライヴリー、ジョン・トラヴォルタ、ベニチオ・デル・トロ、サルマ・ハエック、デミアン・ビチル、エミール・ハーシュ、サンドラ・エチェべリア、シェー・ウィガム、ゲイリー・ストレッチ、ホアキン・コシオ、レナード・ロバーツ、ジョエル・デヴィッド・ムーア、ショーン・ストーン 他
コピー:野蛮の限りを尽くしても、最愛の女は取り戻す。


植物学者のベンと元傭兵のチョンは、経歴も性格も正反対だが大親友。かつてチョンが戦地から持ち帰った大麻の種を元に、ベンが植物学者としての知識を最大限に投入して育成。その高品質さゆえに、彼らが大麻販売事業は大成功し、ひと財産を築くのだった。2人は、共通の恋人オフィーリアとともに、カリフォルニア州の高級リゾート、ラグーナ・ビーチで優雅に暮らしていた。そんなある日、彼らに、メキシコの巨大麻薬組織バハ・カルテルが接触してくる。彼らは業務提携を迫ってきた。納得できない条件だったが、表立って拒否すると何をされるかわからない。特にベンは商売も潮時と考えていたことから、事業を丸ごと放棄して3人で国外に逃亡しようと計画する。しかし、2人のノウハウがどうしても欲しいバハ・カルテルの女ボス・エレナは、オフィーリアを誘拐し事業への協力を迫るのだった。やむなく指示通りに従う2人だったが、オフィーリアを1年監禁すると聞かされる。オフィーリアを解放してほしければ、身代金が必要だという。どうしてもオフィーリアを救いたい2人は金をかき集めるがどうしても足りない。そこで、麻薬取締局の悪徳捜査官デニスと、かつての傭兵仲間の協力を得て、バハ・カルテルの現金輸送車から300万ドルの現金を奪い、エレナの弁護士アレックスの仕業に見せかける計画を立てるのだったが…というストーリー。

大麻取引に、主人公の一人は傭兵あがり、一人の女性を共有。ヒッピー上がりのオリヴァー・ストーンが好きそうな内容ではある。プロットはものすごくおもしろいくて、なかなかのクライム・サスペンスなのだが、おそらく原作がおもしろいのであって、監督がいい仕事をしているわけではない。

まず、話が動き始めるまで40分以上。ものすごくテンポが悪い。いろいろ設定が複雑なのはわかるのだが、これくらいの内容で、この展開の遅さはないかな(100分程度でまとまる内容だと思う)。もしかしてオリヴァー・ストーンてヘタクソなんじゃね?と疑いたくなる。
大体にして、オーの語りで入る意味あっただろうか。オーが誘拐されている最中の、ベンとチョンの行動についても彼女のナレーションが入るのだが、この演出は正しいだろうか?
エレナは自分が交渉している相手が傭兵上がりであることを知らないのだろうか?そんなの何の問題にもならないと思ってるのか?また、エレナとオーが、親しくなっていく様子を描く意味はあっただろうか。描くなら描くで、実の娘との距離を埋めたい彼女の欲求と、ビジネスの駒として扱うべきであるというシビアさの間で揺れるとか、心の揺れを描くべきではなかろうか。

作戦の大部分は傭兵仲間の協力によって成り立っている。こんな危険な仕事に協力してくれるのだから、チョンと深い絆があるんだろう。でも、まったく彼らについてはスポットが当たっていない。

ラドがエル・アズールに通じるのは良いとしても、裏切り方が中途半端だし、“暴君”としてのの描き方が古臭い。デル・トロ演じるラドが一番の敵役のはずなのだが、あまりすっきりとした終わり方になっていない。

なかなか面白いのに、これだけ不満が湧いてくるってスゴイ作品だ…なんて思っていると、ラストがアゴがはずれるくらいのクソ演出だった。若ぶった演出かな。ダサすぎて救いようがないかも。
アフリカにいるかもしれない?って、オーは自分のこと語っているのではないのか?本当にオーのナレーションの意味がわからないわ。

正直、「ラリってんじゃねえか?この監督…」と思ったよ。別の監督が撮ったら、快作になっただろう。残念。

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公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:リチャード・リンクレイター
出 演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー、ブレイディ・コールマン、リチャード・ロビショー、リック・ダイアル、ブランドン・スミス、ラリー・ジャック・ドットソ 他
ノミネート:【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](ジャック・ブラック)
【2012年/第28回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、主演男優賞(ジャック・ブラック)
【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】 コメディ映画賞、コメディ映画男優賞(ジャック・ブラック)、コメディ映画女優賞(シャーリー・マクレーン)
コピー:テキサスで起こった 嘘みたいな ほんとうの話

テキサス州の田舎町カーセージ。葬儀社で助手として勤務しているバーニー・ティーディは、卓越した遺体の防腐処理、賛美歌まで演奏する淀みない葬儀の進行技術、棺を売る営業力、そして何よりも遺族へきめ細かい配慮で、高い評価を得ていた。誰にも親切な彼は、奉仕活動にも献身的に参加しており、町の人気者だった。ある日、石油で莫大な財産を築いたドゥエイン・ニュージェントを担当。その莫大な資産を相続した81歳の未亡人マージョリーは、頑固で偏屈で町一番の嫌われ者。友達はおろか息子家族からも嫌われおり、財産に関する裁判までおこされる始末。そんな孤独な彼女を気の毒におもったバーニーは、葬儀が終わった後も世話を焼いていた。はじめは冷たくあしらっていたマージョリーも、次第に心を許しはじめ、相談相手として付き合うようになるが、数年後には彼女の会社の社員となり、財産の管理まで任されるようになっていた。しかし、彼女わがままさが直ったわけではなく、バーニーへの依存度と独占欲は高まる一方で、彼が友人と付き合うことすら制限するようになっていた。なんとか我慢していたが、精神的に追い詰められたバーニーあ、とうとう彼女をアルマジロ駆除用にライフルで撃ち殺してしまい…というストーリー。

タイトルに間違いはないんだけど、冒頭の防腐処理のくだりがかなり奇異で、シリアルキラーみたいに感じられてしまう。そんな作品ではない。

1996年に39歳の葬儀店員が81歳の大富豪の女性を殺害した実際の事件を映画化した作品。確かに観終わってから遠い記憶を紐解けば確かにこんな事件があった気はするが、鑑賞中は思い出せなかった。ジャック・ブラックをキャスティングしたのが秀逸。献身的でやさしいその行動は、胡散臭さ満開。爺さん婆さん連中が彼を好意的に見るのはわからないでもないが、同年代や下の世代からみれば、何か気持ち悪さを感じずにはいられない。いや、コレ完全に偏見なんだけど、実際にどこか気持ち悪さを感じてしまうのだから仕方がない。

どう考えても、富豪の婆さんを垂らしこんでいるという構図。そんなことはないと思いたいところだが、趣味の飛行機や演劇に大金を使っているのは事実だし、単なる献身とは思いがたい。

いざ殺人を犯してしまった後、車庫の冷凍庫に入れておくというずさんな手口。これが、後の裁判の争点となる。もし彼が、その気なら、遺体を処分できたのにしなかった。つまり金目当ての殺人ではなかった…という論法。おまけに、殺さなくても十分にお金は使えているのだから、殺す必要はないと。
マージョリーの死後、彼女の財産を使い続けるが、これが共益のためや、困った人のためにばかり使っているというのも、彼を弁護する材料だった。

この作品の底辺にある論調も、基本的に彼に好意的な演出が施されていると思う。全編にわたって登場する町の人々のインタビューは、すべてバーニーを擁護するものばかり。その逆は検事のみ。完全に検事が、名誉欲のために、あらゆる策を講じてバーニーを有罪にしようとしているという構図だ。すると、不思議なもので、観ている側も、自然とバーニーを応援する気持ちになってくる。

この法廷劇が、意外におもしろかった。後から冷静に考えれば、やっぱり有罪だと思う。元々家にあった害獣駆除用に銃だから、故殺かどうか微妙だっていう人もいるけど、その後の遺体を隠して、財産を私的に使った。私欲のために使わなかったというが、元々そういう公益に使いたいという欲求の持ち主だからね。十分に故殺と推定するだけの条件は揃っていると思う。でも、鑑賞中の私は、そう思っていなかった。人間っていうのは、雰囲気に騙されやすい生き物だな…と思うよ。
判決が出た後も、町の人はバーニーを擁護し続ける。実際はどうなのか知らないけれど、収監中も、料理教室を開いたり、その明るさに怖さを覚える。だからといっておかしな人間だと決め付けるのがよくないのは理解している。でも直感的にこいつは何かおかしい…という声も聞こえてくる。単なるおもしろ話のようにみせておいて、実はものすごく観客がためされているようにも思える。

実話だから、どうしようもなかったんだろうけど、冷凍じゃなくて防腐処理して保存してほしかったな…。そんなフィクションを差し込む余地がないほど、まるでフィクションな現実がそこにあったってことなんだけどね。

エンドロールで、ジャック・ブラックが収監されているご本人と面談している様子は、なかなか衝撃的。過去の実話ベースの映画で、こんなことした人いないと思う。

ものすごく楽しめた。映画賞の受賞までいたっていないけど、良作だと思う。

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公開年:2008年
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:107分
監 督:マーティン・マクドナー
出 演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、レイフ・ファインズ、クレマンス・ポエジー、ジェレミー・レニエ、エリザベス・バーリントン、ジェリコ・イヴァネク、アンナ・マデリー、ジョーダン・プレンティス、テクラ・ルーテン、エリック・ゴドン、キアラン・ハインズ 他
受 賞:【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン)
【2008年/第62回英国アカデミー賞】脚本賞(マーティン・マクドナー)


ロンドンで初仕事を終えた新人ヒットマンのレイ。その後、ボスの指示で、ベテランヒットマンのケンと一緒にベルギーのブルージュへ向う。二人は、ボスからの次の指示を待つことに。ケンがブルージュを楽しもうとする一方、レイの心は沈みがちに。レイの初仕事は、神父の殺害だったが、その場にいた子供を巻き込んで殺してしまったため、強い罪の指揮に苛まれていたのだ。それでも、なんとか気分を変えようとするレイは、街で出会った女性とデートに繰り出す。その間、ボスからの指示の電話を受けるケン。なんと、指令の内容は“レイを殺せ”というもの。ボスは、レイが謝って子供を殺害したことに激昂していたのだ。意を決したケンは、翌日、ボスの指示通りに仕事に使う銃を入手し、ホテルに戻るのだったが…というストーリー。

前半を退屈に感じる人は多いと思う。コメディにしたいのかな? と思った人もいるかも。でもそれは、後半のハードな展開の前フリ。

新人ヒットマンのレイは、いきなり子供を殺してしまったことで強く罪悪感に押しつぶされそうになっており、自殺まで考えている。そんなレイを間近でみているベテランのケンは、逆にこんな家業を続けていいのか、むしろレイのような感覚になるのが普通じゃないのか? と悩みはじめる。そんなレイを殺していいのか? 彼こそ救うべきじゃないのか?と。 一方、ボスはレイが子供を殺してしまったことが許せない。冷酷に見えるが、絶対に譲れない美学というかポリシーの持ち主。ケンがレイを殺すことに躊躇していることを知り、自ら、ポリシーを守りに出向く。
全員、殺し屋家業なんだから根本的に全員が間違ってるのだが、ある意味、全員が正しい。
この3人の思いがぶつかり合った先に何が残るのか。なかなかよく出来た脚本だと思う。

派手や作品への出演が多いコリン・ファレルだけど、本作は実に落ち着いた大人のドラマ。わかりやすいドンパチもないし、気を衒った演出もないが、見ごたえは十分。もっともっと評価されるべきだと思うのだが。日本未公開だったらしいのだが、ちょっと信じられない。

お薦めしたい一作。満足した。

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公開年:1998年
公開国:イギリス
時 間:108分
監 督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
出 演:ニック・モラン、ジェイソン・ステイサム、ジェイソン・フレミング、デクスター・フレッチャー、スティング、スティーヴン・マッキントッシュ、ヴィニー・ジョーンズ、レニー・マクリーン、P・H・モリアーティ 他
受 賞:1998年/第52回英国アカデミー賞】観客賞
 【1999年/第8回MTVムービー・アワード】新人監督賞(ガイ・リッチー)
【1998年/第11回東京国際映画祭】最優秀監督賞(ガイ・リッチー)
コピー:悪を出しぬけ 疾走するイノセンスな完全犯罪


ロンドン、イーストエンドに暮らすエディは、ポーカーが得意。ある日、仲間のトム、ベーコン、ソープから金を集め、ポルノ王として町を牛耳るハチェット・ハリーを相手にカード賭博で一儲けしようと企む。しかし、ハリーの用心棒バリーの八百長にハマり、資金を失うどころか、逆に50万ポンドと巨額の借金をつくってしまう。返済の猶予は一週間。返済できなければ、エディの父親のパブが借金のカタに取り上げられてしまう。途方に暮れる4人だったが、偶然、エディの隣の部屋から強盗の計画としている声が聞こえてくる。隣に住んでいるのは麻薬の売人ドッグとブランクで、金持ちの若者たちが経営しているマリファナ工場を襲撃するとのこと。4人は、彼らが盗んできたマリファナを、横取りしようと考え、早速、ギリシア人のニックから2丁の散弾銃を調達する。しかし、その散弾銃は、ハリーがかねてから捜し求めていた骨董品で…というストーリー。

なんか、『スナッチ』の劣化版みたいだなー、なんて思ってたら、コレもガイ・リッチーだった(笑)。同じことしかできねーのか?と思ったが、『スナッチ』の前の作品で、長編映画デビュー作だった。

日本語に吹き替えても、ここまで台詞回しが面白いってのは、すごいかもしれない。監督よりも脚本家としての才能を感じる(「太った」のくだりとか、意味がいまいちわからないものもあるけど…)。『スナッチ』を知らなければ、手放しで愉しめたのは間違いなく、確かに本作を観たら、こりゃ期待の新星だ!と思ったことだろう。

この手の作品だと、時間を遡って説明することがありがちだけど、そういう部分が少なくて好感が持てる。大きくは、マリファナ強奪の流れと、銃の行方の話が軸となって話は進む。そこに、マリファナ工場、借金の取立屋、窃盗犯、バッタ物屋、麻薬の売人、ポルノ王…が、渦巻いていきながら、そして誰もいなくなった状態に。これだけ犯罪者サイドに並べておきながら、ごちゃごちゃせずに整然としたシナリオ。

息子に対して、クールというか、まったく愛情を示さない父親も、なんとも良い味を出している。

ちなみに、ロック、ストック、バレルっていう登場人物は出てこない。Lock, stock and barrelで“一切合財”っていう成句らしい。銃の部位の名前だとか。話のカギになる骨董品の銃のこととかけたんだね。
#『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のイタズラする子供の名前もそれだったね。

観て損はない作品だと思う。
#ジェイソン・ステイサムが無双状態じゃなくて、普通の若者という設定はめずらしいかも。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:ルーベン・フライシャー
出 演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、ニック・ノルティ、エマ・ストーン、アンソニー・マッキー、ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ペーニャ、ロバート・パトリック、ミレイユ・イーノス、サリヴァン・ステイプルトン、ホルト・マッキャラニー 他
コピー:まるでギャングな警察たち
ロス市警が、キレた。“本当にあった”最強部隊と大物ギャングの死闘。


1949年、ロサンゼルス。街はブルックリン生まれの巨大犯罪組織のボス、ミッキー・コーエンに牛耳られていた。彼は、ラッグ、銃器取引、売春など、あやゆる違法な商売に手を染め、今やその影響力は政治家や警察にまで及んでおり、彼の悪行を取り締まる術は無かった。自らを“神”まで称する彼の帝国を潰そうと、市警本部長が最後の賭けに出る。市警本部長はジョン・オマラ巡査部長に少数精鋭の極秘部隊“ギャングスター・スクワッド”を結成し、コーエンの組織を壊滅せよというものだった。ただし、警察としての身分ではなく、彼らに対抗できる非合法な組織として。オマラはジェリー・ウーターズ巡査部長ら署内のはみ出し者ばかり6人が集める。彼らは警察バッチを外し、街の未来のために立ち向かっていくのだったが…というストーリー。

ショーン・ペンは、何も差し挟む余地がないような完全な悪者を演じたかったんだろう。役柄コレクターの彼のコレクションの一つって感じ。揶揄したいわけじゃない。きっちりと強烈なクソ人間を演じきっていると思う。

ストーリーだけを見れば薄いといわれても仕方がないかもしれない。昨日の『ジャッキー・コーガン』がペーパーバッグなら、本作は街角でやってた紙芝居とかニュース映画みたいな雰囲気。しかし、私は、熱い正義の心を宿し続けた“大きな少年達”の青春ムービーだと捉えた。全員が“はみだし刑事”。家族がいたり恋人がいたりするメンバーもいて、死ぬのが怖くなることもあるけど、不正を目の前にして見なかったことにして生き続けるのに、もううんざりなオッサンたち。
悪事がここまでのざばってしまたら、正攻法は通じない。誰かが手を汚さないといけない。やると決めたときの、アクセルベタ踏みな感じが爽快。

結局、彼らの功績が賞賛されるようなことはないわけだけど、死んだメンバーも残ったメンバーも満足したと思う。男の仕事って、こういう結果でも十分満足できるものだと思う。市警本部長の功績みたいになっちゃっても、市警本部長もそれでウハウハしてるわけじゃないし、警官仲間は知っていて、皆が彼らを賞賛しているであろうと想像できるところが心地よい。

好感の持てる、良作ギャング映画。

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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:97分
監 督:アンドリュー・ドミニク
出 演:ブラッド・ピット、リチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、レイ・リオッタ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、サム・シェパード、ヴィンセント・カラトーラ、トレヴァー・ロング、マックス・カセラ、スレイン、リナラ・ワシントン 他
ノミネート:【2012年/第65回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(アンドリュー・ドミニク)
コピー:その男は優しく、殺す。


大統領選挙が行われている最中の2008年のニューオリンズ。出所したばかりのフランキーは、獄中で知り合ったジョニーの強盗計画に乗る。その計画とは、犯罪組織の賭場から大金を奪うというもの。過去にその賭場は強盗にあっていたが、雇われ支配人マーキーがその強盗は自分がやったと吹聴しまくっていたため、もし同じ事件がおこれば真っ先に疑われるのはマーキーだというのだ。マーキーは仲間のラッセルと共に賭場に押し入り、まんまと強奪に成功。被害にあった組織は事件の解決をディロンに任せようとするが、彼が病気療養中だったため、殺し屋ジャッキー・コーガンに依頼することに。ジャッキーはさっそく行動を開始するが…というストーリー。

いかにもペーパーバックの犯罪小説って感じで、ノリも雰囲気もよい。派手な展開は機体できないが、シニカルでニヒルな内容を期待した。大統領選挙の最中っていうのがミソで、アメリカらしさとか国民としてのアイデンティティや同朋意識なんていうものを、アメリカって単なるビジネスだろ?と言って憚らない主人公の割り切りがおもしろい。犯罪なんで共感することはないんだけど、私たち一般人も究極的に国と金のどっちを重要視すべきなんだ?という問いかけをずっとされている気分になる。大統領選でオバマの演説が、ただの綺麗ごとにきこえちゃう(←たぶん、これがやりたかったんだと思う)。

ただし、残念ながら事件の展開がわかりにくいし、わかったからといってさほど面白くない。これがいけない。マーキーが疑われるが、ジャッキーはマーキーじゃないのはわかってるけど流れ的にマーキーが狙われるのは仕方ないだろ…と割り切る展開はよい。ただ、その後、フランキーがはじめた麻薬ビジネスの相棒がディロンの部下ということがわかり焦る…という展開が、いまいちピリっとこない。

あとは、ジワジワと“失敗する”としか思えない脂汗が出るような状況を愉しめるかどうか。たぶん半分以上の観客が、物足りなさを感じて終わったに違いない。結構な数の観客が、タランティーノ的な作品を期待していただろうしね。

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公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:トロイ・ダフィー
出 演:ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、 クリフトン・コリンズ・Jr、ジュリー・ベンツ、ジャド・ネルソン、ボブ・マーリー、ブライアン・マホーニー、デヴィッド・フェリー、デヴィッド・デラ・ロッコ、ピーター・フォンダ、ビリー・コノリー、ウィレム・デフォー、マシュー・レムキー 他
コピー:興奮沸騰!伝説のアクション・エンタテインメントが蘇る!


神の啓示を受け、法の網の目をくぐりぬけている悪人たちを処刑するコナーとマーフィーのマクマナス兄弟と、伝説の殺し屋“イル・ドゥーチェ”の異名で通る父ノアが、裁判所でヤカベッタを処刑してから8年が経過。3人はアイルランドに逃亡し、ひっそりと暮らしていたが、知り合いの神父がボストンで殺害されたとの報せが入る。それは、何者かによるマクマナス兄弟への挑発。二人は復讐のためにボストンへ舞い戻り、再び正義の戦いを開始する。二人を誘い出したのは、ヤカベッタの息子で、現在ファミリーのボスである息子のコンセイシオだった…というストーリー。

よっぽど前作が気に入ったのか、さっそく借りてきたのだったが…。残念ながら、非常にユニークで魅力的だった“神の啓示”という要素がすっかり薄れてしまった。前作のラストで処刑したヤカベッタの息子が、彼らを抹殺しようと仕掛けてくる展開で、それにあえて乗っかって応戦するという展開。だから、ボストンに戻ってはきたけれど、神の啓示の名の下に正義の鉄槌を喰らわすあの“処刑人”に戻ったとは言いがたい。それに加えて、いくら10年経ったとはいえ、あのギラギラした丹精な容姿がくたびれてしまっているのも残念。

それじゃ、やはり“処刑人”っていうタイトルが詐欺になってしまうので、前作でボヤかされた父ノアの過去のエピソードを絡めることにした模様。でも、さほどいい味付けにはなっていない。

前作のウィレム・デフォーに代わって、女性FBI捜査官が登場。一作目の後、デフォー演じるスメッカーだけでなく、ボストン署の刑事もマクマナス兄弟と歩調を合わせていた模様。刑事たちにとっても女性捜査官が邪魔という設定なのだが、実は女性捜査官は…という展開が(観てくだされ)。でも、この展開、おもしろいかなぁ…??。スメッカーのコントに比べたら、格段に落ちる。

さらに、スメッカー絡みで一展開あるのだが、まるで続きがあるような終わり方。でも、こんな出来映えじゃぁ、ちょっと続きをつくるのは難しいのではなかろうか。ん~、一作目で観るのをやめておけばよかったと、悔やまれる作品。監督も同じでキャストも誰も欠けていないのに、ここまで失速するとは…。

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公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:トロイ・ダフィー
出 演:ウィレム・デフォー、ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、デヴィッド・デラ・ロッコ、ビリー・コノリー、デヴィッド・フェリー、ドット・ジョーンズ 他
コピー:いまの世の中、間違ってると思いませんか?法で裁けぬ悪人どもに、“死の制裁”を!



サウスボストンに住む精肉工場に勤務するコナー・マクナマスとマーフィー・マクナマスの二卵性双生児。ある日、二人が仲間たちと一緒に行きつけのバーで楽しんでいると、ロシアンマフィアのイワンたちが押し掛け、店主に立ち退きを迫ってきた。イワンたちとマクナマス兄弟たちは大乱闘となり、その場はコナーたちが勝利を収める。しかし、その後イワンたちは復讐のためにマクナマス兄弟の部屋を襲撃し、二人を殺そうとするが、危機一髪のところで大反撃に転じ彼らを殺してしまう。警察沙汰となり報道もされるが、結局、正当防衛が認められ不起訴に。厄介なロシアンマフィアを退治したということで、世間の評判も上々。マスコミの取材から逃れるために、留置場で一泊した二人は、そこで“悪人を処刑せよ”という神の啓示をうけるのだった。出所した二人は、イワンが持っていた金を元に大量の武器を購入するのだったが…というストーリー。

誰でも一度は考える“必殺仕事人”的なストーリーだが、なかなかヒネりが効いている。
冒頭ですっかり“処刑人”になった二人の姿が描かれているので、元々そういう仕事をしているのかと思ったが、そういうことではなく掴みのシーン。その後、時間が少し遡って、彼らが処刑人になるまでの経緯から描かれる。

元々二人の正義感が強かったので…ということが主の理由ではなく、“神の啓示”というところがおもしろい。始めたものの、何をやっていいのかわからなかったりするのもご愛嬌。でも、聖書に出てくる預言者(予言者に非ず)だって、神の声に命じられるまま行動するしかなかったわけで、まさにこの兄弟は“預言者”と同じ。マスコミも彼らを“聖人”と称する。

ハードな二人の対局するのが、ウィレム・デフォー演じるFBI捜査官スメッカーのキャラクターがおもしろい。地元警察の無能さを正面切ってバカにしまくるが、確かに有能。でも、ウォークマンでクラッシックを聞きながら現場検証とかしちゃうアクの強い人。そしてゲイ。とにかく彼の劇場的な怪演&暴走が、本作の屋台骨の一本といってよい。
中盤になってくると、処刑をする直前⇒警察の現場検証⇒処刑の模様⇒スメッカーの苦悩というセットが何度も繰り返され、まるでお笑いコントのようなノリを帯びてくる。その後、スメッカーの苦悩は極限となるが、彼はどういう行動を採るか。これもなかなかおもしろかった。

ラスボス的な感じで、収監されている無敵の殺し屋エル・ドゥーチェが登場し、二人に襲い掛かるのだが、彼がどうなるのか(というか正体)については、個人的にはちょっと不満かも。

凡人なら破滅的なラストにするところだけど、そうしなかったのは良いセンスだと思う。ただし、“市民たちの反応”で終わるラストは、賛否が分かれるところかな。個人的には、こういう煙に巻いたような演出は好きだけどね。

本作を不愉快に感じる人が結構いるみたいだけど、これを愉しめない人とはお友達になれないかな…って思うくらい面白かった。お薦め。
#なお、時間を空けて、続編も出来た模様。いずれ借りてくる。

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公開年:1984年
公開国:イギリス
時 間:94分
監 督:スティーヴン・フリアーズ
出 演:ジョン・ハート、ティム・ロス、ラウラ・デル・ソル、テレンス・スタンプ、フェルナンド・レイ、フレディ・スチュアート、ラルフ・ブラウン、A・J・クラーク、レニー・ピータース、バーニー・サール 他
  
 
 
 
 
銀行強盗で逮捕されたパーカーは、司法取引に応じて、仲間のコリガンを売って刑を軽減される。それから10年が経過。出所したコリガンは、雇った二人組の殺し屋を差し向ける。冷徹で腕の立つ殺し屋ブラドックと、無鉄砲なチンピラ・マイロンは、スペインにいるパーカーを、コリガンが滞在するパリまで連れてくるよう命ぜられていた。二人は警備を突破してパーカーの拉致に成功。車で移動する途中、成り行きで一人の女性マギーを同乗させざるを得なくなり、スペインからパリへの奇妙な旅が始まる…というストーリー。

二人組が、地元のチンピラをつかってパーカーを拉致させ、その後、容赦なく爆死させるという手口に、こりゃあなかなかハードな展開になりそうだな…と思ったのだが、上述したとおり、奇妙なロードー・ムービーと化す。それが悪いというわけではないのだが、スケールがだんだん小さくなっていくのが、狙いなのかどうか、正直ちょっと困惑しながら観ていた。
#よく考えると、パリまで連れてくることが目的なのだから、差し向けるのは殺し屋じゃなくても良かった気がするが、まあ、そこは気にするところじゃないか…。

まず、緩やかながらも警察の保護を受けて生活しているパーカー。拉致されたあとも、妙に達観している。まず、これがストーリーの軸になる。彼はなんであんな飄々として態度なのか?そこを含めて、観客の集中力を削がせないストーリ運びはなかなかだったと思う。確かに、スケールは小さくなったがユニークで、一切飽きさせることがなかったのは認める。

そういうパーカーの言動に対する彼らのとまどいと、ティム・ロス演じるマイロンの軽率な行動によって、綻びが生じていく。さらに、女性マギーが加わって移動がむずかしくなる。二人で一人を監視するのは、給油やら食事なんかの上でも問題ないが、二人の監視は難しい。トイレに行くのも大変。ましてや白昼。真の目的はパーカーを運んで代金を貰うことなのに、なんでこの女を連れて行くデメリットを背負わなければいけないのか…という疑問が観客に沸く。
マイロンは素人だし、ブラドックもあわよくばマギーをどうにかできるかな…なんて考えたのかもしれないが、リアルタイムで警察に追われている状況なので、選択の余地はないだろう…。でも、そうはしないわけだ。そこにもうちょっと説得力が欲しかった。

で、やっぱり話のポイントは、何でパーカーが達観した態度なのか…、そこである。
(以下ネタバレ)
私は、何か逃げ延びるための策を遂行中なのかと思っていたのだが、そうではなかった。途中、ブラドックとマイロンを仲間割れさせようと画策するのだが、作戦がショボすぎておもしろくない。
逃げ延びる策があったのか否かはわからないが、とにかくパーカーはパリまでは行けると踏んでいた。結局、その予定が狂って、ブラドックは自分の保身に走る。殺さないでくれと懇願するパーカー。これで完全に私の興味の糸が切れてしまったかな。期待させておいて、その程度のカードであんな態度だったのかよ…と。期待していたキャラが小物だったことへのがっかり感。

運よく生き延びたマギーの証言によって、検問であっさり引っかかるブラドック。なんだお前も小物かよ…という、重なるがっかり感。もう少し、ピリピリとした心理戦が展開されると期待してしまった私が悪いのかもしれない。

本作の主役はブラドック演じるジョン・ハートだが、パーカー演じるラウラ・デルとティム・ロスの演技が彼を喰ってしまった印象。平板で終わってしまった印象だが、彼らの演技で救われた。いや、多分、私が過剰に期待してしまっただけで、そうじゃなかった人の中には、好印象の人もいたに違いない。
良作一歩手前ってところだが、日本未公開には至極納得。

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プロフィール
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クボタカユキ
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男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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