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image1865.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:スペンサー・サッサー
出 演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ナタリー・ポートマン、レイン・ウィルソン、デヴィン・ブロシュー、パイパー・ローリー、ジョン・キャロル・リンチ、フランク・コリソン、オードリー・ヴァシレフスキ、ポール・ベイツ 他




自動車事故で母を失った少年T.J.は、心に深い傷を負ったまま日々を過ごしていた。彼の父親ポールも同様で、鬱病になり家で寝ているか、セラピーに行くかを繰り返す日々だった。そんなある日、T.J.は、街で長髪に半裸のヘッシャーという男に遭遇。その後、なぜかT.J.の周りに出没し、挙句の果てにはT.J.の家に押しかけ、そのまま住みついてしまう。彼はヘヴィメタを大音響で流し、気の向くままに破壊行為を繰り返す。そんな彼をうんざりするT.J.だったが…というストーリー。

原題の“HESHER”は、あやしい風貌の兄ちゃんの名前。本名なんだかあだ名なのかはわからん。この兄ちゃんが舞い込んできて、人々(っつーか家族と一人のネエちゃん)はどう変わるのか?ってお話だから、彼の名前がタイトル。でも、そんな題名だと、何がなにやらよくわからんから、メタルヘッドなんていうそれっぽい邦題になってる。でも、残念ながら的外れ。ヘッシャーは車ではメタルロックばかりかけてるし、暇があればギターを弾いてる。けど、ヘヴィメタな格好ってわけでもないし(メタル要素はない)、タイトルにもってくるほど重要でもないし、焦点を合わすべきところでもない(まあ、そこはいいや)。

見覚えがあるな…と思ってたんだけど、『(500)日のサマー』の主人公の人だ。まったくイメージは違うけど悪くない。ARATAみたいなポジションの役者かな。

ナタリー・ポートマンの無駄遣い…って言いたいところだけど、案外、母親を喪失した少年が、母を投影しつつ恋心も抱くっていう微妙な線にはぴったりだったかと。野暮ったくてショボいんだけど、それがかえってビッチな本性とのコントラストを生んでいて、いいキャスティングだったと思う。でも、まるで彼女がメイン俳優みたいなジャケットなのはトホホ状態かな。メイン俳優陣だけだと誰も観ないだろうから、しょうがないんだろうけど、せめて眼鏡かけた写真にしようぜ。

すごく、いいセンスを持っている監督だと思う。
冒頭の、子供が車に接触して吹っ飛ぶんだけど、運転手が出てくるでもないし、ぶつけられた子供もそのまま行っちゃうっていう描写で、この街に住む人のレベルとか土地柄をさらりと表現していて、うまいと思う。
少年がなぜ車にこだわるのか?は、おおかたの観客が予想するとおりで、母親がらみ。ヒネリはない(というか、それ以外にない)。

妻を亡くして沈み続ける父親、母を無くして悲嘆したいのだが自分以上に父が壊れていて悲嘆することができない息子。そして、本当に壊れかかっている(ボケかかってる)おばあちゃんの三人暮らし。そんなところに正体不明でムチャクチャなヘッシャーがやってくるけど、そんな彼を追い返す力すら、彼らにはない。

ちょっと『家族ゲーム』みたいな感じになるのかな…と思いきや、ヘッシャーの行動にはあまりに一貫性がないし、ポリシーとか信念みたいなものもなく、単なる世捨て人のようにも見える。少年がいじめられていても、絶対になにもしない。そんなヘッシャーが家族をどう変えていくのか…そういう軸で展開する。

ただ、ちょっとこのシナリオというか設定で疑わしいのは、このヘッシャーってキャラの設定をどこまで創れているのかな?って点。別に本作の中で、ヘッシャーのバックボーンをすべて語れといっているわけではないし、語る必要まもちろん無いんだけど、設定上はしっかり細かいところまで考えていないと、行動に微妙な矛盾が漂ってくる。
ヘッシャーは、心を病んでいるのか、それとも育った環境によって不安定なのか、実は協調性がないだけで健常なのか。いつからこんな生活をしているのか。元はマトモな生活をしていたのか。今回と同じように人の家に押しかける生活を続けているのか、実は別に生計を立てる術はもっているのか…とか。
それまで、頑なに自分のやりたいことだけをやっていたヘッシャーが、ナタリー・ポートマン演じるニコールとそういう関係になって、少年を傷つけてしまった後、謝ろうとしてなのか色々加担するのだが、その気持ちの境目というか、価値観の境目みたいなものが、いまいち腑に落ちない。なんでばあちゃんにあそこまで感情移入したのかとかもね。みなまで言わなくていいけど、ちょっとブレがあるように感じられて、結局、ただのよくわからない人で終わってしまったのが残念。もう少しくらい正体をチラ見せしたほうが深みが出たと思う。

まあ、嵐に理由はない。あまりの自然の猛威にすっかりなぎ倒されて、笑うしかない…立ち上がるしかない…そう思える人もいるだろうさ。結局わけのわからないまま、終わってしまうんだけど、このわけのわからないものを作りたかったんだろうな…という気がするので、これはこれでOKかなと。

良作と胸を張ってお薦めはできないけど、なかなか悪くなかったと思う。化けそうな予感のする監督なので、ちょっと名前を覚えておこうと思う。

 

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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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