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image2070.png公開年:1954年
公開国:イギリス
時 間:74分
監 督:ジョン・ハラス、ジョイ・バチェラー
コピー:歴史は繰り返す。支配する者とされる者。その構造は変わらない、ただ…
 今、豚は太っていない。
 伝説のH&Bが半世紀前に描いた、永遠不変の権力の寓話。ジョージ・オーウェル原作「動物農場」、ついに日本解禁。




ひなびた荘園農場で、動物たちは人間にひどい扱いを受け、搾取されていた。耐えかねた動物たちは、豚の指導の下で革命を起こし、人間を追放する。動物たちは“すべての動物の平等”を掲げ、自分たちで農場経営を始める。数ヶ月経ったころ、豚のスノーボールが、新たなな秩序や教育活動、電力を得るための風車建設計画などを進める。そんな動きを疎ましくおもった豚のナポレオンは、密かに手なずけて訓練を施していた大型犬でスノーボールを襲撃し、農場から追放してしまう。その後、豚が他の動物を監視・労働させ、自分たちはかつての農場主の家で優雅な生活をするという体制がはじまり…というストーリー。

さすがイギリス、搾取される労働者による階級闘争話、ケン・ローチの世界か…と思ったが、もっと直球の全体主義、共産主義批判で、自由主義、共和制こそ正義という思想のもの作られた作品だった。はじめは労働者による純粋な反抗からスタートする。このスタートは自由主義国家であっても共産主義国家でも変わらない。不当な搾取からの脱却。では、同じスタートながら、なんで両者が異なる結果を生むのか…と、これを考えさせてくれる、いい教科書ではあると思う。今、これが製作されたというのなら、別になんてことはないのだが、この原作が1945年で、本作が1954年ということを考えると、共産主義の末路を予言しているという意味では、なかなかの慧眼だといえる。
#スノーボールのモデルはトロツキーらしいか、トロツキーがそんなに美化される人物なのかは、意見が分かれるところだろう。
だから、アニメといっても子供向けではない。ラストに微塵のカタルシスもなし。ジブリライブラリだからといって、うかつに子供に見せると、子供のブーイング必至である。

現在において、多少、全体主義に傾きかける傾向がみられることがあったとしても、それは周辺国の蛮行や、国内の破廉恥な商業主義のカウンターバランスとして表出するだけで、この作品が警告するような、全体主義や共産主義への道ではないわけで、アニメの歴史的価値とか古典という意味以外に本作の価値はないよに思える。

しかし、一点、現代社会においても考えさせられる部分が。それは馬とロバ。
馬とロバは、労働者の鑑として描かれる。おそらく馬もロバも、資本主義社会だろうが共産主義社会だろうが、いずれにおいてもマジメに働くと思われる。たしかにすばらしいことなのだが、いずれにしても権力者にとって都合のよい労働力だというのが悲しい。革命というドラスティックな展開になるまでそれを放置してしまう原因が“マジメさ”と“隣人愛”だと考えると、なにかやるせない。
さて、現代の労働者が、本作の馬やロバのようにならないよう、“動物らしく”生きるためには、どうすればいいのか。60年近く経った今でも考えさせてくれる要素が詰まった作品だと思う。佳作。

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