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image1803.png公開年:1985年
公開国:イギリス
時 間:102分
監 督:トビー・フーパー
出 演:スティーヴ・レイルズバック、マチルダ・メイ、ピーター・ファース、フランク・フィンレイ、パトリック・スチュワート、マイケル・ゴサード、ニコラス・ボール、オーブリー・モリス、ナンシー・ポール、ジョン・ハラム 他




ハレー彗星探査する宇宙船チャールズ号。研究者たちは彗星の傍に人口の構造物らしきものを発見し、潜入を試みる。驚くことに、中には男2人と女1人の人間が安置されていた。研究者たちは彼らを宇宙船に運びいれ、地球に持ち帰り研究をすることに。しかし、その後チャールズ号からの通信は途絶えてしまう。その後、別の宇宙船がチャールズ号を発見し捜索すると、内部は火災をおこした痕跡があり乗組員は死亡していたが、回収した眠る男女は無傷。そのまま地球に運搬するのだが…というストーリー。

宇宙で謎の生き物を発見して地球にもってきちゃったら、さあ大変。SF映画としてはありがちすぎるほどありがちな展開。誰しもが、どっかで観たことあるような話だな…と思うはず。
後の作品の『ノイズ』や『スピーシーズ』だって似たようなプロットだし、それこそ『エイリアン』だって地球に持ち帰る前の攻防だというだけで、異世界からのアブナい生き物という括り。『スピーシーズ』にいたっては女性の裸の扱いまでそっくりだけど。

ただ、この作品には不思議な魅力がある。
普通、SFというのはそれなりの理詰めの説明が必須だと思うのだが、「何か、わけわかんね」という部分が多い。例えば、精気を吸われた人が、一定時間が経過すると発作をおこすという流れ。どういう理屈なのかさっぱりわからない。これは、始めに死んだと思わせておいて、実は生きていてびっくり…という、展開上の緩急をつけることが優先されている結果であって、その事象がどうのこうのというものではない。

あげくの果てに、バンパイアは過去にやってきた奴らのことだ!なんてのは、おもしろいんだけど、それならば昔も同様の大感染がおこったわけで、そのときはどうしたんだ?って疑問がわく(同じように退治したんですよ…っていわれても、それはちょっと無理だったんじゃね?って思う)。これは、いかにもSFチックな内容なのに、それを際立たせるように、ハレー彗星だとか、ドラキュラやこうもり男とか、わざと古めかしい要素を配置する。雰囲気作りを優先させた結果である。

特殊メイクとSFXがショボいと思う人もいるかもしれないが、精気を吸われながらも生きている状態なんて、この世には存在しないわけだから、どう表現したってかまわないわけで、そこは技術の使いどころの妙だと思う。血が空中によっていって人の形になっていく表現など、それほど高度な技術でもないだろうが、効果は抜群だと思う。当時のできる技術をとことん使用するのはもちろん、それをどこで使うのか?によって技術の限界をなるべく感じさせないというセンスはすばらしいと思う。これによって、現在でも鑑賞に堪えるモノになっているのである。

で、結果として、観終わって満足(というか、古い作品なのに案外いけるじゃん!って感じ)なのに、あまり頭の中に残っているものは少ない。そう、テーマがどうのこうのじゃないの。究極的にトビー・フーパーという監督が“観せる”“魅せる”という能力に長けている結果なのである(原作の力ではない)。
しかし、人間生活の中で、リフレッシュ、ストレス解消、という使命が映画にあるのであれば、必ずしも高尚なテーマや穴のない論理や世界観が、必ずも求められるわけではない。おもしろかったけど何も残らないという作品って、実は映画の本領なんじゃないかとすら、思える気がする。

何も考えたくない、小難しい話なんか頭が受け付けなさそう…そんな時には最適な作品。お薦めしたいのだが、字幕版しかないのが残念。




負けるな日本

 

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