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image0052.png公開年:2005年  
公開国:フランス、ベルギー
時 間:95分  
監 督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出 演:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、 オリヴィエ・グルメ、ステファーヌ・ビソ、ミレーユ・バイィ、アンヌ・ジェラール  他
受 賞:【2005年/第58回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(リュック・ダルデンヌ、ジャン=ピエール・ダルデンヌ)
コピー:痛みを知ること、やさしくなること。

20歳のブルーノと18歳のソニアのカップルは、わずかの生活保護とブルーノの盗みでその日暮らしの日々。ブルーノはソニアが自分の子供を産んだとういのに父親としての自覚どころか関心さえ示そうとせず、深い考えもなしにその子供をわずかのお金で売り捌いてしまう…というストーリー。

子供ができた若いカップルの過ちを描くドラマなどと紹介されていたが、(以下ネタバレ多く含む)大きな過ちを犯すのは男のほう。前半、若い二人の行動の子供っぽさを妙に強調するので、タイトルの“ある子供”が赤ん坊のことだけでなく、この若者たちも指すダブルミーニングであることに、早々と気づいてしまった。そうなると、売った子供を取り返すまで顛末と、それを通して大人への自覚を獲得していく…的な展開が続くのかと思ってうんざりしかけていたのだが、早々に奪回。セーフ(『天国と地獄』と一緒だね)。
さて、あとはどういう話にするのやら。自滅パターンしか想像が付かなかったけど、それを覆してくれるなら、さすがパルムドールと納得しようと考えたのだが、それは叶わず。

ベルギーでは失業する若者が相当数存在し、問題になっていると何かに書かれていた。そういう社会風刺を含んでいるのは理解できるが、それを踏まえても、本作はピンとこなかった。ピンとこないのは、その状況を肌で感じていないから…ということではない。一見、男が社会から手を差し伸べられていないように見えるのだが、私には差し伸べられた手を自分で払っているようにしか見えないから。冷たい言い方をすれば、同情する気がまったくおきないのである。仮に社会状況が良くても、この男はこんなもんなんじゃないかと思えて仕方がない。

さて、自首したことが大人への一歩なのかどうか。なにか希望の臭いも感じさせる終わり方だが、よく言えば余韻を残した終わり方、悪く言えば放り投げ。なかなか人間は変われない。社会的な業の深さも感じるし、日本がそういう状況でないことを、ありがたく感じてしまう次第であった。

技術面だが、現実的な描写がすばらしく、非常に参考になる。亡霊にでもなって彼らの傍らで、その様子を眺めているような感覚になる。それは、まったくBGMがないことと、手持ちカメラでの撮影が多いことの効果かと思う。模倣する作品が出てくるかもしれない(スタッフロールが無音なんで、「あ、そういえば」って気付くよね)。

本作は、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』を抑えてパルムドール受賞となったが、個人的な趣味としては『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』のほうが好き。本作のほうがカンヌ好みだったということなんだろうけど、根本的に私とは趣味が合わないということかな(他の出品作品もさほど秀でているとも思えないんだよね)。

楽しい作品では決して無いので、ドンパチやフザけた映画に飽きたときに観ればいいかも。観なきゃ損します、とは言いません。

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