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image1546.png公開年:2009年 
公開国:スウェーデン、デンマーク、ドイツ
時 間:153分
監 督:ニールス・アルデン・オプレヴ
出 演:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、スヴェン=ベルティル・タウベ、イングヴァル・ヒルドヴァル、レナ・エンドレ、ステファン・サウク、ビヨルン・グラナート、ペーター・ハーバー、マーリカ・ラーゲルクランツ、グンネル・リンドブロム、エヴァ・フレーリング、ゲスタ・ブレデフォルト、ミカリス・コウトソグイアナキス、トマス・ケーラー、ヤコブ・エリクソン、ペーター・アンデション、アニカ・ハリン、ユリア・スポーレ、テイラ・ブラッド、ヤスミン・ガルビ 他
ノミネート:【2009年/第22回ヨーロッパ映画賞】主演女優賞(ノオミ・ラパス)、音楽賞(ヤコブ・グロート)
コピー:彼女だけが知っている

雑誌『ミレニアム』の記者ミカエルは、大物実業家を告発した記事を書いたものの、その情報源に誤りがあったために逆に名誉毀損で訴えられ、実刑を科せられてしまう。収監は6ヶ月先。そんな時、彼のもとに大財閥ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリックからとある事件の調査依頼が舞い込む。それは、40年前、ヘンリックが我が子のようにかわいがっていた姪のハリエットが忽然と姿を消し、当時の捜査では迷宮入りとなってしまった事件を改めて調査してほしいという内容だった。ミカエルは依頼を請負ったものの、証拠が乏しかったため調査は困難を極めるのだった。一方ヘンリックは、ミカエルに調査を依頼するにあたって、天才ハッカーのリスベットという女性に身辺調査を依頼してた。彼女は、調査報告後もミカエルのパソコンにハッキングとして事件の資料を見てしまうと、とあることに気づいてしまい…というストーリー。

原作本が大ヒットしていたらしいがが、まったく知らず。すでに本作のDVDには、続編(それも2と3)の予告編が入っており、それほど大ヒットしているということらしい。日曜洋画劇場でも2・3公開のCMが流れてしたくらいだ。

まず、2時間半超という収録時間に怖気づいてしまったのだが、さほど苦痛を感じることはなかった。長さを感じさせないほどの盛りだくさんの展開で、それこそドラマを1シーズン観終わったような気分になってしまった。これはTVドラマを編集したものなのか?と思ったくらい。実際は原作の内容が重厚で、且つそれを映画にがっちり盛り込んでしまったから…ということらしいのだが。

昔のデンマーク製TVドラマの『キングダム』でもそうだったが、性的な表現やグロい表現に遠慮がない。猟奇的な内容は見慣れているので問題はなかったが、レイプや性的な表現が観も蓋も無いのには、いささか閉口ぎみに。別に、レイプがらみの顛末を、あそこまで盛り込まなくても充分に成立したと思うし、むしろ主筋の内容じゃないのに、比重を置きすぎという感もある(アメリカでもイギリスでもフランスでも、この件にここまで時間を配分しないだろう)。しかし、それでも愉しめたということは、それら難点を充分に上回るデキだという証拠である。
原作に愚直に沿っただけといえば、それまでなのかもしれないが、しかし、続編はあるものの、それを前提にした安易な先送りや、変な匂わせ方は一切していないなど、入魂っぷりに非常に好感がもてる。成功の一つの要因といえるだろう。

ストーリー展開が盛りだくさんというだけでなく、主人公の一人であるリスベットのキャラクターについても、いささか盛りだくさんすぎる嫌いはある。見た目のインパクト、生い立ち、ハッカーとしての能力だけでなく常人ならざる映像記憶力、さらに加えて諸々の実行力。ただ、観終わって冷静に分析してみると、“事件”自体は実のところ目新しくはないので、このキャラクターがいないと興醒めしたかもしれない…とは思う。

とにかく、公開している続編を観にいこうかな…と思わせるほどのデキで、少なくともDVDがリリースされたら観るのは必至である。それくらい愉しめたのでお薦めする。まったくノーマークだったので、久々に掘り出し物にぶり当たった感あり。

#ただ、2・3は連続で製作されることが決定していた模様なので、ユルくなって勿体無い状況になっていないことを期待する…(ヒマと時間さえあれば観にいきたいのだが、もう公開は終わっているんだろうな)。

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image0094.png公開年:2001年 
公開国:フランス
時 間:98分
監 督:ピトフ
出 演:ジェラール・ドパルデュー、ギョーム・カネ、イネス・サストル、アンドレ・デュソリエ、イネス・サストーレ、エディット・スコブ、アンドレ・ペンヴルン 他
コピー: 衝撃×興奮!!全細胞が狂喜するハイパー・ゴシック・ミステリー、遂にその全貌現る!



1830年のパリ。元は犯罪者だったが、その後、私立探偵となり数々の事件を解決して国民の英雄のヒーローになったったヴィドック。そのヴィドックが、とある事件で死んだと報じられる。ヴィドックの相棒ミエは悲しみに暮れたが、彼の前にエチエンヌという男が現れる。彼はヴィドックから自伝の執筆を依頼された作家で、伝記を仕上げるためにもヴィドック死の真相を突き止めたいと主張する。二人はヴィドック最後の事件を洗い直すのだったが…というストーリー。

TSUTAYAの発掘良品のラインナップがいまいちに感じられて、ワタクシ的な発掘良品ってなんだろうって考えたら本作が思い浮かんだ。まあ、発掘しなきゃいけないほど、埋もれた作品でもないけど、知らない人はまったく知らないフランス映画だよね。
監督は『ロスト・チルドレン』『エイリアン4』などの映像効果を担当していた人。そう、本作の一番の売りは映像美である。ダークなのに精緻で陰影が実にが美しい素敵なヴィジュアルで、とてもとても好きである。CGは、とにかく素晴らしい。

いきなり主人公が死んだところから始まり、それを回顧する形式で展開するのも、なかなかよい演出。同じフランス映画である『クリムゾン・リバー』の脚本家による仕事で、確かに、常人ならざる動きのキャラクターとか、若干グロいところなど、共通点は多いかも。主人公が、とてもヒーローと思えない、でっぷりウエストの小汚い親父ってのも、私は嫌いじゃない。

もう、ここまでよい条件揃いなら名作といってもよいのでは?と思うだろうが、本作にも名作になれない理由が存在する。
以下、ネタバレ。

オチがよかったと評価する人が多いのだが、私はそう思わない。たしかに予想外ではあるかもしれないが、犯行の動機がイマイチピンとこないから。横溝正史ばりの愛憎や怨念や偏愛でも裏にあれば完璧だったのだが、ただの狂人の反抗っていうのが、どうにも腑に落ちない。

また、あれだけ身体的能力がスゴかったら、稲妻などというギミックなど使わなくても、簡単に殺すことは可能だと思う。第一、根本的にあのガラス仮面を被ると、なんで超人的な能力が得られるのか説明不足。単純にそういう魔術的なツールなんだよ…ってことだとしても、落雷やら火薬やらつたないながらも一生懸命に科学的説明を重ねていい雰囲気を醸成してきたのに台無しだと思う。
それに、冷静に考えたら、なんで彼は犯人の正体に近づきそうな人を殺して回っているのか?あそこまですごかったら、とりあえず放っておいても問題ないんじゃなかろうか。ポンコツ警察からなんて、イザとなったらいくらでも逃げられそうだもの。

でも、そんな穴だらけのシナリオなのに、油断するとすっかり誤魔化されてしまうだけの、勢いがある。ダメもとで続編をつくってくれないかなぁ…と思う。よって、名作ではなく良作としてお薦め。
一つ、注意したいのは、本作を字幕で見るのは止めたほうがいいということ。けっこうめまぐるしいカメラワークで、おそらく字幕を追うと、細かいシーンを見逃したり、ヘタすると船酔い状態になるかも。第一、一番の売りである映像美に集中できないから。
 

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image1538.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:138分
監 督:マーティン・スコセッシ
出 演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズ、エミリー・モーティマー、マックス・フォン・シドー、パトリシア・クラークソン、ジャッキー・アール・ヘイリー、イライアス・コティーズ、テッド・レヴィン、ジョン・キャロル・リンチ、クリストファー・デナム 他
コピー:全ての“謎”が解けるまでこの島を出る事はできない。


ボストンの沖合に浮かぶ孤島シャッター アイランドには、精神疾患のある犯罪者を収容する病院があったが、厳重な監視下にあったにも関わらず一人の女性患者が行方不明となる事件が発生。激しい嵐の中、連邦保安官のテディとチャックが派遣される。2人は、患者たちへの聞き込みを開始するが、なぜかテディは事件と無関係な“アンドルー・レディス”という人物について探りを入れ続ける。その人物は、彼のアパートに火をつけ妻を殺害した放火魔で、レディスがこの病院に収容されていることをしていたのだった…というストーリー。

先に、これから観る人へのポイントを言ってしまう。これから観ようという人は、本作は謎解き映画ではないことを把握すること。自分もシャッターアイランドの空気に浸っているように、身を委ねて観ること…をお薦めする。

以下、ネタバレ。

結局、妄想モノ&自分が犯人(っていうか原因)モノのミックスなので、どこかで観たような気になるのは否めない。トラウマの苦痛やストレスからの回避のために記憶を作り上げ、ストーリーが進むにつれて事実が見えてくる…っていうギミックなら、『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』と同じ。そっちを観ていなければ、本作の印象も違ったかもしれないが、閉塞感や狂気の具合は、『スパイダー~』のほうが上は気もするので、この謎解き部分を取り上げて、サイコスリラーの傑作というのは、私には憚られる。

スコセッシは、現実の中をうまく泳げないキャラクターをよく登場させるけれど、本作の主人公はまさに直球でそれ。十字架を背負っている役は彼なわけだが、その道程は延々と繰り返す無間地獄。スコセッシは、何度も何度も同じ妄想を繰り返さざるを得ない、この刹那くも悲しい空気を表現したいのであって、謎解きを愉しんで欲しいわけではないはず。公開時のCMでは、“驚愕のエンディング”的な感じで煽っていたが、確かにCMのデキは良かったし、私も観にいこうかな?と心が揺れたほどだったが、あまりにも謎解きを前面に出しすぎたため、逆効果のミスリードになっている。

どこか違和感を感じさせたり、錯視させる演出も効果的。各役者の演技が微に入り細を穿ちといった具合で、多数の演者に対する指導が行き届いていることが良くわかる。、この濃い霧のような空気感に漂うよに本作を観られたら、さぞかし愉しめたと思うのに、謎解きに意識を持っていかれたせいで、必要以上に懐疑的に見たりアラを探すことに注力してしまった。もう、とりあえず集客に一番効果があれば、客がどう思うかなんて知ったことか…的な仕事はやめて欲しい。日本の配給会社よ。

実は、なかなか秀作だったのに、身内の配給会社に台無しにされた残念な映画。スコセッシは日本でのプロモーションをした人間を2発くらいグーで殴る権利がある。

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image1519.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:ガイ・リッチー
出 演:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ ジョン・ワトソン、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、ケリー・ライリー、エディ・マーサン、ジェームズ・フォックス、ハンス・マシソン、ウィリアム・ホープ、ブロナー・ギャラガー、ジェラルディン・ジェームズ、ロバート・メイレット 他
受 賞:【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](ロバート・ダウニー・Jr)

19世紀末のロンドンで、儀式ような手口で若い女性が殺される連続殺人事件が発生。スコットランド・ヤードが捜査に手こずる中、名探偵シャーロック・ホームズは、超人的な観察力や記憶力、推理力で犯人の居所を突き止める。その犯人である黒魔術を操るブラックウッドは、巨大な闇の力ですぐに復活すると言い残して処刑されるが、彼が本当に甦ったとの報せが。そしてブラックウッドは、とある秘密組織を掌握し、全世界を支配するという野望を実現しようとする。ホームズはその野望を阻止するため、相棒ワトソンと共に、ブラックウッドを追跡する…というストーリー。

まったくもって大胆極まりないキャラ設定で、往年のシャーロックホームズドラマのファンの方々は不満だろう。
これまでのホームズとワトソンの関係は、お人好しのワトソンと、それを常に上から目線で見ているホームズという感じだが、本作では逆に。さらに加えて、アメリカドラマのバディ物を演じさせちゃうという、思いっきりのよさ。

それにしても、古典的なホームズファンが文句をいっているのをよく見る。監督がガイ・リッチーなのだから、ありがちなイメージのホームズになるわけがないのはj、あらかじめ予想がつくし、古典の良さを維持しようなって発送はハナから無いに決まってる。もう、だまれ!って感じ。

#実は、原作のホームズはこれに近いんだよという指摘もあるのだが、私は遠い昔に一冊か二冊読んだ程度なので覚えていない。

何も考えずに観れば、絶対に愉しめるはず!と思っていたら予想通りだった。スローモーションとか、謎解き的に同場面を繰り返すとか、ガイ・リッチーらしいこれまでの彼の作品と同じ演出方法が多用されている。ロバート・ダウニーJr.もジュード・ロウも大人の関係をクールに演じていて、なかなか小気味良いし、ホームズとアイリーンの関係はルパンと不二子ちゃんみたいだし。
ただ、不思議なことに、結構面白く感じているハズなのに、3回以上、途中で寝てしまった。理由は二つ。

①こういった演出が主筋の事件とは無関係に、結構繰り返されるので、途中で「何の映画観てたっけ?」という感じになってしまうこと。
②ホームズがなんでもお見通しなので、だんだんドキドキしなくなってきて、謎解きの醍醐味が薄くなること。

まあ、このへんの詰めの甘さが、ガイ・リッチーが一流になれない要因だろうね。
是非、何も考えず、何も期待せず、観て欲しい。A-(Aマイナス)くらいは付けてもらえる作品。横になりながら見てると寝ちゃうかもしれないから大音量でみ観て(笑)。

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image0767.png公開年:1982年 
公開国:アメリカ
時 間:116分
監 督:シドニー・ルメット
出 演:マイケル・ケイン、クリストファー・リーヴ、ダイアン・キャノン、アイリーン・ワース、ヘンリー・ジョーンズ 他
ノミネート:【1982年/第3回ラジー賞】ワースト助演女優賞(ダイアン・キャノン)




ブロードウェイの劇作家シドニー・ブリュールはスランプに陥り、近頃の作品は酷評続きで作家としての危機を迎えていた。心臓病の妻は幸いにも金持ちで、生活にはこまらないが、このまま過去の栄光だけで業界に居座り続けるのも耐えられない。そんな時、昔の教え子が書いたミステリー劇のシナリオが届くが、実にすばらしい出来栄え。のどから手が出るほどヒット作が欲しいシドニーは、そのシナリオを自分のものにしようと考え…というストーリー。

ちょっと古めの作品で、且つ字幕のみ。丁々発止のかけあい劇なので、字幕を追うのがいささかツラい。

観ればすぐにわかるが、舞台劇。元はブロードウェイのヒット舞台らしいのだが、舞台をそのまま撮影したに等しく、“映画”というメディアであることを生かしているとはいえない。常々、ミュージカルを映画にした作品に対して、映画化する意味を問いかけてきたが、本作もその一群といってよいだろう。

当時は、めまぐるしいどんでん返しの連続をウリにしていたと思うが、残念ながら私がいくつか想像した選択肢の通りの展開だったため、驚きは小さかった。しかし、あくまで、たまたま私の想像に合致しただけであって、誰が見ても凡庸だと思うわけではないだろう。半数くらいの人は、なかなかよかったと感じるのではなかろうか。ラストの演出も時代遅れとは感じるが、さほどひどくはないし(実際古い作品なんだし)、マイケル・ケインとクリストファー・リーヴの演技も悪くない(ダイアン・キャノンは演技も役柄も鬱陶しいけど)。
しかし、説明的なセリフが多く、増長に感じられるシーンが連続するすので、せめて、90分台までに編集すべきだったろうとは思う。現代のそこそこ著名な映画監督などが、再編集したり音楽や音響を付け替えることで、ガラっと生まれ変わる作品だと思う。

やはり古臭さがハナについてしまうので、強くお薦めはできないが、演劇好きの人やアガサ・クリスティ原作の映画なんかがお好みの人は充分楽しめると思う。でも、私は二度と観ないと思うけど。

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image0091.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ、ポーランド、フランス
時 間:180分  
監 督:デヴィッド・リンチ
出 演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャスティン・セロー、カロリーナ・グルシュカ、スコット・コフィ、グレイス・ザブリスキー、ダイアン・ラッド、ジュリア・オーモンド、アマンダ・フォアマン、ジョーダン・ラッド、スタンリー・カメル、メアリー・スティーンバージェン、ローラ・ハリング、ナスターシャ・キンスキー、マイケル・パレ、ウィリアム・H・メイシー、裕木奈江、ピーター・J・ルーカス、クシシュトフ・マイフシャク、エリック・クレーリー、ナオミ・ワッツ 他
受 賞:【2006年/第41回全米批評家協会賞】実験的作品賞
コピー:わたしも、世界も、乱れていく。

『マルホランドドライブ』を観たときは、難解なため整合性をについて考えるのを放棄したくらいだったが、本作はさらに拍車がかかっている。何が何やら、私にはさっぱりわからない。『ツイン・ピークス』しかり、難解な表現は、独特のスタイルと受け止めることは可能だが、欠けたパズルピースやどうしてもはまらないピースが3・4個あるくらいなら、なんとかねじ込もうという気にもなるが、一つのパズルなのかどうかすら怪しく思えるようでは、解く気すら失せてしまう。

それに3時間ちかく、このノリでは、疲れてしまう。このレビューを書くために、我慢して観たのだが、放り投げる寸前だった。劇中の台詞「要点を言ってくれ」「もったいぶるなよ」をそのままデビット・リンチにお返ししたい気持ち。

ただ、観終わって一つの考えに到達した。ただ説明しにくいので、迂遠な表現になるがご勘弁を。

他人も同じように思っているんだろうな…という前提で社会生活をおくっているが、時々、ふと、回りの人が、実は頭の中では別の捉え方をしているかもしれない、自分と同じように感じている保証はない…と感じることがある。極端な例を言えば、私は、この色を赤だといい、彼も赤だといっているが、私が感じている赤と、彼の頭が
感じている赤は別かもしれない…ということ(わかってもらえないかもしれないなぁ)。
で、デビット・リンチは、あるタイプの人間が、感じている内容を、具現化してるのではないか?ということである。ピカソはあの二次元化した立体表現を、計算で表現していたわけではなく、あのように見えていたと指摘する人がいる。リンチは精神を病んでいる人(例えば統合失調症の人)の感じ方を映像化しているのかな?と、気づいた。そういえば『ツイン・ピークス』でも、悪だ何だと表現されていたが、結局は主人公は心のバランスを崩したわけで、本作も同じ延長線上なのは?と。

#精神を病んだ人たちが集う共通世界がある…ということかもしれないけれど、それはユング的で好きではないかな。

ということは、リンチは、統合失調症の感覚を理解できている?境界線上の精神状態ということか?もちろんそれを確認する術は私にはないのだが…。フロイトの症例報告が、実は自分の症例であったことは有名な話だが、リンチ作品も同じだったして…と想像するとともに、ますますエスカレートする難解さは、その境界がよりあっち側に寄っているのでは?と感じられて、ちょっと心配になってしまう。

ただ、少なくとも、『ツイン・ピークス』程度の難解さ加減に戻ることは、もうないんだろうな…とは、思うのだった。とりあえず、よほどのリンチファンで、「研究したい!」くらいの気持ちがある人以外は、観るべきではないと思う。少なくとも、これを観たあとに、3時間を費やす価値があった…と実感する人は、ごくわずかだと思う。

あ、そうそう。本作には裕木奈江が出ていたことが話題になっていたけれど、別に特筆すべき点はなし。英語の長台詞だったことを褒めている人もいるようだけど、別に褒めたくなるような要素はなし。特段気持ち悪さ爆発の演技だったわけでもないし、逆に可憐さや危うさが表現できていたわけでもない。ふやけた椿鬼奴みたいだった。

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imageX0003.png公開年:1974年 
公開国:アメリカ
時 間:128分  
監 督:シドニー・ルメット
出 演:アルバート・フィニー、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンス、マイケル・ヨーク、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、リチャード・ウィドマーク、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ウェンディ・ヒラー、ジョン・ギールグッド、ジャン=ピエール・カッセル、レイチェル・ロバーツ、コリン・ブレイクリー、デニス・クイリー、ジョージ・クールリス、マーティン・バルサム 他
受 賞:【1974年/第47回アカデミー賞】助演女優賞(イングリッド・バーグマン)
【1974年/第28回英国アカデミー賞】助演男優賞(ジョン・ギールグッド)、助演女優賞(イングリッド・バーグマン)、作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](リチャード・ロドニー・ベネット)
コピー:この中に犯人がいる

1935年。イスタンブールからパリ経由でカレーに向かうオリエント急行に、名探偵ポワロが乗っていた。二日目の深夜、雪で線路が埋まり立往生している中、ポワロの隣の客室にいたアメリカ人富豪ラチェットが刃物で体中を刺され死んでいるのが発見される。鉄道会社からの依頼で事件解明に乗り出したポワロは、車掌と十二人の乗客たちの尋問を行うが…というストーリー。

あまり好みのジャンルではなかったが、とにかくキャストは豪華。典型的な密室劇で、もう古典の雰囲気すら漂う。原作シリーズは良く知らないのだが、本作に限って言えば、アメリカの事件が、地球の反対側まで展開して、それが名探偵に出くわすなんて、いかにも“小説的”である。現在、こんな内容のものを書いたら時代錯誤と言われるだろうが、逆に新鮮。

以下、展開を少しでも語ると、観る気が失せちゃうだろうから、言及しない。

小難しいのや必要以上に感情を煽ろうとする作品を観るのに、いささか疲れているときは、最適かも。ミステリーだから頭を悩ませちゃうかと思いきや、昨今の作品にくらべたら、シンプルでストレート。救いも共感も感じられない無慈悲な展開もない。
こういうレトロな謎解き劇を見ていたら、ふと、横溝正史を思い出してしまった(私、金田一耕助シリーズ、大好き)。金田一耕助シリーズも、猟奇的なのになぜかほっとする所が共通しているかも(裏に流れる“情”の部分かな)。

アガサ・クリスティと横溝正史じゃ世界的な知名度がちがうだろ…といわれそうだが、どちらが映画にするのに適しているかと聞かれれば、後者のほうが上な気がする。横溝正史の金田一耕助シリーズは、現在リメイクしても(トリックも犯人もみんなが知っていたとしても)成立するが、本作を今リメイクして成立するかな?と考えると、それは無理でしょ(原作がなんだかわからないくらい、よほど手の込んだアレンジにしないとね)。
#ただ、本作の場合、原作の面白さや雰囲気を表現しきれていなさそうな気配があるけどね。

ネタバレだけど、

殺人者だらけの列車の旅はイヤだなぁ。。私(笑) 

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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