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公開年:1976年
公開国:日本
時 間:82分
監 督:大洲斉
出 演:松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、丹波哲郎、岸田森、桑山正一 他









越前福井藩には、藩主自らその腕を見込んで武芸の指南役として採用した仁藤昂軒という武芸者がいた。剣と槍の腕前は超一流だったが、その荒い性格ゆえ藩内での評判はすこぶる悪い。とはいえ藩主には気に入られているものだから、どんどん出世してしてしまうのではと危惧されるように。中でも御側小姓加納平兵衛の一派は、加納の出世が阻まれると焦り、昂軒を闇討ちしようと画策する。当の加納はそんな闇討ちには反対で、一派が闇討ちを決行すると、それを止めようと間に入る。しかし霧の濃い夜だったため、昂軒は一派を返り討ちにするのと一緒に加納まで斬ってしまう。これはまずいことになったと昂軒は出奔。加納を斬った上に黙って藩を出た昂軒に藩主は激昂。上意討ちを命じる。しかし、あの昂軒を討てるものなど藩内にいるはずもない。そんな中、越前福井藩きっての臆病者と評判の若侍双子六兵衛が、名乗りを上げる。自分の悪評のせいで妹が嫁にいけないことを苦にしてのことだったが…というストーリー。

ものすごくテレビドラマ臭がする。画の構図とか編集の感じとか。まあ、ようするに安っぽい。せっかくの映画なのにもったいないなぁと。
松田優作の演技も、わざとなのかな?って思うくらい、馬をよける所や、上意討ちの相手を見つけたときにビビって水を口から漏らす所とか、ダイコン極まりない。意図的な演出だとしても過剰かな…と。

そういう演出面でひかっかるところは多々あるのだが、内容は実にユニーク。

「ひとごろし~」と言うことで、周りが丹波哲郎演じる仁藤昂軒にビビってくれるから、この執拗な嫌がらせが成立するわけだが、実際はどうか。江戸時代だって侍が好き勝手人を斬って良かったわけじゃないから、こうなるのも説得力がある。小市民の知恵。それも生きる術であり、対等な"技術”である。 どんなに弱者でも強者の隙をつけば倒せるという、社会の固定概念を超えた、生物の本能の発露ともいえる。

とはいえ、いつまで「ひとごろし~」ってやり続けるんじゃ?と感じはじめる。そんなあたりで、わけ隔てなく客を泊める、モラリストな宿屋の女主人登場。あらここでおしまい、別展開かな?と思ったら、なぜか翌日になると六兵衛に賛同して、「ひとごろし~」って言う仲間になっちゃうという、クレイジー展開。おもしろい。
だけど、これ、岡本喜八とかに撮ってほしかったなぁ…。もうしわけないけど、この大洲斉っていう監督さんでは、ハジケきれていないなぁ。

世間にはからかわれる人が必要…なんて、悲しいけど含蓄のあるお言葉。からかわれている本人が言ってるし、それが言えるようになったことで、彼の中に自信が沸いているってこと。

ラストは残念ながら中途半端。いや、たぶん短編小説なら、この終わり方で正解だけど、ビジュアルが伴うとなにか物足りなく感じる。もとどりを持って帰って、はたして上意討ち成功とみなされるのか?という疑問。それなら、寝込みを襲うとか、女郎に金を握らせるとかして、ちょんまで切りゃあいいんじゃね?とか。

まあ、精神的な勝利を欲していたってことなんだろうけど、何か納得できない違和感が漂う。はじめは、臆病者をいう汚名を灌ぐのが目的で、そのためには手段を択ばないと決めたはず。もう、仁藤昂軒は気が狂いそうで自害するとまで言っている。やった、作戦成功!ってはずなのに、そうはならない。

はじめは、精神的な勝利なんていうものは求めていなかったのに、最後になると、死ぬことは求めない。どのタイミングで、精神的な勝利を欲するようになったんだろう。その境目は主人公の転換点のはずだし、人間の成長を表現する重要な個所だと思うのだ。そこをうやむやにしたのが、本作の失敗なのではないかと感じる。

映画って、主人公の変化・成長を観せるもので、事柄をつなげればいいというものじゃないから。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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