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公開年:1988年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:リチャード・ドナー
出 演:ビル・マーレイ、カレン・アレン、ジョン・マーレイ、キャロル・ケイン、ジョン・フォーサイス、ジョン・グローヴァー、ロバート・ミッチャム、アルフレ・ウッダード、ジェイミー・ファー、デヴィッド・ヨハンセン、スティーヴ・カーン、リー・メジャース、メイベル・キング 他
ノミネート:【1988年/第61回アカデミー賞】メイクアップ賞(トム・バーマン、Bari Drieband)
ニューヨークにあるテレビ局、IBCの社長フランク・クロスは、業界最年少社長として辣腕を振るっていたが、視聴率のためには手段を選ばない傲慢さと守銭奴ぶりから、周囲の人間からもれなく嫌われていた。今年もクリスマス休暇中の高視聴率を目指して、部下たちを罵倒していた。そんな中、彼の前に3人のゴーストが現れ、彼を改心させようとする。一人目のゴーストは過去をつかさどるゴーストで、タクシードライバーに扮して、フランク自身の過去へ連れて行き、彼がどうしてそんな性格になってしまったのか自覚させようとするのだったが…というストーリー。
デイケンズの『クリスマス・キャロル』を翻案した作品ということで、テレビ業界という俗っぽい舞台であるにもかかわらず、古典臭いというか説教臭さが漂う内容になっている。ただ、日本人向けではないというか、ピンとこないというか…。
本作で感動した人はたくさんいると思うので、水を差すようで申し訳ない。フランクが、どうしてそんな人間になってしまったのか?という、一番根幹の設定が釈然としなかったので、いまいち楽しめなかったのだ。
ゴーストの手助けによって、周囲の人の様子をつまびらかに見ることになり、フランクの心に変化が生じていくという内容。でも、本作の描かれ方だと、困窮する人々の様子や気持ちを彼は“知らなかった”だけであって、知りさえすれば親切にできた…ということに見える。
弟のパーティの様子を見て、彼の本音を聞いて知る。また、秘書の家の様子を見て、息子の一人が過去のトラウマで喋ることができないことを知る。でも、これは改心ではなく“知った”だけなのではないかな…と。
いや、まず知ること(=共感すること)こそ、改心の第一歩だろ…という意見はわかる。でも、二人目のゴーストが「一年間、黒い服を着ていたでしょ?」と嗜めるシーンがある。フランクが見ようと思えば見られるのに、目を背けていると指摘している模様。でも、殺人事件で殺されたなら葬式のために相当の期間、休んだであろうし、ニュースにもなっただろうから気付かないことのほうが不自然。指摘する所が"黒い服を着続けていたのに気付かないこと”って、なんか不自然だ。
ここは、フランクが自分の親の葬式のときも休んだことが無い人間だったとか、“確信犯”であるという設定にしないといけないのではないかな?と。フランクは、人々に見てもらう番組を作る側なのだから、感受性は高そうなはずなんだけど、周囲の人間には一切アンテナを向けることがない。他人に興味がないというよりも、あえて周囲にいる人間のことを見ないようにしているのかな?と私は思ったわけだ。
つまり、そんな馴れ合いの付き合いなんて価値がないという、ニヒリストなのだという設定。幼少期の環境や体験からテレビの世界に拠り所を求める人間になっており、テレビ業界での成功こそがアイデンティティを確立する唯一の手段。それ以外は、すべてシャットアウトしているのだ…、判ってはいるんだけど、どうしても素直になれないのだ…という設定にすべきだったと思う。
すると、“どうせそんなことは無駄”というニヒリズム VS 愛情という対立軸になる。これが正しい本作の構図だと思う。そして、過去の自分や周囲の本音を聞くことで、「ああ、別に自分の殻に閉じ篭る必要なんてないんだな…」「素直になればいいんだな…」と気付くという内容に集約すると、しっくりきたのだが…。
弟の気持ちなんて、仮に私がフランクの立場だったとしても、そこまで気付くことができるとは思えない。どちらかといえば、心の寂しい人間っていうよりも、社会性の無い人間。もしくは、付き合いたいと思っていないんだから、自分の心に素直に行動している人間に見える。
また、一応裕福な生活をしてはいるが、そのためにTV番組をショボくしているわけではなく、金をかけるとことはしっかりかけているわけで、仕事人としては悪くはないし。
大体にして、世の中にテレビ局が一社しかないわけじゃ無かろうに、ひとつや二つ、ブットンだ局があってもよいじゃないか。むしろ、クリスマスにTV漬けになってる民衆のほうがクレイジー。誰もがバカみたいにTVを楽しみにする社会がおかしい。
#ああ、私の心が荒んでいるだけなのかな…。
『クリスマス・キャロル』が定番すぎて、細かい疑問を差し挟む余地すら無いのかも。ただ、ビル・マーレイは本当にこういう役が似合う。彼の演技で、うまくシナリオ上の難点がラップされて、成立していると思う。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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