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公開年:1997年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:デヴィッド・フィンチャー
出 演:マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー、ジェームズ・レブホーン、ピーター・ドゥナット、キャロル・ベイカー、アンナ・カタリーナ、アーミン・ミューラー=スタール、エリザベス・デネヒー 他
コピー:全米№1。『セブン』を越える驚愕と戦慄。ラストの衝撃。緊張度120% 私は盲目であったが今は見える --ヨハネ第9章25節--



サンフランシスコ。大富豪だった父の莫大な資産を引き継ぎ、投資家として成功していたニコラス。今は妻と離婚し、大邸宅に一人で住んでいるが、規則正しく、遊ぶこともなく、ただただシビアに仕事をこなす生活を送っていた。48歳の誕生日、弟のコンラッドと久々に会うと、彼から“CRS”という会社のサービスをプレゼントされる。人生が一変するような素晴らしい体験したのでそれを兄にも経験させたいというコンラッド。軽くあしらっていたニコラスだったが、ある日ふと気になりCRS社に足を運ぶ。サービスの内容が判らないニコラスが説明を求めると、CRSの商品とは“ゲーム”だという。釈然としなかったが、言われるがままにペーパーテストや身体テストを受け、その後帰宅すると、玄関の前にピエロの人形が放置されている。人形を家の中にいれて、テレビのニュースを見てくつろいでいると、テレビの中のキャスターがニコラスに話しかけてきて…というストーリー。

『ファイト・クラブ』の前の作品。私、デヴィッド・フィンチャーは大好きな監督なんだけど、本作だけは記憶にあまり残っていなかった(絶対に以前、観たはずなんだけど)。ということで再鑑賞。
それにしても、当時のコピー、すごい煽りだよね。申し訳ないけど、とてもとても『セブン』は超えていないでしょ。でも、奇作という観点でなら超えているかもしれないのだ。

マイケル・ダグラス演じるニコラスは、たしかにシビアで感情がない仕事っぷりなんだけど、この人、全然悪い人じゃないのね。むしろ優秀で、諸々の招待を断ってるシーンなんか、その判断基準は至極真っ当だし、正直だと思うの。仕事の内容だって世の中の年金を運用しているわけで、人々の将来の安心をしっかり守ろうとしていて、私腹を肥やそうとしているわけじゃない(元々金持ちだからそんなことする必要ないし)。

寂しい人ではあるけど、べつに強くこの状況に苦しんでもいないし、むしろ、別れた後も電話してくる元妻とか、足を引っ張っているだけの役員とか、そっちのほうがうざったいほど。
弟に対してだって、彼がいうほど蔑んでなんかおらず、むしろ本気で心配しているのにそうは見られておらず、本心が伝わっていないという可哀想具合。こういう誤解されてる人ってけっこういるじゃない。だから、なんとなく共感しちゃう。

そんな彼が、ちょっとしたことで乗っかっちゃったゲームで、どんどんハマっていく(とはいえ、ハマるように仕組まれているわけなんだけど)。
まず、テレビが話しかけてきたりする場面で、超常現象的な仮想世界の可能性が考えられるし、壮大な詐欺にハマったという陰謀話かとも思わせる。単純な謎解きというよりももっと俯瞰目線で、“これはどういう作品なのか?”という次元で観客を惑わせている作品である。

(ちょっとネタバレ)
細かいことをいうと、用意周到に計画してました…っていうわりには、ものすごく穴だらけのシナリオなのは事実(映画のシナリオ的にそうなんだけど、CRSのシナリオ自体が穴だらけ)。だから、やっぱりファンタジーとして受け止めるべきなんだと思う。元は弟の兄に対する愛なんだもの。そして最後はニコラスも愛の萌芽を見つけるからね。

デヴィッド・フィンチャー作品のラインナップを考えると、猟奇殺人的なお話ばかりなのだが、本作は誰一人死んでいないという珍しい作品なのだ。そのオチでいいんか?って気持ちになり、もう一どんでんあるのか?と身構えるけど無かったりする。
多分、賛否がスッパリ別れる作品だとは思うけど、私は満足。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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