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公開年:1991年
公開国:日本
時 間:121分
監 督:山田洋次
出 演:三國連太郎、永瀬正敏、和久井映見、田中隆三、原田美枝子、浅田美代子、山口良一、浅利香津代、ケーシー高峰、浜村純、佐藤B作、いかりや長介、梅津栄、渡部夏樹、レオナルド熊、中本賢、小倉一郎、村田正雄、松村達雄、中村メイコ、音無美紀子、奈良岡朋子、田中邦衛 他
受 賞:1991年/第15回日本アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(三國連太郎『釣りバカ日誌4』に対しても)、助演男優賞(永瀬正敏『喪の仕事』に対しても)、助演女優賞(和久井映見『就職戦線異状なし』に対しても)、新人俳優賞(永瀬正敏、和久井映見『アジアン・ビート(日本編)アイ・ラブ・ニッポン』『喪の仕事』『就職戦線異状なし』に対しても)


新宿の居酒屋でアルバイト生活をする哲夫。仕事から帰宅すると、丁度、父・昭男から電話がかかってきて、母親の一周忌に岩手に帰って来いと言う。居酒屋でこきつかわれるのにうんざりしていた哲夫は、アルバイトをやめて帰省し、普段着で法事に参加する。その夜、東京でサラリーマンをしている長男・忠司夫妻が、田舎で一人暮らしの昭男の今後を心配しており、最近購入したマンションに父親を引き取るつもりがあるという。哲夫はそんな会話を気まずそうに聞いていた。翌日、長男・長女が戻っていく中、少し昭男の面倒をみようと哲夫はひとり残ったが、昭男は哲夫が東京でフラフラと転職を繰り返していることをたしなめ、二人の心の溝はかえって深まるばかりであった。東京に戻った哲夫は、下町の鉄工場で働くことにする。思っていた以上に厳しい仕事内容で、またもや辞めてしまいと思いかけたとき、取引先の倉庫で働く征子という女性に一目惚れしてしまう哲夫。彼女に会いたいばかりに哲夫は仕事を続け…というストーリー。

山田洋次作品は、あまり観ていない。階級格差を良しとしたいんだか悪しとしたいんだか、よくわからないな…と感じることが多いし、それが人情話でうやむやにされているような気がするのも、好みじゃない。山田洋次といえば人情話みたいなイメージがあるけれど、私には中途半端な左翼主義者的な臭いが感じられるので、好きじゃないのかも。まあ、わたしが素直じゃないだけなのかもしれないけど。
長男・忠司の描写なんかに、そういう部分は見られるけれど、本作に限って言えば、純粋に父と子の朴訥な愛に、素直にスポットが当たっていると思う。まじめな勤め人だけど少し愛情が薄い長男と、目的意識が薄く感情的で、逆にいえば純粋な次男という、うまい対比ができていると思う。

東北の親類がいる人はよくわかると思うが、ケーシー高峰らが演じる東北人のうざったさが実にリアル。あんたのためを思って言ってあげているんだという割には、押し付けがましく、それが常識だろうという風に、自分の価値観を押し付ける、視野の狭い口だけのお節介な人間が、結構多い。東北人が嫌われる理由の半分がこれだと思う。
そういう明らかに口だけだとわかる言動もそうだが、親だから面倒みなくては…いや、面倒をみる態度は取っておかないと世間体が悪い…という類のウソもある。長男本人も半分はそういう気持ちだが、長男の妻に関しては100%それなのがありありと判る。
だからといって、父親は体も弱ってしまい、本来ならば子供世代に庇護を受けるべき状況なのかもしれないが、それは受けられない。むしろ建前に素直に乗ってしまった先には不幸が待っているのは目に見えている。

かつての戦友の八方塞がりな現在を聞くと、心苦しい。やはり一人でひっそり死ぬのが最適なんじゃないだろうか…、そういう荒んだ気持ちになったところで、まさかの哲夫からの告白。この抑えながらも小躍りするような三國連太郎の演技。本作のいいところを全部一人で持っていちゃった感じ。泣くまではいかずとも、うるっとこない人はいないだろう。
#泣ける、泣けるとは聞いていたが、そうやってハードルをあげられていたにも関わらず泣かせるんだから、大したものだ。

凡人監督(というか凡人脚本家)なら、哲夫の恋愛の進展具合のすったもんだを描いただろうが、すぱすぱと展開させているのが、とてもいいセンスだ。親族が嫁が聾唖者であることを知って云々かんぬんなんて一切描かない。本作の場面構成は、非常に勉強になる。

ああ、本当の幸せなんて、こういう小市民的な出来事の中にあるんだな…、いや、こういうあたりまえの幸せだって、なかなか無いのかもしれない(岩手に戻ったときに、おまえは幸せものだ…と言われるシーンがそれを表現)…ってことなのかな。まあ、その通りなんだけど、ちょっと階級格差での底辺の生き様みたいな感じで描かれているようで、若干気持ち悪かったりする。しかし、それも、最後の三國連太郎の異常なまでの"こりゃ死ぬな…”感でかき消される(死なないけど)。

ラストのスッキリしなさを不満に思う人も多いだろうが、私はあれでよいと思う。人生ってちろちろと蝋燭の灯火のようなものだなって、そう感じさせてくれたもの。良作。
#岩手の家で、スタジオ感がでちゃってるのが、とても興醒め。そのくらいなんとかならんかったのかなぁ…。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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