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image0289.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出 演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド、ギャレット・ディラハント、テス・ハーパー、バリー・コービン、スティーヴン・ルート、ロジャー・ボイス、ベス・グラント、アナ・リーダー 他
受 賞:【2007年/第80回アカデミー賞】作品賞、監督賞(ジョエル・コーエン・イーサン・コーエン)、脚色賞(ジョエル・コーエン・イーサン・コーエン)、助演男優賞(ハビエル・バルデム)
【2007年/第74回NY批評家協会賞】作品賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、監督賞(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)、脚本賞(イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン)
【2007年/第65回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚本賞(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
【2007年/第61回英国アカデミー賞】助演男優賞(ハビエル・バルデム、トミー・リー・ジョーンズ)、監督賞(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)、撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】作品賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、監督賞(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
コピー:世の中は計算違いで回る

ハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたモス。複数の死体が横たわる中、200万ドルの大金を発見すると、危険を承知で家に持ち帰る。その後、魔が差して現場に立ち戻ってしまったことから、殺し屋シガーに追跡される身となってしまう。妻を実家に帰し、必死でシガーの追跡から逃れようとする。一方、ベテラン保安官のベルも、モスが事件に巻き込まれたこと察知し行方を追い始めるが、その先々で死体ばかりに遭遇。理解を超える状況に辟易する彼だったが…。というストーリー。

昨日の『ダークナイト』で思い出してしまった本作。

ジョーカーに負けず劣らず(いや、それ以上)の存在感、アントン・シガー。気色の悪い髪形に、屠殺用のエアガンのボンベを引きずる姿は、映画史に残る伝説キャラになったといってもよかろう。かといって、屠殺用エアガンにこだわりがあって、そればかりを使い続けているってわけでもないのが、また不気味だったりする。

『ダークナイト』の前年の作品で、同じテーマといってもよいだろう。これまでの価値観の埒外の存在がヌラーっと追いかけてくる恐ろしさ。
下卑た人間でも、損得の価値観くらい共有できそうなものだが、こだわるポイントやや引っ掛かるポイントのさじ加減がまったくもって不明で、会話すら成立しそうもないおそろしさよ。

コイントスで殺すか否かを決める様子は単なるギミックなのか。自分以外の大いなる者(シガーの場合は運)に自分の行動を任せる様子は、宗教の教義という大いなるものに、自分の行動規範を預けてしまうという原理主義者の行動に通じると私は思う(まあ、原理主義者だけではなく、血液型で性格の基本パターンが決まると思っている、アホな日本人も同じだけど)。
最後に、殺すかどうかを自分で決めることができないことをたしなめられるわけだが、正論を突きつけたところで、彼らの行動が改まるわけでもないところが、また怖いわけだ。

これまで価値観や倫理観の元に行動する保安官。家族の安穏のために目先の利益(簡単にいえば金)に走る男。裏家業ながら自らの職業意識で動く殺し屋。事情や経緯は色々あれど、理解できなくもないこの3人が、アントン・シガーという怪物に翻弄されるのである。かなりのクレイジーな地獄を見てきたベトナム帰還兵すら理解できないってんだから、もう次元からして違うってこと。

最後、トミー・リー・ジョーンズ演じるベル保安官が、妻に朝食で見た夢を語るシーンでブツっと終わる。「もう、俺にゃあ理解できんわ…」で終わるのか、「確かに訳のわからん世の中になったけど、死ぬまで信念を貫かんと生きている意味がないんちゃうか?引退してる場合じゃないんじゃねーの?」と思ったのか。さてさて。私は後者であることを祈るのだが、コーエンはどう表現したかったのか。
シガー程度のネジの外れた人間はゴロゴロ存在するであろうアメリカ。彼らにとって、単なるフィクションですまされないものを感じたことは、想像に難くない。

はたしてお金の行方は…とか、最後の奥さんは殺したの?…とか、本作はいろいろ投げっぱなしな部分が多い。主筋の伝えたい部分以外は、観た方々で考えてくださいってことなんだろうけど、こういう割り切りは好き。そこで、お約束な勧善懲悪的なカタルシスを求めるような、そんなレベルのステージに、もうコーエン兄弟はいない。

全編にわたって緊張感を維持し続けており、さすがコーエン兄弟といったところ。彼らの作品はすべて大好きだが、まさか『ファーゴ』に匹敵するような作品がまたまた生まれようとは…。強くお薦め。



負けるな日本

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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