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公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ブルース・A・エヴァンス
出 演:ケヴィン・コスナー、デミ・ムーア、デイン・クック、ウィリアム・ハート、マージ・ヘルゲンバーガー、ダニエル・パナベイカー、レイコ・エイルスワース、ルーベン・サンチャゴ=ハドソン、アイシャ・ハインズ、リンゼイ・クローズ、ジェイソン・ルイス、マット・シュル 他
コピー:富も名声も手にいれた男
彼が殺人鬼であることは、誰も知らない
ある日、若いカップルの全裸死体が発見され、女性刑事アトウッドは、しばらく鳴りを潜めていた“指紋の殺人鬼”と呼ばれる連続殺人犯が再び動き出したことを知る。実は、その殺人鬼の正体は、地元の名士である実業家ブルックス。表の顔は家族思いの好人物、裏では衝動を抑えられず残忍な殺しを繰り返していた。しかし、カップル殺害の様子が一人の男に隠し撮りされており、これまで順調だった彼の二重生活に綻びが生じて…というストーリー。
シリアル・キラー物は好きな題材。今も日々、米ドラ『クリミナル・マインド』鑑賞中である。しかし、どうも本作は、私が好きなシリアル・キラー物の条件にはあてはまっていないというか…。
よく狙撃犯なんかの発言で、頭の中で別の誰かが…とかいうのがあるけれど、本作に登場する、主人公にしか見えていないアノ男はどういうモノなのだろう。人格が入れ替わるわけではないのだから、二重人格ではないだろう。内なる衝動を比喩的に人格化したわけでもなさそう。実際に主人公には見えているとすると、こんな状態になるシリアルキラーの症例は存在するのだろうか?私は知らない(私がそういう症例を知らないだけかもしれないので、無碍に批判するのもどうかとは思いつつも、『クリミナル・マインド』のように考証をしっかりしようという意思の強い作品を観ているせいか、本作はウソくさく見えて仕方が無い)。実際のシリアル・キラーたちを賞賛する気はもちろん無いので誤解しないでほしいが、連続殺人についてのこれまでの研究・調査・捜査してきた人がバカにされているような気になってしまったのだが、考えすぎか?
それに、主人公ともう一人の自分の人格に、さほど差が見られないのもピンとこない。はじめは、もう一人の方が犯罪傾向が強く、主人公はそういう衝動がほぼ無いのかと思っていたら、主人公だって実際は殺人中毒で、犯行に及んでしまえば違いはない。何でこの二つの人格が会話するのか、それにどういう演出的意味があるのか、私にはさっぱりわからない。後始末のときに主人公が苦悩するのを、もう一人が見ているところなんか、それが何だというのやら。なんとなく連続殺人鬼モノをつくりたくなって、雰囲気で作っているのではないかと、疑いたくすらなる。
以下、ネタバレ注意。
デミ・ムーア演じる女刑事と盗撮男との件を解決する流れの他に、血を受け継いでしまった娘に対して、シリアルキラーが苦悩するという、今まであるようでなかった要素を加えた点については、なかなかの慧眼といえる。しかし、その二本の線は、特に絡まりあうこともなく、ただ併走してだけに私には見える。娘のために主義に合わない犯行を犯していくのなんか、充分に絡んでいるじゃないか、、、という意見もあるだろうが、それは単に、表の顔を保持するための方便であって、娘への苦悩から発露した行動ではなかろう。もうすこし、ストーリーを練り上げれば(別の脚本家に協力を仰ぐとかすれば)、なかなかの作品になった可能性はあると思うのだが、ケヴィン・コスナーが製作に加わっているような状態だし、仲間うちで都合のいいようにやってた結果なのかもしれない。
とにかく、あのもう一人の自分みたいな演出は不要。それ無しで、その分、ストーリーを練り上げるほうにパワーを向けるべきだったろう。映画的に、この演出から何もいいことは生まれておらず、無駄なギミックだと思う。
『スタンド・バイ・ミー』の監督・脚本コンビなのだが、イマイチ、ピリっとしない。映像面も気に喰わない部分が多い。画質もカット割もイマイチ映画っぽくなく、なにやらTVのスペシャルドラマを見せられているような感じで安っぽい。おまけに。最後なんて夢オチではないか(まあ、あれが夢でなくて事実だとしても、つまらないのだけど)。こういういろいろな悪い要素が集合して、どうも観終わった後に、ムカつくような感情が胸に残る。お薦めしない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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