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公開年:2008年
公開国:日本
時 間:117分
監 督:和泉聖治
出 演:水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶、岸部一徳、川原和久、大谷亮介、山中崇史、六角精児、山西惇、神保悟志、小野了、片桐竜次、木村佳乃、西村雅彦、原田龍二、松下由樹、津川雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、小野寺昭、岸谷五朗、平幹二朗、西田敏行 他
ノミネート:【2008年/第32回日本アカデミー賞】助演男優賞(寺脇康文)
コピー:必ず、追いつめてみせます。
不可解な連続殺人が発生し捜査一課が手がかりをつかめずにいたが、右京と亀山は、現場に残された記号をヒントに、連続殺人事件であることを突き止める。さらに、わずかな手がかりから犯人の次なるターゲットを割り出すことに成功。しかしそれは、3万人のランナーと15万人の観衆が参加する東京ビッグシティマラソを舞台にしたテロ計画だったのだが…というストーリー。
TVドラマの映画化であるが、『相棒』自体、ほぼみたことがない(ああ、やってるなぁ…と思うことはあっても、一話丸々通して観た事はない)。『相棒』って好きな人はかなり好きみたいで、DVD-BOXとか買って揃えている人もいますからね。公開当時は、けっこうな興収で、もしかしたらおもしろいのかもとは思っていたが、レンタルするところまではいかなくって今回もBSで放送されていたのを録画したのを、HDレコーダの棚卸がてら観た。
以下、完全にネタバレなので注意。
海外ボランティアに参加している青年が、地元のテロ組織に誘拐され、日本政府が身代金を要求されるという事件が発生し、その青年の遺族が犯人なわけだが、どうもピンとこない。これは、日本で実際におこったできごとがベースになっているのは言うまでもない。海外の子供たちを助けるために尽力しているのだから、政府は無条件に助けるべきだ、、という意見と、危険なところに自分の意思で覚悟していっているのだから、少なくとも退去命令があれば従うべきだし、従わないのならば助ける必要ない、、という意見のぶつかり合いである。実際は誘拐された女性とその家族はものすごいバッシングをうけた。本作では、そういうバッシングする日本人の態度を批判する前者の意見を肯定しているようだったのだが、ラストに近づくと様子が変わってくる。なぜか、その青年には、日本政府の通達は届いておらず、それが隠蔽されたのだというスキャンダルを隠していたという話にすりかわってしまった。マジメに難しい問題を考えさせたいのかとおもったら、それを放棄して勧善懲悪をはっきりさせて逃げてしまった。なんだこりゃ?チキン脚本だ。
さらに、青年の父は、“あれだけバッシングで盛り上がった事件が一段落したら何もなかったように、忘れ去られたようになってしまった”と怒るのだが、それは当たり前のことではないか?人間がそんなにつらい思いやストレスをいつまでも心の表層に置いておけるわけがないではないか。それを批判してどうなるというのだろう。一体何が言いたいのだ?そういうことを言うくせに、本作は、さきほど言ったように、難しい問題を考えさせることを放棄して、当たり障りの無いラスト選択している。矛盾も甚だしい。どうもこのプロットを考えた人間は、社会というものをきちんと見据えていない、上っ面だけを捉えているように見える。
このように正面切って問題に切り込むようにみせかけながら、陳腐な逃げ方する脚本を書いた人は(まあ、プロデューサーレベルの判断だとおもうが)、モノを作る人間として非常にタチが悪いと思う。私は不快だ。しっかり仕事をしている演者さんたちがかわいそうである。
『相棒』ファンの人はとっくに観ているだろうと思うし、そういう人はテレビ版のお祭りだと思ってみているから、それはそれでいいと思うのだが、そうではない人は観る必要はない。まともな人間ならば、バカにされた気分になるだろう。こういう社会派ぶってはずかしい結果になったクソみたいな脚本を書いた人は、今後二度と映画には携わらないでほしい。(TVドラマをバカにしているわけではないのでご注意いただきたいが)TVの脚本をおとなしく書いていて欲しい。世の人間をムカつかせないためにも。強くお薦めしない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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