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image2179.png公開年:1958年
公開国:日本
時 間:78分
監 督:(演出)藪下泰司
出 演:森繁久彌、宮城まり子
受 賞:【1958年/第9回ブルーリボン賞】特別賞







宗の時代の中国。西湖のほとりに住む許仙は、不思議な少女・少青に御殿へ導かれ、美しい娘・白娘に引会わされる。許仙は一目で恋におちたが、実は、白娘の正体は許仙が子供のころに可愛がっていた白蛇の精で、少青は魚の精だった。その頃、高僧・法海は、人間の若者が白蛇の精と恋におちたことを法力で知り、彼を何とか救おうと考えた。一方、許仙の飼っていたパンダとミミと少青は、許仙と白娘が結ばれたことを知り大喜び。御殿に飾られていた木彫りの竜で遊んでいるうちに、その竜が彼らを乗せたまま空へ舞い上がり、そのまま国の宝物殿に落ちてしまう。少青はそこにあった二つの宝石を祝いの品として持ち帰ってしまうが、そのために許仙は窃盗の罪を負い、遠方の蘇州に流され労役に就かされる。しかし、許仙の体にまとわりつく白娘の妖気が夜な夜な白蛇となって現れたため、他の労役者から気味悪がれ追放されてしまう。その足で蘇州の街外れの古塔で待つ白娘の元へ向かうが、法海は許仙を救おうと白娘に法術戦を挑み…というストーリー。

日本発の初のカラー長編アニメ。昭和33年なので終戦からひと回りで、ここまでできるようになるのは、素直に凄い。凄い情熱。

中国の民話なので、ストーリー的なオリジナリティはほぼなく、本作の価値はそこに無い。着目すべきは動画の技術。ディズニーに追いつけという気概からか、とにかく動画のがんばりがスゴイ。実際の人物の動きをトレースして原画をつくっていた模様で、ディズニーと同様な手法を取り入れてる。ヌルヌルとよく動いている。

細かい描写の面では、明確に宗代という設定なのに、清の風俗が混入していたり、レッサーパンダのミミが、とてもレッサーパンダとは思えないキツネのような風貌だったり(資料不足かと)。冒頭の粘土アニメみたいなのはいかにも、文部省推薦的な臭いを漂わせていたり。その辺はご愛嬌。

ただ、冷静に考えると、物の怪の色香にやられてしまう男の話で、それも昔飼っていた蛇との色恋ときたもんだ。文部省推薦の子供向け作品の内容としては、いかがなものかと(笑)。この主題を、二人を支援する動物たちの健気さや、高僧とのバトルのおもしろさで包み隠しているわけだ。高僧も決して悪気があるわけではなくて、良かれと思ってやっている両陣営が、共倒れになってしまうのでは?!というのが、ハラハラポイントである。

最後はもちろん、すったもんだの末のハッピー・エンドになるわけだが、別にパンダもミミもついていってもいいんじゃないだろうか(なんなら少青だって)。根本的に、白娘は晴れて人間になったわけだし、別に普通に暮らしていいんじゃないかねぇ。

正直、ストーリー的にはもうちょっと工夫が欲しかったところだし、やっぱり国産初のカラーアニメだ!って気合を入れるなら、オリジナルな話にしてほしかった。当時もそういう声が大きかったのか、東映の次回長編アニメは『少年猿飛佐助』で、その後『西遊記』→『安寿と厨子王丸』と、中華と日本が交互に続く。『桃太郎 海の神兵』みたいなプロパガンダ映画を連想させるのを避けたかったのか、単に中国かぶれがいたのはよくわからんけど。
あと森繁久彌と宮城まり子だけに声をやらせる意味は、結果的になかった。これは失敗。森繁久彌はまだしも宮城まり子が声色を分けられていないし、根本的にアニメ声優に向いていない。

まあ歴史的な意味を考えると、そんな注文をつけるべきじゃないんだけど、そういう注文をつけたくなるレベルに達してる…ということだね。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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