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公開年:1986年
公開国:日本
時 間:85分
監 督:岡本喜八
出 演:古谷一行、財津一郎、神崎愛、岡本真実、殿山泰司、本田博太郎、今福将雄、小川真司、ロナルド・ネルソン、ファーレズ・ウィッテッド、レニー・マーシュ、ジョージ・スミス、小川真由美、唐十郎、利重剛、ミッキー・カーチス、細野晴臣、山下洋輔、タモリ 他





南北戦争が終結して、開放されたはずの黒人奴隷ジョーだったが、相変わらず白人たちから迫害されるので、うんざりして旅に出る。すると、バーモント付近で弟サム、従兄ルイ、叔父ボブと偶然出会う。3人は彼らはニューオリンズから船に乗り、故郷のアフリカへ帰るという。しかし無一文。船賃を稼ぐために楽隊でもやるかということになった。ボブはクラリネット、ルイはコルネット、サムは太鼓、ジョーはトロンボーン。道中、練習するうちに、だんだんニューオリンズで流行っている“ジャズ”っぽくなってきた。その後、メキシコ商人に騙され、香港行きの船に乗せられる4人。4ヶ月経った頃、ボブが病死。このままでは全員死んでしまうと思った3人は、大嵐のどさくさに紛れてボートで脱出。そのまま流されて、駿河湾の庵原藩の浜に打ち上げられる。3人は医師・玄斉のところに運び込まれるが、何やら楽器のようなものを所持していると、庵原藩の藩主・海郷亮勝に報告が入る。亮勝は、ひそかに篳篥を吹くのを生きがいにするほどの音楽好きで、是非とも3人に会いたいと希望するが、家老の石出九郎左衛門は認めない。そうこうしているうちに、幕府から黒人たちの処分を亮勝に一任するという沙汰が下る。そこで、3人を城の地下にある座敷牢に住まわせることに。死んだボブのクラリネットを譲り受けた亮勝は、その日からセッション三昧となり…というストーリー。

筒井康隆の作品は『幻想の未来』とか『時をかける少女』『筒井順慶』など角川文庫になっているのをかなり読んだ。あまり小説を読まない私だが、筒井康隆と星新一だけはやたら読み漁った時期がある。けど、本作の原作は読んでないんだな。
#まあ、きっかけは『時をかける少女』の原作を読んでみようって思ったからで、全然映画と作風が違うから愕然とするよね。筒井康隆あるある。

とにかく非常に愉快で、筒井作品の雰囲気をそのまま映像化することに腐心してるように見える。岡本喜八監督の味が出ていないのでは?という気もしないではないが、力のない監督がやると『日本以外全部沈没』のようにどうしようもないデキになってしまうか、それこそ『時をかける少女』のように別モノにしてしないと成立しないくらいくらい、筒井作品というのは難しいのだ。

筒井康隆を知らない人は、“東名高速”のくだりとか、スベってると思うだろう。でも、ああいう小ネタは小説の文面で読むとスンゲーおもしろいのよ。じゃあそれを映画でそのままやって面白いか?と聞かれると、正直つまらなかった。やはり、脳内に浮かぶからこそおもしろいのだな…。そういう点では、冒頭のリンカーンへの手紙の口調とか、黒人4人のなまり言葉も同じで、耳から入ってくると、気恥ずかしい感じだった。

古谷一行演ずる、妻を寝取られても飄々としている亮勝は、まさに筒井らしいキャラ。そして、ラストに向けても、ひたすら筒井節全開。確かに、小説はこんな感じで、発散するだけ発散。カオス状態にするだけカオスにして終わるから、原作の表現としては正しい。山下洋輔とかタモリまで引っ張り出して、カオス感を一生懸命醸成しているが、残念ながら内容のほうが突飛なので、いまいち効果はなし。そのまま終わってし合う。

映画としては、ほんのちょっとでもいいから“オチ”をつければ成立したと思う。一瞬静止画にして、幕府側にも新政府側にも組することなく幕末の動乱期をジャズに興じ続けた庵原藩の領民は、その後も幸せに暮らしましたとさ、どっとはらい…的なテロップだけでもアリだったと思う。そこはいわずもがなでしょ…と思うかもしれないが、緩急はつけないと映画はキマらないのよ。

長らく、レンタルビデオ屋に並んでいなかったのは、最後のコマが無い4コマ漫画みたいな作品だからだと思う。個人的には好みだけど、たぶん薦めても共感は得られないと思う。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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