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公開年:2009年
公開国:日本
時 間:131分
監 督:中野裕之
出 演:小栗旬、柴本幸、田中圭、やべきょうすけ、池内博之、本田博太郎、松方弘樹、近藤正臣、萩原健一、山口祥行、綾野剛、須賀貴匡 他
コピー:その男、多襄丸。絶対、女を捨てない。己を曲げない。そして、どこまでも自由。
室町末期。畠山家の次男・直光は、大納言の娘である幼なじみ阿古姫と将来を誓い合っていた。ある日、大納言である阿古姫の父が急逝するが、将軍・足利義政は、阿古姫と結婚したものに、畠山家の家督および管領職を継がせると言う。この発言により長男・信綱は激しく動揺し、阿古姫を力ずくで奪いに掛かるが、直光は阿古姫と共にすべてを捨てようと逃亡をはかる。しかし、そんな時、幼少より目をかけてきた家臣・桜丸の思わぬ裏切りに遭ってしまい…というストーリー。
いわずもがな、芥川龍之介の『藪の中』がベース。ある意味、黒澤作品の『羅生門』のリメイクといってもよいかも(黒澤『羅生門』の原作は、芥川龍之介の『藪の中』であり、かつ芥川龍之介の作品の中に『羅生門』という別の内容の作品もあるわけで、非常にややこしいのは、周知のこと)。『椿三十朗』『隠し砦の三悪人』と黒澤リメイクが続いた流れの一つと捉えてよいと思う。
原作の『藪の中』は、盗賊と貴族の若者とお姫様の三者の話が食い違うという、同じ状況であっても別の人間の視点から見ると、まったく違うものだなぁ、真実とはなんだろうなぁ、というのがテーマ。結局、真実は何なのか?という研究が行われているくらいの名作である(そんなこと研究すること自体、私は野暮だと思うんだけど、それは、真実を匂わすような表現が随所に見られるためで、後の研究者たちもまんまと芥川の術中にはまっているのである)。
私は、この“藪の中”感こそ、大事だと思うのだが、本作では、スパっと事実を明白にしてしまう。ネタバレになるので詳しくは言わないが、ああ、そこで勝負はしないんだな…と、ある意味、この割り切りを評価しかけていた。芥川作品でもなく黒澤作品でもない、あくまで『藪の中』はモチーフにしているだけで、本作はオリジナルですよ!という意気込みかと。それはそれでクリエイターとして尊敬できる姿勢で、ちょっと応援しかけたのだが。
しかし、結局、お白州の場面になって、結局、三者三様の食い違い場面が差し込まれる。ただし、それは“藪の中”感を出すためではなく、愛を確認するために差し込まれる。がっかり。割り切ってるんだか割り切ってないんだか、この揺り戻しの中途半端な感じが実に気持ち悪い。もしかして、原作の霊媒師のくだりがしっくりこなかったので、他に見ている人がいましたってことにしたかっただけなんだろうか…。おまけに、最後は、中途半端な駆け落ちものになってしまう。これでいいんだろうか。少なくとも私の趣味ではない。
視点を変える。
松方弘樹、ショーケンって役者なんだねーと再確認させてくれた。田中圭も池内博之もなかなか光る演技。みんないい仕事をしたと思う。しかし、廻りの輝きのせいで、小栗旬の演技の幼さが際立ち、結局彼だけが損をしているように見えるのは私だけだろうか(まさに、完全に“喰われた”状態)。作風から小栗旬をキャスティングしたことは、すごく理解できる。しかし、これまで、なかなか評価されてきた小栗旬だったが、この作品はマズイ。学芸会に毛の生えた程度の演技に映る。アイドル的な要素は薄れてきたので、次回作で挽回しないと、役者としてのキャリアは危ういかもしれない(余計なお世話か)。
そんなに悪い作品ではないので、否定こそしないが、最後のオチまで明確にイメージできた上で、製作されたのかは、ちょっと疑問になるような作品。最後までしっかり走りきって欲しかった。息切れ作品。もったいない。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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