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image1737.png公開年:1984年
公開国:日本
時 間:93分
監 督:高野宏一
出 演:野沢雅子、池田昌子、石丸博也、石田太郎、金内吉男 他




 

M78星雲ウルトラの星。怪獣は全て悪物だと思っていた幼少期のタロウは、ウルトラの星に生息する善良な怪獣ドックンとの出会いを機に、平和を愛する怪獣もいるということを知る。その後、特訓を続けながら成長したタロウは、なぜウルトラの父が自分を実戦に投入してくれないのかを考えていたが、その矢先に失敗を犯してしまい…というストーリー。

興味のない人にはまったく食指が動くことのないジャンル作品。

1984年といえば、まだベータのビデオデッキが普通に存在しており、レンタルビデオ屋でも両フォーマットが並存していたころ。しかし、現在のように、ありとあらゆるといってよいほどのコンテンツがレンタル化されているわけでもなく、こういった子供向け特撮作品が充実していたとはいい難い。どちらかといえばマニア向けのレーザディスクとして流通しているのみの作品が多く、オマケに高価だったため、TVの再放送に期待する場合が多かった。

これより前の時代にいたっては、“東映まんがまつり”などでは、平気でTV放映した内容をそのまま上映していたし、ウルトラマンでも複数のエピソードを再編集したものが多かった。いまでは映画ビジネスとして成立するはずもない所業だが、それでも子供達は満足(というか納得)できた。ガンダムの3部作だって、基本的にはTV放送の再編集なのに、あれだけ空前の大ヒットを飛ばしたわけだから(3作目は新製作カットが多いけど)。
要するに、特撮やTVアニメの世界の映画化とは、世の子供達への供給枯渇状態の基盤の上に、限りなく安く製作して儲けるという、お祭りの見世物レベルのビジネスが成立していたわけだ。

で、本作の時代になってくると、さすがに同じノリのビジネスは不可能。しかし“特撮まんが”ごときに普通の映画並の製作費をかかけるなんてことは有り得ない状況。だから、過去のコンテンツと、できるだけ製作費をかけずに(それこそTVの2,3本の製作費で)新作カットを撮って、それを強引なシナリオによって1本のオリジナル作品然としたものを作り上げようという、方向性になってくる。

本作は、新作部分が時間にして半分ほどあるのだが、人間の俳優は登場せず、2,3体の新作着ぐるみと若干のセットを構築したのみ。それで、ウルトラマンタロウの“ビギニング”エピソードを作ってしまった珍作である。
ウルトラマンタロウが、幼少から青年になるまでの成長物語として展開されるのだが、元々の設定を無視した強引さがあるので、不整合を回避するために地球側のいわゆる科学特捜隊的な存在や変身前の人間体は存在しないことになっている。古来からのお祭り見世物的な姿勢による、安易なサービス精神も健在なため、『タロウ』よりも後に放送されたウルトラマンレオやウルトラマン80が先に地球で活躍しているなんていうのも、平気の平左である。

まあ、何にせよ、時代のあだ花のような作品で、一般の映画ファンにとっては、これを他の映画作品と同列に扱うのはどうか思うレベル。しかし、現在にまで続くウルトラマン・サーガの世界観を広げる一助にはなっているという、不思議な作品。
だからといって、お薦めはしないけど。




負けるな日本

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imageX0027.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:90分
監 督:田崎竜太
出 演:吉川晃司、桐山漣、菅田将暉、山本ひかる、木ノ本嶺浩、山本太郎、かでなれおん、佐戸井けん太、つぶやきシロー、小沢和義、渡部秀、三浦涼介、高田里穂、君嶋麻耶、有末麻祐子、甲斐まり恵、宇梶剛士、大口兼悟、彩也子、なだぎ武、なすび、腹筋善之介、中川真吾、板野友美、河西智美、神尾佑、中野若葉、嘉数一星、八木瑛美莉、植田紗帆、伊藤正之、小川輝晃、伊勢浩二、本橋由香、高越昭紀、諸田敏、剣持直明、五味涼子

 

竜との結婚式を迎えた亜樹子の父親・鳴海荘吉が仮面ライダースカルになるまでの真実の物語-『仮面ライダースカル メッセージ for ダブル』と、鴻上ファウンデーションが人造人間として蘇生させた織田信長が施設を脱走。記憶装置喪失となったノブナガと映司がであう物語『仮面ライダーオーズ ノブナガの欲望』。そして、邪悪な巨大なエネルギー体“仮面ライダーコア”を阻止するWとオーズの物語『MOVIE大戦CORE』の3部構成。

特撮ヒーロー物に興味が無ければ、視界にすら入らない作品だと思うが、平成仮面ライダーは10年以上TV放送が継続され、キャラクター商品売り上げに至っては2010年だけで230億円以上の大産業。本作もその一翼を担う作品ということだ。

最近の仮面ライダーの劇場作品には一つの特徴がある。一昔前なら、複数の同時上映作品を順番に流すだけだったが、今は、1作目をスタートしていいところでストップ。そして2作品目をスタートして、そちらもいいところでストップ。その後その2本のストーリーを融合したり、片方が片方の世界にお邪魔したりするなどして、MIXした3本目が始まる。子供を飽きさせない工夫でもあるし、前年の仮面ライダーと本年の仮面ライダーをコラボして商品収入の増加も見込む作戦でもあるい(通常は新シリーズの終了で、過去の作品は死に商品になるのが普通だが、仮面ライダーは決してそうではない)。

ただ、この演出はハマる時は大人が観てもワクワクするのだが、外れると本当にグダグダになる。で、本作は…というと、残念ながら外してしまっている。『W』のパートも『オーズ』のパートもあらすじだけはものすごくおもしろい。しかし、あきらかに各所で練りが足りが足らず、スケジュール的な妥協の影がアリアリと見て取れる。
前者はキャスティングに失敗。戦犯は山本太郎とかでなれおん。山本太郎は他の作品でもそうなのだが、本当に大根。いかにも演技をしているという感じが伝わってくるので、子供でも醒める。かでなれおんについては、最近の仮面ライダー(だけでなく特撮物すべて)に設けられているセクシー枠で(そんなものが本当に必要なのかどうか、よく考えたほうがいいと思うが)、花魁言葉を使うキャラなのだが、まともにセリフが言えていないため、何をいっているのかわからない上に、セリフをいうだけで精一杯で演技がお留守。おまけにセクシー枠のくせにちっともセクシーじゃないという二重苦。元々いてもいなくてもストーリーに影響のない味付け敵的キャラなので、無駄な存在感がハンパない。
メインキャラクターの山本ひかるの演技も、実は大問題(エキセントリックな演技以外は、見るに堪えない)。でも、レギュラーなので仕方が無い(1年がんばったご褒美ということか)。

一方の『オーズ』は、とても30分ちょっとではまとめきれないような内容なのだが、展開を急ぎすぎてダイジェスト版のようになってしまっている。そうせざるを得ないならば、割り切ってアクションと新キャラ・新技のオンパレードにしちゃえばよいのに、妙に複数の登場人物の心理描写などを盛り込もうなどとするから、この有様。たぶん、子供は付いていけなかっただろうし、お父さん世代はやっつけ感を嗅ぎ取って興醒めしただろう。

1年間の特撮物のTV放映というのは、ものすごく大変で、短距離走のスピードでフルマラソンを走るようなもの。それに加えて映画作品まで作るというのは、いくらビジネスといえどもとてつもない労力であることを想像に難くない。おまけにそれを毎年毎年続けているわけだ。
で、もう、きちんとシナリオを推敲する時間を確保できていないことがよくわかる仕上がり。とりあえずプロットの流れの整合性が確保できさえすれば、後は見切り発車しているんじゃないかと思うくらい。
伊達に世の中で流行っているわけではないので、どっしりと腰をすえればいい作品になるはず。これまで、TV版に無関係の監督を使うとむちゃくちゃにされる傾向が強かったので、非常に悩むところなのだが、少なくとも絵コンテの推敲の段階で、あと3週くらい掛けられるようなスケジュールを考えるべきだろう。

はい、言うまでもないが、仮面ライダーWのファンだった人は“押さえ”程度の価値しかなく、オーズのファンについては、特に映画のみのフォームがあるわけもないので、観る価値はない。以上。



負けるな日本

 

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image1651.png公開年:2010年 
公開国:日本
時 間:100分
監 督:アベ ユーイチ
出 演:小柳友、濱田龍臣、土屋太鳳、石橋保、さとうやすえ、ベンガル、きたろう、平泉成、宮野真守、緑川光、神谷浩史、関智一、西岡徳馬、若本規夫、川下大洋、宮迫博之、黒部進、森次晃嗣、団時朗、高峰圭二、石丸博也、田中秀幸、長谷川初範、萩原佐代子、石田信之、石坂浩二 他
コピー:皇帝(カイザー)ベリアル、降臨。ゼロ、光とともに立ち向かえ!


突如、M78星雲・光の国が、謎の敵から攻撃される。辛くも撃退するが敵の本体は不明。どうやら別次元の宇宙から、刺客を送り込んだ模様。別次元に送り込めるのは、ウルトラの星の力を結集しても1名がやっと。若き戦士ウルトラマンゼロはその役に自ら志願し、単身旅立つ。やがて、助けを求める声に応え、とある惑星に到達。そこで人間の兄弟と出会い、瀕死の兄ランを助けるために、ランと一体化。その後、惑星エスメラルダの王女エメラナ姫と出会ったゼロは、敵の正体が倒したはずのベリアルであることを知り…というストーリー。

4/6に観た『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』と比較すると、同じ特撮ヒーロー物なのにエラく違いがあり、ちょっと一言いいたくなった。
先に言ってしまうが、比較すると本作のデキのほうが数段よい。とにかく、始めから最後まで“ストーリーが存在する”、なるべく“子供だましは避ける”、単なる“顔見せ興行にはしない”。ちょっとレベルの低い勝負なんだけど、こんな子供も観るような映画ながらも、東映と松竹の性根の違いを見せられた気がしてしょうがない。

その姿勢が顕著に現れているのが、なつかしヒーローの客演である。実は両方ともお父さんが楽しめるような昔のヒーローを出す…というコンセプトが共通している。仮面ライダーのほうは、ストーリー的に何の脈絡もない場面で、キカイダー・01・スバット・イナズマンを4人並べて出しただけ。対して本作は、ミラーマン・ファイヤーマン・ジャンボーグAをモチーフにした新キャラを創造し、決めセリフや技などで懐かしさを醸し出す。どちらがマジメに作っているかは、歴然だろう。
#まあ、個人的には嫌いなデザインなんだけど…。

でも、こんなに違いのあるデキの両作品なのに、仮面ライダーは毎年TVシリーズが繰り返され、ウルトラマンのTVシリーズは断絶してしまうという、世の中の何とうまくいかないことよ。
実はその理由ははっきりしていて、仮面ライダーはシリーズごとの繋がりは考えずに自由に作られているのに対して、ウルトラマンは常に“ウルトラの星”の世界観に縛られ(その世界観から離脱しようしても、ことごとく失敗してきて、結局TVシリーズの終盤に、仲間のウルトラマンの助けを求めてしまう)、ストーリーのダイナミズムや自由な発想が阻害されるているからである。

比較はここまでとして…。

本作で、一番おどろいたのは実はウルトラマンノアの登場だった、まあ、よく考えたらネクサスの監督だし、役者陣もネクサスに登場した人が多かったので、そりゃそうか…って感じなのだが。でもネクサスシリーズは、他のウルトラマンとは一線を画したストーリーだったので、こういうウルトラ世界(ひいては銀河連邦)の統合については、もうちょっと慎重になったほうが(というか、もっと巧みに真剣に考えたほうが)いいと思うな。

仮面ライダーに比べてまともだとは言ったけど、ストーリー的にダメな部分は多々ある。
まず、元気玉パターンは避けたい。安易すぎるから。そして、バラージの盾の発動条件については、もうちょっと巧みなトリックで問題を解決すべき。その後で悪役が「何ぃ!」とかいうパターンも、非常に陳腐。大人も子供も観る作品であることを考えるとこれらは忌避すべきだったろう。
最後はランも記憶を共有していたほうが、よいと思う。
それにジャンナイトは、操縦者とシンクロすると説明しておきながら、最後は自律しているところも変。不整合。

製作陣に勢いもノリもあるのは認めるけれど、松竹側はシナリオの最終チェックをしっかりしてあげようよ。こういう細かい穴を埋めることは、商品価値を上げることに繋がるはず(ちょっと儲かってるからってあぐらかいちゃだめだよ)。

まあ、子供映画としては及第点。それ以上でもそれ以下でもない。ウルトラマンファンでなければ、まったくもって観る価値がない。今後は、ウルトラマンファンじゃなくても、これは見るべき!という、クレヨンしんちゃんでいうところの『戦国アッパレ大作戦』のような作品を目指すべきではなかろうか。志を高くお願いしたいところ。



負けるな日本

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imageX0023.png公開年:2011年 
公開国:日本
時 間:93分
監 督:金田治
出 演:渡部秀、桜田通、三浦涼介、高田里穂、桐山漣、菅田将暉、秋山莉奈、石丸謙二郎、福本清三、ささきいさお、藤岡弘、、佐々木剛、宮内洋 他





出現した怪人と対決するオーズだったが、その怪人はヤミーでなかった。そこに突然、デンライナーに乗ってNEW電王たちがやってきて、怪人たち“モールイマジン”を倒そうとするが逃がしてしまう。NEW電王たちはモールイマジンを追って“1971年11月11日”へと向かうが、映司とアンクも興味本位でデンライナーに同乗。なんとかモールイマジンを倒して現代に戻ってくるが、何故か悪の秘密結社ショッカーが支配する世界となっていた。さらに、仮面ライダー1号・2号までも、諸っカーに敗れ洗脳され諸っカーの手先になっていた。実は、過去にいった時に、アンクがセルメダルを落としてきてしまったために、歴史が書き換えられていたのだ。映司は現在に残りショッカー怪人たちと戦い、特異点である幸太郎たちは歴史を戻すために、デンライナーで再び過去へ飛ぶのだったが…というストーリー。

メンズデーで1000円だったので、観てきた。大きな子供達が男女含めて14、5人ほどで、ヒットしてるとは思えない入り。

子供向けの仮面ライダーにしては、なかなか練ったストーリーで、充分鑑賞に耐えるシナリオ。平成ライダーの中では、随一の人気を誇る電王とのコラボだが、基本的にタイムマシンネタなので、どの仮面ライダーと合わせても、話は作りやすい。
単なるお祭り映画かと思っていただけに、予想外に引き込まれてしまい、これは、初めて普通の映画と同列で評価してよい、仮面ライダー映画になるのか?と思わせてくれた。そう、『アイアンマン』や『スパイダーマン』と同列に扱ってもいい映画がやっと登場か?…と。

半分が経過したところで馬脚を現す。おかしな臭いがしてくるのは、コアメダルをすり変えたといい始めたあたりから。なんでそんなものを突然用意できるかね…と?。さらに、そのニセモノもニセモノ返しだったという子供だましな展開。もしかして意図的に昭和ライダーで散見されたトホホなご都合主義をわざと放り込んだのか?と思ったのだが、どうもそういうシャレでは無い模様。
唐突にデストロンのカメバズーカが出現して、何でもありの臭いもしはじめる。

そこからは、次々とボロが出続け、V3以降の昭和ライダーが登場しはじめると、もうせっかくのストーリーもすべて台無し。整合性を突然放棄し出して、がけ崩れの連鎖。この世界では存在し得ないライダーが登場し、加えてなんで民衆が連呼できるのか、もうわけが判らない。
ライダー40周年だから、全部出したい!だって、はじめの企画段階で決まってることなんだもの!…。まあそういう大人の事情はわかる。でも、ここまで、なんとか大人の鑑賞に堪えるようなシナリオだったのに、ぶちこわしにする法はなかろう。ここは全員を出すことに固執しないで、ストーリーになんとか絡め整合性をキープしたほうがよかっただろう。V3はこっそり1号と2号が作っていた。ライダーマンはショッカーの科学者が自分を改造していた。あとはデンライナーが、かき集めた数人が登場…。Wとアクセルは元々同一世界だからいてもおかしくないことを匂わす…とか。
“40”と並ばせる部分なんて、寒くて寒くて。ああいうお遊びは、それまで真剣にマジメに作ったところにポっと差し込むと効果が出るのであって、散々ふざけたあとに出しても、スベるだけだ。
ズラズラと全員出たからって、そこが面白い!ゾクゾクしたって人なんかいるわけないだろ(まともに見えないんだし)。キカイダーらを出した意味もさっぱりわからない。出しさえすれば、大人が懐かしいと思ってくれるだろなんておもったか?誰が思うか。バカめ。ビデオやネットの無い時代じゃねーんだぞ。

はっきりいって、はじめの企画意図や方針が、おもしろさの足枷になるのなら、そんな企画捨てちまえ!それもできないなら、クリエイターの看板なんか下ろしちまえ。これは単なる、おもちゃを売るためのプロモ映像じゃねえか。こんなんだから、日本の特撮ヒーローは、いつまでたっても子供だましの世界から抜け出せないんだ。これを続けている限り、本当の意味で日本特撮ヒーローが市民権を得る日は遠い。悲しい。
俺、本気でシナリオライター目指そうかな。もう、悲しいよ。

じゃあ、一流におもちゃ販売プロモになってるか?っていうと、そうじゃない部分も多い。なんといっても昭和仮面ライダーたちの胸のコンバータラングがパコパコ浮いてるのはどうにかならんのか。座布団を胸に付けているよう。もう、仮面ライダーを改造人間として見せようなんていう真剣さが微塵も感じられない。
いいシナリオにしよう…、造形面でもしっかりしたものにしよう…というスタッフが半分いて、のこりの半分のスタッフがそれなりのモノならいいじゃん。所詮、子供向け特撮でしょ?っていう根性なんだろう。全体の意識を前者に統一できないのは、監督に力が無いから。そして商売優先の製作陣だから。いい加減、目を醒ませ。こういう大人の仕事を見ると、本当に不快になる。職業人として軽蔑する。評価にすら値しない。



負けるな日本。
#この映画を作ったやつらは負け人間だけど。

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imageX0015.png公開年:1992年 
公開国:日本
時 間:90分
監 督:辻理
出 演:石川功久、野村裕、原田大二郎、高嶋政伸、片岡弘貴、石浜朗、塚田きよみ、安藤麗二、石ノ森章太郎、小野寺丈、山浦栄、大内陽子、矢野明仁、寺杣昌紀 他





不治の病を治療するために人間の体質を細胞レベルで改良する研究プロジェクトに携る風祭博士。そして、父の思いに共感し、息子の風祭真(しん)は自ら実験台となるのであった。しかしこの実験は、“財団”が利潤追求
のために戦闘兵士を創り出す計画。レベル3の改造を受けた真は、バッタの特殊能力を備えた異形の怪人へと変貌していき…というストーリー。

劇場公開映画でもテレビムービーでもなく、オリジナルビデオ作品なので、ちょっと反則ぎみなのだが、昨日の『バイオハザードⅡ』を観て、ちょっと思うところがあって、あえてレンタルしてきた。
仮面ライダーなんて観ないよ。それもこんな聞いたこともない怪人みたいなヤツ…、と多くの人が思うはずで、その指摘は間違っていない。数ある仮面ライダーシリーズの中でも異作中の異作といってよい(仮面ライダーのくせにバイクには乗らないは、ベルトはしてないは、変身ポーズで変身するわけじゃないは、見た目は気持ち悪いは)。仮面ライダーというのは、シリーズの中で、何度もも何度も何度も原点回帰が試みられており(スカイライダーしかり、仮面ライダーBLACKしかり)、そのアプローチの一つであるが、その中でもとことんリアル路線を突き詰めてみた作品だ。仮面ライダーとは異形の者であり且つ正義の心を包含する者という定義なのだが、本作の“序章”という位置づけが、特撮ファンから揶揄されるところでもある。何せ、序章だけでその後が作られていないから。実は原作者の構想では、この後、プロテクターを装備していくなどして、徐々に私たちが知っている仮面ライダー然と変貌を遂げていく過程が語られるはずだったのだが、この路線では人気は出ないと判断され、終了したわけである。

本作を観ていただければ判るのだが、1992年製でCGを使っていないことを考えると、実はなかなか高度なできばえで、日本の特撮陣もなかなかやるな!と思わせる。これは続編をつくるべきなのでは?はたまた時代を先取りしすぎたか?とすら思えるレベルなのだ。い特撮技術の点では、おそらく現在の仮面ライダーシリーズに劣っていない(むしろ凌いでいる)といってよい。でも、本作と『バイオハザードⅡ』を見比べることで、受入れら無かった理由が、はっきり見えてくるのである。グロ系のクリーチャーが出てくるSF作品が、許容されるかいなかということ。許容とか“ヒットするか”または“シリーズ化されるか”と置き換えても良い。ポイントは2つ。

①“遊び心”の優先順位を誤っていないか?
ヒッチコックよろしく原作者の石ノ森章太郎がカメオ出演しているが、素人演技で場をシラけさせる。また、ヒロイン役の明日香愛の演技は救いようのないくらいポンコツ演技で、どんなシリアスシーンも観ている側を気恥ずかしくさせるのである(主人公がポンコツ役者のは、ヒーロー物では普通のことで、むしろ名優がその脇を固めるのが通例であるからよしとする)。本作は、長いTVシリーズの中の1話ではない。いい大人がお金をかけてつくる映画に準ずる作品なのだ。遊び心で原作者を登場させようと思うまではいいが、結果として場を壊すなら、カットすべきである。またヒロインについても、大人路線を強調するためにに“脱ぎ”が可能な女優を選定したのだろうが、“脱ぎ”と他の演技を天秤にかけて前者が優先される基準とは何なのだろうか?
何を言いたいのかというと、本作は、全体の面白さや統一感よりも、瑣末な要素を大事にしてしまっている。つまり製作者が物事の優先順位を誤ったということ。製作者(もしくは監督)に構成力・政治力が無かったということで、“木を見て森を見ず”という人間がリーダーになると、大きな目標を達成できないという悪例である。

#ちなみに本作に友情出演している高嶋政伸の演技は、これまで数十年続いた仮面ライダーの歴史の中で、一番すばらしい。まともな役者の演技というものは、かくも素晴らしいものかと…(原田大二郎は?というツッコミはやめてくれ)。

②グロのタブーを犯していないか?
主人公が敵役が生物的な操作によってグロい表現になるのはあまり問題はない。ところが、怪物と人間のハイブリットの子供ができてしまい意識を持っているというくだりで、吐き気をもよおしてくる。ここでヒかれるのである。いやいや、『バイオハザードⅡ』にも子供のゾンビがでてくるよね?という指摘があるだろう。実は、ここがポイントなのだ。『バイオハザードⅡ』の子供ゾンビは人間としての意識がない。この場合はギリギリセーフで、ヒかれないのである。子供や被害者(特に女性や子供)が、ウイルスや遺伝子操作などで肉体が変貌するが、精神は人間のままで、そのどうしようもない状況に苦しみと諦めを表現したところで、アウトなのである。で、仮面ライダーシリーズは、この失敗で学び、以降のシリーズはこのラインを守っている…というならばいいのだが、実は2007年製の『仮面ライダー THE NEXT』で同じ失敗を繰り返してしまい、多くのヒゲの生えたお子様たちが期待した続編は闇に消えたのであった。

ということで、グロいクリーチャーが出てくるSF物がヒットするかしないかの重要なファクターを勉強させてもらった本作。しかし、作品としては三流なので、仮面ライダーファンが、話のネタに観る以外はお薦めしない。

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imageX0014.png公開年:2010年 
公開国:日本
時 間:65分
監 督:坂本浩一
出 演:桐山漣、菅田将暉、山本ひかる、木ノ本嶺浩、なだぎ武、寺田農、杉本彩、須藤元気、松岡充、生井亜実、飛鳥凜、なすび、腹筋善之介、中川真吾、板野友美、河西智美、八代みなせ 羽原レイカ 他




突然、26個の次世代ガイアメモリがばらまかれ、人々が次々とドーパントに変身してしまう。そのうちの1本“E”=エターナルのメモリが、凶悪なテロリスト集団“NEVER”の首領・大道の手に渡ってしまう。翔太郎たちは、国際特務調査機関員マリアの協力を得て事件の解決を試みるが、彼らの前に仮面ライダーエターナルへと変身した大道が立ちはだかる…というストーリー。

先日、最終回をむかえた仮面ライダーWの劇場版で、興味のない人にはまったく興味のない作品。それどころか一般的な映画ファンはまず観にいかない(笑)。私だって、今日がファーストデーで安かったからみただけで、通常価格で観る気はない。平日の昼間なので、子連れが2組と、オタクっぽいカップルが1組と、残りは私と同じく大きなお子ちゃまだけでスッカスカ。
おまけに3D追加料金300円増しだものなぁ。でも、内容は思った以上によろしくって、TV放映を観ていた人はかなり満足だったにちがいない。

で、別のDVDを観て、そっちをレビューすることも可能だったのだけど、あえて本作をレビューするには理由がある。内容ではない。
#坂本監督は『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の監督で、ウルトラマンに仮面ライダーの仕事が連続できるなんて、うらやましいね。

本作は、戦隊モノの『天装戦隊ゴセイジャー』の劇場版が同時上映で、どちらも3D版だったのだが、この2本、3D処理のデキにものすごく差がある。飛び出し具合がよろしくないとか、そういうことではなく、『天装戦隊ゴセイジャー エピックON THE ムービー』は、観始めると、あっというまに目が疲れて、観続けるのがツラくなるのだ。こんな調子じゃ『仮面ライダー』も厳しいなぁ…と思っていたのだが、別に3D効果が薄いわけでもないのに、こっちはいくら観ても疲れない。この差は何か。

理由は不明。おそらく、撮影機材からして差があるのではないかと思われる。両方のカメラの間隔とか、その後の処理の仕方とか、差が出る要因は色々あると思う。30分程度の作品だったから耐えられたが、今後のために、いずれも東映作品なのだから、しっかりその差を研究していただきたい。

で、去年あたりからあたりまえになってきた3D映画だが、やはりこのムーブメントは、これ以上一般的になることはないと思われる。まず、眼鏡のフレームが結構邪魔。なるべく万人に合うようにつくっているのだろうが、眼鏡のツルは違和感(場合によっては痛み)がある。ちょっと首を傾げると3D画像がぶれる。なにげにレンズを触って手脂で汚してしまうと、衣服で多少ぬぐったぐらいでは、綺麗にならない。鼻息でレンズが曇る。そして、別に「これは3Dじゃないと、ダメだね!」っていうシーンは、意外と少ない。“眼鏡の煩わしさ<3D効果のおもしろさ”となるケースは少ない。
最近、ソニープラザで、沖縄の海の3D販促用のDVDを観たけど、ああいう資料映像とか環境映像的なものは意味がある。動物の形状や生態が手に取るようにわかるから。それに連続して見続ける時間も短いしね。

日本の各劇場に忠告したいが、そろそろ3Dだからといって料金を加算するのはやめてほしい。3Dと2Dの両方を用意していますよ!っていうかもしれないけど、いつも並行して上映しているわけではないからね。せめて300円も加算するのはやめてほしい。

全然、作品のレビューじゃないね。仮面ライダーは観る人は観るけど、観ない人は絶対みないからねえ。でも、ありがちな特撮TV番組の劇場版にしてはデキがいい。特撮好きの人は、どうぞ。

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image1479.png公開年:2009年 
公開国:日本
時 間:96分  
監 督:坂本浩一
出 演:南翔太、黒部進、森次晃嗣、小西博之、上良早紀、俊藤光利、八戸亮、つるの剛士、五十嵐隼士、杉浦太陽、宮迫博之、宮野真守、団時朗、高峰圭二、真夏竜、蝶野正洋、西岡徳馬、小泉純一郎、長谷川理恵、田中秀幸、石丸博也 他




ウルトラ戦士たちの故郷“光の国”には、悪のウルトラマン“ベリアル”が幽閉されていた。ある時、レイブラッド星人の企みにより、ベリアルは脱獄し、100体の怪獣を召喚できる“ギガバトルナイザー”を手にしてウルトラの国を壊滅状態に陥れる。残ったウルトラマン達は、ZAP SPACYのクルーで怪獣使いの能力を持つレイを呼び寄せ、協力してベリアルの野望阻止に立ち上がるが…というストーリー。

特撮好きではあるが、こちらのブログではあまり紹介しないことにしている。でも、なんであえて取り上げるかというと、映画的に興味深い点があるから。それは、不定期ながらも脈々と松竹配給として続いていたシリーズが、ワーナーの配給になったから。この配給会社の変更が作品の質にどう影響をあたえたか。
配給会社の変更のせいかどうかわからないが、かなりスタイリッシュな演出が多かったと思う。これまで客演することがなかった、グレート・パワード・USA・マックスなどのシリーズも同じ画角に納まり、さらに、これまでそれほど密接でもなかった大怪獣バトルもがっちり組み込み、“ウルトラマン・サーガ”のような風情である。

仮面ライダーではかなり前から悪い仮面ライダーというのが登場し賛否両論あるが、今回は悪のウルトラマンの登場ということで新聞記事にもなった。しかし、気付いている人は多くないと思うが、これもある意味“ウルトラマン・サーガ”の一つである。どういう意味か。べりアルがウルトラの父をウルトラ警備隊大隊長の座を争い破れ、その後反乱するという設定は、大昔の『ウルトラ兄弟物語』というこどもマンガに登場するエピソードなのだ。もちろん大昔のマンガ版にはオリジナルウルトラマンが登場し、非公式扱いなのだが、まちがいなく意図的取り入れようとする姿勢の表れである。
#今後、アンドロ戦士やU80戦士の扱いに注目である。

で、設定的には、お父さん世代もお子様世代も満足いけるものにはなっている。しかし、残念ながらヒーロー物としては、ストーリー上、問題があるため、いい内容とはいえない。それはなにか。
ヒーローシリーズものには、あるルールというかストーリー上の醍醐味がある(私見だが)。敵なり災害なり主人公は問題に直面して、それを解決するのが基本であるが、その解決手段には3つほどのパターンがある。①努力して力をつける(必殺技を身につけるパターン)、②新しいアイテムを入手したり仲間が助けにくる(外部要因に救われるパターン)、③知恵を駆使して作戦勝ちする。
この3つの要素がバランスよく盛り込まれているのが、よいヒーローシリーズ物である。
本作では、①②は盛り込まれているが③の要素が皆無なのだ。これでは、パワーのインフレをエスカレートさせることだけが繰り返される。これは飽きる。結局、とてつもない強い敵が現れたので、とてつもなく強いウルトラマンで対抗した…それだけの話である。これは、ウルトラマン云々ではなく、シリーズ物として続かない(もう、ウルトラマンゼロが飛びぬけて強くなりすぎて、今後のシリーズが成立しなくなっている)。

案の定、始めの40分ま集中して観つづけることができたが、ファンのワタシでも飽き飽きしてしまった。
おもちゃ会社の意向なのか知らないが、これでは、ウルトラマンと怪獣の顔見世興行で、よく知らない人には楽しめる要素はない。これでは、いくらワーナー配給になったからといって、海外配給は望めないだろう。

まあ、子供は観たいというだろうが、半数以上の子供は途中で飽きるだろうし、大人のファンも残念に感じるだろう。よほどファンでなければ観る必要なし。

#声優陣はおおむね良好。特に小泉純一郎は、芸能ニュースなどで紹介されていた様子では最悪かも…と思っていたが、実際観てみるとものすごくマッチしていて感心。しかし、長谷川理恵のウルトラの母の声が最悪である。彼女はなんの関連あって採用されているのか…
 

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image1462.png公開年:2008年 
公開国:日本
時 間:98分  
監 督:河崎実
出 演:加藤夏希、加藤和樹、渡部又兵衛、松下アキラ、福本ヒデ、なべやかん、井上純一、森下悠里、和崎俊哉、堀内正美、きくち英一、中田博久、黒部進、古谷敏、夏木陽介、ビートたけし、みうらじゅん、リリー・フランキー、水野晴郎 他
コピー:この夏、人類滅亡の危機
世界の命運は“タケ魔人”に託された。


洞爺湖サミットが開催される中、大怪獣ギララが宇宙から札幌に飛来。サミットの中止が検討されるが、首脳たちは大怪獣に立ち向かうことを決定。一方、サミット取材にやって来た東スポ女性記者・隅田川すみれは、湖畔の神社に残された伝説にある“タケ魔人”がこの危機を救ってくれると確信するのだが…というストーリー。

特撮は好きなので、ある意味伝説の松竹製怪獣“ギララ”のことは知っていたが、なにやらコメディらしいので、観る気はまったくおきず。しかし、100円レンタル対象だったので、なんとなく借りてみた。が、100円すらもったいないと思うほどの出来。

河崎実監督といえば、『日本以外全部沈没』の人だが、本作も同じノリ。ただ、『日本以外全部沈没』の場合、筒井康隆の原作なので、そこそこ観られる作品だったのだが、本作はあまりにもヒドい。おふざけをしたいならば真剣にふざけて欲しい。思いつきのような小ネタ。それも、“ユーモア”とか“ウィット”とは対極の半分酔っ払って書いたようなシナリオにはウンザリ。半分をすぎたところで、観る気も失せて、別のことをやってながら見していた(ながら見でもムカついてきたんだけど)。

べつにこういう作品をダメだといっているわけではない。とにかく、本作からは作り手の一生懸命さやまじめに作ろうという意思がつたわってこなくて、観ている側がバカにされたような気分になる。もう、これ以上書きたくないので、やめる。観るだけ時間の無駄である。こっちが100円貰って観て、それでも時間を無駄したと思うか思わないかの線だと思う。まあ、まともな映画と同列に考えるほうが悪いのか…。

#加藤夏希も加藤和樹も仮面ライダー経験者ですけれど、特撮に対するリスペクトはないのだろうか。ムカッ。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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