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image0540.png公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:145分
監 督:ロブ・マーシャル
出 演:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、役所広司、桃井かおり、工藤夕貴、大後寿々花、ケネス・ツァン、コン・リー、ツァイ・チン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ランダル・ダク・キム、テッド・レヴィン、ポール・アデルスタイン、ユージニア・ユアン、カール・ユーン、シズコ・ホシ、伊川東吾、マコ 他
受 賞:【2005年/第78回アカデミー賞】撮影賞(ディオン・ビーブ)、美術賞(ジョン・マイヤー、Gretchen Rau)、衣裳デザイン賞(コリーン・アトウッド)
【2005年/第63回ゴールデン・グローブ】音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
【2005年/第59回英国アカデミー賞】作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](ジョン・ウィリアムズ)、撮影賞(ディオン・ビーブ)、衣装デザイン賞(コリーン・アトウッド)
【2005年/第11回放送映画批評家協会賞】音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
コピー: 絢爛 無垢 毅然

貧しい漁村から置屋に売られた9歳の千代。はじめは芸者見習いだったが、花街一の売れっ子芸者・初桃のいやがらせにより、下働き扱いとして酷使されることに。生きる希望を失って橋の上で泣いていたある日、身なりの良い紳士が千代に声をかけ、やさしく接するのだった。千代はその“会長”と呼ばれる男性に一瞬で惹かれ、芸者となって彼と再び出会いたいと思うようになる。そして、千代が15歳になったとき、有名芸者・豆葉が突然置屋に現れ、千代を芸者として育てたいと申し出るのだった…というストーリー。

本作の原作である『MEMOIRS OF A GEISHA』にしても『菊と刀』にしても、外国人による日本人像に対して「まあ、そういう見方や解釈の仕方もあるかな…」的な感想こそあっても、実のところピンとこないことが多い。客観的な視点で書けているこそかもしれないけれど、分析の部分においては外国人が“そうであってほしい”というバイアスが効いているとしか思えないことが多い。悪い言い方をすれば、人間は見たいものしか見ない…ということだね。客観性の維持っていうのは難しいね。

本作は、3パート構成。
大後寿々花パートは、世界恐慌直後の日本。望まず売られてきた少女の目線とその不幸な環境、異世界の得体の知れない恐怖がよく描けていている。芸者の世界自体、よくわからないから、嘘があるのかどうか日本人にもよくわからないんだけど、とにかくセットはよく作ったなぁ…と思う(もちろんロケもあるけど)。邦画ではちょっと無理なコストのかけ方。受賞が技術系に偏るのも理解できる。
#“水の相”とか、日本でそんな表現するかなぁ…、ピンとこない。異訳かなぁ…。

チャン・ツィイーパートでは女の園戦争の話に移行。面白さの種類がガラっと変わる。和製『マイ・フェア・レディ』みたいな話が、エグいエピソードを織り交ぜながら展開される。“GEISHA”は娼婦じゃないと必死で説明しながら、それよりもエグい内容なんだわ。
彼女がのし上がっていく様子は愉しめるの。しかし、外国人は日本文化の匂いで圧倒されちゃうのかもしれないが、日本人にはノリが物足りないかも。もうちょっと、和製オペラみたいな感じで仕上げてくれれば良かったと思う。
外斜視ぎみのチャン・ツィイーはエキゾチックに映るけど、演技の若々しさとか真摯さが伝わってこない…、というか大後寿々花と違いがありすぎる。大後寿々花がチャン・ツィイーに成長するとはとても思えない…(というのは、脇において観るしかない)。

3パート目は敗戦直後。またまた趣が変わって、昔とった杵柄で一発逆転を狙うストーリーに。ちょっと泥沼ぎみだし、破綻ぎみなんだけど、全体に漂う“小汚さ”がいい感じ。

まあ、3パートのどれかが好みに合うので愉しめるところが必ずあるでしょう。ただ、やっぱりちょっと長いな。各パート5分くらいづつ短くすべきだったかと。でも、お薦めできるクオリティ。





負けるな日本

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image1219.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ジェイソン・ライトマン
出 演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェイソン・ベイトマン、ジェニファー・ガーナー、J・K・シモンズ、アリソン・ジャニー、レイン・ウィルソン、オリビア・サールビー 他
受 賞:【2007年/第80回アカデミー賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第61回英国アカデミー賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第23回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、主演女優賞(エレン・ペイジ)、新人脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)、コメディ作品賞
【2008年/第17回MTVムービー・アワード】女優賞(エレン・ペイジ)
コピー: そのつもり。ジュノ16歳。いちばん大人。

16歳の高校生ジュノは、同級生のポーリーと興味本位でした1度のセックスで妊娠をしてしまう。両親には内緒で中絶することを決意するが、病院を目の前にして気持ちが揺らぎ、中絶することを諦める。他に策がないか考えたジュノは、赤ん坊を産んでから養子に出すことに。早速、リアと一緒に養子希望の広告を探しはじめるが…というストーリー。

仮にも、世に“未婚の母 映画ムーブメント”をつくった作品なので、一応押さえで観ておこうとは思っていたのだが、どうも、展開が予想できる気がして、観始めてすぐに観るのをやめていた。今回、改めて再チャレンジ。
断念した理由は、妊娠しちゃってすったもんだ…っていう、作品紹介や宣伝がなされているわけで、内容以上の何かがあるような感じがしなかったから…。

やっぱり男にはちょっと感情的にピンとこないところが多いかも。機能的な性教育だけじゃなく、感情面や情緒面や制度面での性教育をすべきだな…なんて、醒めた目で観ちゃう。
まあ、キリスト教原理主義者みたいなガチガチな世界がある一方で、本作みたいな世界が並存しているアメリカを、根幹的な部分で間逆な勢力が二分していていつ分裂してもおかしくない危うい国家とみるか、ダイナミズムのある国家と見るか…。私は後者だけどね。
日本でも養子縁組の制度は、もう少しアクティブに行われるねきだとは思うけど、安易にやりすぎるとこうなっちゃんだな…という戒めにもなる。いつもやりすぎてアホを晒してくれるアメリカよ、ありがとう(笑)。いずれにせよ、未成年が単独で中絶できたりするなんて、アメリカ、クレイジーすぎるだろう。

本作が評価されている理由は、重くなりがちなテーマを軽妙に表現しているから。軽く捉えようにも軽くならない現実を、人間ドラマとしてうまく見せている。相手の夫婦側に変化が生じる展開はおもしろかった。
エレン・ペイジの軽い演技が、この作品のおもしろさの半分を形成しているといってよい。まさに出世作。デコッぱちとへの字まゆげが、不思議な魅力。
#DVDに関して言えば、彼女の日本語吹き替えやった声優さんの力は大きい。

意外と親が冷静だったりしておもしろい(まあ、実際はこんなもんだろうけど)。10代で子供を産むような親の環境は劣悪だと言われ、ブチ切れるジュノの母親。言ってやったわ!ばりのドヤ顔をするんだけど、今、ここでエコーで見ている赤ん坊を養子に出すっていうシチュエーションなのにね(笑)。オメデタい馬鹿アメリカの象徴。

どうせお約束のお話なんでしょ?と思ってる方々。私もそうだったけど、観て損はなかった。なんだかんだ面白かったので、お薦めしたい。
#日本にそんな“薄い本”はない(笑)。




負けるな日本

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image1754.png公開年:2010年
公開国:イギリス
時 間:97分
監 督:中田秀夫
出 演:アーロン・ジョンソン、イモージェン・プーツ、マシュー・ビアード、ハンナ・マリー、ダニエル・カルーヤ、ミーガン・ドッズ、ミシェル・フェアリー、ニコラス・グリーヴス、オフィリア・ラヴィボンド 他




ウィリアムが開設したインターネット上の“チャットルーム”に集まったジム、エヴァ、エミリー、モー。現実の世界を忌避し、痛みを打ち明けながら親交を深めていく。しかし、ウィリアムは、うつ病に悩むジムに対して、本性を現し始める。次第に、ウィリアムの恐ろしい企み気付き始めるメンバーたちは、彼を阻止してジムを救おうとするが…というストーリー。

一人の心を病んだ青年のチャット内での偽りの仮面に影響され、来るっていく4人の若者の姿を描いているのだが、その1人の青年のカリスマ性というかキャラが完全に立ちきっていない。

それ以上に、映像センスが無さすぎ。何これ。
この“チャットルーム”とやらは、アメーバピグみたいなサービスなのか?単なるチャットルームなら、こんな表現おかしいだろ。同板内で複数の話のコロニーができてるけど、どういう状態を指しているのかな。実際のPC上の画面でのやりとりを見せてみなさい。見せないから逆にピンとこなくなってるんだよ。

現実とチャットの中の顔がまったく同じなのも違和感があるし、途中にさしこまれるオンラインゲームの具現化がアレってのも変。廊下においてあるワインを拾う行為は、ネット上のどういう操作になるわけ?さっぱりわからん…と思って観ていたら、現実世界でワインを飲み始めていたりする。はぁ?意味わかんね。

とにかく肝心のチャットルームを具現化した映像がダサいにもほどがある。映画における映像表現が、現実よりも劣っていると、目も当てられない状況になるという悪例である。

チャット内の映像を、全部アメーバピグの画像に差し替えてみなよ。二頭身にアニメキャラでエグいやりとりやってみ。カルト的な名作になるから。芸人が凶悪犯やるのと同じで、ものすごいインパクトになる。

おまけに、音楽のダサさもハンパなくて…。中田監督はこういう作品、向いてないね。チャット部分は別の尖がったアーチストにまかせたほうがよかったと思う。駄作とはいわないけど、迷作って感じ。




負けるな日本

 

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image1369.png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:128分
監 督:リドリー・スコット
出 演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ、オスカー・アイザック、サイモン・マクバーニー、アロン・アブトゥブール、アリ・スリマン、ヴィンス・コロシモ、メーディ・ネブー、マイケル・ガストン、カイス・ネシフ、クララ・フーリ 他
コピー: どっちの嘘が、世界を救うのか。


CIAの工作員フェリスは、イスラム原理主義者テロリスト集団のリーダーを捕獲する任務のため、現在、中東に潜伏中。一方、彼の上司のホフマンは、安全なアメリカ本部から指示をするだけ。元々、反りの合わない2人は、フェリスがイラクで接触した情報提供者の扱いをめぐって対立する。その後、組織の極秘資料を手に入れるために重傷を負ったフェリスに対して、ホフマンは容赦なく次の指令を出す。より不満を募らせながらも、入手した資料にあった情報を元に、次の目的地ヨルダンに向かうフェリスだったが…というストーリー。

まあ、戦争当時は、リアルタイム感もあって、ドキドキもしただろうが、イラク戦争がCIAのいい加減な情報が元で始まったことが判っている今となっては、冷めた目で観ざるを得ない。
イスラムによるテロ対策モノなのはわかるんだけど、ディカプリオ演じる主人公のフェリスが、何を目的に動いているのかも、始めはよくわからない。ラッセル・クロウ演じる、本国でヌクヌクと仕事をしている上司役、彼の行動にものすごくイライラはするけれど、そういういい加減なCIAの姿勢を揶揄したいのかな?いずれにしても、どこに焦点を当てたいのかがよくわからず、ちょっと引き気味で鑑賞するしかない。

次第に、どうやらアル・サリームというテロリストの拠点を捜しているということがわかってくるのだが、その作戦の過程で登場するハンニという人物のポジションを理解するのが、なかなか難しい。もちろんムスリム社会も一枚岩ではなく、原理主義者を快く思わない勢力もあるし、西側とだってビジネスと割り切って付き合う人間だっている。でも、彼がCIAに協力する理由はそれだけか?逆に利用してやろうと考えているのか。
実の所、彼は重要なキーマンなんだけど、その割にはキャラが弱いんだよね。

こういう軍事モノは、フィクションの部分が多くなるのは致し方ないものだけど、それでも違和感を感じさせない展開に注力すべきだと思う。しかし、どうも私には不に落ちない流れが散見される。

例えば、作成が失敗した後に、フェリスが考え出した案。何がいい案なのかさっぱりわからない。アル・サリームは自己顕示欲のためにやっているわけじゃないから、自分以外の奴がジハードをしたって、あんな反応をするとは思えない。また、その作戦遂行のために、一人でネットを使って工作できる超人が出てきたり、仰々しい作戦のわりには、恋人が人質になったり、だんだんスケールが小さくなっていく。
こんな調子で、リアリティがイマイチだから、「考えさせられる話だなぁ…」なんてことにはならない。

緊張感のあるシチュエーションの連続ではあるのだが、2時間の映画としての山場のメリハリがなく、ダラダラした印象になってしまっている(こんなことなら、ドラマシリーズにでもして、じっくり作ったほうがいいような…)。さすがのリドリー・スコットも、お得意のディレクターズカットを作っても、どうにもならないデキ。

まあ、アメリカのシステム上の癌の一つは、CIAという組織が、大統領が変わろうが、権力を握り続けることができるということである。まぁ、日本の官僚制度も似たようなものだが、与えられている力が違うからね…。
そういう教訓は得られても、映画としての魅力は著しく低い作品。お薦めしかねる。




負けるな日本

 

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image0609.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ダニエル・アティアス
出 演:コリー・ハイム、ゲイリー・ビューシイ、ミーガン・フォローズ、エヴェレット・マッギル、テリー・オクィン、ロビン・グローヴス、レオン・ラッサム、ビル・スミトロヴィッチ 他
ノミネート: 【1986年/第14回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】参加作品



アメリカの田舎町ダーカーズ・ミルズで、満月の夜になると残虐な殺人事件が連続発生。車椅子の少年マーティは、犯行が狼人間の仕業であると気付くが、大人たちは誰も信用してくれない。町が深夜外出禁止となっている中、こっそり家を飛び出し、叔父がくれた花火で遊んでいると、狼人間と遭遇。ロケット花火で逆襲し、何とか逃げ帰ることができたが、狼人間が町の誰かだと睨んだ彼は、姉にそのことを打ち明け、顔にロケット花火による火傷の跡がある人間を捜し始める…というストーリー。

何か異界のものが襲ってくる…とか、襲われる側にも鬱屈した人間関係や家族問題、地域社会の問題を抱えているなど、キング作品の常套パターンだと思う。

でも、ロケット花火でダメージがあるんだから、普通の銃でも殺せそうなもんだけどね…とか、保安官につっかかるような人間にはわかりやすい死亡フラグが立つのかな?とか、チャチに感じる部分が多い。
なんとなく、原作の通りに映像化したように感じられるのだが、キング作品はそのまま映像化するときは、1枚も2枚も別設定やサブストーリーを加えたくらいじゃないと、映画全体が薄く感じられてしまう。調味料が、4種も5種も足りてない感じ。
#キングは、いつも自分の作品が映画化されるときに文句をつけるんだど、そうしないとおもしろくならないことを早く自覚して、文句つけないようにしないとイカンよね。

冒頭、主人公とおぼしき弟ではなく、姉の回想ナレーションではじまる。ということは、弟は、大人になる前に死んだり…とか、この話の中で死んじゃったりするのかな?なんて考えてしまうのが普通だと思う。しかし、おそらく大人になったであろう姉のナレーションには、何も意味もなくて、さらっと終わるのだ。そんなこと許されるのか?と腰が抜けた。センスなさすぎ。

怪物の特殊メイクもあまりにもチャチで、結果として、子供向けのホラーレベル。夏休みの夜に小学校低学年の子供と観て安心のクオリティ。大人が是非モノで観るような作品ではない。




負けるな日本 

 

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image1227.png公開年:2004年
公開国:アルゼンチン、フランス、イタリア、スペイン
時 間:96分
監 督:ダニエル・ブルマン
出 演:ダニエル・エンドレール、アドリアーナ・アイゼンベルグ、ホルヘ・デリア、セルジオ・ボリス、シルビナ・ボスコ、ダニエル・エンドロール、セルヒオ・ボリス 他
受 賞:【2004年/第54回ベルリン国際映画祭】審査員特別賞・銀熊賞(ダニエル・ブルマン)、銀熊賞[男優賞](ダニエル・エンドレール)
コピー: 失くした愛、見つけた。おせっかいで温かい、ここは人情商店街<ガレリア>。


ブエノスアイレスにあるガレリアという商店街。そこにある母が営むランジェリーショップを手伝う青年アリエルは、住み慣れたこのガレリアに愛着を感じながらも、自分の将来性を見出すことができずにいた。そんな現状を打破しようと、祖母の祖国であるポーランドの国籍を取得して、ヨーロッパに移住する計画を立てる。彼は、自分の祖母がポーランド出身であることを証明するために、祖母からパスポートを借りようと訪ねていく…というストーリー。

主にユダヤ系の人たちが集まる商店街ガレリアで巻き起こる日常生活を描きながら、そこから抜け出そうとしているユダヤ系青年の姿が、淡々と綴られる。特段、コメディ調ってわけでも、ドラマティックでもなくて、南米版『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいなもんかな。でも、そんなに爽やかではないし、ノスタルジーを感じるわけでもない。このゆるゆるな感じを楽しめるかどうかが別れ目か。
まあ人間は、他人の家のゴタゴタやモメ事は好きだからね。ご近所の浮気話や痴話げんかを覗いているようで、意外と飽きない。

(ちょっとネタバレ)
さて、自分の出生について疑いが生じて、主人公はどうするのか…と、さすがにそこは大きな展開があるでしょ…と観ていたが、それでも大きな動きはなかった。なんだかんだで、“父帰る”みたいな展開になるんだけど、それでもやっぱり、ゆる~い流れが継続される。
ちょっと私には、アリエルがそこまで父親から逃げる心境が、いまいち理解し難かったりするので、どうもノリきれなかったし、“安息日”も、一つのテーマになっているようなのだが、それもよく伝わってこなかった。

“父”というピースがうまって、すべてが刺激のない日常に戻っていく。平凡すぎるほど平凡な日常へ…。
本当に、それ以上でもそれ以下でもなかった作品。編集やカメラアングルで特徴を出そうとしていたり、アップショットが多かったり、もしかして小津を意識してるの?そうだね、アルゼンチン版小津って感じの作品である。

特段、お薦めはしないけど、好きな人は好きなんだろうな。



負けるな日本 

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image0233.png公開年:1985年
公開国:アメリカ
時 間:90分
監 督:ルイス・ティーグ
出 演:ドリュー・バリモア、ジェームズ・ウッズ、アラン・キング、ケネス・マクミラン、ロバート・ヘイズ、キャンディ・クラーク、ジェームズ・ノートン 他





友人の薦めで禁煙支援を行うとあるクリニックに通院することになった男の周りでまきおこる出来事の話。マフィアの妻と浮気をしていた男が、その夫からとある“ゲーム”を提案される話。夜な夜な少年の部屋を襲う小鬼と、少年を守ろうとする猫の話。スティーヴン・キング原作・脚色による3話のオムニバス・ホラー。

はじめの禁煙クリニックの話は、星新一っぽい内容。この禁煙クリニックの話は猫が逃げたところでさらっと終了。なるほど、猫を狂言廻しにして、オムニバスが繰り返されるっていう手法か。

冒頭のマネキンのHELPのくだりは、いかにもキングっぽいけど、このマネキンと猫のやりとりが、禁煙クリニックとどういう関係が?としばらく不思議に思っていたが、最後の3本目の話に繋がるんだな。

2本目の話は、誰でも高所は怖いよね…っていう、本能的な部分に訴える作品。まあ、ベタベタながらも手に汗を握ってしまったよ。ある意味、ちょっとずるい作品。ヒネリは全然ないけどね。

…と、ここまでの2本はまあまあ鑑賞に堪えるんだが、3本目の小鬼の話がイマイチ。ちょっと趣が違いすぎるんだよね。このレベルのストーリーなら、4・5本くらいの波状攻撃でやってもらって、やっと鑑賞に堪えるレベルになるかな…と。ホラーとカテゴライズするのが憚られる。
なんかTVムービーレベルのデキなんだけど、劇場公開作品みたいだね(日本では未公開だけど)。キング原作だからといって、大きな期待は絶対に抱いてはいけない作品だ。レンタル料金が100円だったとしても、妥当な料金だと思えるか微妙な出来映え。お薦めしない。

#音楽が『幻魔大戦』みたい。



負けるな日本

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image1771.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:197分
監 督:ブラッド・アンダーソン
出 演:ヘイデン・クリステンセン、タンディ・ニュートン、ジョン・レグイザモ、ジェイコブ・ラティモア、テイラー・グルーサイス、ジョーダン・トロヴィリォン 他
コピー: 「闇」が人類を粛清する。




ある日突然、停電時に人間が服や靴だけを残し謎の消失を遂げるという事件が、同時多発的に発生。それから3日経っても電力は復旧せず、おまけに日照時間がどんどん減っていき街が暗闇に覆われる時間が増えていった。どうやら、闇の中の何者かが人を襲っているらしい。ルークは少ない光源をたよりに、自家発電をしている一軒のバーに辿り着く。そこには外に出た母親を待つ少年ジェームスがおり、その後、自分の赤ん坊を探し続けるローズマリーが訪れる。さらに、店外の充電式の電灯の下で、怪我を負って助けを求めていたポールを救出。4人は襲い掛かってくる闇の恐怖と闘いながら、この事件の謎を解き明かそうとする…というストーリー。

1950年代SFなんじゃないかって思うくらいの直球SFなんだけど、それが逆に新鮮で、いい感じのツカミだったと思う。
人間が突然消失したのなら、その車の停止位置はおかしいんじゃねえの?…ってのはご愛嬌ということで無視しよう。服を残して消失する現象なのがわかっているのに、夫が子供をさらったと思い込むわけねえよな?という馬鹿馬鹿しさも、ご愛嬌ということで無視しよう。
ローテクでおそらく低予算なんだろうけど、よくがんばっているな…という印象(ローテクな『ミスト』って感じかな)。
助かるためには灯りが必要なんだな…ということも、さりげなく自然に説明できているし、テリングのうまい洗練されたシナリオだと思う(4人目の男が登場するあたりで、ちょっとダレてくるけど)。

しかし、ストーリーはず~っと至極単純で、残り20分っていう段階になっても、ずっと影に追われ続けるだけ。あれ?なんかおかしくね?ずっとジャブを撃ちつづけてるだけなんだけどさ。さすがにここまでくると、工夫がなさすぎじゃね?と思い始める。

ポールの死のくだり…、まあ幻覚ってことなんだろうけど、これも、わかりにくい演出。

で、結局何の謎も解明されないまま終わる。聖書バカのクソプロット。結局、そういう闇に襲われちゃった、そんな日が来たんですよ…って、カトリックのくだらねえ黙示録思想を映像にしただけで、ただそれだけで終わりでやんの。
駄作。思いつきだけで映画つくりやがって。期待して損しちゃった。お薦めしない。




負けるな日本

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image1769.png公開年:2010年
公開国:アメリカ、フランス
時 間:103分
監 督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出 演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ フランク・トゥーペロ、ポール・ベタニー、ティモシー・ダルトン、スティーヴン・バーコフ、ルーファス・シーウェル、クリスチャン・デ・シーカ、アレッシオ・ボーニ、ジョヴァンニ・グイデッリ、ラウル・ボヴァ、ブルーノ・ウォルコウィッチ 他
ノミネート:【2010年/第68回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ジョニー・デップ)、女優賞[コメディ/ミュージカル](アンジェリーナ・ジョリー)
コピー: 華麗な旅人には、危険な謎がある。

傷心旅行でヨーロッパへやって来たアメリカ人数学教師フランク。ヴェネチアへ向かう列車の中で、美女エリーズが突然現れて同席する。彼女の美しさに一瞬で心を奪われてしまったフランクだったが、実は彼女は、警察に尾行されていた。警察は、ある指名手配反が彼女と接触するのを狙っていたのだ。しかし、彼女も目的の人物と接触するように見せかけて、捜査を撹乱しようとしていたのだった…というストーリー。

とりあえず、アンジー演じる女性が追われているのはわかるが、彼女のポジションや役割がよくわからない。かといって、そんなに興味を惹くようなワクワク感があるでもない。

一緒にいたから逮捕とか(任意同行じゃなく逮捕)。まあ、無能な警察を演出したいのはわかるけど、そんな薄い証拠で簡単にインターポールが動くかよ…とか。そうこうしているうちに、警察内部の勘違いリークで、ジョニデ演じるツーリストがピンチに…って、コントかよ、つまんねー。捜査手法や手順にあまりにもリアリティが無さすぎで、観続ける気が急速に失せていくのを感じた。
まあ、実は最後まで見れば、その動きの理由も理解できることになるんだけど、だからといって観ている側を飽きさせていい理由にはならない。私、ここで一回観るのをやめて寝た。

アンジーとジョニデを持ってきて、犯罪がらみのストーリーなのに、一切アクション展開になる気配の無さ。じゃあ恋愛展開に転がり込むのかと思いきや、そうでもない。とりあえず二人を出しておきゃ何とかなるとでも思ってるのか?
42分たってやっとやっとアクションが始まるけど、すぐにストップ。お約束の敵の弾は一切当たらない系のコメディアクションである。

散々引っ張ったあげく、59分も経過してからようやく事情説明(『ミッドナイト・ラン』に似たような内容だった)。
後半、それほど強烈にアンジーに惚れた描写を差し込めないまま、ジョニデが逆に彼女を追うという展開に。そんなエピソードがあったら…そんなにいい女なら…そりゃ彼女を追いたくもなるよ……なんてことは一切思わないから、ジョニデに全然共感できない(はぁ、このあたりで、もういい加減にしてくれよ…とさえ思えてくる)。
まあ、そこで素直に帰ったら映画にならないのは判るわけで、観ている側は、わかりきった展開を待たされる退屈極まりない感じになる。本当にダサいな、この監督と脚本家。
その後、実はアンジーは…という展開になるが、さほど驚きもなく。あと30分もあるのか…とうんざりしてくる。

最後、『カンパニー・マン』的な展開になるんだけど、つまんねーオチ。全然、「やられたー」なんて思えない。これ、ジョニデとアンジーじゃなかったら、日本未公開まちがいなしだと思う一方、この二人はミスキャストだったとも思う。久々につまらないものを観たわ。注意警報を発令しておく。




負けるな日本

 

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image0260.png公開年:1966年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:フレッド・ジンネマン
出 演:ポール・スコアフィールド、ロバート・ショー、バネッサ・レッドグレーブ、オーソン・ウェルズ、ジョン・ハート、ポール・スコフィールド、スザンナ・ヨーク、ロバート・ショウ、レオ・マッカーン 他
受 賞:【1966年/第39回アカデミー賞】作品賞、主演男優賞(ポール・スコフィールド)、監督賞(フレッド・ジンネマン)、脚色賞(ロバート・ボルト)、撮影賞[カラー](テッド・ムーア)、衣装デザイン賞[カラー](Elizabeth Haffenden、Joan Bridge)
【1966年/第32回NY批評家協会賞】作品賞、男優賞(ポール・スコフィールド)、監督賞(フレッド・ジンネマン)、脚本賞(ロバート・ボルト)
【1966年/第24回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、男優賞[ドラマ](ポール・スコフィールド)、監督賞(フレッド・ジンネマン)、脚本賞(ロバート・ボルト)
【1967年/第21回英国アカデミー賞】作品賞[総合]、作品賞[国内]、男優賞[国内](ポール・スコフィールド)、脚本賞(ロバート・ボルト)、撮影賞[カラー](テッド・ムーア)、美術賞[カラー]、衣装デザイン賞[カラー]

ヘンリー8世は、王妃と離婚して宮廷女官のアン・ブーリンと結婚しようする。しかし、離婚にはローマ法王の許可が必要であり、許可を求めるためには、王妃との結婚自体が無効であることを証明せねばならず、それを主張するには、国内の議員たちの賛同、特に偉大な文学者として有名なトマス・モア卿の弁護が必要であった。しかし、トマス・モアは、その深い教養と信仰心ゆえに、頑なに王の要請を拒否し続け…というストーリー。

ヘンリー8世やアン・ブーリン側を描いた作品は多いと思うが(俗っぽくて下品な内容のほうが面白いからね)、それに反して高潔に生きたトマス・モア側を描いためずらしい作品。

その後、煙たがられながらも大法官になってしまたモアは、王の離婚問題をどう片付けるのか?モアは、法治国家の在りようを滔々と語っているけれど、当時としてはかなり先進的な思想の持ち主。結局、筋を通し続けるも、国王側はイギリス国教会の設立を行い、離婚にローマ法王の許可を不要にするというウルトラCを、傍観することになる(傍観というよりも、反対も賛成もしないという態度を貫き通すのだが…)。

はじめは、トマス・モアが高潔なのは結構なことだけれども、単なる反体制思想の持ち主にも見えなくも無い。しかし、家族まで苦境に立たされても、その行く添えを慮りながらも、決して信念を曲げない彼を応援したくなってくる。彼の“生き得ぬ世なら、生きようとは思わない”というセリフが、実にかっこよい。

教科書でチラリとしか名前を見ただけのトマス・モア(むしろ、本作では悪役のクロムウェルのほうが扱いは大きい)。別に新しい概念や事件をおこした人じゃないので、扱いは大きくは無い。でも、本作を観て、その人となりに、物凄く共感して尊敬してしまった。

日本でも第二次世界大戦時に、日帝に投獄されたことを自分の正当性の根拠にする人が散見されるが、そんなチンケなレベルとは違う。彼は執拗に抗った訳ではなく、淡々と主張を貫いただけ。それも理路整然と理性を失わずに。そして、いたずらにそれに対して誇りをもったりもしない。
映画を観て、尊敬できる人に出会えるとは思ってもいなかった。当時のイギリスのチューダー朝の状態や、国内の宗教・政治の状態がすんなりと腑に落ちる。教材としても一流の出来映え。とてもデキのよろしいお薦めの一本。




負けるな日本

 

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image1779.png公開年:2006年
公開国:スイス
時 間:89分
監 督:ベティナ・オベルリ
出 演:シュテファニー・グラーザー、ハイジ・マリア・グレスナー、アンネマリー・デューリンガー、モニカ・グブザー、ハンスペーター・ミュラー=ドロサート 他
コピー: 縫い残した未来が輝きはじめる




スイスの地方の寒村トループ。80歳のマルタは、夫に先立たれ生きる意欲を失っていた。そんなある日、気分転換に友人に連れ出された街で、ランジェリーショップを見かけ、強く興味を惹かれる。実は、マルタは若い頃、自分でデザインし刺繍したランジェリーを売ることを夢見ていたのだ。元気がなくなっていたマルタを心配していた友人たちは、その夢を追うべきと彼女を後押しするのだったが、村の人々は、彼女が開いたランジェリーショップを破廉恥だと非難する…というストーリー。

夫の死で生きる意味を見失うマルタが、久々に出た街で見かけたランジェリーショップを見て、心に長らく潜めていたかつて抱いた夢が沸きがってくる様子に、観ているこちらもワクワクしてくる。しかし、当然ながら、華美な下着なんてふしだらだ!という、閉鎖的で遅れた考え方の村人と対立してしまう。あまりにお約束の展開なんだけど、『キンキーブーツ』系の話と『やさしい嘘』が混ざったような話で、そこがおもしろい。私の好みのジャンル。その他のおばあちゃん達のこまり事もしっかりと伏線になっていて、かなりガッチリしたシナリオだと思う。

人の死とは、変化を望まなくなること。つまり、年齢は若くても、マルタのランジェリーショップにやみくもに反対する村の男たちのほうが、死んでいるってこと。ましてや、自分が好き勝手やってるくせに、他人には変化をすることを許さないなんて、それは“殺人者”と同じである。

軽妙な中に、グっと考えさせるテーマも織り込まれており、なかなか秀逸。始めは、たまごボーロみたいに刺激のない作品だと思っていたのだが、結果的になかなか熱い作品だった。お薦めしたい。

#老後のことを考えると、手に職を付けておくことは重要だな…なんて考えちゃった。



負けるな日本

 

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image0340.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
出 演:トム・ハンクス、イルマ・P・ホール、ライアン・ハースト、J・K・シモンズ、ツィ・マー、マーロン・ウェイアンズ、ジョージ・ウォレス、ジェイソン・ウィーヴァー、スティーヴン・ルート、グレッグ・グランバーグ 他
受 賞:【2004年/第57回カンヌ国際映画祭】審査員賞(イルマ・P・ホール)
コピー: ただひとつの誤算は、ひとりの老婦人…。


敬虔なクリスチャンであるマンソン夫人宅の貸し部屋の貼り紙をみて申し込んできた一人の男。大学教授を名乗るその男は、紳士的な態度でマンソン夫人の信頼を得たが、実は彼は指名手配中の知能犯。彼は、船内カジノの地下金庫に納められた現金の強奪を計画しており、マンソン夫人宅の地下室から金庫までのトンネルを掘ろうとしているのだ。バンドの練習と偽り地下室を借りることに成功すると、募った4人の仲間と一緒にに計画を遂行するのだったが…というストーリー。

コーエン兄弟とトム・ハンクスのノリがマッチしていない。登場一発目で違和感を感じる。
冒頭20分でキャラが細かく登場してくるのだが、彼らが何をしようしているのかが見えてきても何かワクワクしない。彼らの参加動機がいまいちピンとくるようなバックボーンが描ききれていないからだと思う。単にお金が欲しい人が集まってきて、穴を掘ることになったんだってさ…だけじゃ、そんなに面白く感じるはずがない。

ただ、世の中の評判がものすごく悪いけれど(コーエン兄弟作品中、最大の駄作という人もいるほど)、私はそれほど悪いと思っていない。カトリック馬鹿のばあさんが計画の障害になるのもおもしろいし、次々死んでいき“そして誰もいなくなった”的なベタベタさは嫌いじゃない。こういうベタなコメデイをやりたかかったんでしょう。

ただ、ほとんどが地下室付近で展開するせせこましさや、パラレルな展開がないのは、コーエン兄弟らしくないかも。舞台がもすうこし広がれば面白くなる気がしないでもない。
トム・ハンクス演じる教授の口八丁手八丁もいまいちつまらないし、トム・ハンクスのしゃべりに頼りすぎ…といいたくもなるが、むしろ単にしゃべりすぎで、鬱陶しさすら覚える。

逆にトム・ハンクスなんか超ビッグネームを持ってこないで、小物揃いにしたほうが納まりがよかったかもしれない。無駄な期待を煽ってしまったんだよ。要するにミスキャスト。
本当にトム・ハンクスに対する世の中の人の期待と、コーエン兄弟ならこんな感じで展開するだろう…みたいな期待が裏切られているというのが、大きいんだと思う。

こういう部分が克服されれば、『ビッグ・リボウスキ』のようにカルトファンを獲得する作品になったかもしれない。ちょっと残念でおしい作品。お薦めはできない。
#この作品から、兄弟両名が監督・製作にクレジットするようになったのだが、その理由も、よくわからん。なんか本作から、製作姿勢に変化があったのかしら。




負けるな日本

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image1780.png公開年:1988年
公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:マーティン・ブレスト
出 演:ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリナ、ジョー・パントリアーノ、ロイス・スミス、リチャード・フォロンジー、ロバート・ミランダ、ジャック・キーホー、ウェンディ・フィリップス、ダニエル・デュクロス、フィリップ・ベイカー・ホール 他
ノミネート:【1988年/第46回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](ロバート・デ・ニーロ)

元シカゴの警察官だったジャックは、現在ロスで保釈人を連れ戻す仕事を保釈金融屋から請け負って生計を立てている。ある日、通称“デューク”と呼ばれるマデューカスという男を連れてくる仕事の依頼を受ける。マデューカスは、シカゴの麻薬王セラノの会計士をやっていたが、セラノの金を横領し慈善団体に寄付し逃げていた。その横領事件の公判まであと5日。ジャックは、ニューヨークの自宅にいるマデューカスを捕まえて飛行機でロスまで連れ戻そうとするが、マデューカスが飛行機恐怖症だといいはじめ、渋々列車で移動するはめになり…というストーリー。

展開がスピーディでスパートで開始10分でものすごく引き込まれる。飄々として軽妙な演技のデニーロだが、案外こういう役柄を演じることが少ないので、とても新鮮。本人も本当はこういう役をたくさんやりたいんじゃなかろうか。実に生き生きしている。

FBIも寄ってくる。マフィアも寄ってくる。デニーロ演じるジャックが、大きく動かなくても、周りがどんどん動いてくれる。『ペイバック』に近いノリ。

マフィアのセラノも、捕まえる対象のマデューカスも、保釈金融屋よりも高額の報酬を提示するんだけど、ジャックは頑なに断る。それは元警官として、犯罪人は罪を償うべきであるという高潔なポリシーがあるから。だけど一方で、こういう危険で不安定な仕事にも疲れていて、今回の報酬で保釈人探しの仕事から足を洗って、ささやかに喫茶店でも経営して、おとなしく暮らしたいとも思っている。
マデューカス自身、お金は持っているはずなのに、保釈金を保釈金融屋から借りているあたり、だれがマフィアがらみで自分の金なんか使うか!っていう彼の性格が良く表れている(まあ、元々は自分の金じゃないけど)。
このような、さりげないキャラの厚みの付け方がものすごくウマい作品だと思う。

そして、過去にマフィアからの買収を断って街を追われた男と、マフィアの金を横領して慈善団体に寄付した男の間に、次第にシンパシーが生まれていく。

同じ展開の繰り返しを予感させ、飽きかけたところで、新たな別の保釈人探し屋マービンが登場。まあ、最期までメイン級で絡んできて、ストーリー展開上重要な役割なんだけど、ちょっとグダグダのキャラで、唯一本作を安っぽくしているかな。

後半は、さらに同じ逃げて追われての繰り返しになって飽きかけてくるのだが、なんとか大捕物でまとめ上げ、最後は爽やかにシメて終わる。
(ちょっとネタバレくさいけど)最後に、時計と一緒に、わずかばかり残っている未練を捨てて、新しい人生に向かっていくのだが、小銭がなくてタクシーの乗れない。だから、真夜中に走って自分の部屋まで帰る。だから“ミッドナイト・ラン”なのね。まあ、アメリカらしいコメディ&ロードムービーなんだだけど、綺麗で爽やかな後味を残してくれた。お薦め。




負けるな日本 

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image1763.png公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:アレクサンドル・アジャ
出 演:キーファー・サザーランド、ポーラ・パットン、エイミー・スマート、メアリー・ベス・ペイル、ジョン・シュラプネル、ジェイソン・フレミング、キャメロン・ボイス、エリカ・グラック、ジュリアン・グローヴァー、ジョシュ・コール、エズラ・バジントン 他
コピー: 感じる。その奥に秘められた存在を──



NY市警刑事のベンは、誤まって同僚を射殺してしまい停職処分に。そのショックからアルコールに溺れ、家族とも別居。妹の部屋に居候しながら、家族と再び暮らせるように社会復帰を目指していた。ある日ベンは、5年前の大火災で閉鎖されるも、解体費用がないため保存されているメイフラワー・デパートの夜警の仕事に就くことに。勤務初日、建物内にあった巨大な鏡に興味を惹かれ近づいていくと、突然激痛に襲われたり、鏡の中にいるはずのない焼けただれた女性の姿を見てしまうなど、次々と恐怖体験に襲われ…というストーリー。

その大火事の廃墟に、そういう霊みたいなのがいるんだろうな…ってのが始めの10分で判るわけだが、はたしてそれ以上の何かがあるのか…。是非そこを裏切ってもらわないと。

根本的に守るような資産がないような建物を、夜中に二時間毎に見回る必要なんか無いわけで、なんで給料を払ってまでそんなことをしているのか?と普通は思っちゃう。きっとそこにストーリー上の秘密があるんだろうな?なんて考えてしまうわけだが、残念ながらそういう視点は無かったみたい。

デパートの前は病院でした…なんて、そこまで都合よく持ってきたら、ストーリーなんかどうとでもなっちゃうだろ!と思いつつ、百歩譲って、これから人間ドラマに比重がシフトしていくんだろう…、この建物の謎を解明しながら、自分の人生も変えていくような展開になるんだろう…と好意的に観ることに。しかし、家族にスポットこそ当たり始めるものの、結局、登場人物の誰一人として、心の変化も成長もしない。これでは人間ドラマとはいえない。
#そこを軸に展開すべきだと思うんだけどな。
ただ病院のくだりをもってきて、まわりくどく説明しただけだった。ごっちゃごちゃにこねくり回しすぎて何がいいたいのやらわからん。オチも非常につまらなかったし。

細かい部分も「はぁ?」って言いたくなるところが盛りだくさん。遺留品があるかもしれないバスタブの水を、何の躊躇もなく栓を抜いて流しちゃうとか、非常に馬鹿馬鹿しい。ホラー作品なのに、ドッキリのツボも微妙に外れているし。
これは、お薦めできない。

#吹き替えの声がジャック・バウアーなのは、同じ俳優だからって安易に決めたんだろうけど、本作の役柄には合っていないわ。そんな声力は不要。



負けるな日本

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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