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image1772.png公開年:2009年
公開国:オーストラリア、アメリカ
時 間:98分
監 督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
出 演:イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、クローディア・カーヴァン、マイケル・ドーマン、サム・ニール、イザベル・ルーカス、ヴィンス・コロシモ 他
コピー: 絶望寸前の人類に希望はあるのか──




人間がヴァンパイアと化してしまうウイルスが蔓延。ヴァンパイアたちは人間の血液を飲む必要があるため、供給源として人間を管理・飼育する社会システムが構築されていた。しかし、今や世界の95%の人間がヴァンパイアとなっており、食糧問題が深刻化。残された人間を血眼になって狩る一方、代用血液の開発が急がれていたが、芳しい結果を出すことができずにいた。さらに、血液に欠乏が極限に達したヴァンパイアが化け物に変態する現象が頻発。そんな中、大手製薬会社に勤務するエドワードは、人間もヴァンパイアも救う術を知っているという人間の女性・オードリーと出会い…というストーリー。

食傷ぎみの感染もので、おまけにヴァンパイアモノ。あえてやるからには、面白くなり自信があるからなんだろうな?おまけに、主役にイーサン・ホークを据えるくらいだから、面白くする策は用意されてるんだよな?と、観始めて、思わずけんか腰になっちゃうほど(それくらい、最近、多すぎのテーマなのよ)。

でも、冒頭からその疑いを忘れるくらい新鮮な展開。いきなりヴァンパイアの世界、それもかなりシュールでSFチック。森林火災の原因が、野生動物を求めているうちに朝になっちゃって、森の中で燃えちゃうから…とか、人間が金とか通貨みたいに投資対象になってる…とか、こういう練られたギミックが盛りだくさんっていうのは、おもしろい世界観ができあがっている証拠。#あんまり効果的な血の採り方とは思えないけどね(もっとしっかり喰わせて、計画的に血を採ったほうがいいと思う)。

で、人間に戻る方法は発見したとして、その後さてどうする?どういうオチをつける?というところがミソ。まあ、そこはここでは書かないけど、もう一展開あって、満足できた。
ヴァンパイアから戻った人間を喰いながら、だんだん正気になってきて、「あれ?オレ何やってんだろ?」っていう逆ゾンビ状態。これもシュールで面白い。

昨今のゾンビ・ヴァンパイアモノの中では『ぼくのエリ』並みに楽しめた作品(趣は全然違うけど)。心地よい馬鹿馬鹿しさも共存する快作。お薦めしたい。
#最期、どうやって来たんだよオッサン(笑)。




負けるな日本

 

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image0674.png公開年:1960年
公開国:アメリカ
時 間:197分
監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:カーク・ダグラス、ローレンス・オリビエ、チャールス・ロートン、ピーター・ユスティノフ、トニー・カーチス、チャールズ・ロートン、ジーン・シモンズ、ジョン・ギャヴィン、ウディ・ストロード、ジョアンナ・バーンズ、ニナ・フォック 他
受 賞:【1960年/第33回アカデミー賞】助演男優賞(ピーター・ユスティノフ)、撮影賞[カラー](ラッセル・メティ)、美術監督・装置賞[カラー](Alexander Golitzen:美術、Eric Orbom:美術、Russell A.Gausman:装置、Julia Heron:装置)、衣装デザイン賞[カラー](Bill Thomas、Valles)
【1960年/第18回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]
コピー: 大ローマ帝国にたった一人で挑んだ男スパルタカス、その愛と感動の生涯!!空前の巨費と最高のキャストでハリウッドの情熱が この巨大なスペクタクルを 甦えらせた--

鉱山で強制労働させられていた奴隷スパルタカスは、奴隷商人バタイアタスに買われ、剣闘士として訓練されることに。ある日、ローマの将軍クラサスが訓練所を訪れ、剣闘士同士の真剣勝負を見たいと言い出す。スパルタカスは、その闘いに選出され、対戦相手の黒人ドラバと激しい戦闘を繰り広げるが最終的に追い詰められ、いよいよトドメをさされる段に。しかし、ドラバは突然、観客席のクラサスを襲撃。ドラバは衛兵に殺され、スパルタカスは命拾いをする。しかし、ドラバの死をきっかけに、剣闘士達に不穏な空気が流れはじめる…というストーリー。

前半は、奴隷達の革命劇。後半は、元老院の権力争い(クラサスVS.グラッカス)と、奴隷達の友情と悲しい境遇が並行して語られる。じゃあ、無骨な男同士の争いばかりかというとそうではなく、奴隷同士のピュアな恋愛メロドラマも展開される。かなり長めの作品だが、理屈ぬきで目は離せない面白さ。キューブリック特有の難解さは無く、作品の中で一番おもしろいかもしれない。
#まあ、元々は別監督で撮ってたみたいだけどね。

板と板の間から闘いを見せたりする臨場感溢れる演出も良いし、小屋の中で相手と見つめあう剣闘士達の諦めと闘争心の入り混じった絶妙な表情など、役者たちの演技も大変よろしい。

途中、「闘いはくだらん。獣でも戦いを知っている。だが美しい詩は作れん」というスパルタカスのセリフがあるが、これがこの作品の底辺に流れる人間賛歌を象徴しているではなかろうか。

結果が悲劇になるところもまた良い。決して自分が命を落とすことは怖くないスパルタカスだが、最期に子供を見たことで、安心して死ぬことができたのか、逆にに妻と子供の将来を慮って死ぬのが怖くなったのか…。いずれにせよ、彼が“自由”の美名の下で死ねたことは間違いないだろう。

大スペクタクルとメロドラマと男の生き様が、うまく渾然となった名作だと思う。お薦め。



負けるな日本

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image0677.png公開年:1996年
公開国:アメリカ
時 間:88分
監 督:ジョー・ピトカ
出 演:マイケル・ジョーダン、ウェイン・ナイト、テレサ・ランドル、ビル・マーレイ、チャールズ・バークレイ、ラリー・バード、ブランドン・ハモンド、ダニー・デヴィート 他
ノミネート: 【1997年/第6回MTVムービー・アワード】歌曲賞(R・ケリー“I Believe I Can Fly”)
コピー: GET READY TO JAM!


とある宇宙の一角にある遊園地モロン・マウンテンは、不人気で経営不振。そこで、モロン・マウンテンの重役は、地球のルーニー・テューンズたちを遊園地で働かせれば、人気が回復すると考え、部下たちに彼らの拉致を命じる。部下たちは、バッグス・バニーたちにモロン・マウンテンにくるように依頼するが、遊園地で働かされたくないバッグスたちは、小さな宇宙人たちを見て、バスケットで試合して勝負して、負けたら言うことを聞くと提案する。しかし、宇宙人たちはNBAの選手の才能を盗み出し、試合に挑もうとする。あせったバッグスたちも、プロ野球選手に転職していたマイケル・ジョーダンを引っ張り出し…というストーリー。

虚構と現実がうまいことミックスできている秀逸なシナリオ。NBAから野球選手に転向して、散々ディスられている中、それを逆手にしちゃうのが素敵。おまけに、最後は、実際のNBA復帰話にリンクしているという、綿密なプロモーションにもなっている。構成に穴がない。

ワーナーの各アニメキャラクターもしっかり生きているし(観ていたらケロッグ喰いたくなった)、ベタベタでもしっかり熱くなれる演出。本人がきちんと演じている効果が大きく、実在スポーツマン物で、一番成功した作品な気がする。

『ロジャーラビット』と比較されて、デキが悪いと言われることがあるが、私はそうは思わない。確かに、NBAもマイケル・ジョーダンも知らない若者には、ピンとこないかもしれないけれど、そうでなければものすごく楽しめること請け合い(まあ、そこが分水嶺かもしれないな)。

#でも、登場人物はみんなリッチマンばっかりだけどね。





負けるな日本

 

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image1759.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:リシャール・ベリ
出 演:ジャン・レノ、カド・メラッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、マリナ・フォイス、リシャール・ベリ、ジョーイ・スタール、フィリップ・マニャン、カルロ・ブラント、ファニ・コラローヴァ、ムーサ・マースクリ 他
コピー: 『レオン』から17年──愛する者を守るため、男は再び戦うことを決意する。



かつて、マルセイユのマフィアのボスだったシャルリは、現在引退して家族との平穏な日々を送っている。しかしある日突然、複数のヒットマンに襲撃され重体に。奇跡的に奇跡的に一命を取り留めたものの、自分を襲わせたのが、幼馴染でもあるマフィア時代の盟友であることが判明。怒りが沸くものの、家族や仲間を巻き込む泥沼の抗争になること嫌い、シャルリは報復を躊躇い…というストーリー。

子供がいなくなるんだろうな…って思わせておいて、そうじゃなかったのは、ツカミとしてはよし。

しかし、20分経過しても、話がよく見えない。ジャン・レノ演じるシャルリは何で撃たれたのか?とか、まあ、これがこのストーリーの謎解き部分なのだろうが、どこまで引っ張るのやら…って感じ。
散々引っ張っておいて、麻薬ビジネスに手を出したいから、うるさい奴を始末したかっただけ…という、つまらない理由が待っている(シャルリは引退してるんだから、とりあえずこっそり黙ってやりゃあいいじゃないか…と思うのだが)。

ストーリは、古い友情を大事するか、殺された仲間の家族の悲しみを重く考えるか?っていうジレンマにシャルリが直面するのだが、どう考えても後者の一択だろ?って。全然、究極の選択でもないことで悩んでるところが、面白く感じられないところ。

実際、後者を選択することになるのだが、だからといって、イケイケGO!GO!でドンパチがはじまるのかと思いきや、敵さんが勢揃いしているところに乗り込んでいきながら、一人しか殺さない。何か元マフィアなりの美学を表現したいらしいのだが、どうせ殺るつもりなら、殺ればいいじゃないかと、どうもピンとこない。

中盤を過ぎてくると、ストーリーは一層ガチャガチャしていく。商売道具の麻薬をキレたからといって大量にブチ撒いたりするかなぁ…とか、右手が麻痺してるのにバイクって運転できるのかなぁ…とか、その鉄条網をわざわざくぐらないといけないのかなぁ…とか。
女刑事さんの存在の効果もいまいち。

フランス人の役人嫌いとか、マフィアはうんざり…とか、そういう気持ちはよく表れているけど、肝心の男のロマンとか生き様みたいなものが感じられない作品。
それに、コピーに『レオン』を引っ張り出してきたことが、失礼に感じる。




負けるな日本

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image1758.png公開年:2009年
公開国:アメリカ、イタリア
時 間:92分
監 督:ダリオ・アルジェント
出 演:エイドリアン・ブロディ、エマニュエル・セニエ、エルサ・パタキ、シルヴィア・スプロス、ロバート・ミアノ、ルイス・モルテーニ 他
コピー: ダリオ・アルジェント×エイドリアン・ブロディが放つダークでロマンティックな残酷スリラー!



イタリア・トリノで、外国人女性をターゲットにした連続誘拐殺人事件が発生。そしてまた、ファッション・モデルのセリーヌが標的となり誘拐されてしまう。彼女の姉リンダは、主に猟奇殺人を担当しているエンツォ警部の元を訪ね、妹の捜査を依頼する。そんな中、セリーヌの前に誘拐された日本人女性が瀕死の状態で発見される。彼女は死に際に、犯人の肌の色が黄色であることを示す言葉を残し絶命する…というストーリー。

タクシーでつかまるシーンが、ありがち。シリアルキラーがいましたとさ…って感じで、めずらしさも新鮮さもなし。犯行中にヘリウムで声を変える…ってのはちょっとおもしろいかなと一瞬思ったが、どうせ殺すなら声を変える意味はまったくないわけで、何かチグハグ。殺害の様子は確かにグロいけれど、シリアルキラー特有の偏執さとか病的な感じがあまりしない。死体の遺棄ルールもピンとこないし、トロフィー的な描写もない。必ずしも紋切り型に秩序型・無秩序型と分類できるわけではないのは承知しているつもりだが、あまりにもシリアルキラー然としていない様子に、この脚本家は、あまりシリアルキラーについて、お勉強していないのでは?と勘ぐりたくなる。
シリアルキラー物は、今となってはありふれているから、よほど工夫をしないとね…。

主役はいったい誰?と思っていると18分過ぎて、やっとエイドリアン・ブロディが登場。このブロディ演じるエンツォのキャラクターに、いかに魅力を持たせられるかが勝負どころ。アクティブなのかポジティブなのか。彼の過去の事件が現在の事件と関係があるのか…等々。しかし、彼の過去の経験は、今回の事件と直接的にも精神的にも、あまり関連がなく、ストーリーに生きていないように思える。
#オスカー受賞後のエイドリアン・ブロディは、本当に仕事を選ばないな。

そして、ストーリー的にも稚拙な部分が満載。
犯人のアジトを突き止めたジャーロは、何故か現場にあった薬を破棄。そんなことをする意味があるだろうか。また、そこに被害者の姉が、来るなといっていたにもかかわらず来てしまうのだが、そこでグダグダと取り乱すシーンが。犯人がそこにいるかもしれないのに、そんなやりとりをするわけがない。

犯人の生い立ちについて、犯人の記憶にあるはずもない赤ん坊時に預けられたシーンが差し込まれる。修道女に聞き取りをしたとかいうならわかるが、そんなシーンが差し込まれる不自然さ。

エンツォの過去についても、そんなに都合よく母親を殺した犯人と遭遇するなんてリアリティがなさすぎだし、さらに殺したのに、事情を話したら見逃してもらえたなんて、くだらない(フィクションなのであってもいいのだが、くだらないと感じさせるような演出しかできないところが問題)。

ラストも姉のところにやって来る…とか、くだらなすぎる。犯人像、手口、主人工のキャラ付け、ヒロイン、事件の顛末…すべてがつまらなかった。『サスペリア』とか『フェノミナ』の監督さんなんだけどね。駄作。




負けるな日本

 

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image1778.png公開年:1976年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:ブライアン・デ・パルマ
出 演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ウィリアム・カット、ジョン・トラヴォルタ、エイミー・アーヴィング、ナンシー・アレン、ベティ・バックリー、P・J・ソールズ、シドニー・ラシック、プリシラ・ポインター 他
受 賞: 【1976年/第11回全米批評家協会賞】主演女優賞(シシー・スペイセク)
【1977年/第5回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】グランプリ
コピー: キャリーをいじめないで! 彼女が泣くと恐しいことが起こる……

宗教的に偏向した母子家庭で育ったキャリーは、そのおどおどした様子や地味な容姿のせいで、友人からイジメられており、家でも何故か母から疎まれていた。しかし、彼女には怒りの感情によって念動力を発揮する能力があった。そして、プロムの夜、クラスメイトの悪戯と知らずクイーンに選出されたキャリーは、ステージ上でブタの血を頭からかけられ…というストーリー。

冒頭のソフトエロシーンの意味がいまいち不明だったんだけど(まあ、デ・パルマらしいっちゃらしいか)、血で始まり、血で終わるってことなのかな。

始めの段階で、いきなり能力発現。これってこのままエスカレートして、終わりなんじゃねーの?それ以上なんかあるの?なんて思っちゃったのだが、実際にそれ以上、何も無かったりする。

だからといって、決してつまらないわけじゃない。タダの勧善懲悪ストーリーって気もするけど、まあ、いさぎよいっちゃあいさぎよい。シンプルな話だからこそのおもしろさ。誰でも多かれ少なかれ経験するイジメというとっつき易いテーマ。それが小出しに色々搾り出されて、最後の“破滅”まで盛り上がり続ける。
音楽も中々特徴的で、おもしろさの半分は音楽がつくっているといってもよいかも。

しかし、難しいのは、エスカレートしきった後のオチ。あまりヒネリはなくて、この展開だと、そりゃ“自滅”ってオチしかないよな…って。いくらなんでも、そこにナイフを刺しても体重ささえられないよ…せめて壁にしようよ…とか、細かいことも言いたくなったが、まあ、いい弾けっぷりだろう。

陰湿だし、救いもなにもないけど、見事なバーサーカー・ムービー。快作。

#トラヴォルタの端役っぷりにニヤリ…


負けるな日本

 

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image1039.png公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:アーヴィン・カーシュナー
出 演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ、ジョナサン・プライス、ピーター・ストーメア、レナ・ヘディ 他
コピー: 永遠の名作<グリム童話>の誕生にまつわる秘密とは?




19世紀のドイツ。村人たちから魔物を退治すると偽り、多額の報酬をせしめていたペテン師グリム兄弟。彼らは、その魔物退治と地方に伝わる物語を出版しており、有名人となっていた。しかし、イカサマがバレて将軍ドゥラトンブに逮捕された彼らは、放免を条件として、とある村で発生していた少女連続失踪事件の解明を命じられる。さっそく現地に赴いたものの、そこに出現した魔女が本物で大慌てしてしまい…というストーリー。

グリム兄弟がペテン師っていう発想はおもしろいけど、冒頭のだまし演出がバレバレでいきなり冷める。ああ、多分本物の物の怪が出てきて慌てる…っていうストーリーなんだろうな…と読める(掴みに失敗)。
そのまま読みの通り展開が進むか否かは別にして、読めた気にさせられるのが大問題だと思うのね。せめて、それを裏切ってくれれば助かったのだが、先が読めた上でそのまま突っ走られる映画は、観ていてキビしい。

ストーリー的にも、一行が何をしているのか、よくわからなくなってきて飽きてくるし、フランス人とのすったもんだや、拷問のくだりもいまいちつまらない。結局、豆のくだりも何を意味しているのか、どういう意図なのか、いまいちよくわからん。肝心の森の秘密の裏にあるストーリーに、情愛や情念や恨みなどが感じられず、裏に流れる一本の芯のようなものがない。森の一角だけで、展開されるのも、スケールが小さい。
#ペテン師なんかじゃなくて、普通の旅をする作家が不思議な事件に巻き込まれる…ってほうがおもしろかった気もするけど、それだと『スリーピー・ホロウ』と同じになっちゃうか。

一番感じたのは、コメディとコメディ調の差がはっきりしていない所。コメディ調であるべきだと思うのだが、完全に笑わせようとしているのが痛い。多分、ドタバタコメディを仰々しくやりたかったんだとは思うけど、ちょっと違う方向を期待させる作りになっている。変に期待させてハードルを上げるのは、笑いのタブーだと思う。

観終わったあと、「で、何の話よ、コレ…」って感じになった。散々、悪い評判を聞いた上で、まったく期待せずに観たら、案外観れちゃう。そんなレベルかな。





負けるな日本

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image0642.png公開年:1983年
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:リチャード・マーカンド
出 演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ビリー・ディー・ウィリアムズ、ピーター・メイヒュー、アレック・ギネス、フランク・オズ、デヴィッド・プラウズ、ケニー・ベイカー、ワーウィック・デイヴィス、イアン・マクディアミッド、セバスチャン・ショウ、ジェームズ・アール・ジョーンズ 他
受 賞:【1983年/第56回アカデミー賞】特別業績賞[視覚効果](Richard Edlund、Dennis Muren、Ken Ralston、Phil Tippett)
【1983年/第37回英国アカデミー賞】特殊視覚効果賞

ルーク一行はジャバ・ザ・ハットの宮殿に潜入し、炭素冷凍されたハン・ソロの救出に成功する。その後、修行を継続するために再び惑星ダゴバを訪れたルークは、死の床にあったヨーダから、ダース・ベイダーが父アナキン・スカイウォーカーであること、そしてレイアが妹であることを知らされる。一方、帝国軍は惑星エンドアの軌道上に第2デス・スター建造を進行中。その視察のために皇帝パルパティーンが訪れていることを知った反乱軍は、全勢力によるデス・スター攻撃を計画。同時に、ソロ、ルーク、レイア達は、デス・スターを保護しているシールド発生施設を破壊するために、惑星エンドアに降りる…というストーリー。

元の邦題が“復讐”だったわけだが、ジェダイに復讐という概念がないからとか、そういうこじつけはどうでもよい。単純に“Return”を復讐って訳するほうが、そりゃおかしいわけで、この変更は当然。

エピⅤからその傾向はあったけど、ルークが妙に落ち着いちゃって、あまり主人公然としていない。それに、ジャバのところ→ダゴバ→エンドア→皇帝のところ…と、あっちにいったりこっちにいったりで、ストーリー展開のために都合よく引き回されてる感じ。キャラクターとしては輝きが消えたといってもよいくらいに、生き生きしていない。
むしろ、やんちゃっぷりを相変わらず発揮してくれるソロが主人公っぽくって、感情移入した人が多いだろう。

映像テクニック的な面では、森林のバイクチェイスやクライマックスの戦闘機のドッグファイトなど、エピⅣ~Ⅵの中では一番力が入っていて、さすが!という感じではあるが、あとは終劇に向かって進むのみで、グイグイやればなんとかなるって感じも否めず、人間模様はおざなりになってるってところがある。ストーリー演出上のテクニックに長けた印象を感じない。

人間模様の無さが一番顕著なのは、最大のクライマックスであろう父と子の葛藤が薄く、表現しきれていないこと。皇帝との攻防も間一髪で形勢逆転って流れなんだけど、ベイダーが無表情なだけに、皇帝とルークの攻防を見ているベイダーはなんかシュール。あの無表情の面でありながら、彼の感情が伝わるような演出ができていないのが、どうもね…。頭の悪い犬みたいだよね(笑)。

修正版では、最後の焚き火の向こうに浮かぶアナキンが、若いころの姿に差し替えられているのが違和感バリバリなのだが、ジェダイだった最後の時点の姿ってことで、好意的に解釈しておこう。
それなら、ラストのジェダイの亡霊たちに、ウィンドウやクワイ・ガン・ジンなど、エピⅠ~Ⅲで死んだキャラを加えるのも面白かったかもしれないな。でも、ジェダイに加わったことで、嬉ションしそうなくらいのサミュエル・L・ジャクソンに、さらにサービスするのもしゃくではある。

ただ、よく考えると、エピⅢでできた帝国だけど、20年そこそこで滅びたってことになるよね。短命だね。前漢と後漢の間の新みたい。

お薦めするとかしないとかのレベルじゃなく、Ⅳ・Ⅴを観てⅥをみないなんてありえないでしょ。




負けるな日本

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image0641.png公開年:1980年
公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:アーヴィン・カーシュナー
出 演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ビリー・ディー・ウィリアムズ、デヴィッド・プラウズ、ピーター・メイヒュー、ケニー・ベイカー、フランク・オズ、アレック・ギネス、ジェレミー・ブロック、ケネス・コリー、ジュリアン・グローヴァー、マイケル・シェアード、マイケル・カルヴァー、クライヴ・レヴィル、ジェームズ・アール・ジョーンズ 他
受 賞:【1980年/第53回アカデミー賞】特別業績賞[視覚効果](ブライアン・ジョンソン、リチャード・エドランド、デニス・ミューレン、Bruce Nicholson)、音響賞(Peter Sutton、Bill Varney、Steve Maslow、Gregg Landaker)
【1980年/第34回英国アカデミー賞】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)
コピー: STAR WARSシリーズ第2弾!

前作の勝利から3年。デス・スターを破壊された帝国軍の猛反撃により、反乱軍は氷の惑星ホスに撤退。ダース・ベイダーは捜索機をホスに大量に放ち、追撃の手を緩めない。そんな中、パトロールを行っていたルークは雪原の怪物ワンパに襲われてしまう。ソロはルークがまだ戻っていないことを知り、危険も顧みずルークの救出に向う。自力でワンパを倒し脱出したルークは、猛吹雪の中で昏倒。遠ざかる意識の中、ベン・ケノービの霊体が現れ、ルークに惑星ダゴバへ行きジェダイ・マスターのヨーダからフォースに学ぶよう告げる…というストーリー。

世間の評判はものすごく良い本作。ルークとソロが分かれて、それぞれのストーリーが展開する構成はおもしろい。ルークはヨーダの元でフォースを学び、一方のソロとレイアは冒険&ロマンス。そんな感じで、世界観がどんどん広がっていくのが愉しい。

今回観たのも、修正版だけど、あまり大きな改修点はない。ルークを襲うワンパのカットがしっかり加わったくらいで、あとは微々たるブラッシュアップ程度だと思う。ヨーダのマペット臭さは、少し解消されているかもしれないが、老いた設定なので、元々気にならないし。
フォースを学ぶには成長しすぎている…とか、ルークがダメならまだ最後の望みがある…等々、昔は“?”だったセリフもエピⅠ~Ⅲを踏まえると腑に落ちる。

ただ、本作は完全に次作が作成されることが前提になっているため、残りのクリフハンガーっぷりがハンパない。「私が父だ」のカミングアウトのインパクトもさることながら、炭素冷凍されたソロはどうなっちゃうのか!!と。さらに、ルークとレイアの関係も匂わしつつ。
今なら、1年も待たずに続編が公開されるが、次のエピソードⅥの公開は3年後だった。こんな終わり方をされて、当時の人たちはよく3年も我慢できたなと、半ば呆れるほどである。もちろん今のようにレンタルビデオチェーンどころかビデオデッキの普及だってまだまだな時代に、よくも忘れられもせずに次作に突入できたものだ(TV放映とかあったのかな)。

個人的には、単体の作品としては不満が残るが、繋ぎの盛り上げ作品としては、充分すぎるくらいに充分な出来映えの作品。“燃える”って意味では、エピⅣ~Ⅵの中で一番かも。即座にエピⅥの鑑賞を開始!である。




負けるな日本

 

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image0640.png公開年:1977年
公開国:アメリカ
時 間:125分
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アレック・ギネス、ピーター・カッシング、アンソニー・ダニエルズ、ケニー・ベイカー、ピーター・メイヒュー、デヴィッド・プラウズ、フィル・ブラウン 他
受 賞:【1977年/第50回アカデミー賞】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、美術監督・装置(Jonathan Barry:美術、Norman Ryenodl:美術、Leslie Dilley:美術、Roger Christian:装置)、衣裳デザイン賞(ジョン・モロ)、視覚効果賞(Robert Blalack、Grant McCune、リチャード・エドランド、ジョン・ダイクストラ、John Stears)、音響賞(Don MacDougall、Ray West、Bob Minkler、Derek Ball)、編集賞(Marcia Lucas、Paul Hirsch、Richard Chew)、特別業績賞(Frank E.Warner)
【1977年/第3回LA批評家協会賞】作品賞、音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
【1977年/第35回ゴールデン・グローブ】音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
【1978年/第32回英国アカデミー賞】作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](ジョン・ウィリアムズ)、音響賞
【1997年/第6回MTVムービー・アワード】功労賞(ピーター・メイヒュー“スター・ウォーズ”シリーズのチューバッカに対して)
【1989年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー: A long time ago in a galaxy far,faraway…
MAY THE FORCE BE WITH YOU

銀河系は銀河帝国による支配下にあったが、反乱同盟軍が帝国の最終兵器、宇宙要塞デス・スターの設計図を盗み出す事に成功する。帝国側のダース・ベイダー卿は設計図奪還と反乱軍の本拠地を発見するするため、帝国軍戦艦を襲撃し、指導者の一人レイア姫を捕らえる。レイア姫は、養父の友人のオビ=ワン・ケノービに助力を求めるため、二体のロボットC-3POとR2-D2に設計図とメッセージを託し、船から脱出させる。R2と3POは惑星タトゥイーンに漂着。その後、ジャワに捕獲されバザーで売られた2体は、青年ルーク・スカイウォーカーに購入される。ルークによって整備されたR2はレイアのメッセージを再生。それをみたルークは、メッセージの中にあるオビ=ワン・ケノービがベン・ケノービのことではないかと思い…というストーリー。

エピソード3を観る前におさらいとして旧三部作を観てはいたが、そういえば一気通貫では観ていないな…と気付き、改めて鑑賞(あれ?エピ3のレヴューは書いていない気がする。ま、いいや)。

新3部作を踏まえて見ると、「さぁ!盛り上がって参りました!」ってな調子で、アクセル全開状態でスタートを切る感じ。あらゆるセリフというセリフに、すべて意味を感じられ、過去に観た時とはまるで印象が全然違う。やはり一気通貫で観る意味は大いにある。

現在レンタルされているDVDは、エピソードⅠ公開前に手を加えられた版。ジャバが人間じゃなくCGによるクリーチャーになっていたり、公開版にはいなかったロボットやエイリアンやボバ・フェットなど多くのキャラも加えられている。
#昔は、クローントルーパーの中身が、全員同じ顔だなんて知らなかったもの。
旧版で印象に残っているのは、スピーダーが浮いているところ。そのモヤ~ッとしていたのは、すっかり綺麗に処理されている。あれは、レンズにワセリンを塗ってボカしていたんだってね。そんなローテクでよくかんばっていたと思う反面、情熱と魂を感じるね。

確かにものすごい費用と労力をかけて多数の改善をほどこしているのだろうが、結果として、ちょっとした枝葉の手直しにしか感じられないのが、元のクオリティの高さを物語っているとも(技術的な難点はあったのだろうが、基本的にはほぼ完成品だったてこと)。
おそらく、この修正費用よりも当時の製作費は安いはずで、低予算でも情熱さえあれば名作を作ることができるのだ…ということを示唆しているってこと。そういう意味で、クリエイターに勇気を与えてくれる作品だと思う。

ジョージ・ルーカスの頭の中には当時から“サーガ”が存在したかもしれないが、公開当時は当然ヒットしなければこれでおしまいという状況。だから、この1作だけで終わっても完結するような作品になっている。これが“一作入魂”に繋がっていて、歯切れがよくて納まりのいい出来映えのストーリーとして結実している点も評価したい。

ブルーレイ化した段階で手が加えられるのだろうな…と思いつつも、これほど映画史において革命的だった作品もないだろうという意味で、どの版でも“完成品”だといえる。
改めて愉しかった。文句なし。



負けるな日本

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image1776.png公開年:1973年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:ジェリー・シャッツバーグ
出 演:ジーン・ハックマン、アル・パチーノ、ドロシー・トリスタン、アイリーン・ブレナン、リチャード・リンチ、アン・ウェッジワース、ペネロープ・アレン、ルターニャ・アルダ、リチャード・ハックマン 他
受 賞:【1973年/第26回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ジェリー・シャッツバーグ)、国際カトリック映画事務局賞(ジェリー・シャッツバーグ)
コピー:町から町へ流れるお前と俺…スケアクロウと人はいうけどいいじゃないか! 行こうぜ友よピッツバーグへ! 大いなる夢をつかみに…

暴行傷害の罪による刑期を終えたマックス。洗車屋を始めるためにピッツバーグへ向かおうと、ヒッチハイクをしていると、同様にヒッチハイクをしていたライオンと出会う。彼は、5年ほど船乗り生活をしていたが、その間に生まれた子供に会うため、デトロイトへ向かう途中。二人はなんとなく惹かれあい、共に行動することに…というストーリー。

カカシはカラスを怖がらせているんじゃなく笑わせているんだと、笑いこそ人間関係の潤滑油と冗談めかして主張するライアンだけど、それは決して根っからの明るい性格から生じているわけではなく、人とうまく付き合うことができない故に、後天的に獲得したものに見える。
一方のマックスは、喧嘩早いくせに、こつこつ小金は貯めていただけでなく、盗まれるのを警戒して、服は厚着してるわ、靴は枕の下に隠しておくわ…という荒さと神経質さが共存しているやっかいなおっさん。そんな彼でも、徐々にライアンに感化されていく。

ライアンがマックスの影響を受けて光明が見えていくのに対して、ライアンは皮肉にもそのカカシになりきることができずに、心を病んでしまう(ちょっと無理やりな展開に感じられなくもないが)。ライアンは、そんなライアンの面倒を見ようと、こつこつ貯めた開業資金を取りにデトロイトからピッツバーグへ向かおうとするのだ。もう、ライアンなしの開業なんか考えられないくらいになっちゃったんだね。

お互い、これまでの人生でこんな密な関係になった友人はいなかったんだろう。この2人の関係が、快い友情が育まれていると映るか、一種の負け犬同士の馴れ合いと映るか。まあ、どっちも正解なんだろうけど、世の中はそんなに綺麗事ばかりじゃない。それに、出会いはどうであれ、一緒になって夢を語り、困難を克服する時間を共有する。真の友情というのは、そういう中で生まれ、付き合った時間は関係ないという描写に、妙な説得力を感じる。

しかし、同時に何か重苦しいしこりが残る。そんなマックスを見るカウンターの女性職員が淡々と仕事をこなす様子は、彼らが社会から乖離しているということを、まざまざと認識させてくれる。こいういう巧みな演出と、ジーン・ハックマン、アル・パチーノの名演技が相まって、実にアメリカン・ニューシネマらしい、自由さとささくれた心情が渾然となったような印象の良作。お薦め。




負けるな日本

 

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image1797.png公開年:2010年
公開国:アメリカ
時 間:110分
監 督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出 演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド、ブルース・グリーン、デイキン・マシューズ、ジャーラス・コンロイ、ポール・レイ、ドーナル・グリーソン、エリザベス・マーヴェル、レオン・ラッサム 他
受 賞:【2010年/第45回全米批評家協会賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2010年/第64回英国アカデミー賞】撮影賞(ロジャー・ディーキンス)
【2010年/第16回放送映画批評家協会賞】若手俳優賞(ヘイリー・スタインフェルド)
コピー:天罰なんか待ってられない

トム・チェイニーという男に父親が殺されたという知らせを受けた娘のマティは、自ら遺体を引き取りに町に行き、父の仇を討つことを誓う。チェイニーが先住民居留地に逃げ込んだことをしったマティは、遺された品を売り払って作った金で、大酒飲みのベテラン保安官コグバーンに犯人追跡を依頼する。はじめは子ども扱いしていたコグバーンだったが、マティの執念に負けて引き受けることに。さらに、別件でチェイニーを追っていたテキサス・レンジャーのビーフも加わり3人の旅が始まる。やがてチェイニーが、お尋ね者ラッキー・ネッド一味と一緒にいることを知り…というストーリー。

コーエン兄弟が、原作あり作品を手掛けるのって『ノーカントリー』以来かな(『オー・ブラザー!』のホメロスは原作ってよりは原案みたいなもんだし、『レディ・キラーズ』はオリジナル脚本はある)。小説原作は『ノーカントリー』と本作くらいだろう。ほとんどがオリジナル脚本で、小説をチョイスした『ノーカントリー』がとてつもない良いデキだったことを考えると、本作も!と期待するのが当然だろう。
その期待が高すぎたのかな。そこまで満足できる結果ではなかった。

生意気でしみったれた小娘が、やたらと法律や弁護士を持ち出し、荒くれ男どもを口八丁手八丁で動かして、父親の復讐を果たしていく…という点が、この話しのおもしろい部分だと思うが、マティがその面白さを発揮するのが半分くらいまで。

中盤以降は、コーエン兄弟のいつもの通りではあるのだが、別のユニークなサブキャラにもスポットがあたっていく。いや、それはコーエン兄弟的には平常運転なのだが、やはりこのストーリーの面白みはマティの行動と心の動きにあるので、そういうつもりで観始めていると、主役の輝きが失せたようにも感じるし、ストーリーの軸がぶれたようにも感じる。

モメる酔っ払い保安官と地元ラブのレンジャーとその仲介役という3人のおもしろさ、それを見せる方向にシフトしなければいけなかったと思うのだが、その移譲がうまくいっていない。動機はちょっと違うけれど、同じ男を追っているという、楽しさと危うさが共存する旅がうまく描ければよかったのに。
最後のほうで再び思い出したようにマティにスポットを当て始めるのだが、時すでに遅しの感が。

西部劇の雰囲気はものすごく良いし、ボロクソに非難されるほどおもしろくないわけではないのだが、なにかコーエン兄弟独特の“毒”がない。もしかして、コーエン兄弟は、子供を主人公にするのは苦手なのかもしれないな。

ちょっと残念でもったいない気がした。上記した受賞以上にたくさんノミネートされている(アカデミー賞なんかは10部門もノミネートされている)。だけど、そんなに打率は高くなかった。同じように感じた人が多かったのかもしれない。

あくまで私の期待値が高すぎただけだから。安心して観てちょうだい。間違いなく及第点は超えてるから。





負けるな日本 

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image1794.png公開年:2010年
公開国:日本
時 間:106分
監 督:三池崇史
出 演:哀川翔、仲里依紗、阿部力、井上正大、永野芽郁、中野英雄、六平直政、木下ほうか、マメ山田、水樹奈々、波岡一喜、レスリー・キー、前田健、スザンヌ、稲生美紀、大橋沙代子、清水ゆう子、内田流果、生瀬勝久、田中直樹、ガダルカナル・タカ 他
受 賞:【2010年/第34回日本アカデミー賞】新人俳優賞(仲里依紗「時をかける少女」に対しても)

宇宙人の侵略から地球をまもったゼブラーマンこと市川新市。彼が世間から姿を消してから15年経った西暦2025年、東京はゼブラシティへと名称を変えていた。そこでは、犯罪抑止に効果があるとして、新都知事によって朝夕の5分間だけ警察官や議員などの権力者による不法行為が許される“ゼブラタイム”という制度が施行されていた。市川は一切の記憶が無い状態で、道端で突然目を覚ましたが、ゼブラタイムに警官から胸を撃たれてしまう。市川はゼブラシティへの抵抗組織“白馬の家”に匿われるが、その組織のリーダーは、市川のかつての教え子で…というストーリー。

仕事を選ばずなんでもこいの三池監督だけど、このゼブラーマンについては好きでノリノリでやっていた気がする。
でも、コスプレしてたヘタレ教師が本当にヒーローになっちゃうノリだったのに、哀川翔のキャラが前回と繋がってしない。あらゆるところで差し挟まれてくるギャク(のようなもの)が、すべてオヤジギャグで、どうしようもなくつまらない。最後くらいは、素直に盛り上げればいいのに、マットレスと枕って、それおもしろいの?挙句の果てに、膨らむってそのオチ、おもしろいの?ねえ?ねえ?顔をのぞきこんで問い詰めたい気分。

特撮映画を揶揄したような場面もあるけど、前作にはあった特撮ヒーローへの愛みたいなものが完全に失せているんだよね。そこって“ゼブラーマン”っていうキャラクターの最後の拠り所だったと思うんだけど、それも捨てちゃうんだな。続編を作る意味ってあったんだろうか。

仲里依紗は、イメージを覆すことでいいプロモーションになったとは思う。そして、仲里依紗自身もこういう役柄が好きなんだと思う。だけど、歌もウマくないし、演技とキャラもあっていない。
本作でムチムチしてるっていわれたんだろうね。その後、変にダイエットして、ガリガリになっちゃって魅力は半減しちゃってるし。事務所は、このイメージを払拭したくて、その後はこういうイメージじゃない仕事を選んでるみたいだし。この人、本作に出て、全然得していないわ。

三池監督にしろ、仲里依紗にしろ、本人が好きなことと、世の中から求められていることは、なかなか一致しないっていういい例だと思う。

トホホ。三池崇史監督の近頃の作品の中で、ズバ抜けてデキが悪い。前作より良くなっているのは、CGとセットだけ。これは観る時間が無駄だった。お薦めしない。

#もっと低予算で作って、余った予算を募金したほうが世のためだったし、これを観るくらいなら、その時間、世界のかわいそうな子供たちのためにお祈りをしていたほうがまし。




負けるな日本

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imageX0035.Png公開年:1975年
公開国:ソ連
時 間:161分
監 督:黒澤明
出 演:ユーリー・サローミン、マクシム・ムンズク、スベトラーナ・ダニエルチェンコ、シュメイクル・チョクモロフ、ピャートコフ、プロハノフ、ウラディミール・ブルラコフ、アレクサンドル・フィーリベンコ、ユーリー・チェルノフ、アレクサンドル・アレクサンドロフ、ウラディミール・クレメナ、アレクサンドル・ニクーリン、アルカーディ・リスターロフ、アレクサンドル・クラソーチン、ユーリー・コボソフ、ウラディミール・プラトニコフ、ウラディミール・フリョストウ、マルク・オリシェニッキー、スタニスラ・マリーン、ヴァニアミン・コルジン 他
受 賞:【1975年/第48回アカデミー賞】外国語映画賞
コピー:巨匠黒澤 明がいま世に問う感動の叙事詩!

ロシア人探検家アルセーニエフは、地図上の空白地帯だったウズリ地方の地図製作の命を政府から受ける。探検隊を率いてウズリ地方に入ったものの、同地の厳しい自然はあまりに厳しく、隊員たちは疲弊していくのだった。そんな中、彼らは、猟師のデルス・ウザーラという男と出会う。デルスは案内人として動向することとなり、探検隊は彼の案内によって様々な危機を脱していくのだった。アルセーニエフは、そんなデルスに深い畏敬の念を抱いていき…というストーリー。

米アカデミー賞の受賞作だけど、ロシア製作なので、日本作品が受賞したとはみなされていない。実際、作中に“日本”という要素は皆無ではあるが…。

『TORA!TORA!TORA!』のすったもんだの後の、『どですかでん』の失敗に自殺未遂と、キャリア的にはどん底の状況の中、元々映画化したかった作品を作るチャンスを与えられただけでなく、日本での低評価とは無関係なソ連製作というシチュエーションは、渡りに船だったのではなかろうか。

それにしても、この作品より前の黒澤作品とは明らかに異質な仕上がりである。本作より前を絵画とするならば、本作は精緻な写真。この撮影が中井朝一によるものなのかどうかはわからないが、作為というものを感じさせない自然な1シーンを切り取ろうとしており、自然の厳しさをいうものがビシビシと伝わってくる。
冬の寒さはハンパなかったろうし、夏は夏でどんでもない蚊の数だったろう。よく2年もこんなロケを続けたものだと、尊敬すると同時にあきれてしまう。それに、よくソ連人が付き合ったものだ。

本作以降の作品は、画の精緻さが増す。同じようにシェークスピアを翻意した時代劇の『蜘蛛巣城』と『乱』を比較してみると、“魅せる”演出という意味では前者は決して劣っていないが、『乱』のような狂ってるんじゃないかと思えるまでに精緻とは言えない。そういう意味で、黒澤作品におけるターニングポイントだな…という気がする。

純粋に、すばらしい映像を通じて感じる自然への畏敬、その自然の分け前をもらっていきるデルスの様子を見ていると、自分も一緒に探検しているような感覚になる。そして、探検中のハラハラを一緒に共有するのだ。
最後のせつない結末から、私たちは何を感じるか。一定の畏敬をはらえば自然との共生は可能なのか、いや、人間が人間である以上それは無理で、やはり自然はアンタッチャブルであるべきなのか。あらすじを書くとたいした内容ではないんだけど、161分にふさわしいだけの、どっぷりとした内容と考えさせる何かがある。

ただ、第二部の間、どうしても頭をよぎって離れないことが…。カピタンよ、眼鏡をつくってやれ、それで解決だよ……とね。共生うんぬんの前に、知恵を発揮したほうがいいんじゃないか…、そう考えてしまう私は、自然と共生できなさそうである。

#もしかして、カピタンってキャプテンのことか。




負けるな日本

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クボタカユキ
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映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
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一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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