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image1133.png公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出 演:キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、グロリア・フォスター、マーカス・チョン、ジュリアン・アラハンガ、マット・ドーラン、ベリンダ・マクローリー、アンソニー・レイ・パーカ、ポール・ゴダード、ロバート・テイラー 他
受 賞:【1999年/第72回アカデミー賞】視覚効果賞、音響賞、音響効果編集賞、編集賞(ザック・ステーンバーグ)
【1999年/第53回英国アカデミー賞】音響賞、特殊視覚効果賞
【2000年/第9回MTVムービー・アワード】作品賞、男優賞(キアヌ・リーヴス)
【2012年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー:なぜ 気づかない

近未来。コンピュータ・プログラマーとして働くトーマス・アンダーソンは、“ネオ”と呼ばれる凄腕ハッカーという裏の顔を持っていた。ある日から、夢を見ているような不思議な感覚に悩まされ、自宅のディスプレイに不思議なメッセージが出現するようになる。それに従い行動すると、伝説のハッカーであるトリニティと出会う。トリニティが美女だったことに驚くネオは、彼女に導かれ、モーフィアスと名乗る男に出会う。モーフィアスは、この世界が、実はコンピュータが創り出した仮想世界で、それを現実のように思い込まされているだけだと、トーマスに告げる。そして、このまま仮想現実の世界に残るか、目座丸かの選択を迫るのだった。半信半疑のトーマスだったが、目覚めることを選択し…というストーリー。

いまさら何だと思うかもしれないが、突然観直したくなった。

目に映る世界が現実か否か。人間は感覚器を介してしか世界を認識することができないのであって、その感覚の先に“実体”が存在する保証はどこにもないし、証明することはできない。極めて東洋的な唯識論だと思う。あらゆる感覚器を経由する信号を、脳髄の神経に繋げたコネクタでスチールし、擬似的に世界を見せるという設定によって、この極めて難解な唯識論を観客すべてがさらりと腑に落ちるように創りあげているのがすばらしい。

使ったことの無い目が“痛い”と感じる程度で次第に見えるようになるとは思えない。しかし、ジャンプシミュレートで体にフィードバックがあったことで、リアルな肉体にもマトリクスから影響を与えることができるという設定(それも、それなりに説得力のある設定)で、きちんと説明できているところが巧みである。

ただ、唯識論では、自分以外の存在の証明もできないわけだが、サイファーがマトリクスに戻ろうと裏切るシーンで、ちょっと違う切り口も見られる。つまり、“血の滴るステーキ”を認識させる電気信号は、各人間に対して同じ信号が送られている。つまり、物質を“それ”と認識させる共通記号があるということになる。その記号こそ、プラトンの“イデア”に相当するといえないだろうか。マトリックスこそ東洋哲学と西洋哲学の融合をさらりとやってのけた作品だと私は思う。

そういう哲学的な思考を具現した舞台に加えて、人間が“電池”として非人道的に扱われている設定。その人間の尊厳を取り戻すための戦いという二軸でストーリーは展開する。

正直に言うと、続編の2・3は、蛇足だと思っている。たしかに、マトリクスとの戦いを終結させねば話しが終わったことにならないと思うのは自然だと思う。けれど、この哲学的視点と民衆革命的視点の2軸の展開こそが、マトリクスの根本。続編は話は進めば進むほど、後者の比重が高くなる。そのバランスの崩れが進むにつれ、私の興味は薄れていくのだ。よって、本作で、これから彼らの戦いは続く!で終わらせたほうが良かったと私は考えている。

コンセプトやプロットがすばらしいのは誰もが認めるところだと思うが、脚本賞が与えにくいのはわかる。かといいって、技術面での受賞ばかりなのは、ちょっと当時の映画関係者の見る目は曇っていたのではないかなと感じざるを得ない。それに気付いたのか、2012年、公開からたった13年でアメリカ国立フィルム登録簿に載ることになった。他の登録作品く比べて極めて短期間に登録されている。

今、もう一度観てほしい作品。当時の“ブーム”という霧の先に、ものすごい物がることに気付くはず。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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