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公開国:アメリカ
時 間:86分
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:ロバート・デュヴァル、マギー・マコーミー、ドナルド・プレザンス、イアン・ウルフ 他
25世紀。人々は栄養食や様々な薬剤を投与されながら、コンピュータと一部の階級によって管理され、指示されるがまま工場で作業に従事していた。人間は登録番号で呼ばれ、住居や娯楽も与えられるがまま指示通りに暮らす。THX1138も女性の同居人LUH3417と生活していた。ある日、ルームメイトのLUH3417は食事と一緒に与えられていた薬剤を何日も飲まない日を続けていた。すると、次第に人を愛する感情が芽生えてきた。その薬剤は感情を抑制する薬だったのだ。彼女はTHX1138の食事からも薬剤を抜くと、彼にも同様の感情が目覚め、とうとう肉体関係を交わしてしまう。そして、そのせいで、日々の作業にも支障をきたしはじめたため、とうとうコンピュータは、二人を投獄することを決める…というストーリー。
THXは“テックス”と読むようだ。劇中ではそう発音されている。
はじめ、『トロン』のように“何か”が擬人化されて描かれているのかな?と思った(『トロン』はコンピュータ内部の世界が擬人化)。ホログラムから出てきた黒人とか、どうも現実の人間じゃなさそうな感じもあったし、投獄された白い部屋には、髪の毛の生えた小人症の人とかいたし。でも、そうではなくて、未来のリアル社会を描いているらしい。
世界観がいまいち見えてないんだよなぁ…。
1971年作品とは思えない、クリーチャーの動き!衝撃だ!とおもったら、2004年に、新技術でカットが追加されてるんだな。『スターウォーズ』エピ4~6の特別版版と同じアプローチだった。驚いて損した。いずれにせよ、製作当時の頭の中に浮かんでいたことはこうだったんだ…という、引っかかりを解消するという情熱、そして数十年経過してそれができる状況にあるというのは、スゴいこと。
『ソレント・グリーン』もそうだったけど、1970~80年代のSFは管理社会をどう描いているのか…というのがポイント。コンピュータのような杓子定規な判断しかできないものや、一部の特権階級が、大多数の一般社会を支配する様子が恐ろしい…という主張がベースにある。
2000年以降も『マトリックス』のように管理社会を描いた作品はあったが、雰囲気は異なる。異なる理由は簡単で、何が恐怖の対象だったかといえば、明らかに共産主義。当時の社会が冷戦構造にあったということだ。
#もちろん、共産主義の恐怖を謳った作品ばかりではなく、『カプリコン・1』みたいなのもあるけどさ。
だから、そんな社会になっていいんですか?とか、よくそんな社会いて疑問をもたないんですか?という、というメッセージが前面にでてくるので、おのずと、はじめ主人公は社会の歯車として生きているけど、ふとしたことからドロップアウトするという、ストーリー展開になる。
で、それをアピールすることがストーリーの目的だから、ラストは脱出できておしまい…ということになり、観客は消化不良になる…と。それを補うために、作品の主張ポイントとは異なるけれど、派手な逃走劇やバトルを差し込む必要が生じるわけだ。本作もそういう流れ。
そして、SFにくせに科学的に矛盾していたり、理屈の通らない表現があったりするのも、この時代のSF作品の特徴だろう。まあその辺は、当時は力業で押し切れたけど、時代が進んで観客の知識も増えて、そうはいかなくなりましたよ…ってことなんだろうけど。
あの工場で何をつくっているのか…とか、その社会がどう維持されているのかを、架空とはいえリアルに描けていないのも気になる。まあ、“疎外”っていうのを表現しているといえばそうなのかも知れないが、その辺りがふわふわしていることに対する、観ている側のストレスは、けっこう大きくなると思う。
#そう考えると、そういう社会になった仮定や理由がある程度はっきりしているのは、『マトリックス』みたいに、優秀といえる。
THXの処分方法をめぐって、管理する人間同士が対立したり、予算超過どうのこうのと、人間臭いの部分が描かれているが、個人的にあのような部分を膨らませるべきだと思うし、そして、そこがTHXが突破できる要因に、明確にしたほうがおもしろくなったと思う。
“自由”の大切さをアピールした作品のはずなんだけど、若さをこじらせた…ってかんじかな。でも、これ(のベース)が学生時代の作品ってのは、いずれにしてもすごいこと。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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