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公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:スパイク・ジョーンズ
出 演:ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、クリス・クーパー、ティルダ・スウィントン、ブライアン・コックス、マギー・ギレンホール、カーラ・シーモア、ロン・リビングストン、ジュディ・グリア、カーティス・ハンソン、スパイク・ジョーンズ、ジョン・キューザック、キャサリン・キーナー、ジョン・マルコヴィッチ 他
受 賞:【2002年/第75回アカデミー賞】助演男優賞(クリス・クーパー)
【2003年/第53回ベルリン国際映画祭】審査員特別賞・銀熊賞(スパイク・ジョーンズ)
【2002年/第69回NY批評家協会賞】脚本賞(スパイク・ジョーンズ)
【2002年/第28回LA批評家協会賞】助演男優賞(クリス・クーパー)
【2002年/第60回ゴールデン・グローブ】助演男優賞(クリス・クーパー)、助演女優賞(メリル・ストリープ)
【2002年/第56回英国アカデミー賞】脚色賞(ドナルド・カウフマン、チャーリー・カウフマン)
【2002年/第8回放送映画批評家協会賞】助演男優賞(クリス・クーパー)、脚本賞(チャーリー・カウフマン※「コンフェッション」に対しても)
コピー:「マルコヴィッチの穴」の驚きを凌ぐ はずが……困った、書けない。
『マルコヴィッチの穴』の脚本で大成功で、一流脚本家の仲間入りをしたチャーリー・カウフマン。次回作として、作家スーザン・オーリアンが蘭の不法収集を行う栽培家ジョン・ラロシュを描いたノンフィクション『蘭に魅せられた男』の映画脚本の仕事が舞い込む。いざ執筆を開始したもののすぐに行き詰まり、苦悩の日々が続く。チャーリー宅には、陰鬱な彼とは対照的な陽気な性格の双子の弟ドナルドが居候していたが、突然、脚本家を目指すと言い出し、ロバート・マッキーの脚本家養成セミナーに通うようになる。そんなセミナーを受けて脚本家になれるなら苦労はしないと、冷たい態度をとるチャーリーだったが、ドナルドの書いた脚本が高評価を受けてしまう。ますます追い詰められたチャーリーは、こうやって苦悩している自分を脚本に出してしまうことを思いつくのだったが…というストーリー。
『マルコヴィッチの穴』同様に、非常に奇抜。執筆が進まず悶絶するチャーリーの様子と、並行するスーザン・オーリアンの原作の内容のシーンが、交互に展開されるが、はじめ観ているうちは、この二つのまったくバラバラなシーンがどう繋がっていくのか、いやそもそも繋がるのかどうかもわからない不思議な感覚のまま進行する。
『マルコヴィッチの穴』も、以後、似たような作品などが作られることはないだろう…と思うくらいオリジナリティに富んでいたが、本作も脚本化する自分の姿を描いてしまうという、ぶっ飛んだ内容。もう、やったもん勝ちで、誰にも真似できない内容である。この、唯一無二な感じこそ、チャーリー・カウフマン脚本の特徴である。
ペシミストというか、自己評価がとてつもなく低いというか、うじうじした男がもがき苦しむ話。はじめは無能だと思っていた双子との弟の書いていた脚本が評価されてしまい、ますます追い詰められる(おそらく実際のチャーリー・カウフマンには、双子などいないだろうし、禿げてもいないし肥満でもない)。私は、さすがにチャーリーほどマイナス思考ではないが、性格傾向的には近いし容姿に恵まれないところなんかも、妙にシンパシーが湧いてしまった。
#ロバート・マッキーの脚本セミナーの内容が、さりげなく秀逸。出ているのは本人ではないが実在の人物。
そのうじうじとした悩みで終わるのかと思いきや、終盤になって突然あさっての方向にはじけ出す。スーザン・オーリアンは実在の人物だし『蘭に魅せられた男』も実在する。でも、取材対象と関係を持っているどころかドラッグで繋がっているとか。もう、虚虚実実が入り混じって、観客は翻弄される。スーザン・オーリアン(が実在の個人かは知らないが、存在するならば)に、こういう扱いで登場させますよ…と、どう理解・説得したのかに非常に興味がある。
そして、破滅的で悲劇的な展開の末、チャーリーは光を見出すことが出来るの否か。
純粋な娯楽作品を期待した人は低評価を下すだろうが、玄人筋から観たら、こんなシナリオは自分には書けない…と、頭を殴られたような感覚になると思う。脚本家になりたい…なんて考えてる人が本作を観たら、諦めて筆を折る人がいるんじゃないかと思うくらい。観ている側の立ち居地が、神の手で強制的にシフトさせられるような、インパクトがある。怪作だ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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