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公開年:2011年
公開国:イタリア
時 間:105分
監 督:ナンニ・モレッティ
出 演:ミシェル・ピッコリ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、ナンニ・モレッティ、マルゲリータ・ブイ、フランコ・グラツィオージ、カミーロ・ミッリ、ダリオ・カンタレッリ、ロベルト・ノービレ、ジャンルカ・ゴビ 他
ノミネート:2011年/第64回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ナンニ・モレッティ)
【2011年/第24回ヨーロッパ映画賞】男優賞(ミシェル・ピッコリ)、プロダクションデザイン賞(パオラ・ビザーリ)
コピー:神さま、なぜ、私なんですか?

ローマ法王が逝去。次の法王を決めるため、各国から枢機卿が集結し、システィーナ礼拝堂にてコンクラーベが開催される。選出方法は無記名投票による他選で行われるが、誰もが法王という重責を背負うことを嫌い、自分は選ばれたくないと考えていた。下馬評で本命視されていた枢機卿たちの得票が規定票数に達しないまま、時間だけが過ぎていった。そして幾度目かの投票にて、まったく予想もされていなかった無名のメルヴィル枢機卿が、運命の悪戯のごとく多数の票を集め新法王となってしまう。その結果に一番おどろいたのはメルヴィル本人。すでに聖ペドロ広場は新法王の就任を祝う人々であふれかえっていたが、パニック状態になたメルヴィルは、スピーチ直前にしり込みして引っ込んでしまう。困り果てた法王庁の報道官は、規則を曲げて外部から心理カウンセラーをこっそり礼拝堂につれてきて、メルヴィルの心を平穏にしようとするが、一向に効果が出ない。新法王が決定したにもかかわらず、数日経ってもスピーチが行われない異例の事態の中、背に腹は変えられない報道官たちは、さらに規則を曲げて、外部のセラピストに診察してもらおうと、メルヴィルをバチカンの外に連れ出すのだったが…というストーリー。

そうそう頻繁にコンクラーベなんか見られるものじゃないと思っていたのだが、2005年、2013年と二回も見ることができた。おまけにベネディクト16世は生前退位という稀有な例。本作は、この二例をモチーフにしているわけではなく、あくまで架空の設定。コンクラーベの様子は、外部に公開されることはないから、本作の描写は予想ってことだろう。
本来は選挙が終われば枢機卿は開放されるのだが、新法王が逃げまわっており、さらにそれを隠蔽しなくてはいけないから、ずーっと缶詰に。健康器具を持ち込んだり、不眠症の苦痛を大量の薬でごまかしたり、やり過ごすために趣味に興じたりと、枢機卿たちの俗っぽい部分がしつこくしつこく描かれる。極めつけはバレーボール大会。組み分けに文句をいう者や、子供っぽい態度をとる者多数。一緒に礼拝堂に缶詰になっている精神科医から見れば、彼らは異常な人々に見える。こまった人に手を差し伸べる聖職の方々のはずなのに、手を差し伸べられないといけない人々。

ちょっと露骨なカトリック批判なのかな…とも思うが、カトリック教会による性的虐待が問題になっている昨今、まあそんなもんだろう…という説得力がハンパない。教会は、それ以外にお金のスキャンダルなども抱えている。それなのにシスティーナ礼拝堂の前には、腐るほどの狂信的な信者が押し寄せている状態。むしろ、新法王になりたい!なれる!と思うほうが異常なのではないだろうか。

抜け出したメルヴィル枢機卿は、これまでの自分の人生をこれでよかったのか…と振り返る。そして、自分は人々のために何ができるのか…と。メルヴィルの苦悩はすごくよくわかる。しかし一方で、メルヴィル自体が、一般人が経験するようなことをあまり経験していないことも描かれている。教会の指導者がそれでいいのか?それで人を救えるのか?という単純な疑問が沸いてこよう。

“休日”なんていうお気楽な邦題なんかつけるから、『ローマの休日』みたいに法王がこっそり抜け出して、ドタバタでも繰り広げるコメディなのかと思ったら、そんなのんきな内容じゃない。(一応コメディにカテゴライズしておくけど、かなりシニカル。
そして、なかなか強烈なオチが待っている。カトリック教会の状況を知らなかったり、あまり深く考えないで観ていると、このオチの強烈さがわからないかもしれない。え?これ許されるの?ちょっとこれ大丈夫?と、少し不安になったくらいだ。

カトリック批判というか、宗教組織の存在自体を批判しているオチ。人間を救うことを標榜している団体が人間から乖離していることを、痛快に皮肉った作品だと思う。ドラスティックな改革が行われない限り、カトリックはゆるやかな終焉に向かうのだろうな…とまで考えさせられる作品だった。ちょっとお薦め。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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