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公開年:1980年
公開国:アメリカ
時 間:105分
監 督:ブライアン・デ・パルマ
出 演:マイケル・ケイン、ナンシー・アレン、アンジー・ディキンソン、キース・ゴードン、デニス・フランツ、デヴィッド・マーグリーズ、ブランドン・マガート 他
ノミネート:【1980年/第1回ラジー賞】ワースト主演男優賞(マイケル・ケイン『アイランド』の演技も併せて)、ワースト主演女優賞(ナンシー・アレン)、ワースト監督賞(ブライアン・デ・パルマ)



夫マイクとの性生活に不満を抱えているケイト。時々、たくましい男性の襲われる夢を見るまでになり、精神分析医エリオットのカウンセリングを受けている。彼女にはピーターという息子がいたが、コンピューターの開発に没頭しており、彼女とは逆に性欲とは無縁の存在だった。ある日、ケイトはカウンセリングの帰りに美術館を訪れる。そこで出会った男性が挑発的にケイトを誘うと、彼女もそれに応え、タクシーの中で情事を交わした後、男のアパートへ向かうのだった。ケイトが男の部屋で目覚めると、男の姿はなかった。彼女は立ち去る前に男にメッセージを残すが、男の正体を知りたくなり机を物色。一通の診断書が目に留まり内容を確認すると、男が性病に犯されていることを知ってしまう。慌てて部屋を出るが、指輪を部屋に忘れてしまったことに気付き、再びエレベータで戻ろうとする。扉が開いた瞬間、彼女は何者かにナイフで切り付けられ、惨殺されてしまうのだった。ちょうどその時、エレベータを待っていた若い女性リズは、ケイト死体を発見。エレベータの防犯鏡に映った犯人らしいブロンドの女性を目撃する。その後、リズは刑事マリノの取り調べを受けるが、彼女が娼婦であったことから、証言が信用してもらえず…というストーリー。

輝く第1回ラジー賞に多々ノミネートされているが、マイケル・ケインやナンシー・アレンの演技がそれほど悪いか?と疑問。脚本とかを貶しているなら判らんでもないが、トンデモな部分を演じているからとって、2人の演技自体に問題があるわけじゃない(もう、初回からラジー賞って的外れなのがよくわかる)。いや、むしろマイケル・ケインの演技なんか、良い評価をされてもいいくらいだ。
画質やらヌードやら、デ・パルマらしさも出しつつ、とっつきにくさは軽減されているから、監督の仕事だって悪くない。

脚本だって大筋はいいデキだと思う。特に頭の方は素晴らしいかと。官能作品かと思わせておいて、サスペンス展開に。と、見せかけて中年の性問題に流れて、危険な情事モノとなり、性病が発覚し家族トラブル物になるのか?と予想させながら、一気にサスペンスに揺り戻す。観客の予測を小さく裏切り、ある意味パラダイムシフトを断続的に起すという高度なテクニックだと思う。

え? トンデモシーンで何かって?
(ネタバレ)

マイケル・ケインの女装と、ナンシー・アレンの夢オチでしょ。前者は女装自体に問題があるわけじゃない。むしろ、マイケル・ケインがそんなことやるか? という固定観念の裏をかいたい良い演出。キャスティングでミスリードするなんて、高度だと思う。ただ、それに加えて、性同一性障害と二重人格という、都合のよい設定が、興醒めさせてくれるだけ。本作での性同一性障害の表現には問題があると思うので、おそらく地上派では放送されないような気もする。

どう考えても、そのままエリオットが暴走してクライマックスに向かうんだろうな…と観客の誰しもが思っただろう。しかし、それを夢オチという下品な手段で萎ませた罪は大きい。スカすならスカすで、もうちょっとやり方があったように思える。

良作だったんだけど、最後の最後で凡作に。ま、脚本はデ・パルマが書いてるので、彼の責任なんだけどね(笑)。
#『サイコ』のオマージュか(パクりか)? とよく話題になるが、私は特に気にならなかった…というかそうは思わなかった。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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