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公開年:2006年
公開国:ドイツ、フランス、スペイン
時 間:147分
監 督:トム・ティクヴァ
出 演:ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン、アンドレス・エレーラ 他
受 賞:【2007年/第20回ヨーロッパ映画賞】撮影賞(フランク・グリーベ)、エクセレント賞(ウリ・ハニッシュ プロダクションデザインに対して)
コピー:それは、昨日まで人だったもの。
18世紀のパリの魚市場で産み落とされ、危うく捨てられかけた赤ん坊は、グルヌイユと名付けられて育児所に引き取られる。グルヌイユは孤独だったが、超人的な嗅覚の持ち主。青年となった彼は、ある少女の体から匂い立っていた香りに魅了され彼女を追ったが、怯えて悲鳴を上げようとした少女の口をふさぎ、誤って殺してしまう。以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、香水調合師バルディーニに弟子入りするのだが…というストーリー。
ここのところソフトな作品ばかり観ていたが、大晦日にエグいのにいきました。本作を観るのは、今回で三回目。
金銭欲やら名誉欲や性欲やら、世の中色々欲があると思うが、本作の主人公のように特異な肉体に宿った能力の趣くままに突き進むのも、人間の業、煩悩である。除夜の鐘で祓っていただきましょう(笑)。
香りという目に見えないものを表現しなくてはいけないところが、本作を制作する上で難しい点だったと思うのだが、CGを極力使わずに、風や演者の表情などでうまく表現できており、私は評価する。
香りに執着する主人公に目がいってしまうけれど、処刑シーンで香りに翻弄される民衆の姿が、本当に描きたかったシーンではなかろうかと私は思っている。人間は、自分の意思で行動できていると思っているだろうが外的要因によって、実意識にコントロールされ、コントロールされていることに気付きもしない。それは、現代であっても同じで、実は何かの熱に犯されているだけなのに、それをもっともらしい言葉で正当化している馬鹿な人間を、笑っているのである。
#私は、強烈なキャラの主人公だが、所詮は狂言回しだ…くらいに思っている。
ラストは好みが別れるところだとは思うが(知り合いは生理的に受け付けなかったようだ)、私は好き。社会性が欠如していた主人公が、社会と自分の関係を始めて意識して、自分の存在意義に絶望したということだろう(元々、世界を支配できる香りなんて、香り自体に興味があっただけで、世界の支配に興味なんかなかったわけだし)。
未見の人は是非観て欲しいと私は思う。エグい表現でコーティングされているが、その裏で語られているものが、覗ければ幸いである。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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