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公開年:1982年
公開国:ポーランド
時 間:122分
監 督:クシシュトフ・キエシロフスキー
出 演:ボグスワフ・リンダ、タデウシュ・ウォムニツキ、Z・ザパシェビッチ 他








1980年代のポーランド。医学生のヴィテクは医者になろうという強い意志があるわけでもなく、気の抜けた毎日を送っていた。彼の母親は彼を生むとすぐに亡くなり、その後、父親に育てられたが、父はヴィテクが医者になることを強く望んでいたのだ。そんなある日、父の死の知らせが舞い込む。医者になるという目的を完全に失ってしまったヴィテクは、大学を休学してワルシャワへ旅立つことに。駅につくと、ワルシャワ行の列車の発車時刻。急いで切符を買い、走り始めた列車を全速力で追いかけるのだったが…というストーリー。

その後、①ギリギリ列車に乗れた場合、②駅員にブロックされて列車に乗れなかった場合、③列車に乗れなかったけどそこで同級生の女性と出会う場合…の3つの“if”がオムニバス形式で描かれる作品。『ラン・ローラ・ラン』の元ネタだとか。
大変申し訳ないのだが、私、あまりにもポンコツで、このオムニバス構成を理解できなかったの。ちょっと変だな…とは思いつつ、全部時系列でつながっている話だと思っていた。ああ“偶然”駅で同じことがおこってるんだな…、波瀾万丈な人生だな…と。駅の窓口で「学生一枚」って言って切符を買うんだけど、休学してるから学生だろ?ってノリで買ってるんだと思ってたし。
#白人の年齢が見た目でいまいち判断できないんだよね、私。

ちなみに本作は、『殺人に関する短いフィルム』と一緒に一枚のDVDに収められている。
(以下、ネタバレ)

一つ目のお話は、共産党の活動家になる人生。かつての恋人と再会していい感じの仲になるんだけど、実は彼女はレジスタンスの一味。結局、レジスタンスの居場所をチクったと思われて、関係は破綻してしまう。医者を目指しているときも強い意志はなかったが、共産党員になってもそれは同じ。自分の大切なものを奪われた!と激昂して、党の上役に殴り掛かっちゃうんだけど、ヴィテクが情勢を判断できないおぼっちゃんなだけ。

いずれのエピソードにおいても、この“意志の欠如”というところがポイントで、誰に影響されるか(出会うか)で、ヴィテクの行動は大きく変わってしまう。一つ目のお話では、スターリン時代を生き抜いてきた共産党幹部。
まるでヴィテクが無能な人間って書いてるように見えるかもしれないけど、実際は誰でもそんなもんなんだよね。人との出会いがどれだけ影響を及ぼすのか…っていうこと。

二つ目のお話は、駅の警備員を殴ってパクられちゃう展開(共産党から逃げて、荒れた末にパクられたんだと勘違いしてたわ)。服役中に知り合った人の誘いでレジスタンスに加わることに(一つ目とは真逆の立場に)。でも、またもやレジスタンス組織が手入れを受けて壊滅。たまたまいなかったヴィテクのせいにされちゃって、失意のどんぞこに。このエピソードでは、ヴィテクはキリスト教に目覚めて入信しちゃう。共産主義ともレジスタンスの考え方とも異なる宗教に傾倒する。でも、やっぱり彼は、このアンビバレントな状況にあまり疑問を抱かずに行動しちゃうタイプ。

三つ目のお話は、やっぱり思い直して復学する展開。同級生と結婚し家庭を築いて、幸せ満開に。そしてまったくのノンポリ人間になっちゃう。でも、恩師の教授の息子がレジスタンス活動でパクられて、教授自身も職を失うことに。教授から代理でフランスにいってくれない?とお願いされ、承諾するという流れ。一つ目、二つ目ではフランスには行けずに終わったけど、今度は行ける(家族を置いてまで行く)。さてどうなるか。

人間、これだけ着地点が異なるものか…と考えさせられつつも、まちがいなくどのエピソードにおいてもヴィテクはヴィテク以外の何者でもない。そんな風に描かれているのが秀逸で、人間のパーソナリティってなんだろうなと考えさせられる。主義・信条じゃないんだな…と。
すごく、即物的で下卑た感じに描かれているのに、なぜか童話みたいな雰囲気が漂っているのも特徴的。良作だと思う。

#あの爆発シーンって模型かな? 1980年代の東欧の作品だと考えると、なかなかのデキじゃない?

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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