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image1597.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:チャーリー・カウフマン
出 演:フィリップ・シーモア・ホフマン、サマンサ・モートン、ミシェル・ウィリアムズ、キャサリン・キーナー、エミリー・ワトソン、ダイアン・ウィースト、ジェニファー・ジェイソン・リー、ロビン・ワイガート、セイディー・ゴールドスタイン、ホープ・デイヴィス、トム・ヌーナン 他
受 賞:【2008年/第34回LA批評家協会賞】美術賞
【2008年/第24回インディペンデント・スピリット賞】新人作品賞、ロバート・アルトマン賞(アンサンブル演技作品賞)
コピー:人生には“何か”あるはず

アーチストの妻アデルと娘オリーヴとニューヨークで暮らす劇作家ケイデン・コタード。彼の舞台はそれなりの評価を受けていたのだが、アデルはいまいち個性のない彼の演出姿勢に嫌気がさし、娘を連れてベルリンへ移住してしまう。なかなかアデルへの未練を振り切れずにいるケイデンだったが、突然にマッカーサー・フェロー賞を受賞してしまう。彼は、その多大な賞金を元にしてとある企画を思いつく。それは、巨大な倉庫の中に、自分の脳内にある“もうひとつのニューヨーク”を作り上げるというものだった…というストーリー。

彼が脚本を手がけた『マルコヴィッチの穴』や『エターナル・サンシャイン』は好みなのだが、さて、自ら監督した作品はいかがなものか。

自分の頭の中のニューヨークを舞台で表現しようという突飛なプロットなのだが、その本題に入るまでの脚本のドリフトっぷりがハンパない。
現実と妄想の境目を判然とさせないのは作為だとしても、あまりにも判りにくすぎる。境目を見分けるヒントすら存在しない。せめて主人公の一人称的な表現で通してくれたらいいのだが、そんなルールは無い。常に火事になっている家の表現など、間違いなくケイデンがいないシーンでスタートするのだから、完全に彼の脳内ではないもの。とにかく困惑する。置いてきぼり感も甚だしい。
挑戦していると捉えられなくもないけど、思いついたことをそのまま表現すりゃあそれでいいのか?ゆるされるのか?と、腹立たしいとまではいわないが、首を傾げたくなる。わかるんだけどねぇ…とは思うが、絶対に一般ウケはしない。

ただ、個人的に好きなのは、NYで無茶な舞台を作り始めて、自分を演じている人が登場すると、さらにそれに干渉する同じような演者が登場してくる展開。ハイゼンベルグの不確定性原理でいうところの、粒子の位置を正確に測ろうとすればするほど、対象物の状態を正確に測れなくなりるという物理学の法則に通じているのが、非常に興味深く感じた。

チャーリー・カウフマンの思索というのは、結構、突き詰められるところまで到達してしまっているのかもな…と思った。しかし、最後に、人間の模倣の意味自体を問いただして、一人一人が演者なんだ…的なセリフを言わせたのは非常に残念だった。そこは貫いてほしかったのだが、思想的な突き抜けがポッキリ折れてしまったように感じられた。日和ったと思う。結果的には、『マルコヴィッチの穴』ほど奇抜なビジュアル表現にもならなかったし、『エターナル・サンシャイン』ほど心に響くものはなかった。自分が監督することで、突き抜けるパワーが削がれたのならば、もう監督なんかやらないほうがいいと思う。

この一般的ウケしなかったことがさらに悪い面に拍車をかける。吹き替え音声が付いていないのだ。ビジュアルをしっかり観ないといけない作品なのに、字幕を追わなければいけないのがものすごく苦痛(なんとかならんか)。

とはいえ、不思議といつかもう一回観てやろうかという気にさせられてるのは、さすがチャーリー・カウフマンってことなんだろうな。お薦めはしないが、この文句を読んで逆に興味が沸いた人はどうぞ。私は、絶対にいつかまた観ると思う。そういう作品。

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